練習台本02


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瀨戸島倶 「セト トウグ」♂
辛島徒鳥 「カラシマ トトリ」♀
筒木島藤花 「ツツキジマ トウカ」♀
マスター 来嶋為価 「キジマ ナルカ」♂
美里島 「ミリジマ」♀
幸島敏益 「コウシマ トシエキ」♂
井島地力 「イジマチ リキ」♂
琴島 「コトシマ」♀



筒木島「では、部屋の状況へ」

辛島「防音室、だったっけ? 天井が全部スポンジだとか」

筒木島「厳密に言うと、スポンジでもないんですが、近い感触です。壁はコルク壁で、その奥はウレタンだのが詰まってるらしいですね。窓はありますけど、三重窓です。密閉度を上げるような仕掛けがついていました。北海道の窓、凄い版ですよー」

瀨戸「窓ガラスのカギは三重の全てについてんのー?」

筒木島「ついてます。二枚も閉めれば、外の車のエンジン音すら聞こえなくなりましたよ。あとは、換気扇ですね。壁に埋まるように付いていて、使わないときは二重のカバーをするそうです」

辛島「うわっ、くだらないこと思いついたんだけど」

瀨戸「お前も?俺も俺も最強につまらなくて無いわそれと思った」

筒木島「なんですかー、二人して分かった感じで。適当にヒントを出して、私にも分かった感をくださいー」

辛島「全部閉めて、換気扇を回して真空に」

瀨戸「同じだ同じでもありえないよな」

筒木島「うっわ、答え言いましたよこの人たち。でも、どうして駄目なんですかー?」

瀨戸「換気扇を回して空気を外に出す入れるをしたとしてその逆になる口がもう一つあるんだよ通気口って奴かなそれがある限り真空にはならないし安全設計上この二つが完全にふさがる事はない」

筒木島「あー、そういうことですか。そりゃそうですよね、真空にするための部屋じゃないんですから、出入り口はありますよねぇ」

辛島「もう一つ言えば、部屋を真空にする程の換気扇なんて、羽が直径で二メートルぐらい必要。あと、真空やそれに近い空気濃度になったら、そも窒息以外の死因になるしね」

筒木島「窒息以外というと、具体的には?」

瀨戸「大気圧は一平方センチメートルあたり一キロで人間の表面積からするとおおむね一トンの圧迫力があんだよそれが真空になることによってゼロになるから内側から破裂するし沸点が人間の体温以下になるから血液やら体液髄液が沸騰して血管を破壊したりするし――」

筒木島「わぁー、待って待って! ここ、喫茶店ですよ喫茶店。言葉のグロテロリストなんて忌避される場所なんですからね!」

辛島「目ん玉の中の体液が沸騰して目玉ボーン」

瀨戸「うおっグロ!」

辛島「あなたの言い方の方が酷かった。まっ、これぐらい一般常識でしょう? みんなテレビで気づかぬうちにすり込まれて宇宙への恐怖を抱いてる。実はこれ世界規模で行われてて、宇宙を我が手にしようという野望を持った世界政府高官の教育結果――」

瀨戸「なのか?」

辛島「だったら此処にMIBが来るけど……来ないようだから、別にそんなことはなかったよね」

瀨戸「なんじゃそりゃつか此処に黒づくめが来たらお前以外の人間にも今の話は本物だーって存在で証明してるじゃねーかあっでもピカッてやる例のアレでポッシビルな記憶をエリミネートされっかもななら平気かカモーンMIB!」

