01-595 名前:タイトル未定 :09/01/29 02:37:38 ID:JdSOt1cG
 こんなつもりじゃなかった。

「てめぇ! ちょっとモテるからっていい気になりやがって!!」
「痛い! ちょっとやめて!!」
「ああん?! テメェに汚された俺の心の方が数倍痛いっつーの!!」
「ちょっと離してッ!!」
「きちんと責任は取ってもらうからな、このビッチがッ!!」

 私の手首を掴んで強引に後ろに回される。いくら素人と言っても所詮男と女だ。しかも、それで男は数人いる。力の差というか、もはや勝負にすらなっていない。
 私は今、数人の男に囲まれて逃げ場を無くしていた。場所が人気のない深夜の公園ということを考えると、この後に待ちかまえる私の運命は容易く想像することが出来る。
 男に倒されて一瞬だけ月が見えた。ただ純粋に光り輝くそれを見て、自分の滑稽さにただ笑いたくなった。
 男なんてのは一種の見栄。自分がどれくらいのレベルの女であるかをアピールするためのいわば道具でしかなかった。
 数人と一緒に付き合うなんて事はザラで、金は全て男持ち。自分で言っておいて妙だが、道具というのはかなり的を得た表現だ。
 もちろんそれに見合った行為、例えば腕を絡めたりとかキスしたりとか、少し長い間続いたヤツには体だって許したりとか、そういうことだってしてきた。
 最初は友だちが同じようなことをしているのを見て、そして薦められて。何かと言い寄ってくる連中も居たりしてウザかったけど、遊びで付き合ってくれる人たちが多かったから気軽に付き合えたし、気軽に別れられた。
 だから、それなりに楽しかった。なんだかんだ言って異性と喋ったりするのは面白かったし、金を持ってくれるから好きに遊ぶことが出来たし。
 だから、学校のどこかで尻軽女と罵る声が聞こえても、それはただの負け惜しみでしかないだろ。惨めすぎて言葉も出ない。そう思っていた。
 けれど、こんな状況になって初めて自分の愚かさが身に染みた。今更自嘲の笑みを浮かべたところで遅すぎる。
 私の頬に何か熱いものが流れた。そんなすぐ男をフるなんて、お前には心がないんじゃないか。そう捨てゼリフを言って立ち去っていった元カレもいたが、どうやらそれは間違いだったらしい。
 まだ自分のこれからのことを思って嘆くくらいの心は残っていた。そんな姿をこんなフザけたヤツらに見せたくなくて、馬乗りなられて身動きできない私はせめてもの抵抗として腕で顔を覆った。
 暗い視界の中で、何かが溢れだしていくのを感じる。悔しい。そう思ったが、口元には何故か笑みが浮かんでいた。おそらく、私はもう諦めてしまっているのだろう。


01-596 名前:タイトル未定 :09/01/29 02:38:41 ID:JdSOt1cG
「へへっ……。さあ、観念しやがれッ!!」
「……ッ!」

 ヤツの手が私の胸へ迫る。もう終わりだ。明日から学校へはもう行けないな。
 そう思ったときだった。気のせいだろうか、誰かが走り寄ってくるのが聞こえた。

「お前ら何やってる……ッ!!」
「な、なんだお前……ああ、岸本じゃねえか」

 岸本? 岸本浩樹。ぼんやりと頭に浮かべたその名前には聞き覚えがあった。いや、昔は毎日のように呼んでいた。
 岸本とは小学校からずっと一緒で、中学の時までは一緒に遊んだりした。
 だけど、私が男をとっかえひっかえの生活を送るようになってから、私に声を掛けてくることはなくなった。アイツもアイツであまり積極的な方ではなかったから、たぶん様変わりした私に違和感を感じたんだろう。
 顔はそれほど悪くないが、なにぶんあまり喋らないから、私としてもあまり喋りたいと思う相手ではなくなっていたし。
 目を瞑ってしまってよく分からないが、そんな岸本がそこにはいるらしい。こんな深夜なのに、なんでまた。

