作品名  凶風のスカイファング
作者  ハシモト
公開サイト http://f55.aaa.livedoor.jp/~akaibuta/


  • 始める前に
添付テキストから読むのはお約束よね。
読んでみると特殊な戦闘システムを搭載している事が分かる。
簡単に要約すると戦闘は主に以下の3つの要素が中心となる。

行動量……
EN。陣営に関係なく、これが続く限り1ターンの間に何度でも行動できる。
移動や反撃の時にも消費するので注意が必要。基本的にターンの開始時に全回復する。
一見するとバランスがガタガタになりそうなシステムだが、そうならないように工夫が凝らされている。
詳細は防衛領域の項を参照。

コンボ……
同一ターン内で敵を連続で撃破すると得点にボーナス補正がかかる。
得点とは一般のシナリオで言うところの資金にあたる。

防衛領空……
平たく言えばZOC。効果範囲は基本的に3マスで、行動量が一定以下だと無効化される。
このシステムのおかげで味方が集中攻撃を受けるのを妨害する事が出来る。
逆に言えば敵の連続撃破を難しくしている要因でもある。
変形できる味方ユニットは『侵攻力』重視、あるいは『防衛力』重視の2形態に移行可能。
ただし1ターンの間で2つの形態に移行できる回数は各1回のみ。

これら以外にもSPの消費量や効果を多少いじってあるようだ。

ちなみに作者氏は今回レビューする本作の他にも
【皇鉄のメタルフォルテ】や【Over Cross Worlds】などのシナリオを公開している。
この作者の作品に触れるのは今回が初めてだ。当然だがこの人の作風や他の作品の内容は知らない。
以上を踏まえた上でレビューを開始する。

どうでも良い事だが去年、ここで【ロードオブファーブル】のレビューをやったのも私だ。


  • オープニング
イベントファイルを読み込むとチュートリアルを飛ばすかどうかの選択肢が出る。
初めてなので勿論見る。案内役を務めるのは『雲上風南』という女の人だ。
わざと読み仮名を振らなかったのだが、読めた方は居ただろうか? これで『うんじょう かざな』と読ませる。
苗字は問題ないが名前の方を一発で読める人は珍しいだろう。
普段使わないような漢字が並ぶのも目が痛くなるが、
簡単な漢字のみでも読み方が分からなければ今度は頭痛の種になる。
まだ一回しかクリックしていないのに不安になってきちまったぞ。

学徒志願兵を指導するという形で戦闘システムについて説明がされる。
彼女によれば『人が足りないから学徒志願という名の徴兵制度が認められた』というのだが、
ここに少し違和感を覚えた。
徴兵とは兵役の義務を課す事であり、逆に志願とは自ら申し出る意味で使われる。
ここは自ら志願するような形になるように、政府が一般市民に働きかけたと解釈しよう。
第二次世界大戦でもマスコミが『捕虜になる辱めを受けるぐらいなら自決しろ』と
煽った事をご存知の人も居るだろう。
実際はそんな命令など出ていなかったので、ちょっと例えとしては不適切だが。

チュートリアルが終了するとオープニングテロップが始まる。
ここで説明されるものを要約すると
「突如として謎の生命体『カオスティア』が現れ、地球を蹂躪。
 それに対して人類が力を合わせて戦うも、
 物量に押されて組織的な抵抗すら出来ない状況まで追い込まれていた」
ガンパレードマーチや地球防衛軍に近い世界観だ。あまりごちゃごちゃしていなくて大変よろしい。


  • 第1話
主人公はツバサという名の青年。彼が守るべき者や仲間を失うところから始まる。
生き残ったのは歩兵である彼1人。カオスティアに囲まれ、ただ怒りに身を任せて力を振るう。
ここで戦闘が開始される。敵は全部で4体で、ほぼ一撃で倒せる。練習の為の戦闘だ。

3分ぐらいで戦闘終了。すると敵の増援が出現。さっきより質・量ともに上回っている。
「生身でどうにかなる訳ないだろー!」と思っていると謎の声が聞こえてくる。
声の主は力を授ける代わりに、憎しみや激しい怒り感情を貸し与えろと言う。
持たざる者となったツバサはその契約を受諾。気が付けばツバサは声の主と共に機体の中に居た。
声の主はシルフィンドという名の少女。彼女のモノローグなどから想像するに異世界から来た人間らしい。
異世界から来た少女と契約を結んで、ロボットを召喚か。
【ティーアツティーレン】や【ギガンデモナ】を思い出すなぁ。

