「『真偽』と『真意』~危うい■■(後編)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「『真偽』と『真意』~危うい■■(後編)」(2022/08/26 (金) 22:43:51) の最新版変更点
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**『真偽』と『真意』~危うい■■(後編) ◆WcYky2B84U
ヴィラルは困惑していた。
あれほど自分を苦しめていた腹部の傷からは、ほとんど痛みが消え去っている。
血も止まり、ただ僅かな傷跡が残っているだけ。流石に完治しているとは言いがたいが、それでも異常な回復速度だ。
これが自分の体質によるもの、つまり螺旋王の改造による物なのかとも一瞬思ったが、予想は外れているようだ。
目の前のシャマルがいつの間にか手につけていた奇妙なグローブ。
そこから発せられた光が自分の傷を包み、痛みを少しずつ和らげていくのをこの目で見た。
ならば、シャマルの持つこのグローブが癒しの力を持っている、という事か?
もしそうなのならば僥倖だ。回復の力を持つ支給品があるのならばそれは非常にアドバンテージになる。
しかし……その他にももう一つの可能性がある。
それは、この回復の能力がシャマル自身の持つ力だという事。
この『実験』の開始を告げられた時のあの場所…見慣れた螺旋王の玉座の間の中に、ヴィラルは他の参加者と共に存在していた。
その時に見た、螺旋王に刃向かい無様に命を散らしたあの男。
あの男は奇妙な水晶を掲げた瞬間にその身に鎧を纏うという、奇妙な力を持っていた。
目の前の女性、シャマルもそれとはまた別の奇妙な力…ヴィラルの予測が正しければ回復の力を持っているのではないか?
だが、もしそうだとすると疑問が生じる。
当たり前の事だが、ヴィラルは『薬などを用いることなく怪我を治す』力が存在することなど知りはしなかった。
獣人として螺旋王に命を賜って後、同じ獣人達の中でもそんな能力を持つ者など見たことが無い。
しかし、シャマルはその奇妙な力をヴィラルの目の前で実際に使って見せた。
それはどういう事だ?
シャマルは獣人には無い能力を持っているという事。
そしてそれは、シャマルが獣人などでは無いという事に繋がるのではないか?
獣人では無いという事は、つまり………彼女は自分と同じく螺旋王に仕える者ではない事になる?
もしそうだとすれば、シャマルは自分の敵だ。
人間ではない事に変わりはないようだが…それでも、この実験の参加者であればこの手で殺さなくてはならない。
今、ヴィラルの手元に武器は無い。しかし相手は非力な女性一人、素手だとしてもすぐに殺せる。
大丈夫だ、その首を絞めてやるだけで済む。力を込めれば引きちぎる事も出来よう。
そうやって、殺せばいい……自分を助けてくれた相手をか?
ズキリと、塞がった筈の傷が痛みを発した気がした。
「今、私が貴方に使ったのは『魔法』と呼ばれる力よ。
私や機動六課に所属する者だけが使える、特殊な力の事を『魔法』と呼ぶの」
シャマルがゆっくりと、ヴィラルに今起きた事の説明を始める。
マホウなど、聞いた事の無い単語だ。やはり……そうなのか。
いや、待てよ。自分は今までキドウロッカという部隊の存在も知らなかった。
ならば、このマホウという能力も、極秘裏に螺旋王が作り出した物なのか?
それとも……キドウロッカの情報自体が、嘘だったのか?
感づかれぬように、自身の体に力を込める。もしも、『その通り』だった時の事を想定して。
「魔法には様々な種類があるわ。今みたいに回復に使われる物だけじゃなく、攻撃の手段としての魔法も存在してる。
まぁ、私が得意としてるのは回復や補助と言ったタイプの魔法なんだけど…」
「随分と、便利な力だ」
「そうでもないわ。まだ、『実験段階』の能力だから問題点も多いの」
思わず、眉を潜めた。
「『実験段階』………?どういう事だ?」
「そうね、まず…ついさっき言ったとおり、魔法というのは私達だけが使える能力よ。
そして私達だけが魔法を使える理由は、私や機動六課の…人間型の獣人が、『魔力』という力を持っているから。
私達は魔力を消費して魔法を実行する。だけど、あまりにも魔法を使いすぎると魔力切れを起こしてしまう。
正直な話、現段階では燃費が悪い能力と言わざるを得ないわ。今の魔法で、私の魔力はもう全体の三分の一ぐらいしか残ってないし」
「成るほど……まだ実用化しているとは言いがたい能力だな」
「機動六課と同じで、つい最近に研究が始まったばかりの能力だから…」
つまり、機動六課の事を知らないヴィラルが魔法を知らなくてもおかしくはない、という事か。
「…今回の『実験』は、私達のこの魔法がどこまで使える物なのかを試す、テスト的な一面もあるわ。
機動六課の人間が、私だけじゃなくて数人参加させられているのもそういった理由から」
「………ああ、大体は理解した」
シャマルに答えながら、ヴィラルは頭の中で手に入れた情報を纏めだす。
獣人達の主力な武装は、言うまでもなくガンメンという機動兵器だ。
ガンメンの兵器としての能力は高い。ヴィラルの持つエンキクラスの性能があれば、単機で小さな村を潰す事も可能である。
だが……性能が高い兵器故に、一つ疑問も残る。
もしも、そのガンメンが人間どもの手に渡ったらどうなるか?
