オンライン=オンライン7

~情報屋さんのお仕事~


とあるオンラインゲーム上でのお話。
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スキル


ヘイト♂♀           大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはアサシン。
(以下もヘイト)       声は両性チックなのをイメージ。意識して情報屋をロールしている。
                 正宗とは長い付き合い、勝手に親分扱いしている。
                 今回は情報屋としての顔が大きく出ています。

シルク♀            女性タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはアーチャー。
(以下もシルク)       見た目は大人、中身は子供そんな雰囲気の子です。
                 ヘイトとは、先輩後輩の関係。
                 何の先輩後輩なのかは、全くもって謎である。

ジェイド♂           青年タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはナイト。
(以下もジェイド)      声も思春期の青年をイメージ、とっても素直な子。
                 主人公っぽく、ロールしている。
                 中の人も同じ位の年齢で、精神年齢もそんな感じ。

マスカレイド♀        少女タイプのアバター推定16歳、ジョブクラスはプリースト。
(以下マスカ)        声は清楚なお嬢様をイメージ。ネガティブ思考。
                 であったが、最近はネガティブ思考も好転しつつあるようだ。

ファーレン♂          大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはホーリーナイト。
(以下ファーレン)      声はガッツリ成人男性してればOK。
                 独特の言い回しと、落ち着いた雰囲気を持つ。
                 中の人は、定年退職して年金生活中。
                 ギルド「青色ウェーブ」メンバー

アンドレ♂           青年タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはローグ。
(以下もアンドレ)      口数が少ないのでクールな印象を受ける。
                 ただし、実はタイピングが遅いだけ。
                 天性のスキルプレイングセンスを持つ?
                 ギルド「青色ウェーブ」メンバー

アミ猫♀            少女タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはウィンドウィズ。
(以下もアミ猫)       声はテンション高めの女子高生をイメージ。猫っぽくロースしている。
                 中の人は、大学生やってます。たぶん文型の四年制大学。
                 余りまじめに学生をやっていないようだ。
                 ギルド「青色ウェーブ」メンバー(システムと被り)

システムボイス♂♀      ゲーム本体からのシステムメッセージです。
(以下システム)        なんかこう、機械が発しているそんなイメージ。
                  お昼のニュースを読んでいるニュースキャスターのような感じ。(アミ猫と被り)

配役表(奨励7人 3:2:2)
ヘイト:
ジェイド:
マスカ:
ファーレン:
アンドレ:
システム&アミ猫:






1ヘイト   「んー、平和だなー。 いいね、平和。やっぱり日常にこそ幸せありだねぇ。 テストも何とか乗り切れたし、当分はぐったりしてていいよね。」

2システム   シルク さんからメッセージが届きました。

3シルク   「ヘイト先輩!なんで最近ログインしてなかったんですか! 急ぎで伝えなきゃいけない事があるんです!」

4ヘイト   「オイオイ、こっちもリアルがあるんだから理不尽な事いうなよ…… 。で、急ぎの用件ってなんなんだ? なんか、いい情報でも手に入ったのかっと、送信」

5システム   シルク さんにメッセージを送りました。

6シルク   「うわーーーん!せんぱああい!! ごめんなさあああああ!!!」

7ヘイト   「うわっ、シルク!?おまえ近くにいたのかよ!」

8シルク   「すみません、可視圏内にいました、ごめんなさい!」

9ヘイト   「おまえは、なんか良くわからない所でまどろっこしいよなぁ…… いい、いい、許すから、はやく用件」

10シルク   「うっぐ……その……怒らないで聞いてくれますか?」

11ヘイト   「大丈夫、怒らないから」

12シルク   「いつもそういって、先輩怒るんだもん」

13ヘイト   「いつもお前が「怒らないでくださいよ」って前フリするからだよ。 諦めろ、内容によるんだ、内容に」

14シルク   「あーん、怒るんだぁ、先輩の嘘つき!」

15ヘイト   「お前が急ぎの用って言ったんじゃないか、さっさと喋りやがれ!」

16シルク   「うー、わかりましたよう。 友達づたいで、情報が欲しいって男性アバターの人が尋ねて来たんです。 紹介した友達も信用のある人だったんで、情報を渡しちゃったんですよ」

17ヘイト   「そこまでだったら、よくある話だな」

18シルク   「でも、男の人の名前なんか見覚えあるなーってちょっと『網』のバックで検索かけてみたら。 ……その、『アノギルド』のメンバーのサブキャラだったってのが判ったんです」

19ヘイト   「あー、ヘマやらかした訳か」

20シルク   「はいー、えっとごめんなさい」

21ヘイト   「そんぐらいのミスなら良くあるだろ、どんな情報渡したんだ?」

22シルク   「幻影の螺旋城ダンジョンの次回出現場所です……」

23ヘイト   「んー、なんか普通の情報じゃないか。 たしかに、価値の高い情報ではあるけど」

24シルク   「あー、えーっと、そのー」

25ヘイト   「どれどれ――― あそこのダンジョンボスは『ヤマタノサテュロス』か、報酬は大きいけど―― 『アノギルド』の勢力で倒しきれるか、といったら十中八九無理だろうなぁ……。ん、『封印の小箱』が出たのか。 トレードに出されて……受取人は『大和』か。ん、『大和』? 『アノギルド』のギルドマスターのサブキャラじゃないか」