「何やってるんだって聞いてんだよ!!」
「ああ? 見て分からないのか? 犯ってんだよ」
「犯ってるって……お、お前、そいつ……」
「ああ、香田咲妃。お前もよく知ってるビッチだよ」

 私の関係ないところで関係のないやり取りがされる。もう自分は終わりなんだ。相手は不良が四人ほど。今更岸本が出てきたところでどうにかなるものでもない。

「お前ら……一発殴って大事にするのは止めようかと思ってたが、気が変わった」
「な、なんだよ」
「完膚無きまでに叩きのめす。尻尾撒いて逃げ出すなら今のうちだ」

 「はっ!」と岸本の台詞を吐き捨てて、私に馬乗りになっていた不良が私からどく。それと同時に、手下と思われる一人に合図を送り、私の喉元にナイフを突きつけさせる。
 今私にナイフを突きつけているヤツを除いても三対一。普通の高校生に過ぎない岸本に勝算があるとは思えなかった。


01-597 名前:タイトル未定 :09/01/29 02:39:27 ID:JdSOt1cG
「俺たちに喧嘩売ったこと、後悔させてやるぜ」
「その台詞。そっくりそのままお返しする」

 「逃げて!」 私がそう叫んだが、その声が届く前に不良は岸本の方へ走り出していた。
 絶対に敵いっこない! 腕っ節にいくら自身があると言ってもそれは所詮一対一でのことだ。喧嘩慣れした不良相手に三対一など、無謀も良いところだ。
 私は怖くなって目を瞑った。次の一瞬には岸本が倒れていると思ったからだ。
 だが恐る恐る目を開けてみると、状況は全く逆だった。

「お、お前……」
「この程度で俺に一発ぶちかまそうってのか? 覚えておけ。いくら頑張ってもアリは人間様には勝てないんだよ」
「て、テメェ……」

 血に倒れ伏した不良が取り出したのは小型のサバイバルナイフ。今度こそ危ないと思ったが、私は闇夜に光るその鈍い光に怖じ気づき、声を出すことが出来ずにぱくぱくと口を開けるだけだった。
 見れば、同じく岸本にやられた手下の二人もナイフを取り出し、その切っ先を岸本へと向ける。

「死ねぇ!!」

 その一言で三人が同時に走り出す。今度こそ無理だ。数秒先には血に染まる岸本の姿を見ることになるんだ。
 今度は度を超えた恐怖心からか目を瞑ることも許されず、ただその戦いをぼうっと見ていることしかできなかった。
 しかし、岸本は彼らのナイフを避け、避け、そして手首を蹴り上げ一つずつ地面へ落としていく。まるで赤子の手を捻るようにいとも容易く三人のナイフを地面に落としてしまった。
 それを見て本能的にヤバいと感じたのか、不良は怯えていたのか、よく聞き取れない捨てゼリフらしきもの叫んで夜の闇夜に消えていった。


01-598 名前:タイトル未定 :09/01/29 02:40:06 ID:JdSOt1cG
「大丈夫か?」
「あ、その……大丈夫」

 未だに倒れ伏して動けない私に岸本が手を伸ばしてくる。
 伸ばした前髪から鋭い切れ長の目が覗き、私の心がとくん、という音を立てる。

「必要ならおぶっていくが」
「そ、そこまでしなくても大丈夫ってか、なんでそんなに…………あれ?」

 いくら立とうとしても座り込んだままで、体が言うことを聞いてくれない。
 初めての経験だが、腰が抜けた、というやつらしい。
 私は恥ずかしくなって、顔を背けた。

「と、とりあえずベンチまで肩かしてくんない?」
「ああ。分かった」

 私の腕が岸本の背中に回され、体が密着したような格好になる。
 腰が抜けていて動けないとはいえ、これでは恥ずかしすぎる。と、そこまで考えたところで何故恥ずかしくなっているのか見当も付かない自分が居ることに気づいた。
 キスくらいはしょっちゅうしてたし、体だって重ねたことがあるし、あんまり大きい声じゃ言えないけど、いわゆる”奉仕”だってしたことがある。なのに、何故?
 そう考えたところでよく分からなくなり、とりあえず深呼吸。少し汗くさい彼の匂いが鼻から全身へ行き渡り、ますます落ち着かなくなる。


