太陽がまた輝くとき  ◆DNdG5hiFT6



ゆたかが引き返したのは、歩き出した直後、北の方で大きな音がしたからだ。。
舞衣のことがどうしても心配になり、迷った末にUターンしたが消防車はもぬけの殻。
その直後、更に北で大きな物音がする。
それがあのDボゥイとシンヤの戦いを見ていたゆたかは悟る。
それが戦いの音である、と。
だが意を決してゆたかは戦いの最中へ足を進める。
もう二度とイリヤの時のようなことはイヤだったから。

最初はシンヤや最初に会った指を鳴らす人みたいに怖いくて強い人が暴れているのだろうとおもっていた。
だが遠目に見えたのは、探していた、結局最後まで残った知り合いの姿が暴れる姿だった。
そしてその場に辿り着いた先で見たのは倒れている女の子に向かって、光る剣を構える柊かがみの姿だった。
それが誤解であればかがみが何か申し開きをしてくれるはずだ。
だがかがみは気まずそうに視線を伏せただけ。
それでゆたかはかがみが何をしていたのか理解した。
だが何故、何で、どうして? その心は激しく動揺する。

「ゆたかちゃん……久しぶりね」

一方でかがみの心は落ち着きを取り戻していた。
その事実に自分でちょっとがっかりした。
“柊かがみ”はもう少し動揺するものだと思ってたから。
“不死身の柊かがみ”はどうやら心も化物に成り果てたらしい。
ゆたかちゃんはいま、どんな顔をしているのだろう。
やっぱり泣きそうな顔をしているのだろうか?
つかさに負けず劣らずの怖がりだもんね。

「……はい、お久しぶりです」

でも、帰ってきたのはしっかりとした返事。
思わず上げた顔に映ったのは強い意志を秘めた、顔。

そこで気付く。
驚きのせいか、いつの間にか殺人衝動は鳴りを潜めている。
ああ、都合がいい。
ゆたかちゃんを傷つけないうちにさっさとこの場を立ち去ろう。


「ど、どこへ行くんですか、かがみ先輩!」

慌てて止めようとするゆたかちゃん。
ああ、やっぱり理由を見せないと納得してくれないよね。

「ゆたかちゃん、私……こんなになっちゃった」

剣を振るい、ゆたかの目の前で腕を切り落としてみせる。
あまりの行動に目を見開くゆたかの前で、切り落とされた手はビデオの逆再生のように撒き戻されていく。
脅かすのはコレぐらいで十分か。あんまり怖がらせるのもいけないしディパックに剣をしまってしまおう。

「……わかったでしょ? もう私は化物で……元の世界に戻れないの。
 でも安心して、ゆたかちゃんは何としても返してあげるから」

コレで終わり。
これだけやればゆたかちゃんだって納得して、怖がってくれるだろう。
だって誰だって化物には近づきたくないもの。
だがそんなかがみの思惑に反して、ゆたかはかがみに向かって一歩踏み出した。
そして、信じられないことを口にする。

「かがみ先輩――私、人を殺しました」
「え……」

一瞬、ゆたかが何を言ったのか理解できなかった。
それも当然だろう。
かがみの知るゆたかは人殺しとは一番遠い彼方にいるような娘なのだから。
先ほどとは比べ物にならないぐらい動揺するかがみを前に、ゆたかはまた一歩踏み出す。

「いろいろあって、全部がイヤになって……優しくしてくれた人を殺してしまいました」

そして一歩。

「そんな自分がイヤになってイヤになって……でも、そんな私を助けてくれた人がいるんです」

また一歩。

「だから……私決めたんです。罪を背負いながら、胸を張って生きようって」

言葉を発しながら、かがみに向かって歩みを進める。

「私の罪は絶対許されないけれど、それでも前に進もうって」

そして互いの手が届きあう距離で、なおもゆたかは言葉を紡ぐ。

「だから……帰ろう、かがみ先輩。あの世界に……あの場所に」

そしてゆたかはかがみに向かって小さなその手を差し出した。

その瞬間、かがみの両目から涙が溢れ出した。
ああ、ゆたかちゃんは本当に優しい子だ。
あの化物みたいな私を見ても、この娘はまだ私を“柊かがみ”だと言ってくれる。
知り合いの“柊かがみ”だと認めてくれている。
それは今のかがみにとって何よりも嬉しいことだった。

