目次
概要
国の標語 |
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国歌 |
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国花 |
白ユリ |
公用語 |
リルタニア語 |
国家元首 |
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首星 |
衛星フィオーレ |
首都 |
フィオーレ |
最大都市 |
フィオーレ |
所属星系 |
ディルタニア |
公式略称 |
フィオーレ |
通貨 |
フィオーレ・ショコラ |
積層型完全環境都市フィオーレは、ディルタニア構成系に属する巨大ガス惑星リーリオの衛星フィオーレに位置する都市である。
フィオーレは、10にも及ぶ階層によって構成されている積層型都市で、また生産、消費活動が自己完結している完全環境都市(アーコロジー)でもある。
歴史
リルバーン帝国時代
コーディネーター誕生史
バイオテクノロジー技術の進歩、とりわけ遺伝子工学や人口子宮などが実用化の目処が立ち、いわゆるコーディネーターが出現しはじめると、その遺伝技術は世界規模でマスコミ、宗教関係者、社会学者など数多くの反対論に晒された。
特に最初期のコーディネーターは技術的未熟さにより身体機能が欠損していたり、免疫能力が極端に低かったりと問題を抱えており、多くの命が技術進歩の犠牲となって失われていた。
リルバーン帝国ではロスト・アルテミス後の気候変化に対応するため、早くからその技術に着目しており、遺伝子改変種の穀物への転換が行われていた。
帝国はそれらの非難をものともせず、コーディネーターへの技術に対して莫大な資金を投じ続けた。だが帝国が投じた技術は筋力の増大化や免疫能力の強化などではなく、専ら長命化と外見操作に費やされた。当時の帝国は"女性による世界支配"を標榜する「リリスの道」の影響力が強く、その意向が反映されたものとされている。
長命種として生まれた彼女たちはリリスの道に入信するとともに英才教育を受け、更なる遺伝子工学の発展のために投入されることになる。
この頃には現在のコーディネーター技術の基礎部分が完成していたが、気がつけば遺伝子技術者は全員がリリスの道の女性たちになっていた。
彼女たちは設定された年齢から姿が変わらず、また例外なく美女、美少女であり、また妊娠能力を持たず、性行為は快楽を得るだけの行為に過ぎなかった。それらの環境からメンタリティも通常の人間とは異なっていた。
技術が確立し、安全性が確かめられていくにつれて、帝国では富裕層を初めとして徐々にコーディネーター化していく。
コーディネーターとしての最初の皇帝が即位したのもこの頃である。
しかし帝国のコーディネーター化事業団は「リリスの道」の影響化にあり、帝国のコーディネーターはリリスの道の入信者になる条件が課せられていた。
かくして帝国のコーディネーターは全員がリリスの美女たちとなる。
数十年後には帝国の権力階級、富裕階級の殆どがリリスとなった。
男性は政治や経済の中枢から追放されつつあり、またリリス達は姿こそ美しかったがその殆どは同性愛者であり、男性は恋愛の対象にもならなかった。
この歪んだ帝国を憂え、リリスの道やコーディネーターに反抗する者は数多く存在した。だが、彼らが行動を起こしたときは何もかもが遅すぎたのである。
度重なる暴動や蜂起の失敗は、その都度男性の権利や経済力、知識や教育を奪っていった。
性間戦争
リルタニア男性の最後にして最大の叛乱。彼らは監視の目を逃れて綿密に計画を練り、大規模な兵員と武器の確保、同時多発的な陽動暴動を行い、王宮やリリスの道教団、コーディネーター化事業団に対して大規模な攻勢をかけた。
だが、その叛乱の情報は事前に察知されており、起死回生の全力攻撃は全て空振りに終わった。
