FCU企画―灰楼ロワイアル― @ まとめウィキ
http://w.atwiki.jp/fcubattle/
FCU企画―灰楼ロワイアル― @ まとめウィキ
ja
2011-12-21T02:48:41+09:00
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灰楼ロワイアル(後編)
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/79.html
次元断層(と言うらしい。ティムが勝手に名付けて満足していた)に飛び込み、意識がふらりと抜けた。
その次の瞬間には、見知った場所――最初に集められた体育館のような場所に立っていた。
「ここは・・・」
しかし、違った。
その場所は"決定的に何かが違った"。
リレッドが殺された痕跡も無ければ、あの時のような意味不明な無機質な感じもしない。
アステリアはつばを飲み込み、周りを見渡す。
瞬間、このゲームが始まる時の再現するように、ステージの照明が点いた。
特設ステージのそれと同じく、ガシャンと音を立ててライトアップされるが、それを観たアステリアに驚きの表情は無かった。
まるで、既にそうなる事を知っていたかのように。いや、実際知っている。
ぱち、ぱち、ぱち。
シンと静まり返る空間に、乾いた拍手が鳴り響いた。
勿論アステリアがそれをするはずもなく、先程ライトアップされた場所が発生源であることは言うまでもない。
そこに立っているのは、やはりゲーム開始時と同じように、2人。
金髪長身のセンライと、背丈はティムと同じ(というよりも瓜二つだった)総帥と呼ばれる少女。
手を叩いていたのは、後者だった。
「驚いたよ。ここまで来るとは正直思ってすらいなかった。
何がどう転がるかなんて分からないものだな、なあセンライ」
「ええ、そうですね。そして参加者の戦いぶりも"観戦"させてもらった」
実に良かった、と満足したような表情をしながら、金髪をふわりとなびかせるセンライは言った。
アステリアはステージの上の彼女らを見上げながら、動かない。
「さて、仇討と来るか? 義姉の、参加者の、関係の無い人々の。
私は兎も角、センライは半端ではなく強いぞ。お前一人程度では、手も足も出ないだろう。
・・・いや、その表情、何か企んでいるな。まあいいけどな。ディアナがお前を推したのには理由があるのだろう」
カイトしゃんだったらよかったのに、なんてこっそり呟く総帥は、一瞬だけ女の子な表情をしたが、すぐに顔を元に戻した。
アステリアとの距離は20mは離れている。アステリアはここに来た時の場所から、一切動いていない。
しかし、ここでようやくアステリアは口を開く。
「全てディアナお義姉様から伺いました。
だから、私は全てを知っていま
2011-12-21T02:48:41+09:00
1324403321
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灰楼ロワイアル(前編)
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/78.html
暗い室内。
背丈の低いシルエット。
眼深に被った帽子からは輪郭しか伺えないが、幼い顔立ちのそれは尚モニタを見つめる。
そしてその隣にもう一つの影。
背丈は高く、豊満な身体とブロンドヘアを見せつけんとする人物像が、凛と立つ。
「総帥」
「何だ、センライ」
「幾つか報告すべき事が。不測の事態(イレギュラー)が重なり、幸とも不幸とも」
「・・・続けろ」
「はい。初期の時点で展望台が倒壊。10時時点で大規模な爆発。
この2つ程度の要素でイレギュラーが発生する心配は無かったのですが・・・学校において何か細工が施されたようです。
何より、参加者が粒ぞろいなせいか、何名かこちらの真意を探ろうとしています」
「・・・」
