01-542 :由梨と上原先生:2010/06/29(火) 04:51:55 ID:r6HZLJEz


「…は?僕で4人目って…」
「あっ!シーっですよ上原先生」
 現代文の中島先生は、ぽってりした唇に指を当て、僕に注意を促した。
「はあ…?」

 授業前の廊下はザワザワと喧しく、時折生徒達がチラリチラリと僕に視線を向ける。
 見ない顔で珍しいんだろうな。
 まあ私立とは言えこんな片田舎に、僕みたいな若くて余所から来た人間が赴任して来るなんて事は、かなり珍しいんだろう。

 びゅっ!と鋭い風が窓に叩き付けられ、窓ガラスがビリリリと震える。
 寒そう…大分北に来ちゃったもんだな…。

「上原先生、聞いてるんですかっ」
「ああっハイ、ハイ。えっと、新任で来るのが僕で…」
「あなたで4人目です」
 中島先生は、愛嬌のある可愛らしい顔に似合わない仏頂面で続けた。
「あんまり大きな声じゃ言えないんですけど。
ここ1年以上、新任で来てもらった男の先生皆、何故かすぐに辞められちゃうんですよ」
 大きな声で言えないと言いつつも、元々喋り好きなのか、ぺらぺらと語りながら中島先生は歩を進める。

「私は2年目で、この学校の教師で一番若いんですけど…同じ時期に入った若い先生は最初の3ヶ月で辞めてしまわれて」
「さ、3ヶ月ですか」
「代わりに急遽来られた方々も次々と」
「……」

 思わず絶句する。
 確かにここは辺鄙な土地だ。子供だってかなり少ない方だろう。
 正直地元でもない限り避けたくなる土地だし、今の若い先生が田舎暮らしに耐えられないのも…まあ分からないでもない。
 が、にしても。

「そんな。何か辞めざるを得ないような理由でも……まさか」
「教師イジメなんて、この学校では有り得ませんよ」
 ぴたりと中島先生は立ち止まり、チラリと僕をねめつけた。

「本当にここは田舎で、良い意味で何も知らない純粋な子達ばかりなんです。
規模も小さいから目も本当に行き届きますし、そんな事があればすぐに気付きます」
「でも、何も理由がなければ辞めるだなんて」
「今まで辞められた先生は、むしろとても生き生きしていました」
 中島先生は当時を思い出すように、声音を変えた。
 ふと、時間が気になった。
 底冷えする廊下を、もう随分歩いている様な気がする。

01-543 :由梨と上原先生:2010/06/29(火) 04:55:53 ID:r6HZLJEz
「皆さん楽しそうで、生き生きしてらして…辞めるだなんて誰も思ってなかったのに。
ある日突然、『辞めます』って言い出すんです」
 理由を質しても皆さん口を閉ざして、一向に話してはくれなかったし。と中島先生は寂しげに漏らす。
 そんな中島先生の気持ちを軽くしてあげたくて、僕は出来る限り気持ちを込めて、先生に語りかける。
「僕は…僕は決して辞めたりなんてしませんよ」
「ええ、だから上原先生には本当に期待しているんです!」

 少し表情を明るくして、中島先生はようやく足を1つの教室の前で止めた。
 2-Aと表記されたその教室からは、ざわりざわりと、生徒達の喧騒が漏れ聞こえる。

「人手不足で、いきなり実質副担任なんてごめんなさいね」
「とんでもない!皆さんの足を引っ張らないように頑張りますよ」
 そう、僕は一つの強い教育に対する志を持ってこの街へやってきた。
 前任者がどうあれ僕のするべき事は、最初から決まっているんだ。

 中島先生は魅力的な笑顔を浮かべ、ポニーテールを揺らして小首を傾げ、言った。
「ようこそ暁高校へ」

 そしてガラリと扉が開かれ一瞬の静寂と共に、僕の異様な非日常の日々が始まった。

01-544 :由梨と上原先生:2010/06/29(火) 05:01:20 ID:r6HZLJEz
 ガラリと扉を開くと、喧騒が一層喧しく耳をつんざいた。

「はーい皆、静かに!」
「先生その人が新しい先生ですかー?」
「えっマジで!」
「こらっあんたら少しは黙りなさいっ」
 中島先生はずんずんと小柄な体で生徒を押しのけ、教壇に向かう。
 そして「はい座る!」と、ぱちんと手を鳴らした。
 すると潮が引くようにすんなりと教室は静まり、改めて一斉に生徒たちの視線が僕に集中した。
「……」
 緊張しながらも、やはり様子が気になってそれとなく教室を見渡してみる。
 田舎だけあって、今まで教えてきた都会の子よりか、少し純朴な感じの子が多い気がした。
 髪も一様に真っ黒で、随分化粧っ気もない感じ。

「全校集会で話した通り、今日から新しく英語の先生が赴任されてきました」
 中島先生は一通りの紹介をしてくれた後、僕に自己紹介を促した。
「あ、はじめまして!上原隆といいます。字は」
 僕は後ろを向き、カツカツと白チョークで自身の名を書きつけ向き直る。
「こう書くんですが…」
 あ。
 そして向き直ったその瞬間、僕の視線は教室の窓際の席に釘付けになった。

 何故教室に入ったときに気が付かなかったのか。
 校庭側の窓際、後ろから三列目。
 ぱたりぱたりと風にカーテンが揺られ、その布に隠れるようにして、その子は居た。

 周りの生徒と同じように肩下で揃えられた黒髪と、黒いセーラー服。
 明らかに周囲より白い肌が風景に浮き、その中で大きな瞳がぱちりと開かれている。
 唇は赤く眉は優しげで、いかにも華奢そうな体つきで、何と言うかつまり。

 こんな田舎には有り得ない、とんでもない美少女が居た。

01-545 :由梨と上原先生:2010/06/29(火) 05:04:00 ID:r6HZLJEz
「――」
 一瞬目が合った気がしたが、その子は直ぐに伏目になってしまい、バサリと睫毛が降りていく。

「先生?」
「あ、は、はい!前は東京の方に居て、今回は…」

 不審気な中島先生の視線から逃げるように慌てて言葉を重ねていくと、東京という言葉に反応した生徒の一人が不意に声を上げた。
「そんな都会に居たのに、何でわざわざ先生こんな所に来たの?」
 思わず苦笑してしまう。何度も人から聞かれた質問だったからだ。
「いやちょっと照れるんだけど、やっぱり自然の多い場所で、君たちと伸び伸び共に学んでいけるような環境に憧れていてね…」
 顔が赤らむのがわかる。
 我ながら夢見がちで、ドラマや本だのの影響受けすぎているとは思うが、
本当にそんなものに憧れてこの職業を選んでしまったのだから、仕方がない。

「先生バカだな~!絶対東京の方が楽しいのに」
「本当に遊ぶ場所も何もないんだよーこの辺」
「いやいや何もないなんて逆に良いじゃないか!」
 僕が思わず力を込めて反論すると、それがおかしかったのか、教室が笑いに包まれる。
 よく見れば中島先生までクスクスと笑っている。
 何だかよく分からないが……僕のことは概ね好意的に受け入れられたようだった。
 名前も知らないあの美少女をチラリと見やると、彼女もまたクスクスと微笑んでいた。

01-549 :由梨と上原先生:2010/06/30(水) 22:08:31 ID:Ht0VjBZ8


 新任で来た初日に出会った美少女。
 その素性は案外早く知れた。

「襟沢由梨ですか?そりゃ校内では有名ですよ」
「えりさわ…ゆり?」
 学年主任の平塚先生は、メガネを拭きながら、事も無げに答えた。
 随分白髪の混じった頭髪に、柔和な微笑みは、学校の重鎮といった風格を感じさせる。
「やはり色々と目立つ子ですからね。顔立ちはあの通りだし、頭もいい」
「ああ、なる程」
「しかも今時の子とは思えない程心根の優しい子でね。あの子の明るさには僕も元気を貰いましたよ」
 孫にしたい位だね、と平塚先生は笑いながら言い添えた。
「あの子は確かクラス委員だから、そのうち話す機会もありますよ」
「はあ…」
「可愛いからって、変な気は起こさんで下さいよ」
「なっ何を言い出すんですか!!」
 危うく口に含んだ緑茶を吹き出しそうになる。
 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、平塚先生は陽気に笑い、
「先生次、授業でしょう。頑張って下さいね」と、僕の肩をぽんと叩いた。


 授業自体は滞りなく進み、何も問題は起きなかった。
 が、その間も、胸中にあるモヤモヤが消える事はなかった。
 他にも気にかける生徒は沢山居る筈なのに、どうしても彼女の事が気になるのだ。
 決して変な意味ででは無く、襟沢由梨の存在が妙に気にかかる。
 それに平塚先生は「明るい子」と言っていたが…僕にはどうも、明るさよりも影の部分が感じられるような気がしてならなかった。

 本日最後の授業、気だるさでどんよりした空気を打ち消す様に、僕は声を上げる。
「はい、じゃあ今日はここまで!書いてもらったプリントは、英語係の人が回収して下さい」
 途端に教室は湧き上がり、またワイワイと喧騒が戻る。
 そう言って、僕が帰り支度をしていると、不意に目の前に白い紙が突き出された。

01-550 :由梨と上原先生:2010/06/30(水) 22:10:17 ID:Ht0VjBZ8
「先生、集めましたよ」
「ああ、ありが……」
 襟沢由梨だった。

「っ!」
「え?何ですか」
 ぱちくりと瞳を開き、小首を傾げる襟沢。
 …確かに愛らしい。
 じゃなくて!

「いや、ありがとう。えっと君は確か襟沢…」
「はい!委員長と英語係をやってる襟沢由梨っていいます」
 ニコーーっと襟沢は極上の弾けんばかりの笑顔を浮かべた。
 うわ、意外だ。
 影のあるミステリアスなイメージが先行していただけに、元気はつらつな様子にたじろいでしまう。

「そうか委員長もやってるなら、これから色々学校の事教えてもらわないとなあ」
「あ~センセイ委員長の事雑用だと思ってるでしょ」
「そっそんな事ないよ!」
「ははっ!先生ってやっぱり真面目な方なんですね」
 ころころと笑いながら、襟沢はプリントを持ち直す。
「折角だから、雑用係として職員室までご一緒しますね」
「あ、ああ悪いね」
 先生荷物重そうですし。と襟沢。
 ふわりと髪が揺れ、好意100%の微笑が輝く。
 何という性格のよさ。何という気持ちの良さ。
 完全無欠の美少女とは…正に彼女を言うのだと痛いほど痛感した一幕であった。

01-551 :由梨と上原先生:2010/06/30(水) 22:12:31 ID:Ht0VjBZ8
「先生は東京から来たんですよね」
 職員室までの道すがら、興味津々と言ったように襟沢が僕に訊ねてきた。
「そうだよ」
「東京ってどんな所ですか?やっぱり芸能人とか見ますか?」
 田舎の子らしい発想だ。
 純朴さに頬を弛めながら答える。
「そりゃね、毎日住んでいたらたまに遭遇したりはするよ」
「すごーい!東京ってやっぱり最先端って感じですね」
「まあ…何でもある所だからね。でも何にもない所でもある」
 僕はここぞとばかりに力説する。
「田舎だとか思わないで、よく見てみなよ。東京なんかよりずっと良い所があると思うけどな」
「そんな事ある訳ない」
「え」

 一瞬、何処から発せられたのかわからない程、異質な声音が聞こえた。

「? 何ですか?」
 慌てて隣を見やるが、襟沢は変わらず微笑んでいるだけだった。
「あ、いや…」
「絶対東京の方がいいですよ!私109とか行ってみたいんです」
「あ、あー今時の子だなあ」
 今の感覚は、気のせいだろうか。
 …きっと気のせいだ。
 この時の僕は違和感を感じながらも、目の前の無邪気な少女の姿にすっかり気を許してしまっていた。
 襟沢由梨はそれ程までに、優しくて気だての良い、美しい子だったのだ。