その後帝国政府は叛乱勢力とその関連のある者達、つまり全ての男性に対しての根絶を決定した。
男性は有害生物とカテゴライズされ、美しき指導者も実行者も、この生物に対してのひとかけらの慈悲も憐憫も持ち合わせていなかった。
有害生物処理施設は数年間休みなく稼働し、産業が停滞するほどであったが、わずか十年足らずで全ての有害生物はリルバーンから根絶された。
また、コーディネーター化が義務づけられ、非コーディネーターの女性も数世代で姿を消すことになる。
男性の叛乱そのものもリリスの道の計画であったという説も根強い。
現代史
都市フィオーレの建設
フィオーレの前身であるリルバーン帝国では、当時の主星、惑星ルクスリアの資源が枯渇し、新たな居住地を求めていた。
まだ人類の入植していない惑星リーリオの衛星は、惑星ルクスリアと同じ恒星系でさほど離れておらず、また資源が豊富であると思われたことから、惑星リーリオの衛星フィオーレに新たな都市を建設した。それが、積層型完全環境都市フィオーレである。
政治
この都市の政治は、姫と呼ばれる「リリスの道」の中心人物たちで構成される、通称「姫たちの会議」が支配している。
空気、水、電力、食料などのインフラは、すべて「姫たちの会議」が握っており、叛乱や暴動が発生した区画は速やかに空気配給を止められ、今までに多くの死者を出している。
企業や上級市民は献金を払えば便宜を図ってもらえるが、下級市民の間では上層やリリスに対しての無力感が蔓延している。
姫たちの会議
姫たちの会議は、都市の方針を決定し、法を定める役目を担っているが、その内情はリリス達でも知るものは少ない。また、この会議に直属している諸機関が、外交や軍事などの対外的な業務を担っている。
司政官
警察や都市計画などの対内的な業務は、「姫たちの会議」によって任命された「司政官」が執り行っている。
財界の有力者で構成される「財界会議」が推薦した人物が任命されるのが慣習となっているが、これは財界会議が多額の献金を「リリスの道」に行っているからと言われている。
司法制度
フィオーレの裁判は、通常の民事、刑事訴訟を扱う一般法廷、国家安全保障にかかわる問題やリリスに対する犯罪などを扱う特別法廷に分かれる。一般法廷の判事は司政官によって任命され、特別法廷は「姫たちの会議」が判事となる。
リリスは免罪特権を保持しているが、リリスの多くは特権を笠に着るような暴虐無人な振る舞いをすることはない。
外交
フィオーレの外交政策は、平和五原則(領土・主権の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存)に基づき、諸外国と互恵友好の通商的関係を構築、強化することを基本方針としている。
(第1363期現在)
注:友好度指数は相対評価です。
経済
ハブ宇宙港
フィオーレは航路上重要な宇宙港のひとつである。通常航行やジャンプ航法では多くのエネルギーを消耗するため、多くの宇宙船が核融合燃料を補給するためにフィオーレに寄港する。またフィオーレの宇宙港はそれを見越して建造されており、その規模は大国の宇宙港にも匹敵する。
フィオーレはこれらの宇宙船への燃料補給の他、航路管制、情報提供などのサービスにより手数料収入を得ている。
大型港を利用した造船産業も活況を呈している。輸出用のフィオーレ製艦船はありふれた技術を使った一般的な船だが、優美なフォルムと居住性、そしてフィオーレ港利用時の特典が魅力である。ただし、値段が割高で、商船・貨物船として使うにはペイロードや燃費の面についても"どうにか合格"といった水準である。
デザイナーチャイルド産業
フィオーレのデザイナーチャイルド産業は、極めて高品質なことから、子供をデザインするために国外からやってくる者も多い。
資金さえあれば誰にでも提供され、遺伝子配列に対する制限が法によって設けられていない(リリスは例外)ため、他国では子供を改変種に出来ない者、法規制によって特定遺伝子を子供に与えられない者、そういった様々な理由を持った親たちも利用している。
