病ん坊麻婆転機予報(後編)  ◆wYjszMXgAo



「……さて、アルベルト氏。
 あの少女一人に任せていても良かったのかね?」

言峰綺礼は、中華料理店の厨房から客席で待つ賓客に問いかける。
コンロの火力は申し分なし。
シータを探す道すがら、彼は抜け目なく十分な火力を与えてくれる中華料理店を探していたのだ。
手際よく食材を扱っていく言峰に期待の目を向けながら、アルベルトはさも当然とばかりに返答する。

「ふん、あ奴を見くびって貰っては困る。あれで中々切れる上に胆も上々だ。
 故に、足りないのは経験のみよ。だからこそ――――」
「成程、可愛い子には旅をさせろ、と。……旅先で命を落としては話にならないのでは?」
「ワシを誰だと思っているのだ? 万一はありえん。
 何故ならば、仮にあ奴が劣勢に立たされるとして、ワシがその前に屠れば済む話でしかないからだ」
「……ほう。それならば確かに命の危険は殆どないでしょうな」

言峰はその言葉を聞いて昏い笑みを隠れて浮かべる。
成程、確かに彼にはその実力はあるだろう。彼女のいる場所まではせいぜい100メートル。
彼女が危機に陥ろうとも、撃退どころか即座に殺害すら可能だろう。
……必要以上に攻撃的な、今の彼になら。
彼女の成長の為の当て馬という訳だ。

言峰綺礼は分析する。
衝撃のアルベルトという男は、強い男であると。
それは、戦闘能力という観点だけではなく、精神的なものでもだ。
しかし、いくら強かろうとそこは人間。
何かを失えばそこに空白が生じ、埋めることなどできはしない。

……今の彼が攻勢の態度を示すのは、先刻会った牧師と同じ状態にあるからだ。
一言で言えば、行き場を失った感情の塊。
それを持て余し、ぶつける先を求めているだけなのである。
違うのはそこに関与する自制の程度でしかない。

先刻の牧師は、自身の命の価値を見失った。
では、アルベルトが見失ったものは何か。
それはかがみという少女への入れ込み様から推察できる。
彼が見失ったのは自身の何がしかではなく、大切な他者。
それも、家族のような守るべき対象でなく、自身と対等な立場にあるものである。
故にかがみの成長を期待しているのだ。
しかし、それは代替物でしかない。
その事を認めた上で、彼はかがみに目をかけているのか。
それを突きつけた時、彼、そしてかがみはどのような反応を示すのか。

そこを切開する鍵になるのは、失った存在は何なのか、ということだ。
推察はついている。おそらくはライバルのような存在か。
……それも、既に死んだはずの、という条件が考え得る。
死人が生き返るという事実は、自分自身が保証している以上十分ありえるのである。
出会ったときに敵意のない殺意をぶつけられたことを考えれば、アルベルトの態度はあまりにも攻撃的すぎるのだ。
それこそ、目の前に既に失ったはずの物を差し出されたのに、いざそれを使おうとした時に再度失くしてしまったような。
……おあずけの後に結局餌をもらえなかった犬のような、どうしようもない欲求不満と苛立ちを隠しきれていないかのように。

ああ、実に素晴らしい美酒だと言峰は歓喜に打ち震える。
麻婆豆腐を肴に切開という酒を味わう、これほどの愉悦が考え得るだろうか、と。
アルベルトは強い男だ。
故に、自分に切開されたとしても、その苛立ちの矛先を自分に向けることは決してないだろう。
それだけの自制心を、この男は持っている。
自らの安全を確保したまま、優れた男が苦悩に陥るその様を最高の食事と共に味わえるのだ。