ツバサは召喚された機体をスカイファングと名付け、再び戦闘へ。
今度はマップ全体に敵味方が配置されているので、接近するだけでかなりの行動量を消費する。
全滅させるだけなら楽なのだが、コンボボーナスを狙うと苦労する。そういうバランスだ。
また防衛領空の項でも述べたが、敵が連続行動をしてくるので、下手をすると簡単にやられてしまう。
調子に乗って行動量を使いすぎると、ZOCが発生しなくなるので要注意。

連続行動というシステムに触れながら思っていたのだが、
プレー感覚としては【アサルトホーク】に近いものがある。
あっちは味方は範囲攻撃のみで、かつ行動回数に制限のあるスタンドアローンだが。


  • 第2話
謎の集団の会話から始まる。パイロットアイコンがメタリックな質感で、どう見ても人外の方々です。
だが、ここで思わぬ落とし穴があった。

「こいつら、パイロットアイコンじゃ見分けられねえぇーっ!!」

構図は兎も角、色調が同じで名前も全員『???』なんじゃ誰が誰だか分かんねえYO!!
喋り方に差をつけることで何とか差別化しようとしているのは分かる。分かるのだが、焼け石に水だ。
『世界の核』という単語に言い知れぬ不安感を覚えたが、
シルフィンドと敵対しているらしいというのが分かっただけでも是とするか。

所変わってツバサ達はスカイファングで移動中。
さーて、次はどうなるのかなと思っていたら、ここにも落とし穴が。
『シルフィー』ことシルフィンドが駄々をこね始めたのだ。
体の構造が違うから老廃物が出ないけど、ホコリや塵で体が汚れるから風呂に入れさせろだと?
1話の時点で既に風呂がどうとか言ってられない状況だろう。
それでいながら『風呂を沸かす燃料があるくらいなら、
暖かい食べ物を用意した方が建設的』とツバサが言っても、
それだけの食糧が用意できないと反論。食糧さえ見つからない中で、
燃料を確保する労力なんて割く奴は居るのだろうか?
シルフィーは感性も色々と常人離れしているらしいです。
会話の最中に進行方向上にカオスティアに群れを発見。
生存者が襲われているかも知れないと2人は群れの元へと急行する。

マップが表示される。案の定、カオスティア群れに囲まれた人たちが居るようです。
しかしここにも4つもの落とし穴があった!
いきなり『セティー』という名前の『ロリ艦長』登場です。
しかも『ボクっ娘』ですよ。堪らない人には堪らないでしょう。
うひゃあー、堪らないなぁ。なんてオタクくさいのを出しやがるんだッ。
次に目を引いたのが『芽鐘』という名前の眼鏡をかけた男性。
「『芽鐘』って、どう読むんだろう?」 その答え合わせは後ほどに。
続いて爆弾が登場。『原雄』っていう軽そうなアンちゃんなんですがね。
今度の問題は『名前』とか『容姿』とかじゃないんですよ。喋り方なんですよ。
だって第一声が「みゃ~」ですよ! キモッ! キモいッ!! キモ過ぎるわッ!!
こんな喋り方の奴を出すなんて! 雰囲気がブチ壊しじゃねえかッ。
最後はこの中ではまあ、まともな方だ。
名前が『ナハト』で、苗字が『愛染』というんだが、ハーフと仮定すればまだ納得できる。

ようやくツバサの身分が発覚。『第三次東京攻略戦』に参加した兵士の生き残りという事らしい。
東京攻略戦後に生き残ったという事は現在地は日本の何処かということなのだろう。
しかし名前に横文字が混ざったりして統一感がないので、そうでない可能性も捨てきれないが。

そして戦闘開始。敵が散らばっている上にほとんどが自分からは近づいてこないので、
こちらから打って出る必要がある。
単機で突っ込むような事をしなければ、味方はまず落ちない。
コンボを狙う場合はスカイファングのマップ兵器で削ってから、次のターンで一気に勝負にでた方が良い。