 そして数週間。
 授業を重ねるうちに、彼女は生徒の中でもすっかり特別な存在となっていた。
 英語係として僕をサポートしてくれて、また慣れぬ校内の事で分からない事があれば、委員長として支えてくれて。
 いつの間にか彼女は、僕の教師生活の中で無くてはならない存在となっていたのだ。

 襟沢が居てくれて本当に良かった。
 彼女の事は1年間大切に、その成長を見守っていこう。

 そんな風に思っていた矢先、その事件は起きた。

01-552 :由梨と上原先生:2010/06/30(水) 22:19:24 ID:Ht0VjBZ8
 その日の昼休み、僕は職員室で自作の弁当をつついていた。
 白米と野菜炒めを詰めた、素っ気ないものだが、男の料理なんてこんなもんだ。
 味気ないキャベツを噛みしめていると、隣に座っていた中島先生が、ヒョイと覗き込んできた。

「隆先生、そのおかず昨日と全く同じじゃありませんか?」
「…中島先生よく見てますね」
「中島先生だなんて。歩美とかで良いですよ~」
「いやそんな」
 ころころ笑っていた中島先生だったが、不意に思い出したように真顔になった。

「それより先生」
「ハイ?」
 中島先生は声を潜め、僕に問うた。
「最近襟沢さんと仲が良いって聞くんですが…」
「仲が良いってそんな、彼女はたまたま僕に関わる機会が多いだけで」
「先生はそのつもりでも、気を付けないと駄目ですよ。最近の子は大胆ですし、しかも襟沢さんですからね」
 この発言には些か驚いた。
 快活で可愛らしいイメージの強い中島先生の口から、そんな勘ぐるような発言が出るとは思わなかったのだ。

「中島先生!それは襟沢に酷いです。生徒の事を悪く言うのは許しませんよ」
「あらやだ、ごめんなさい」
 中島先生は僕に謝罪し、慌てて付け足した。
「そうね。元々襟沢さんには藤本君が居るし…」
「ーー」
 何故か、ギクリとした。

「藤本?藤本ってB組のサッカー部の奴ですか?」
「ええ、襟沢さんとは幼なじみで、付き合ってはいないけど…時間の問題じゃないかしら」
 中島先生は様子を窺う様に、チロリとこちらを見つめた。
「へえ…あ、僕そろそろ準備したいんで、これで失礼しますね」
「あっあの、今度お昼ご一緒しませんか?」
「そうですね、では」
 中島先生の言葉もロクに耳に入らないまま、僕は職員室を後にした。
 襟沢の…幼なじみ?

01-553 :由梨と上原先生:2010/06/30(水) 22:23:22 ID:Ht0VjBZ8
 その後の授業は全く身が入らなかった。
 自分でも何故こんな心境に陥っているのか、訳が分からない。
 藤本は結構なイケメンで、女子に人気が高いらしい。
 成績だって問題ないし、明るくて快活な奴だ。
 …襟沢にぴったりじゃないか。
 僕が気にすることなんて、何も無い。
 自分はただ、教育への夢や情熱だけでこの地へ来たのだから、そんな事を気にする必要がある筈が無いのに。

「では今日はこれで終わりです。質問のある人は個別に来て下さい」
「あ、先生」
 ザワザワと耳をつくざわめきを、凛とした声切り裂く。

「…襟沢」
「はは」
 襟沢由梨が照れ笑いをしながら、目の前に立っていた。

「なに、質問かな?」
「えっと、質問というか…相談ですっ」
 もごもごと視線を微妙に外しながら、恥ずかしげに言葉を紡ぐ姿は、はっきり言って死ぬ程可愛い。
 白い肌が赤く上気し、唇が軽く塗れている。
 その唇を開き、彼女は僕に尋ねる。
「相談なんでちょっと時間掛かっちゃうんですが…先生今日のお仕事は」
「あー…実は平塚先生から頼まれてる仕事があってね。夜まで掛かるんだよ」
「あっでも、私待てますから!」
「ダメだよ、女の子が夜遅くとか危ないだろ?」
 そう窘めると、襟沢は急にきっとした表情となり
「大丈夫です。私教室で待ってますから」
と言うやスカートを翻し、パッと教室を飛び出していってしまった。

「ちょっ、こら襟沢!」
 慌てて後を追い掛けるが、何処へ消えたのかもう姿が見えなくなっていた。
「襟沢…」
 一体いきなり何のつもりなんだ。
 突然の事に混乱し頭を振る。
「ん?」
 その時、妙に視線を感じ、周りを見渡してみる。
 と。

「……」
 見覚えのある、やけに背の高い男子生徒が、凄い眼力でこちらを睨みつけていた。
 藤本だった。
「何なんだ…」
 もう、本当に一体何なんだ……。
 物事の不条理を感じつつ、僕はトボトボとその場を後にした。

01-558 :由梨と上原先生:2010/07/03(土) 01:04:16 ID:6tqDUoVF


 数時間後。
「ふう…」
 仕事に区切りがつき、漸く一息着く。
 時刻は、夜の8時すぎを差していた。


 結局学校が終わっても、仕事に追われて2-Aに向かう事は出来なかった。
 行く事が出来ないと一度断った以上、流石の襟沢もとっくに帰っている筈だ。
 気に掛かる反面、これで良かったのだとも思う。
 こんな中途半端な自分のまま、襟沢の相談に乗ることなど出来ない。
 純粋な生徒に対して、僕も誠実に答えるだけの気持ちを養っていかなければならないんだ。

「…帰ろう」
 そしてくたびれた体に鞭打って身支度をして、職員室を出ようとした時、漸く僕はある事に気付く。
 2-Aの鍵が返っていなかった。


 慌てて2-Aに向かう。
 おかしい、2-Aの鍵が返ってきているのを一度見た筈なのに(だから安心していたのに)。
 また無くなっているのは何故だ?
「っと!」
 階段を二段飛ばしで駆け上がり、そのすぐ右に位置する2-Aの教室に飛び込む。

 ガラッ!!
「襟沢!?」

 教室は、限りなく真っ暗だった。
 僅かにグラウンドを照らす照明、そして月明かりだけが、その場を照らし出していた。
 が、襟沢が帰っていない事は明白だった。

01-559 :由梨と上原先生:2010/07/03(土) 01:14:53 ID:6tqDUoVF
「襟沢…」
 教卓の上に、彼女のものと思しき鞄が乗っていたのだ。

 何でだ、何で帰らなかったんだ。
 コツ、コツ…。
 呆然と、いつもの習慣も合わさって教壇に上がり、教卓の前に立ちすくむ。
「一体何処に……」
 その時ふと、目の端に黒の切れ端が見えた。

 あれ?
 強烈な違和感と、訳の分からない恐れのようなものが、唐突に頭を支配する。
 あれ?
 恐る恐る、そのまま視線を下ろしていく。
 見慣れた教室の風景から、
 ざらついた教卓の木目から、
 ぽっかり穴の空いた暗がりに…

「先生、私の事好き?」
 三角座りをした襟沢由梨が、教卓の下に潜り込んで笑顔を浮かべていた。

「っ」
 瞬間、襟沢はジャンプするように僕を押し倒し、僕は勢いよく転倒した。


 カチリと、どこからか機械音が聞こえたような気がした。
「うぁっ!えっえりさ」
「先生…」
 辛うじて地面に後ろ手を付け、彼女を見上げる。
 僕に馬乗りになった状態で彼女は、やはり微笑んでいた。
 窓の光に照らされた白い肌は陶磁器の様に輝き、唇は艶やかに塗れている。
 普段は整然と伸び揃った黒髪は乱れ、暗がりの中でも瞳だけは、爛々と輝き。
 それは、ぞっとするような美しさだった。
「……」

「はっ」
 何を停止しているんだ僕は!
 暫しその姿に迂闊にも見入ってしまったが、
必死で現実に思考を引き戻し、襟沢をキッと睨み付け、ビシッと指を突きつける。
「とっとにかく降りなさい!話はそれむぅっ」

 ちゅう。
 一瞬何が起こったのか分からなかった。

 ちゅぷ、にゅる
「んっ?!う」
「…んっ、ふ」
 襟沢が僕にキスをしていた。
 それも、舌を絡めて…。
「…っ!」
 襟沢の舌は溶けてしまいそうな程柔らかく、僕の舌を絡め取っては吸い付き、口内をちくちくと刺激する。
 キスなのに死ぬ程、気持ちいい…。
「セン、セ」
 襟沢が途切れ途切れに、切なく呼び掛けてくる。
 だけどそれはダメだと、決して応えてはいけないと。
「んんっ…ふっ!」
 十分に分かっている筈なのに、僕はその手で彼女の頬を挟んで、舌を絡みつかせた。

01-560 :由梨と上原先生:2010/07/03(土) 01:20:05 ID:6tqDUoVF
 くちゅくちゅ、と教室中に響いていた水濁音が漸く止み、つうっと唾液が彼女の唇から零れた。
「……」
 顔が離れ、改めてお互いを見つめ合う。
 襟沢の顔は上気し、潤んだ瞳は誘うように妖艶な光を放っていた。
 襟沢は艶を含んだ声で、ポツリと僕に囁いた。

「先生、私…先生の事が好き」

「それは、ダメだよ襟沢」
 君がいくら僕の事が好きでも、…僕がいくら君が好きでも。
 僕の拒否に、襟沢は少し目を大きく開いたが、すぐに元の微笑を浮かべる。

「でも私先生の事が好きだから…何でも出来るよ」
 何でも?
 僕が尋ねようとするまでに、その『何でも』の内容は明らかになった。

「え!ちょっ!?うわっ」
 ガチャガチャ!ジーッ。
「へへ」

 あろうことか、襟沢は手早く僕のベルトを外し、ジッパーを開け、ズボンをずり降ろしてしまったのだ。
 キスで興奮状態になってしまっていた僕のそこは当然…
「先生お元気ですね」
「げげげんきじゃない!!!」
 元気いっぱいだった。
「嬉しい…」
 襟沢はやはり動じた様子もなく、躊躇なく僕のモノを握り口を近付けていく。
「えっ襟沢!」
 僕の情けない抵抗も虚しく、襟沢はペロリと真っ赤な舌でその先端を舐めまわした。
「ん…」
 ビリリと快感が体を走る。
「うわっちょ、…っ」
 ちゅるっぴちゃぴちゃ…
 生々しい音を立てて、襟沢は僕のモノをアイスキャンディーかの如く舐めまわす。
 ねとり、ねとりと舌が棒に絡みつき、ささいな舌先の動きが強烈な快感となって襲ってくる。
 自分の顔が歪むのが分かる。
 気持ち良すぎる。快楽地獄だ…。

「ふふ」
 襟沢は僕が苦悶している様子を楽しそうに上目遣いで見やると、そのままカプリと僕のモノをくわえ、飲み込んでいった。

01-561 :由梨と上原先生:2010/07/03(土) 01:25:38 ID:6tqDUoVF
 じゅぶ、じゅるっ
 襟沢は…、ズブリズブリと、ゆっくりと僕のモノを口内へ収めていく。
「ん…先生の…おっきい」
 襟沢は僕のモノを口に突っ込んでいるというのに器用にそう呟き、それから亀頭を喉元まで押し込んだ。
「うっ…!?」
「ふあ」
 喉の収縮がまた一層先端を刺激する。
「んんっ…」
 襟沢はそのまま小刻みに頭を振り、ズチュッズチュと下品な音を立てながら僕のモノを口を使ってしごいていく。
 じゅる、じゅぶっ
 締め付ける強さ、にゅるりと吸い付くように這い回る舌、絶妙な速さのストローク。
 実際、そのテクニックは異常な巧さだった。
 が、当の僕にそんな事を感心している余裕はなく、快感と衝撃で真っ白になった頭で呆然と襟沢の痴態を眺めるしかなかった。

 そしてこんなにいやらしく乱れても、襟沢はひたすら、綺麗だった。
 顎も大分疲れてきただろうに、一生懸命僕のモノをくわえ込み、口の端からは唾液がぽたりと僕のズボンを濡らしている。
 頬を真っ赤に紅潮させながら汗をつう、と首筋に流している様子は、思わず魅入ってしまいそうな程、妖艶な様だった。

01-562 :由梨と上原先生:2010/07/03(土) 01:29:58 ID:6tqDUoVF
「…くっ!」

 …ヤバい。
 そんな風に、まるで一瞬他人ごとの様な目線で彼女を見るもつかの間、早くも限界がすぐそばまでに来ていた。
 襟沢もそれを敏感にキャッチし、いよいよ頭を激しく振り出す。
「ダメだ…襟沢…!」
 今まで流されて来てしまった自分に、漸くマトモな判断が頭に下る。
 大切な生徒に、自分の精液を飲ませるなんて行為が許される筈がない!