「それに伴い、かなり"基盤"から不安定になっている可能性があります。"あちら"から"こちら"に干渉することは不可能ですが・・・」
「不可能が、可能になる・・・・とでも?」
「それが零と言えない事は、総帥が一番知っているハズです」
「ふん」
センライと呼ばれた彼女は、まさしく上司に作業進捗を報告するが如く立ちまわる。
受け取る側の少女、総帥は帽子が生んだ影を目元に落とし。にやりと笑った。
呟く。それでこそ勉強のし甲斐がある、と。
■ ■ ■
【最終話 :灰楼ロワイアル】
■ ■ ■
【時刻/早朝】
ホテルのロビーに日が差し込む。
人工的な明かりに頼らずとも、手元の紙は良く見える。
そこに書かれた文字。
『今現在、首輪を介して盗聴されている』
ここにいるのは、闘志・ヨミ・そして自称ティムの3人のみ。
これを書いた張本人、ティムはにやりと笑う。
人差し指を唇にあて、内緒話を促すようにひっそりと続きを書き記す。
『君たちは今から黙って欲しい』
盗聴。この単語から自ずとヨミと闘志は口を紡ぐ。
その姿を確認したティムは満足そうに2人を交互に見た後、筆を置いた。
朝日が斜めに彼らを照らし、紙の上に置いたペンが影を作る。
咳払いをした後、ティムは2人へ"口を開いた"。
「結論から言う。この首輪の盗聴システムは骨伝導式で、僕のは既に機能を停止している。
主催者は戦闘及び僕たちの行動データを欲しているみたいだけど、戦闘音まで拾うのは厄介
2011-12-21T02:58:20+09:00
1324403900
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暴走
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/77.html
第一回目の放送終了後、民家に侵入して食料を盗み食いして腹を満たしていた。
最も死亡者発表の中にレミエルとシュヴァルツの名が挙がっていたためか、余り食は進まなかったが……。
やはり予想通りレミエルが死亡していたことは分かっていた。
しかし、シュヴァルツが殺されたことに3人はショックを隠せなかった。
「シュヴァルツ……」
特に名付け親であるレイのそれはかなり大きかった。
出来ればレミエルも含めてもう一度会いたかった……リタイアした2人に悲しみに暮れるレイ。
そんな彼の気持ちを感じ取ったのか、皇妃はやるせない気持ちになり、灰楼に対する怒りを募らせる。
和輝も彼女と同じく怒りを覚えたのは言うまでもない。
その証拠に、今は自分の能力となっている『龍眼』が無意識のうちに発動していた。
「アグニさん、龍眼しまってくれ。その怒りぶつけるなら襲撃者か灰楼にしてくれ」
「ッ、すんません……」
皇妃に指摘され、和輝は『龍眼』の発動を止めようとした時、異変が起きた。
「うぐッ……!?」
「どしたアグニさん!?」
「頭が……! 頭が……!」
突然頭を押さえて苦しみ出した和輝に驚く皇妃。
隣にいたレイもただならぬ事態と察したのか、支給されたシュヴァルツの武器に宿っていた能力で和輝の頭痛を抑えようと頭に触れるが、全く効いていなかった。
「がぁああぁぁああぁッ!!」
それが鬱陶しかったのか、和輝は力任せにレイを払い除ける。
「っと、大丈夫か?」
「問題ない。それよりアグニはどうなってる?」
「……アグニさんの意思に関係なく龍眼が勝手に発動している」
険しい表情で皇妃は和輝の変貌を見る。
彼の状態に彼女は覚えがあった。
――暴走。嘗て自身が皇帝だった時に経験した状態。
『龍眼発狂』まで進化しておらず、通常の『龍眼』しか使えなかった頃の自分を思い出した。
当時は、龍眼を使用する際時間制限があり、それを過ぎると命を落とすか暴走する何とも使いにくいものだった。
今は龍眼の最終進化『龍眼発狂』へと進化し、通常の『龍眼』も時間制限がなくなって自由に使用出来るが、和輝が使う皇帝の龍眼を彼が完全に制御できる訳がなかった。
