高嶺清麿の考察、王ドロボウの消失 ◆o4xOfDTwjY



未だ気絶したままのジンを見守る高嶺清麿は思考する。
彼はラッドやジンみたいに高い身体能力を持つわけでもなく、ましてや東方不敗や最初の会場で見たモロトフみたいな超人的な能力を持つわけでもない。
彼は一般人ともいえる身体能力しか持たないのだ。
しかし、彼には中学生とは思えないほどの並外れた天才的な頭脳がある。
そして、ガッシュと共に魔界の王を決める戦いを勝ち抜いてきた経験がある。
この頭脳と経験をフルに活用することが今の自分にできること、清麿はそう考えていた。

まず彼が最初に考えたことは先ほどの放送の内容だった。
東方不敗とジンの戦闘があったため、いったんは考えることを停止せざるを得なかったが、今なら幾分か時間はある。
禁止エリアと死者の情報以上に、ロージェノムは気になる発言をしていた。
――幼き少女が、螺旋の力に目覚めたのを、この目で見られたのだからな。
なんのつもりでこのようなことを言ったのかはわからないが、この一言は清麿に様々な可能性を見いださせるには十分すぎた。

――この目で見られた
つまりは、何らかの方法で参加者を監視しているということ。
放送でロージェノムは自らこれを露呈したようなものだ。
螺旋力というものに目覚めた少女がいたのがよほど嬉しかったのか。
それとも監視していることを参加者に気づかれようが大丈夫な自信があるのだろうか。
真意を知る術はないが、与えられた情報はありがたく使わせてもらう。

監視している可能性が高まった以上、これからの行動には注意を払わなければならない。
しかし、一体どのような方法で監視を行っているのだろうか?
清麿が立てた仮説は2つ。
場内に監視カメラが仕掛けられている、魔物の術のような特殊な能力によって監視されている、2つだ。
だが最初の説はほとんどないだろうと考えた。なぜなら、監視カメラなど仕掛けていたらすぐに参加者は気づいてしまうだろう。
首輪に仕掛けられているという考えもできるが、首輪をされた本人の映像が見られないどころか、そのカメラのレンズを隠してしまえば監視はできなくなってしまう。
ならば後者の仮説が濃厚だろう。
清麿は魔物の戦いの中で常識破りな能力と出くわしてきた。
電撃を放つ魔物、氷を生み出す魔物、重力を操る魔物、自分の体を変身させる魔物、バリアを発生させる魔物、更には人の心を操る魔物と、様々なタイプの能力を扱える魔物と出会ってきた。
魔界の王を決める戦いはその性質上、戦いに向いた能力の持ち主が多かったが、ティオやキャンチョメのような補助的な能力の持ち主もいた。
ならば、監視に向いた能力をもつ魔物がいてもおかしくない。
そして、この殺し合いには最初の広場で見たモロトフのような、魔物のような能力を持つ人間も参加していると考えてよいだろう。
そして、ロージェノムは監視に特化した能力を持っている、清麿はそう推測する。
しかし、例えそのような能力を持っていたとして、80人以上もの参加者を同時に、しかも長時間監視できるだろうか?
魔物の術を発動するには、魔本の持ち主の心の力が必要であった。
ならばそういった能力を使うのにも何らかの力が消費されると考えてもよい。
一度に80人以上の参加者を長時間監視などすれば、すぐにそのような力を消耗してしまうだろう。

ならばどのようにして監視を行っているのだろうか?
ロージェノムはこの殺し合いの目的を「優秀な螺旋遺伝子を持つものを探すため」と言った。
先ほどの放送でも「幼き少女が、螺旋の力に目覚めたのを、この目で見られたのだからな」と言っていた。
そもそも、螺旋力とはなんなのか?
清麿には思い当たる節があった。
魔界の王を決める戦いは100人の魔物を互いに戦わせ、生き残った最後の1人を王とするというシステムだった。
今行われている殺し合いと似たシステムだ。
その魔物の戦いの中での重要な点のひとつに、戦っていくうちに魔本に新たな術が現れ、それが使えるようになるという点があった。
螺旋力が目覚めるということを、魔物が新たな術を使えるようになるということと捉える。
魔物の戦いは王を決めることが目的であり、新しい術が使えるようになることはいわばそのための手段であった。
しかし、この殺し合いの場合は魔物の戦いの手段に当たることが目的なのではないのだろうか?
螺旋力という新たな力を発現させるために参加者同士を殺し合わせる。
そして、優秀な螺旋遺伝子つまり優秀な螺旋力を持つ者を発掘する。

