熱血ハートのサイボーグ ◆10fcvoEbko



G-4の歩道の上をクロはデイパックをずるずる引きずりながら歩いていた。
「ミーくんにマタタビねぇ・・・。ま、こいつらなら放っといても大丈夫だろ」
名簿をながめながら呟く。どうやら知り合いはクロと同じサイボーグ猫であるミー、生身でありながら戦闘面では二人に引けをとらないマタタビの二匹だけのようだ。もしじーさんばーさんの名前でも載っていたときには今頃全力で探し回っていたところだがその心配はないようだ。
それが分かっただけでクロの心は大分軽くなった。
「わざわざ誰がいるのか教えてくれるなんざ親切なこったぜ。他には何かねーのか?」
名簿を戻しデイパックを探る。ごそごそと中を漁るとクロの手が金属の硬い感触を捉えた。
「お、い~ねい~ねぇ。あのヒゲ親爺わかってんじゃねーか」
出てきたのは一振りの日本刀だった。刃物なら普段から扱いなれた武器の一つだ。
クロは早いとこ試し切りをしてみたいと言わんばかりの凶悪な笑みを浮かべて刀を鞘から抜き放った。
「ってボロボロじゃねーか!」
本来なら月光を反射して美しく光ったであろう刀身は錆びだらけで、刃こぼれもかなりしている。これでは新聞紙一つ満足に切れまい。
「・・・ま、いーや。オイラにゃ自前の剣がある。武器はやっぱ扱いなれたもんじゃねーとな」
それでも一応デイパックに完全には戻さず柄だけ突き出しておいていつでも使えるようにしておく。切れずともぶん殴ることくらいはできるだろう。
「にしても、殺し合いね。オイラの周りにゃどーしてこうイカレたやつが多いかねぇ」
異世界やら宇宙人やらジャングルの怪獣やら異常事態には慣れているが、いきなりさらっておいて「殺しあえ」というのは今までと比べても極めつけの部類に入るだろう。
だが、そんな状況にあってもクロは不敵な笑みを絶すことはない。
「お荷物連中はいねーんだし、殺さねぇにしても帰る前にちょっと大暴れしてくぐらい別に構わねーよなあ?どーせならこの会場丸ごとぶっこわしちゃおっかなー」
荒事はクロの大好物だ。命がかかっているというならなおさら暴れ甲斐がある。
「せいぜい骨のあるやつを用意しとけよ?ザコばっかじゃ退屈しちまうからなあ。・・・っても」
そこでクロはそれまでの攻撃的な雰囲気から一転真剣な表情で首もとをさすった。
冷たく光る首輪の感触が伝わる。ご丁寧に溶接までしてあり、普段は自由に着脱可能な首から取れないようになっている。
「この首輪だけは気に入らねーね・・・。オイラ達をどっかに繋ぎ止めておこうなんざ考えるだけムダだぜ」
無理やり強制されたことには反発する。それがクロ達のような猫が生まれ持った性分だ。そのような生き方を貫いた結果が今の機械の体であるとも言える。
「あの髭親爺にもそいつをたっぷり教えてやらねーとなあ。あ、そーだ。ボコボコにしたついでに帰り方も聞きゃいーじゃねーか」
今後の方針は決まった。適当に大暴れして、飽きたら髭親爺をぶっとばして帰る。首輪に関してはミーくんにでも外してもらおうと気楽に考えていた。
「コタローか剛の野郎でもいれば確実なんだけとな。お・・・?」
今まで何もない景色がただ続くだけの歩道の向こうに人影が見えた。
道の脇にぽつんと置かれたベンチに腰掛け、真剣な表情で持ち物のチェックをしている。見た目は二十代前半の茶色のスーツに身を固めた若い女だ。
(やべぇやべぇ・・・。いきなり猫が喋って歩いてるとこ見せたら驚かせちまうからな)
今までを振り返ってみると初対面で喋って二足歩行している自分を見ても意外とあっさり受け入れる奴が多かった気もするが、やはり用心はしておくべきだろう。驚かない奴らが変なのだ。
「にゃお-ん」
四足歩行に切り替えいかにもただの猫、という風情を装って通り過ぎようとする。首輪とデイパックだけでまさか自分が人間と同じように行動できるとまでは思うまい。
女の目の前を通りこのまま何事もなく通り過ぎれるかと思ったところで女が手をとめクロをじっと見つめた。
「にゃ、にゃお~ん・・・」
不審に思われているようだが構わない。このまま歩き去ってしまおう。そう考え、あくまでただの猫の振りを続けるクロの背中に女の柔和な声が響いた。
はっきりと、クロを対象にして声をかけていると分かる声が。
「かくさんでもええよ。しゃべることくらいはできるんやろ?猫の使い魔さん」
「・・・・・・」
ただの猫の演技を続けたままクロは凍り付いたかのように動きを止めた。顔中に大粒の汗がいくつも浮かび心中では「どうしてわかった!?」と疑問の嵐が吹き荒れる。
「何で分かったんや、て感じやな。ふふ、まさか私と同じ首輪付けてデイパック持ってるのにただの猫ちゃんてことはないやろ?」
(だからってそれでなんでオイラが喋れるってことになるんだよ!普通は「猫が参加者?」くらいで流すだろ-が!)