戦闘後、とりあえずツバサ達はランドシップ着艦。クルーとの会話が始まるのだが……。
ぐわー、また妙な喋り方のキャラが……。オレっちはこういうの苦手なんだよ!
急にBGMがほのぼのとしたものに切り替わる。な、なんなのだ、このBGMは……。
「今までの流れとミスマッチしている」というのが正直な感想だ。
作者さんがシリアスがやりたいのかギャグがやりたいのか分からないぞ。
2話での最大の肝がパイロット達の自己紹介。
パイロットの名前は『疾風刃』、『秋葉原雄』、『銀縁芽鏡』でしたー。
さて、ついでに先ほどの答え合わせです。『芽鏡』はおそらく『めがね』と読むものと思われます。
ぐわぁっ! なんて事だ! 心が……渇くッ!!
これじゃあ、まるでギャグ漫画に出てくるような名前だ。
シリアスをやりたいのなら、もうちょっと何とかしてくれェー!

2話の締めくくりは即興でキャッチフレーズっぽいものを。
「体は子供、頭脳も子供。その名はロリ艦長セティー!」
要するにただの子供じゃねえかッ!!


  • 第3話
初っ端から和気あいあいとしたやり取りから始まる。
うーん、筆者は絶望的な状況だったら悲壮感は必須だと思っているのだが。
セティーが蒸しタオルで体を拭いているところに乱入したツバサとシルフィー。
おっと、選択肢が表示されたぞ。一体、何を選べば良いのやら分からない。
イベントファイルを覗くと特定の選択肢を選ぶ事でヒロイン達の好感度が変化するらしい。
しかし現時点ではヒロイン達に魅力を感じるどころか、興味すら持てない。
あれ? 前にも確かこんな事があったような……。
こんなところでギャグに百合描写。まともそうだったナハトも普通じゃねえのかよッ!

BGMが暗いものへと切り替わる。カオスティアの対策についての作戦会議の場面だ。
カオスティアとは異世界から進入した混沌で、恐怖や絶望を喰らい世界の核の入手を目論んでいる。
そして核の失われた世界は滅ぶ。という事らしい。
その対策は徹底抗戦して、混沌の侵入経路である穴を塞ぐのみであるとの事。早い話がモグラ叩きという訳だ。

そういった話をしている傍から、付近に『穴』が出現。『穴』を塞ぐ為の戦闘に入る。
なにィ!? 21×40 なんて広さのマップだ! しかも敵の数が前回の倍ぐらい居やがるぞ!
ここまでマップが広くて敵の数が多いとクイックロードするたびに5秒ぐらいかかる。

コンボを繋ぎまくって3ターン目にしてほぼ全ての敵を撃破。
ボス戦の途中で味方が落ちるも、コンボによるボーナスで残機が増えていた為に即時復活。
復活が一回発動する都度に残機を消費するが、HPと行動量が全回復する。
もしかするとこれもコンボ数を増やすのに利用できるかもしれないが、
唯でさえ敵の数が多くてやり直しが面倒なので今回は止めておく。

エピローグで他の整備士も顔見せ。なのだが……。

「うわ、酷いです。私にはですね
 高鉄禾亜(こうてつ のぎあ)って
 素敵な名前があるんですからね?」

そうだね。この作者さんのネーミングセンスは素敵過ぎるよ。


  • 第4話
ああ、何と言うかアットホームのつもりなのだろうが、主人公達がちゃらんぽらんな様に見えてしまう。
それなりに大きな湖を発見。水の補給をしている間に女性陣は水浴びをする事に。
覗きに燃える男性陣(の一部)が画策するものの、実行に移す前にナハトにばれてしまいましたとさ。
はい、お約束の展開。と思ったらここで意外な台詞が飛び出す。「覗きをしろ」だとォ!?
『露出狂』なのかよッ!! と思ったらセティーの裸を記録しろだって。
Fuckin Shit! クロスアウッ(脱衣)な展開を期待をしたの俺が馬鹿みたいじゃないかッ! フォォォー!!
ギャグは斜め上を行ってこそだろう! どっちにしろ変態じみているがな。
整備主任(女)が対象が女性限定で『露出狂』の気がある事が判明ても、
テンションが低いので笑いどころにはならない。
堂々とした態度をとってるのが裸を見られただけで赤面するシルフィーとかも
テンプレに忠実過ぎてあんまり意外性を感じないしなー。