仮に目的がそうだとしたら、全ての参加者は螺旋力という力を覚醒させる素質の持ち主なのだろうか?
だとしたら、自分みたいな一般人を集めて、その螺旋力というものを目覚めさせようとしているのだろうか?
清麿、ジン、ラッド、ヨーコ。今まで接触してある程度情報を得た参加者達だが、魔物のような特殊な能力は持ってなかった。
対峙したジャンパーの男や東方不敗もそうだった。
いや、あの老人はそうとも言い切れない。
倒壊した建物から生き延びるなど、人間の身体能力では考えられないほどの超人的能力を持っていた。
もしかしたら魔物でいう肉体強化の術のような能力を持っているのではないか?
それにこの殺し合いに参加している知り合いの、ガッシュとビクトリームも何らかの能力を持つ魔物である。
そう考えると、一般人、魔物、特殊な能力を持つ者、色んなタイプの参加者がいると言える。
ならば参加者の共通点はなんだろうか?
やはり、あのロージェノムが言った優秀な螺旋遺伝子を持つ可能性のある者と考えて良いだろう。
ならば自分にも、隣で気絶しているジンにも、螺旋力という力が眠っているというのだろうか?
螺旋力。この力の正体を知ることが、もしかしたらこの殺し合いを止めるためにも重要なことかもしれない。

途中で螺旋力に対しての考察に移ったが、監視について考え直す。
先に立てた、魔物でいう新たな術の発現=螺旋力の覚醒、それを参加者にさせることがロージェノムの目的だと考えた。
魔物が新たな術が発現することは、魔物同士が戦っている時が圧倒的に多く、ナゾナゾ博士はいち早くそれに気づいていて、あえて自分たちと戦うことでガッシュに新たな術を発現させた。
ならば螺旋力が目覚める場合も、参加者同士の戦闘中ではないかと考えられる。
ならば監視を、参加者同士の戦闘に限って行うと考えてみてはどうだろうか?
参加者同士の戦闘のみなら、監視のため能力を使う機会も減るだろう。
ならば、戦闘が行われることの判断はどうするのだろうか?
これは簡単だ。清麿の住む世界にもあるGPSと盗聴器。
これを首輪に仕掛けておけばすぐにわかる。参加者同士が遭遇しそうになったら監視を始めて、さらに盗聴器で戦闘が行われているかを確認すればよい。

ロージェノムの一言で様々な見解を立ててきたわけだが、今はまだ情報量が少なすぎる。
あくまで先の考察は仮説であるので、可能性のひとつとして捉えておくべきであろう。
だがロージェノムがなんらかの方法で監視をしていることは明らかなので、今後はそれを念頭に行動する必要がある。
そして螺旋の力。このキーワードともいえるものの正体を探ることも、この殺し合いにおいて大切なこととなるだろう。

ここまでその天才的な頭脳を使い思考してきた清麿だが、流石に集中して考えただけあって、少し疲れていた。
少し休もうと思って、デイパックから取り出した水を一口飲む。
そして朝食をとってなかったことを思い出す。
腹が減っては戦も出来ぬ、そう思った清麿はデイパックから食料を取り出した。
清麿に支給された食料は、コンビニで売っているようなおにぎりだった。

朝食で腹ごしらえを済ませた清麿は、デイパックからボールペンとメモ帳を取り出す。
先ほどの考察を記すためだ。
盗聴の可能性も頭に入れ、ロージェノムやこの殺し合いについての考察は筆談でやりとりする必要もあるだろうと判断した。
そのために、自分の考えを他の参加者に伝えやすくするためにも、考察をわかりやすくメモ帳にまとめた。