自分達の兵器の強さは自分達がよく知っている。現に一つ、それに似た事例があったではないか。
ヴィラル自身が向かう筈だった、リットナーと呼ばれる村付近にて……人間の一匹がガンメンを奪い取り、一部隊を壊滅させたと。
それまでは間抜けなハダカザルがガンメンなど操れる筈も無く、ただの偶然だろうとも思っていたが、
もしかしたら螺旋王はその可能性を見越していたのかもしれない。
だからこそ、『魔法』なる特殊な力を持つ獣人を生み出した………
だが、何かが引っかかる。
シャマルの言う事は、確かに理に適ってはいるように思える。だが…今ひとつ、根拠が足りない。
信用するに足る根拠が……まだ、ヴィラルには彼女の『真偽』が掴みきれない。
そしてまた、これらの問題とは別の…もう一つの疑問が、ヴィラルを悩ませる。
「………一つ、聞きたい」
「何かしら?魔法の事なら、私の知ってる限りで良ければ……」
「いや、その事ではない………何故、わざわざ俺を治療した?」
ヴィラルの言葉を聴いたシャマルの表情が、強張る。
「俺の傷の応急処置をしたのは、お前自身だ。確かにきちんとした処置は必要だっただろうが…
貴重なお前の魔力を使ってまで、しなければならない事だったのか?」
引っかかっていた事は、これだ。
シャマルが嘘を付いており、本来はヴィラルが狩るべき人間だったとすれば、
先ほどの状態はシャマルにとってはチャンスであり…ヴィラルにとっては危機であったはず。
理由はどうであれ、このゲームに乗っている自分と手を組む事を選んだシャマルも、恐らくは殺人者としての道を選んでいるのだろう。
だとすればどうして、寝首を掻かなかった?自分と手を組んだ、『手駒』を失いたくはなかったからか?
だが、もしそうだとしても限りある魔力を消費してまでわざわざ治療を行うこともあるまい。
一体、何故――――――
「後悔、したくはなかったから」
……………何?
「私は、私にしか出来ない事をしないで後悔はしたくないから。
例えそれが…他の人にとって、間違っている事でも、許されない事だったとしても」
じっと、ヴィラルがシャマルの目を見る。
幾ら彼が考えた所で、今の言葉に隠されたもう一つの事実――――
彼女が、自分の大切な仲間を守る為に過ちを起こしているという事実を知る事は出来ないだろう。
だが、それでもわかった事が一つある。
彼女のこの言葉が、完全に本心から来ている言葉であり……彼女の『真意』であるという事。
「そう、か」
その言葉を聞き、そう呟いたヴィラルは。
「……もう起き上がっても構わないか?」
「へ……あ、ああはいどうぞ!」
とりあえず、体勢を立て直した。
-----------------------------------------------------------------------------------
結論として、ヴィラルは『現状維持』の判断を下した。
合理的に考えて、今ここでシャマルを屠る事よりも、リスクが掛かるとはいえ有用な技能を持つ彼女と共に行動することを選んだという事もあるが、
何よりも一度『礼を尽くす』事を約束した相手に手を下すのは、彼の性分に合わなかった所為もあるかも知れない。
または、その『礼を尽くす』べき相手ならば、信用せずにいるのは信念に反する、という事か。
まぁ、理由はどうあれ彼はもう一度彼女を信用する事に決めた、というのは事実。
(……騙してて、ごめんなさいね)
まさか口に出すわけにもいかず、シャマルは心の中だけで彼への謝罪を行った。
嘘を付かなければ自分の命が失われるかもしれない状況とはいえ、少なからず罪悪感は感じているのだ。
だが、いつまでもこうしている訳にもいかない。
信用を保ったまま、ヴィラルに『魔法』の存在を伝えられた今ならば、『あの支給品』について話し合える筈。
「ちょっと良いかしら、ヴィラルさん?」
すぐそばのコンテナに寄りかかりながら座っているヴィラルに声を掛ける。
「何だ?」
「少し、私の持っている支給品について話したい事があるの」
「支給品?……そういえば、まだ最後の一つを確認していなかったな」
ふと、自分があの小僧から奪ったディパックをまだ確認していなかったのを思い出し、
ゴーカートの中から自分のディパックと、シャマルの物と思われるディパックを二つ取り出して渡してやる。
「ありがとう……その、私の話の方から始めてもいいかしら?」
ヴィラルが黙って頷いたのを見て、シャマルは一つのディパックの中から『あの支給品』を探し始める。
「魔法を使うには魔力が必要不可欠である事は、さっき話したけれど……その魔力を回復する為には術者の休息…つまり、睡眠が必要になるの。
けど、この殺し合いの会場の中でそうそう何度も睡眠を取るわけにはいかない。
だから、私のような人間が取るべき行動は『魔力を温存する』か、『魔力を回復する他の方法を見つける』かの二つに一つという事になるわ」
………ちょっと、これを見て」
そう言ってシャマルはディパックの中から目当ての物を取りだす。
「これは……割れた鏡のかけらか?」
それは、ゲイボルグとケリュケイオンの二つと共に、最後にシャマルに支給されたアイテム……『魔鏡のかけら』。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、そして高嶺清麿に支給されたものと同種類の、最後の一枚である。
だが、もちろんシャマルにこの鏡の真の力がわかっているはずも無い。
「とりあえず、この鏡から僅かながらも魔力を感じるの。詳しい事は私にもわからないけど…」
「これを使えば、その魔力が回復できると…お前はそう睨んだ訳か」
「ええ…でも、その肝心の使い方がよくわからなくて。