言峰綺礼の、言峰綺礼による、言峰綺礼のための晩餐会は、今まさに始まったばかりである。



【C-4北東部/中華料理店“螺旋軒”/1日目・夜中】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:左肋骨骨折(一本)、疲労(中) 、令呪(六画) 、現在調理中
[装備]:飛行石@天空の城ラピュタ
[道具]:荷物一式(コンパスが故障、食糧一食分消費。食料:螺旋屋豆腐の木綿豆腐、激辛豆板醤、牛豚合挽肉、葉ニンニク(以上、麻婆豆腐約10食分)他)、エドのコンピュータとゴーグル@カウボーイビバップ
[思考]
基本:観察者として苦しみを観察し、検分し、愉悦としながら、脱出を目指す。麻婆豆腐の美味さを広める。
1:衝撃のアルベルトおよび不死身の柊かがみを切開し、麻婆豆腐とともに美味しくいただく。
2:情報を交換しつつ、衝撃のアルベルトと不死身の柊かがみに麻婆豆腐を振舞う。
3:シータの行方を捜し、その結末を見届ける。約束通り麻婆豆腐を振舞う。
4:ウルフウッドの襲来を待ち受け、切開の続きを施す。生きて出会えたら麻婆豆腐を振舞う。
5:殺し合いに干渉しつつ、ギルガメッシュを探す。 再会の後に麻婆豆腐を振舞う。
6:傷の男(スカー)に興味。切開しながら麻婆豆腐を振舞う。
[備考]
※制限に気付いています。
※衛宮士郎にアゾット剣で胸を貫かれ、泥の中に落ちた後からの参戦。
※会場がループしていることに気付きました。
※シズマドライブに関する考察は以下
 ・酸素欠乏はブラフ、または起きるとしても遠い先のこと。
 ・シズマドライブ正常化により、螺旋力、また会場に関わる何かが起きる。
※令呪は、膨大な魔力の塊です。単体で行使できる術は、パスを繋いだサーヴァントに対する命令のみですが、本人が術を編むか礼装を用いることで、魔術を扱うにおいて強力な補助となります。
 ただし使えるのは一度限りで、扱い切れなければ反動でダメージを負う可能性があります。
 人体に移植される、魔力量が桁違いのカートリッジとでも認識してください。
 効果の高さは命令実行に要する時間に反比例します。
※アルベルトたちと出会う前にエドのコンピュータとゴーグルを回収しています。
※まだアルベルトたちと情報交換はしていません。

【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:全身にダメージ(小)、右足に刺し傷(処置済み)、スーツがズダボロ
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:ディパック×2、支給品一式×2、シガレットケースと葉巻(葉巻-3本)、ボイスレコーダー、
    シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、赤絵の具@王ドロボウJING、
    ガンメンの設計図まとめ、王の財宝@Fate/stay night、ミロク@舞-HiME
    シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師、首輪(クアットロ)、黄金の鎧@Fate/stay night(半壊)
[思考]:
基本-1:不死者(柊かがみ)に螺旋王を『喰わせ』、その力や知識、およびアンチシズマ管をBF団へと持ち帰る。
     またその力を使い、戴宗を復活させ、再戦する。
基本-2:基本-1が達成できないと判断すれば、優勝を目指す。
0:一体どれほどの麻婆豆腐を食わせてくれるのだ?
1:不死者(柊かがみ)の成長を促し、その身を守る。
2:強者にはこちらから仕掛け、撃破する。
3:脱出や首輪解除に必要な情報を集める。
4:24:00(0:00)に映画館に向かう。
5:他の参加者達と必要以上に馴れ合うつもりはない。利用できるものは利用する。
6:マスターアジアと再会すれば決着をつける。
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です。
※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています。
※ですが、アルベルトはドモンについて名前しか聞いていません。
※会場のワープを認識。
※図書館(超螺旋図書城)のカウンターに戴宗へのメッセージを残しました。
※奈緒からギルガメッシュの持つ情報を手に入れました。
※まだ言峰綺礼と情報交換はしていません。


