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番長GSS2 - (2009/02/21 (土) 10:14:41) のソース

*番長グループSS2

#contents

***歩峰糸子

糸子「ウチなぁ ファミレスのバイトで稼いだ金でこないだまで中国旅行いっとってん」
浅宮「へー いいなぁ」
春風「ぴょろぴよぴろ~(私も海外に行ってみたいです)」(笛の音)
深山「ねーちゃん 土産は?」
バキィ!!(深山は殴られた 硬いので大した傷はないようだ)

糸子「旅行って楽しいよ ウチの爺さんも旅行好きでなぁ」
世間話をしながらも多少機嫌が悪そうにみえる

タルジュ「そうですか 是非今度 我が祖国にもおいで下さい」
空気を読んだタルジュが丁寧に語る言葉を聴いて糸子の顔が輝く 機嫌が直ったようだ
糸子「ええのん? 泊まるトコとか世話してくれる?」
タルジュ「はい それは勿論 多少やかましい兄がいますが 良い所です ご案内致しますよ」
糸子「そら ええわぁ このしょうもない喧嘩終わったら皆で行こか」
アリス「いいですねー さっさと生徒会始末して楽しみましょう」
翼姫「ぴぃぴぃw(私も行きたいですw)」
出鯉「お姉ちゃんいるぅ?」
番長G女性陣は楽しそうに騒いでいる 

糸子「そうそう 皆にお土産があったんやった 忘れとったわ」
深山「ぷぷー 毒入り餃子だろ  当たりだろ? 当たりだろ? うひゃw」
バキィ!!ゴキ!!(深山は殴られた 硬いので大した傷はないようだ)
あきらかに糸子が不機嫌そうになる

タルジュ「いや 異国の品は実に興味深いです 私もぜひ見せていただきたいものです」
ヒッタ「頂けるんですか ありがとうございます」
すかさず空気を読んでフォローを入れる
糸子の機嫌は多少和らいだ

糸子「それでな コレがその…」
18人「な なにしてるんですかー 敵が来ます!! ちくしょー!!」
糸子「…」
タルジュ「私の領域に進入してきたのですか?」
木陰「仲間の死に我を忘れて突撃してきたんです 手が付けられません」
糸子「ウチの…」
ヒッタ「春風番長どうします?」
春風「ぴょろりぴぴ~…(攻撃範囲外からの牽制か…)」(笛の音)
生徒会メンバー「死ねえ うひゃははは!! ココまで攻撃が届くのならなー!!」
糸子「ウチの楽しいお喋りの時間を…」
バキ! ドカ!!(深山は意味も無く殴られた 硬いので大した傷はないようだ)
生徒会メンバー「うひゃひゃひゃはや~」
糸子「邪魔するんやない!!」
立ち上がった糸子が天を指差す!!

糸子「あ!!UFO!!」

生徒会メンバーが指差す方向を見た瞬間 落書きのようなチャチなUFOが天に出現した

糸子「まったく ここの生徒は想像力が貧困な奴ばっかりや…」
溜息をつきながら言葉を続ける

糸子「それに押しつぶされたら ウチに殴られんのと同じくらい痛いでぇ ウチのパンチの威力は知ってるやろ?」

生徒会メンバーの絶叫が響き そして
うんこを漏らして泣き叫ぶ生徒会メンバー
その後ろに控えていたもう1人の生徒会メンバーは明らかに恐怖している

糸子「サツキちゃん 後任せたで ウチはちょっと休ましてもらうわ」
バキィ!!(深山はついでに殴られた 硬いので大した傷はないようだ) 


***魔山アリス狂終絶哀・闇1


プロローグ『ダンゲロス学級新聞2月号掲載』


第4回を迎える、好評の特別インタビュー企画『ようこそ先輩……そしてさようならだ』。
今回私がインタビューするのは、読者からの要望が最も多かった魔山アリス狂終絶哀・闇先輩。
学園最強の中二力を持つとすら言われる、あの魔山先輩の秘密を探る。


――こんにちは、魔山先輩。
  さすが学園最強、噂に違わない美しさと高貴さ。私も羨ましいです。
  報道部の木村と申します。本日はよろしくお願いします。

「っふ……御機嫌よう、木村さん。
 貴女と私がお会いできた事も、因果(うんめい)のうちの一つですわ……」

――特別インタビューに応じて下さってありがとうございます。
  部活動の上とはいえ、まさかあの学園最強のお方にインタビューの許可がいただけるとは、
  私も全く予想していませんでした。

