オンライン=オンライン5

~今日も仮想世界(ヴァーチャル)に新しい風が吹く~


とあるオンラインゲーム上でのお話。
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スキル




バロン♂         大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはリザレクター。
(以下もバロン)    特に特徴がある訳ではなく、気のいいお兄さん。
              何を演じるでもなく、気ままにプレイしてます。

シャロン♂        大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはブレイブナイト。
(以下もシャロン)   方言が特徴的なお兄さん。バロンと仲良し。


ちょーちょ♀      少女タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはニュービー。
(以下は蝶)      バカップルの一号。遠距離恋愛中の少女。
             中身とアバターは、ほぼ一致してると考えてOKです。自分の中の愛ワールドを展開しろ。

エリック♂        少年タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはニュービー。
(以下もエリック)   バカップルの二号。遠距離恋愛中の少年。
              こちらも、中身とアバターが一致している雰囲気。
              とにかくラブのパワーを自分の体を通して放出できる人。突き抜けろ。

システムボイス♂♀   ゲーム本体からのシステムメッセージです。
(以下システム)     なんかこう、機械が発しているそんなイメージ。
               お昼のニュースを読んでいるニュースキャスターのような感じ。

配役表 (奨励5人 3:1:1)

バロン♂:
シャロン♂:
ちょーちょ♀:
エリック♂:
システムボイス♂♀:




1システム  騎士の街『アバンステルダム』郊外。

2バロン  「あー、狩りめんどくせぇ……」

3シャロン 「デスペナルティを貰うのも面倒じゃけえのお」

4バロン  「そうそう、レベル95から96に上がってもそんなに性能変わらないしなぁ」

5シャロン 「かといって、こうやって街の外で座っちょっても、経験値が貯まる訳でもないしのお」

6蝶    「えーっと、すみません」

7バロン  「ん?俺ら?」

8シャロン 「ニュービーさんか、どうかしたのかのう?」

9蝶    「この辺に、エリックって男のキャラクターが来ませんでしたか?」

10バロン  「んー、俺は見てないなぁ。お前は?」

11シャロン 「わしも見ちょらんのう」

12蝶    「あ、ありがとうございます。 街を下に出たところって、約束したんだけどなぁ……どうしたんだろう。」

13バロン  「待ち合わせか何かかい?」

14蝶    「はい、場所はここで合ってるはずなんです」

15シャロン 「サーバーとか、間違えちょらん?」

16蝶    「はい、ここはサードサーバーですよね?」

17バロン  「うん、合ってるなぁ」

18シャロン 「じゃあ、キャラ作成の時に向こうの子も『ナイトになりたい』って選んだのかのう?」

19蝶    「え…、えっと、何か変わるんですか?」

20バロン  「最初に希望した職業によって、スタートの街が変わるんだよ」

21シャロン 「ここはナイトの街『アバンステルダム』じゃけん、 ナイトを選ぶとこの街でスタートすることになるのう」

22蝶    「そうなんですか!?確認とってみます!」





23システム  その頃、エリック。


24エリック 「どこだー!  ちょーちょ!!  どこにいるんだぁ!  返事してくれー!  俺はここにいるぞぉ!!」





25蝶    「連絡、とってみました」

26シャロン 「どうじゃった?」

27蝶    「彼は、シーフを選んだみたいです……」

28バロン  「なら、彼は盗賊の拠点『バレー・オブ・ザ・サン』にいるね ちょうど、マップの上端と下端に分かれてしまった訳だ」

29蝶    「そんなに距離があるんですか!? うう、ゲームの世界でもこんなことになるなんてぇ……」

30シャロン 「ん、ゲームの世界でも?」

31蝶    「その、エリックってキャラの人は、私が遠距離恋愛をしている彼氏なんです」

32バロンM  リア充だ、リア充が目の前にいる!

33シャロンM なんじゃろう、この気持ち。あえて言葉にするなら……殺意?