◇ ◇ ◇

暗がりの中を歩む少女がいる。
しかし、その外観は普通の少女ではない。
何が普通でないかといえば、その服装だ。
手を突っ込んだポケットの下に足下まで伸びる黒い裾。
顔の回りを覆うようにぴたりと立つカラー。
止められていないボタンの間に見えるのは、真っ白なシャツとやはり黒い長ズボンである。
ありていに言えば、それは学ランだった。

そんなごつい服装は、普通の少女には全く似合わないだろう。
……だが、不思議とその少女からはアンバランスさは感じられない。
肉のつき方か? 違う。
少女の体つきは細身とさえ言える。
顔立ちか? 違う。
可愛らしいといっても過言ではないのだから。
では、何が彼女を学ランにつりあう様に見せているのだろう。

それは、少女の姿勢だった。
威風堂々と進む彼女の姿勢は、俯くこともなく、またか弱さも感じさせないほどしっかりと背を伸ばしていたのだ。
不意に立ち止まり、少女は暗闇に向かって話しかける。


「……で、さっさと出てきたらどうなの? わざわざ一人になってあげたんだから」

にやりと口元を歪める少女――――かがみ。
その目線の先は、つい今しがた自分が通り過ぎた道角だ。
応答はない。
沈黙が場を支配する。

十秒。

それだけ待って、かがみは表情を戻し、目を閉じて告げる。

「やりすごそうったって無駄よ。ずっと殺気を隠しきれてないわよあんた。
 ……時間が勿体ないし、早いとこ終わらせましょ」

もちろんかがみに殺気を感じ取る能力などなかった。
――――少なくとも、つい昨日までは。
だが、殺し合いという状況下で多少なりとも感覚が磨かれたのか。
先刻言峰という神父と出会った辺りから何となくぴりぴりするものを嗅ぎ取ったのだ。
それは視線か、息遣いか。
気のせいかと思ったが、アルベルトの頷きによってそれは否定された。
ならば、あとはハッタリでもいい、使えるものを最大に活用するまでである。
自分はまだまだ弱い、それを認めることすらも武器にして。

最初は神父のものかと思ったが、どうやら違うようである。
そこで彼女の経験が何かを警告する。
……そう、目の前で木津千里が撃ち抜かれた瞬間が、脳裏に蘇った。
あの時感じたものと同じ気配が、すぐ側に迫っている。

無力感と恐怖。怯える一人の少女。どうしようもない過去。
再度それに飲み込まれようとしている現在。
せりあがる感情を、しかし彼女はそれを糧として踏み越えることを選んだ。
弱い自分と決別する為に。
その為に不死となり、身に纏うものも変えたのだから。

……故に、彼女は一人抜け出した。
その男を斃す為に。
それは、一時なりとも時間を共有した友と、無様に怯えて何もできなかった“柊かがみ”という少女の仇討ちだ。
今の自分は“不死身の柊かがみ”である。
恐怖の対象を乗り越え、弱い自分を清算する。

無論、怖くないはずがない。
死に脅かされる必要はなくとも、痛みと苦しみはなくなりはしないのだから。
銃弾が体に抉りこまれたまさにその時の、引き裂かれるような感覚と猛烈な吐き気はいまだに拭えない。
だが、それでも。
二人の少女の死に報いる為、そして新たなる自分を確立させる為に彼女は戦いを決意する。

そして、暗がりから街灯に照らされ現れる男が一人。
……紛うことなき、殺戮牧師だ。

「あー……、ほんまムカつく奴ばっかり湧いてきおるな、嬢ちゃん。
 決めた。とにかくブチ殺す。死ななかろうが殺し続けたる。生き続けるのが嫌になってもな」

低く、唸るような声で音もなく牧師は銃を抜き放つ。
かがみには、それが火山の噴火前の静かさのように感じられた。
だが、それは付け入る隙だ。

“不死身の柊かがみ”として、目の前の相手を冷静に分析。
前回自分達を撃ち抜いた時よりも明らかに精神状態がおかしい。
ぎらぎらと落ち着きなく動く眼球からは、極度の興奮状態が見て取れる。
手にする得物も大した威力のない銃器。
腰の二本差しの刀を使わないところを見るに銃に自信があるのだろうが、火力不足と言わざるを得ない。
素の実力は自分より上でも、今の状態ならば勝ち目は十分あるだろう。

