辛島(カラシマ) ♀
瀨戸(セト) ♂
筒木島(ツツキジマ) ♀
来嶋(キジマ) ♂
胡摂津(コセッツ) ♀
鍛冶島(カジマ) ♂
鑑識 ♂
1 筒木島「どうも、こんにちはー」
2 来嶋「はいよ、いらっしゃい」
3 筒木島「先輩達、来てますかー?」
4 来嶋「お前さんが来たら席に案内してくれってよ。奥だ。前とほとんど変わらないから、いきゃあ判る」
5 筒木島「ありがとうございます。そうそう、メニューなんですけれど」
6 来嶋「ブルーマウンテン、ブルーハワイ盛りか?」
7 筒木島「マスターも結構一般人の感性で捉えられないですよね?」
8 来嶋「猫舌な客からは大受けだぜ? ブラック派には嫌われてはいるが」
9 筒木島「いえ、まずはコーヒーにかき氷を載っけるという、その思考がですね?」
10 来嶋「斬新すぎてびびっただろう! ほれ、注文しろ!」
11 筒木島「えぇえー、なにこの「年頃の娘と少し会話できたからって調子に乗って、おやじギャグすら超えたタダ寒い言葉の羅列でドン引きされる中年おやじ」みたいなマスター。嫌いです」
12 来嶋「......oh,no」
13 筒木島「ともかく、メニューですけど。ウィンナーコーヒーで」
14 来嶋「なん、だと? あっ、ちょっとまて、それはどういうメニュー」
15 筒木島「なるべく早く持ってきてくださいねー」
16 来嶋「――試されて、いるのか。俺は」
17 筒木島「必要なのはー、友情、勇気~。そして少しばかりの金! 名声! 地位! ――あっ、居た居た」
18 瀨戸「いやなに公式としては成り立つだろう?それをよしとして進めてしまえば理詰めで済む」
19 辛島「その公式が役に立たない相手を前にして、どうしようってのよ。回答が一つだとしたら、先回りどころか最期の最期まで読まれ切ってる。勝負したら必敗なのに、どうやって追い詰めるって?」
20 瀨戸「ばかやろうそれならゲームの全部で勝てないってことじゃねぇか認められねぇその領分は俺のだ俺のなんだ取らないでくださいスイマセンヤメテお願い-!」
21 胡摂津「なにもそんなにムキにならずとも、いずれは勝てよう。有限の可能性であるなら、あとはたぐり寄せる運や実力だけだ。そして、白熱した話は少し置こう、小さな客人が来ているではないか」
22 辛島「あらいつの間に。久しぶりね、夏以来?」
23 筒木島「お久しぶりです、まさに夏以来ですね。あれは楽しかったですよねぇ、まさか避暑に行ってあんな事になるなんて・・・・・・」
24 瀨戸「適当言うのは変わらないなぁ本当に元気してたか偽情報掴ませて人をおちょくったりしてなかったろうな?」
25 筒木島「呼吸をするなとか言う人は、自分こそ呼吸を止めてしまえばいいと思います」
26 瀨戸「そんなレベルで人をおちょくってんじゃねぇよ!」
27 筒木島「あぁ、大丈夫ですよ、ウソですし。ところで、こちらのお方は?」
28 胡摂津「やぁ、今まで人づてに話は聞いていたよ。私は胡摂津と言う。君の情報網に引っかかる程度には、有名人で居られたかな?」
29 筒木島「喫茶店、サーマイに常駐していらっしゃる占い師の方、ですよね? 私、筒木島藤花と言います」
30 瀨戸「他には知ってることあるか?」
31 筒木島「なんでも、未来の的中率が百パーセントとか。話しているうちに占われて、未来を言われてしまったら新聞がおもしろくなくなるっ! と、思っていたので避けてたりしました」
32 辛島「噂は噂。なんて事はこの人に通用しない。本当にあたるのよ、百パーセント」
33 瀨戸「もう未来予測じゃなくて未来干渉だな本人にはその気がないみたいだが」
34 胡摂津「私は見たままを言っているだけに過ぎないよ。他の占い師と同じさ」
35 瀨戸「人間ってー奴は無意識が一番恐ろしいね他人が介入して方向性を変えることすらできないからな」
36 筒木島「それと、もう一つ情報があって、的中率よりももっと疑わしくて、今でも疑っているんですけれど」
37 胡摂津「ほう? どんな話が流れているのかな?」
38 筒木島「えっと・・・・・・マスターとご結婚されてます?」
39 胡摂津「あぁ、後悔している」
40 瀨戸「うわっ! マスターカップ落としてるんじゃ――おぅおぅ元気だな今日も評判になってるからなぁマスターの商店街一周泣きながらマラソン」
41 辛島「いいわねぇ、若い証拠よ。子供を見せて貰いたいわ」
42 胡摂津「こたえよう。なぁに、自由な時間が多い職業だからな、子育てしながらでも仕事はできるだろう。あいつは」
43 筒木島「わぁ、事実だったりマスターが私の注文落としたり走っていったり子作り了承だったり子育て放置だったり、この人すごい・・・・・・」
44 胡摂津「小さい人間だよ。あいつ、ロリコンなんじゃないかなと、毎回思う」
45 筒木島「精神的なロリコンというのは新ジャンルな気がしますねぇ」
46 辛島「ところで、来嶋家の話題をするために呼んだわけではないの。話を戻しても?」
47 胡摂津「無論だ。家族計画は私の仕事だからな」
48 瀨戸「マジに尻に敷かれてたんだからマスターには気の毒なこと言ったような気がするぜと言葉だけ発しておくか」