割れてる所を見ると、他に同じようなかけらが幾つかあると思うわ。それを全部合わせればもしかしたら…」
ふむ、とヴィラルが顎に手を当てる。鏡を存在するとすれば、それは同じく誰かへの支給品としての形でだろう。
どの道この先は参加者を殺して回る予定だ、そう簡単に見つかるとは思えないが、全くの不可能とも思えない。
と……そこまで考えた所で、ヴィラルがふとシャマルのある異変に気づく。
「シャマル、ついさっきまで嵌めていたグローブはどうした?」
ほんの数分前までグローブに覆われていたシャマルの両手には、もう何も嵌められていなかった。
周りを見渡すも、脱ぎ捨てられたと思われるグローブは見当たらない。鏡を探すついでに、わざわざディパックへと仕舞いこんだのか?
「ああそれなら……ケリュケイオン、セットアップ」
シャマルの言葉に反応し、彼女の手首に嵌められていたアクセサリーが光に包まれ……
次の瞬間には、あのグローブがシャマルの両腕を包み込んでいた。
「な……!?」
予想外の展開に、ヴィラルの顔に驚愕の色が浮かぶ。
「これは………まさか、それも魔法の一種なのか?」
「まぁ……似たような物ね。これはデバイス。魔法を使う為に必要な…まぁ、魔力の制御を行う道具よ。
普段は持ち運びやすいように、小さなアクセサリーのようになっているけど」
「………俺達で言うガンメンのような物か……それは、お前の専用の道具なのか?」
何気なしに言った言葉だが、それを聞いた瞬間にシャマルの顔にさっと影が差した。
「…違うわ……これは、元々キャロの為のデバイスだから」
「………すまん、余計な事を言った」
「いいえ、気にしないで……私のデバイスは、クラールヴィントという名前の指輪よ。
……ああそうだ、もう一つ。細かい説明は省くけど、魔法の系統には二つの種類があるの。
そして、私が得意としている魔法と、キャロが得意としていた魔法は別の種類。
今はこうしてあの子のデバイスを借りているけど、今の状態では私もこのデバイスも本当の力を出し切れてないわ」
ならば、出来るだけ早く専用のデバイスを探し出したい所ではあるが……指輪か。
サイズも小さいであろうそれを見つけるのには、苦労しそうだ。だが――――
「この傷の礼もある。何とかしてその指輪と鏡は見つけ出し、お前に渡そう」
『礼を尽くす』とは言った物の、現状を見れば延々と彼女に手助けされている状況だ。
ほんの僅かでも礼を返さねば、ヴィラル自身の気が済まない。
シャマルの話はここまでで終わりらしい。ヴィラルは、手元のディパックの中を漁り、最後の支給品を確認し始めた。
「さて、妙に重いが……?」
「武器か、魔力に関係する物だといいんだけど」
だがシャマルの願いに反して、取り出されたものは鈍色に輝く、ただの鉄の手枷だった。
ずっしりと重量感のあるそれを嵌められる事があれば、行動に支障が出る事は必死だろう。
誰かを捕らえたり、監禁するのには最適なアイテムだろうが、生憎と出会った人間はなるべく殺そうと考えている二人にはさほど価値は見出せない。
「まぁ、重量を考えれば鈍器として使えない事も無いか?」
そんな事を呟きながらヴィラルが手枷を振り回すが、とてもまともに武器として使えるとは思えない。
ふと、そんなヴィラルにシャマルが話しかける。
「ヴィラルさん、貴方の武器は…?」
「とりあえず、銃を一つ持っている。後は……まぁ、これも手枷よりは武器になるか」
言いながら、ヴィラルがシャマルへと調味料の大瓶を手渡してみせる。
しばらくそれを眺めながら『バルサミコ酢って…確か高級な調味料だったかしら?』などと呟いていた彼女だったが、
やがて自分の持っているもう一つのディパックを引き寄せると、中から大鉈を取り出してヴィラルに渡した。
「これ、良ければ使ってください」
「………良いのか?」
大鉈を検分しながら、ヴィラルがシャマルに問う。
長さは80cmほどで、武器としてのリーチはかなり長く扱いやすそうではあるが、だからこそ黙って貰うには抵抗がある。
しかし、それでもシャマルは首を横に振った。
「いいの。多分、私にはこういう武器は上手く扱えないから…」
シャマルとて、ベルカの騎士の一員。戦場へと赴いた事は幾度と無く経験している。
だが、シャマルが担当し、得意としているのは主に魔力を使った補助的な魔法である。
最初に得物としていたゲイボルグの様に特殊な能力が存在する武器ならばともかく、特に何のギミックも無い武器では振り回すのが精々。
ならば、まだ自分よりも肉弾戦を得意としていそうなヴィラルが扱ったほうが武器としても生きるだろう。
ところで、それよりももう一つ気になるというか、心に留まった物があるというか。
「ならば、ありがたく貰っておくが……どうした?」
ヴィラルが何かを言いたげな様子のシャマルに気付く。その手にしっかりと握られているのは、バルサミコ酢の大瓶。
「その……ヴィラルさんは、この調味料のビンをそのまま武器にしようとしていたの?」
「いや、貴重な食料である事だし、とりあえず中身を消費してからの話だと考えていたが…」
「中身を消費……つまり、食べてからって事よね?」
「まぁ、流石に直に飲むわけではないが……一体何が言いたい?」
「ええと……この調味料、私が料理に使っても良いですか?」
「…………………………………は?」
驚いた。ぶっちゃけ、魔力やら魔法やらが云々の時よりも驚いた。
目が点になったヴィラルを見て、慌てたようにシャマルが取り繕い始める。
「いや、その…これって確か高級な調味料で、どうせ使うなら料理に使ったほうがいいような気がするというか何というか…」
「…まあ、別に…どう使おうが俺は構わないが…それにしても料理か…」