「有限にして幽玄、悠久の時空の中では、あなたと私の刹那(ひととき)の会話など、
 所詮情報という言霊(スペル)により紡がれるただの虚像(カオス)―――
 気になさる事ではございませんわ」

――冒頭から素晴らしい中二力ですね。私、少し感動してしまいました。
  それはそうと、質問へと入らせていただきます。
  先日、『生徒会』を名乗る新勢力が出現し、
  現体制派である番長に宣戦布告を行った事は、先輩の記憶にも新しいと思いますが。

「そうね……ふふ、生意気な子達……嫌いではないわ……」

――それだけでなく、我が部ではあの長谷部の奴……いえ、長谷部先生が
  再び転校生を呼び出したとの未確認情報も入手しており、
  学園最強の魔山先輩と転校生の直接対決も近いとか……
  この件に関して、魔山先輩本人からの表明を聞きたいと言う要望が多数ありました。

「そう……
 ところで木村さん。あなたは夜闇には輝く光(ほし)が欲しいと願うタイプかしら?」

――は?……さあ?

「ふふ……貴女が理解できないのならば、私はそれでも構いませんわ。
 とにかく―――そういう事よ」

――はぁ。とりあえず参戦はするという事でよろしいですか。

「簡潔に私の意志(こころ)を現すとすれば、そういう事かしら」

――ですが、どちらの勢力に組するかはまだ分からないと。

「私は、言うなれば裁きを待つソドムの群衆の上で揺れる危うい天秤(リーブラ)……
 気紛れな神(デウス)の思慮は、まさに量子(シュレディンガー)の領域……
 うふふ、予測するだけ無駄というものですわ……」

――分かりました、次の質問に参りたいと思います。
  当初魔山先輩は、転校生との対決には消極的姿勢を見せていましたが……
  周囲からの声で、ようやく対決を決めたという経緯があります。
  学園最強の実力を持つ先輩が何故、という声が寄せられていますが。

「…………。
 そうね、それは……そう、命を刈るに値しない相手だと思っていただけですわ……本当に……
 でも、気紛れでやっぱり倒す事に決めましたの……
 ほら、その、運命の天秤は気紛れですから……」

――分かりました。行動理由が気紛れなところが学園最強らしいですねー。
  では、好きな食べ物は。

「ふふふ……好きな食べ物ですわね…………え?食べ物?」

――あ、読者からの質問ですけど。

「た、食べ物…………?
 え……………………えっと、あー…………………血とか……」

――『ち』?

「ちっ、あの―――せ、鮮血に染まる紅血薔薇(ブラッディローゼス)の魔力と言いたいのですよ!!
 美しい処女(おとめ)の死体のみを苗床として禍々しく育つ死の薔薇からしか得られぬ極上の精気……
 これこそ地上に降り立った小さな地獄(ディストピア)、悪魔的な至福の味ですわ!!」

――さすがは学園最強ですね(笑)。
  では次の質問……と、
  おっと! そういえば先輩のお母さんから手紙を預かっているのを忘れていました!

「!!!!!!!!」 

――先日報道部が行った『学園アンケート』の結果へのコメントですね。
  『学園最強』部門で一位になった魔山先輩へのメッセージが届いてますよー。

「な……な、何を言っているのか……私に両親などおりませんわ……!
 両親は幼き頃、私自らの手で葬り去りましたの。しかも殺した後犯しましたのよ……」

――へぇ、なるほど。
  なら、これは霊界からのスピリチュアルメッセージという事にしましょう。読ませていただきます。
  “アリス狂終絶哀・闇へ
   学園最強の称号おめでとう、アリスちゃん。また一歩、第VII選別創界者(ズィーベン・デル・ゴット)に近づきましたね。
   お母さんは(正確には【虚(zero)】と【法(law)】の狭間に揺蕩う最終概念存在としてのワタシは)、とても嬉しいです。
   (勿論、本来ならば人間という生物の認識の延長上に表現すべきでない状