そしてその優しさは少女の決意を揺らしてしまう。
すべてを終わらせたあとはアルベルトの世界に行って、その遺志を継いでBF団に加入し、終わりの無い戦いに身を任せるつもりだった。
でも、元の世界に、あの優しい世界に帰れるとしたら?
こんなになってしまった自分を受け入れてくれるとしたら?
それは柊かがみが心のどこかで常に望んでいたこと。
弱い少女の心は、かすかに見えた希望に揺れる。

だが――

『そうそう都合のイイことがあるなんてよぉ……思って無いよなぁ?』

「え――」

その時、自分の中からあの声が響いてきた。

そういえば、さっきから妙に視界が広い。
ふと見下ろした足元に落ちているのは……衝撃のアルベルトのアイパッチ。
もしかして度重なる戦いの衝撃で落ちてしまったのか。
でも私は確かに制御できて――

『オイオイオイあんまりお兄さんを舐めちゃいけねぇなぁ……かがみちゃんよぉ!?』

その言葉どおり、さっきとは比べ物にならない殺意があふれ出す。
キャンバスに黒い絵の具をぶちまけたかのように、心が闇色へと一気に染め上げられていく。

「かがみ、せんぱい?」

心配そうな顔をしたゆたかが近づいてくる。

――ダメ、逃げて。

だが想いはむなしく、柊かがみの意思とは関係なく手が伸び、その白く細い首に手をかけた。

「かが……み……せんぱい……!?」

驚く少女を片手で吊り上げ、かがみは笑う。

「お前、死なないって思ったろ? 思ってたよなぁ?
 知り合いに殺されるなんて……ちっとも考えてなかっただろ? なぁ、ゆたかちゃんよぉ?」


その時、少女の危機を察したフリードリヒが反射的にかがみに飛び掛る。
だがゆたかを盾代わりにするとその突撃が弱まる。
その隙にストレートを叩き込むと白い龍の小さな体は民家へと吸い込まれて行った。

「テメェっ!!」

スパイクも飛び掛る。
だがその体には確実に先程まで受け続けたダメージが蓄積され、精彩を欠いている。
そんな動きが殺人狂に通用するはずも無く、蹴り一つで吹き飛ばされてしまう。
そしてかがみはなおもその首を締め上げ続けながら、哂う。

「そうそう、そう言えば、お前タカヤくんの知り合いだったよな!
 お前が死んだらタカヤくんはなんて思うだろーなぁ?
 あ、やっべ! それすげぇ楽しそうじゃんかよ!」

ゆたかは朦朧とする意識の中でその声を聞き、一つの確信を得る。

――この人はかがみ先輩なんかじゃない。

確かに姿は同じだし、さっきまでは確かに柊かがみ先輩だった。
でも今は違う。
笑いながら、私の首を絞めているこの人はかがみ先輩なんかじゃない。
だってゆたかの知る柊かがみは優しくて頼りがいのある先輩だ。
笑いながら人を傷つける――そんな人を柊かがみと認めたくない、認めちゃいけない。
優しかった先輩は、お姉ちゃんが好きだったかがみ先輩は……そんな人じゃない!

「あな……た……は……ちが……う……。あな……たは、だ……れ?
 かが……みせ……んぱいの……中に……いる……あな……た……は……だあ……れ……?」

だがその息も絶え絶えの問いかけに“かがみ”は不機嫌そうな表情を返す。

「オイオイ、問いかけだけで抵抗しねえのかよ?
 じゃあ死ぬか? 悔やみながら! 絶望しながら! あのシンヤくんみたいによぉ!?」
「!!」

その名前に朦朧としていた意識が覚醒する。

『……すまない。本当に、すまない。
 あの時俺がもっとうまく立ち回っていれば、彼を殺させずに済んだのかもしれない』

いつかの清麿の言葉がリフレインする。
そう、少女は知っている。あの人を。相羽シンヤを殺した人間の名を。
故に理解する。柊かがみの中にいるヒトの正体を。

「あ……あな……たが……ラッド……さん?」

やはり応えるように口の端を吊り上げる。
何故かは知らない。でも、かがみの中にラッドという殺人鬼がいるのだとゆたかは確信した。
怖い。怖い、怖い。首にかけられた手にゆっくりと力が加わって、迫り来る死を否応なく実感させる。
死ぬのは怖い。いつだって、どんな時だって。
でも、それでも……今、私には言わなきゃいけないことがある。