26シルク   「えー、あー、そう……ですね」

27ヘイト   「『ヤマタノサテュロス』と、『封印の小箱』で『アノギルド』か。 ……は? 強力モンスターに、モンスター封印アイテム、 そして、迷惑ギルドときたら……」

28シルク   「えっと、やっぱり、そうなりますよね……」

29ヘイト   「モンスターテロ―――だな」

30シルク   「……」

31ヘイト   「バカヤロウ!!なんでもっと早く知らせなかったんだよ!!」

32シルク   「だから先輩が中々インしてくれなかったんじゃないですか!!」

33ヘイト   「しかも、ここまで推理してただろ。 絶対同じ事考えてただろ!」

34シルク   「だって、そこまで言ったら絶対先輩怒るもん!」

35ヘイト   「知るか!馬鹿!さっさと動くぞ!! お前は『網』の奴らにすぐ動けるよう、連絡をとっておけ!!」

36シルク   「は、はい!わかりました!!」

37ヘイトM   情報が足りないな……。 討伐部隊を編成するにも、確定情報が無きゃ動かせない……。 何か、何かコネクションが無かったか……。 思い出せ!利用できるモノは何でも利用するんだ。






38システム   大都市『ローレンス』中央広間。

39マスカ   「どうですか?」

40ジェイド  「どうも、マジらしいな。 言われたとおり、『アノギルド』のフレに聞いてみた。 中々話してくれなかったが、証拠を並べてやったら口を割ったよ」

41ヘイト   「よかった、上手く行ったみたいで」

42ジェイド  「場所は、ここ『ローレンス』中央広間。 キャラクター復活地点だな……。 時間は午後の10時から行うみたいだ」

43ヘイト   「協力、感謝します。あと2時間か、時間が無いな……」

44マスカ   「何か、手伝う事ありますか?」

45ジェイド  「一大事だな、俺も何か出来るなら言ってくれ」

46ヘイト   「ありがとうございます、自分は討伐に参加できそうなプレイヤーに声をかけて回るので。 出来るだけ、『アノギルド』に気づかれないように避難を呼びかけてください」

47マスカ   「オープンチャットで叫んだりとか、しちゃいけないんですか?」

48シルク   「相手に気づかれちゃうと、実行を遅らせてしまう可能性があるんですよー。 そうすると、また実行日時の情報を手に入れないといけないですし、ジェイドさんのつても今度は利用できなくなる可能性がありますからね!」