01-599 名前:タイトル未定 :09/01/29 02:40:27 ID:JdSOt1cG
「おい」
「ななっなに?」

 うわー、超上ずってるんですけど。

「こんな時間に出歩くんじゃない。これに懲りたらもう夜の外出は控えるんだな」
「は、はい……」

 冷たい口調で罵られ、返す言葉もない私。しまいには涙まで出てくる始末。仮にもクラスメイトの前で、情けないったらありゃしない。
 岸本にハンカチを貸してもらいながら、考える。しかし、初めての経験だった。夜遅くに遊んでいることを咎められることなど。
 親とは半ば決別状態だし、友だちにもこの時間まで遊んでる娘はたくさんいるし、なんだかんだで初めてだった。
 そんな初めての感覚に、私は戸惑いを覚えると共にちらりと覗いた彼の瞳が気になって仕方がなかった。
 隣に座っている彼をそっと見てみると、今までの剣幕はどこへ行ったのやら、掴めない顔をしていた。
 だが、その奥に怒りの炎が宿っていることを、すこしだけ見えた切れ長の目から伺い知ることが出来た。それが自分に向けられているものだと分かり、怒られているのに何故だか嬉しい気持ちになった。
 そんなこんなで、彼は私が落ち着くまで隣で何も言わずに座っていてくれたのだった。変に気を遣われるよりよほど嬉しかった。
 成り行きで持ってきてしまった彼のハンカチ。まだ手元に残っているが、これはどうしたらいいだろう。
 明日洗って返そうか。その時は、お礼にどこかへ誘って―――

 こんな思いを巡らせるのは何年ぶりだろうか。
 そのせいで、この思いの名前に私はまだ全く気づけていなかった。





01-643 名前:タイトル未定 :09/02/02 21:19:55 ID:IezRZJUx
 私は面白くなかった。

「今日は銜えてほしいなー、とか思っちゃったりして」
「えー? ちゃんと洗ったの?」
「当たり前だろ」
「なら、いいよ」
「マジで? やっりー」

 薄暗い部屋の中に裸の男女が二人だけ。この説明だけでもうこの状況を説明するには事足りないだろう。
 笑顔を浮かべながら男のモノを口に銜える。顔に貼り付けるのは偽物の笑み。今の自分の姿は絶対に鏡に映すことは出来ないだろう。

「ほう? ひもひいい?」
「おうっ! く、銜えながら喋るとっ……!!」

 むさくるしい男の股間に顔を埋めながら考える。行為自体は別段キライでもない。むしろ好きな方だ。
 学校でも遊んでるときでもそこまで偽って過ごしているわけではないけど、それでも隠したいことや良い子に思われたいと思うのは自然なことだと思う。だから、無意識のうちにちょっとだけの仮面で日々を過ごして居るんだろう、私は。
 けれど、行為をしている最中はそんなことを考えなくて良い。私も相手も自らの快楽だけを求めているんだ。だから、そんなところで良い子ぶっていてもしょうがないし、そんなことしたらかえって覚めてしまう。
 行為というものをそのままの自分で居られることで有意義に感じていたはずの私だったが、今日は何故だかしっくりとこない。
 イヤでも考えてしまう。あの時彼が見せた怒りの視線を。

「どうしたの? 止まってるじゃない」
「あ、ごめんねー。ちょっと考え事しちゃって。あはは」
「ったく。そんなんじゃオレ覚めちゃうよ?」


01-644 名前:タイトル未定 :09/02/02 21:20:43 ID:IezRZJUx
 何自分勝手なこと言ってるんだ。私が付き合ってやってるだけでお前の都合なんかしらねーっつの。
 そう心の中で毒づきながらも確かに今のは私らしくないと、すぐに思考を仕事モードへ戻す。