鉱業
フィオーレの基幹産業の一つ。半国営のリルタニア・ペトロ社(LP)によって独占されている。
主な採掘資源は、下層第10層からとれる「メタル」「クリスタル」と、惑星リーリオからとれる「デューテリウム」である。
売春産業
娼婦や売春宿は都市のほぼあらゆる階層に存在し、女学生の小遣い稼ぎから、人身売買、借金返済、ドラッグ中毒など様々な理由で多くの娼婦が存在する。
この都市で出世を望むなら、ランナー(犯罪者)となり生命のやり取りに身を投じるか、娼婦となってリリスの目に止まるかのいずれかしかないともいわれる。
しかしリリスの愛人となるのは危険が伴う。
リリスのフェロモンに長く曝されることでホルモン分泌異常、性的欲求の異常増大が発生し、またリリスへの心理的依存を形成することが知られている。
これらの現象はリリス・シンドロームと呼ばれ、症状が進むと幻覚や幻聴、記憶の混乱、そして精神崩壊の恐れがある。
尚、リリス・シンドロームによって発狂死した娼婦の遺体は上層に召し上げられ、その遺伝子を元に新たなリリスが作られる。これは激しい快楽と恍惚の中で一度死に、リリスに生まれ変わるというリリスの道の教義から来ているという。
領有惑星
惑星リーリオ(11,11)
ディルタニアに位置する大小15個以上の衛星と三本の環を持つ巨大なガス惑星。
積層型環境都市フィオーレは、惑星リーリオの衛星であるフィオーレに位置する。
大気の多くは水素とヘリウムで構成され、良質な核融合燃料として採取船にて採取される。ヘリウム採取作業は微妙な重力制御技術を必要とし、採取船の収益は高いものの危険を伴う。そしてその収益の大部分はリリスたちによって搾取される。なんといっても、ガス惑星そのものの所有権・採取権がリリスにあるのだ。
衛星名 |
概要 |
フィオーレ |
もっともリーリオに近い衛星。表層では氷の層、地下ではマグマ活動が行われ、クリスタルとメタルを産出する |
セルパン |
表層部は厚さ200km前後の氷の層になっており、蛇の鱗の様な模様を持つ |
惑星パンデモニウム(2,3)
セイルナシアに位置する岩石惑星。フィオーレ・カタ戦争の結果フィオーレの統治下に置かれた。リリス達の第二の住処となることを願って、パンデモニウム(伏魔殿の意)と命名された。旧名惑星カタ。
元々極めて荒廃した惑星であり、戦争の影響により荒れ地と汚染地域が広がる世界だったが、マザープラントの入植によって惑星の緑化に成功している。
このマザープラントは種子の段階でリリスに隷属するように細工がされており、リリスに奉仕するアルラウネを増産している点が他のマザープラントと大きく異なる点となっている。
カタ共和国時代にいたサードアイ種族は亡命し、人類は観光都市ウネにいる者を除いて、アウラウネ化したかプラントによって食された。
現在、総督を派遣しており、都市法に基づいて行政が執り行なわれている。
総督府はウネに置かれ、この都市のみに旧共和国系市民が生活している。移民時に最初に誕生した都市の一つで、リルバーン帝国時代からの長い伝統を有することから、以前は観光客からも人気があったが、今ではリリス達の保養地として活用されている。史跡・社寺が多く、多くの伝統的工芸品を産する。歴史的な年中行事も多い。
市民達はリリスの気まぐれとプラントのスカウトに戦々恐々としているが、復興自体は進んでいる。
地理
住民
種族
リルタニア系改変種
リルタニア系改変種とは、リルタニア系人類を元に遺伝子改変された種族のことである。
宗教的、歴史的経緯により、元となったリルタニア系人類は既に存在せず、また、全員が女性となっている。
外見的特徴について、髪や肌、瞳の色などに大きな幅があるが、外見的特徴が最重要視され、すべて芸術品とも呼べる美女である。
彼女たちは、何世代にもわたって人工子宮で育てた結果、生殖機能が退化しており、彼女たちは子を孕むことが出来ない。