水の補給中に敵の襲撃だ。ランドホバーシップがしばらく行動不能な為に、守勢に回る事になる。
戦闘システムの仕様上、当然のごとく母艦が敵の猛攻を受けて瞬殺される。
脇目も振らずに母艦に突っ込んでくる上に、何度も移動されるからZOCで防ぎきれねえー!
全ての敵を1ターンで撃破するというスタイルを諦めなければならないのかも知れない。
敵の増援に新しいタイプのユニットが出現する。
高い機動力を持つ近接タイプだ。おいおい、またZOC破りしてくるのかよ!
だ、駄目だ。やっぱり敵を食い止めきれない。少しずつ撃破して行くしかないようだ。
……と考えるのは普通のプレイヤーだ。ここは敢えて作者の意図に反逆してくれるわ!
こうなったらマップ兵器についている『引』属性を利用して母艦を無理にでも動かしてくれる!
やったー! クリティカルが発生して母艦が引き寄せられたよ!
フフフ。2体ほど倒しちまったが、俺の執念勝ちだ。
と思っていたら甘かった。先の新規ユニットに囲まれてやられた。うわー。
仕方ないのでインターミッションからやり直す。
敵がビーム攻撃と近接攻撃が主体だったので、原雄機に装備させていたアイテムを母艦に付け替える。
装備させたアイテムは『アンチビームコート』や『グラップルブレイカー』だ。
これで『B・武・突・接』の4属性の攻撃のダメージを500減少させることが出来る。
3話で敵を全滅させていれば、多分手に入っている筈だ。
すると今度はランドホバーシップが鉄壁の要塞と化す。防御すれば、ほぼノーダメージ!
母艦を囮にしつつ、敵の増援が出きったところで1ターン内で敵全部を殲滅じゃあ! ワッハッハッハッ!!

エピローグ。今更シリアスに戻っても、ストーリーの流れがブツ切りにされているような気がしてならない。
シリアスな場面とギャグな場面の切り替えがうまく行ってれば、こういう事態は避けられた可能性もある。
こういう時は何かズバッとストーリーの流れを変えるような、そんな出来事や事件が欲しいところだ。


  • 5話
4話エピローグで触れられたツバサの恋人『舞香』が妹『媛(ヒエン)』と共に登場。
彼女が発信したSOSの電波をキャッチし、救助へ向かう。
そして保護する直前に3話のエピローグで出てきた謎の男も登場。敢えて『舞香』を襲わなかったらしい。
謎の男か伏せさせていたカオスティアが出現し、カオスティアの攻撃で舞香はあっさり死亡。
ああっ、感動の再会に浸る時間もないもないのか……。
いきなりヒエンがなにやら『グランフラム』というロボットを召喚した。
まさかシルフィーの同族の仕業かッ? そう思ってたら『ヴァル』という少女が出てきた。
シルフィーによれば彼女はカオスティア殲滅に秀でた力を持つワールドガーディアンとの事だ。
いつの間にかヒエンとの契約を成立させたらしい。
予想外の敵が増えたという事で、謎の男は様子見を決め込んだようだ。

さて、戦闘に入るのだが今回の敵は何時も以上に質が高い。
一番弱いものでも準ボスクラスの能力持っている。そして今回新しく加わった敵は恐ろしく堅い。
まあ、こちらも『ヒエン&ヴァル@グランフラム』が居るので大丈夫だろう。
移動力が2だったり、気力が120以下だと毎ターンHPが20%ずつ減少するというマイナス能力が付いているが
グランフラムには射程1~5の全方位攻撃がある。
駒としての取り回しは悪いが広域殲滅能力ならばスカイファングより上だ。

戦闘終了。ようやっとストーリーの軌道修正に入ったようだ。
しかし状況が大局的に動きそうな気配は今のところ感じられない。
そろそろ次の段階へ進んで欲しいのが正直な感想だ。


  • 6話
「予備の部品が無いので、どーしよう?」というお話。
幸い月面の無人プラントからコンテナが近くに落ちてきたので回収しに行く事に。
正しくは『物資輸送ポット』だが面倒なのでコンテナと表記する。
まあ普通は『ポット(Pot)』ではなく『ポッド(Pod)』ではないのだろうかとか
形状からしてポッド(鞘状の物)と表現するべきだろうとか、
ポットだと陶器やガラスの入れ物になっちゃうじゃないかとか色々思う事はあるのだけど。
ああ。後ね、月面から定期的に物資が送られてくるなんて、某OOの太陽光発電システムを彷彿とさせますな。

