2006/06/05(月) 18:56:46 ID:1dtn0GNE0
【てんぷてぇしょん!】
等身オリファンタジー。
魔女が人々に憎まれている世界で、女友達から密かに想いを寄せられてる主人公が
魔女討伐隊参加を通じて良い魔女と出会い……って、なんか豪快にどっかで見たような出だしだが
いいのか。

とりあえず目に付くのは、専用128アイコンを使用する重くない会話インクルをはじめとして、
各種演出が秀逸なこと。効果音も質の良いフリー素材を多用しており、新鮮。
だが、やっぱり消せないフェイズ表示はウザい。
SP無し、武装と技能は装備アイテム依存というシステムを採用しているが、
そんな特殊なバランスに挑戦しようという割には
かなり基本的なところでデータミスしまくってるのがそこはかとなく不安。

一話は恋愛攻略対象っぽいキャラがホイホイと顔見せしつつの無難なデキ。
掴みはまずまずか。
ただ、人語通じる敵の前で「自分がひきつけるからその間に逃げろ!」と
思いっきり作戦公開したあげく、味方がトロトロ逃げてる間はボーッとしてるだけという
シーンは、見せ場にもかかわらずかなり間抜け。
これじゃ相手が見逃す気でなかったらどうにもならんだろ。
味方撤退したらいきなり夕方になってるというのもどうか。
思わず「ひきつけすぎ!」と突っ込み入れたわ。





【てんぷてぇしょん!】
一言で言えばコテコテのファンタジー。それ以上ではまったくない。
魔女、獣人、エルフ、ドワーフ、妖精、ハーピィ、ゴーレム、ドラゴンなど基本は一通り。
ストーリーもキャラも大きく外れてはいない。
アイコン等はほぼ自前。ストーリーとも合っているので違和感はない。

戦闘は主人公&ヒロインとゲストキャラで進む。SPが存在しないので慣れないうちはキツい、
ぶっちゃけるとチマチマしててストレスたまる。
各話ごとに装備アイテムを二者択一で得られるので相手に合わせて換装するのが基本。

会話インクル付きでまったりぬるい雰囲気を味わいつつ進めるのが前提っぽいので、
時間が余ってる人向けではある。
キャラに拒否反応を起こさなければまあ大丈夫。







※微妙にネタバレを含むかもしれません

「てんぷてぇしょん!」

作者いわく、
『魔女、妖精、ドラゴン…あらゆる種族が住む世界。
あなたはこの物語の主人公となり、様々な者達と共に冒険をするのです。
ある者は敵として、ある者は仲間として、あなたを歓迎してくれるでしょう。
夢と冒険の世界を是非体験して下さい。
この作品はオリジナル等身大ファンタジーモノです。
大型サイズのアイコンを使用した会話インクルードを始め、
様々な工夫を凝らした演出を盛り込んでいます。』

と、紹介しているこの作品。スクリーンショットや
ブログから滲み出るオーラからして、
並々ならぬ画像への強い拘りを感じられる。
果たしてこれがどう響いてきたかというと…

  • グラフィック&演出
本領発揮の作者が拘っている項目だけに、高評価も頷ける箇所多数。
会話インクルードもトロさとかそういうものはほとんど感じさせず、
見れる範囲の広い128アイコンと相まって、視覚的に豊かな感覚を提供
してくれている。時折、一枚絵CGによる「なんかいつもと違うぞ!」
という不意打ち的な高揚感を出してくれる場面もあったりして、
作者さんの力の入りようはヒシヒシと伝わってくるものだった。
戦闘アニメについても、必殺技や特殊演出、敵によって変化したり
する撃破演出などで一味も二味も違うところを見せてくれるため、
ハマればそれが楽しみの糧として充分機能してくれるだろう。
演出効果は、劇的な場面ではとことん派手にやってくれた印象強し。
効果音もフリー素材の積極的導入により、普通に遊ぶシナリオとは
違った感覚で遊べることも、充分に考えられるだろう。その効果音も、
カーソル関連で入ったりするあたりが、いい意味でゲームっぽさを
感じさせる、そう捉えることも出来たのは事実。

…正直白状すると、はじめのうちは新鮮さを感じながらプレイしたり
したんだけど、だんだん進んで慣れていくと、そういった作者の拘りも
「あぁ、いつものことだ」と思えてしまい、この項目に関しては
ワクワク感がだんだん薄れていってしまったりしたのが俺だったり
するわけだが。ハマれる人ならこうはならないと思うけれど、ね。
それとスパって言っておきたいことなのだが、画像演出面については
ブログでつい熱くなりたいぐらい思いがあるのはわかる。しかし、その
代償として、テンポを犠牲にしてしまっているのではないかという
場面が、主に序盤のあたりで見受けられた気がする。歩行とか、
第一話の逃亡シーンとか、敵・味方フェイズ表示とか、あとは会話
インクルで、同じ人間が「………」と間を置いたり、同じ長さの
文章を同ウィンドウで続けて会話した場合に、微妙に切り替わりを
認識するのが遅れたりもしたような。最後のは魔法の言葉「個人差」
で片付けられるけれど、人形劇での移動関連とかMAP竜巻複数発生系の
戦闘アニメの、ついクリックで飛ばしたくなる代わり映えの無さに
ついちゃあ気をつけるべきだったと思うのですよ。