辛島「………………」

瀨戸「………………」

筒木島「………………」

来嶋「………………」

筒木島「で、えっと、なんでしたっけ?」

辛島「そうね、確か部屋の状況を聞いてて、部屋を真空にする馬鹿げた空想をぶちこわした所で……どうなったの?」

瀨戸「ありえねーふぅははははって笑って終了したと思うぞ」

辛島「脳天気馬鹿連結システム搭載がそういうなら、そうなんでしょうね」

瀨戸「今のけなし言葉まったく必要じゃなかった気がするぜ?馬鹿だから覚えてるとか適当にリンクさせすぎだろう」

辛島「でっ、他に部屋の様子で言ってないことは?」

瀨戸「無視ですかーまたまたー無視ですかー」

筒木島「自殺に使用したと思えるイスが、部屋の中にぽつんと。立ってましたよ、倒れてないです。他にもテーブルとかあったんですけど、なぜか壁際に寄ってましたよ」

辛島「あら、それは偽装だから良いとして、もう一つ、重要なのがあるでしょう?」

筒木島「それはもちろん。今回は吊り針が沢山あって、なんと八本でしたよ!」

辛島「……首吊りロープが、八本?」

筒木島「そうなんですよ。素材はナイロンロープ。これがですね、一本でも十分な程太いのに、天井から八本もぶら下がってたのです」

辛島「んー、被害者って、男性だよね? ロープが足りないような……」

筒木島「はれっ? 言ってませんでしたか、女性ですよ、女性」

辛島「あっ、そうなの? 美里島さんが女性で、そんな彼女が半狂乱でと言うから、好いた好かれたの間柄、男性かと思ったのだけど」

筒木島「その二人の仲、調べて来ました。聞きますか?」

辛島「動機を暴かない。私たちの不文律、でしょう?」

筒木島「私たち報道関係者からすると、そこがまさに重要なんですけど」

辛島「現実の報道でも、動機がどうとかこうとか言うのが多いわよね。でもそれって、その部分が一番人間の興味を惹くと分かっていて、テレビが押し出してるから。テレビの恣意が入るテレビドラマなんて、どこみても殺人は動機動機動機……いいわよねぇ、彼ら彼女らは死を食い物にしていいってんだから」

筒木島「知らないんですか? 人が知りたいと思うから、私たちは目の前にえさをぶら下げるんですよ。民衆が肯定した、民主主義と共に、です。数が正義。そして日本国が後押しする、資本主義の名の下に、です。儲けた者が英雄。大多数の大衆は私たちを儲けさせるよう、動くと良いのです」

辛島「包み隠さないところがよろしい。でっ、女性だった訳ね。美里島さんぐらいの年齢で良いのかしら?」

筒木島「良いですよ、その想定で。平均的なプロポーションでして、その年代を想定したマネキンを持ってきても、そっくりだと思いますよ」

辛島「それは逆に凄いうらやましい、あれって女性の理想体型だもの。まっ、そうなると体重は二十代女性の平均五十五ぐらいね。これで、はい、八本のロープにかかる平均的な加重は?」

瀨戸「人間の首を重心とした場合は重心が高くなるからブラブラ揺れるがそういった諸々の条件をさっぴいて一本ごとに均等な加重がかかった場合は単純に八等分して良いとすると一本あたり五十五割る八で約七キロちょいってところか」

筒木島「そうですねー、人間の首を重心とした場合は、重心が高くなるからどうしても揺れてしまいます。そういった不均等性のある諸々の条件を考えず、一本ごとに均等な加重がかかった場合、単純に八等分して良いとすると一本あたり五十五割る八で約七キロちょっとですか」

辛島「正解よ。えらいわねー」

瀨戸「お前ら目の前で不都合な事が起きても目をそらす奴らみたいじゃないかよ!出番が無くなっていきやがる!!」

辛島「あっ、マスター、コーヒーのおかわりを」

筒木島「私、レモンティーが良いです。あと、私はお熱いのがお好き」

来嶋「てまえら本当に俺の店でフリーダムだよな、人類とかも救わないし。まぁ、待ってろ」

瀨戸「マスター!あんたまで俺を俺を裏切るのかー!」

来嶋「ほれ、コーヒーおかわりだ」

辛島「ありがとう」

筒木島「私のはまだですか~?」

来嶋「コーヒーみたいにお湯入れるだけー、とかなら楽なんだがな。葉が開く直前に持って行く、あとは自分好みの時間まで蒸らせ」

筒木島「お茶のサービスは、良い感じですね」

来嶋「他の部分も評価して欲しいね」

筒木島「何ですかあの壁に掛かったアンデス奥地の部族がかぶってそうな仮面は、ダサイ。全体的に秘境文化を押し出しすぎて、キモイ。あっ、他のメニューは注文したときに評価します。そうそう、マスターのおもしろおかしい言動は、早速ネタにしますよー」

来嶋「あぁ、オススメはチーズケーキだ――まて、見たままを喋ったような口調でウソを言うな、どこにあるんだよそんな仮面が! ナチュラル過ぎてスルーしそうになるんだよ! 言動おかしいのはてまえらがふざけたこと言うから、突っ込んでるからだろうが!」

筒木島「あっ、もしかして八本のロープに体重を分散させて、スポンジでも耐えられるようにしたんですか?」

来嶋「ふざけんなよ、ナチュラルに話しもどんじゃねぇ。ウソネタ書かないって確証出してから続き話せよ! ――ほれ、ティーセットだ」

辛島「さて、適当に種明かし。一本のナイロンロープに七キロの加重がかかるけど、それを天井のスポンジにただ刺しただけでは意味がない。ここではね、スポンジの摩擦力を使うことを考えた方が良い。どういう事かと言えば、天井のスポンジに刺した後、放射状にロープを張り巡らせる」