生殖については、親の趣味、美意識、子供への希望に基づき塩基配列が決定され、人工子宮で育てられる。塩基配列は、守るべき箇所が法によって定められており、遺伝病などの不都合が顕現することは無い。
他の改変種には見られない点は多いが、特に他の改変種からみても奇妙に思われているものが、堕落遺伝子である。
堕落遺伝子とは、ある一定の年齢に達すると強烈な性的快感に襲われ、脳内麻薬が大量分泌されることである。「価値観や道徳観を破壊する破滅的な快楽」「常態の人間が一生のうちに体感し得る全ての『快感』の合計を上回る快感を瞬時に得ることに等しい」とまで言われている。別名「フォールンダウン」。この発作は数時間にわたって続き、彼女たちの精神と肉体に重大な影響を与える。彼女たちの身体はこの時点で成長・老化が停止し、文化的に成人と見なされる。
フォールンダウンにより彼女達は恋愛観はもとより、人格まで変わってしまうケースも多い。彼女たちの多くは性的快感に心理的依存を形成しており、リリスの道の教義を心の拠り所とすることになる。
フィオーレの学士院であるリルバーン帝立協会の見解では、フォールンダウンは成熟期に差し掛かる際のホルモンバランスの一時的暴走と説明されているが、リリスの道の意向を受けた意図された効果という説もある。
階級制度
リリス
都市上層の住人であり、支配者階級である。
全員がリリスの道の会員であり、リルタニア系改変種によって構成されている。
都市のあらゆる権力、情報、地位、富はリリスによって占められており、彼女たちは官能に塗れた堕落と退廃の宴に耽っている。
リリスと他の市民を見分けるものはその外見を除けば、蛇の指輪と金の耳飾りの有無といわれる。
市民
フィオーレ市民は、主に移民の子孫によって構成され、人類種から機械種までの多種多様な種族で構成されている。
フィオーレにおける市民等級は、A~Gの7階級に分かれており、都市への上納金に応じて等級が与えられる。言い換えるならば、市民は市民権をお金で買っているのである。もっとも、Gランクは上納しないでも一応もらえるようだ。
この等級は、そのまま各人の生命をも左右する重要な指標であり、市民権、土地使用権を購入する権利、アクセスその他の制限などが課されている。
フィオーレ市民には、個人を識別するIDが割り当てられ、その情報が書き込まれたチップが埋め込まれている。チップはランクによって性能が異なる。中級市民用以上のであれば、クレジット機能などもついており、チップ無しでは生活できない。
慣習的に、Bランク以上は高級市民、Eランク以下は低級市民と呼ばれている。
ランク |
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A |
十分な資産を持ち、上層に近い生活を送れる。有産階級 |
B |
極めて快適な都市生活を送れる。専門職 |
C |
ある程度恵まれている。準専門職 |
D |
非筋肉労働が出来る下限 |
E |
一般的な市民等級 |
F |
十分な食事をとることが出来る |
G |
十分な食事をとることが出来ない |
非認知住民(Xランク)
市民ランク更新の手続きミス、行方不明などの理由で、都市側が捕捉出来なくなった者は、非認知市民、通称Xランクと呼ばれている。
手続きミスの場合、更新されていないことが通知されるので、一定期間内に手続きを再度踏めば、ランクを再取得することは可能である。だが、犯罪を犯したなどの理由で指名手配中などの理由で捕捉されることを拒む者が大半である。
この状態を維持するためには生活の全てを現金で行うか、一時的な身分をなんども更新しなければならない。網膜パターンや指紋が調べられることになり、非認知市民であることが知られた場合、都市は非認知市民のを拘束しようと試みるだろう。もし拘束されれば、都市法違反で残酷な刑に処せられることは確実である。登録がないものには、一切の権利を認められていないのだ。