 ズッ!ジュルッ
「ふ!?ふっしぇんせ」
 僕が突然腰を引き出し、襟沢は思わぬ僕の行動に目を白黒させる。

「ダメだよ襟沢!口を放しなさい!」
「んんんんっ」
「体はっ!大っ切っに!」
「ひゃっ!ふははひゃい!」

 …何を言っているかは分からないが、放すつもりは毛頭ないようだ。
 自分の最後の理性が腰をぐいぐいと引かせ、彼女の顔を両手で遠ざけさせる。
 が、もう1人の僕の方は理性とは裏腹に、限界どころかあと一息で爆発する寸前まで来ていた。
「んーっんー!っ!」
 彼女は…おちょぼ口で、先端に必死で吸い付いていたが観念したのか、とうとうスポンと口を放した。
「よしっ!襟さ」
 しかし僕の方もこれで気が弛んでしまい。
 ビュッ!ドプッ…!

「……」
「……」

 襟沢は見事に正面から僕の出したモノを浴び、それは彼女の美しい顔や髪、果ては漆黒のセーラー服にまで飛び散ってしまった。

01-566 :由梨と上原先生:2010/07/05(月) 19:04:33 ID:YnHxJYBH


 それは一言で言えば、最悪だった。
 彼女は完全に硬直しており、僕もまた同じ様に固まっていた。
 しかし固まっていただけではない。
 僕の頭の中では、至極真っ当なある考えが同時に浮かんでいた。
 何て事だ…。
 耐えきれずに僕は、襟沢の手をそっと取る。
「先生…?」
 襟沢は不思議そうに囁く。
 僕は言った。
「襟沢さん」
「はい」
「ハンカチ持ってる?」
「…え?…あ、これでいいですか?」
「よし!」
 襟沢が渡してくれたピンクのハンカチを握りしめ、僕は勢いよく立ち上がった。

「せんっ」
「早く拭かないとセーラー服に染みが出来てしまう!これ濡らして来るからちょっと待っててくれ!」
「…はぁああ?」

 襟沢が何か不穏な擬音を発したような気もしたが、そんな事にかまう暇もなく、僕は教室を飛び出し一直線に洗面所へ向かった。

01-567 :由梨と上原先生:2010/07/05(月) 19:10:07 ID:YnHxJYBH
 命より大切な生徒に何て事を…!
 しかも学園生活の要であるセーラー服にまで被害を…僕は最低だ…!
 ジャー…ジャブジャブ
 猛烈な自責の念に駆られながら、何故か女子トイレの洗面台でハンカチを濡らし、猛ダッシュで教室に戻る。

「襟沢さ…!」

 襟沢の姿は、とっくに消え失せていた。
 この短時間で教室はもぬけの殻となっており、カーテンだけがバタリバタリと夜風に揺れている。
「なんで…」
 それはちょうど新任初日、初めて襟沢を見つけたあの席だった。
 まるで窓から飛び降りてしまったかのように、彼女は居なくなってしまった。

「…」
 自分のその発想が怖くなり、そろりと窓に近付いて覗き込んでみる。
 グラウンドの端は照明が届かないとはいえ、人が居ない事くらいは十分に分かった。
 当たり前だ、きっと彼女は鞄を持って、顔と服を拭きながら帰っていったのだ。
 悲しんでいるだろうか、怒っているだろうか。
 僕は、そんな単純な事でさえも見当が付かなかった。
 そもそもこれは現実なのか?
 全て僕の妄想で、僕はただの変態で下半身裸になって、教室で1人寂しく自慰を……。
「……」
 何だか自分の発想が薄ら寒くなって来たので、とにかく自分の中で一つ、結論付ける。

 とにかく、明日だ。
 明日襟沢が来るにしても、来ないにしても、あの子とはよく話し合わなくてはならない。
 そしてとにかく、ズボンを履こう。
「僕って本当情けないな…」
 情けなく思うと同時に、自分の感情に戸惑う。

 僕は襟沢由梨という少女の得体の知れない内面に恐れさえ抱きつつも、
やはりどこか強く惹かれる自分が居ることを感じていた。

01-568 :由梨と上原先生:2010/07/05(月) 19:12:44 ID:YnHxJYBH
 つい声を荒げてしまった中島先生には聞き辛く、他の先生とはまだそこまで仲が良い訳でもなく。

「襟沢由梨について?うーん」
「ちょっと指導に行き詰まってまして…」
「指導というと?」
 結局次の日、僕は主任の平塚先生に相談していた。

 花壇の手入れをする平塚先生を手伝い、水差しを持って僕は応える。
 今日は珍しく寒さが和らいだ陽気で、背中に日差しがさんさんと当たって気持ちが良い。
「その、言いにくい話なのですが…」
「また彼女が問題でも?」
「問題といいますか、生活態度は申し分ないのですが」
 少し言葉に詰まる。
 昨夜の事は流石に言い出せない。
「…彼女は今、思春期特有の視野の狭い状態にあるようで…その、どうやら僕の事を」
「あーなる程!先生青春ですなあ!」
 納得したように感嘆した平塚先生だが、そんな悠長な事を言ってられる事態ではない。
 というか平塚先生軽すぎだろう。
「いや本当に困ってまして…僕は断ってるのですが、彼女もなかなか納得してくれなくて」
「まあー…僕もそういった経験は何度かありますがね、大概の生徒はその時はブツクサ言っても、卒業と共にすんなり思い出にしてくれるもんですよ」
「はあ…」
「彼女の事は、ちゃんとした言葉でお断りしましたか?」
「いや、それは」
「なら今日中にでも、ちゃんと向かい合って話をつけるのが一番だと思うよ」
「……」
 素直になる程、と思った。
 確かに僕は、自分の奥底の襟沢に惹かれる思いから、ちゃんと断る事をしてなかったように思う。
「進路指導室の鍵を貸すから、ちゃんと話し合いなさい?」
 そう言って微笑む平塚先生は泰然自若として、感服の念を覚えた。

「ありがとうございます!」
「はは…しかし君も、厄介な事に巻き込まれたね」
「いや、厄介とは」
「いやいや、厄介事だ」
 そう言って平塚先生は、サクリと土にスコップを突き刺した。

01-569 :由梨と上原先生:2010/07/05(月) 19:18:34 ID:YnHxJYBH
「何ですかー先生?」
「……!!…っ!」
 英語の授業の後、教壇に襟沢を呼んだのはよしとして。
 余りに変化のない襟沢の様子に、僕は硬直してしまった。

 授業中も、見かけも、襟沢に何一つ変わった様子はなかった。
 こうして見ると、セーラー服には染み一つ付いておらず、襟沢の笑顔にも曇り一つ無い。
「…襟沢、あの」
「はいっ」
「昨日の事で話し合いたいから、放課後指導室に来てくれないかな?」
「あっはい!分かりました」
「……うん」
 昨日、と言っても全くの無反応。
 本当に自分の妄想じゃないのか?と半ば絶望的な気持ちになった時、ふと、襟沢が人差し指を唇に当て、こちらを見上げ。

「…昨日は染みにならなかったから、大丈夫ですよ?」
 と、小首を傾げ、顔を赤らめて微笑んだ。

「そ、そうか」
 …どうやら、やはり夢では無かったらしい。


「隆さん!」
 そしてその日のお昼休み。
 不意に聞き慣れなさすぎな呼び掛けを受け振り返ると、そこには中島先生が居た。
「中島先生」
「もう、だから歩美でいいですって」
 いやいや、やはり只の同僚を下で呼ぶのは…。
 僕の動揺もお構いなしに、中島先生は僕の隣に座ると。

「はい!」
「……」
 突然、お弁当を差し出してきた。
 えっと…。

「あの、僕お弁当持ってますよ?」
「私が昨日言ったこと忘れたんですか!?」
 …何だっけ。
「今日お昼…ご一緒しましょう!私作ります!って……!」
「あっ…何か言っていたような」
 僕の曖昧な発言に、中島先生は余程衝撃を受けたのか、青ざめてガコッとお弁当を落とした。
「そんな…酷い、酷い…隆さん…酷すぎるわ」
「あっ中島先生!そんな、本当にごめんなさい!」
 一気に罪悪感が胸中で膨らむ。
 僕は…何て愚かな事をしたんだ。中島先生の純粋な好意を裏切って…。
 さっきから身に覚えのない呼び方や行動をされている気になっていたけど、
きっと全て僕がぼんやりしている間に了承してしまった事に違いない!
「ごめんなさい!なか…歩美先生。ご飯一緒に食べましょう?」
 僕がそう言うと、先程までブツブツ机に向かって話しかけていた歩美先生は、グルンとこちらを振り向き。

「ほんとうですか」
 と、ニコリと笑った。

01-574 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 02:45:10 ID:q7fygqyo


 今日何だか、本当に奇妙な日だ。
「……」
 引きずられる様にして歩美先生に庭に連れ出され、
もの凄く凝ったお弁当を食べ、何故か生徒達にヒューヒュー言われ。
 そんでもって襟沢の方は何も変わってなくて、でも何も変わってない事はとてつもなく奇異な事で。
「もうこれ以上おかしな事は起こらないでくれ…」
 ただでさえ放課後に襟沢との第2ラウンドを控えている僕にとって、この謎の疲労感は命取りになりかねないものだった。

 が、僕の切実な願いが叶ったのか、昼以降は特に変わった事も起こらずに、坦々と時間が流れた。
 しかしそれはそれで、困った話で。

「せーんせ!行きましょ」
「………」

 愛嬌いっぱいの笑顔で、ニコニコと僕を見上げる襟沢。
 率直に可愛い、眩しすぎる。
 僕にあんな酷い事をされたのに…何でそんなにニコニコしてられるんだろう。
「先生?早く行こうよ」
「あ、ああ」
 つまらない思考も束の間。
 襟沢の声に促され、僕は言われるがまま歩き出した。



 ガチャリ。
「わぁ~生徒指導室なんて初めて入りました!」
「そんなはしゃぐんじゃない!誉められる事じゃないんだぞ」
 生徒指導室はやけにカビ臭くて、北側にあるせいか薄暗く、いよいよ寒々しく見えた。
「とにかく座りなさい」
「ハイ」
 簡素なテーブルに座るよう指示すると、襟沢は素直に椅子に腰を降ろす。
 そして僕はその向かいに座り、開口一番切り出した。

「襟沢、昨日の件だ」
「はい。上原先生にふぇらした事ですね」
「ぶっ」

 うっかりペットボトルのお茶を盛大に吹き出す。
「なななななななななんて事を」
「だって…私先生の事好きなんだもん」
 僕の動揺をよそに、襟沢は恥じらうように上目遣いで僕を見つめる。
「大好きだから…先生を悦ばせたくて一生懸命やったんですけど…ダメでしたか?」
「いやいやいやいやダメとかじゃなくてな」
 ダメどころかむしろ滅茶苦茶気持ち良かっ…じゃなくて!