「泣いて喚いて怯えてたクソガキが良く吠えるわー……。
 あのオッサンならともかく、嬢ちゃん、自分が相手にならんと分かっとんのにワイに挑むんか……?
 アホすぎて余計イラつくわ、どいつもこいつもあの金髪もなあ」 
「ああ、あの娘なら死んだわよ。あんたの言う泣いて喚いて怯えてた子なら、ね。
 ……さあて、と。身の程知らずはどっちかしらね。
 そんな豆鉄砲ひとつで私を殺すつもり? くっくっ、それこそお笑いだと思わない?」

敢えて相手の神経を逆なでする言葉を選びながら、かがみは不敵に笑ってみせる。
怒りは判断力を鈍らせ、攻撃の正確さを失わせるのだ。つけ込まない手はない。
無論、恐怖心がないわけではない。
今でも相手の殺意に飲み込まれそうだ。場数が違いすぎる。
死んだはずの弱い自分が悲鳴をあげる。

しかしそれでも、退く理由はない。
ここはハッタリを貫くべきだ。それだけの価値はある。
涌き出るなにがしかを押さえ込んで、かがみは自ら戦いに臨む。
……自分は確かに格下だ、と、その事を確かに戒めながらも口にするのは正反対の事。
かがみは余裕を演じる笑みを見せつけながら、すらりと剣を抜き放つ。

“約束された勝利の剣”を。

「さ、かかってらっしゃい、神の子羊さん?
 衝撃のが出るまでもないわ、この私――――BF団エージェント候補“不死身の柊かがみ”がお遊戯に付き合ってあげる。
 せいぜい楽しくお唄でも歌ってみせなさいな、ハレルヤ、ってね?」
「ほざけェェエェェエエェェエェェエェッ!!」

――――そして、撃鉄が弾かれる。


過去に抗い、貫き突き破る為の一人の少女の戦いは、今まさに始まったばかりである。



【C-4北東部/路上/1日目・夜中】
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、番長ルック、ポニーテール
[装備]:つかさのスカーフ、ローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、シルバーケープ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:デイバッグ×5(支給品一式×5、[水入りペットボトル×1消費])、柊つかさの首輪、柊かがみの靴、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) 、
    奈緒が適当に集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
    オドラデクエンジン@王ドロボウJING、緑色の鉱石@天元突破グレンラガン、
    アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、がらくた×3、予備の服×1、破れたチャイナ服
[思考]
基本:螺旋王を『喰い』、自分の願いを叶える。“BF団”の構成員らしく振る舞い、以前の自分と決別する。
0:さっさと片付けて麻婆豆腐が食べたい。
1:衝撃のアルベルトに協力する。
2:24:00(0:00)に映画館に向かう。
3:ウルフウッドを無力化もしくは殺害し、千里の敵を討つ。
[備考]:
※会場端のワープを認識
※第二回放送を聞き逃しました
※ギルガメッシュは死亡したと思っています
※奈緒からギルガメッシュの持つ情報を手に入れました
※アルベルトとの直線距離はおよそ100m程度です。