陸上ユニットでは移動しにくいマップだ。コンテナは全部で7つ散らばっている。
各コンテナにランドホバーシップが隣接する事で回収したと判定される。
初期段階では敵は配置されていないものの、敵が出現したら全部回収するのは難しいだろうなぁ……。
それでも試してみるものさ。俺はそういう人種だから。

とりあえず手近なコンテナから回収。すると敵増援が。
どいうやらコンテナを回収するたびに敵が出現する仕掛けらしい。
とりあえず適当にやってみたが、全部回収するのは計画的にやらないと無理と分かる。
少なくとも今までのように1ターンでほぼ全ての敵を撃破するというスタイルにこだわっている場合はだが。
移動可能な場所が1マスしかないのに、そこの上に敵が出てきたりするので、どうしても進路が妨害される。
1回目は敵の位置を知る為のプレーと割り切って適当にやる。
ちなみにコンテナを引き寄せる事は出来ないらしい。

さて、本番は2回目だ。フッフッフ、このステージの構造は1回目で見切った!
ターンが幾ら経過してもコンテナを回収しない限り、敵は出現しない。
だったら母艦の初期位置から遠いところににあるコンテナから回収すれば良いだけの事。
敵が出現すればスカイファングの引き寄せマップ兵器でショートカットも出来るしな。
そんな訳で順調にコンテナを回収していく。
だが、最後にコンテナを回収したところで恐ろしい事態に。
7回目の増援が無茶苦茶なのだ! HP30000で装甲1800とか、こんなの倒すの無理だろ! しかも5体も居る。
添付されている攻略テキストによると、倒す事は『可能』らしい。
もしここで5体全て倒していると6話終了時に隠しユニットが味方に加わるのだとか。
しかしそこまでする気にはなれない。6話の戦闘はここで切り上よう。

今回の収穫はビーム攻撃に対してほぼ無敵になれるアーマーや
分身能力を付加するアイテムや行動量を消費せずに使える銃器など、中々の物だ。
エピローグを読み進めているとまた選択肢が出る。
ヒロインの好感度が変化するといっても、未だにそれほど興味が沸かない。
見た目が好みとかそういうのが居るわけでもないし、こういうのはその……何だ……困る。
6話のエピローグを締めくくるのは何度か仕掛けてきた『謎の男』と
2話の冒頭部で出てきた異形の一人『聖女』との会話だ。
『謎の男』は何か目的があってカオスティアに与しているような、そんな引きで終了。

参考までに報告しておくと筆者の総得点は6話終了時で259595だ。
ただし偵察行動を1回もしていないという事を付け加えておこう。


  • 7話
冒頭部で他の部隊と交信するが、やはり余所も芳しい状況ではないらしい。
斥候によりカオスティアに囚われた民間人が発見されたとの報告がなされる。
そしてセティーは救出の為に現場に急行するとの判断を下すのだが、
物資に余裕も無く、先の見えない状態で安易に敵に突っ込むのはいかがなものかと思う。
現在の状況では農業であれ工業であれ拠点を構えて物を生産する事自体が無理な気がする。
そうなると民間人を助け出したとしても、
生産活動が不可能なのでは物資を無駄に消費する一方になる筈だ。
セティーさん。他人に手を差し出す前にまずは自分の部隊全体の事を考えてあげてください。

まあ、筆者が何を思おうが救出作戦は始まる。
今回の勝利条件は1ターン以内で敵のほぼ全てを撃破しつつ
特定のマスに味方が到達する事なので、最初から自分のスタイルで攻略する事になる。
マップはいつも通り広い。そして敵は全体に満遍なく散らばっている。
今回は水中ユニットが初登場するのだが、これが意外と曲者だ。
元々そこそこの耐久力を持ち、また味方の武器の水中適応が全体的に低い事もあってかなり堅い。
それに加えて高いレベルのZOC能力を持つので、大半のユニットが移動妨害されてしまうのだ。
これはちょっと難しいかも知れないと思いつつ戦闘開始。
まずは原雄のSP「幸運」を使ってコンボ数を最大まで引き上げる。
一々敵を撃破する順番なんて考えていられないのもあるが、もう一つ理由がある。
わざと撃破されてHPと行動量を全回復させるテクニックが使える回数を増やし、
可能な限り行動回数を水増ししたいからだ。