「ホッキョアァァァァァァァァ!!」

――あれあれ、どうしました? 突然夜叉猿みたいな声出して。

「ひ、ひぃぃ……お母さ……やめ……」

――ああ、どうやら凄まじく強大な敵がこの応接室まで迫ってきている模様です(笑)。
  謎の敵にインタビューを台無しにされてはかないませんね。すぐに終わらせるとしましょう。
  “(勿論、本来ならば人間という生物の認識の延長上に表現すべきでない状態ではありますが、
    便宜的にこのように表しています――)思えば、アリスちゃんの現世干渉体がこの世に構成されてから今まで、
   どれだけ【世界】からの試練が

「ヒェ―――ッ!!! おだまんなさいよーッ!
 あんたッ! そ、それ! おやめなさいよ――ッ!!!!」

――なんと。それほどまでに恐るべき敵なのですね……私程度の魔人能力では到底太刀打ちできないでしょう。
  震えが止まりません。恐ろしすぎます。
  あっ、そういえば魔山先輩、さっきから台詞にルビが見当たりませんが?

「うぐっ……!? あ、あんたら…………報道部は、ささ、最初からこれを……」

――やれやれ。何の事でしょうか(笑)。
  では手紙の続きを……

「あ――――! あ――――! もう!
 うぁ―――――っ!! 殺す! この場でぶっ殺すッ!!」

――おっと危ない! この私も、さすがに学園最強には勝てる気がしません!
  これはもう、逃げるしかありませんね☆
  それでは、次回の特別インタビューもお楽しみにー!



今回のインタビューでは、残念ながらこれ以上の情報を得る事はできなかった。
読者の方の中には、私がインタビューの途中で自発的に取材を中断してしまった事について、
あるいは意見がある方も居るかもしれない。

だが、ちょっと待ってほしい。
あなたがこの記事を読んでいられるのも、私の命が永らえているからであり、
記事を書く記者が死んでしまっては、正確な情報を報道する事自体が不可能なのである。
残念ながら、これ以上のインタビューは記者の命に関わるため、継続する事ができなかった。
このダンゲロスまで来たあなた達ならば、辿りつく事はそう難しい事ではないだろう。
真実は、あなた自身の目で確かめて欲しい――
そう付け加えて、今回の特別インタビューを終わる事にしたい。


***魔山アリス狂終絶哀・闇2


『ダンゲロス・マヤマサン・シティ』


――私は希望崎学園に感謝している
  魔人学生にならなければ、猟奇的上級神威闇妖魔族に転生していたから……――

 「くそっ……もうこんなところにまで生徒会が!」

 「撤退!! 撤退だー!!」

番長グループの一般生徒達が怯えてる……
生徒会だ。ついに生徒会が攻めてきたんだ。
あんな凶暴な人達に殺される前に、私も早く逃げないと……

 「お、おい……あれ見ろよ……
  あれ、もしかして魔山先輩じゃないか……!?」

え……!?

 「本当だ……あのゴスロリ眼帯ファッション……間違いないぜ! 魔山先輩だ!!」

 「学園最強が俺達番長グループについたっていうのは、噂じゃなかったんだァー!」

しまった……この流れだと、絶対に私だけ逃げ遅れる……
ここはどうにかして誤魔化さないと。

「そ、そんな……まま、魔山先輩なんて、私……し、し……」

 「うぉぉ――! 今2回も『死』って言ったぞ!!
  本物の魔山先輩だ~~~~!!」

 「ス、スゲェ 俺達の戦いが本物の魔山先輩を幻想亜空次元から呼び出したんだ……!」

そんな……!
私はそんなつもりで言ったんじゃないのに! 『死』なんて軽々しく扱っちゃいけないんだよ……
どうしていつも私だけこんな……こんな扱い……

 「魔山先輩――ッ! 醜い生徒会の連中を美しき鮮血細工へと変えてくださ~~い!」

 「魔山先輩! 今夜の邪神降臨の生贄は何百人の予定なんですか!?」

「う……」

私が――私がやりたかったのはこんな学生生活じゃないのに!! 

