【宇宙の荒野】
参加者の手によって形成されていくシェアワールド企画、
撃鉄のクロニクル内に投下された作品。本作品は3つある
時代の枠の中で、「宇宙統一編」の2450年を舞台とする。
同作者の「ハンター×ドリーム」は非常に好感触だったけど、
今回は果たしてどうなったか…はこれからどうぞ。
※キーワード等でネタバレ
短編ながらも、この箇所については確実に気合が入っており
視覚的な楽しみを提供することに成功していると思っている。
特に顕著なのが第一話全般で、全身ユニットアイコンに対して
劇中曰く「大道芸」、シルエット効果、イベント戦闘アニメと
ユニット識別用の記号以外に、様々な使い方を見せてくれる。
流石に第三話あたりは抑え目かなと感じてしまったが、あれは
どちらかというとここまで出てきたユニットを一通り操って
切り抜けろ、という点の方が強調されたからだろうか。うーむ。
何気なく気に入ってるのは開拓地が西部風景のみに留まらず、
バーの一幕や裏通りで現代~SF的空気も仄めかしてくれてる点。
やっぱ24世紀~過ぎるとそういう成分も大事だと信じたい。
本作を遊ぶ前に「WildWestStory」「宇宙のガンマン」を事前に
遊んでおく…必要性があるかどうかは少々微妙なライン。どちらも
遊んでみたところアピール性が強く、このシナリオの存在をもって
掘り下げられていったかな、というのが正直な感想である。
活劇の中では、生活観を感じさせるシチズンや同業者や辺境職員の姿、
見た目に反してシニカル路線を突っ走るBUSHIDO、
陰はあるが以外と喋るときは喋ってのけるGUNNER、
一番マイペースだったかもしれないラルクと数種類の属性が揃う。
構成する属性でダブりはあるが、互いが向かい合う機会と
案外目の離せないBUSHIDOの存在がいい華添えた、かな。
総括してみると「宇宙のガンマン」をプロローグ感覚として、
昇、転、結と3話消費して着地していった感じ。一応俺は遊んだ身だが
すっ飛ばして本作から飛びつくか…その辺は便利な言葉として
「人による」。複数作品にまたがった話を容易に狙える分、それを
知る足場が弱いと内輪向け属性も上がってしまうのがこの企画というか
複数参加型企画のわかりやすい弱点かもなーと思ったのが本音。
前作では80年代的SFのかおりを存分に満喫できた他、意外と
燃えや萌えなんかも摂取できて幸せだったが、今回の口当たりは
ちとソコには及ばなかったかも。どっちかというと良い点を見つけるなら
さりげないのからダイナミックなのまである各種画像演出と
「他者の設定を巧く拾い上げ、そこから更に話をつむぎ出した結果」
というシェアワールド系独特の味のお手本をなしている事だと思う。
ステージヒントさえ読んでいれば問題は無いが、それを見逃して
ケチケチした戦い方をすると死ねるタイプのバランス。個々の面子は
迎撃とか切り払いとか高めで死ににくそうだが、乱数に嫌われると
回復手段がイベントしかないということもあり結構死ねる。
SPとか気前よく使ったほうが楽しめるし楽だろう、うん。
なお、本作は3話全てにミニゲームが存在しており、多分ある種の見所。
人によっては「SRC脳からどう切り替えろだと!?」となるかも
しれないが、決闘イベントのもうひとつの形として捉えられるかもしれない。
ミニゲームオンリーの2話のヤツがなかなか難しかった記憶がある。
パターンを読むまでにパーフェクト負けとかしたりしました…
余談:最後の戦いの敵達のパイロットメッセージ、補完されますように。
ちょっと拍子抜けしてしまったわい
曲の絶対数は少ないが、切り替えタイミングや選び方に関しては巧い。
明らかに雰囲気読めてないだろみたいな音の使い方も無く、
画像と共にシナリオを彩ってくれてる。音なのに彩ってる、という表現は
ちょっと人によっては妙かもしれないけれど。
西部調な連中を、SF的下地を回収しつつ立たせてやってる風味が
全体からじわっと感じ取れたので、個人的には好評価。ただ、いわゆる
SF西部劇モノに食傷気味な人にとってはマンネリズムとして響く可能性も
否定はできないっちゃあ出来ないか。
全くの余談:ブルースライダーさんお疲れ様です。
ついでに新たなる斬られ役の出現…これからあるかなー?
独立短編が散らばる宇宙統一編でひとつの「まとめ」という立場のシナリオ。
関連作品もハンター×ドリームも遊んだ身としては、そう思っている。
ベタなSF西部劇っつーものに飢えてたら飛び込んで損は無いだろう。
逆(SF西部劇? うーん、食い飽きてるなぁ)ならお奨めはしにくいかな。
と、薦めれる人そうでない人がハッキリと分かれる感じの短編作であった。
そして俺は、そろそろ宇宙統一編だけでなく現代編・近未来編に関しても
さまざまな足場や話の開拓がなされることを、1プレイヤーとして願って
やまない気持ちなのである。やはり、あのフリーダムな宇宙時代が形成
されるまでの歴史の道のりが気になってしょうがないのと、一時代だけ
人気があってもこの企画はしょうがないのでは、と思うのだが…
(何やらスパロゥ氏あたりが現代編を狙っている模様。期待してみるよ俺)
最終更新:2008年05月04日 20:07