フィオーレでは体内に埋め込むサイバーウェアを「機関(エンジン)」と呼ぶ。
ランナーは違法改造された機関を埋め込み、超人的な能力を得た犯罪者たちである。
殺人、強盗、誘拐、破壊など、ランナーはあらゆる犯罪行為に手を染める。企業が敵対企業への工作を行うために度々使われている。
機関を扱う闇医者も多いが、高額な手術費が必要な上、失敗すれば命に関わる。
都市下層ではランナーは英雄であり、同時に恐怖の対象でもある。
外国人
資産や滞在目的などによって等級が決定される。この等級は市民等級と同様に7区分で、その等級に相当する市民と同等の扱いを受ける。
一般的に観光者にはCランク以上の等級が与えられ、滞在中の安全には十分な注意が払ってもらえる。
一方、出稼ぎ労働者であれば、Fランク以下の等級が与えられ、生命の危機が迫っても行政府は何ら対応を取るようなことはしないだろう。
文化
リリスの道
秘密結社。女性による富、知識、権力の独占と、ありとあらゆる快楽を楽しむことを教義としている。
止むこと無き堕落と耽溺、性的快感を礼賛し、誘惑の業を尊きものとみなす。
彼女たちは自らをリリスというもっとも素晴らしい存在であると自負している。彼女たちは位階に応じてお互いを姉や妹と呼び合う。
リリスの道の位階は複雑だが、フォールンダウンを迎えたばかりの者は「妹」。歳経て功績や名声、財産を得たものは「姉」。大きな発言力を持つものは「姫」と呼ばれる。
金の耳飾り
リリスであることを示す装身具。黄金の蛇を意匠化している。
フォールンダウンを迎えた全てのリリスが身につけており、IDチップも兼ねる。
意匠によってリリス教団内の位階をあらわすといわれるが、リリス以外には見分けがつかない。
混乱を避けるため、リリス以外が金の耳飾りを付けることは禁じられている。
蛇の指輪
リリスが気に入った女性(愛人、恋人、奴隷…etc)に贈る指輪。
市政府から年金を受け取ることが出来るため、下層市民の間では羨望の的となる。
一説にはリリスシンドローム発症者の生活の維持が目的ともいわれる。
ファッション文化
美の怪物であるリリスの支援のもとで、様々なジャンルのファッション産業が栄えている。
デザイナーや芸能人は優遇されており、評価と市場を求めてフィオーレに移住するものも多い。
服飾や装飾品はもちろん、ファッション用途の機関(エンジン)も数多く流通、販売されている。
人工頭髪など機関を使った美容整形はそれほど珍しいものではなくなっており、中には色彩を自在に変える瞳や爪、役に立たない翼などを埋め込むものもいる。若さの維持を求めて高額な人工皮膚や人工臓器機関を追い求める富豪も存在する。
これらのファッション用途機関は基本的に人類種用で、他種族では埋め込み費用がさらに高額となる。
合成食品
合成麺、合成卵、合成ベーコンーー。
都市の住人の胃袋を満たすことに大きく貢献しているのが、オキアミ、クロレラ、大豆などから作られる合成食品である。
その味は従来からある天然物と比較すれば格段に劣るものだが、人が活動することに必要十分な栄養素を含み、なおかつ比較的安価なことから普及している。
合成食品のほとんどは味付けなどがされた調理済み品や半調理品で、加熱や解凍といった簡単な処理ですぐに食べることができることが多い。
コスト面の制約により、一番安価なクラスの合成食品は素材独特の味や臭みの処理が荒く、しかもそれをごまかすためにスナック菓子のような濃い味つけがされている。
いわゆる天然物は高級市民やリリスしか食べられない。
ドラッグ
ドラッグギャングを初めとする最下層の犯罪集団や、闇社会の商人たちが取り扱っており、巨大な地下経済の一翼を担っている。
特に「アムネロール」と呼ばれる新薬は、現在、都市下層において爆発的に流行しているドラッグであり、都市下層の街角に立つ売人の多くが安値で取り扱っている。その効果は「現在という時間感覚の喪失」「極度の多幸感と、特徴的な記憶の混乱」をもたらす。