「「「「ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC!」」」」
  「魔山先輩!」                 「魔山様」
                「クルエンゼアーさん!」
        「超現世干渉体アリス様!」

「う……う……」

私は早く逃げ出したいのに……
この人たちの前じゃ……
この人たちのせいで……
こいつらが……
この……

この―――

「……有象無象の死すべき者共(ニンゲン)ごときが……!」

「私が現在この地に存在(ある)理由を教えてさしあげます―――
 全ての生徒会をその血の一滴に至るまで鏖殺し……!
 その恐怖と絶望の思念(カルマ)を礎に、さらなる破壊と混沌の時空を現世にもたらすためなのです……!
 その圧倒的な終末的未来(アポカリプス)を前にして、血に酔い浮かれ騒ぐなど……恥を知りなさい!!」

 「うわぁ―――! 今夜の魔山先輩は本気だぁ~~~~~!」

 「これはもう、都市一つくらいじゃ済まされねぇぞ~~~~!」

 「やはり魔山先輩が羅漢の魔人学生を発狂させて関西を滅ぼしたってのは本当だったのか……」

こうなったのも、全部生徒会みたいなのが出てきたせいだ……!
毒蟲共……! 生徒会の下等生物共……!
貴様ら全員の穢れし魂――煉獄(インフェルノ)へと叩き落してやる!!

 「魔山先輩がトランプを取り出したぞ」

 「いや、あれはただのトランプじゃない……伝説の53枚ジョーカートランプだ!!」

 「フォーカードどころじゃねぇ、掟破りのフィフティスリーカードだぁ~~~~!」

「よし、今宵は特別ですわ!!
 最もグロテスクな、月夜の悪夢の世界……あなた方の魂にブチ込んでさしあげましょう!!」


『♪目覚めよ狂気の冥界魔神
  鮮血の暗黒禁術詠唱が聞こえる
  無垢なる赤子の泣き声

  グロテスク軍隊爆破
  グロテスク人類とびちり
  グロテスク魔光気噴射
  グロテスク多次元とびちり
  グロテスク世界崩壊

  全ての者達 統一根源構成体に魂を売れ~~~~~!!』

 「アリス先輩――!」           「うぉぉ魔山先輩様ァァァ!!!」
             「やっぱり学園最強だぜ~~~!!」
     「恐怖のあまり精神0になりましたァァ――!!」

 「「「「ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC!」」」」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その頃、報道部の仕掛けた監視カメラで一部始終を目撃していたアリスの母は叫んだという――

「オーイエス!! マザーファッカー
 私のコカンは大洪水よ!!」


***魔山アリス狂終絶哀・闇3


生徒会を壊滅させて以来、やりたい放題の番長G。Gはガッツリ引きこもりのGだ。生徒会棟を占拠し、各々パソコン、ホームシアターセット、ラジコンなどを個室に持ち込み、一心不乱に引きこもる。
そんな折、番長Gが施行した「ドッヂボール禁止条例」に不満を持つ生徒の行動を決起させる事件が起きた。何者かが、希望崎太郎の上履きを隠してしまったのである。希望崎太郎は「自称生徒会(自らを番長と称する者によって被害を被った生徒による集会の略)」の雄であり、かつては魔球「敵に当たって跳ね返ったボールを最大4回空中でキャッチして、弾丸のようなパワーで投げつける命がけショット」の使い手としてその雷名をとどろかせていた(やったら死ぬので、誰も見たことが無い)。
「希望崎君の靴隠したの、絶対半ズボン(深山)だよ!」
「落ち着け、まだそうと決まった訳ではない」
「絶対そうだね!こないだも落とし穴の上に、スカラ君の体育館シューズをセットして喜んでたじゃん」
果たして、希望崎上履き紛失事件の犯人が深山である事が判明した。明らかにそれと分かる落とし穴の上に、件の上履きが据えられていたのである。
「な、なんてこった。あの半ズボン野郎、又やりやがった」
「あの半ズボン、自分の落とし穴に誰も引っかからないからって、こんな汚いマネを……!」
「おんなじネタを2回も繰り返すなんて、流石は番長G意外性NO.1といったところか。大した奴だ」
「しかし、それはそれ、これはこれ。我らからドッヂボールのみならず、上履きまで奪う番長Gの暴虐、もはや捨て置けん!」
「希望崎は、急いで職員室に上履きを借りに行け。外履きでは校舎に入れないし、上履きが無いと靴下が汚れてしまう。番長Gを血まちゅ、血祭りにしてやるぞ!半ズボン野郎の右側だけゆるゆるになったブリーフをわが校の校旗にしてくれるわ!!」
片足けんけんで職員室へ向かう希望崎以外の精鋭9名が生徒会棟になだれこむ。
見事なコンビネーション攻撃によって、瞬く間に番長Gを包囲、大打撃を与える事に成功した。
エロウイルス感染によって、鼻血と腹痛が止まらないという非常事態にあって、それでも春風は動じない。
「ピーヒョロ~ピッ(フォーメーションBだ!)」
慌てず騒がず、皆を紅茶室に迎える。
「ピーピー、ヒョロヒョロ(何人か足りないが、まぁいい。まずは紅茶でも淹れようか)」
フォーメーションB!番長G不敗のアルティメットフォーメーション「自宅待機」をさらに改良した究極の超強気布陣である。
「ピー(では、余興として演奏会と手品ショーを始めよう。演奏曲目は『またここで会おうぜ』、手品はトランプマジックや、籠の魔術など3つ用意した。あ、そうそう、私は来年から、憧れのダンヘロスフランス校へ留学予定なんだ。それと、今さっき、妹の目の手術が成功したらしく、午後から会いに行く予定だ。そして、お母さんの出産が無事に終わったので、弟の顔も見に行くつもりだ。さらには、3年ぶりにお父さんがモロッコから帰ってくる。また一緒に暮らせる日が来るなんて。ま、全部この戦いが終わったら、の話だけどね……)」
春風の笛にヒッタヴァイネンが続く。
タルジュは考えていた。
「番長の演奏が聴けるのも、顔が見れるのもあと僅かだなぁ。いや、正確には明後日までさ。俺はもう、祖国に帰らないといけないからね。それまでに、この想いを番長に伝えたいと思っていたんだが、この戦いを前に決意が固まったんだぜ。それにしても、さっきまではあんなに晴れていたのに、今にも泣き出しそうなこの空模様はなんだい?安心してくれ、太陽さんよぅ。俺の能力で、一足早い春の風だけは守ってやるからよ」
隣室で手品の準備をしていたアリス。手品師は人の感情を読む術に長けている。たやすく、タルジュの様子から「死亡フラグ」を読み取った。そして、いつもより物悲しい春風の演奏に「もう手遅れなくらいの死亡フラグ」を感知していた。
「なんて事、番長がもうすぐ過労死するなんて!」
番長の方は死亡フラグが多すぎて、もう絶対助からない。しかし、タルジュの方はまだ助かるかもしれない。タルジュの運命を変えるべく、アリスは一世一代の大奇術をタルジュに試みた。 