34蝶    「たまに、夜行バスに乗ってわざわざ合いに来てくれたりして。 交通費だけでも結構苦しいはずなのに、食事の支払いとかもしてくれて。 悩んでる時とか、ちょっとメールするとすぐ電話かけてきてくれて、 私の気が済むまで、ずっと話を聞いてくれるんです。 それでもって―――」

35バロン  「うん、わかった。君のエリック君が立派なのは良くわかった」(前台詞に被せる)

36シャロンM なんじゃろう、この甘さ。胸焼けで、死んでしまいそうじゃけん……。

37蝶    「え……でも、まだ親と話し合ったり、共通の友達といざこざしたり、一時気まずくなった時期を乗り越える話がまだ……」

38バロンM  この人、本気で俺達を殺しにかかって来ているのだろうか?

39シャロン 「カットで、とりあえずこのゲームを始める辺りから再スタート」

40蝶    「あ、はい、わかりました。 このゲームも、彼から言い出したんですよ、『いっしょにやろう』って オンラインゲームなら、時間が合えば何時でも会えるし。 一緒に冒険に出れたら楽しそうだなって。 でも、ゲームの中でも距離が離れちゃうなんて……」

41バロン  「一度キャラクター同士が合わなきゃ、フレンド登録も出来ないしな。 チャットも飛ばせないって状況か」

42シャロン 「ワープも、一度自分の足を運んだ街にしか跳べんけぇのう」

43蝶    「歩いていくの、どのぐらいかかるんですか?」

44バロン  「歩くだけなら、そうたいしたこと無いんだけど」

45シャロン 「それなりに、強いモンスターがうろうろしているけぇのう」




46システム  その頃、エリック。


47エリック 「『アバンステルダム』だな。 今いくぞ、ちょーちょ !この程度の試練ぐらい、俺の愛で木っ端微塵に乗り越えてやるからな。 愛のダッシュ!」





48バロン  「最初のうちは、モンスターから攻撃してこないから、安全に進めるけど。途中からは、モンスターに見つかると攻撃してくるようになるから。 戦闘は、避けられないだろうね」





49システム  その頃、エリック。


50エリック 「おお、モンスターが攻撃してこないぞ。 俺の愛に恐れをなして、手も足も出せないとみた。 見てくれちょーちょ、俺の愛はこんなにも完全無欠で無敵だったんだ! ん……あのモンスターは、俺を追いかけてきているような……」

51システム  エリックさんが戦闘不能になりました。





52蝶    「そうですか。だと、難しいですよね」

53シャロン 「まあ、キャラクターを作り直せば、その街でスタート出来るけぇのう。 それが一番手っ取り早いかもしらんのう」

54蝶    「あ、その手がありましたか」

55バロン  「だけど、そのキャラクターネームはもう使えなくなっちゃうね。 重複するネームじゃ、登録できなくなってるし」

56蝶    「そう……ですか」

57シャロン 「……いくかの」

58蝶    「え……」

59シャロン 「……その名前、気に入ってるんじゃろう? な、いいじゃろ?バロン」

60バロン  「ちょうど、暇してたところだしなぁ……いいんじゃねーの?」

61蝶    「えっと、という事は……」

62シャロン 「つれてっちゃる、『バレー・オブ・ザ・サン』」

63バロン  「お姫様を護衛しながらか、なかなか面白いんじゃないか?」

64蝶    「あ、ありがとうございます!」

65システム  バロンさんが、ちょーちょさんをパーティに招待しました。

66システム  ちょーちょさんが、パーティに追加されました。

67蝶    「よろしくです。  あ、この名前はですねぇ……実は彼が!」

68バロン  「もう、いいわ!」(前の台詞に被らせる)





69システム  フィールドマップ『ルレアントの滝』

70シャロン 「あぶないけぇ、わしらより先に出ちゃあいけんよ?」

71バロン  「まぁ、倒れても俺が復活させてやるから、あんまり関係ないけどな」

72蝶    「き……気をつけます!」(ちょっと進む、間を空けて欲しい。)