水中ユニットに苦労しつつも敵を全て撃破して勝利条件を満たす。
すると謎の男こと『熱風のヴェノバノス』が増援として登場し、民間人をあっさり焼き殺してしまう。
ヴェノバノスが現れた途端にシルフィーの様子がおかしくなる。
どうやらヴェノバノスはシルフィーの知り合いである可能性があるらしい。

中級以上のカオスティアが増援として配置されたところで後半戦へ。
敵の数は前半の3分の1以下ではあるものの、質が高い上に気力が上昇しているのでそれなりに強い。
もっともマップ兵器で吹き飛ばせないほどではないので、簡単に片を付けられる。
問題はヴェノバノスが駆る『バーンフォルス』だ。
わざと記述を省いてきたが、ツバサの『スカイファング』と
ヒエンの『グランフラム』にはそれぞれ属性が設定されている。
『バーンフォルス』に設定されている属性の関係で、ダメージを受けにくく与え辛いという状況なのだ。
また『バーンフォルス』自体の火力もそこそこあるので、他のユニットで攻撃を仕掛けるのは危険でもある。
対策としてはジンの牽制を使って行動量を下げてから、
SP「ひらめき」の使えるユニットで反撃を誘って行動量を徹底して削る事だ。
そうすると反撃の発生そのものを抑えられる。
反撃されなければ回避力や耐久力が低かろうが問題ない。

1ターン目の内に増援も含めて全ての敵を倒し終わると『バーンフォルス』が復活して
最後っ屁とばかりにランドホバーシップを攻撃し、ヴェノバノスは逃げ出す。
そこでとんでもない事態(少なくとも主人公達にとっては)が発生する。
整備士の1人(男)が瀕死の重傷を負ったというのだ。
しかしきちんとした設備などないので出来る治療も高が知れている。
その整備士は手当ての甲斐なく息を引き取った。
……作者さんには大変申し訳ないのだが、筆者はこの場面で別に何の感慨も感じなかった。
というのも共感できる部分の無いキャラなので、生きようが死のうがどうでも良いと思っていたからだ。
死亡させるなら死亡させるで、もっときちんとした掘り下げが欲しかった。
これは今回死亡した彼に限った話ではないが……。

ふと思ったのだが何をもってカオスティアの勝利となるのだろうか?
世界の核を手に入れるといっても、それに必要な工程が良く分からないので
どうやったら次の段階に話が進むのか想像も出来ない。
またカオスティアに対するワールドガーディアン(以下WG)の側も
それを阻止する為にもっと効率的な手段を執るという事は出来ないのだろうか?
カオスティアの上位存在を引きずり出す為だと分かっていても、
このまま延々とザコを潰すのはプレイヤーとしてはかなり辛いものがある。
上位存在を直接狙う手段ぐらいWG側が用意出来ててもおかしくないと思うだが。

最後に今回の成績発表。244800点。


  • 8話
視点は変わって7話で主人公達が交信していた部隊に。
何だかセティーの判断を非難するような雰囲気だったものの、
結局やってる事は変わらねえじゃねえかァー!

Talk 豊和愕人
これだけ強力なSOS信号だから
月面の無人プラントに届いていた場合; 何らかの形でペナルティーがある可能性が高い

ここの台詞の意味が筆者の頭では理解出来ん。
月面のプラントがSOS信号に反応して物資を投下するんなら
今頃世界中でSOS信号だらけで物資の争奪戦ですよ。
これまでの流れからすると実際にそういった事をしているという訳でもないようだし。
この後『カオスティアを殲滅すれば月面からの補給が増える』ってような意味合いの言葉も出てくる。
ええい、倒しても倒しても数が減らないから問題になってるんじゃなかったのかYO!!
これらの理由から救援に向かうのをこじつけたとしか思えんのじゃ。
お前らだって人の事を言えるのかよ、プンプーン!