***翼姫


わたしは春風番長がすき。
番長はね、やさしくっていいにおいがするの。
それにね、夢にでてくるおかあさんにいっぱい似てるんだよ。

わたしはひったばいねんのこともすき。
番長となかよしだしわたしにもやさしいの。
みんないっぱい戦ってる。
死んじゃうともうみんなと会えなくなるって教えてもらったよ。
さびしいよ。
だから私はひったばいねんが死なないように力をあげるの。

誰よりも速くここ、番長Gに帰ってきてほしいから。


わたし、みんなとおしゃべりできるようになったらあの日の約束を果たすね。
ありがとう。


***春風みどり


君は世界に繋がっている。先生はそう言っていた。

音楽の時間。私は見てるだけ。
皆が楽しい歌を歌えば、私も楽しくなった。
皆が悲しい歌を歌えば、私も悲しくなった。
うらやましかった。
私には、できなくなったことだから。

小学生になって、リコーダーの吹き方を習った。
これなら私にもできる。
ホントはピアノがよかったんだけど、お金が無かった。
近所迷惑なんのその。毎日毎日練習した。
いつの間にか、笛の音が私の声になった。


「ここにいたのか。皆待ってるよ。」
今行きます。
そう答える代わりにうなずく。

私の歌は世界に響く。私の気持ちが皆に届く。
だから私は笑顔でいよう。皆が笑顔でいられるように。

いってらっしゃい。


世界に歌が響いた。


***希望崎十八鋼人1


しょんぼりと輪になって落込んでいる18人の下へ、つかつかと歩み寄る一人の少女の姿があった。少女は俯いてしょげっていた18人に気安く声をかけると、18人は覇気のない顔を上げ、少女と目を合わせた。

「あ、糸子さん……」

「どないしたんや、あんたら。もう戦闘は始っとるんやで。みどりちゃんが困っとったで。はよう行きぃや~」

「いや、それが……」
「オレたち……」
「ちょっと……」

「どないしたんや。悩み事があるんやったら姉さんが聞いたるさかい、言うてみぃ」

「あの、実はオレたち、今更だけど……」
「オレたち、魔人じゃねえんじゃねえかって思うんです」
「攻撃力とか防御力とかアキカンより低いし」
「オレたち、母ちゃんから『あんたらは魔人よ』って言われたら」
「ずっとそうだと思ってたけど……」
「ホントはただの18つ子なんじゃないかって、ふと思ったんです」