筒木島「―――というと?」

辛島「部屋の中心に首を吊る物体。そのまま垂直ではなく、やや斜め、若干中央から外れた場所がロープの入り口。ロープを入り口から壁側へと進ませていく。あっ、壁側に迫っていくにつれ、十センチのスポンジの中を奥にあるコンクリート面に近づいていくようにする。これも斜め。でっ、壁についたらあとは適当に。更に他の場所へ伸ばせば摩擦力は増すから、吊り上げておける時間は増えるんじゃない?」

筒木島「なるほどなるほど。でも、いくら摩擦力が増えてもナイロンロープ一本に七キロ、結構な摩擦力が必要だと思うんですけど……」

辛島「いえ、重力加速度を上回れば良いだけだから簡単。ロープにかかる荷重が七キロだから、摩擦係数が0.2以上で釣り合う。普通のスポンジは2もあるから、全然平気」

筒木島「ありゃま。よく分からないんですが、全然平気、なんですね」

辛島「それに大丈夫、吊った時点で勝利。暴れたらナイロンロープがより首に絡んで、頸椎骨折するでしょうね。心臓止まるからほぼ即死。暴れなくても、人間は首を吊ったら三十分で死ぬ。これぐらいなら、保つでしょう」

筒木島「ずいぶんな推理ですね、これ」

辛島「良いじゃない。暴論でも、言った者勝ちがTRPGの鉄則」

筒木島「別にゲームじゃないんですけれど……」

辛島「良いじゃない。さっ、とりあえず一つ案は考えた、次は人間の行動についていきましょうか」



瀨戸「なあマスター同盟作らないか同盟その名前は『いんびじぶる』で名は体を表すを地で行く素晴らしい同盟なんだが」

来嶋「黙ってろよ。それにその同盟、解釈のしようによっては『私は無視されて喜ぶまぞひすと』って聞こえるぞ」

瀨戸「あー出番くれー」

来嶋「無かったことにしたか。賢明だ、同情するぞ」



筒木島「了解です。さって、まずは第一発見者の方から行きましょうか」

辛島「ダウト。そいつが犯人だからおもしろくない」

筒木島「はれまっ、そうですか?」

辛島「わかりやすさは、最大の利点にして弱点。今回は、弱点だと思うけれど」

筒木島「でも本当に、先輩の言うとおり美里島さんで確定なんですか?」

辛島「これは揺るがないと思うけれど……とりあえず関係ないんだけど、先に確認。カギ、マスターキーと予備の二本があって、マスターは厳重に保管されていた、予備は密室の中。そうでしょう?」

筒木島「そうでーす」

辛島「ああ、それならチェックじゃない。あとはどうやって殺したかをもう少し考えて、終了よ」

筒木島「――まさかですけど、新本格とかのルール破りますけど、カギがもう一本、あったりします?」

辛島「それが、現実よ。この世界で起きた事件だからね。ミステリーとは、違うわ」

筒木島「でも、警察ならその程度、直ぐに分かるんじゃないですか?」

辛島「簡単な話。密室を作り上げた予備の予備が、出てこないから」

筒木島「あー、直接的すぎる物証ですからね。犯人は隠しますよねー」

辛島「直ぐに出てくると思うけどね……どうなるかしら」

筒木島「直ぐに、とは?」

辛島「今日見つかる可能性がある。最大のチャンスは遺体を焼くとき。あら、これって答えとイコールね」

筒木島「遺体に、隠したっていうんですか?」

辛島「相当、辛いと思うけどね。出来なくはないでしょう。あごをあげて舌を引っ張って胃袋まで一直線にして、ポイッ。まっ、仮説一が出来たところで、そろそろタイムラインにも興味を持ちますか」



美里島「えぇ、どうしてか分からないんです。防音室の内線にかけても出ませんし……内線の呼び出し音は最大にしてありますし、防音室内だからこそ、そういう自分が意図しない音には敏感で。気づかない事はない、はずです」

幸島「カギはかかっている、と。やはりあなたも一本、予備のカギを持つべきでは? マスターキーを催促しに別棟まで来るのは、大変でしょう」

美里島「そうかもしれないんですけれど、私がカギ持っているとなくしてしまいそうで。小さい物がテーブルの上にあると、書類とかの間に紛れてしまって」

幸島「先生方はそういう人が多いですなぁ。いえいえ、私は平気なので良いのですよ。先生のようなお若い綺麗な方と肩を並べて歩ける機会は、もう過ぎ去って久しいですからな!」