【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン】
[状態]:激しい動揺、認識力判断力の欠如、常時ブチ切れ寸前、情緒不安定、かつてない程のイライラ、全身に浅い裂傷 (治療済み)、肋骨骨折、幾つかの打撲(治療不要)。
[装備]:デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7
[道具]:ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!
[思考]
基本思考:ゲームに乗る。
0:何が麻婆豆腐じゃ、フザけとんのかおどれら!?
1:自分をナメ腐ってくれたクソアマをブチ殺す。死なないなら生きるのが嫌になるまで殺し続ける。
2:自分の手でゲームを終わらせる。 女子供にも容赦はしない。迷いもない。
3:とにかく武器(パニッシャー、銃器)が欲しい。誰かが持ってたら殺してでも奪う。
4:施設で武器調達も検討。
5:タバコが欲しい。
6:言峰に対して――――?
[備考]
※迷いは完全に断ち切りました。ゆえに、ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの鬱屈した感情が強まっています。
※シータを槍(ストラーダ)、鎌鼬(ルフトメッサー )、高速移動の使い手と認識しました。
※第三回放送を聞き逃しました。
※言峰の言葉により感情の波が一定していません。躁鬱的な傾向が見られます。


◇ ◇ ◇


死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。
自分が殺した。
殺さず、殺させずなどと言っていた筈の自分が、殺したのだ。


「う、……あ、あ、ひ、ああ…………」

ああ、なんて命って軽いんだろう。
あの牧師は言っていた。
自分は生き返らされたのだと。
蘇る存在すらもいるのだと。
なら、何で自分達はそうではないのだろう。
パズーも、ドーラも、エドも、自分の殺した少女も。
……蘇らない。二度と、会えない。
あまりにもあっさりと、その命は失われたのだ。

「あ、あぅあ、あ、く、う、く、うぇっ……」

そんな簡単にどうこうできる物を大切にしてどうなるのか。
空しい。空しい。空しい。
なんて不公平なんだろう。
大切な人たちは蘇らないのに、こわい人たちばっかり生き返らされる。
だったら、パズーたちも生き返ってくれてもいいのに。
命なんて、簡単にどうこうできるんだから。

「え、ぐっ、……くう、ひぁ、あ、あ、あ、く、
 ………………………………………くす、」


……そうだ。なんて簡単な話だったんだろう。
神父は言っていた。全ては価値観次第なのだと。
凝り固まった価値観に捕らわれていたから、悲しむ必要が出てくるのである。

「くす、くすくす……、くすくすくすくすくすくすくすくす」

実に分かりやすい。
螺旋王が死者を生き返らせられるのなら、迷うことなどなかったのだ。

「……くすくす、そうですね、言峰神父。ありがとうございます」

少女は晴れやかな笑顔を浮かべる。
答えを。……なすべき事を見つけ、苦悩から解放されたことで。
それが今までのリュシータという一人の少女の考えを、全否定することさえ気付かずに。
あるいは、過去の自分すらも今の彼女の価値観には無価値と判断されたのか。

「今まで私はなんて狭い世界で生きていたんでしょうか。くすくす、心が洗われる想いです」

――――そう、こわい人たちを殺して、善良な人たちも大切な人たちも殺して。
その上で、大切な人たちや善良な人たちだけ生き返らせてもらえばいいのだ。
螺旋王のおじさまは、それをとても容易くできるのだから。
そして、自分は容易く誰かを殺せるのだから。

最早悩む必要などない。
そうと決まったとたん、様々な選択肢が彼女の脳裏に閃いていく。

自分が直接誰かを殺すのは簡単だ、先ほどのようにやれば良いだけなのだから。
ただ、誰にも見られないように注意しないといけない。変な噂を広められたら誰にもかくまってもらえなくなる。
そう、誰か強い人に取り入ってもいいのだ。その人に全ての相手を殺してもらえば楽だろう。
じゃあ、どうやってその人を意のままに操るか。
自分はか弱い少女なのだから、保護対象として守ってもらってもいい。
その上で怖い人や自分の邪魔をする人が来たら、言葉巧みに泣きつけばどうにでもなる。

かくまう代わりに報酬を要求されたらどうだろう?
……それも単純だ。
自分は女だ。それを最大限に利用すればいい。
なにせ、何一つなくしても自分の体だけはただで使えるのだ。
うまく使えばこれ以上ない程有効な上に失うものはない。
相手が男ならば、抱かせてやればホイホイ言う事を聞く様になってもおかしくないだろう。
運がよければ惚れさせることだってできる可能性すらある。
そうなればとても扱いやすい手駒になってくれる。
パズーに何故か罪悪感を抱くけど、それも彼を生き返らせるためなのだ。
体を誰かに委ねる抵抗は全くない。
生死だってあんなに軽いものなのだ、体一つの価値なんて考えることすら時間の無駄でしかない。


今や、彼女の目の前には無限の可能性が広がっているのだ。
リュシータ・トエル・ウル・ラピュタは感涙に打ち震える。その素晴らしさに。



――――ああ、世界ってなんて広いんでしょう!



