カザナリ ♀
トウキ ♂
1 カザナリ「あれ? おっかしいなぁ、居るって聞いてきてるのに」
2 カザナリ「センセー? 居るのは知ってるんですよー、返事してくださーい」
3 カザナリ「侵入しちゃいますよー……あれ、本当にあいちゃったし。無用心すぎないか?」
4 カザナリ「失礼しまーす……電気は付いてない、か」
5 カザナリ「おーい、センセー。どっかにいるんでしょー? 早く出てきたほうが、身のためですよー?」
6 カザナリ「どーこでーすかー……あれ、寝てる。っていうか、コタツで寝るなって私たちにはアレほどウルサイのに、自分だけは満喫ですか」
7 カザナリ「ほら、起きてください。私が来たんですよ、起きないのは損じゃありませんかね」
8 トウキ「んー……なんだ、虫が……」
9 カザナリ「ほほぅ……虫、とな?」
10 トウキ「――ッ、ってー! なんだ何が起きた!?」
11 カザナリ「おはようございまーす。起きるにはいいスパイスでしたか?」
12 トウキ「カザナリ? あー、なんだよ頭に顎にと痛いし、どうしてお前がここにいんのかもわかんねぇし。なんだこりゃ!」
13 カザナリ「まぁ、よくありますよねー」
14 トウキ「あってたまるかちくしょうが。というか、この痛みの犯人はお前しかいないだろう!」
15 カザナリ「大丈夫です。状況証拠だけでは罪になりません」
16 トウキ「そういう逃げ方はズルくはないかね? というかどうしたんだよ、こんな真昼間から他人の家で――しかも、俺は上がってくださいとは言ってもいないぜ?」
17 カザナリ「今日は私、非番なんですよ。あと二日? は、休める予定ですし。むしろ、センセが仕事もせずにダラダラしてるほうが問題だとおもいますよ?」
18 トウキ「俺はほら、非常勤だからな。今考えたんだが」
19 カザナリ「非常勤とは言っても、一ヶ月に一度顔を見せるぐらいじゃないですか。やる気がないですよねー。そんなんで養っていけるんですか?」
20 トウキ「いや、俺と妹の二人で過ごす分には十分な収入あるし。つか、あいつ、自分の分は自分でと言って聞かないからなぁ。金は貯まる一方だ」
21 カザナリ「そうだったんですか。なら、私は働かなくても良いですねー」
22 トウキ「なんの話ししてんだ?」
23 カザナリ「えっ? いやだから、私がツキちゃんのお姉さんになるってお話ですけれど」
24 トウキ「あいつらの娘ラブっぷりは半端ないからなー。大事な娘を養子には出さないだろー。ハッハッハッ」
25 カザナリ「あれあれ、そんなこと言うんですかー? 私としては計画を遂行するため、ここで大声を上げることもやぶさかではありませんがー」
26 トウキ「お隣さんが『あらカザナリちゃんったら大声上げちゃって。またジャイアントスイングでもされてるのかしら。オホホホホ』とか笑う程度だぞ」
27 カザナリ「なにゆえにお隣さんはそんな解釈するんですか。というか、ジャイアントスイングってなんですか。私、そんなことされた覚えがありませんけど」
28 トウキ「お前、妹に酒飲ませたことがあったろう。つか、未成年の分際で酒盛りしてた時があったよな? 憶えてないとは言わせないぞ」
29 カザナリ「……」
30 トウキ「……あぁ、コタツ素晴らしい」
31 カザナリ「――私が押し倒すしかないんでしょうか」
32 トウキ「スルーしてんじゃねぇよ。あの阿鼻叫喚の後片付けをしたのが誰だとおもってんだよ。物騒なことも言うな、もっともお前ごときに組み伏せられるほどなまっちゃいねえけど」
33 カザナリ「そういう格闘的なスキルだけは一丁前ですよね。なにして生活してんだか分からない不確定人物のくせに。というか、本当に働いてるんですか? 常に家に居ますよね?」
34 トウキ「非常勤でお前とか妹とか、その他モロモロにも教えてやってるだろう?」
35 カザナリ「教えてる? またまたご冗談を。原始人が現代人に物を教えるというのはむなしいだけですよ」
36 トウキ「お前みたいに感性で動いてる奴と同レベルって事だろう? なら、経験年数を考慮して俺の方がよっぽど現代人だ」
37 カザナリ「えー、まーじでーすかー。なら私、部隊でやっていける自信がありません……」
38 トウキ「そうかそいつは良かった。安全な職はあるんだし、こんな業界からは足を洗っちまえよ」
39 カザナリ「でも、今の職業以外で働いてる自分の姿は……そうだセンセ、家事全般ができる女の子を一人、永久に雇ってみたくありませんか?」
40 トウキ「妹以上に上手いてんなら、考えてやっても良い」
41 カザナリ「ツキちゃん以上か……。無理かも」
オチナイ
最終更新:2010年12月29日 01:31