清麿はメモ帳への記入が終わって一息つくと、ソファーで横たわっているジンが動きだした。
ジンは上半身をゆっくり起こして清麿の姿を確認する。

「やあ、清麿。無事で良かったよ」

一時の沈黙。
ジンは清麿から視線を外して、シーツの被せてあるヨーコの死体の方を見た。
それに気づいた清麿は、重たい口を開いてジンにヨーコが死んだ事実を告げる。

「残念だが…。ヨーコさんは助からなかった」
「…そうか」

ジンは立ち上がり、ヨーコの亡骸へと向かって歩く。
シーツをゆっくりと捲る。体の血は拭き取られていて、胸の前で両手が祈るように組まれている。青ざめつつある死顔は、安らかな笑顔であった。
彼女が最後に何を思って死んでいったかは、ジンに知る術もない。
だが、あの時ヨーコは自分を守るために行動したのは間違いなかった。
今まで旅の行く先で出会う少女を助けてきたジンだが、今回は助けるどころか助けられてしまった。

「ごめん、おねーさん。オレ何もしてやれなかった。オレが言えた台詞じゃないけど、どうか安らかに」

黙祷を捧げたジンは、再びヨーコにシーツを被せた。
清麿の方へと振り返るジン。清麿は申し訳なさそうに頭を下げる。

「本当は埋葬してあげたかったが、俺にはあれぐらいしかしてやれなかった。すまない…」
「いや、よくしてくれたよ。それに怪我の手当てもなかなかの腕前だし」

そう言うとジンはソファーに座り込む。
医療関係の本を何冊か読んだことがある上に、魔物の戦いの中で実際に応急処置などを行った経験のある清麿は、民家で使えそうな治療器具を見つけて、ジンに的確な応急処置をしていた。
しかし、それは応急処置というだけで、ジンの状態は依然思わしくない状態だった。
清麿としては病院に行って、もっとジンに的確な治療をしたかったし、自分の右耳の応急処置もしっかり治療する必要があった。
そして、ラッドとも合流しなければならない。

「とりあえず、消防車まで行ってみたい。大丈夫か?」
「うん、なんとかね」

そう言って重い体を起こすジン。
清麿は先の考察をジンに話すべきか迷ったが、優先すべきはジンの治療だと考えた。
ラッドの安否も気になる。彼と別れた地点は消防車を止めた場所だ。
もし彼が生きているのなら、消防車のあった場所でジンの朝飯を待っているかもしれない。
逆に待ちくたびれて、新たな参加者を殺しにかかるかもしれない。できれば、それだけは避けたい。
ともあれ、まずは消防車へと向かうのが得策と考え、それを優先した。

2人はヨーコに改めて黙祷を捧げると、民家をあとにする。
ジンは民家を振り返り、隣の清麿にも聞こえないぐらいの小声で「おねーさん、ありがとう。後はオレに任せて」と呟いた。




【C-7/北東部/民家の前/1日目/午前】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:中程度の疲労。全身にダメージ。左足と額を負傷(応急処置済み)、貧血。
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2
[道具]:支給品一式、予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
1:清麿と共に消防車に向かう。
2:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
3:そういや、ラッドの朝食準備しなきゃ。


【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】
[状態]:右耳欠損(応急処置済み)、軽い貧血
[装備]:イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32)
[道具]:支給品一式(水ボトルの1/4消費、おにぎり2つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ帳、
イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!、無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳
[思考]
基本方針:螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する
1:消防車へ向かう。
2:ラッドと合流。
3:病院でジン及び自身の右耳の治療。
4:頃合いを見計らって、殺し合いについての考察をジンに説明したい。
5:考察の真偽を確認するための情報収集。とくに螺旋力について知りたい。
6:ガッシュ、フォレゴレとの合流。
7:螺旋王に挑むための仲間を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。


※清麿の考察について
  • 監視方法について
首輪にGPSと盗聴器を仕込んでいて、参加者同士の戦闘が発生した際に特殊な能力などで戦闘を監視しているのではないかと推測。
  • 螺旋力について
螺旋力の覚醒を、魔物の戦いにおける新たな術の発現と似たものと認識。
魔物の新術が発現することが戦闘中に多いことから、螺旋力の覚醒も戦闘中に起こるのではないかと推測。
一般人、魔物、特殊能力者等関係なしに、殺し合いの参加者全てに螺旋力覚醒の可能性が秘められているのではないかと推測。
上記の考察をメモ帳にまとめてあります。

※ヨーコの死体は、C7エリア北東部の民家にシーツを被せられた状態で放置されています。


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114:――――ありがとう ジン 155:THE WAY OF THE ANSWER TAIKER
114:――――ありがとう 高嶺清麿 155:THE WAY OF THE ANSWER TAIKER





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