駄文第01話

 あぁ、素晴らしい。鳥のさえずりを聞きながらの目覚めとは、最高じゃないか。
「ははっ。そう思うなら直ぐさまにでも、この遅刻寸前の時計を、巻き戻してくれまいか?」
「無理だ、無謀だ、無茶だ!」
「黙れこの野郎が! お前、そりゃ自然に起きれたなら最高だろうが、学生の朝は時間にルーズじゃいけねえんだよ!」
「知らぬ存ぜぬ媚びぬ?」
「適当すぎるだろう、その三単語。考えて話せよ」
「嫌だ、嫌よ、嫌ん嫌ん」
「きめぇ。それで、お前は朝食どーすんのよ」
「もちろん、食——「パンを持ち、コーヒー入ったコップを持ち、走れるなら良いぜ」いたかったが、ムチャ振り再来」
「普通だろう、この程度」
「うはは、ありえんて。良いけどね、やってみる!」
「やってみる? 大丈夫だ、準備すらしていない。まず食うパンと飲み物が無い」
「おうち、ありえんて。良いけどね、コンビニで買うし!」
「金、無いだろう?」
「——あぁ、そういや、昨日CD買ったんだっけ? つか、あれお前にも貸すから半額出せ。そしてその金で俺は飯を、食らう!」
「ざけんな、シネ」
「生きる! でも、めんどうかもー」
「そう思う前に、てめえは着替えからな。あっ、俺は先に行くんでよろしく」
「なにゆえに? 置いていくのかい友達を!」
「サヨウナラ」
「まっ、まってくれ、その一言ではこのギャグが落ちない!」
「シラン」

「でっ、俺は学校に来た訳だ。ダッシュで」
「なぜ間に合う」
「おう、俺を置いていった親友よ、なぜ俺の後ろからやって来るのかね?」
「疾風迅雷が俺の脇を通り抜けていった、とでも答えてやれば満足か?」
「最高だと思うが?」
「本当に?」
「いいや?」
「本当に?」
「——ごめん、それで良いと思います」
「まれにみるザコ、これは度し難い」
「ひどくね?」
「まったく」
「あっそ」
「ん? お前ら、なにこんな時間になってまで漫才してんだー?」
「先生、おはようございます」
「おはよーさん。今日は遅刻シテナイヨ?」
「俺より先に教室についてたら、だけどな」
「走るぞ、友の為に!」
「メロスかよ。しかもお前は自分本位だから、俺の代返なんてしないだろうが」
「代返とか、大学に行ってからやれよ。良いから、早歩きでさっさと教室いきなー」
「ういっす、了解です先生——っと、チャイム鳴っちった」
「まじだ、急がねえとマジで遅刻にされんぜ」
「んー、大丈夫大丈夫」
「本当か、先生。さっすが担任だよなー、よくわかってる」
「おうおう、もちろんだ。——久慈木と唐目は遅刻っと……」
「「うっそっ!」」

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最終更新:2009年06月28日 23:19