「私の家族や友達にも動物に変身できる子が何人かおってね。だから君みたいな子は見慣れてるんよ。な、お話聞かせてくれへんか?」
(さらっとメチャクチャ変なこと言ってる!?頭おかしいんじゃねえのか、おい!)
「信用してくれへんか?あ、それならも一つ。君、私が声をかけてから固まりっぱなしやんか。私の言ってることを理解してる証拠や。これも条件に追加やな」
(うぉ、しまった!?)
予想外の事態に気が動転してさっきからずっと同じポーズのままだ。確かに声をかけられて立ち止まるなど普通の猫ならばありえない。
(しゃあねぇ・・・オイラの負けだ)
言ってることからはそこはかとなくヤバげな匂いがするが頭が切れるのは確かなようだ。クロは観念のため息を一つつくとただの猫の振りをやめ、二本の足で立ち上がった。
「お、やっと私と話す気になってくれたか!」
女の喜ぶ声を聞きつつクロはゆっくりと向き直る。そして、女に向かって自らを誇るかのように名乗りを上げた。
「オイラはクロ。オメーの言うとおりただの猫じゃねぇ。だが、使い魔ってやつでもねぇ。・・・サイボーグだ。よっく覚えとけ」
口の端をつり上げて、皮肉げに笑った。


「サイボーグのクロちゃんか。そこは外れやったね。失礼しました」
女はクロの正体が自分の予想と全く違っていたにも関わらずそのことを気に留めた様子もない。それどころか律儀にぺこりと猫であるクロに頭を下げた。クロ正直この女の考えてることがよく分からなかった。
「オイラは名乗ったぜ。オメーの名前は?」
「私?私の名前は高町なのは。よろしくな、クロちゃん」
女は爽やかにそう名乗った。
(高町なのは、ね・・・)
「ところでな、そのデイパックから飛び出してる刀、クロちゃんの支給品か?」
クロのデイパックを指差してなのはが聞いた。
「あぁ、そ-だぜ」
「武器を貰えたってことは当たりやった訳やね」
「・・・そうだな。ピカピカに磨かれてっからな。鉄でも何でも斬れちまいそうだぜ」
何となく、嘘をついた。
「へぇ~いいなぁ。私もそういう役に立つ武器が欲しかったわ。刀なら私の趣味にも合うし」
「刀振り回せるようには見えね-がな」
「振り回したりせぇへんよ。眺めるだけ。私、刀剣のコレクションが趣味やねん」
実際今も輝いた視線をデイパックから突き出した柄にそそいでいる。
その目は弟子である鈴木が熱中しているプラモの何とかと言うシリーズに向けるものと同じに見えた。
嘘はないように見える。一見。
「な、おねがい!」
両手を合わせてクロを拝む。その様子は好きなものを目の前にした子供そのままだ。
「別にい-ぜ」
「ほんまか!?」
ぐいと喜色満面の顔をクロに近付ける。
「おーよ。ったくマニアってのはどこにでもいるもんだねぇ。そんなに見てぇな
ら」
その熱意に負けた、といった様子でやれやれと首を振りつつクロはデイパックに手をかけた。
「好きなだけ拝みやがれ!」
そしてそれを思い切りなのはと名乗った女の顔面に投げ付けた。
「わぷ!?」
視界を奪った一瞬の隙に左手の愛用マシンガンを取り出す。
「あんまりオイラをなめんじゃねぇぞ!なのはなんて名前は名簿にゃねぇ!怪しすぎんだよてめぇは!!」
叫び一気にマシンガンを発射する。弾丸の嵐が女に降り注ぎあっという間に蜂の巣に。
「あれ?」
しない。弾は一発も発射されていなかった。
「あれ?あれ?」
左手を見る。そもそもマシンガンが無い。
「え?マジかよ?オイラの剣は?ミサイルは?」
試しに腹の中を探って見たがどこを探してもいつも使っている剣がない。全身のミサイルの発射口を開け閉めするが弾は一発も装填されていない。
「手持ちの武器は全部没収されてるみたいよ?」
「うお!?」
武器を探してあたふたしてる間に立ち直っていた女からやんわりと声をかけられた。クロは慌てて身構えたが女は何をするでもなくそれでどこらか両手を上げて降参のポーズを取っている。
「まいった。降参や。まさかミサイルまで持ってるとは思わんかったわ」
「何なんだよオメーはよ・・・」
武器を奪おうとするかのような言動をしながら隙だらけのクロに何もしない。それどころかあっさりと降参する。本当に訳がわからない。