また死者が出たよ、パパン。しかもSOS信号を出した部隊が全滅。しかしそれはまだ良い!
気になって仕方がないのは、「木桜聖」というお嬢ちゃんが特別製らしい機体に乗って現れた事だ。唐突に。
「名前が『ひじり』ではなく『せい』と読むのかよ!」 とか思ったが、それ以上に突っ込みたい事がある。
「お前はどういう経緯でここに居るんだ?」 まずはこれですよ。
困った事にそれが全くの説明無しなんですよ。それだけじゃあ、ありません。
いくら機体にステルス機能が付いてるからって、
他の奴らが難儀している補給や整備はどうしていたのかって疑問まで沸いて来ちゃって……。
しかもよりによってWGではないようだし……。まったく、謎が謎を呼ぶぜ。HAHAHA!!

色々と(筆者の頭の中で)あったが、戦闘開始だ。味方はセイ1人のみ。
ただしステルス機能を利用して奇襲をかけたということで、
敵が浮き足立って『移動不能』になっている。それでも1ターン目は何もしないが。
2ターン目になると味方増援出現。先ほど冒頭部でスポットの当たった部隊だ。
内訳はランドホバーシップ、高いZOC能力を持つ機体が1機、
そしてこれまた強力なZOC無視能力を持つ陸戦機が1機だ。
ランドホバーシップの能力を確認してみると、
セティーの登場しているものとは違って威力の高いマップ兵器がついている。
射程は1~2で範囲は拡散型だが移動後に使える上に行動量の消費も控えめだ。
何度か触れたと思うがランドホバーシップの移動力は2だ。
こちらには加速を持ったパイロットは乗っていないものの、
与えられるダメージの事を考えれば行動量を移動に費やしてもお釣りが来る。
幸いにもメインパイロットが気迫を習得しているので、初っ端から使えるのだ。
さあ、行けい! ……あら? 使用条件は満たしているのにマップ兵器が使用不能だと!
武器属性を見ると原因はすぐに分かった。なんと『突』属性が付いているのにユニットの空中適性がEなのだ。
本作では地上の敵がほとんど出てこないので、いくら優秀な武器でもこれでは使い物にならない。
また移動力が2では山地を移動出来ないので、このステージでは味方を巻き込むように使うのも困難だ。

気を取り直して戦闘再開だ。5話から加わった例の固い敵が、このステージではボスとして設定されている。
さらに山地で地上に降りられるともう大変で御座います。削っても削っても中々倒せないよ。
空中に居てくれるなら地形効果がない上に、対空攻撃がダメージ2倍になるので対処しやすくなるのに。
残機数を利用した行動量の水増しもマップの構造上、非常にやりにくい。
仕方がないのでハイパーコンボを1回使って、無理やり全滅させる。

戦闘終了後の会話によるとセイはカオスティアに復讐する為に、今回共闘した部隊と合流する事にしたようで。
ヒエンと同じく復讐の為に戦うのか……。
しかしWGの影が見えないのは強い憎悪を持っていないという事か? 復讐というのも何処まで本当なんだか……。

場面転換。視点が主人公達の方へ戻る。
抗欝剤。なんと聞こえの良い事かー。
与太話になるが抗欝剤というのは気分を高揚させるものではなく、
普通は不安や緊張を和らげるものだ。それは何故か?
躁鬱病を患っている患者さんは強度の鬱状態ならば行動力を失っているが
強度の躁状態になった時は逆に行動力に富んだ状態になる。
その為に衝動で自殺してしまう危険があるからなのだ。
ま、聞きかじった程度の知識だから正確さは保障しかねるが。
要するに主人公達の置かれてる状況ならば逆にハイになるのは危険ってこった。
酒はともかく薬に逃げた人間の末路はろくな話を聞いた事がない。