ディパックの中から時計を取り出し、時間を確認する。第2回目の放送までは…後数十分といった所か。
随分と睡眠を取ったお陰で、体力はほとんど回復している。
このまま即座に出発しても良いのだが、放送までの時間を考えると微妙な所だ。
ハダカザルの相手をしている内に放送を聞き逃し、禁止エリアや死者といった重要な情報を得られないのは痛い。
ならば、いっその事。
「丁度昼飯時だ。それを使って、簡単な料理を頼めるか?」
言った直後で、またこの女性に頼り切りかとも思ったが…
彼女が少し嬉しそうに大瓶を自分のディパックに入れ始めた所を見れば、これもある意味で礼なのかもしれないとヴィラルは思った。
自分が非常に『危うい選択』をしてしまった事を、彼は知る由も無い。
【G-3/空港/1日目/昼:放送数十分前】
【チーム:Joker&Fake Joker】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:脇腹に傷跡(塞がってはいるが痛みは僅かに残っている)、衣服が濡れているが、上着は脱いでいる。
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実、大鉈@現実
モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと9秒連射可能、ロケット弾は一発)を搭載したゴーカート
[道具]:支給品一式、ワルサーWA2000用箱型弾倉x4、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:第二回放送までは空港で休息を取り、食事を済ます。
2:シャマルに礼を尽くす。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
4:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
5:螺旋王の目的とは?
6:あのコンテナはなんなんだ?
[備考]
螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
…人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
③二アが参加している事に気づきました。
④機動六課メンバーをニンゲン型の獣人だと認識しました。
⑤なのは世界の魔法について簡単に理解しましたが、それは螺旋王の持つ技術の一つだと思っています。
また、その事から参加者の中で魔法が使えるのは機動六課メンバーだけであるとも思っています。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疑心暗鬼 低、魔力消費 中
[装備]:ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×2、バルサミコ酢の大瓶@らき☆すた、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:八神はやてを守る為に、六課メンバー以外の全員を殺す。けれど、なるべく苦しめたくはない。
1:第二回放送までは空港で休息を取り、食事を作る。
2:ひとまず、しばらくの間はヴィラルと行動する。
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
※宝具という名称を知りません。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
※空港内には、幾つかの施錠された扉が存在しています。が、鍵がなくても強力な武器があれば強行突破も可能です。
※シャマルの残り支給品の内訳はケリュケイオンと魔鏡のかけら、ジェレミアの残り支給品の内訳は大鉈でした。
※シャマルの料理はなのは世界では受け入れがたい代物ですが、
文化の違うグレンラガン世界の住人であるヴィラルならば適合する可能性もあります。
が、もちろん某副司令のように消えないトラウマを植えつけられる可能性もあります。
【ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
キャロ・ル・ルルシエの使用するミッドチルダ式のブーストデバイス。
手の甲の部分に大き目の水晶が付いたグローブの様な形状をしている。左右で別々のブースト魔法を同時使用できる模様。
広域サーチ能力を有している可能性もあるが、ロワ会場では多少の制限が行われていると思われる。
なお、待機状態は宝玉に翼の意匠のついたアクセサリーのような形状のものにリングの状の紐が付いている。
キャロは左手首に装着していた。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|142:[[『真偽』と『真意』~危うい■■(前編)]]|シャマル|167:[[ヴィラルシャマルの事情]]|
**『真偽』と『真意』~危うい■■(後編) ◆WcYky2B84U
ヴィラルは困惑していた。
あれほど自分を苦しめていた腹部の傷からは、ほとんど痛みが消え去っている。
血も止まり、ただ僅かな傷跡が残っているだけ。流石に完治しているとは言いがたいが、それでも異常な回復速度だ。
これが自分の体質によるもの、つまり螺旋王の改造による物なのかとも一瞬思ったが、予想は外れているようだ。
目の前のシャマルがいつの間にか手につけていた奇妙なグローブ。
そこから発せられた光が自分の傷を包み、痛みを少しずつ和らげていくのをこの目で見た。
ならば、シャマルの持つこのグローブが癒しの力を持っている、という事か?