高潔な信念を微塵まで砕かれた少女の堕ち行く永い旅路は、今まさに始まったばかりである。


【C-7南部/路上/1日目・夜中】
【シータ@天空の城ラピュタ】
[状態]:疲労(大)、倫理観及び道徳観念の崩壊、右肩に痺れる様な痛み(動かす分には問題無し)、令呪(使用中・残り持続時間約6時間) 、おさげ喪失
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式 (食糧:食パン六枚切り三斤、ミネラルウォーター500ml 2本)、びしょ濡れのかがみの制服
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃(残弾0/6)@トライガン、暗視スコープ、音楽CD(自殺交響曲「楽園」@R.O.Dシリーズ)
    士郎となつきと千里の支給品一式
[思考]
基本:自分の外見を利用して、邪魔者は手段を念入りに選んだ上で始末する。優勝して自分の大切な人たちを生き返らせる。
0:くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす。
1:自分の手でアシがつかずに殺せる人間は殺す。
2:自分の手に負えないものは他人に殺させる。
3:気に入った人間はとりあえず生かす。ゲームの最後に殺した上で、生き返らせる。
4:恩人の言峰は一番最後に殺してあげる。
5:使えそうな人間は抱きこむ。その際には口でも体でも何でも用いて篭絡する。
[備考]
※マオがつかさを埋葬したものだと、多少疑いつつも信じています。
※マオをラピュタの王族かもしれないと思っています。
※令呪は、膨大な魔力の塊です。単体で行使できる術はパスを繋いだサーヴァントに対する命令のみですが、
 本人が術を編むか礼装を用いることで、魔術を扱うにおいて強力な補助となります。 ただし使えるのは一度限り。
 扱い切れなければ反動でダメージを負う可能性があります。人体移植された魔力量が桁違いのカートリッジと認識してください。
 効果の高さは命令実行に要する時間に反比例します。
※令呪への命令は『ストラーダを運用するための魔力を供給せよ』です。
 ストラーダ以外の魔力を要求するアイテムには魔力は供給されません。
 持続時間は今後の魔法の使用頻度次第で減少する可能性があります。
※バリアジャケットのモデルはカリオスト○の城のク○リスの白いドレスですが、リアクティブパージにより喪失しています。再構成は可能です。
※言峰から言伝でストラーダの性能の説明を受けています。ストラーダ使用による体への負担は少しはあるようですが、今のところは大丈夫のようです。
※エドがパソコンで何をやっていたのかは正確には把握してません。
※第三回放送を聞き逃しました。
※価値観が崩壊しましたが、判断力は失っていません。
※かがみを殺したと思っていますが、当人の顔は確認していません。
※言峰との麻婆豆腐の約束はすっかり忘れ去っています。


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221:病ん坊麻婆転機予報(前編) シータ 229:王女の宅急便(前編)
221:病ん坊麻婆転機予報(前編) ニコラス・D・ウルフウッド 236:やろうぜ、バトルロワイアル!(後編)
221:病ん坊麻婆転機予報(前編) 柊かがみ 236:やろうぜ、バトルロワイアル!(後編)
221:病ん坊麻婆転機予報(前編) 言峰綺礼 238:ディナータイムの時間だよ(食前)
221:病ん坊麻婆転機予報(前編) 衝撃のアルベルト 238:ディナータイムの時間だよ(食前)





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