372 :370:2005/04/26(火) 23:11:40 ID:z+0Evtko
『こんどはそんな狂双曲』レビュー。短編なのでまとめて。

続き物だが、これ単品でもOK。前作プレイ済みなら、更に楽しめるはず。
とにかくハイテンションなドタバタギャグ系なオリロボもの。…オリロボとしてカウントしてもいいか困るが
無茶苦茶な展開に笑いつつ、ロボの名前で更に爆笑。どう考えても元ネタはアレだなw
ギャグものであるが、戦闘はややきついかも。EN&弾数を計算に入れて戦わないと、あっさりと反撃不能に陥るし。
前作と違い、敵に印象深いキャラが居ないのは残念。

内容書いても分からないと思うので、実際にプレイする事をお勧めする。



※2008/08/06追加、ネタバレ全開
※同日、総評とシナリオとキャラクターとグラフィック&演出項目修正
【こんどはそんな狂双曲】

「前作よりも強引で、前作よりも無茶苦茶なライトな
ノリのドタバタオリジナルシナリオです。

「たとえばこんな狂騒曲」の続編にあたりますので、
「たとえばこんな狂騒曲」を未プレイの場合は、
 先にそちらをプレイされることをお勧めします。」

たとえばこんな狂騒曲の続編…だけでなく、自分が大昔にレビュースレで
指定したシナリオの一つでもある。しかし、返ってきたレビューは↑のような内容で…
正直当時はがっかりした。具体的にはどこが魅力なのかよく分からないとか
続き物だけど前作をやらなくてもOKって具体的には一体何なんだろうとか。
正直ファンでも信者でもなく「みさき氏はとても人気があるのだが、その秘訣は
一体何なのだろう?」と考えていた自分には、いろいろ伝わってこない代物だった。

そんな思いは自分で晴らすのが一番だと思い当たり、前作と合わせてプレイすることに。
続き物だから、前作よりはなにかしら良くなっているのかな?と、思って。
※前作のレビューについてはこちら→たとえばこんな狂騒曲

  • グラフィック&演出
前作とそこまで変わらない会話情景。というか続編ものということもあってか、
劇的な絵柄の変更とかはなく、割合地味め。一応このシナリオをやっているんだよ
という認識は強められるが、前作が微妙だった自分としてはいい意味ではないかも。
戦闘アニメに関しては、前作と比べると音的な意味でも地味になった感がある。

  • キャラクター
前作を知らなくても楽しめる、との通り前作にあたる狂騒曲のキャラは
控えめなポジションに回っていて(と言っても、まだまとも路線だった鹿島周が
この作品において壊れ組に名を連ねられるぐらいには壊れていると思う)、
その分本作初登場のキャラや、前作で名前が出ただけでどんな人物か伺えなかった
権田原とかいう教員さんが、大きくはっちゃけたりしている。

ギャグシナリオにおいて、こういう勢いのあるキャラや狂ってさえいるキャラが
補強されたのは喜ばしいことであろう、が。個人的にはなんか前作よりも滑りが
ひどくなったイメージがして、項目ごと評価が劣化してしまった。
笑いのために一般常識から逸脱した感じの行動に至らせて、非日常感を醸し出すのは
ある意味勢いをつける手段として有効なのだが、前作同様に思いついたネタをなんか
調理しないで置いてあるような感じと、はっちゃけ度の強まりが重なった結果、何か
ハイテンションなだけで、面白さに繋がりにくいのが更に苦しさを出してしまう。
というか、常識ハズレな行動に至っただけでなく、そこから更に不必要に常識ハズレな
行動を、ワンクッション置いて取ってしまうあたりがちょっと笑えなかった。
トップのおかしい集団同士の対立という構図について考えさせられるものがあったかも…

詳しくは書いていないが、名無し連中も割といろいろな方面で酷い感じになっている。
本来地球の防衛軍といえばまだマトモそうなイメージがあるのだが、鋼響曲とかから
察するに作者は正規軍というものに対するイメージは軽く薄い模様なのだろうか。
…ってなぐらい顔グラとかトップの酷さとか描写されていたりします。
ギャグ・シナリオだし、第一話からマトモでないオーラが隊員のあたりから放たれて
いたりするんで読めはしたが、ハチャメチャに揉まれて消耗してたんで
ダメージになったかもしれない…
尚、作者がヒロイン格として定義していた怪人ポジらしい「サクラ」とかいたりするが
悪い意味でも濃い震源(個人名)と剣心(これも)と同じ土俵に並んでいるとなると、
口が悪いだけで霞んでしまう代物だった。