「いいか?何度も言うけど先生は『先生』だ。襟沢は良い子だし、十分女の子として可愛らしい。
でも先生は、生徒としてしか見られない。だから付き合えないよ」

01-575 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 02:49:45 ID:q7fygqyo
 言った。一気に言い切った。
 何だかかなり本音トークになってしまったが、逆に言えば残酷なまでに真実を突きつけた。
 そう、僕にとって『生徒』はいつまでも生徒だ。
 いくら襟沢が良い子でも、可愛くても、手を出すなんてあるまじき事が出来る筈がない!

「先生…でも私」
「ダメなものはダメだよ、先生は『でも』なんて聞かないぞ」
 殆ど意地で突っぱねると、襟沢は見事にいじらしく目を潤ませて、ジッと僕を見つめた。
 え、ええい見つめるんじゃない!

「じゃあ…最後に」
 少しした後、観念したのか、襟沢はポツリと僕に呟いた。
「最後?」
「手を握ってもいいですか?」

 手。

 ………また微妙な。
 手か…抱き締めるとかなら問題だが…手なら…要するに握手だしな。
 10秒程考えあぐね、僕はギリギリのジャッジを下した。
 セーーーフ!だ。
「よし分かった!手を繋ごう!」
 まるで商談が成立したかのごとく、僕は勢い良く手を差し出し、握手を求める。
 あれ、握手じゃないんだっけ。

「あっありがとうございます!」
 そして襟沢は嬉しそうに僕の手を取り。

 例の笑顔を浮かべた。

01-576 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 02:52:38 ID:q7fygqyo
 このバカ、バカだからすぐに手を出しやがった。
 私なら絶対こんなミスは犯さない。
 私ならね。


 私は逃がさないようしっかり手を握り、「センセ、隣に行って繋いで貰っていいですか?」と尋ねる。
 「えっそれは…」とか何とか上原が言いよどんでる間に、既に私は移動して上原のソファーに無理やり座る。

「えっ襟沢何を!」
「センセ…」
 ハハハ何を、じゃねーよバーーーーカ。カス、死ね。

「センセ、私先生が大好きだからもう…」
「ダッダメだぞこれ以上は」
「…我慢出来ない」

 ピラリ、と私はセーラーのスカートをめくる。
 私は何もはいていなかった。
「ハッ!??」
「へへ…」
 上原は目を更にして硬直している。硬直している癖に目はしっかりロックオンされてる。
 ハイハイ今日は先生の為にノーパンで来ました!実はね!
 ふふん、今日1日大変だったんだから。特に体育とか。

「触って…」
 って言っても、触る度胸はコイツには無いから、私は足を広げて上原の手を私のソコに近付ける。
 ぬる。
 ムカつくけど私のソコはツヤツヤと愛液を零して、濡れていた。
 こんなの何でもない、生理現象だ。
 上原に見られてるから興奮してるんじゃない…私が私に興奮してるだけ。

 くちゅり。
「ふぁあっ」
 見られている事で一層敏感になっていたそこは、上原の人差し指が窪みに軽く沈んだだけで、ふるふると痙攣する。

「えっ襟沢!」
 バカそのものの間抜け面で、上原は私に必死で語りかける。
「何て事を!てっ手を放しなさい!」
 だったらお前が放せばいーのに。だからお前はクソエロ教師なんだよ。

「上原先生…」
 と、悪態をついてはみるものの……。
 上原はこれまでの奴と違って『本当に放せない』ようである事は分かった。

01-577 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 02:58:18 ID:q7fygqyo
 何せ顔が本能丸出しどころか、顔面蒼白だ。
 口は辛うじて開いているが、体は完全に硬直している。
 困ったな…これじゃとれない…。
 ……。

「先生、お願いがあるんです」
「なっ…なに?」

 作戦を変える事にした。
 『本性出させる作戦』から『誘導作戦』に変更。

 私はセーラーのスカートの裾をまくり、股を更に広げる。
 そうしてトロトロのそこを見せつけながら、潤んだ目で上原を見つめた。

「先生の指で…私のココをくちゅくちゅして下さい」

 ビクリとまた中が痙攣し、上原の指を飲み込む。
「そんな事出来る訳がっ」
「して貰えたら…私もう、先生の事は諦めます」
 ピクリと、上原の反応が変化した。

「思い出を下さい…ここで何もしなければ、私残りの学生生活、絶対後悔してしまいます」
「それは…」
「指を…進めて下さい」
「………うーん」
 そして『生徒思い』の上原は。
 なんと生真面目に悩み始めた。
 …ここで?

「僕は今最大の難問に立ちはだかっているのかもしれない…」
 ブツブツと、私そっちのけで喋り出す上原。
「彼女の気持ちを思えば、後々の学生生活を楽しく過ごす為にしてあげた方がいいのかもしれない…」
「……」
「いやでも、万一彼女の体を傷つけるような事をしたら、僕は一生かけて彼女に償いを」
「…………」
 多分。
 混乱し過ぎて、思考回路が完全に口に出ている。

「行為が問題なのであって…だな、例えばそう」
「……」
 何だかもう、馬鹿馬鹿しくなってきた。
 コイツの『僕は純粋ですよー純情ですよー』って嘘臭い態度が気に入らなかったけど。
 コイツ多分嘘以前に、マジにバカだ。
 …も、いいや。

 私が諦念を覚えると同時に、何か思いついたようにぱっと顔を上げ、上原は叫んだ。
「そうだ襟沢!思い出ならよければ僕と放課後クレープでもっ!っうわああ!?」
 ブチュ、グチュグチュッ!
「ヒッ、あ、あああっ!」
 問答無用で私は思い切り、上原の指を自分の中へ突き立てた。

01-578 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 03:06:35 ID:q7fygqyo
「はぁっ!んっ…ふああっ」
 じゅくっじゅくっ!
 上原の指が私の中をうねうねと弄る。
 敏感なスポットをつつかれ、ふるふると腰が震えると共に、愛液がじゅぷりとまた溢れる。
 上原の、熱に浮かされたような視線がまとわりつく…ちょっと目がイッちゃってるような。
 どうやら緊張のあまりか、ようやく本能が解放されたのか、プッツンしてしまったらしい。

「襟沢…っ」
「せん、せいぃっ!もっとっもっとぉおっ」
 ジュプッジュプッジュプッ!!

 私の声に呼応するように、上原の指が激しさを増し、的確に私の感じる所を突いてくる。
 あ、あ、イイ…気持ちいい…!
「イイっイイよう!」
 あまりの気持ち良さに、無意識に上原に見せ付けるように股を更に開いてしまい、M字開脚そのものの姿になってしまう。

 私のきゅうきゅうの締め付けをモノともせず、上原は私の名を呼びながら指を激しく動かし続ける。
「襟沢…襟沢!」
「ああっはあっ!、先生の指、気持ちいい…!」

 グチャッ!
「ッ!ヒッあああっ!」
 何の予告も無く、ズボリと私の中に指が更にニ本挿入された。
 愛液が拍子にべちゃりと飛び散り、上原の手首までを濡らす。
 私のそこは更にキツく指を締め付け、歓迎するように愛液をトクトクと排出し続けた。


「あっあああっああ!」
 そして私には、限界が来ようとしていた。
 頭が真っ白になる前に、用意していた理性が働く。
 何か言わせないと。言質を取らないと…。
「先生っ、私の事…あっ!好き…ですかっ?」
「襟沢…僕は…僕は!」
 上原は何故だか泣きそうな顔で、私を見つめていた。
 こんな時…こんな顔で見てくる人間は今まで居なかった。
 それを見て思う。
 上原は、良い奴だったのかもしれない。
 それでも編集点に、私は少しずつ喘ぎ声を変えていく。

「ひっ嫌あっああ、うっ」
「君が…好きだ!」
 泣き声で上原がそう叫ぶと同時に、自分でも驚く程にそこがキュウウッ!と強く収縮し、上原の指を締め付けた。
 そして

「ああああああああっ!」
 ビュッビューッ
 イくっイくっ!
 ガクガクと痙攣しながら私は、上原の指で絶頂に達した。

01-579 :由梨と上原先生:2010/07/07(水) 03:11:36 ID:q7fygqyo
「はっ…はぁ…あ…」
 潮を噴いてしまったせいで、上原のジャケットはぐっしょりと濡れてしまっていた。
 我ながら、自分がこんなにも感じてしまった事に驚く。
 特に上原が巧かった訳でもないのに…。

「襟沢…!」
 ふと上原を見ると、上原は完全に当初の顔面蒼白状態に戻ってしまっていた。
 ああ…ホントにバカな奴。
 何でそんなに後悔するのに、やりきっちゃうんだよ。
「……」
 愚かだと思うと同時に、何故だかその情けない教師を少し面白がっている自分に、戸惑う。
 イった直後だからかもしれないが、何だか妙な気分だ。

「…先生」
「あっ!えっ」
 頭を切り替え、意図的に涙声を出すと、面白いように上原は動揺を浮かべた。
 そして開口一番。

「襟沢、いっ今のは忘れてくれ!!」
「………」
 うん。使うのはココまででいいや。

「忘れません…先生に気持ち良くしてもらった事は、一生の思い出にします」
 私はまたいつもの媚び媚びの声音で、上原にすり寄る。
 しかし自分の淫行を忘れろだなんて、本当教師失格な奴だな。
 『自然と子どもが好きで』なんて言って来た癖にコイツも結局…
「いや、僕が君の事を好きだと言った事を…忘れてくれ」
「え?」
 何故かギクリとした。

 え…コイツ、いきなり何言ってんの?なんでそっち?
 ていうかこっちは言われた事すら忘れてたっつの。
「君は僕みたいな人間を、好きになるべきじゃないよ」
 上原は私の両肩に手を乗せ、何故か寂しそうな目で私を見つめた。
「僕は、未だ生徒たちの気持ちも推し量る事の出来ない…
教師としても人間としても、襟沢より遙かに未成熟な人間なんだ」
「そんな事」
「現にこうして、君の心身を鑑みず危険な行為を行ってしまった上…」
 上原は……

「君に好意を寄せるなんて……」
 泣いていた。

01-586 :由梨と上原先生:2010/07/08(木) 10:00:09 ID:d0V0Og02


「ううう…ヒクッ」
 ……。
 ええええええええええええええ。
 いやココ泣くところ?
 え、え?ナニコレ?私?私が泣かせた訳?
 予想外、予想外すぎる。今までの奴と勝手が違いすぎる。

「うっ…グス…」
「先生!私嬉しいよっ?だって先生も私の事が好きだなんて夢みたいだし…」
「そんな風に思わせてしまうなんて、先生失格にも程がある…!」

 な、何で私が慰めてんの?
 上原はもう幼児そのものの体でポロポロ涙を零している。
 え、いっつもこんなんじゃないだろお前。
 若くて頼りなさげとは言え、やる時はキッチリやるし、しっかりしてる。
 上原はそういう奴だ。
 距離を詰める期間に、散々コイツにつきまとったんだからその位は分かる。
 それが何だコレ。
 前のフェラの始末の時から思ってたけど、どうも時たま、上原は社会の常識を越えた行動を取る。
 …それって、どういう事なんだ?