もしそうなのならば僥倖だ。回復の力を持つ支給品があるのならばそれは非常にアドバンテージになる。
しかし……その他にももう一つの可能性がある。
それは、この回復の能力がシャマル自身の持つ力だという事。
この『実験』の開始を告げられた時のあの場所…見慣れた螺旋王の玉座の間の中に、ヴィラルは他の参加者と共に存在していた。
その時に見た、螺旋王に刃向かい無様に命を散らしたあの男。
あの男は奇妙な水晶を掲げた瞬間にその身に鎧を纏うという、奇妙な力を持っていた。
目の前の女性、シャマルもそれとはまた別の奇妙な力…ヴィラルの予測が正しければ回復の力を持っているのではないか?
だが、もしそうだとすると疑問が生じる。
当たり前の事だが、ヴィラルは『薬などを用いることなく怪我を治す』力が存在することなど知りはしなかった。
獣人として螺旋王に命を賜って後、同じ獣人達の中でもそんな能力を持つ者など見たことが無い。
しかし、シャマルはその奇妙な力をヴィラルの目の前で実際に使って見せた。
それはどういう事だ?
シャマルは獣人には無い能力を持っているという事。
そしてそれは、シャマルが獣人などでは無いという事に繋がるのではないか?
獣人では無いという事は、つまり………彼女は自分と同じく螺旋王に仕える者ではない事になる?
もしそうだとすれば、シャマルは自分の敵だ。
人間ではない事に変わりはないようだが…それでも、この実験の参加者であればこの手で殺さなくてはならない。
今、ヴィラルの手元に武器は無い。しかし相手は非力な女性一人、素手だとしてもすぐに殺せる。
大丈夫だ、その首を絞めてやるだけで済む。力を込めれば引きちぎる事も出来よう。
そうやって、殺せばいい……自分を助けてくれた相手をか?
ズキリと、塞がった筈の傷が痛みを発した気がした。
「今、私が貴方に使ったのは『魔法』と呼ばれる力よ。
私や機動六課に所属する者だけが使える、特殊な力の事を『魔法』と呼ぶの」
シャマルがゆっくりと、ヴィラルに今起きた事の説明を始める。
マホウなど、聞いた事の無い単語だ。やはり……そうなのか。
いや、待てよ。自分は今までキドウロッカという部隊の存在も知らなかった。
ならば、このマホウという能力も、極秘裏に螺旋王が作り出した物なのか?
それとも……キドウロッカの情報自体が、嘘だったのか?
感づかれぬように、自身の体に力を込める。もしも、『その通り』だった時の事を想定して。
「魔法には様々な種類があるわ。今みたいに回復に使われる物だけじゃなく、攻撃の手段としての魔法も存在してる。
まぁ、私が得意としてるのは回復や補助と言ったタイプの魔法なんだけど…」
「随分と、便利な力だ」
「そうでもないわ。まだ、『実験段階』の能力だから問題点も多いの」
思わず、眉を潜めた。
「『実験段階』………?どういう事だ?」
「そうね、まず…ついさっき言ったとおり、魔法というのは私達だけが使える能力よ。
そして私達だけが魔法を使える理由は、私や機動六課の…人間型の獣人が、『魔力』という力を持っているから。
私達は魔力を消費して魔法を実行する。だけど、あまりにも魔法を使いすぎると魔力切れを起こしてしまう。
正直な話、現段階では燃費が悪い能力と言わざるを得ないわ。今の魔法で、私の魔力はもう全体の三分の一ぐらいしか残ってないし」
「成るほど……まだ実用化しているとは言いがたい能力だな」
「機動六課と同じで、つい最近に研究が始まったばかりの能力だから…」
つまり、機動六課の事を知らないヴィラルが魔法を知らなくてもおかしくはない、という事か。
「…今回の『実験』は、私達のこの魔法がどこまで使える物なのかを試す、テスト的な一面もあるわ。
機動六課の人間が、私だけじゃなくて数人参加させられているのもそういった理由から」
「………ああ、大体は理解した」
シャマルに答えながら、ヴィラルは頭の中で手に入れた情報を纏めだす。
獣人達の主力な武装は、言うまでもなくガンメンという機動兵器だ。
ガンメンの兵器としての能力は高い。ヴィラルの持つエンキクラスの性能があれば、単機で小さな村を潰す事も可能である。
だが……性能が高い兵器故に、一つ疑問も残る。
もしも、そのガンメンが人間どもの手に渡ったらどうなるか?