あと、前のレビュアーはロボットの名前で爆笑していた模様だが自分には「…?」だった。
全く知らない訳でなく、某ギャルゲーと作者の某代表作が元ネタだというのは良く分かる。
だからといって何故笑えてしまうのか? ちょっと俺には理解はできない。
まぁ、「みさき氏の作品に関わるものだったら何でもおかしい!」とかいうぐらい
ディープな…まぁ、そういう人たちだったら無理もないとは思うんだけど、ねぇ。

  • シナリオ
ぶっちゃけると、前作以上にはっちゃけた結果寒くなった例だと思う。
メタネタ、特に作者の本音である球団アンチな意見が盛り込まれていたりするが
正直扱い方は巧くない。メタネタでなきゃ、笑いが取れないという感じになりきれてない、
そんな第一印象。思いついた「これどうだろう」なネタをただ置いていっただけ、が負の形で
表れたが故の寒さだと思う。一応登場人物が登場人物なので
(10年前の思いつきの夢を実現しようと巨大ロボまで作り暗躍する、そしていちいち
フォモすぎる主人公の旧友とか、そんな彼が作った原黒系ロリ怪人&理不尽に強くて制御が
利かないというデンジャーな怪人とか、病的に正義感が強かったらしい父親の意思と彼が
作った機体を受け継ぎ、悪の組織の出現を待っていたはいいがいざ活躍しだすとどんどん
俗物化が進んでいくという女性とか、視察中の弟が戦闘に巻き込まれて死んだコトを切欠に…
しただけでなく、自分の被害妄想から地球を武力で征服しようとしたりするアレな宇宙人とか)
無茶苦茶なライトなノリのドタバタオリジナルシナリオとして突き進んではいるのだが、
なんか見ていて笑えない代物だった。そんで自分なりに考えてみたのだが…

なんか頼んでもいないのに、プレイヤーの視点を無視してどこまで暴走していくような
感じが合わなかったんだと思う。いや、ギャグシナリオならばこういう所に魅力や笑いどころが
あるんだろうとは思うんだけど、愛着とか育ったり心の準備とか休憩とかそういうのものを
挟まないでハイテンション全開で、敵も味方も名無しも名有りもみんなぶっ壊れていく…
この調子だから、なんか主人公の言う「平凡な日常」の崩壊とかに説得力が無くなったり、
「ぶっこわれが日常」になってしまったせいで、折角のハイテンションな壊れっぷりも
ギャグの上滑り具合と相まって「また始まった」と思ってしまうことがあった。

これが版権キャラだったら、既存のキャラがどう壊れていくかという楽しみの補正がかかるので、
メタネタやただただテンションのごり押しだけで進むような流れでもイケたかもしれない。
また、オリキャラオンリーギャグでも、この作品では感じれなかったが、真面目な時とか
平常時とかの、ギャグに走っている時とのギャップが映える要素があれば、笑いどころとそうでない
ところとの区別がついて、素直に笑ってプレイできたかもしれない。
尚、ギャグとハイテンションさに関してはこの際言ってしまうと…「若いな」、
的なものがあるかもしれない。俺もこんな時期合ったなぁと笑い飛ばせる感性ならウケる可能性は
あると思う、一応。個人的にはベテラン作者さんで、尚且つ割とギャグについて否定的意見を
見かけないから…と思ってすこし期待してたが、どうもハズレ気味だったのが残念だ。

ちなみに、第三話でクソゲーを作っているらしい会社を物理的に潰す!というネタで
戦うステージがあったのだが、そのクソゲー会社の名前を自由に決めれて、デフォルトネームが
「MFZ」(配布サイト)という自虐ネタがあったのだが、なんだかなぁ…。
いや、自虐ネタは面白いものになると思うけれど、このシナリオではちょっと。

尚、常識と非常識、日常と非日常とかにおいて「緩急」が急激という点は前作と
あんまり変わっていない。で、最後のエピローグのタイトルコールでは
「こんどは『損な』狂双曲」という変化とオチがつけられていたりする。いや、確かに
主人公は前作に比べたら損だけど、俺も損をした気がするというのは禁句だろうか。