49ヘイト   「威張ってないで、手を動かせ!」

50シルク   「ひゃう!」

51ジェイド  「わかった、出来るだけやってみる」

52ヘイト   「頼みます」

53シルク   「どうもでした、では!」

54ジェイド  「まさか、こんな事に『アノギルド』にいたことが役立つとはな……。 皮肉なもんだ」

55マスカ   「その『ヤマタノサテュロス』ってどれぐらい強いんですか?」

56ジェイド  「恐ろしく強いな。 俺達一次職程度じゃあ、近づきも出来ないだろうなぁ。 戦闘圏内にはいった時点でアウトだろうさ」

57マスカ   「それじゃあ、戦闘に協力するのは難しいんですね……」

58ジェイド  「ああ、回復魔法の射程に味方をおさめるまえに、攻撃が飛んでくるだろうな…」

59マスカ   「とりあえず、避難の呼びかけを頑張りましょうか」

60ジェイド  「……、いや、あるぜ。 俺達でも、戦闘に協力する方法が」

61マスカ   「あるんですか!?やりましょう!」

62ジェイド  「ああ、そうと決まったら準備だ」

63マスカ   「はい!」





64システム  『青色ウェーブ』ギルドルーム。

65ファーレン 「なるほど、状況は理解した。 モンスターテロの危険性が高い、といった訳か」

66ヘイト   「ええ、なので、『青色ウェーブ』も討伐に参加してもらえないでしょうか?」

67ファーレン 「もちろんだ、と言いたいところだが、のう」

68アンドレ  「……うん」

69アミ猫   「……にゃん?」

70ヘイト   「利益にならない事は、百も承知でお願いしてます」

71ファーレン 「違うぞ。 同じギルドの仲間じゃないか、「してもらえないでしょうか?」なんて、他人行儀な事をいってくれるな」

72アンドレ  「仲間、遠慮、いらない」

73ヘイト   「ファーレンさん、アンドレさん……」

74アミ猫   「あれ?」

75ファーレン 「答えは、応だ。 良くわからんが、うちの奴らは手練が揃っているゆえな」

76ヘイト   「別に条件つけていないのに、二次職以上のメンバーしかいませんからねぇ……」

77ファーレン 「そして、変わり者も多いがな、それなりに戦力にはなるだろう。 存分に使ってくれ」

78アンドレ  「戦いなら、自信ある」

79アミ猫   「なんだかよくわからないケド、頑張るにゃ!」

80ヘイト   「では、今回もデスペナ軽減の為に、可能なかぎり大規模パーティを組もうと思っています。 何人来れそうですか?」

81ファーレン 「前にもこのような事があったな、懐かしい。 ワシとアンドレ、アミ猫そしてレティ、大塚あたりは声をかければ集まるだろうな」

82アンドレ  「ヘイト含めると、六人」

83アミ猫   「だね♪」

84ヘイト   「すみません、今回は自分は別のパーティに入ります。 後で送るリストのメンバーと、合流して十人パーティを組んでください」

85ファーレン 「わかった、パーティは違えど目的は一つだ。 共に頑張ろう」

86ヘイト   「もちろん」

87アンドレ  「負けない、頑張る」

88アミ猫   「おー!」

89ヘイト   「頼りにしてますよ!」





90システム   大都市『ローレンス』郊外。

91シルク   「とりあえず、出来るかぎりの連絡は入れられました!」

92ヘイト   「討伐メンバーも、パーティが3チーム、28人。 上位層プレイヤーを二時間で集めるのはこれが限界だな……」

93ファーレン 「よく集めたものだな」

94シルク   「ええ、ヘイト先輩の『網』の力にかかればこんなものです!」

95アンドレ  「だけど……アレをやるには、まだ不安」

96ヘイト   「言うとおり、安全な討伐にはならないでしょうね……」

97ファーレン 「何回かの全滅は、覚悟しておかなければならぬよのう。なあに、ここに集まった有志は、その程度承知の上。気兼ねなんてしなくていい」

98アンドレ  「倒さなければ……大変」

99ヘイト   「ええ、絶対に取り除かなければ」

100シルク   「……すみません、先輩。まさか、こんな大事に。こんなにたくさんの人に迷惑をかける事になるなんて、思いもしませんでした」

101ヘイト   「……ふぅ。まったく、大ポカをやらかしてくれたよ。でも、ちゃんと言ってくれたから、この程度の迷惑で済んだ。これは最悪の結果じゃないよ」

102シルク   「先輩……」

103ヘイト   「免じて、『網』のバック閲覧一ヶ月禁止ぐらいで勘弁してあげよう」

104シルク   「ひゃう!今の許してくれるノリじゃなかったんですか!?」

105ヘイト   「間違いは、体に覚えこませないと治らないからな」

106シルク   「うう、わかりました……。 実力不足でシルクは前線に立てませんが、討伐頑張ってくださいね」

107ヘイト   「ああ、後輩のミスのリカバーも先輩の仕事だからな。任せとけ」

108ファーレン 「ヘイトも、隅にはおけんのう」

109アンドレ  「先輩後輩ロール?」

110アミ猫   「ほーう、やるにゃー♪」

111ヘイト   「アンドレさんまで……泣きたい……」

112シルク   「おおう、先輩の新しい一面発見!萌えたー、満足したー!」

113ヘイト   「……緊張感とか、そういうのが、台無しです」

114ファーレン 「ゲームは楽しければ」

115アンドレ  「それでよし?」

116シルク   「です!」





117マスカ   「凄いです…、二次職以上の方々がいっぱいです」

118ジェイド  「あのヘイトって奴が集めたのか……壮観だな」

119マスカ   「力に、なれるでしょうか?」

120ジェイド  「なれるさ。『ヤマタノサテュロス』の攻撃範囲外から、 戦闘エリアの端の方に、遠距離蘇生アイテムならギリギリ届く」

121マスカ   「出来るかぎり近づかないようにして、復活アイテムを使い続ける、ですね」

122ジェイド  「そうだ、それが俺達の出来る支援だ。そのために大金はたいて『リバイブフォース』を買い込んだって訳だ」

123マスカ   「討伐、上手くいきますよね」

124ジェイド  「いくさ……これだけの思いが集まってるんだ、モンスターなんかに負ける訳がない」

125マスカ   「はい……ですよね!」





126ヘイトM   可能なかぎりの手は尽くした。それでも、これだけやっても、戦いは五分五分だろう。討伐できるか、どうか……。それでも、僕にはまだ一手残っている。勝負は、最大の切り札が――間に合うかどうか…。『アノギルド』なんかに、僕の『網』が負けるわけにはいかない。だから、どうか間に合って……。

127ヘイト   「正宗さん……」







珍しくつづくのだ。



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用語集


アバター 自分の分身となるキャラクター

デスぺナ デスペナルティの事

リバイブフォース アイテムの名前。戦闘不能のキャラクターを復活。有効距離が長い。

封印の小箱 モンスターを捕縛して、好きなタイミングで開放できるアイテム。
      一度使用すると無くなってしまう消費型。かなりのレアアイテム。

モンスターテロ 強力なモンスターをキャラクター復活地点などに配置して、
        プレイヤーを攻撃させる行為。このゲームではこう呼称されている。

『網』 不明、ヘイトやシルクが所属している団体だと思われる。

『網』のバック、バック 色々な情報がやり取りされている場所なんじゃないのかなぁ?

オープンチャットで叫ぶ 広域のプレイヤーに送られるチャット。



書いた人:柿崎      ヘイト君の「情報屋」を使ってみた。
最終更新:2010年04月20日 00:34