「なんや。なんで突然そないなこと思ったん?」

「だって、ハルマゲドンが始ってから、みんなスゴイ能力を使いまくってるのに」
「オレたちだけ、みんなで取り囲んで殴るとか」
「こんなん魔人の能力じゃないって思ったんです……」
「自己嫌悪です、オレたち。ハァ……」
「オレたち、こんなところにいてイイのかな、ホントに……って」

「なに言うとんのや。あんたら間違いなく魔人やで。この糸子姉さんが保証したる!」

「はあ、元気付けてくれてるのは嬉しいんですけど」
「やっぱり、いきなりそんなことを言われても……。なぁ?」
「だよな……。根拠もないのに、な……」

「ええか、あんたら! 根拠ならあるで。そもそも考えてみ。18つ子って、あんたらなんやねん。おそ松くんの3倍やで? そんな異常な兄弟、マンガでもおらへんわ! あんたらの存在そのものが魔人の証拠やんか!」

「いや、でも、そうだとしても……」
「オレたち、取り囲んで殴ることしかできないんすよ?」
「それは、ちょっと、なぁ……」

「ちょい待ちぃ。あんたら、さっきの姉さんの言うことよう聞いとった? ええ? あんたらは存在自体が魔人の技なんやで? ほんなら、あんたらが18人で相手タコ殴りにするのも立派な魔人能力やんか!」

「……ん。まあ、理屈の上では、そうかもしれませんけど」
「でもなあ、なんかイマイチ……」
「納得できないよなあ。物証とかあればいいんだけど」

「なんや、あんたら物証があればええんか。ちょいな、あんたら姉さんが魔人ってことくらいはわかっとるよな?」

「え? そりゃ、もちろんですよ。姉さんは魔人ですが……」

「ほなら、あんたら。魔人だけが学園からもらえる『魔人バッジ』のことも知っとるよな、もちろん?」

「へっ? 魔人バッチ??」

「なんや、忘れとんのか? まあ、ええわ。見せたるで。ええ? 姉さんが、今から『左ポケット』から魔人バッチ取り出すさかい、よう見とるんやで。『左ポケット』から、出すさかいな。……ほれっ!」

 糸子の左ポケットから現れたものは、ずいぶんとチープな模様のバッジだった。中心に「あんたはまじん」と書かれている。

「これが、魔人バッジ……」
「あ、確かに。オレの思ってたのと同じバッジだ……」
「オレもオレも。こういうバッジ、確かにあった気がする……」

「何言うとんのや。ほら、あんたらも自分の胸見てみぃ。ちゃあんとバッジ付けとるやろ?」

「え? ……あ、ホントだ!」
「……あ、ある! オレの胸にもバッジがあるよ!」
「何で今まで気付かなかったんだ!? 姉さんと同じバッジ付けてますよ!」
「じゃあ、オレらやっぱり魔人だったんだな!」
「ちゃんと学校から認められた魔人だったんだ!」

「ほら、もうええやろ。分かったらさっさと前線行きぃ。みどりちゃんもタルジュも、おどれらの能力発動、ずっと待っとったんやで」

「あ、ありがとうございます! 糸子姉さん!」
「ありがとうざいましたー!」

 18人は糸子に礼を述べて次々に前線へと向かっていった。糸子は18人の姿が視界から消えたのを確認し、

「フン! しょーもないバッジやな。あいつら、ホンマにデザインセンス言うもんが皆無やわ!」

 といって、自分の魔人バッジをポイと投げ捨てる。

「はぁ……。やる気のない魔人の説得とか面倒くさいわぁ。アタシの能力はこんなアホなことに使うもんやないんやけど。ま、精神の低いやつらは簡単に騙せて楽やからええけどなー」


***希望崎十八鋼人2

1「我々も残り3名となった、覚悟はいいな?」
2「おうよ、兄弟!」
3「サツキちゃんの無念、晴らしてやろうぜ!」

1、2、3「てめえに生徒会長を名乗る資格はねえぜぁーーーっ!!」

番長グループ、最後の悪あがきである
だがしかし、この結果も全て小竹の計画のうちだったのである
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