「センセ、もうほらしっかりして下さい」
「う…襟沢」
 パンツを片手でずるずる上げながら、もう片手で上原の背をさすさすと撫でる。
 この光景って本当どうなのさ。
 何というか…アホらし。

「もう…パンツもはけないじゃないですか」
「ごめん襟沢、手伝うよ!」
「いやそうじゃなくてさ」
 げっ。
 気怠げで低温な自身の声に、自分でビックリする。
 しまった地が出た!
「あっえとっ」
 慌てて上原の顔を見やると、その真っ直ぐな瞳にぶつかる。
「?」
 あいつは、何ともキョトンとした表情をしていた。
 そして私は
「………」
 その表情を見て、何故か唐突に分かってしまった。

01-587 :由梨と上原先生:2010/07/08(木) 10:04:09 ID:d0V0Og02
 世の中には馬鹿と言われる人間が居る。
 返せる見込みのない奴に金を貸すお人好しや、人を信じ過ぎて騙される奴、自分より先に他人の事を考える低脳達だ。
 まあ大抵の人間は裏切られて「人間」を知るが、
中には何をされても人を信じる事の出来る人間が居る。
 つまり根っからの最上級馬鹿だ。
 つまり…本当に純粋な奴だ。
 上原はどうやら、その部類に入る人間なのではないだろうか。

「襟沢、お腹痛くないか?気分は悪くないか?」
 一瞬何の質問か分からなかったが、すぐにどういう事なのか気付いた。
 指を突っ込みまくったから、お腹が痛くないか?という事らしい。
「痛いわけあるかっっ!」……という突っ込みを堪え、私はニッコリ微笑む。
「大丈夫ですよ先生。ちっとも痛くありません。まだ、ちょっと気持ちいい位」
 ちょっと照れながら言うと、上原は顔を真っ赤になって涙を零す。
 あーあー…コイツ最早、先生でもなんでもないな。
「いい加減泣き止まないとダメですよ」
 小さな子どもの世話を焼くような気持ちで、上原の涙を指先で拭き取る。
 ……何か、一応録ったけど、やる気なくなっちゃったな。
 大人は皆死んで地獄に落ちればいいのにって思うし、
実際地獄に落としてきたけど、コイツは色々とめんどくさすぎる。
 情が移ったのかもしれない。

01-588 :由梨と上原先生:2010/07/08(木) 10:06:33 ID:d0V0Og02
 涙が止まり始め、ようやく私は上原に切り出した。
「じゃあ先生…私帰りますね」
「襟沢、僕が言った事は聞いてくれるか」
「ハイ、気持ち良かった思い出は忘れませんけど、先生の言葉は忘れます。良い生徒になります」
 そう笑うと、少しだけ上原も笑った。

 上原は、見逃してやる。

 良い奴だからじゃない、単に面倒な事になりそうだから、違う手を使うって話なだけだ。
 だから今日は、これで終わりだ。

 このとき私は、すっかり油断しきっていた。
 だからセーラー服が少し乱れていて、ポケットが裏返りそうになっていたのに気付かなかった。
「じゃあ、さよなら。先生」
 私は立ち上がって、歩き出す。
 と同時に。
 カシャン、とポケットからボイスレコーダーが零れ落ちた。

「ーーあ」
「え?」

 鈍色に輝くソレは、落ちた拍子に再生スイッチが入ったらしく、
微細なノイズを絡ませて、制止を待たずにその音声をまき散らした。


『ひっ嫌あっああ、うっ』
『君が…好きだ!』
『あ、ああああああああっ!』
 ビュッビューッ


 この時点で、私の些細な感情だとか思考の積み重なりは、全て崩れて消え失せた。
 そもそも最初から、引き返す事など不可能だったのかもしれない。
「え?」
 上原はやはりキョトンとした表情で、私を見つめていた。

01-589 :由梨と上原先生:2010/07/08(木) 10:10:47 ID:d0V0Og02
「え、ボイスレコーダー…何で?」
「あ」

 授業ででも使ったのか?
 最初に浮かんだのはそんな、間の抜けた考えだった。
 しかしすぐに頭の中で否定される。
 じゃあ何で、ついさっきの音声が入ってるんだ?
 僕はごく自然に、落ちたボイスレコーダーを拾い上げる。
「…っ」
 その行為に、何故かピクリと表情ひきつらせる襟沢。

「襟沢…コレ、何?」
 僕はこの時点においても本当に何が何だか分からなくて。 まず何故この場にボイスレコーダーがあるのか、それが分からなくて聞いた。
 それなのに襟沢は、僕が何かとんでもない発言をしたかの様に、ビクリと身を震わせた。
「…あ……」
「何でさっきの音声が入ってるんだ?」
 さあっと襟沢の血の気が引く。
 そして。

 ガタッ!ガラガラ…ッ!
「えっ襟沢!?」
 物凄い勢いで襟沢は鞄をひっつかんで扉を開け、脱兎のごとく逃げ出してしまった。
 な、何で逃げるんだ!
 続けて追おうと指導室を飛び出すが、既に襟沢の姿は廊下の彼方にあった。
 今追いかければ、完全に周りに不審がられてしまう事もあり、僕は辛うじて足を止める。
 そして…疑問だけが頭を巡る。

「…何でだよ」

 何でだ。
 何でいつも逃げるんだ。
 襟沢はいったい何を考えて…僕に関わってるんだ。
 あの良い子の襟沢は、あの夜の襟沢は、この指導室での襟沢は…

「考えを遮ってしまって申し訳ないんですけど先生、簡単ですよ」
 その声は不意に右手から聞こえてきた。
 驚いて振り返るとそこには、B組の藤本が居た。

01-595 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 19:26:37 ID:gKRv+t3p


 藤本は部活鞄を背負い、何事もないかのように、ただそこに突っ立っていた。
 しかしその光景は、間違いなく異様だった。

「…藤本、部活は?」
 基本的な質問を投げかけると、藤本は
「顧問に上原先生に呼ばれてるって言ってるんで、遅刻して行きます」
「僕は君を呼んでなんか」
「でもセンセー、俺が必要でしょ」
 軟派な口調で藤本は僕に問いかけ、僕の脇をすり抜けて、勝手に指導室に入っていく。
 僕は振り返って、指導室に立つ藤本に問いかける。
「どういう事なんだ藤本」
 今度こそ僕の頭がパニック寸前まで陥る。
 なんだ?藤本は何を知っていて、僕に何を言おうと…
 と、やっと一つの考えが閃く。

「そういえば藤本…君確か襟沢の幼なじみって…もしかして襟沢について何か」
「何かどころじゃないっすよ。俺付き合い長いし由梨の事好きだから、大抵の事は知ってますよ」

 由梨。
 好きだから。

 藤本のそんな些細な言葉に、僕の心は激しく乱れる。
 襟沢には忘れるよう言っておきながら…僕の方はちっとも彼女を忘れる事が出来ない。
「じゃあ…僕に何か教えてくれるのか?」
「その為に指導室の前で、ワザワザ終わるまで待ってたんですから」
 終わるまで?
 ……終わるまで…って。
「えっ、へ?え、あああ、まさ、え?まさか」
「あっ外からはあんま聞こえなかったっすから大丈夫だと思いますよ」
「~~~~~~~?!」
「あ、そういう問題じゃないか、ハハハ」
 僕の動揺マックスの様子を余所に、藤本は僕に語りかけ続ける。
「まあ、先生滅茶苦茶察しが悪いみたいなんでザクッと言いますと」

 先生、騙されてますよ。

「騙されてるって」
「由梨はセンセーと寝て、ヤってる最中の音声をネタに揺すりやってるんですよ」

01-596 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 19:32:00 ID:gKRv+t3p
「……は?」
 本当に何でもない顔で、藤本は言い放った。
「先生が今手に持ってるボイスレコーダーで録って、後日教師に聞かせるんです」
「……」
「そしたら大概の教師はビビっちゃって、何でもするんスよ」
 体中の血が沸き立つのを感じる。
 頭がくらくらと酸欠状態を起こしている。
「由梨何してたかなぁ~、ブランドバッグ貢がせてた時もあったし。単純に金取ったり変な命令したり?」
 藤本は飄々とした体で、指折り数えていく。
 その様子に…僕の心の奥底が、フツフツと煮えくりかえる。
 何で藤本はこんなに平気な顔で、平気な口調で、自分の好きな人間が傷つく様を話せるんだ?

 その憤りは収まる事なく、そのまま藤本へ向かっていく。
「仮に君の話が正しかったとして!何で!君はそれを止めないんだ!襟沢を好きならどうしてっ」
 思わず怒鳴りつけた瞬間、藤本の表情が一変した。
「止めて…癒えんなら」
「何だって?」
 ドン!
「止めて由梨の傷が癒えるんだったら、いつでも止めてやるよ!」
「っ」
 藤本は襟首を掴んで僕を壁に突き飛ばし、ドンと拳を頭の横に叩きつけた。

「だけど今の由梨はそれしか自分を保つ方法がないんだ、俺だけじゃどうしようも出来ねーんだよ」
 さっきまで「普通の顔」をしていた藤本の顔は殺気だち、同時にやるせなさに歪んでいた。
 藤本は射抜くような目で僕を睨みながら、頭に刻みつけるように話し掛ける。
「だからせめて俺は、由梨を見守ってる…今日みたいなボロが出た時の為に」
 アンタ察し悪いからいくらでも誤魔化せたけど、
逆に変に誤魔化すといつまでも由梨につきまとって来そうだからな。

01-597 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 19:36:30 ID:gKRv+t3p
「当たり前だ!それが事実だとしたら一刻も早く襟沢を」
「黙れよ」
 そして藤本は、とんでもないモノを取り出した。

 ドス
「……!?」
 藤本は、ナイフを僕の顔の真横に突き立てていた。

「今後由梨に変なちょっかいを出したり、不審な行動を取れば、これでアンタを殺す」
 あまりの事に…声を失う。
 この一見明るく爽やかな生徒の何処に、こんな狂気が隠されていたんだ。
「俺は本気だよ。実際に切りつけた奴も居る」
「藤本…」
「ハハ、ビビんないで下さいよ」
 僕の瞳の怯えを見て、また藤本にあの飄々とした表情が戻る。
「先生明日は休みだ…まあ土日にゆっくり考えてみてくださいよ」
 藤本は初めてニヤリと笑みを見せ、ナイフをしまう。
「………」
「じゃ、先生また来週」
 そう言って、藤本は後ろ手を振り指導室を出て行った。

 そして僕は。
 藤本の言葉に、何一つ返すことが出来なかった。

 襟沢由梨がカラダを使って教師を脅して、金を取っているだと?
 あの口振りだと、僕が初めてではないようだ。
 歩美先生は、この学校の男の教師が何人も辞めていると言っていた。
 つまりそれは……。
 それは…。

 その答えをくれる人間は、誰も居なかった。
 自分の手の中にあるボイスレコーダーだけが、照明を受け鈍色を放っていた。

01-599 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 21:04:06 ID:gKRv+t3p
 ピピピピピピピピ!

 そして混乱の1日が過ぎ去り。
 翌朝僕はけたたましいメールの受信音で目を醒ました。
「ん…何だよ」
 時刻を見ると、まだ朝の9時だった。
 朝と言うにはおこがましいが、休日位ゆっくり目に起床したい所だ。
 が、そんなささやかな願いも、メールの文面によって一気にぶち壊される事となる。

-------------------
09:04
frm 中島歩美
sub おはようござい
ます☆
本文
隆さんおはようござ
いますっ♪♪
今○○駅降りたすぐ
の、広場のベンチに
座ってます(*^o^*)
約束の時間は10時で
すけど、ちょっと早
く着いちゃいました(
照)
隆さんは慌てずゆっ
くり来て下さいね★

☆ぁゅみ☆
-------------------

「は?」
 は?