現在を忘却するという甘美な薬。それがアムネロールである。アムネロールの重度中毒の症状はきわめて致命的である。この薬物の中毒者の死亡率は極めて高い。狂乱してランナーに殺される者、内臓の損傷で死に到る者。そして、最も多いのが……自殺者である。
軍事
フィオーレの軍事組織は、宇宙軍、防空軍、地上軍の3軍種及び準軍事組織である宙域警備隊によって構成されている。
国防委員会は、姫たちの会議に直属する機関で、フィオーレ軍の指揮監督及び軍事戦略の策定を担当する。
国防委員会の下には統合参謀本部があり、3軍種は統合参謀本部を通じて国防委員長の指揮監督を受けている。
宇宙軍
宇宙軍参謀本部並びに統合参謀本部長及び宇宙軍参謀本部長の監督を受ける部隊及び機関から構成されている。
領有宙域及び宙域通商路の維持、防衛を主たる任務とし、多数の軍艦を保有している。
防空軍
防空軍参謀本部並びに統合参謀本部長及び防空軍参謀本部長の監督を受ける部隊及び機関から構成されている。
地上からの領有宙域防衛を主たる任務としており、都市の防衛に於いて宇宙軍を補佐する。
地上軍
地上軍参謀本部並びに統合参謀本部長及び地上軍参謀本部長の監督を受ける部隊及び機関から構成されている。
部隊の殆どは自動人形(いわゆるアンドロイド)によって構成されており、例外は一部将官がリリスであったり、機関歩兵(サイバーウェアを埋め込んだ歩兵のこと)部隊が数個存在するぐらいである。
宙域警備隊
都市近辺の宙域防衛を任務としており、多数の哨戒艦を保有している。
平時においては軍から独立しているが、戦時に移行した場合は宇宙軍の指揮下に入ることになっている。
兵器
艦艇
カステラ級軽巡航艦
艦級 |
カステラ級軽巡航艦 |
前級 |
カスタード級軽巡航艦 |
次級 |
最新 |
機関 |
重水素機関 |
乗員 |
1名 |
兵装 |
荷電粒子砲 |
|
電磁投射砲 |
|
レーザーCIWS |
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誘導弾垂直発射装置(VLS) |
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偏向シールド発生装置 |
フィオーレ宇宙港完成時から開発された、ライブラリの技術を導入した軽巡航艦。
実用性とデザインを兼ね備えた優美なフォルムの艦であり、星団でもっとも美しい戦闘艦の一つとして数えられる。
フィオーレの設計思想として汎用性を重視しており、誘導弾垂直発射装置(VLS)によって、各種誘導弾を1隻の艦船に混載できるため、対艦、対地双方に対応できる能力を備えている。
高性能AIの搭載により艦の制御のほぼすべてはAIによって行われており、乗組員は艦長一人いれば足りる。その艦長も無人艦の欠点を補う為に存在するようなもので、戦闘中であってもAIの提案に承認を与える以上の仕事が必要とされることはまれである。
艦長は通常リリスが就任することが慣例となっており、その性質上戦闘艦と思えないほどの居住性と、生存性も重視されている。
このため、戦闘能力に比しても非常に高価で、ある意味でフィオーレらしい艦といえる。
ユニットコストの影響により配備のペースは緩慢であったが、カスタード級からの更新は完了している。
テリブルドリーム級指揮管制艦
偽神条約機構のナイトメア級戦艦テリブルドリームを改修した指揮管制艦。
元々ナイトメア級は司令部として使用可能な程の設備が整っており、また拡張性も十分にあったことから、とりわけ情報統御、通信設備の大幅な強化を行い、艦隊の指揮専用艦としての運用を目指したのが本艦である。
宇宙空間における軍事行動においては、各艦、各部隊などにおける指揮、統制及びそれを可能にするための通信の確保は重要な問題であり、特に地上軍との連携が必須な惑星制圧戦においては、指揮、統制の徹底、通信の確保は作戦の成否の鍵を握っている。