49 鍛冶島「こいつぁ、見事だ。面倒でたまらねぇよ」
50 鑑識「鍛冶島、引き上げるぜ?」
51 鍛冶島「あいよ、お疲れさん。引き続きの調査、たのんますわ」
52 鑑識「了解了解、片田舎の検査室、久方ぶりのフル稼働だな。でっ、あれは? お前に手を振ってるぞ?」
53 筒木島「あっ、どうもどうもー」
54 鍛冶島「――とんでも野郎だ」
55 鑑識「あっ?」
56 鍛冶島「いや、んー。色々あんだよ、多分な」
57 鑑識「浮気か」
58 鍛冶島「あれにか? あいつをほっぽっといて?」
59 鑑識「わーってるよ、んなの。一通りの情報は、"今は"持ってない。そういうことで」
60 鍛冶島「おう、"これから"頼むぜ」
61 筒木島「お話、終わりでーすか?」
62 鍛冶島「ハッ! これからのおしゃべりの方がよっぽど退屈だってんだよ、なぁ?」
63 筒木島「いやいやいやいや、枯れた中年が私みたいな女子高校生とお話できるんですし、大いに盛り上がって頂いても、いいんですよ?」
64 鍛冶島「嫁さんなめんな」
65 筒木島「なめてました嫁さん。今日は帰れるんですか? その、愛しい人が待つ家に」
66 鍛冶島「無理に決まってんだろうが。・・・・・・ったく、なんだってこうも綺麗に吊っちまうかね。魔法だとか言いやがったら、犯人ぶん殴ってやる」
67 筒木島「行きすぎた科学かもしれませんけれどね。ともあれ、まずは状況から聞いちゃいますよ!」
68 鍛冶島「お前のテンションも、殴るに値するな、こりゃ」
69 筒木島「どの程度から再現するんですか?」
70 辛島「事件直後からでいいんじゃないかしら」
71 胡摂津「構わないよ。普通の推理小説のように、発生後からの推理をしようじゃないか」
72 瀨戸「とりあえずは前に話した俺の案からでいいのか?」
73 辛島「もちろん。私もいくつか持ってきたから、それはそれでお楽しみに」
74 胡摂津「私は二人のを見てからだな。お手柔らかに」
75 筒木島「それで、今回の事件って?」
76 鍛冶島「首吊りだな。珍しい感じだぜ・・・・・・嫌になる。自殺ってんなら、言っちゃなんだが楽なんだよ。今回はハズ――貴賤はねぇな」
77 筒木島「ダメですよー、警察の人なんですから。あんまり変なこと言っちゃうと、通報されますよ、上の人に」
78 鍛冶島「その手の文句に刃向かってたから地元に帰れって言われたんだよ、今更だな」
79 筒木島「職がなくなると大変なのでは?」
80 鍛冶島「地球で腐るつもりなら、幾らでもあるだろうが」
81 筒木島「確かに確かに。それで、具体的にはどんな感じで? というか、どのロープだったんですか?」
82 鍛冶島「全部」
83 筒木島「はい?」
84 鍛冶島「全部だ」
85 筒木島「全部? でもですねぇ、目の前のロープ、八本もありますよ?」
86 鍛冶島「その全てが、首に掛かっていたらしい。どうやったらいいのかさっぱりだ」
87 筒木島「八本全部が首、ですか。このロープが? 被害者は女子大学生って聞きましたけれど。はまったんですか?」
88 鍛冶島「しらねぇんだよ、俺らは。死体は確かにこの部屋にぶら下がっていたらしい。第一・第二発見者が証言している。だが、第一発見者が被害者と親しかったらしくてな。降ろしたらしい」
89 筒木島「へぇ、また凄い。このロープが八本首に絡みついていて? このロープ、切れた感じがないんですけれど」
90 鍛冶島「八本全てかどうかは聞けてないんだよ、まだな。なかなかに衝撃的な光景だっただろうしな」
91 筒木島「目の前の光景が突然非日常、首吊りとか。取り乱すのは分かりますが・・・・・・逃げられませんよね?」
92 鍛冶島「錯乱中に聞いてしまえれば楽だったんだがな。今だと、あの時は取り乱していて――とか言われたら終わりかもしれん」
93 筒木島「第二発見者は?」
94 鍛冶島「同じく。ただ彼は用務員でね。被害者は大学の生徒。まだ詳しくは話や調査をしてないが、接点があったとは思えない。ショックは第一発見者よりマシだろうよ。だからどうした、という話かもしれないが」
95 筒木島「他に、状況って?」
96 鍛冶島「さぁな、あとは鑑識任せだ。この天井、スポンジみたいに見えるから本当に吊ってたのかも分からないし。謎が多いんだよ」
97 辛島「初動は、この程度だったのね」
98 瀨戸「俺たちが貰ったのは全部終わったあとの情報だからな時系列で追っていくとこんなもんなんだろう」
99 胡摂津「あと、知っていないと駄目な情報は?」
100 筒木島「この部屋、密室だったんですよー。いやー、奇天烈ですよね」
101 瀨戸「案外少ないんだよな要素は結局はどうやって密室を構築したかどうして八本のロープで首を吊ったかそこだけなんだ」
102 辛島「分かり易いからこそ、ノイズが混じりやすいって事の証明。これから説明されるあなたの話、その典型例でしょ?」
103 瀨戸「より奇抜におもしろく常識的じゃないのを選んでるからなよし再現していこうか」
最終更新:2010年02月15日 23:38