2009/08/10
【第6回SRC学園シナリオコンペ 】

  第6回コンペ参加シナリオ(受理順、敬称略)
  【STAND BY】:マイヤー
  【『途』】:ベニヤ板
  【失恋戦隊業恋者】:匿名A
  【OVER THE LIMIT!】:シャアペン
  【幕間劇】:匿名B
  【騎士としての在り方】:回天
  【テメェら全員死刑!!】:パン
  【[/]】:相原勇人
  【夢密室】:俳諧

全9作が「限界」というお題のもとに作られたとのこと。
もうSRC学園シナリオもやることはないな、と思ったが何かの直感に動かされて
レビュースレで宣言して挑戦することに。ちなみにプレイ順に挙げていく。

なお、書いた人間はSRC学園の各種設定とか、ライトノベル属性に対して強くは無い。
ということを念頭に入れて、読んだり参考にしていただければ幸いである。

  • 【OVER THE LIMIT!】
兄に勝つことで限界を超えようと努力する妹が、これまた仲間たちと
限界を超えた力でもって困難に立ち向かっていった、という話。
作者が作者だったのであまり期待はしていないが、お題に関する取り組み方は分かり易い。

…しかしそれだけで、平坦に微妙なため指摘の言葉も浮かべ辛いと言わざるを得なかった。
兄貴相手への特殊一騎討ち的な内容にして、その中で反射神経との戦いとイベント効果に
力入れたほうが、限界を超えていく感覚をプレイヤーにも訴えかけれたのではないだろうか。

立場を利用し、正の意味より負の意味での限界に挑戦するという手段もあったかもしれない。
てか、俺がシャアペンの立場だったらそっちに挑戦して
自虐系シナリオライターという新機軸に挑戦していたかもしれないw

  • 【幕間劇】
能力を持たない、それ故に限界のある人間の心情を描いた幕間劇。
それ以上でもそれ以下でもなく、画像演出類はほとんど無しで進んでいく。
個人的にはクライマックスのあたりでそういうのを入れて、激しい絶望というものを
演出してくれたほうが嬉しかった。この淡々さ、ちょっと勿体無いかも?

  • 【STAND BY】
能力者であり、琉球武門の使い手ながら、何かしらの限界を目指して迷う男。
そんな感じに見えてくる「比嘉光吉」のひとときの体験談的なお話。

限界に関する捉え方を拾いつつ、今回の企画内で最も爽快感溢れるものになっている。
その源は静と動。BGMと視覚変化の二つの面でプレイヤーに思い知らせてくれる
(人によっては心理的にも大きく影響させられる)ので、深く自分を投影しながら遊びたい。

物語も限界を目指したりしている内に悩んでいた男が、ひとつの出会いと一戦を経て
答えを見つけすがすがしく締めてくれる作風。本当にご馳走様でした。
深く考えながら遊んでも、深く感じようとしながら遊んでも、楽しめる。でも、
この作品に関しては「武術に生きる者」視点なので、感じようとするのがベターか。

  • 【夢密室】
ある能力者の死を調査することになった探偵、「西津志鶴」が解明に挑むお話。
推理要素を真っ向から取り入れており、作者殿が好み…で間違いないと思う。

学園wiki等で設定に関して微妙に覚えていないほうが楽しめるか、明細に覚えていた方が
楽しめるかはちょっと分からない。真相にたどり着けなかった場合や、真相への立ち入り方を
間違えたことによる作者の罠は後者の人種だと引っかかる可能性高いと思うw

ただ感じ方の違いもあるだろうが、「限界」と推理物の食い合わせを整えるのは
正直言って厳しいと思った。
一応、能力者にも限界はあるよ的な文章はあるが、重みに欠けた感じだ…
何かを救おうとしてできなかった場合なら、能力者×限界という言葉は強くなる。

  • 【[/]】
ちょっと普通ではない内面を抱えた「涼宮歩」が、これまた普通でなさげな
人々と接してしまう話。ちょこっとだけ愛想劇的な属性が含まれている。
全員が普通ではないよ、という語りかけが暗に含まれたような読み口が特徴だ。

ずばり言ってしまうと、この作品を真剣に読解する為には
ライトノベル、それもダークとか壊れちゃった系路線の読解経験値が必要になると思われる。
それらがほとんどない自分にとっては、登場人物たちの心情というものが
完全には分からなかったため、良いも悪いもうまいこと評価できない。無念!
「普通で無さ」は沢山伝わってきたのだが、それらが中々昇華できなんだ…

ヤバさとか距離とかの関連で「限界」というものに、まずまず触れてはいるし
終わり際に関与もできてはいる。ちと苦しいかもしれないが…
あとインターフェイスが綺麗。メッセンジャーとかとも干渉しないのが何とも素敵。

