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新たなる輝き! 怒れアレンビー ◆jbLV1y5LEw



 空に現れた二つめの太陽が消えた後も、アレンビーは呆然と空を見上げていた。
 何が起こったのか、見ていたにも関わらず、頭がすぐには理解できなかったのだ。
 やがてその眼前にキールの黒い羽根が一枚、降りてきた。

「キール……、ポルヴォーラ……、そんな……」

 呆然と呟き、その羽根を手にとった。
 そして二人の死へ哀悼を込め、俯く。
 が、次の瞬間、訓練を積んだ身体は無意識に殺気に反応し、回避のために転がっていた。
 一瞬前までアレンビーの身体があった場所を、銃弾が貫く。

「あんたは……さっきの……」

 アレンビーの視線の先には闇を切り取ったような黒衣の男、ビシャスが銃口を向けて立っていた。
 ポロロッカ星云々はともかく、アレンビーはこの殺し合いで自分たちが死ねば現実に戻る、などという戯言は既に信じていない。
 鍛錬によって獲得してきた身体経験が、眼前でのマオやキールの死が、
 何より目の前の男が放つ圧倒的な死のイメージがそれを否定していた。
 ならば、自分はここでむざむざ死ぬわけには行かない。
 今まで完全に相手の存在を忘れていた自分を恥じ、アレンビーは構えを取り直す。
 男は再び引き金を引く。
 今度も何とか避けられたものの、やはり油断できない相手だ。
 ちらりと横目で金田一を見るが、彼は未だへたり込んでいた。

「早く逃げて!」

 そう声をかけてみるが、金田一はぴくりとも動かない。
 涙の痕をぬぐうこともせず、ぼんやりとアレンビーを見返している。
 その空虚な瞳に、アレンビーは方針を変更した。

(やっぱり……、ここはあたしが何とかするしかないか!)

 金田一に逃走する意思も加勢する意思もない以上、自分一人でこの男を撃退する以外ない。
 アレンビーは未だ一言も漏らさずこちらへ殺意だけをぶつけて来る男へ踏み出す。

 が、その時、黒衣の男は銃口をアレンビーから外し、金田一に向けた。
 銃口を向けられても、やはり金田一は動かない。
 無気力な視線を銃口にやっただけだ。
 代わりにアレンビーが瞬時に金田一と男の間に身体を割り込ませる。
 次の瞬間、銃弾はアレンビーの右の腿をかすめ、その肉を抉ると軌道を変えた。

「なっ!?」

 金田一の驚きの声を背中に聞きながら、アレンビーは歯を食いしばり、衝撃をやり過ごす。

「ッ! 何て奴……ッ!」

 仮に割り込まなければ金田一の頭には先ほどのマオのように風穴が開いていただろう。
 男が銃弾を放ったタイミングは完全にアレンビーが割り込むことを予想しての一撃だった。
 アレンビーが想像する以上に男は殺し合いという、非情な行為に慣れているのだ。
 脳裏に金田一を抱えての逃走という選択肢が浮かぶが、瞬時に打ち消す。
 背中を見せた瞬間、アレンビーは頭を撃ち抜かれて死ぬことになるだろう。
 瞬時に決断し、黒衣の男に向かって全力で駆け出す。
 足や肩に痛みが走るが、今はそれに構っている場合ではない。
 額に飛んできた銃弾をかろうじてかわし、金田一に当たる弾道の弾はうまく動かない左腕で受け、距離を詰めていく。
 その速度に、ビシャスは銃では仕留め切れないと判断し、銃の代わりに鉄パイプを構える。
 あっという間に肉薄したアレンビーの拳が、ビシャスの鉄パイプとぶつかる。
 二人の命を賭けた戦いが始まった。


 ■


 ビシャスとアレンビー、二人は目まぐるしく攻防を入れ替え、場所をずらしながら戦っていた。

(こいつ……いったい何なの!?)