「ま……せ……」
「ん?」

何を言っているのか、と不思議そうに見上げた“かがみ”の瞳をしっかりと睨みつけ、
彼女は普段出さない大声を腹の底から張り上げる。

「あなたに……なんか……負けません! 私も……かがみ先輩も!」

それは、宣戦布告。
殺人狂を前にして、優しい彼女が今までもち得なかった獰猛な意志を用いて。
少女はラッドを“敵”として睨み付けた。

……少女はかつて求めた。
差し伸べた手を、振り払えるだけの強さを。
自分の力で立ち上がって、笑い返せるような強さを。
そうありたいと願ったから。そうありたいと誓ったから。

そして今、小早川ゆたかはもう一度立ち上がる。
差し伸べられた手を取らず、自分自身の2本の足だけで。
その両の瞳に燈るのは、今までよりも輝きを増す螺旋の光。

だが今の少女には力が無い。
スパイクやジンのような体術に優れているわけでも、奈緒のようにチャイルドを呼べるわけでもない。
そしてかつて素晴らしきヒィッツカラルドの腕を貫いたコアドリルもない。
だったら彼女の武器は何?
首に手をかけられて、それでも自分が出来ることは何?
そんなの、たった一つしかないじゃないか。

「負けないで、かがみ先輩……!」

そうだ。
何を迷っていたんだろう。
何を悲しんでいたんだろう。
前に自分でも言っていたじゃないか。
弱くて小さい“小早川ゆたか”が出来るのはたった一つ。
誰かを信じること、ただそれだけしか出来ないのだ。
それが私の持つ唯一の武器だったんじゃないのか。
少女が絶望の果てに得たのは、ただ、それだけだった。

「あーあ、つまんねえな、オイ」

そう言うかがみの目からは、表情とは無関係に涙が流れ出している。
それは柊かがみの必死の抵抗の証。
だがそれでもラッド・ルッソの狂った意志は強い。
殺人欲とでもいうべき嵐の前に小娘一人の意思は容赦なく叩き潰される。

「あぐっ……!?」

力が篭り、強く頚部を圧迫する。
今までゆたかの息が続いていたのは、“ラッド”が少女の抵抗を望み手加減をしていたからに他ならない。
それでも少女は生を諦めない。
かがみを信じると言った、その言葉に嘘にしたくないから。
でもスパイクも、ジンも、舞衣も、奈緒も倒れている。
その場の誰も動けない。だからここにあるのは一つの悲しい結末。
骨がミシリと音を立てて、無力で愚かな少女はその命を終える。
それは覆らない、誰も救えない悲しい結末





――そのはずだった。

「クエエエエエッ!!」

瓦礫の中から白い龍が弾丸のように飛び出さなければ、それは現実となっていただろう。

そう、あの時の少女の声は瓦礫の中で気絶していた竜にも届いていたのだ。
そして目を覚ました竜が見たのは吊り上げられた少女の姿。
あの幼き主もこのような理不尽な暴力に晒され、死んだのか。
それはわからない。だが主の死を知り、檻の中で延々と暴れまわっていた時とは違う。
今は抗えば届くのだ。そのことを思えば――これしきの痛みなど何するものか!!

飛び出したフリードリヒは左腕に噛み付き、そのまま全力を持って噛み千切る。
すぐに再生されるとはいえ、腕は落ち、少女は暴力から解放された。

「ガフッ、ゲホッ、エホッ……」

開放されたゆたかは激しくえづく。
だがその苦しさも、痛みも、すべては生きているから。
竜は守った。今度こそ、小早川ゆたかという命を。
そしてその命を守るように、小さな使役竜は翼を広げ、最大級の威嚇を行う。
もう二度と失いたくないと願うが故に、小さな龍は怒りを露にする!

だがその抵抗こそかがみの中の“ラッド”の望むもの。
千切れた腕がくっついたのを確認しながら、白い龍を敵と認めて一歩前に踏み出した。

「うああああああああっ!!」

だが更に響いた声は民家の中から。
シーツを巻き直した少女が槍を携え、殺人鬼に向けて一直線に飛び出す!
舞衣が持つのは英雄クー・フーリンの宝具である因果逆転の槍。
だが制限下のここでは精々たった一回、槍の軌道を変化させる程度の力しか持たない。
故にそれでは届かない。
螺旋力で向上した身体能力と殺人狂の技を併せ持つ、“不死身の柊かがみ”には届かない。
だが、

「――刺し穿つ(ゲイ)」

その殺意をすべて目の前のフリードリヒに注いでいる今ならば話は別だ。
制限がかかっているとはいえ、槍の力は呪いの領域にまで達している自動追尾!