良質の画像は目を楽しませると同時に、テンポとメリハリの付け方も
気をつけないと、いつでもパワーを失えるので注意、みたいな
教訓を得た感じ。戦闘アニメだけならまだしも、イベントシーンで
そうならんよう、クリックでスキップOK、に甘えてはいかんと思う。
ちなみに画像の雰囲気や塗りについては、統一感に関しては問題ない。
ライト・ファンタジーな作風を象徴した感じである。

そして思ったのだが、作者さんは戦闘アニメのエフェクトや、
マップチップまでこれから自作する勢いなんだろうか?
ブログを見ていると実にそうしかねない勢いを見たりもする。
ただ、画像演出だけがシナリオの全てにはなれないと、汎用画像が
多めで、凄く楽しめたシナリオを遊んだ身としては思うんだよな…
正しい成長に期待である。

  • キャラクター
実を言うと、このテの純ファンタジーというものはSRC界隈では
俺自身かなり触れたことが無い。そのため比較材料や判断材料が
少ない中なので書く事に困りかけたのはここだけの話である。
強いて言えば、とりあえずウホッとかネタに全力疾走しているような
キャラは存在しておらず、全員世界の雰囲気からは逸脱していない
面子揃いだったかなぁ、というところ。確かに大きなハズレはないが
自分にとって、強烈なカリスマ性を脳に残すキャラも17話分終えて
見つけられていないのは、やっぱ俺側に問題あるんだろうか…?
劇中で、連帯感とか(たまにワンクッション外して違和感感じさせる
ものもあるが)、強大さとかを感じさせる場面は確かにあるけれどね。

キャラで判断する場合はすくなくとも3話ぐらいまで続けて遊んだ
方が吉だろう。この作品、だいたい2~4話単位で話が分けられてる
ストーリー進行形式を採用しているのだ。
それに伴い主要人物も変化していくってことで。

  • シナリオ
どちらかといえばライトさと温さを第一に感じさせる作風。以上。
と終わらせるのは冗談にしといて、お話の構成に関しては真っ直ぐに
ファンタジーモノとボーイミーツガール路線の双方を進んでいる代物。
実際そこから大きく外れることはない代物なので、キャラで拒絶反応
起こしたりしなければ導入については問題ないだろう。
ただファンタジーモノってもファイアーエムブレムとか、そういう
戦記や硬派な空気とは全く縁遠いものなので、一応注意。

話に関しては、13話前後からお話が収束に向い出す雰囲気を感じる。
ただその状況下でも「無我」が起こす急展開というものがあったりする
関係で、緊張感とかそういうのは感じにくくなってる気がせんでも。
まぁ、17話まで通しで遊んでみると、ヘタに路線変更とかをすると
この作品の根底にあるライト風味は損なわれそうなのであんまり口出し
しないことにする。
個人的には悪くは無いが、物足りない感じも。
単にファンタジーに対する評価が悪いだけかもしれないが、遊んでて
感情が激しく揺さぶられたりもしなかったなぁと追憶。

  • 戦闘バランス
SP一切無し、独自基準、技能はアイテム依存、計算式改変など、
戦闘面でもかなり独自の色を持っている作品なのだがマズいと思わせ
られる点がある。というのもこの作品、開幕でSP一切無しなのと
改造の概念が無いのを教えてくれるのだが、裏側を覗くとかなーり
豪勢にoptionを使っていたり、バトコンも弄ってあったのがわかる。
同梱のReadme.txtや、登場アイテム+システム解説を担うhtml形式の
マニュアルなんかに、そういったoptionの使用内容や計算式なんかも
説明を載せておくべきだったと、ツクールでhtmlマニュアルを用いて
システムとかを解説した作品を遊んだ身としては思うのだ。この作品、
独自基準が濃いもんで、尚更マニュアル整備でもう一頑張り欲しい。

戦闘の難易度は、これも作風にあわせているのか高いほうではない。
SPが一切無いので、相手の攻撃を受け止めたり攻めに行ったりする
際に、欲張らず確実にいなしていかないと痛い目を見たりもするが…
援護攻撃・防御を活用すれば被害を抑えやすかったり、
強敵との戦いでは味方全員防御能力付加下で戦えることもあったり、
自動回復アイテム+気力増加でいきなり優位も狙えちゃったり、
RPGよろしく、回復安売りで比較的使用しやすかったり、
すべての面において強力なゲストキャラと肩を並べて戦えたり、
まぁいろいろあって、一度コツさえ掴めれば難易度は低めだろう。
SPは使えないが、逆に言えばSP必須な理不尽な脅威がやってくる
わけではないのだから。一部イベント戦闘は除くが。