 戦い始めてすぐ、アレンビーは目の前の男の異常さに気が付いた。
 格闘とは一種のコミュニケーションであり、時にそれは言葉以上に相手の性格や感情を現れる。
 だが、ビシャスからはほとんどそれが見えない。
 アレンビーの攻撃にも感情の揺れを見せず、ひたすら圧倒的で冷たい殺意と共に、こちらへ致命傷を与えようとしてくる。
 バーサーカーシステムに操られている時のアレンビー自身にも似た容赦のなさだが、目の前の男の冷静さは何ら精神操作を受けていないことは明らかだ。
 どれだけの修羅場を潜ってくればこんな人間が出来上がるのか。
 殺し合いという特殊な状況下において、ビシャスはアレンビーよりも遥か先を行っていた。

 とはいえ、アレンビーは一流のガンダムファイターである。
 本来の得意武器である刀を持っているならまだしも、バランスの悪い鉄パイプで戦うビシャスに負けるものではない。
 だが、それは万全の状態である場合の話で、身体に刻まれた三発の被弾によるダメージはアレンビーから身体のキレを削いでいた。
 左腕はほとんど使えないことに加え、拳や蹴りを使い、心拍数が上がるにつれて傷から血があふれ、アレンビーの体力を奪う。

(早めに決着を付けないと!)

 精神を研ぎ澄まし、振り下ろされる鉄パイプの一撃を右手で掴み、同時にビシャスの腹に蹴りを叩き込む。

「グッ!?」

 低い呻きと共に、鉄パイプが空を舞い、ビシャスが地に倒れた。

「これで!!」

 勝利を確信したアレンビーは勝負を決めるべく踏み込む。
 その刹那、アレンビーは見た。
 ビシャスの右手が地面に転がっていたデイバックから突き出た剣の柄を握っているのを。
 とっさに身体をひねるが、踏み込んでいた身体は突き出される剣を避けることができず、少女の脇腹に冷たい感触が差し込まれていく。
 鮮血が舞った。

「う……ああっ!」
「形勢逆転だ……」

 脇腹を押さえて膝を突くアレンビーを見下ろし、ビシャスはその首に剣を突き付けた。
 ビシャスとアレンビーのこの場における最大の差。
 それは周囲の状況を十分に確認できたかどうかにあった。
 いち早く態勢を立て直したビシャスには、爆風で飛ばされたデイバックとその中の剣の場所を確認する余裕があった。
 しかし、茫然自失からビシャスの襲撃を受けたアレンビーにそこまでの余裕はない。
 結果、彼女はビシャスの誘導に乗って武器を弾き、隙を作ることになってしまったのだ。

「死ね……!」

 アレンビーの首を刎ねようと、ビシャスが剣を持つ手に力を込める。

「やめろぉーーーーッ!」

 その時、ビシャスも、アレンビーも予想していなかった第三者の声が響いた。
 すなわち、金田一一の声を。


 ■


 金田一の心は無力感と絶望感によって腐食していた。
 マオに再び襲われ、アレンビーが撃たれ、逆襲し、キールがポルヴォーラを抱えて爆散した時も、何一つ行動を起こせなかった。
 自分には何一つ、できることはない。
 アレンビーに逃げるように言われた時もそのどうしようもない無力感に心を委ねていただけだった。
 だが、アレンビーがその間に割って入って彼を助け、そして黒衣の男に追い詰められたのを見たとき、彼は気がつけば行動していた。

 それが勇気と呼ばれるものか、金田一自身にも分らない。
 勇気はマオによって粉々に砕かれた。
 探偵の誇りは風浦可符香を見殺しにした時に自ら手放した。
 あるいは、その二つの最後の残り香だったかも知れない。
 もしくは、風浦可符香を見殺しにした失敗を繰り返したくなかっただけかもしれない。
 ひょっとすると、自分を助けに来てくれた人を失いたくない、という利己的な心情だったかも知れない。

 動機はどうあれ、金田一は叫び、手にした大砲を撃っていた。
 それでもビシャス本人を狙うことはできず、脇を通り抜けた砲弾は彼の背後にあったガードレールを爆発させ、煙を立ち昇らせる。
 その爆発によってできた欠片と、爆風に押されてビシャスは態勢を崩し、アレンビーから離れた。
 だが、すぐさま態勢を立て直すと銃を抜き、次の弾を込めようとしていた金田一に狙いをつけると、続けざまに引き金を引いた。
 一発目は金田一の右手に当たり、大砲を取り落とさせる。
 二発目は左肩に当たり、持っていた砲弾を取り落とさせる。
 三発目は胸に当たり、金田一の身体を地面に打ちつけた。