自分達の兵器の強さは自分達がよく知っている。現に一つ、それに似た事例があったではないか。
ヴィラル自身が向かう筈だった、リットナーと呼ばれる村付近にて……人間の一匹がガンメンを奪い取り、一部隊を壊滅させたと。
それまでは間抜けなハダカザルがガンメンなど操れる筈も無く、ただの偶然だろうとも思っていたが、
もしかしたら螺旋王はその可能性を見越していたのかもしれない。
だからこそ、『魔法』なる特殊な力を持つ獣人を生み出した………
だが、何かが引っかかる。
シャマルの言う事は、確かに理に適ってはいるように思える。だが…今ひとつ、根拠が足りない。
信用するに足る根拠が……まだ、ヴィラルには彼女の『真偽』が掴みきれない。
そしてまた、これらの問題とは別の…もう一つの疑問が、ヴィラルを悩ませる。
「………一つ、聞きたい」
「何かしら?魔法の事なら、私の知ってる限りで良ければ……」
「いや、その事ではない………何故、わざわざ俺を治療した?」
ヴィラルの言葉を聴いたシャマルの表情が、強張る。
「俺の傷の応急処置をしたのは、お前自身だ。確かにきちんとした処置は必要だっただろうが…
貴重なお前の魔力を使ってまで、しなければならない事だったのか?」
引っかかっていた事は、これだ。
シャマルが嘘を付いており、本来はヴィラルが狩るべき人間だったとすれば、
先ほどの状態はシャマルにとってはチャンスであり…ヴィラルにとっては危機であったはず。
理由はどうであれ、このゲームに乗っている自分と手を組む事を選んだシャマルも、恐らくは殺人者としての道を選んでいるのだろう。
だとすればどうして、寝首を掻かなかった?自分と手を組んだ、『手駒』を失いたくはなかったからか?
だが、もしそうだとしても限りある魔力を消費してまでわざわざ治療を行うこともあるまい。
一体、何故――――――
「後悔、したくはなかったから」
……………何?
「私は、私にしか出来ない事をしないで後悔はしたくないから。
例えそれが…他の人にとって、間違っている事でも、許されない事だったとしても」
じっと、ヴィラルがシャマルの目を見る。
幾ら彼が考えた所で、今の言葉に隠されたもう一つの事実――――
彼女が、自分の大切な仲間を守る為に過ちを起こしているという事実を知る事は出来ないだろう。
だが、それでもわかった事が一つある。
彼女のこの言葉が、完全に本心から来ている言葉であり……彼女の『真意』であるという事。
「そう、か」
その言葉を聞き、そう呟いたヴィラルは。
「……もう起き上がっても構わないか?」
「へ……あ、ああはいどうぞ!」
とりあえず、体勢を立て直した。
-----------------------------------------------------------------------------------
結論として、ヴィラルは『現状維持』の判断を下した。
合理的に考えて、今ここでシャマルを屠る事よりも、リスクが掛かるとはいえ有用な技能を持つ彼女と共に行動することを選んだという事もあるが、
何よりも一度『礼を尽くす』事を約束した相手に手を下すのは、彼の性分に合わなかった所為もあるかも知れない。
または、その『礼を尽くす』べき相手ならば、信用せずにいるのは信念に反する、という事か。
まぁ、理由はどうあれ彼はもう一度彼女を信用する事に決めた、というのは事実。
(……騙してて、ごめんなさいね)
まさか口に出すわけにもいかず、シャマルは心の中だけで彼への謝罪を行った。
嘘を付かなければ自分の命が失われるかもしれない状況とはいえ、少なからず罪悪感は感じているのだ。
だが、いつまでもこうしている訳にもいかない。
信用を保ったまま、ヴィラルに『魔法』の存在を伝えられた今ならば、『あの支給品』について話し合える筈。
「ちょっと良いかしら、ヴィラルさん?」
すぐそばのコンテナに寄りかかりながら座っているヴィラルに声を掛ける。
「何だ?」
「少し、私の持っている支給品について話したい事があるの」
「支給品?……そういえば、まだ最後の一つを確認していなかったな」
ふと、自分があの小僧から奪ったディパックをまだ確認していなかったのを思い出し、
ゴーカートの中から自分のディパックと、シャマルの物と思われるディパックを二つ取り出して渡してやる。
「ありがとう……その、私の話の方から始めてもいいかしら?」
ヴィラルが黙って頷いたのを見て、シャマルは一つのディパックの中から『あの支給品』を探し始める。
「魔法を使うには魔力が必要不可欠である事は、さっき話したけれど……その魔力を回復する為には術者の休息…つまり、睡眠が必要になるの。
けど、この殺し合いの会場の中でそうそう何度も睡眠を取るわけにはいかない。
だから、私のような人間が取るべき行動は『魔力を温存する』か、『魔力を回復する他の方法を見つける』かの二つに一つという事になるわ」
………ちょっと、これを見て」
そう言ってシャマルはディパックの中から目当ての物を取りだす。
「これは……割れた鏡のかけらか?」
それは、ゲイボルグとケリュケイオンの二つと共に、最後にシャマルに支給されたアイテム……『魔鏡のかけら』。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、そして高嶺清麿に支給されたものと同種類の、最後の一枚である。
だが、もちろんシャマルにこの鏡の真の力がわかっているはずも無い。