次ステージ情報を参照すると9話からルート分岐が起こる模様。
しかしこれ以上のプレイは気力が続きそうにない。
今回のレビューはこれまでとして総評に移ろう。



○総評
独自戦闘システムについては素直に評価できる。お世辞抜きで良く出来ている。
結果として今まで散々扱き下ろす事になったけれども、ゲームとしては遊べるシナリオだ。
ただしプレースタイルによっては大きな足かせになる可能性もある。
敵の数が多いと複数回行動がデフォルトのシステムが、逆に戦闘のテンポを恐ろしく悪いものにしてしまう。
さらに筆者のようにより多くの得点を稼ぐ為に1ターン内で敵を全滅させようとした場合、
待ち伏せをしなくてはならない状況が少なからずある。
先も記述したようにZOCは動けなくするのではなく妨害するだけなので、1マスずつならば動く事が出来る。
この事から複数回行動によって防空領域が突破されるか、
あるいは攻撃可能な座標まで移動されて集中攻撃を受けるのも珍しくない。
一旦敵の射程圏内に入ると最低でも2~3回は攻撃を受けてしまうので、
回避力のないユニットは簡単に撃破されてしまうのだ。
この点が不満に思うプレイヤーはスコア稼ぎをせずにさっさとクリアしてしまったが良い。
ちらっと触れたと思うがインターミッションに偵察行動というコマンドがあるので、
得点や経験値を稼いだりしたい場合は素直にそれを利用する事を推奨する。

さて、ゲーム部分の評価の次はストーリー部分だ。
本作は一定以上の質がある事は認められる。楽しめる人が居ても別におかしいとは思わない。
だが序盤の掛け合いが足を引っ張るような形になって、
筆者は最後まで感情移入出来なかった。非常に残念な事だ。
ギャグをやってはいけないと言っているのではない。
笑いを取るにしても越えてはならない一線というものはある。それに気を付けるべきだと言いたいのだ。
例えばリアルな戦争を描いた作品と謳っていながら、
物資不足を笑いのネタにされたらどう思うか想像してもらいたい。
実際にそんな事態になったら死活問題だ。笑い事ではない。
ギャグやシリアスを織り交ぜるにしても、やはりある程度の一貫性は必要である。

続いてストーリーについて、もう一歩踏み込んだ話をしよう。
本作は設定を開示する事で物語の核心へと近づいていくタイプだ。
こういった作品にありがちな事として、設定を語る事に終始してしまう事が真っ先に挙げられる。
ここで一つ断言したいと思う。

「『設定の開示』と『ストーリーの進展』は別物である」

申し訳ないが率直に述べてしまうと作者氏は設定の開示に夢中になり過ぎて、
話を進めるのをお座成りにしてしまった感がある。
主人公達が自分達の未来を『先が見えないもの』と思うのは問題ない。
しかしプレイヤーがシナリオの進む方向が漠然とでさえ分からないのは
要らない不安感や閉塞感を与えかねない。
人によってはそれを『つまらない』と感じる場合さえある。
今後の展開の予想がつかないと言われる時は様々な可能性の中からどれが実現するか、
あるいは別の道が生まれるかどうか分からないからであって、全く想像の手がかりすら無い状態ではない。
あくまでも想像力を掻き立てられる事が必須なのだ。そこを勘違いしてはいけない。
またストーリーを進めないならば進めないで、
主人公であるツバサを取り巻く人間関係の変化などに積極的になって欲しかった。
毎回同じようなに展開ばかりでは誰だって飽きてしまう。
媒体を問わず受け手を飽きさせてしまうと、途中で投げてしまうのもよくある事だ。

本作をプレーしている内に似たような状況の作品として『絶望の日』を思い出した。
筆者も昔あのリレーシナリオをプレーした事があるが、
あれはイベントファイルを進める度に必ず目に見える変化が起こり、『おおっ』と感動したものだ。
作者さんはガンパレを知っているようなので、もしこのテキストに目を通しているのならば
これを機会に『絶望の日』をプレーしてみてはいかがだろうか?
古い作品である上にガンパレの裏設定などを知らない方にはとてもオススメできる代物ではない。
しかしそうでなければ、あれは間違いなく掛け値なしに楽しめる筈だ。良い意味でも悪い意味でもカオスだが。

最後にどうしても書いておきたいことを一つ。
「セティーだけ名前が浮いている」
やっぱり日本人っぽい名前の中でただ1人横文字だとねぇ……。
それと同等以上に変な名前の奴も多いけどな。
この作品は絶対に名前で大きな損をしている。やっぱり名前は大事だよね。

拙い文章ではあったが、これにて【凶風のスカイファング】のレビューを終わりにしたい。
最後に。こんな長いレビューを最後まで読んでくれたあなたへ「ありがとう」。


追伸
クイックロードは地獄行きの往復切符。何度も繰り返せる分、タチが悪い。

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最終更新:2009年02月27日 00:33