 金田一が倒れたことを確認し、ビシャスはアレンビーに向きなおる。
 だが、肩を撃たれ、腹を刺され、戦闘力を奪われたはず女はそこにはいなかった。
 周囲を見渡すビシャスの耳に、地の底から響くような声が届いた。

 ■


「許さない……!」

 それは理不尽への怒りの声だった。
 力がありながらキールを、ポルヴォーラを、金田一を助けられなかった自分への怒り。
 他人の命を平然と奪うビシャスやマオへの怒り。
 そしてこの殺し合いを開催した螺旋王ロージェノムへの怒り。
 それらは全て、どうしようもないことへの怒りだったはずだった。
 死んだ者は戻らない。
 身体の傷はすぐには治らない。
 いくら怒ろうと、今のアレンビーには何の手も打てないはずだった。
 だが、その理不尽へ抵抗しようとする純粋な怒りと、天をも射抜かんとする決意はアレンビーの身体を螺旋となって駆け巡る。

 ビシャスは煙の向こうに俯いた姿勢のアレンビーを見つけ、その首を落とそうと剣を振るう。
 しかし、その剣はアレンビーの拳によって横から払われた。
 顔をあげたアレンビーの瞳はにじむ涙と、緑色の螺旋によって光っていた。

「あんたみたいな奴らを! 螺旋王を! あたしは絶対に許さない! 必ずみんな倒してやる!!」
「チィッ!」

 舌打ちとともに距離を取ろうと跳躍するビシャスだが、それを遥かに上回る速度でアレンビーが跳ぶ。

「あたしの拳が真っ赤に燃える! あんたを倒せと轟き叫ぶ!!」

 その言葉とともにアレンビーの手が赤と、そして緑に輝く。

「爆熱! ゴッドフィンガー!!」

 放たれた一撃と共に、二つの光は螺旋を描きながらビシャスの腹部に吸い込まれる。
 吹き飛ばされたビシャスの身体はそのまま宙を飛び、高速道路の下に広がる川へと落ちていった。

「逃がさない!」

 その後を追おうとしたアレンビーだったが、その耳が金田一のかすかなうめき声を捉える。
 急いで駆け寄り、抱き起こす。
 その胸は真っ赤に染まっていた。

「一! 大丈夫!?」

 その声に、僅かに金田一が目を開けた。
 アレンビーの顔を見ると、弱弱しく笑みを浮かべる。

「よかった。無事だったんだな……」

 金田一は自分が死んでいくことがはっきりわかった。
 元の場所へ残してきた美雪や両親や友人のこと、ここに呼ばれている剣持や明智や高遠のこと、ここで知り合ったミリアのこと、心残りはたくさんある。
 しかし、奇妙なことだが、死ぬこと自体への恐怖はあまりない。
 代わりに自分を救おうとしてくれたアレンビーが助かったことへの安心感があった。

(少しはじっちゃんに……顔向けできるかな……)

 金田一一は自分の中の正義と勇気を取り戻し、逝った。

【金田一一@金田一少年の事件簿 死亡】

 ■


 アレンビーは動かなくなった金田一を横たえ、胸の上で手を組ませると、その場所から立ち上がった。
 先ほどの黒衣の男はかなり深手を負わせたはずだが、まだ死んではいないだろう。
 あんな危険な連中がうろついている以上、一刻も早く船に向かった仲間たちに合流しなければならない。
 仲間の死は悲しいが、立ち止まっているわけにはいかないのだ。
 落ちていた支給品を拾い上げてまとめ、歩き始める。
 だが、いくらも行かないうちに、視界がぐにゃりとゆがみ始めた。

「あ……れ?」

 落ちていた支給品の中にあったカウボーイの衣装を引き裂いて止血したとはいえ、
 ビシャスとの戦いによる疲労と失血はアレンビーにすぐさまの行動を許すものではなかった。
 意識を手放さないよう、ゆっくりと慎重に高速道路から降りる。
 今の自分があんな広いところで襲われたら死亡は確実だからだ。
 適当な民家の中に入り、荷物を下ろす。

(こんなところで休んでる場合じゃないのに……)

 心は焦るが、身体はままならない。
 ミリアたちの無事を祈りながら、アレンビーは自分が今すべきことを考えた。
 ただ休むだけでは能がなさすぎる。
 そこでふと、思いついた。