  • 【テメェら全員死刑!!】
守れなかったらとってもデンジャラスなことになる、そんな約束の限界時間に
三者三様で挑み、急ぐ様子を実にバカなノリ(褒め言葉です)で描くお話。

高いテンションに画像演出や各種戦闘アニメを合わせまくって、とにかく
クリックして読み進めていくのが楽しめる作風になっている。突拍子も無いヤバい展開も
多数含まれており、こんなんで本当に限界まで間に合うのか!? と
思わざるをえない。気を害しなければスバスバ読み進めれる素敵短編。
剛の者ならギャグにマッチした演出の作り方を学び取れるかもしんない。

特に三者三様の視点と位置がだんだん近くなる後半の展開は、見物である。
それを活かした悲惨な展開の数々も目撃されたし。

  • 【『途』】
「俺が誰かはどうでもいい。旅の共は『天雄槍(てんゆうそう)』の名を持つ槍一本。
今はそれだけで十分だ。」
そんなが門から伸びる三つの道を、己の後悔や絶望が具現化したような光景と共に
ただひたすら、進む。進む。そんな作品。

【[/]】ほどではないが、内面系とか作者本人の意志がわかるスキルがないと
やはり読解が困難になってしまうシナリオ。「俺」の後悔の念や悲しみの感じは
ひしひしと伝わってくるのだが、どうも全体の終わりがパッとこない。
自分なりの答えを導き出すのはちょっと無理だった。二度目の無念…

「限界」に関しては三つの道の果てに、実にそうとも言えるものが待ち構えている。
…しかしこう書いてもベニヤ板氏の考えを汲み取れたかは不明。
本人がトランスして作っていたとかいうオチだったら完全にオテアゲなのだがw

なおこの作品、哲学というより叙情的な要素としてみなすべきだという声もあるらしい。

  • 【騎士としての在り方】
SRC学園の治安を守る組織、クルセイド騎士団に新しく属した「内藤高志」少年が
先輩たちとの触れ合いを経て、限界に対する自分の付き合い方や立ち向かい方を
各個たるものにしていく…そんな感じのお話。

読解困難やお題に直撃してるか怪しい作品もある中、こちらも最初のヤツ同様直球路線。
もっとも戦闘パート・会話パートともにダレを感じさせず、無難に〆てくれる。
まぁ、これは最後に回すより途中とかで遊ぶのがちょうどいい話だろう。

  • 【失恋戦隊業恋者】
高校デビューに失敗し、はみ出ものとなり、正体を隠して
「失恋戦隊業恋者」と呼ぶべきようなチームを組んでしまった者たちの暴走劇。

9作の中でもっともシステム的な限界に挑戦してしまった作品。いや、その、まさか
SRCでアクションゲームを実現に至らせてしまうその発想に、プレイオンリーながらも敗北した!
テーマにシナリオ面で真っ向から取り組む他作品の中で、ここまで進むあたりは鬼才としかw
妙にファミコンチックなだけでなく、効果音にまで凝った通常パート画面も見物。
失恋劇をテーマに取り扱っているので人によってはリアル補正でさらに精神を襲うだろう。

だがしかし、フラグと言えば「 死 亡 フ ラ グ 」というのもあって…
それ取り扱っても問題なかった気がするのだがどうだろうか。

  • 総評
お題反映してたと思う度
【失恋戦隊業恋者】>【STAND BY】≧【テメェら全員死刑!!】>【騎士としての在り方】≧【OVER THE LIMIT!】>【『途』】≧【幕間劇】>【[/]】>【夢密室】

楽しめた度
【STAND BY】>【テメェら全員死刑!!】>【失恋戦隊業恋者】>【『途』】≧【騎士としての在り方】>【夢密室】≧【[/]】≧【幕間劇】>【OVER THE LIMIT!】

自分の中では大体こんな感じ。知らなくてもそのシナリオの中だけで楽しめる要素があるか否かで
評価明暗はきっぱりと分かれた感じだろうか。
合わないものばかり遊んでグロッキーになったらという不安はあったが、いざ一気に
遊び倒してしまうとそんなこともないもんだった。人間やってみるもんだ。

ひと夏のある日々に、さまざまな「限界観」を楽しめた。悪くないものだ。
特に上位陣の方々は、もし夢のようなものを抱えているのならば
それを潰えさせぬよう頑張って欲しいと思っている。

今作は限界といってもさまざまなものがある。というわけで
真に楽しみたいならば、どんな属性を目当てにするかより
何が来るか楽しみにしてひとつひとつ攻略するのが最善だろう。

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最終更新:2009年08月09日 20:39