「………」
 文面が全く理解できず、もう一度読み直してみる。
 差出人は歩美先生。
 ちゃんと僕の名前が入っているから、間違って送ってきてる可能性はない。
「え?約束って…は?」
 はっきり言って、全く文面の「約束」とやらに心当たりがない。
 もしここまで細かく約束しているなら、僕が幾らぼんやりしていても忘れようがない。
 ……どうすればいいんだ?

 とりあえず考える。
 これはとりあえず…現場に赴くべきではないだろうか。
 歩美先生の性格を考えると、メールや電話での会話は、事態を余計ややこしくさせる可能性がある。
 幸い今日は用事もないし…超万が一の話、僕がうっかり忘れているのかもしれない。
「歩美先生…何のつもりなんだろう」
 ひとまず「おはようございます。とりあえず向かいます。少し遅れるかもしれません 上原」
とメールを返し、慌てて身支度を始める。
 こうして僕の休日の朝は、襟沢の事を考える余裕もなく慌ただしく幕を開けた。

01-600 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 21:12:25 ID:gKRv+t3p
「あっ隆さんっ!おはようござぃまぁ~す」
「おっおは、おはよ…!」

 10:03。
 猛ダッシュで走って電車に飛び乗った甲斐あり、僕は起きた時間にしては好成績で約束の広場に到着した。
 息切れしながら、歩美先生の姿を見やる。
 ………。
「あ、歩美先生…」
「はいっ?」
「…いえ、おはようございます…」
 歩美先生は、凄い格好をしていた。
 文章で言えば、白のカーディガンにピンクのワンピースという至って可愛らしい格好だが。
 胸の空き具合とスカートの裾の短さが人智を越える仕様となっていた。
 先生、色々と出過ぎやしませんか?
 突っ込みたいのは山々だが、話がややこしくならない内に話しておかなくてはならない。

「あの、先生」
「何ですかー?」
 ズバリ聞いてみる。
「僕、先生と出掛ける約束なんてしてましたっけ」
 途端。
 歩美先生の笑顔が一瞬で凍り付き、次の瞬間には悲壮な顔付きで絶叫した。

「たっ隆さん……!!デートしようって言ってくれたじゃないですかっ」
 言ってない。
 絶っ対、言ってない。

「あの、失礼ですが、それはいつ、どんな状況で?」
「昨日ですよー!昨日お昼休みにデートしたいですねって話したじゃないですかあ!」
「あっちょ、泣かないで下さい!」
 歩美先生は早くも滂沱の涙をこぼしながら、僕に決死の訴えを起こしていた。
「○○駅の近くにショッピングモールが出来たから行きたいとか、時間も…!」
 なるほど…。
 歩美先生の訴えを聞いて、彼女の思考回路が何となく見えてきた。

01-601 :由梨と上原先生:2010/07/10(土) 21:17:01 ID:gKRv+t3p
 確かにそういう話はした。
 しかし歩美先生が昼休みに話していたのは

・一回二人で出掛けたいですねー
・最近○○駅にショッピングモール出来たんで行きたいんですよー
・先生休日とか何されてるんですかー

 全部、歩美先生の単なる話題だった。
 僕はそれに
「そうですね」
「そうなんですか」
「大体寝てますよ」
と返しただけなのだが、それがつまり肯定の言葉となっていたらしい……。
 …どうやら以前の『お弁当事件』もきな臭くなって来た。
 何て恐ろしい話だろうか。
 正に歩美先生マジックだ。

「うっうっ…酷いわ…全部忘れちゃうなんて……ぐすん」
 話は分かった。
 が、分かったところで歩美先生は一向に泣き止まない。
「あー……」
 ……。
 ………。
「うん」
 僕はもうどうしようもなくなって、結局安易な道を取る事にした。

「あの、歩美先生」
「ふ、うぅう…にゃんですか…」
「まあ折角集合したんですし、今日はご一緒しますよ」
「えっ」
 1日くらい。
 その程度の気持ちで、僕は歩美先生とのデート?を了承した。
 瞬間、歩美先生の顔が爆発的な変化を見せる。
「きゃあああさすが隆さん!」
 …喜色満面ってやつだ。
「やったー!!ふふふっじゃあ早速行きましょうよ~っ」
「あ、はい」
 歩美先生は手の平を返したかのようなハイテンションで、僕の手を引いて歩き出した。
 そう1日くらい。
 その安易な考えが、後々の自分の首を絞めていく事になろうとは、このときの僕には知る由もないことだった。

01-605 :由梨と上原先生:2010/07/12(月) 00:49:11 ID:Q2Y8X6zF


 歩き出して暫く経った頃。
「私最近彼氏と別れたんですよー」
 歩美先生はふと思い出したように、声をあげた。
 彼氏だって?
「へえ、どんな方だったんですか?」
「あっ気になっちゃう感じですか~?」
 いや…。
「ハハハ、まあ…同い年の方ですか?」
「2つ年上の人です☆」
「へえー」
 その人は一体どんな風に歩美先生と付き合っていたのだろうか。
 失礼な話だが、歩美先生と正面きってお付き合いをするのは、並大抵の事ではないだろう。
「何で別れちゃったんですか?」
「あっまたしても気になっちゃう感じですか~?」
 ……。
「…はい、すっごく気になりますねー」
「もう最悪ですよ~向こうの浮気です」
 浮気か…歩美先生の事だから、めちゃくちゃキレちゃったんだろうな…。
 僕はとりあえず、当たり障りのない言葉で応える。
「ああーそれはダメな人ですね」
「そうなんですよーダメなんですよー。ほんと、」
 ニコニコとした微笑みを僕に向けたまま、歩美先生は

「マジでアイツ、他の女に目移りしやがって(笑)」
 ゾッとするような、世にも恐ろしい声音で呟いた。

「……」
「あっ隆さん着きましたよ!」
「あっああ」
 気が付くと、近代的な建築物が目の前にあった。
 いつの間にか、例のショッピングモールに着いてしまっていたようだ。
「行きましょ行きましょっ!」
「そうですね」
 胸の動悸を押さえ、僕は努めて明るく返事をする。
 だが。
「……」
 今の声…トラウマになりそうだ。
 僕は歩美先生に手を引かれながら、必死で流れた冷や汗を拭っていた。

01-606 :由梨と上原先生:2010/07/12(月) 00:52:35 ID:Q2Y8X6zF
 そして今日のこの1日。
 ひたすら歩美先生と買い物をして、お喋りをして、晩ご飯を食べて。
 あっという間に時間は過ぎて行った。


「これから、どうします??」
 そして辺りがすっかり闇に沈んだ頃。

 歩美先生ご推薦のイタリアンレストランを出て開口一番、歩美先生は笑顔で僕にそう聞いた。
「そうですね」
 僕は大きく頷き、間髪を入れず応えた。

「帰りましょうか」
「ええええええええええええええええええ」

「え…?だってこれから何をするんですか?殆ど店も閉まっちゃいましたし」
「ええええ……まあ、確かにそうですけど…私は…ぶつぶつ」
 僕の言葉に形では同意するも、やはりブツブツと独り言を始める歩美先生。
 なんか…歩美先生って本当、独り言癖あるよなあ…。
 ぼんやりそう思っているうちに何か思い付いたのか、不意に歩美先生はぱっと顔を上げ、大きく頷いた。
「わかりました!帰りましょう」
「何だかすいませんね」
「いえいえとんでもない!」
 なぜだか上機嫌で歩美先生は首を振り、僕の手を取る。
「さあさあ、帰り道は私が案内しますから帰りましょうか」
「あ、ありがとうございます」
 僕は全く、何の疑問も持たずに『ご好意』としてその手を握り返し。
 そして。



「じゃっ私お風呂入ってきますから♪」
「……………」

 歩き出し、僅か30分後。
 歩美先生がバスタオルを持ってシャワールームへ向かう様子を、僕は呆然と眺めていた。
 えっと。

「………」
 こめかみに指を当てて、もう一度…もう一度よく考えてみる。
 まず第一に。
 恐る恐る、下世話なピンク色の壁紙に目をやる。
 一緒にティッシュ箱や、謎の天蓋風?ベットが目に入ってしまい、
慌てて目の前の机の灰皿に視線を戻す。

 まず、何故僕らは今、ラブホテルに居るのか。
 僅か15分前の出来事を、更に今一度思い返してみる。

01-607 :由梨と上原先生:2010/07/12(月) 00:54:57 ID:Q2Y8X6zF
 あの時『帰りは送りますよ』と言ってくれた歩美先生。
 しかし不運にも先生は道に迷ってしまい、僕らは間違えて繁華街の路地へ入って来てしまっていた。
 『何ていかがわしい所……歩美怖い』と怯える歩美先生を早く安心させてあげたくて、
僕が買ったばかりのスマートフォンのナビ機能を使おうとしたその瞬間。

『あああああっ突然腹に差し込みがああああ!』
『だっ大丈夫ですか!?』
『ああああ隆さん私はもうダメですぅううあうあうああああ』
『きゅっ救急車呼びますか!?』
『いやっ十数分横になってれば治りますから!そこの休憩所に入って下さい!!!』
『はっはい!』
 ガラガラ…
『とりあえずそこの右上の部屋の宿泊の方のボタン押して下さいいいいああああお腹があああ』
『あっはいっ!』
『さあそのルームキー取って指定の部屋へああああ』
『だっ大丈夫ですか!もうすぐですよ!ほら開けました!』
 ガチャッ。

『ふう…さあ歩美先生早く横に』
『あっ♪♪なんか急に治っちゃいました』
『は!!!?』
『あーあっお腹痛くて汗いっぱいかいちゃったぁ…あつーい』パタパタ(チラッ)
『暑いって…』
『あの、汗かいちゃったんで、折角だしお風呂だけ入っていいですかぁ?』
『えっ!いや、じゃあ僕は』
『入るだけですよー!入ったらすぐ帰りますんで、ベットとかで横になってて下さい』
『は、』
『ねっ!!!』
『は…い…?』

 ………で、冒頭の歩美先生の言葉に戻るわけだ。

01-608 :由梨と上原先生:2010/07/12(月) 01:00:38 ID:Q2Y8X6zF
 しかし歩美先生は、本当に人を疑わない純粋な人だ。
 僕の事を信頼して、お風呂にまで入るなんて…僕だから良かったものの。
 他の男性なら襲ってしまう危険性があるような歩美先生の行為に、危うさを感じてしまう。
「出て来たら忠告してあげないと…」

 意識を戻すと、ザアアアアア…ッとシャワーからお湯が流れる音が耳に一層強く飛び込んでくる。
 パシャ、ピシャッ…
「……」

 …なんというか。
 幾ら僕にやましい気持ちが無いとしても、女性が入浴している部屋に居るというのはやはり気まずい。
 さすがに帰る訳にはいかないが、外に出て待っている位は許されるだろう。
「書き置きだけして…出ていこう」
 僕は出来るだけ周りの景色を見ないように、机の上のメモ帳に手を伸ばし

『支度が終わるまで外で待っています。 上原』

 と書き付け、歩美先生の鞄の上にメモ用紙をちぎって置いた。
 これなら分かるだろう。
 僕はそっと自分の荷物を掴むと、ドアに向かって歩き出す。
 これ料金とかってどうなってるのかな…あの受付に部屋の番号言ったら精算してくれるのかな。
 チラリと上を見やると赤い料金表示の文字が消えかかっている。
 ドアノブを回す、キリリと金属の軋む音が響いて