  • 戦闘バランス
ギャグシナリオなのでかなり緩く作られている模様。まぁここは弁えている感がある。
一騎討ち+乱数系列保存下でボーナス条件付バトルというのもアレな気がする
場面があったが、基本的にはサクサク進む。ただ、前作と違い戦うユニット数が少ないので
作業感は強まっているのかもしれない。自分の場合はQL作業に作業感を感じるクチなので
なんとも言い難いが。

  • BGM選曲
ほとんど前作と変わっていないのでコピペで済ませたくなったが自粛する。
「このシナにはこの曲だ!」という強い印象付けはなかったが、選曲には違和感はない。
合わない気がするとしたらそれはプレイヤーの気持ちの問題かなんかだろう多分。

  • トータルバランス
抜きん出ている辺りや、無駄にこの部分だけよくて泣けてくるという箇所は無いので
ここの部分だけは好評価。今回はシリアス部分を放棄して、一応全面的に
ギャグ路線に走っている、この判断については中身はどうあれ正しいと思う。
なのだが、シナリオ全体が面白いかというと自分からは…
「それはない!」と言わせて頂く。
いや、まとまっているのにイマイチな出来の作品というのに直面したのはホント初めて。

  • 作者のあとがきについて
最終話をクリアして〆た後、インターミッション画面からあとがきみたいなeveに飛べる。
(2005年3月末日の時点の話です)などが時代を感じさせられるが、肝心の内容はみさき氏の
作品に馴染めなかったり、馴染み始めの人間が読むには適していないと思う。
あとがきということで裏話とか、実はこのテのジャンルは苦手な代物でしたという事実が
見えてくるのはへー、と思ったけれど、球団話と一番最後に出てきた
このシナリオが私の代表作とは、;決して思わないでくださいねっ!?を目にしたときは
マジで対応しようかスルーしようか困ったものがある…。
あれ? 俺、もしかして本気出してないシナリオにマジになってたのかな? あはは

  • 総評
特にこの作品と前作に至っては、シナリオ名で検索したところ否定的なレビューや感想を
全く見かけないという例なので、「そんなに面白いのか?」という期待もあったのだ。

しかし、この作品の出来は作者が不慣れと称しているジャンルであることを大目に見て…
いや、不慣れと称しているジャンルであることを考えても厳しいものがあると思う。
オリキャラによるギャグシナリオなんだが、普段こういうキャラがいて、
滅茶苦茶になるとこんな感じに暴走するんですよというのが測り難く、なんか
メタネタ多発したはいいが滑りまくりという無残な作品に写ってしまった。
笑いのセンスとか沸点の違いによって人の評価が大きく分かれると思うが、この作品は
よく完結まで持ってこれたけれど、それだけという印象は否めない気がする。

まぁ、厳しい見方になってしまったが…
個々の一発のネタのレベルの高さや、緩急のある中での清涼剤や安らぎや不意打ちとしての
ギャグ要素による笑いよりも、全編にわたってハイテンションさに満ちている作品の
空気全体が提供してくれるタイプの笑いに飢えていたりする人や、
作者と球団の趣味とか合ったり、作者の他作品に混じったギャグの味が合う感性の人なら、
この作品はお薦めできると思う。少なくとも内輪方面には強いのだろう(多分)から。
難易度は低いんで、割合短時間でクリアできるので触れやすくもある。

逆に、全編に渡ってハイテンションというのは疲れるから遠慮してほしいという方や
全体の流れよりもギャグの質に拘りを持つ方や、ヲサーン向け雑誌に掲載されている
シュール・ギャグ系漫画がドツボという方には、ちょっと厳しいものがあるかも。
ハイテンションなノリの加速度が上がるので、それについてけるかも大事かもしれない。
自分はまぁ全て当てはまってしまったが、これは自業自得か。

…ギャグシナリオ相手に何本気になってるんだという人もいるかもしれないが、
シリアスの中のギャグとか、ギャグ部門グランプリとか触れることで、SRCで
笑ってきた身としては引っかかるんだ。

最後のこれは愚痴になるが、自分はこれで鋼響曲、狂騒曲、狂双曲と氏の作品について
3シナ遊んでレビューも書いた計算になる。が…ここにきてみさき氏に抱いている
イメージが何かぐらついているのも事実。ちと氏の魅力とか人気の理由が、今回で
ますます分からなくなったという感じ。

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最終更新:2008年08月06日 11:41