「とりあえず、この鏡から僅かながらも魔力を感じるの。詳しい事は私にもわからないけど…」
「これを使えば、その魔力が回復できると…お前はそう睨んだ訳か」
「ええ…でも、その肝心の使い方がよくわからなくて。
割れてる所を見ると、他に同じようなかけらが幾つかあると思うわ。それを全部合わせればもしかしたら…」
ふむ、とヴィラルが顎に手を当てる。鏡を存在するとすれば、それは同じく誰かへの支給品としての形でだろう。
どの道この先は参加者を殺して回る予定だ、そう簡単に見つかるとは思えないが、全くの不可能とも思えない。
と……そこまで考えた所で、ヴィラルがふとシャマルのある異変に気づく。
「シャマル、ついさっきまで嵌めていたグローブはどうした?」
ほんの数分前までグローブに覆われていたシャマルの両手には、もう何も嵌められていなかった。
周りを見渡すも、脱ぎ捨てられたと思われるグローブは見当たらない。鏡を探すついでに、わざわざディパックへと仕舞いこんだのか?
「ああそれなら……ケリュケイオン、セットアップ」
シャマルの言葉に反応し、彼女の手首に嵌められていたアクセサリーが光に包まれ……
次の瞬間には、あのグローブがシャマルの両腕を包み込んでいた。
「な……!?」
予想外の展開に、ヴィラルの顔に驚愕の色が浮かぶ。
「これは………まさか、それも魔法の一種なのか?」
「まぁ……似たような物ね。これはデバイス。魔法を使う為に必要な…まぁ、魔力の制御を行う道具よ。
普段は持ち運びやすいように、小さなアクセサリーのようになっているけど」
「………俺達で言うガンメンのような物か……それは、お前の専用の道具なのか?」
何気なしに言った言葉だが、それを聞いた瞬間にシャマルの顔にさっと影が差した。
「…違うわ……これは、元々キャロの為のデバイスだから」
「………すまん、余計な事を言った」
「いいえ、気にしないで……私のデバイスは、クラールヴィントという名前の指輪よ。
……ああそうだ、もう一つ。細かい説明は省くけど、魔法の系統には二つの種類があるの。
そして、私が得意としている魔法と、キャロが得意としていた魔法は別の種類。
今はこうしてあの子のデバイスを借りているけど、今の状態では私もこのデバイスも本当の力を出し切れてないわ」
ならば、出来るだけ早く専用のデバイスを探し出したい所ではあるが……指輪か。
サイズも小さいであろうそれを見つけるのには、苦労しそうだ。だが――――
「この傷の礼もある。何とかしてその指輪と鏡は見つけ出し、お前に渡そう」
『礼を尽くす』とは言った物の、現状を見れば延々と彼女に手助けされている状況だ。
ほんの僅かでも礼を返さねば、ヴィラル自身の気が済まない。
シャマルの話はここまでで終わりらしい。ヴィラルは、手元のディパックの中を漁り、最後の支給品を確認し始めた。
「さて、妙に重いが……?」
「武器か、魔力に関係する物だといいんだけど」
だがシャマルの願いに反して、取り出されたものは鈍色に輝く、ただの鉄の手枷だった。
ずっしりと重量感のあるそれを嵌められる事があれば、行動に支障が出る事は必死だろう。
誰かを捕らえたり、監禁するのには最適なアイテムだろうが、生憎と出会った人間はなるべく殺そうと考えている二人にはさほど価値は見出せない。
「まぁ、重量を考えれば鈍器として使えない事も無いか?」
そんな事を呟きながらヴィラルが手枷を振り回すが、とてもまともに武器として使えるとは思えない。
ふと、そんなヴィラルにシャマルが話しかける。
「ヴィラルさん、貴方の武器は…?」
「とりあえず、銃を一つ持っている。後は……まぁ、これも手枷よりは武器になるか」
言いながら、ヴィラルがシャマルへと調味料の大瓶を手渡してみせる。
しばらくそれを眺めながら『バルサミコ酢って…確か高級な調味料だったかしら?』などと呟いていた彼女だったが、
やがて自分の持っているもう一つのディパックを引き寄せると、中から大鉈を取り出してヴィラルに渡した。
「これ、良ければ使ってください」
「………良いのか?」
大鉈を検分しながら、ヴィラルがシャマルに問う。
長さは80cmほどで、武器としてのリーチはかなり長く扱いやすそうではあるが、だからこそ黙って貰うには抵抗がある。
しかし、それでもシャマルは首を横に振った。
「いいの。多分、私にはこういう武器は上手く扱えないから…」
シャマルとて、ベルカの騎士の一員。戦場へと赴いた事は幾度と無く経験している。
だが、シャマルが担当し、得意としているのは主に魔力を使った補助的な魔法である。
最初に得物としていたゲイボルグの様に特殊な能力が存在する武器ならばともかく、特に何のギミックも無い武器では振り回すのが精々。
ならば、まだ自分よりも肉弾戦を得意としていそうなヴィラルが扱ったほうが武器としても生きるだろう。
ところで、それよりももう一つ気になるというか、心に留まった物があるというか。
「ならば、ありがたく貰っておくが……どうした?」
ヴィラルが何かを言いたげな様子のシャマルに気付く。その手にしっかりと握られているのは、バルサミコ酢の大瓶。
「その……ヴィラルさんは、この調味料のビンをそのまま武器にしようとしていたの?」
「いや、貴重な食料である事だし、とりあえず中身を消費してからの話だと考えていたが…」
「中身を消費……つまり、食べてからって事よね?」
「まぁ、流石に直に飲むわけではないが……一体何が言いたい?」