 その声は、やけに近くから聞こえてきた。


「どこ行くんですか」


 一瞬何なのか。
 分からずに、訳が分からずに、振り返る。
「え」
 すると右肩口に顔が見えた。
 スルスルと、その顔に水滴が流れ。
 目が合う。

「上原先生どこに行くんですか」
 僕の真後ろにぴったりと、歩美先生が濡れ髪のまま背後に張り付いていた。

 歩美先生は、まばたきもしていなかった。

01-614 :由梨と上原先生:2010/07/14(水) 00:10:13 ID:gfpbRmdK


 そして先生は。
 歩美先生は。
 全裸だった。

「う、
わあああああああああ!!?」
 あまりの衝撃に、絶叫してしまう。
 よく考えれば失礼な事甚だしいが、そんな事考えてる場合じゃない早くここを出ないと
「待って下さいよ」
 ガッ
 歩美先生は極めて冷静に、逃げだそうとする僕の襟首を掴んで引き留めた。
「いやっ先生!あの、とにかく何か着るものを」
「夜は…これからですよ♪」
「……え」
 ニッコリと歩美先生は妖然と微笑み。
 物凄い腕力で僕をベットまで引きずり込んだ。


 ドサッ!
 ギッ…ギッ
「まさか隆さんとこんな展開になるなんて…思ってもみませんでした」
 頬を赤らめて俯く歩美先生だったが、押し倒されているのは当然僕だった。
「ふ…ううっ」
 何か言おうにも、目の前にある歩美先生の胸に押しつぶされて、ただ唇に柔らかな感触が伝わっただけだった。
 歩美先生の胸は、Gカップはありそうな勢いだった。
 まっさらな白肌に、ぷるぷるとした弾力、どっしりした重み。
 まさに「巨乳」の名を冠するに相応しい迫力だ。

 その乳を揺らしながら、歩美先生はウットリと僕を見つめる。
「ふふ…やっぱり素敵」
「歩美先生!何するんで…うわっ」
 グイッ!ガチャガチャッ
「隆さんたら、可愛い」
 ようやく巨乳の森を抜け出し声をあげるやいなや、
歩美先生は先程の異様な握力で僕の両腕を片手一本で押さえ。
 あろうことかもう片手で手慣れた手つきで僕の服を脱がせ始めた。

 プチ、プチ。
「隆さん乳首可愛いー」
「何言ってるんですか!!」
 ズルズルズルズル!
「あっズボン引っ張らないでっ、ちょっ!?」

 この状況はどこかで見た事がある。
 そう、襟沢に襲われた時も一方的に剥かれてしまって…。
 しかしその時とはまた趣が激しく違う気がする。
 これは何というか…こう…

「…痴女?」
「気が付いていたと思うんですけど…私、隆さんの事が好きなんです」
 僕の呟きを無視して(もしくは聞こえてすらないのか)、歩美先生はとんでもない科白を吐いた。

01-615 :由梨と上原先生:2010/07/14(水) 00:16:36 ID:gfpbRmdK
 僕の事が、好き?

「え」
 僕は、全く気付いてなかった。
 確かに身の回りの事だのお弁当だのと、やけに良くして貰っていたがあれは考えようによっては…………
 頭の中で、意味不明な歩美先生の行動の数々が一つに繋がる。
「あ、あああああ…!」
 あ、あれはそういう事だったのか!!!

 僕の奇声をどう受け取ったのか、歩美先生は満足げな笑みを浮かべて更にとんでもない事を口にした。
「まあ、もう先生が私の事が好きなの知ってますから」
 はあ?
「いや、それは歩美先生違…むぐっ」
 僕がその言葉に反論する前に、歩美先生は素早く体を動かし、僕にお尻を向け、そのお尻を僕の顔に下ろした。

「むぐっあふひしぇんせ」
「ふふ、隆さんたらこんなに大きくなっちゃって」
 歩美先生は躊躇なく、屹立した僕のモノをペロリと舐める。
「くっ、うう…」
 瞬間、意志とは関係なく快感が体を走り、たまらずに悶える。
 確かに歩美先生は全裸で、しかも一気に色んな事が起こり過ぎて、
体が生理的に興奮状態に陥っているのは間違いない。
 だけど…襟沢と違って、歩美先生に興奮している訳じゃないのに。
 僕は無意識に、襟沢に対して頭の中で言い訳をしていた。
 そんな事、襟沢に伝わる筈が無いのに。

 ジュブッジュブッ!
「は、んっ美味しいぃ…♪隆さん、私のココも舐めて下さい」
 歩美先生はすっかり口いっぱいに僕のモノをくわえ込んで、
表情は見えないものの、嬉々としてジュブジュブとしゃぶり続けていた。
「うっあ…先生…」
 襟沢は丁寧に、僕が反応した所を舌先を使って攻め立てるようなフェラだったが、
歩美先生のそれは正に一撃一撃に腰がとろけてしまうような、激しく頭がおかしくなってしまうような快楽を僕に与えた。

01-616 :由梨と上原先生:2010/07/14(水) 00:23:04 ID:gfpbRmdK
「ん…!」
 言葉を続けようと口を開くと、歩美先生の内股を伝って愛液が僕の口に流れ込んできた。
 快感が理性を奪い、僕は歩美先生の指示通り、愛液がトクトク湧き出す歩美先生のそこに口付けた。
 チュルッ!ピチャピチャ…
「あっっ!来たぁ!!隆さんの舌が私のアソコ舐めてるぅ!」
 歩美先生はあられもない声を上げて、気持ち良さそうに腰を揺らす。

 もう快感に支配されてしまって、僕は歩美先生を止める事が出来ない。
 ならばせめて歩美先生にも気持ち良くなってもらったら…。
 僕の最後の理性がそう言い訳をして、僕はいよいよ舌を歩美先生の中へとねじ込んでいく。

「ひぃいいっ私のアソコっ!ペロペロされてる!もっとグチャグチャにしてぇっ」
 ジュブッジュクッ、ピチャ…!
 歩美先生は器用に、喘ぎながら僕のモノを舌を使い指を使い、しごき上げていく。

「あ、歩美、セン…セ」
 僕も勢いにつられ、歩美先生のソコを入り口からヒダまで舌先で舐めまわし、
溢れる愛液を音を鳴らして啜りながら、先生を愛撫していた。

「あああっ舌気持ちイイッアソコ気持ちイイッ!気持ちいいよぅ!!もう歩美イク!イク!」
 歩美先生はそう叫びながら、いよいよ僕のモノを激しくしごく。
「あっ僕も…もう…!うっ」
「一緒にぃ…!歩美と一緒にイッてえぇ!」
 パクパクと入り口を痙攣させながら、歩美先生は腰を振って僕にねだる。
 雌の匂いと雄の匂いが充満した部屋で、僕の理性は最早消滅しかかっていた。

「あっ隆さんもうキてるぅ!いこっ一緒にっ一緒に…!!」
「うっうあああああああ!」
 ドプッビュッビュ…!
「ひ、あああああああっ!?」
 プシャーーッ

 そして僕らは歩美先生の要望通り、同時に達してしまった。

01-617 :由梨と上原先生:2010/07/14(水) 00:30:38 ID:gfpbRmdK
「はっはぁ…はぁ…」
 一気に…脱力感が僕を襲う。

「んっ…ゴクッ」
「あっ歩美先生!そんなの飲まないで下さい」
 何と、歩美先生は口内で発射された僕の精液をそのまま飲んでしまっていた。
「えへへ、美味しい…お掃除もしときますね」
 言うなり歩美先生はまた僕のモノに口付けて、チューチューと、残った精液も吸い出していく。

「んっ」
「隆さんごめんなさい…私の、掛かっちゃいましたね」
「いや、気にする事は」
 僕の顔面は、歩美先生の潮吹きで愛液まみれになっていた。
「んっしょっと」
 歩美先生は僕の上に乗ったまま体の位置をゆっくりと戻し、僕と顔を突き合わせた。

「何か久しぶりに見た気がします」
「…はは」

 目の前の歩美先生の髪は少し乱れ、上気した頬と、はにかんだ笑みはまるで少女のようだった。
 僕の顔を手で吹きながら、歩美先生はにっこりと微笑む。
「そろそろ…いいですか?」
 この『そろそろ』と言うのは、つまり…最後までって事だ。
「…っ」
 不意に心が揺れた。

 僕は、襟沢由梨が好きだ。
 だがその感情は永遠に封じ込めていなければならない。
 一生叶わない、諦めなければならない存在だ。

 だが、歩美先生は違う。
 年も近いし僕に好意を持ってくれている。
 性格や行動には少々難あり…というか、何をしでかすか分からない所はあるが、
こうして見ている歩美先生は本当に可愛いし、僕なりに彼女を愛す事は出来る…と思う。
 むしろ襟沢を忘れるチャンスだ。
 だから僕は。
 ならば僕は。

「……先生」
「はい?」
「家、帰りましょう」
 でも僕は。


 襟沢の笑顔が浮かぶ。
 あの屈託のない微笑みが好きだ。
 普段の顔は綺麗過ぎて近寄りがたいのに、笑うだけで彼女はびっくりする程年相応の少女になる。
 そんな彼女を、僕は好きになった。

 今、この状況に追い詰められて初めて分かった。
 襟沢が、高校生であろうが、生徒であろうが、僕を騙そうとしていようが。
 そんな事は結局、僕にとってどうでもいい事だったのだ。
 ただ彼女が幸せであれば。
 叶わない事が前提であろうが、想い、見守り続ける事が出来るのであれば。
 僕にはそれ以外、何も要らなかったのだ。

01-618 :由梨と上原先生:2010/07/14(水) 00:37:13 ID:gfpbRmdK
「折角なのですが…先生の告白はお受けする事が出来ません」
「………」
 僕は歩美先生の下から体をずらし、ゆっくりと体を起こした。
 そのまま立ち上がり、散らばった服を拾い上げていく。
 一枚、一枚拾い上げ、着ていく事に理性が戻ってきているような気がした。
「………」
 ベッドに一人、歩美先生は膝をついて、ぼんやり壁を眺めている。
 服を着終わり、僕はベッドに腰掛け、壁を見つめる歩美先生にゆっくりと話しかけた。

「僕は…未熟な人間です。自制が利かなくて、歩美先生の体に触れてしまった」
「……」
「でも、やはり僕には自分を偽る事が出来ません」
「……」
「僕には他に大切に想う人が居ます。だから、歩美先生の気持ちには応えられない」

「ごめんなさい」
 僕は歩美先生の後ろ姿に向かって、ぺこりと頭を下げた。

「……」
 それでも歩美先生は微動だにしない。
 きっと歩美先生は、卑怯な僕に怒っているのだ。
 返事をする価値もない…そういう事なのだ。
 だが僕には、歩美先生を無事駅まで送る役割がまだ残っている。
 僕は後ろを向いたままの歩美先生の右手を取った。
 その手は、氷のように冷たい。

「歩美先生、とにかくここから出ましょう」
「………ふ…」
 と、やっと歩美先生が、ポツリと声を漏らした。
 ふ?

