**覚悟はいいか? ◆o4xOfDTwjY


夜の闇は未だ色褪せず。空は相変わらずの漆黒を保ち、少し赤みのかかった満月は、この殺し合いにはお似合いの色だった。
その空の下、仲間の為に殺人を決意した男、ロイ・マスタングは新たなる獲物を探している。一面に広がる草原を歩き渡り、駅を目指していた。
彼の世界にモノレールなるものは存在しなかったが、駅というものは存在していた。
駅があるということは、モノレールとは汽車みたいな何かの乗り物だろう、彼はそう考えた。
もしそうだとしたら、移動のために人が集まるのではないだろうか?
人が集まる場所なら、新たな殺しの対象を見つけ出すのに効率が良いし、仲間を見つけるにも効率が良い、のだが…

「私がこんな殺し合いに乗ってると知ったら、あいつらはどういう顔をするだろうか…」

彼としては、仲間には積極的には会いたい気分ではなかった。
自分が殺し合いに乗ってると知れば、ホークアイやエルリック兄弟、そして死んだはずのヒューズも全力で止めるだろう。
もし彼らに会った場合は…

「ふっ… だが、そう簡単に会うこともないだろう」

その答えは保留とした。
今は邪魔者を殺すことを考えていればいい。
イシュヴァール殲滅戦の時のように、淡々と焼き殺せば…
そう考えた瞬間、自らが殺したイシュヴァール人の姿が走馬灯のように浮かぶ。

「いかんいかん。私としたことが。あの時、すでに過ちなど犯しているのだ。覚悟などとっくに出来ている」

そう自分に言い聞かせ、再び彼は歩み始める。

◇◇

F-5エリアの駅の二階。そこにある乗車場のベンチに2人の槍使いは腰を降ろしていた。
モノレールの運行時間を確認したところ、次の北方面行きのモノレールは『3:30着 3:50発』と記されていた。

「あと1時間ぐらいでしょうか…」
「おいおい、長ぇえな…」

静寂が訪れる。気まずい雰囲気になったので、エリオはとっさにランサーに話を持ちかけた。

「あの…、せっかく時間があるんですし、お互いの持つ情報を交換しましょうよ」
「けっ、しゃあねえなあ…」

ランサーはあまり気乗りしている様ではなかったが、二人はこのゲームに参加している知り合いについての詳しい情報や、お互いの世界のことについて話し始めた。

ある程度の情報交換が終わると、エリオは暗視双眼鏡で外の様子を確認する。
北向きの方向に設置された窓から外を見渡す。二つの丸の中の狭いその視界に、一面の野原が映る。
しばらく双眼鏡を左右に動かしながら、可能な限り、外の様子を確かめた。
とくに異常はなし、そう思い双眼鏡から目を離そうとした瞬間、何かが動いているのを確認した。
人だ。どうやらこっちに向かって来ている様子だ。

「ランサーさん、人を発見しました。どうします?」
「あ?そうだな…」

モノレールの到着まで約15分ほど。停車時間は20分もある。その参加者と接触するには十分な時間だろう。

「会ってみる価値はあるだろうな」
「ええ、僕もそう思います。知り合いの可能性もありますし…」

エリオは偽・螺旋剣を手にとり立ち上がる。
一方、ランサーは動かない。渋い表情でエリオを見つめている。

「坊主、俺はさっき言ったよなぁ?殺す殺さないの覚悟はできてんのかって?答えを聞かせてもらおうか?」
「それは…」

エリオは言葉に詰まる。
ランサーに最初にこの質問を問われて、ずっとその答えを探っていた。

「僕はどんな人であろうと殺したくはない。殺し合いに乗ってたって、話し合えばわかる人だっていると思います。でも、もし話してもわからないような人がいるなら…」

エリオの頭の中で大切な仲間の姿が浮かぶ。
それは、年上ながらも同僚として毎日厳しい訓練を一緒に乗り越えてきたスバルとティアナであり、桃色の髪を揺らして優しく微笑みかけるキャロでもあった。
スバルやティアナは頼りになる人だが、人殺しをするような人ではない。
そしてキャロも優しい性格で、絶対に人を殺すようなことはしない。むしろデバイスなしでこの戦いに放り込まれ、今頃震えているのではないだろうか?
エリオは、優しいキャロの未来を血で汚したくなかった。
だから、決意した。
守るためなら、自分が「殺す」という覚悟を背負いこむと。

「殺し合いに乗った相手なら容赦はしません」

エリオの瞳は決意に満ちていた。覚悟を決めた目つきだった。
ランサーはそれを見ると、ニヤリと笑みを浮かべて立ち上がった。デイパックからナイフを取り出し、右手で軽く振る。

「エリオ・モンディアルと言ったな…。なかなか見込みのあるガキだ。今の決意、しっかり胸に刻んどけよ。…じゃねえと、死ぬからな」
「…はいッ!」
「じゃ、行くぞ」


◇◇

草原を歩き続けると、ロイは駅とおぼしき建物を発見した。
そして、その建物から出てきた2人の人間。
周りは見晴らしの良い草原であり、満月による月明かりも手伝って、何百メートルか離れた位置でも2人の姿は確認できた。
ロイはランタンとライターを取り出し、慎重に一歩ずつ歩み始める。

互いの距離は次第に狭まっていく。
そして距離が約10メートルほどに狭まったところで、ロイの攻撃が始まった。
ライターから発火された火が一気に前方へ広がり、エリオとランサーを燃やさんとする。
しかし、槍使いである2人の反応は俊敏であった。
それぞれ左右に跳躍し、襲いくる炎をかわしていた。

「ふっ、かわしたか。だが、今度は逃がさんぞ。覚悟はいいか?私はできてるッ!」

こうして、焔の錬金術師と2人の槍使い、両者の戦いが始まりを告げるのであった。


【F5/駅付近の草原/1日目/黎明】

【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】
[状態]:健康、両方の掌に錬成陣
[装備]:ランタン、拳銃型ライター
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品x2
[思考]
基本思考:知り合い以外の全参加者を殺害、脱出の道を探る。
1.エリオとランサーを殺す。
2.マース・ヒューズを始め、仲間を守る。会った時の対応は未定。
3.それ以外の参加者の殺害。
4.発火布の手袋を探す。


【エリオ・モンディアル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:偽・螺旋剣@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、防水性の紙×10@現実 、暗視双眼鏡@現実
[思考・状況]基本:このゲームの破壊。
1.ロイへの対応、できれば戦いは避けたい。
2.話しても殺し合おうとする人間ならば殺す覚悟。
3.ランサーについていく。
4.仲間と合流。


【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(小)、精神的疲労(小) どちらも戦いには支障のないほどには回復。
[装備]:ハンティングナイフ
[道具]:支給品一式(地図と名簿を除く)、ヴァッシュの手配書(一枚)、
   不明支給品0~2個(槍・デバイスは無い)
[思考・状況]基本:このゲームを管理している奴らとの戦いを愉しませてもらう。
1.ロイへの対応
2.言峰、ギルガメッシュ、ヴァッシュの三人に借りを返す。
 言峰とギルガメッシュは殺す予定(ヴァッシュについては不明)。
3.ゲームに乗った強者と全力の戦いを愉しむ。
4.できればまともな槍が欲しい。
5.ゲームに乗っていない相手でも実力を測るくらいはしたい。まずはエリオと手合わせ。
※参加時期は本編での死後。そのため言峰の令呪は無効化しています。


『モノレールについて』
駅間の移動時間は10分、駅での停車時間は20分。3時間で1往復となっています。


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|045:[[魔法少年ラディカルエリオHeaven's feel]]|ランサー||





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