【Dragon’s Child】
ドラゴンズチャイルド・作:西田瞬平氏
オリジナル等身大・王道現代ファンタジー
 全十五話予定。現在八話まで掲載されていて、以降の掲載は停滞している模様。
作者の日記は忙しいながらも製作過程が時折更新されているので、次章が出る目処はあり。


 舞台は魔物が現出した二十一世紀の日本、平時に潜伏していた設定で魔術師も登場。
作者自身が典型的なボーイミーツガールと謳ってる通り、物語は正統的な超人もので陳腐。
悲惨な身上のヒロインに主人公が協力し、争いに巻き込まれて闘いを乗り越えていく。

 序盤の逃走シーン以降、あまり盛り上がらず、台詞が洒落ていても味気ない。
差し当たり敵との力比べと凡々な設定の判明だけで感動がなく、とんとん拍子で激動もない。
登場人物は創作としては平凡な面子で、人数は多いが描写に乏しく全体的に印象が薄い。
主人公がどこか浮世離れしている苛烈な超人なので、感情移入し辛いのも厳しい。
真面目な正統派の作風だが序破急でいう破が貧弱、劇的な場面が足りない。
それと戦闘や恋愛、確執、燃え、萌えにせよ、そういうウリに欠け散漫、焦点の必要性を感じる。

 何かと設定に反してあっさり風味で興奮に駆られず力に欠け、次の展開が大して気にならない。
全くの邪推だが、そのせいで反応や要望が少なく、作者の意欲を削いでいるのではないだろうか。
また現実との乖離や状況の齟齬で疑問点もあるが、ファンタジーなので仔細な指摘は割愛。
登場者や勢力の風呂敷広げている割りには展開が鈍行で、完成の望み薄なのが最大の欠点。


 戦闘はボーナス条件込みでも、標準的な難度。
ただし章が移るにつれ、ヒロインがクリティカル一発、通常攻撃二回で墜ちたりする。
面子も少人数なので、徐々に運が重要となってくる。少なくとも自動反撃では心許ない。
システムとして目新しい点は特に見当たらなかった。画像や音楽の選出は悪くない。
顔グラは性格と似合っているし、アップテンポなBGMは戦場を彩るのに一役買っている。


総評:
 まずまず遊べ安定感はあるが記憶に残らず、器用貧乏で地味な優等生的印象を懐いた。
物足りなさを強調したが無論、次章から展開が本格化する蓋然性は十分。
分析力の欠如から辛辣になったが、期待を込めれば所感として佳作程。現状はそれ未満。
 余談だが日記を見る限り、作者の冷静な適性の筆致がありありと表れていると思う。

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最終更新:2008年05月18日 23:01