ならば、皇帝の龍眼を和輝の龍眼にすれば良いと皇妃が提案した矢先にこの問題。
「うぅぅう……
2011-12-21T02:50:18+09:00
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小さな侵略者達
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/76.html
「な・・・何よ、これ」
目の当たりにした惨状に、彼女は愕然とした。
あまりに非常識な、凄惨たる光景に絶句するしかない。
彼女が、彼女たちがここに来た時は既に、遅かった。
何もかもが吹き飛んで。何もかもが手遅れで。
繰り返す。
美咲は、愕然とした。
◆ ◆ ◆
「ひ、ひぃいい~~」
とある民家。壁に大きな穴があいている以外、いたって普通の一軒家に、情けない声が木霊した。
涙目になりながらガタガタ震えて、部屋の隅で命乞いをするぐらい無様な状況に陥っていたエリニュースがいた。
台所へ引きずられ、否応なしに身体の自由は奪われ、何より威圧感が半端ないこの目の前の男が恐ろしくてもう動けない。
そもそも、食糧目当てにこの家に襲撃をかけたのに、なんで私がまな板の鯉状態になってるのよ、と心中で悪態をつく。
そんな水面下での抵抗すらおくびにも出せず、ただただ己の不幸を呪うのみ。
なんつうか、恐い。ゴゴゴゴゴという擬音がぴったりな感じで、黒い大剣を持った男が近づいてくる。
その時。首輪から頭の芯まで響くような音が鳴り響いた。
エリニュースは直感的に、これが放送だと認識した。目の前の男もそうらしい。
そして放送が終わるまでは動かない。いや、動けない。
男は舌打ちをすると、巨大な剣を壁に立てかけて、
「・・・放送の隙を見計らって逃げようなんて考えんなよ、食の冒涜者」
とエリニュースに向けて吐き捨てるように言った。
売り言葉に買い言葉で、私だってやろうと思ってやったわけじゃ無いわよ!と声を大にして言いたかったが、放送が進んでしまっている。大人しく黙る事にした。
同じ頃。同じ場所。正確には台所からほんの少し離れた元食卓にて。
騎士団2人がのほほんと放送を聞いていた。
お腹が空いたから、ご飯を食べた。
状況が把握できなかったから、何もしなかった。
そんな彼女達に―――
『【エヴァ】』
かちりと。
事の深刻さを告げる一言が、歯車を狂わせた。これ以上無いほどに。
いや、正しくは"矯正したのだろうか"。
彼女達の思考と行動を司る、騎士魂(きしだま)プログラムが息を吹き返す。
レニー、ヴァネッサ共に、思考は一致した。性格は究極的にバラバラだが、ここでは意思の疎通すら不要だっ
2011-03-02T23:22:41+09:00
1299075761
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騎士道
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/75.html
生まれてこの方、幾つ物死体を見てきた。
その内半分以上は自分が作り出した廃棄物だとしても、特に何も思わない。
もしも自分が『奪われる側』になった場合は、内から湧き出てくる感情を押し殺す。
そうやって冷徹な機械になる必要があった。
後ろに自分の『巣』があったからだ。
だからこの殺し合いの場で身内の名前が呼ばれたとしても、彼に動揺することは許されない。
「…………」
定期的に放送される殺人ゲームによる犠牲者の報告。
その中には神鷹・カイトも知ってる名前が幾つかあった。
(やられた順番通りってことは……ゲーム開始で即やられたか、トリガー)
何時ものように自分の恨みを押し殺す。
今はその感情をぶつける相手が目の前にいるわけではない。
だが決して『忘れない』。
そうやって彼は己の糧として事実を受け止めた。
否、受け止める以外の選択肢が無かった。
(まだガレッドやカノンの名前が呼ばれていない。あいつ等は生き残ってる!)
