【第四回SRC学園シナリオコンペ】から


#舘真理の密かなる事件簿
作者は浦瀬ヒガタ氏。
推理ADVを模した作りになっており、見た目でまずインパクトが大きい。
しかしADVとしての謎解きは余り重視されておらず、調査でひっかかるところは皆無。
どちらかといえば、通常、左クリックで読み進めていくだけのストーリー部分に、
ちょっとしたアクセントとしてコマンド選択を組み込んだ…という感じ。
作者の狙いがそこにあるかどうかはさておき、「アクセント」という意味においては、
この試みは、大成功と言ってよい。
ただ受動的に読んでいくだけでは途中で飽きてしまうようなストーリーでも、
コマンド選択という形で能動的に関わった結果としてもたらされるのであれば、
つい先を追ってしまいたくなるものだからだ。

「飽きてしまうようなストーリー」と書いたが、起承転結はきちんと書き分けられているし、
登場人物の立たせ方も○。学園ビギナーの俺でも、すんなりと世界に入っていけた。
ヒロインであるところの「香泉夜壬」は、いかにもオヤジ受けしそうな女子高生という感じに描かれており、
同様のキャラを描こうとする人には、参考になる部分も多いと思う。

テーマの使い方は、少々無理矢理感があり。
事件の重要なキーになってはいるけれど、それが落書きである必然性は薄い。
穿った見方をすれば、まず完成品があって、そこにテーマである落書きを、なにかと差し替える形で組み込んだ…
という風に受け取れなくもないのだ。

コンペと切り離したひとつの作品として見れば、学園に興味のないプレイヤーでも、一度は手にとってみる価値のある意欲作。
普通のシナリオにマンネリ感を抱いている人や、設定ばかり作って満足している人に、特にオススメしたい作品かな。

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最終更新:2008年05月17日 18:38