美里島「そんな、私なんてもう若くは……ほんと。ご迷惑をかけているのは事実ですし……」

幸島「ハッハッハッ! お互い気を遣い気を遣われあいですな、これでは千日手だ――と、見えてきましたな」

美里島「はい、すみませんが、お願いいたします」

幸島「カギを開けるだけの簡単なお仕事です、そうかしこまらんでください。えっと、防音室だからエフの七番七番……ありました。それじゃ、開けますよ」

美里島「お願いします」

幸島「どれ――はい、どうぞ」

美里島「それでは、失礼します。琴島さん、どうして内線にでな――琴島さん!?」


筒木島「こんな感じですね、発見直前は」

辛島「まだ第三の人間は絡んでないのね?」

筒木島「彼は、警察が来る直前に防音室に現れたと幸島さんが証言しています」


幸島「落ち着きなさい、先生! もうすぐ警察が来てくれる、それまであんまり部屋を荒らしちゃいけない!」

美里島「そんな、荒らしてなんかいません! だって、この子は生きてるかもしれないのに……!」

幸島「さっき確かめたろう、脈は無かった! もう、死んでるんだ!」

美里島「それで……それでもっ!」

井島地「おいおい、どうしたんで――な、なんじゃこりゃ……」


筒木島「某刑事ドラマに出てきそうな台詞の後、警察がやってきたとのことです」

辛島「そこからはもう良いわ。次、それぞれが最後に被害者と接触した時の状況」


美里島「防音室で最後の仕上げ?」

琴島「はい、コンクールまで一週間を切りましたし、細かいところを詰めておきたいんです」

美里島「でも、今からって……もう、遅い時間よ?」

琴島「今日はこのまま、大学にいようかなって。寝るときは仮眠室に戻るつもりですけど」

美里島「担当教員に話はついてるの?」

琴島「はい、平気です」


筒木島「で、この後、琴島さんはそのまま部屋へ。以降の目撃情報はありません」


井島地「おう、琴島。ちょっと良いか?」

琴島「はい、なんでしょうか」

井島地「書類、やってきたぞ。お前が待ち望んでた、コンクールからだ」

琴島「――! 本当ですか!? け、結果は――」

井島地「おちつけよ。悲願だったからな、分からんでもないが。合格だ、出場できるぞ、お前」

琴島「あぁ、そんな――ついに!」

井島地「出場できるって決まっただけだからな? 気を抜かず、しっかり練習に励めよー」


筒木島「このタイミングで琴島さんは許可を貰ったそうです」

辛島「幸島さんは?」

筒木島「まっ、用務員さんですからね。普通の生徒さんには接点ありません」

辛島「それもそう……他の情報は?」

筒木島「打ち止めでーす。これ以上を求めると、ちょっと怖い黒ずくめの男が来ますよー」

辛島「そっ……なら、ここまでね」

瀨戸「はいはーい俺の出番俺の出番?」

辛島「どうぞ」

瀨戸「ひゃっほー!ついに俺の時代が俺を中心軸とした世界軌道が俺の俺による俺のための世界がー!」

辛島「その世界、あなたしかいないって結末?」

瀨戸「最終最後まで生かされてしまう俺!なにせ世界の中心ですからー!愛とか叫ぶと良いよ-!好きだー結婚してくれ-!」

来嶋「ほれ、プレゼント」

瀨戸「――アァッ!――オマッ――――ナンゾコレッ!!」

辛島「コーヒーの滝って、泥水が流れてるようね」

来嶋「いいかー、ここは俺の店だー、俺の俺による俺のための銭洗い場だー」

辛島「マスターを見てくれ、どう思う?」

筒木島「凄く、金の亡者です……」

来嶋「だから、たとえ世界がお前を中心に回っていたとしてもー、ここの中心は、俺だ。おっけー?」

瀨戸「すんげーべとべとすんだけど」

来嶋「おっけー、で、す、か?」

瀨戸「――おうおっけーだ平気大丈夫心配すんなおとなしくくっちゃべるだけにする」

来嶋「ん? 妙に聞き分け良いな。まっ、良いだろう。静かにしてりゃ文句は言わん。あとで服、洗濯してやろう」

辛島「良心の呵責は金銭欲をも超える!」

筒木島「あっ、いつもとのギャップ萌え。これは確かに駄目だ、あとで録音したの聞こう、ループしよう」

辛島「えっ? 録、音……?」

瀨戸「なん、だとぉ?」