「そんなに言うならナカに入れなよ」
「えっ? もういいの?」
「いいの! じれったいからさっさと入れなさいよ」
「じゃ、遠慮無く」

 彼はいそいそとコンドームを付けた後、体重を私にかけて押し倒したような格好になる。
 やがて、彼の見るからにヤンキーなその顔が私の顔の方へ近づいてきた。
 薄い光に照らされた私と彼それぞれの影がやがて一つになり、それが何秒も保たれる。
 深い口づけにいつもなら興奮するはずなのだが、頭は何故だか冷静なままで、湿り気を帯びている股間とはひどく対照的だった。
 その湿った股間を満足そうに眺めた彼は私に気持ちの悪い笑みを向けてきた。睨み付けてはいないだろうが、私の笑顔はかなり引きつっていたように思う。

「なーんだ、キスだけでこんなに濡らしちゃって」
「さっさと入れなって言ってんでしょ」
「へいへい」

 へらへらと気にくわない笑顔を浮かべながら彼の男根がゆっくりと私のナカへと侵入してくる。
 何とも言い難い包み込まれるような心地の良い感触……にはならなかった。私の頭は快楽を貪ろうとは決してせず、彼のチャラい顔をじっと見つめながらただ冷静にこう思った。
 私、何やってんだろ。

「ふあっ……ぁぅ……」
「し、締まるっ」


01-645 名前:タイトル未定 :09/02/02 21:21:20 ID:IezRZJUx
 冷静な頭が真の快楽を得ていないことを告げる。事実、悩ましげな声を上げているこの口は、はっきり言ってしまえば嘘だ。
 援交まがいのことをしている私にとって、これからも目の前のコイツと関係を保っていけるかどうかは死活問題だ。それ故に、表では自分が官能の波に捕らわれていると錯覚させる。
 だが本当の意味で私は満足できていない。そりゃあ行為が終われば「これ餞別ね」と言ってプレゼントや現金を渡してくれるし、財布的には満足の一言だ。
 けれども、性行為という観点で話をするならば私の満足感は全くと言っていいほど得られていないと断言しても言い。
 それは単にコイツがヘタなのか。いや、それもあるだろうが、本心ではこの行為に浸かりきれていないんだろう。だから、頭は冷静なままだし、こうやって揺らされている間もセンチメンタルな気分になるんだろう。

「―――い、イクよッ!!」
「ぅぁああああっっ!!」

 彼はゴムの中で果てたが、私はイッたフリをしただけ。膣を締め上げて声を響かせれば結構騙されるものだ。
 フリなのだから当然情事の後の幸福感など得るはずもなく、私はただぼうっと真っ白な天井を見つめていた。
 ああ、明日は学校だ。ダルいな。
 そう考えてしまうのだから、私にとってコイツとはどうでもいい存在なのだろう。
 ふと、バッグの中に入っているアイツのハンカチのことを思い出した。


01-646 名前:タイトル未定 :09/02/02 21:21:55 ID:IezRZJUx


 あー、タルい。そんな事を考えながらそのままの表情を浮かべて教室に入ると、そこには見知った顔が何人か。その中で茶髪の女の子二人がこちらへ向かって手を振ってくる。
 私はその緩い笑顔にひどく安心感を覚えた。