ただ、難易度の低さと平均移動力の低さ(16~17話ではジャンプを
中心として、縦横無尽に戦えるが)から、相手を手玉に取れる楽しみは
あれど、位置取りの楽しみが弱かったり、人によってはみみっちさや
作業感を感じるのも無理は無い気がする。特にフリーバトルやってると
森地形の広がり方で、歩みの遅さに退屈さを…感じました、ハイ。
ちなみに、戦闘前には装備変更チャンスと、敵・ゲストステータスの
確認が可能である。これにより、敵の弱点や耐性を確認した上で
装備を柔軟に変更していけば、苦戦することは無いだろう。

素直に楽しむつもりなら、戦闘は演出の一部だと割り切る心も必要?
個人的にはそこんところの整理がつくまでにかなり時間がかかった。
で、気がつけばもう17話というオチ。うーむ。

  • 独自システム
カテゴリ分けに迷ったがとりあえず4つほどにまとめておく。

アイテム選択制
各話には、選択肢を選ぶことによって二個択一でアイテムを獲得する
ことができる場面が存在する。基本的にどっちを選んでも難易度に
差が出るわけではないので、重複しそうにない程度に直感で選ぶのが
吉かと。現時点ではこれ以上のことはなんとも言えないが、周回
プレイの概念があるならより活きるのではないか、と思わせられる。

組み合わせ装備とそれによるボーナス
特定の装備品を組み合わせて装備することで、能力や武器の威力が
増加したり、唐突に新しい技能が追加されたりすることがあるという
システム。大抵ノーヒントなのとボーナスがついたか否かはかなり
ステータス欄と睨めっこしないと見つけられない気がするが、稀に
強烈な組み合わせも混じっているので意識する価値はあるだろう。
ボーナスが得れる代物はボーナスのヒントとして、アイテム説明文に
記号でもいいのでヒントが欲しい気もするが、流石にそれは甘すぎか。

ショップ
作品の特色上、品目はかなり多い。基本的に高いモノを買っていけば
恩恵はフルに満喫できるだろう。アイテム名にカーソルを乗せた
だけで解説が見れたり、まとめ買いが可能な点は個人的に有難い。
最初は品目多すぎて何買えばいいかわからない状況に陥ったりしたが。

フリーバトル
冒険のおさらいやif的要素を含む「幻惑のバトルフィールド」と、
本編の裏話に近い「魅惑のスペシャルステージ」のふたつからなる
フリーバトルシステム。敵でしか戦えないキャラが味方になってたり
その逆があったりするので、世界観に浸れたならそこも楽しめるか。
ただ、平均移動力低い作品のわりに、マップ構成が複雑だったりする
為、1つ攻略の度にイマイチ時間とターンがかかりがちなのが難。
尚、本気で遊ぶなら「魅惑の~」は現行公開分に存在する二回とも
出現即クリアしておいたほうがオヌヌメ。いい装備品取れるんで。

  • BGM選曲
選曲についても大半がファンタジー世界観を意識したものとなって
いる。量も多いため、進めて行く度に新しい音楽に遭えるという
見方も出来なくはない。雰囲気の構築と、統一感の演出に関して
役割果たせていると思う。

  • トータルバランス
全編コテコテのファンタジーをうまく構築しているという意味で、
グラフィック、選曲、キャラクター、シナリオの統合性や雰囲気の
統一感に関しては、素直に良評価を。
「ゲーム」として見た場合は、各箇所に微妙に満遍なく紛れ込んだ
テンポの悪さorそれのようなものが、熱中の度合いにもよるが気に
なることも考えられなくはないような。

  • 総評
豊かな画像&演出と、比較的温めな雰囲気を提供するファンタジーな
空気が両方合えば問題なく遊べる作品。ついでに、テンポの問題や、
フリーバトルとかの関係で、時間のあるプレイヤーに向いたシナリオ。

雰囲気はあくまでライトさ第一なので、ヒートなストーリーや熱血した
展開、鋼鉄や硝煙やファイアーエムブレム的なものの匂いに飢えている
場合は、すっぱりその飢えを忘れるか満たしてから着手したほうが
この作品は、素直に集中して挑めるだろう。時間の確保も忘れずに。

SRC界隈にはこのテの純ファンタジー(+α)路線が複数あるのだが、
自分はこれが初の経験となったりする。で、個人的な感想からすれば…
やっぱ自分は純ファンタジーより、SaGa2のような何でもあり寄りの
世界観や、ロボットのある世界の方が口には合ったみたいです。
…ああ、書いてるうちにメカニカル成分が急激に欲しくなってきた。

やり終えて疲れたけれど、次も何か気合入れていきたい気分。

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最終更新:2008年03月22日 04:58