(そういえば荷物に名簿があったけど、まだ見てなかったっけ。お腹も空いたし、何か食べながら確認しようかな……)

 アレンビーはデイバックから名簿と、サンドイッチセットを取り出す。
 名簿に目を通しながら、食事を始めるのだった。


【D-3中部/民家/1日目-夕方】
【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:螺旋力覚醒、疲労(大)、中度の貧血、左肩・左腕・右腿に被弾、右脇腹に刺し傷(全て止血済み)
[装備]:
[道具]:デイバック×6、支給品一式×7、支給品一式(食料-[全国駅弁食べ歩きセット][お茶][サンドイッチセット])
    ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる)、注射器と各種薬剤、拡声器
    ドーラの大砲@天空の城ラピュタ、大砲の弾1発、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING
    リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6) 、予備カートリッジ数12発
    東風のステッキ(残弾率60%)@カウボーイビバップ、マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ
    オドラデクエンジン@王ドロボウJING、アンディの衣装@カウボーイビバップ、緑色の鉱石@天元突破グレンラガン
    エクスカリバー@Fate/stay night、ライダーダガー@Fate/stay night、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION
    鉄扇子@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-、血塗れの制服(※可符香の物)
[思考]
1:名簿を確認しながら食事。行動が可能になるまで休憩する。
2:豪華客船に向かいミリアたちと合流する。
3:仲間を集め、螺旋王からアイザックを救い出す。そして目指せ結婚式!
4:豪華客船へとゲームに乗っていない人間を集める(高遠の伝言)
5:悪いヤツは倒す!(悪くなくとも強い人ならばファイトもしてみたい……)

[備考]
※キールロワイアルのアレンビーver.「ノーベルロワイアル」を習得
※参加者名簿はまだ確認していない
※シュバルツ、東方不敗はすでに亡くなっている人として認識している
※ガッシュ、キール、剣持、アイザック&ミリア、ジェットと情報交換をしました
※高遠を信用できそうな人物と認識しています
※チェスの証言を全面的に信用しています
※無我夢中だったため、螺旋力に気が付いていません


 ■


 地図でいうところのE-2エリア。
 夕日が差し込む海岸に、海から一人の男が上がった。
 海水浴を楽しんでいたわけではないことは、およそ泳ぐのに向いていなさそうな黒装束で分かる。
 何より、その男のまとう気配は海水浴はおろか、あらゆる娯楽と無縁だった。
 アレンビーの一撃によって川にたたき落とされたビシャスである。
 ダメージを負ったビシャスの陸へ戻ろうとする動きと、水の流れがうまくかみ合わず、こんなところまで流されてしまったのだ。

 負けたことに関しては何とも思わない。
 次会った時に別にやり方で殺せばいい、と思うだけだ。
 だが、精神はともかく、肉体はアレンビーから受けたダメージを無視して殺し合いを続けることはできなかった。
 それもそのはずで、後ろに跳躍していたところを追撃を受けたのでなければ、即死しかねない一撃だったのだから。
 氷のような冷静さでそれを把握すると、ビシャスはデイバックの中からレーダーを取り出し、周囲を確認する。
 参加者の反応はあったが、ビシャスはそれを無視してホテルの中へ入って行った。
 次なる殺し合いに備え、休息をとるために。

【E-2/ホテル/1日目-夕方】
【ビシャス@カウボーイビバップ】
[状態]:胴体にダメージ大、疲労(大)
[装備]:日出処の戦士の剣@王ドロボウJING 、ジェリコ941改(残弾7/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実
[道具]:支給品一式、レーダー@アニロワオリジナル、マガジン(9mmパラベラム弾16/16)×1
    UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、防弾チョッキ@現実
[思考]
基本:参加者全員の皆殺し。元の世界に戻ってレッドドラゴンの頂点を目指す。
1:傷の手当てと休憩。
2:皆殺し。
3:武器の補充、刀剣類の獲得。

[備考]
※地図の外に出ればワープするかもしれないと考えています


時系列順で読む


投下順で読む


185:黒き鳥は空を舞う ビシャス 217:グッドナイト、スイートハーツⅣ
185:黒き鳥は空を舞う 金田一一
185:黒き鳥は空を舞う アレンビー・ビアズリー 198:螺旋の力に目覚めた少女




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