「死棘の槍(ボルグ)!!」

真名開放と共に放たれる突きは、直角の起動を持ってその肉体に突き刺さる。
どすりと言う肉を突き破る感触が、かがみの体と舞衣の両手に伝わる。
真紅の槍は深々とその腹部に突き刺さり、どう見ても重傷だ。
だが――その一撃を見て、“不死身の柊かがみ”は哂う。

「オイオイオイ、この程度で“殺った!”なんて自惚れてんじゃねえだろうな――舞衣ちゃんよぉ!?」

そう、普通の人間なら重症――だが不死者は制限下においても驚異的な再生力を持つ
即死でなければ傷は巻き戻る。
不死者を殺すには頭か心臓かを破壊するしかない。

「思ってるわけ、無いでしょ!!」

だが、そんなことは舞衣にだって分かっている。
身長157cmの鴇羽舞衣の体重をかけた一突きは、163cmと大して体格の変わらない柊かがみの体を宙に浮かせる。
そして吹き飛ばされたかがみの体は地面を無様に転がっていく。

だが――それでもかがみは笑っていた。

ああ、テンションがイイ感じに上がってきた。
思い上がったやつを殺すのもいいが、必死に抵抗するやつを殺すのもそれはそれで趣がある。
瞬時に甦り、再び意識が戻る。
再生と共に体外に排出されていく槍を掴み、なおも“かがみ”は笑い声を上げる。
「おもしれえ! やっぱ面白れえよお前ら!
 だからよ、全員徹底的に殺して――」
「悪いけど、そうはさせないよ」

だが、赤い槍は誰の持ち物だったか。
それを知っていれば自然とあの男も意識を取り戻しているということに思い当たれただろう。
舞衣は役目を果たした。注意をそらすための囮の役目、そして体勢を崩すと先駆けの役目を。

「さぁもう朝だ! 悪霊はお休みの時間だぜ、ラッド!」

不意を突いて放たれた夜刀神。
舞衣の一撃で体勢を崩した状態ではいかな殺人狂と言えどかわしきれるものではない。
黒い刃は吸い込まれるように、あっさりとかがみの右目に付き刺さる。
しかし柊かがみは刃物による瞳への攻撃などもう何回も受けた。
ダメージもほとんどなく瞬時に再生される。
だが、

「あ―――」

かがみの動きが止まる。
片目を潰された状態は、言い換えるなら視界を半分ふさがれた状態。
そう、それは眼帯をつけたのと同じ視界になることを意味する。
ジンはさっきの行動だけで。眼帯の付けはずしがスイッチになっていることを見破った。
故にその目を狙った。ゆたかの言うとおり“かがみ”という少女の意思にかけて。

そして必死で抵抗していたかがみは一瞬だけ表に出れる。
だが一瞬で十分。落ちていたアイパッチを拾い、慌てて片目に取り付ける。
だが正気に戻ろうとしたことは、罪を突きつけられることと同義。
その手に残るのは守るべきはずの少女の命を奪おうとした最悪の、感触。

「い……やあああああああああああああああっ!!?」

そしてかがみは絶叫を残し、後にした。
少し前のゆたかのように、罪から逃げるようにして。

「まっ…エホッ…て、かが……み…ケホッ…せんぱ……」

咳き込みながら手を伸ばすが届かない。
ローラーブーツをはいた少女はスピードを上げて視界から消えていく。
ただ、それでも、叫ばなければいけない言葉があった。

「かがみ先輩、必ず、助けます! だから……待ってて! 一緒に……一緒に帰ろう!」

方法も、何も分からないけれど。助けるって、そう決めたから。
その声が届いたかはわからない。それでもゆたかは確かに叫んだ。
そしてなけなしの酸素を吐き出した小さな体は崩れ落ち、だが、やさしく受け止められる。


「ゆたか、大丈夫!?」

覗き込むのは新しい友達である鴇羽舞衣。
心配そうな顔に、精一杯の笑顔で無事を伝える。

「どうやら……そっちも大丈夫みたいだね。こっちの彼女も大丈夫みたいだ」

気絶した奈緒を抱えてジンがやってくる。
だが抱えられた少女を見て、舞衣は驚きを隠せない。

「結城さん!」
「舞衣の知り合い?
 ああ、大丈夫だよ。ボロボロだけど命に別状は無いみたいだ。
 それにしてもタフだね」
「タフなのはお前も一緒だろうが、ジン。
 ったくどいつもこいつもガキの癖して……ダメージ慣れしてやがるぜ、ホント」