情報の配信、統御を司る本艦は、艦内に小規模な出版社と印刷所並みの設備を持ち、広報誌等も自力で発行している。
ラング・ド・シャ級強襲揚陸艦
著名組織一覧
企業
フィオーレ宇宙港公社
星団有数の巨大さを誇るフィオーレ宇宙港を運営する国営企業。
フィオーレ経済の要といえる宇宙港からの収益は莫大であり、リリス達の懐を暖かくしてくれる重要な存在である。
リルタニア・ペトロ社(LP)
半国営の総合エネルギー商社。惑星リーリオのガス資源から、フィオーレの鉱山資源までを独占している。
リルタニア・エアクラフト社(LAC)
かなり古くから存在する企業で航空機産業を担う一企業であったが、宇宙船の開発にいち早く着手し、宇宙船産業及び軍事産業の中核的存在になるまでに至った。
リルバーン帝立兵器工廠
陸軍向けの各種兵器を製造する工廠だが、現在では自動人形の製造機関としての色彩が濃い。
自動人形はリリスへの奉仕を第一義とプログラムされ、上層やターミナルで働く女性労働者のサポートとして働いている。
ホールデン・イブ社
上位市民向けにデザイナーチャイルドを提供している最大手の企業。資金さえあれば、誰でも子供を好きなようにデザイン出来るとあって、他国からの顧客も多い。
リシド系の資本が流入しており、株式の取得は全体の三割に達している。
その為、寄生種への優秀な器の供給についての開発研究も行われているが、上層の意向によりリシド関係の研究者は全員が女性であり、またデザイナーズチャイルドも女性のみが製造されている。
ラ・クロワ・エ・リュンヌ社(La Croix et Lune)
リリス系ファッションブランドのひとつ。ヴィットーリア・ブラッフファルド女史がCEOを務める。同名のブランドである“La Croix et Lune”は、とくに人気が高い。
マーセナリ警備保障株式会社
フィオーレにおける総合警備会社の最大手。
個人相手の護衛や、法人・VIP向けの部隊派遣まで取り扱っている。
都市下層は危険に満ちており、殉職者の高い職場であるため、職員には機関化が推奨されている。
ウィンドナルド社
下層住民向け大手合成食品メーカー。下層全ての階層にチェーン店を持つ。主にジャンクフードを取り扱っており、ハンバーガーやチキンナゲットは下層住民の若者に人気がある。
アームド・クロック社
都市の機関(エンジン)メーカーの一ひとつ。戦闘用機関の開発を得意とし、「都市で最も多く殺している」企業の一つともいわれる。アームド・クロック社の機関は加速装置やセンサーアイ、防弾皮膚、インプラント銃器など多彩だが、擬装性や隠密性を度外視しているものが多く、埋め込みは金属や配線が露出し外見は大きく変貌することになる。
近年、サイバー・オーガン系の技術が流入し、性能と凶悪さを増したとも言われる。
スピネル・スキン社
整形外科用の人工皮膚の機関(エンジン)メーカー。同社の人工四肢は生身とほとんど見分けのつかない外見となめらかな動きを持つといわれる。特に防弾皮膚や戦闘用四肢は護衛・運転手・通訳など、外見が重要となる職業に重宝されてされる。
ただし、他社製の機関に比べると性能、コストは劣り、またX線スキャンを誤魔化すこともできない。
代表的な機関はスピネル・アイズという義眼で、性能はもとより、生身の眼球よりも美しいともいわれる。
メトセラ社
新進気鋭の製薬会社で、癌の治療薬の開発や、機関埋込時の生体ショックの緩衝剤の製造で有名。
だがそれ以上に、非常に強引なヘッドハンティングを行う(と言われる)ことでも有名である。
技術者への給料などの待遇は良いと言われてはいるが、アムネロールの製造にも関わっているとも噂されている。
アズテック社
脳外科機関、圧縮学習機器のメーカー。ホールデン・イブ社との提携による、デザイナーズチャイルドの圧縮学習で有名。
非道な人体実験(下級市民の脳を使った臨床実験)や、凄まじい企業間抗争を行う企業でもある。
同社の代表的機関が、脳神経を直接ネットワークに接続し、"ジャック・イン"を可能とさせるニューラル・コネクタである。