その為には幾つかのステップを踏んでこの殺人ゲーム会場から抜け出さなければならない。
ステップの中で最も鍵となるポイントはやはり首にある爆弾の存在だった。
(……仕組みを知る必要がある)
何をやるにも先ず『知る』事が大事だ。
恐らくそれが最も可能であるのはケーブルが支給品として回ってきた自分だろう。
機能している首輪は既に解析不可という結果が出ている。
ならばいかなる場合でも違う首輪を入手し、解析しなければならない。
「おい」
放送が終わってやや経ったと同時、背後から声をかけられる。
「どうするつもりだ、これから」
放っておけば勝手に死んでしまいそうなくらいボロボロになってしまったレイチェルだ。
何とか立とうと懸命に身体を動かす彼女は、目の前にいる男を睨みながら体勢を整えようとする。
何時襲われても対処できるように、だ。
「取りあえず、移動する」
しかし彼女の懸念はあっさりと流されてしまった。
「……私を、殺さないのか?」
「安心しろ。俺が殺さなくても時間がたてば誰かが殺してくれる」
ならば危険を冒して自分が殺す必要は無いと考えた。
誰かと遭遇して、返り血を見ら
2011-03-02T02:25:09+09:00
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7th Spirit with Collar
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/74.html
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「君は、魂のカケラだよ。」
突然、子供のような声が聞こえた。
その声がしたほうに、俺は振り向いた。
黒い服に、フード付きの黒いマントで、大きな鎌を両手で持っていた。
顔付きは、声と比例するようで、どこからどう見ても子供であった。
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◆ ◆ ◆
【北西 ホテルのフロント 5:58(放送直前)】
走馬闘志は考える。
この少年の姿が、あの灰楼総帥のそれと瓜二つである事が気になるのだ。
マスクが割れて顔が見えたことも、その疑念を増長する理由になった。
気絶して目を覚まさないが、あの時壇上で見せたシニカルな笑みをさせれば、本人と見間違える事は必至に思える。
思考に費やしながらも闘志は身体を休めた。これで能力もフルに使えよう。
自分、ヨミ、この少年の例から汲むと、割り当てられたのは"1人1能力"が原則だと推測できる。
だが、能力を応用的に扱えば。それだけ使い勝手も変わり選択肢も増える。勿論戦闘に限らず。
その選択肢に『首輪の解除』が含まれれば御の字だ。
この首輪が文字通りネック。
首輪の爆発という枷さえ無ければ、さっさとこの会場からおさらばする事も、徒党を組んで主催者へ反逆することも可能である。
後は、『どうやって能力が取り上げられた』か、また『どうやって拉致、転送した』かも不明だ。ここが正直、一番解明できない部分でもある。
灰楼に能力を無効化する人間がいるのか、それとも総帥やセンライの本質がそうなのか。推測の域を出ない。
もし能力でどうこうされているならば、その能力を発動させている術者を叩けば"クレイジー・ソリッド"は元に戻るはず。今の"時の力"がどーなるかはさっぱりだが。
勿論これらも推測の域は出ない。
さて、色々考えたが、放送が始まるまでの時間で大体の方針は固まった。
1、殺し合いに乗った人間を叩きのめす
2、首輪をはずす → 解析や分解が出来る人間を探す
3、主催者を潰す → 能力、戦力、情報の補充
特に情報はこのホテルに居座っている限り入ってこない。いや、例外としては放送があるか。首輪がけたたましいブザー音を鳴らす。
正直癪ではあるが
2010-07-06T00:15:04+09:00
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再会の喜びと決断、そして・・・。
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/73.html
開始から6時間が経過した。その時に、中間結果を発表する放送がこの閉ざされた(と確定してもいいかもしれない)別世界全体に響き渡る。死亡者の名前が読み上げられるが、どれも知らない名前ばかり。知っている名前と言えば、エリシャ。蒼龍騎士団のエリシャだ。その名前は読み上げられなかった。つまり、エリシャはまだ生きているということだ。またどこかで出会い、彼女と手合わせ願いたいものだ。手合わせ・・・何て、生易しいやり合いじゃないな。この会場は、殺し合う事が許された世界だから。
そういえば、死亡者の名前を読み上げると同時に、禁止エリアも指定された。幸い、今いるこの場所は、ギリギリで禁止区域の中には入っていないようだ。放送を聞いて多少の安堵を付いたものだ。実は、エリシャと別れてから全く動いていない。というか、病院の中にいる。彼女と戦った後の疲れを癒すというのもあるし、何より右腕を噛まれたので少々痛むから多少の手当てはしたい。だが血は出ていないし、こんな痛みはしばらくしたら消えてしまうのであまり気にしないのだが。