「何ですか?」
「ふっ…」
 歩美先生の手に、急激に力がこもる。
 皮膚が破れんばかりに爪が食い込み、僕は思わず顔を歪める。

「せん」
「ふざけんじゃねーよ!!!この粗チンがアッ!!!」

 ビリビリビリッ!
「……!?」
 壁が震える、強烈な耳鳴りに顔が歪む。
 余りの怒声に一瞬、目の前が真っ白になった。
 なんだ?
 何が起こって
 振り返った歩美先生は。

「あらごめんなさい、つい大声出しちゃった」
 口が裂けんばかりに、笑っていた。

01-625 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 18:39:20 ID:S7og5Opv
10

前回あらすじ・歩美ちゃん狩猟モード


 警鐘が
「隆さん、私ね、隆さんの事大好きなんですよ」
 振り返った歩美先生の口元からは僕の精液が一筋、流れていた。
 まるで生き血でも啜った後かのように。

「あ、…の」
 喉が急速に乾いて、粘膜が張り付く。
 無意識に、手が震え出す。
 ガンガンと警鐘が鳴り響く。
 あれ
 あれ?
 なんで、これは
 なんで

「ねえねえ先生、私聞きたいことがあるの」
 瞳孔が開いてる

「隆さんも勿論私の事が好きなんだよね?」
「あ…」

「隆さんも夜私の事を考えて眠れないんでしょ?」
 歩美先生は僕の手を握り潰すようにして掴み、僕を笑顔で見つめる。
 親指の爪がとうとう皮膚を突き破り、血が掌の皺を伝う。
 歩美先生はまばたきをしていない。

「隆さんも朝起きたら真っ先に私の事を考えるよね?
 隆さんも窓辺に私の写真を飾ってくれてるよね?
 隆さんも私の観察日記つけてるよね?
 隆さんも気になって、鞄や机の中を物色してるよね?
 隆さんもすれ違う度に私の匂いを嗅いでるよね?
 隆さんも私が居ない間、お弁当のお箸を舐めてるよね?
 隆さんも夜には、私を思ってオナニーしてるんだよね?
 隆さんも」
「ヒッーー」
 一気に血の気が引く、恐れに戸惑いすら感じられない。
 怖い。
 純然たる恐怖が僕を襲った。
 何だこの人は。

「ッ!」
 僕は鞄をひっつかみ、勢いに任せて歩美先生を突き飛ばした。
 ドッ!
「きゃっ!」
「あっ…」
 弱々しい声に、一瞬後悔が生まれる。
 女性を突き飛ばすなんて…
「…アンタもあいつがいいの!?」
 感情と理性の葛藤の最中、歩美先生は取り乱して叫んだ。
 あいつ?
「あいつ?」
「アンタも襟沢なの!?」

 え?

01-626 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 18:48:10 ID:S7og5Opv
 今何て
 
「アンタも襟沢とヤってんの?!」
「!」
「女子高生のマ○コがいいってヤってんの?あんなガバマンとヤったら病気移されますよ!」
「…止めろ」
「隆さんは騙されてるんですよ、あの淫乱雌豚に肉棒目当てでで使われて」
「ッ止めてくれ!」
 耐えきれず、僕は部屋を飛び出した。
 部屋の中で歩美先生はまだ何か叫んでいる様だが、振り返る事は無かった。
 僕は駆け出す。

 闇を覆い尽くすようなネオンが目を眩ます。
 何か妙な感触のものを踏んだ。
 それが何か恐ろしいものの様に感じてヒヤリと足がすくむ。
 天井から闇が融解し、頭上からこの身に溶け落ちる。
 歩美先生の悲鳴のような絶叫は、いつまでも僕の耳に響いていた。
 転がり落ちるように、僕は坂を下った。

 月曜日、襟沢は学校に来なかった。

01-627 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 18:52:43 ID:S7og5Opv
「由梨なら風邪ですよ」
「…本当に?」

 月曜日。
 結局襟沢は姿を見せず、僕はわざわざ隣のクラスの藤本を捕まえて問い質していた。
 昼休みに校庭のベンチに呼び出すと、
「勘弁して下さいよー飯食えなかったじゃないっすか」と僕に金をせびり、まんまと購買の焼きそばを手にしていた。

「せめてその焼きそば代位は話してくれよ」
「風邪はマジです。前から調子が悪かったんですよ。
まぁ学校なんかで股広げちまって、腹でも冷やしたんじゃないっすかね」
 サラッと藤本はとんでもない事を呟いて、僕を慌てさせる。
「ちょ、こらっ学校でなんて事を言うんだ!」
 ていうかやっぱりお前聞いてただけじゃなくて見ていたのか。
 僕の挙動不審な様子を見て、藤本は薄い唇を歪ませる。
「分からないな上原先生。何でそんな常識は分かるのに、生徒に学校で指マンなんてしちゃう訳?」
「それは…」
「まぁ今までの奴もそうだったけどさ、純粋だか何だか知んねーけど」
 偽善者なんだよ、先生。

「偽善者」
 それはこれまでも、散々言われ慣れてきた言葉だった。
「…僕の事はどうでもいいよ。襟沢の話だ」
 頭に浮かんだ黒い靄を払い、僕は藤本に水を向ける。
「襟沢がお前の言うとおり、教師を食い物にしてるとして…
襟沢は何で、そんな恐喝だの美人局まがいの事をしているんだ?」
「先生勘違いしてない?」
 質問開始早々、僕の言葉はあっという間に両断される。

「俺が由梨の話をしたのは先生にこれ以上関わらせない為だから。変な詮索したら殺すって」
 ちゅうちゅうとパックジュースを吸う藤本は、酷い脅し文句を吐いてる癖にこちらを見ようともしない。
「そうかじゃあ手を引くよって言って引ける人間なら、お前も警戒しないだろ」
「まぁね」

01-628 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 18:56:18 ID:S7og5Opv
 藤本は肩を竦め、箸で僕を指す。
「かと言って、いきなりアンタを刺してぶっ殺す程、俺も自分の人生捨ててない」
 だから結局、基本は抑制と監視だよ。
「とにかく俺はもうウンザリなんだよ。由梨がお前らみたいな害虫にたかられるのは」
「…僕は、襟沢に手を出したりなんかしない」
「少なくとももう怖くて出せないよな」
「そういう意味じゃない!」
 僕が声を荒げる様子を見て、ハハハと藤本は笑う。

「とにかく俺がアンタの力になる事はない。先生には由梨を救えないよ」
 藤本は潰した紙パックをゴミ箱に投げ入れ、立ち上がる。
「俺になんか頼らないで、気になるなら自分で調べりゃいい」
「藤本」
「でもその結果何が付いてきても…それはアンタの自業自得だよ」
 昼休みの終了を告げる予鈴が鳴る。
 ごっそさんと藤本は、焼きそばのパックもゴミ箱に投げ捨てた。



 
 藤本は勝手に自分で調べろ、と言った。
 実はその手は考えてなかった訳じゃない。
 藤本は確かに不気味で、危険な存在だ。
 だがあいつと僕が違うのは、僕が「教師」で「大人」であるという事だ。

「えー今まで来た先生?何でそんな事をみるりに聞くの??」
「やっぱり前任の人の教え方とか、皆にどう思われてたとか気になってさ」
「何でみるりなの?みるりは先生の都合の良い女じゃないんだよ?」
 どうみても小学生にしか見えない痩躯をふるふると震わせ、高坂みるりは僕をキッとねめつけた。

01-629 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 19:04:13 ID:S7og5Opv
 2-B、英語係の高坂みるり。

 身長145センチ(自称)・体重36キログラム(自称)。
 そして身の丈に沿った童顔(というか子供)に、ひよこの羽毛みたいなふわっふわしたセミロング。
 特注のミニマムサイズの制服をピシッと着こなす彼女は大きな瞳を見開き、怒りを露わにしていた。
「まぁまぁそんな怒らないでさ…」
「むうー」
 目を細め、つっけんどんな態度を取る彼女。
 そんな態度には、実にしょうもない理由がある。

「『小学生』のみるりには、用がないんじゃないの??」
「まだ言うか…」
 まあつまり、初対面で思いっ切り彼女を小学生と間違えてしまったのだ。

『君っこんな所で何をしてるんだ!』
『えっみるりは生徒だよ?ほら制服…』
『馬鹿言ってんじゃない!君はどう見たって子供じゃないか』
『なっ何ぃ~っ?新任とはいえ聞き捨てならぬ科白!見やがれこの学生証セカンドシーズ』
『お母さんの名前は分かるかい!?』
『…ン』
 ボゴッ……

「……」
 一瞬当時の思い出がフラッシュバックし、鳩尾が疼く。
 痛かったなぁ…正拳突き。
 とにかく彼女を初対面で小学生と本気で勘違いしてしまった以来、高坂は一貫して僕に冷たいのだ。
「…っと、ちょっと先生?」
「え、あ」
「もう聞いてたの?折角みるりが色々話してあげようと思ったのに」
 視線を逸らしながら、ブツブツと言葉を吐き出す高坂。
「ハハ、ごめんごめん」
 が、それ以来気安い存在にでもなったのか、高坂は僕に対して不器用ながらも色々声を掛けてくれるようになっていた。

01-630 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 19:10:29 ID:S7og5Opv
「だからー先生が4人目だってのは聞いてるんだよね?」
「ああ、引き継ぎのノートなんかも見てるんだけど」
 教材を職員室に運ぶのを手伝って貰うついでに質問しただけだったが、
存外高坂はペラペラと素直に答えてくれた。
「えとねー…みるりが知ってる限り」

 1人目はみるりの入学と同時に来た桜井先生。
 2人目は2学期の始まりに入れ代わって来た久保田先生。
 3人目は2年の1学期に来た青柳先生。
「で、秋口に来た上原先生ね」
「ああ」
「うーんどんな人…みるりも英語係でちょっと話すだけだったけど」

 高坂が言うには。
 桜井先生は今どきの爽やかイケメンな感じで、皆からも人気があったらしい。
 一方後任の久保田先生は年も30半ばを越え、口数も少ないかなり影の薄い存在だったそうだ。
「その2人はぶっちゃけよく覚えてないんだけどさ、青柳は酷かったんだよ!」
「酷いって?」
 高坂は憤然と短い腕を振り上げて、僕に主張する。
「自分の事カッコいいとか思ってて超ナルシストだし、性格も意地悪いの」
「本当に?そんな人だったのか?」
「皆も文句ばっかだったよ。それに学校内で付き合ってる噂まであって」
 その言葉に思わず身を乗り出す。
「それ…どの子なんだい?」
 ガタッ
「せっ先生、みるりに近い!」
「あっごめん」
 高坂が怒った様に顔を赤らめたので、慌てて身を引く。
 しかし青柳先生が生徒と付き合っていた噂が出ていたなんて。
 襟沢の顔が頭の端にちらついたのを、必死で消し去る。

「どの子って言うか」
 そして高坂は困惑の表情を浮かべ、言った。
「歩美ちゃん先生だよ」

01-631 :由梨と上原先生:2010/07/20(火) 19:15:31 ID:S7og5Opv
 歩美ちゃん先生?

 歩美ちゃんて…
 反射的に血の気が引く。
「…中島歩美先生?」
「そうそう。あっそういや歩美ちゃん先生今日学校来てないね」
「歩美先生も今日は体調が悪くて…」
 今まで考えないようにしていた名前が挙がり、心に動揺が襲う。

「えっどうしたの?みるり悪い事言った?大丈夫?」
「いや、少し驚いただけだよ…それで?」
 高坂の心配そうな姿に、申し訳ないと思いながらも僕は質問を重ねる。
「みるりの勘的には絶対、青柳先生と歩美ちゃん先生は付き合ってたけど、全然だったよ」
「全然って」
「絶対歩美ちゃん先生遊ばれてたもん。恋愛になったら一直線!ってタイプは絶対ああいう手合いはダメ」
 見た目は極度に幼い癖に一端の事を語っている風な高坂は、何だか微笑ましい。
「ハハ、酷い言われ様だな」
「むうー、だって歩美ちゃん先生は絶対桜井先生の方がお似合いだったもん」
「桜井先生?」
「桜井先生とはちゃんと付き合ってたんだよ?公認でさ、皆結婚するって言ってたのに」
 そうなのか……。
 何で別れちゃったんだろ。と言う高坂みるりの声が遠く霞んでいく。
 襟沢の事を調べるつもりで聞いた質問が、歩美先生と繋がった。
 それは、どういう事なのだろうか。

「…ありがとな高坂。はいコレ」
「あっレモン味だあ~! ってだから何でみるりの事、定期的に子供扱いするの!?」
 僕はブツブツ文句を言う高坂に礼を言い、駄賃にレモンキャンディを渡した。

最終更新:2010年07月07日 11:01