地面に倒れていたスパイクも腹を押さえながら、やってくる。
舞衣が、スパイクが、ジンが、ゆたかの元へと集う。
抱えられた奈緒を含めて、全員がボロボロで、でも確かに生きている。

「さて、これからどうする?」
「とりあえず休憩を取らんといかんだろ。
 そこのガキも、全員細かい傷があるみたいだしな。色々考えることはあるが……全部はそれからだ」

そしてこんな状況でも動こうとしている。
ここから脱出するために。
そう、まるであの人たちみたいに。

「皆さん……お願いがあるんです」

全員の視線がゆたかに集う。
明智さん、ねねね先生、清麿君、私は償う方法を知りません。
だから――

「私は弱くて、何の力もありません。何も出来ません」

受け継ぎます。その戦い方を。

「でも、この戦いを止めたい。みんなで帰りたい……」

受け継ぎます。その強い心を。

「だから力を……貸してください。お願いします」

弱い私はこんな方法でしか、返せそうにないです。
だから見ていてください。
わたしが地獄に落ちちゃうその時まで。

だからゆたかは頭を下げる。
他に方法を知らないから。
そしてそのまま数秒がたって答えが無いのを不安に思ったゆたかは頭を上げる。
そこにあったのは三者三様の、笑顔。

「そんなの、当然でしょ?
 言ったでしょ、私たちは生きるって決めたんだから」

舞衣が満面の笑みで応える。

「螺旋王御退位記念パーティーの参加者は随時受付中さ」

ジンがおどけたような笑顔で応える。

「そうだな、螺旋王様にはジェットの分とエドの分、リードマンの分、カレンの分……
 何より俺の腕のツケを纏めて払ってもらわなけりゃいけないからな」

スパイクが落ち着いた笑みで応える。

「クェ!」

最後にフリードリヒが存在を主張するように声を上げる。

その優しさにゆたかの心は満たされ、涙が溢れそうになる。
でも少し涙をこらえて、ちょっとわがままを言うことにした。
そして今から付け足すのは、ゆたかにとって大事なわがまま。

「それと……わたしはかがみ先輩を助けたいんです。
 あつかましいお願いだってことは分かってます
 でも……」

ゆたかは知っている。
ここにいる全員がボロボロなのはさっき、かがみ先輩にやられたから。
だから本来なら頼めた義理じゃないことも分かっている。
でも、それでも、

――みんなで、帰りたい

それがゆたかが手に入れた、たった一つの確かな願いだから。
そのために柊かがみは外すことの出来ないピースだから。
だからまた頭を下げようとして、優しい手に、邪魔される。

「わかってる――かがみさんを、助けましょ?」
「俺としちゃ、色々複雑なんだがな……」
「そう言うなってスパイク。“ラブ&ピース”の言葉が泣くぜ?」

ラブ&ピース。愛と平和。
この血なまぐさい場所ではきっと横滑りしてしまうもの。
でも私はそれを信じたい。
それはきっとこの人たちも――

「あ……」

そして舞衣ちゃんが声を上げる。
その目が向かう先にあったのは朝日の姿。東の地平線から朝日が昇る。
ああ、人の心と同じだ。
どれだけ暗い闇だって、きっと朝は来る。
今ならそう信じることが出来る。

だから私たちは誰も何も言わずにその光景を見ていた。
その光がとても得がたい物だって、みんな知っていたから。

……そのままどれだけの時間そうしていただろう。
実際は数分も無かったに違いないけれど、スパイクさんが思い出したように『あ』と声を上げた。

「? どうしたんですかスパイクさん」
「いや、ちょっと頼まれごとをしていたのを思い出してな。
 誰かDボゥイってヤツの居場所を知らないか?」
「「Dボゥイ(さん)!?」」

自分と同時に声を上げたのはさっき出来たばかりの新しい友達。
もう一人の恋する乙女。

「「え……?」」

互いに絡み合う視線。
そして瞬時に2人の乙女は理解する。
自分と、想い人と、新しく出来た友人の立ち位置を。


三角関係(エターナル・トライアングル)。


嗚呼、それは乙女の、一大事。


【C-5/住宅街/二日目/早朝】

【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:発熱(中)、疲労(大)、心労(中)、罪悪感、螺旋力覚醒
[装備]:フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:なし
[思考]
基本-みんなで帰る
0:舞衣ちゃん、もしかして……
1:Dボゥイのところへ戻る
2:かがみをラッドから助け出す