「おはよー」
「おはよう」
「おはよー、エリにアヤノ」

 エリとアヤノというのは新谷枝理(にいや えり)と岡田綾乃のことだ。エリは中学から、アヤノは高校からの友だちだ。二人とも良き親友で、三人揃ってイマドキの女子高生を満喫している。
 茶髪で活発そうなのがエリで、今は部活をやってないが中学までバスケットをやっていた。そのおかげか体が引き締まっていて私も羨ましい。本人は引き締まりすぎた胸を気にしているようだが、私は充分に可愛いと思う。
 ロングの黒髪で少しお姉さんっぽいのがアヤノ。出ているところは出ているし、引っ込んでいるところは引っ込んでいる。正に理想のプロポーションと言っていい。
 それに加えて話し上手だし、料理上手いし。欠点なんてあるのかな、と思ったらどうもその豊かなブツを気にしているらしい。エリに知られたら殴られるだけじゃ済まされないと思う。
 とにもかくにも、親友達に挨拶を交わした後、席に着くなりその安心感からかべたーっと机に寝そべってしまう。

「昨日もやってきたの?」
「うん。だから体ダルくてさ」
「やめろとは言わないけど、体大事にしなよ」
「ありがとうね。でも、ゴム付けてたから大丈夫だよ」

 そう言って軽く受け流しているが、これだけの話を苦笑いだけですませてくれる友人などそうは居ないだろう。そう言う意味でも私は良い親友を持ったと思っている。
 私がこんな生活を始めたのは中学の頃。親と喧嘩して、家を飛び出して。所持金の無かった私は駅前で途方に暮れていた。そんなときヤンキーの女友達がやってきて、こう言ったんだ。


01-647 名前:タイトル未定 :09/02/02 21:24:04 ID:IezRZJUx
「あたしは金に困ったら体売ってるよ。ああ、別に怖くなんか無いよ。むしろ気持ちいいし」

 そう言ってカラカラと笑ったのを今でもよく覚えている。その後、私はかなりの大金を手にすることになる。もちろん、ヴァージンだということを告げて値段を目一杯まで釣り上げた。
 それからというもの、私の生活は激変した。もちろん学校にもちゃんと行っているし、危ない薬に手を付けたりとか、そういうことはない。
 バイトの延長として付き合ったり、体重ねたり。付き合っていると言ってもかなりドライな関係で、お互いにすぐ別れられるようにあまり情を入れたりしない。
 ただお互いにとってメリットがあるから付き合っているだけであって、そこには愛とか、そういうものはあまり関係ないように思う。
 そりゃあ付き合ってみてドライな関係から一歩踏み出したいと思うこともあるかも知れないけど、今までに一度だってそんな経験はない。そりゃそうだ。私の体目当てに近づいてくる男の器なんてたかが知れてる。
 いい男いないかなーなんて、所詮男は男なんだよ。そう思って諦めている。机に突っ伏したまま「うー」と唸った後、ダルそうな声が自分の口から出た。

「一限ってなんだっけ?」
「リーディングー」
「うわー、一限から斉藤のイヤミ聞かされるのかよ。えーっと、リーディングリーディングっと、あ…………」

 バッグを漁っていたところで私は固まった。

「どしたの?」
「なーに? そのハンカチ」

 そうエリが話しかけてくる。その間も私の体は硬直したままで、脳が思うように働いてくれなかった。
 そこで、さすがに不審に思ったのかアヤノが私のバッグの中を覗きこんだ。私の手にはブラウンにチェック柄のハンカチ。私の持っているものとは明らかに違う。
 お、落ち着け私。昨日岸本に貸してもらったハンカチがただ入ってるだけだ。困ってたところを助けてもらって、その時の顔がちょっとカッコ良かったかなーなんて。
 そ、そういえばあの時肩貸してもらったんだっけ。あれ? そうするとあの時私ってば岸本に体を密着させて、それでなんか良い匂いが…………。

「顔真っ赤にして、ホントにどしたの?」
「……ッ!! な、なんでもないっ!! あっ、ちょ、ちょっとトイレ行ってくるねっ!!」

 嵐のように去っていく私の背中でエリとアヤノが一言ずつ。

「ねぇ、アレ、かなあ?」
「っぽいんだけどねえ。でもあのサキが?」

 なんだかんだ言って失礼な親友二人だった。





最終更新:2009年07月17日 14:24