「ええと……この調味料、私が料理に使っても良いですか?」
「…………………………………は?」
驚いた。ぶっちゃけ、魔力やら魔法やらが云々の時よりも驚いた。
目が点になったヴィラルを見て、慌てたようにシャマルが取り繕い始める。
「いや、その…これって確か高級な調味料で、どうせ使うなら料理に使ったほうがいいような気がするというか何というか…」
「…まあ、別に…どう使おうが俺は構わないが…それにしても料理か…」
ディパックの中から時計を取り出し、時間を確認する。第2回目の放送までは…後数十分といった所か。
随分と睡眠を取ったお陰で、体力はほとんど回復している。
このまま即座に出発しても良いのだが、放送までの時間を考えると微妙な所だ。
ハダカザルの相手をしている内に放送を聞き逃し、禁止エリアや死者といった重要な情報を得られないのは痛い。
ならば、いっその事。
「丁度昼飯時だ。それを使って、簡単な料理を頼めるか?」
言った直後で、またこの女性に頼り切りかとも思ったが…
彼女が少し嬉しそうに大瓶を自分のディパックに入れ始めた所を見れば、これもある意味で礼なのかもしれないとヴィラルは思った。
自分が非常に『危うい選択』をしてしまった事を、彼は知る由も無い。
【G-3/空港/1日目/昼:放送数十分前】
【チーム:Joker&Fake Joker】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:脇腹に傷跡(塞がってはいるが痛みは僅かに残っている)、衣服が濡れているが、上着は脱いでいる。
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実、大鉈@現実
モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと9秒連射可能、ロケット弾は一発)を搭載したゴーカート
[道具]:支給品一式、ワルサーWA2000用箱型弾倉x4、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:第二回放送までは空港で休息を取り、食事を済ます。
2:シャマルに礼を尽くす。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
4:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
5:螺旋王の目的とは?
6:あのコンテナはなんなんだ?
[備考]
螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
…人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
③二アが参加している事に気づきました。
④機動六課メンバーをニンゲン型の獣人だと認識しました。
⑤なのは世界の魔法について簡単に理解しましたが、それは螺旋王の持つ技術の一つだと思っています。
また、その事から参加者の中で魔法が使えるのは機動六課メンバーだけであるとも思っています。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疑心暗鬼 低、魔力消費 中
[装備]:ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×2、バルサミコ酢の大瓶@らき☆すた、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:八神はやてを守る為に、六課メンバー以外の全員を殺す。けれど、なるべく苦しめたくはない。
1:第二回放送までは空港で休息を取り、食事を作る。
2:ひとまず、しばらくの間はヴィラルと行動する。
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
※宝具という名称を知りません。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
※空港内には、幾つかの施錠された扉が存在しています。が、鍵がなくても強力な武器があれば強行突破も可能です。
※シャマルの残り支給品の内訳はケリュケイオンと魔鏡のかけら、ジェレミアの残り支給品の内訳は大鉈でした。
※シャマルの料理はなのは世界では受け入れがたい代物ですが、
文化の違うグレンラガン世界の住人であるヴィラルならば適合する可能性もあります。
が、もちろん某副司令のように消えないトラウマを植えつけられる可能性もあります。
【ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
キャロ・ル・ルシエの使用するミッドチルダ式のブーストデバイス。
手の甲の部分に大き目の水晶が付いたグローブの様な形状をしている。左右で別々のブースト魔法を同時使用できる模様。
広域サーチ能力を有している可能性もあるが、ロワ会場では多少の制限が行われていると思われる。
なお、待機状態は宝玉に翼の意匠のついたアクセサリーのような形状のものにリングの状の紐が付いている。
キャロは左手首に装着していた。
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