ホールデン・イブ社とともにリシド系資本の影響を受けている。また、企業工作員の中にはリシドに寄生されているものも存在すると噂されている。
著名人一覧
リリス
都市の外交を統括する「外務委員会」の委員長。
一見、おっとりとした感じの印象をあたえるが、相手を徹底的に論破することで他国外交官を見下すのが大好きで、論戦になると他国との関係を悪化させることが多々ある。
常にうさぎ型の人形みっふぃーを持ち歩き、外交の場では「主席外務委員長補佐官」として臨席させている。
ランド・プラントの外交官アーテリンデとは親密な中で、休日を共に過ごすこともあるという。彼女の快楽でとろけた顔が何より好きで、彼女を誘惑することが日課となっている。
星団会議に派遣されている外交官。
上層の伏魔殿でサロン「闇と快楽の歓迎会」を主宰する。外見こそ十代半ばの少女だが、少なくとも百歳以上の年齢で、慣習と伝統、誘惑と賄賂を巧みに使い分けて発言力を伸ばしている。愛玩すべき少女を集め、常に何人もの恋人を確保している。少年を女装させ愛玩するという倒錯した一面も持つ。
マファミアのファッションブランドのオーナーでもあり、下層の少女達にもある程度の知名度を持つ。
闇と快楽の歓迎会のリリスはしばしばマファミアに降りて美少女狩りを行うことで有名。犠牲者たちは数日間愛されたあと解放されるが、一様に「魂が溶かされるような、全てが満たされた素晴らしい体験」と語り、"La Croix et Lune"を纏ってリリスを崇拝するようになるという。
快楽によって品位を失いかけたリリスを拘束し、誘惑者として調律する「風紀委員会」の委員長。
天賦の美貌と気取らない人柄から、他のリリスたちからも大変人気があるが、同時に冷酷な調教者として畏怖されている。
彼女の調教を受けたリリスは立ち居振る舞いや口調はおろか、人格まで変えられてしまうという。
天音(改変種・♀)
古安武風の衣装を好んで身につける小柄な少女であり、幼女といっても差し支えないほどの外見で老化が停止している。実年齢は不明だが、性格は外見年齢そのままで、可愛いモノに目がない少女そのものである。無垢な笑顔を振りまき、知らぬうちに見るものを魅了し、心を奪ってしまう。
蛇の歩廊(ギャルリ・ド・セルパン)の女王的存在。また彼女の影響を受けて和服(和ゴス)を好むリリスたちも多い。
下層住民
下層で名を馳せる超A級のランナーであり暗殺者。街路の死神。加速装置と透明化装置、そして単分子鞭を操る。彼に狙われたものは缶詰にならない限り助かる見込みはないが、リリスの暗殺は請け負わない。
下層第六層近辺を彷徨う少女にして、ドラッグ・アムネロールの売人である。エステリアンと名乗る以外、出自は不明。都市下層にあって、誰へも笑顔を向けることができる希有な人間。その儚げな外見から信奉者が多く、彼女の自称保護者は多い。彼女を巡って殺し合いが行われることもしょっちゅうだが、彼女は微笑んで新しい保護者の手に引かれていくのみである。不思議なことに彼女に対して暴力を振るうものはほとんど存在しない。
下層のXランク市民。ランナー。刃渡り1mはある大きなハサミで市民を殺戮してまわるサイコパスである。
アムネロールの重度中毒者とも言われ、今までに七回以上は"射殺"されている。不死身の殺人鬼として恐れられるが、逃亡しているのか、別人が襲名しているのかは不明。防弾皮膚機関を埋め込んでいるのは確実と思われる。
六層より下層では彼のような犯罪者が多数存在し、治安の悪化を象徴している。
下層のXランク市民。ランナー。各種の銃器と超音波機関を用いて殺人を繰り返すサイコパスである。
第五層の私塾で二十二人を虐殺し、五層住民を恐怖に震撼させた"スクールアタック事件"は有名。
一般家庭を襲撃し、一人づつ残忍な手口で殺害後、「貴方方を幸せになどしません」というカードを残していくという。
最終更新:2011年03月02日 09:10