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一言で言うと、彼らはバカである。
今までもそうであったし、きっとこれからもそうだろう。
それが良い事か悪い事かは他人の判断に任せるとして。
彼らは今でも、良き隣人である。
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“通気ダクトのチェックもお願いします。自分たちが息してないからと言って、ガスでも巻かれるとやってられない”
“貯水槽に毒でも入れられ、医者を移動させられたら…一応河川と貯水槽のチェックもお願いします”
ポレポレが本部に詰めていたのは、なんでもない。単に本人がびっくりするぐらい弱かったのと、あとはまあ、第七世界人も仕事はするというポーズのためである。いや、一応各所との折衝とかもやっている。
妄執と言えるまでのしつこさでチェックを要請するため、現場では煙たがられている。どうでもいいがこの男、仕事前に責任者全員の下を万屋の菓子折りつきで挨拶に回っている。
彼の主な仕事は、本部詰め所での雑務である。 空港での襲撃と通信回線切断の報が入ったのは、その雑務をこなしていたある日の事。
「現地との通信復旧と、応援の手配を。ダックス部隊もお願いします。あと陽動の警戒も」
ビビリはしたが、この程度でパニックになるほどでもない。想定してないはずも無い。
ISSに派遣されていた越前のハッカー犬士が、即座に対応する。復旧した通信を通じて、各所の情報が伝わり始めた。
「うちの流通のチェックの穴を利用して準備したかな。取り敢えず民間人の避難を最優先に。
蒼龍も飛ばして下さい。上空から友軍の支援と航空写真の送信。高弟とか居なきゃ良いけど」
「現場からの通信。御鷹摂政からです」
「お願いします」
『――俺はもう死んでも良いです、LCさんッ!!』
『あ、貴方達はッッ!!』
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切羽詰ってる割には喜びの色が見える。
「此方ポレポレ、どうした?」
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ハッカー部隊が画面に空港内の地図を表示する。同時に現地までの信号を操作。ノンストップで急行する味方。情報戦マジスゲェ。
「横の防火シャッターを下ろしてください。南側のはそれで止まるはずです。それと、今救援が向かっていますので、もう少しの辛抱です」
通信を切って確認。他のポイントでの事件のチェック。
「屋外では必要なら式典に並べたI=Dも送って下さい。なるべく白兵優先で、流れ弾を出さないように。要救護者の搬送と救出には消防署にお願いしましょう。病院がパンクするかもしれないので、軽傷者はメードさんによる治療を」
「和錆さんにはピケで現地に行ってもらいましょう。レーサーみなしなら、たぶん」
「空港からアンデッドが溢れたら…蒼龍に精密爆撃を要請。市街に入る前に足を止めてください。それと、防火シャッターで良いから向こうの移動ルートを制限して」
矢継ぎ早に指示を出す俺カッコイイ、と言いたいが、単に打ち合わせ通りに指示を出しているだけである。
そもそも直接攻撃以外の手段を妨害する方策をとってきたのだから、後は直接しかない。そして、直接攻撃さえ防げば、どうにかなる。
そう、思った…
最終更新:2009年10月24日 19:12