[備考]
※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。
※再び螺旋力が表に出てきました。 
※刑務所にいた面々(明智、清麿、ねねね)を自分が殺してしまったと考えています。
※Dボゥイの肉体崩壊の可能性に気がつきました。
※舞衣との会話を通じて、少し罪悪感が晴れました。

【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)、全身に切り傷
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING(刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
    予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿、
    短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
    ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
    デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!
    [思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:とりあえずこの場にいる全員と情報交換(特にゆたかと)
1:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
2:ニアに疑心暗鬼。
3:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
4:マタタビ殺害事件の真相について考える。
5:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
※舞衣と情報交換を行いました



【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、引っ張られた頬、首輪なし、全身に軽い切り傷
[装備]:薄手のシーツ、 ゲイボルク@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:
0:ゆたかってもしかして……
1:Dボゥイに会いたい。
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒
※ジンと情報交換を行いました


【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:疲労(大)、心労(大)、左腕から手の先が欠損(止血の応急手当はしましたが、再び出血する可能性があります)
    左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし) 、腹部に未だ激しい痛み
[装備]:ジェリコ941改(残弾3/16)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
    スコップ、ライター、ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、太陽石&風水羅盤@カウボーイビバップ、
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実
    日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、レーダー(破損)@アニロワオリジナル
    ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿、
    水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
    テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード

[思考]
0:……何やってんだ、あいつは
1:とりあえず情報交換を行う。
2:ウルフウッドを探す(見つけたあとどうするかは保留)
3:カミナを探し、その後、図書館を目指す。
4:ルルーシュと合流した場合、警戒しつつも守りきる。
5:テッククリスタルは入手したが、かがみが持ってたことに疑問。対処法は状況次第。
6:全部が終わったら死んだ仲間たちの墓を立てて、そこに酒をかける。
[備考]
※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。
 (周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません)
※清麿メモの内容について把握しました。 会場のループについても認識しています。
※ドモン、Dボゥイ(これまでの顛末とラダムも含む)、ヴァッシュ、ウルフウッドと情報交換を行いました。
※カグツチと清姫は見ていますが、静留が近くにいるかどうかについては半信半疑です。
※シータの情報は『ウルフウッドに襲われるまで』と『ロボットに出会ってから』の間が抜けています。
※シータのロボットは飛行、レーザービーム機能持ちであることを確認。

【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:気絶、疲労(特大)、右手打撲、左手に亀裂骨折、力が入らない、全身に打撲、顔面が腫れ上がっている、
    左頬骨骨折、鼻骨骨折、更に更にかがみにトラウマ (少し乗り越えた)、螺旋力覚醒
[装備]:無し
[道具]:黄金の鎧の欠片@Fate/stay night
[思考]
 基本方針:とりあえず死なないように行動。
 0:……
 1:刑務所へ向かう予定だが、黒い球体の正体がわからないので、いつ行こうかちょっと迷ってる。
 2:かがみを乗り越える
 3:静留の動きには警戒しておく。
[備考]:
 ※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
 ※ドモンと情報交換済み。ガンダムについての情報をドモンから得ました。
 ※第2、4回放送はドモンと情報交換したので知っています。
 ※奈緒のバリアジャケットは《破絃の尖晶石》ジュリエット・ナオ・チャン@舞-乙HiME。飛行可能。
 ※不死者についての知識を得ています。
 ※ヴァルセーレの剣で攻撃を受けたため、両手の利きが悪くなっています。回復時期は未定です。
 ※かがみへのトラウマをわずかに乗り越えました

 シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師、
 奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』) 、
 黄金の鎧の欠片@Fate/stay nightが【C-5】のどこかに撒き散らされています。


時系列順に読む


投下順に読む


260:NEXT LEVEL 柊かがみ 260:アンラッキー・スター
260:NEXT LEVEL 小早川ゆたか 266:かしまし~ラブ&ピース・ミーツ・ガール~
260:小娘オーバードライブ(後編) ジン 266:かしまし~ラブ&ピース・ミーツ・ガール~
260:小娘オーバードライブ(後編) 鴇羽舞衣 266:かしまし~ラブ&ピース・ミーツ・ガール~
260:NEXT LEVEL スパイク・スピーゲル 266:かしまし~ラブ&ピース・ミーツ・ガール~
260:NEXT LEVEL 結城奈緒 266:かしまし~ラブ&ピース・ミーツ・ガール~





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