73蝶    「うわぁ……滝、綺麗」

74バロン  「久しぶりに見ると、違うなぁ。こんなにダイナミックだったっけ?」

75シャロン 「前にここを通った頃は、モンスターから逃げるので精一杯だったけぇ。 余裕を持って見ると、プログラマーさんの作りこみは圧巻じゃのう」

76蝶    「プログラムだってわかってても、やっぱりすごい! 思い切って、周辺機器を買い揃えた甲斐がありました!」


77バロン  「わすれてたなぁ……レベルだけがゲームじゃねぇってさ……」

78シャロン 「じゃのう、どうしても長く続けるとステータスにばかり目が行ってしまうけぇ」

79蝶    「……私、絶対またこの滝を見に来ます。今度は、エリックと一緒に!」

80シャロン 「あぁ……それがええ」

81バロン  「進もう、まずはエリックって奴に合流しなきゃ始まらないからな」

82蝶    「はい!」




83システム  盗賊の拠点『バレー・オブ・ザ・サン』

84エリック 「ちょーちょ!!!」

85蝶    「エリック!!」

86エリック 「あぁ、ちょーちょ!!!」

87蝶    「おぉ、エリック!!」

88エリック 「ちょーちょ!!!」

89バロン  「いつまで続けるつもりだろうか?」

90シャロン 「あの状態になったら、ほおって置くのが一番じゃけえ」

91蝶    「会いたかった!!」

92エリック 「僕もだよ、でもモンスターという壁が僕達を遮っていた。 すまないちょーちょ、今の僕では、その壁を乗り越える事は出来なかったようだ……」

93蝶    「エリックは、悪くない。いっぱい頑張ってるの知ってるもん!」

94バロンM  そりゃ、ゲームの仕様だからな。越えられなくて当然だろ……。

95蝶    「それに、ほら……私達、ちゃんと再会できたじゃない。 運命の赤い糸は、ちゃんと繋がってた……」

96シャロンM ここまで突き抜けていると、逆にすがすがしいのぅ。

97エリック 「それもこれも、二人の絆を守ってくれた、恋のエンゼルさん達のお陰だね♪」

98蝶    「そうだった、エンゼルさん達にお礼をしなくっちゃね♪」

99シャロンM エン……?

100バロンM  ゼル……?

101バロン  「おい、あのバカップルこっち向いたぞ」

102シャロン 「つまり、わし等がエンゼルさん達らしいのぅ……」

103バロン  「俺、他人の恋を届けるより、自分の恋を探したいです」

104シャロン 「エンゼルさんの仕事とは知らず、引き受けてしまった訳じゃのぅ 諦めぃ、意図せずも縁を繋いでしまったことは、事実じゃけぇ」

105エリック 「ちょーちょを送っていただいて、ありがとうございました」

106蝶    「お世話になりました」

107シャロン 「まぁ、大した事はしちょらんよ」

108バロン  「気づかされる事もあったしな」

109蝶    「ところで、お二人のレベルは?」

110バロン  「二人とも95だよ」

111蝶    「……私、強くなります。 頑張ってレベル上げますから、また一緒に冒険してくださいね!」

112エリック 「その時は僕も一緒に」

113バロン  「もちろん」

114シャロン 「じゃけえ」

115蝶    「では、今日はもう時間が無いので……お疲れ様でした!」

116エリック 「今日は本当に助かりました、では!」

117バロン  「お疲れ」

118シャロン 「乙」

119システム  フレンド ちょーちょ さんが、ログアウトしました。

120システム  フレンド エリック さんが、ログアウトしました。

121シャロン 「行ってしまったのう」

122バロン  「あぁ、楽しくプレイできればいいよな、あの二人」

123シャロン 「のう、バロン」

124バロン  「なんだ?」

125シャロン 「たまには、新キャラ作ってみんかのぅ?」

126バロン  「……いいな、ソレ!」

127システム  キャラクター作成が完了しました。 ようこそ、アドラーニェ大陸での生活をお楽しみください。







生活をお楽しみください。


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ネットゲーム用語解説集



アドラーニェ大陸 ゲームの舞台になる大陸。

ニュービー ジョブタイプの一つ、キャラ作成直後の職業。




書いた人:柿崎 遠距離恋愛してる人には、遠距離恋愛になる才能があると思う。
最終更新:2010年04月14日 20:06