中間放送がされる30分前。この病院の中に入り、戦いの疲労を癒すために個室の部屋に歩み寄った。ちなみに階段を上って屋上から様子見という事を考えたが、今のところ苦なので、1階の「3号室」と書かれた個室に入った。もちろんその中には誰もいない。ちなみに、「もちろん」という判断は、充分な警戒をしたうえでの事だ。そうでなければ簡単に入ったりはしない。部屋の中は個室なため、ベッドが1つある。そのベッドには隔離できるようなカーテンが付いていて、その隣にはベッドの半分ぐらいの長さのテーブルが置かれていた。小さな棚も、部屋に置かれている。
窓にはレースカーテンが掛けられていた。数センチあいているのか、外から入ってくる風でカーテンがそよそよと靡かせる。ここが殺し合いの世界だというのに、そのカーテンの靡きが妙に心を和ませてくれる。そして、この早朝という時間帯であるためか、小さな光が窓からこの部屋へと差し込まれている。やはりこの光景は、どうしても和んでしまう。あの小さな棚に、この情景とぴったりと合うような花が飾られていたら、どんなに素敵な光景になるだろうか。だが、そんなことから現実へとスイッチを切り替える。警戒を解いたわけじゃない。この部屋には確かに人はいなかった。だが、窓はレースのカーテンがかか
2010-05-25T00:16:46+09:00
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うそつき
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/72.html
朝日が昇り始め、闇が薄らぐ。
夜とは違う街並みが顔をのぞかせると、多少は安心感が芽生える。
トーイことトイ・ボックスは空を旋回していた。メタルボディに東からの光が反射する。
(こりゃ夜と違っておおっぴらに空を飛びまわるわけにはいかないある)
グレーの装甲と鳥型という体系は、闇夜には迷彩となり自由に空を闊歩できるのだが、その逆は然り。
徐々に高度を下げ、民家の屋根に留まる。朝日が昇ったとは言え、見つかる可能性はほぼ無い。
さらに見つかったとしてもまさかそれが"参加者"だと思う人間がいるだろうか。ただの野鳥だと思うのが関の山である。
(・・・と、言いたいところあるけど)
そう、本来ならば取り越し苦労に過ぎない。
だが今回のゲームでは少々勝手が違う。何故なら、最初のみせしめでリレッドが殺害された際にトーイの姿は見られてしまっているからだ。
喋る鳥。それは間違いなく最初の広場内にいる人間全員に認知されただろう。
殺害されてしまったリレッドを亡くした悲痛な叫び、という点からリレッドとは知り合いであるという情報は既に漏れていると断定していい。
そこでトーイがリレッドを蘇生するために優勝を狙っているのではないかという疑問を持つ参加者も出てくるだろう。
勿論そのような事は無いのだが、何より優勝を狙う危険人物からしてみればトーイは厄介な存在である。何故なら"隠れてやり過ごす"のに特化しすぎているから。
最後の2人になったはいいが、トーイを見つける事が出来ずに必死に会場内を駆け回るのは、御免こうむるワケだ。
(ま、注意するに越したことは無いある)
とある民家の屋根に付いているアンテナへと取りつく。
こうしてみれば風見鶏のようなオブジェに見え無くもない。このままじっと放送を待つのも手だな、とトーイが考えた矢先の事だった。
「トーイ!」
その民家の隣から、声が聞こえた。間違える事無く、彼女の声はリレッドの次に慣れ親しんだものだった。
思わず憎まれ口をたたきながらもトーイは安堵の様子を隠せなかった。
「・・・やれやれ、ちょっとした偵察が思わぬ誤算を呼んだみたいネ」
◆ ◆ ◆
「10人も・・・あるか」
「・・・勿論、リレッドさんを含めですけどね」
トーイと会合を
2010-04-17T01:45:25+09:00
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ペンは剣よりも強いのか?
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/71.html
(尾行者の狙いはこれか……!)
剣龍帝は尾行者――メシアの狙いと自分と共にいる3人の状況を理解した。
メシアの狙いはこちら側の知り合いがゲームによって死亡し、その内の誰かがショックを受ければそれをフォローする役回りが出てくる。
そして今、死亡者を告げる放送によってショックを受けているのはアステリア、アーニャ、クロードの3人。
「そ、そんな……」
「カティとシィルが、死んだ……?」
「ねぇ、嘘だよね……? 姉上が死んだって嘘だよね……!?」
やはりと言うべきか今の放送で死亡者の中に知り合いがいたようだ。
特にクロードは姉が死亡という最悪な事実を告げられて普段の天真爛漫さがみられない。他の2人は、アステリアは目に涙を浮かべ今にも声を上げて泣き出す寸前で、アーニャはその場に力なく座り込んで呆然としている。
もしその後、3人が上手く立ち直れたとしても、親しき者を生き返らすために他の参加者を殺しに行くのかもしれないし、逆に立ち直らず、そのまま殺されるかもしれない。
(最悪だな、尾行者にとって好都合な展開……。この放送が終わった瞬間、一気に仕掛けてくる!)
ショックを受けている3人の中、剣龍帝は冷静に背後から来る尾行者の襲撃についてどう対処するか考えていた。
今の放送の中に彼の知り合いであるレミエルとシュヴァルツも死亡者の中に含まれており、ショックを受けていないとは言えば嘘だ。
知り合いが殺されてショックを受けない人間はいない。
しかし、剣龍帝はそれを押し殺す。ここで立ち止まるわけにはいかない。
今この状況で動けるのは自分しかいないのだから。
「(3人には悪いが、ショックを受けてくれて助かった)……アステリア」
「……はい?」
剣龍帝から声を掛けられてアステリアは泣き顔のまま振り向く。
彼女の顔を見た剣龍帝は少し顔を顰めて唇を噛む。
何時見ても女の泣き顔は苦手だ。彼はアステリアの泣き顔を殺してしまった天妃の泣き顔を重ね合わせてしまう。
「2人を見ていてくれ、尾行者が仕掛けてくる」
「え……!?」
剣龍帝の一言で一気に現実に引き戻されるアステリア。
そんな彼女に目もくれず、剣龍帝は目を閉じて邪眼を発動するために意識を集中させる。
『それではまた6時間後の放送で会おう。諸君らの健闘を祈るぞ!』
2010-04-17T01:44:07+09:00
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第1回放送
https://w.atwiki.jp/fcubattle/pages/70.html
時計の短針が半分落ちる。長身は回数にして6回その場所を巡る。
殺し合いゲームが始まり6時間が経過した。
定時放送は否応無しに、参加者へと告げられるもの。その、1回目。
『あー、あー。テステス』
参加者全員の首輪に取り付けられたスピーカーが機能していることを確認するように、センライの声が木霊する。
『えー、それでは第一回中間放送を始めたいと思う。
改めて諸君等、おはよう。殺し合いは順調に進んでいるようだな。要所要所で華麗な戦闘が見れて私は嬉しいぞ!
これからも心躍る戦闘を繰り広げてくれ!
さて、それでは本題だ。まずは殺された人間の名前を"死亡した順番で"言うぞ。大事な人が殺されていないといいな。
【リレッド=ルーヴィス】
【トリガー=マークレイド】
【セレナーデ=コランダム】
【リッター=シュナイド】
【レミエル】
【リメイカー】
【エヴァ】
【シュヴァルツ】
【ヘカティリア=ラグナ=アースガルズ】
【マイクロマスター・ケット・シー・タイプフサルク】
念のためもう一度言うぞ。今度は愛称だ。聞き逃すことの無いようにな。
【リレッド】
【トリガー】
【セリナ】
【リット】
【レミエル】
【リメイカー】
【エヴァ】
【シュヴァルツ】
【カティ】
【シィル】
続いて禁止エリアの発表だ。
とは言っても、明確な区切りを地図で付けている訳では無い。地図は開いたか?
【川を挟んで西全域】と【図書館を入れた南全域】だ。つまり地図で言えば左と下がごっそりエリアから消えることになる。
詳しくは今の時刻を以って、手元の地図が変化しているはずだ。確認するといい。曖昧な線引きに聞こえるかもしれないが、何、エリアに入ってすぐボカンというわけでは無い。
そして今から3時間後、朝の9時を以てここが禁止エリアだ。エリア端で隠れてやり過ごそうなどと言う気が起きないようにな。
次に君たちに有益な情報だ。
既に見つけている人間もいるだろうが、会場内にはある程度のインフラは備えられている。僅かながら会場内の情報をネットで閲覧する事も可能だ。
有効活用するといい。内容を信じるか否かは諸君ら次第だが、な。
最後に、優勝者ボーナス
2010-04-17T01:38:57+09:00
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