クロが混乱していると女がさらにそれを助長するような事を言った。
「騙すような事をして悪かった。謝ります。私本当は八神はやてと言います。時空管理局本局、古代遺物管理部機動六課の部隊長をしていまった。」
「はあ?」
混乱の極みに達したクロに構わずはやてはクロ両脇から抱え上げた。
そして、意志の強さを感じさせる瞳で真っ直ぐクロの目を見て言った。
「クロちゃんのその度胸と能力を見込んでお願いがある。私と一緒に主催者を逮捕するための仲間になってほしい」


「つまりオメーはオイラがさっきみてぇな嘘にほいほい騙されちまうような奴か試したって訳か」
混乱を脱しはやてから懇切丁寧な謝罪と解説を受けたクロはようやくそこまで理解した。
「そう、そうしてクロちゃんがどの程度用心深く頼りになる人物か見るつもりやった」
クロが悪趣味だぜと呟くとだから悪かったって言ってるやんと笑顔で返された。
確かに謝罪の言葉はさっきいやというほど聞かされてがクロにはそれすらも計算ずくのように感じられる。
「もしオイラがコロっとだまされてたらどうしてたんだ?」
「そのときはお説教の後でクロちゃんを保護してたな。知らない人の言うことを簡単に聞いちゃいけませんよって」
「よく言うぜ」
「ちなみにさ、どの辺りで怪しい思った?」
クロの皮肉をまるっきり無視してはやてが顔を向ける。ちなみ今は二人並んでベンチで歓談中だ。
「そりゃ、名簿に無い名前聞かされりゃだれだって怪しいと思うだろ-よ」
「あ、もう名簿を把握してるんか。さすがやね」
「刀好きが嘘ってことまでは分かんかったけどな」
「ほんま?私の演技力も捨てたもんじゃないな~。でもクロちゃんも中々やった
よ。私すっかり騙されてたもん」
言いながらはやてはクロの支給品の刀を鞘から取り出す。もちろん刀身はぼろぼろだ。
「そ-かい。オイラのえんぎりょくもすてたもんじゃね-な」
はやての言うことを平たく言うとはやての仕事は色々な世界の管理と取り締まり、ということになる。
そしてそこでの規則に明らかに抵触しているあの髭親父を逮捕し、この事態を収拾するためにクロ協力しろという。
もちろん犠牲者は最小限に留める形で。
はやての言う魔法や使い魔についての説明も受けたが「そーいう力がある」程度しか理解できなかった。
異世界移動の経験があるクロにしてみれば七信三疑といったところだ。
ただもしそんな組織の存在がが本当なら焚き火にミサイルをくべただけで移動してしまうような緩い世界管理は止めてくれと思う。そう不満を述べたときの絶句しながら「ご、ごめん…」と言ったときのはやての顔は少し見物だったが。
「それでや。さっきの話に戻るけどどうや?私達の仲間になってくれへんか?」
「・・・・・・」
クロは答えずにベンチからぴょん、と飛び降りた。
思案顔でウロウロと歩き回りたまに頭をぼりぼり掻く。
そのような行動をしばらく繰り返した後クロははやての真正面でぴたりと立ち止まった。
「一つ聞かせろ」
「何?」
クロが指を突き付けながら告げ、はやても真剣な表情でそれに応える。
「さっきオイラは割とマジにオメーを撃つつもりだった。そういう風にしなきゃこっちの命が危なくなるような生活が長かったんでな。ま、そいつはオイラが間抜けだったせいで失敗しちまった訳だが」
一息つく。はやては神妙な面持ちでクロの言うことに耳を傾けている。
「それはそれとしてだ。つまりオイラが言いたいのは、オメーが最初に声をかけたのがオイラよりもっととんでもねぇ奴だったらオメーは殺されてた可能性もあるってことだ。そんときゃオメーはどうするつもりだったんだ?」
クロはそこで顔を上げ、ほとんど睨み付けるかのように細められた目ではやてを見据えた。
「えぇ?もしオイラがミサイルの雨を降らしてたとしたら、オメーは一体どうしてたんだ?」
低い声。恫喝するかのような調子でクロははやてに質問した。
「そのときは」
はやてが答える。
「そのときは私は、木っ端微塵になってたやろうね」
何の誤魔化しも衒いもなく、はやてはそう答えた。危険を侵してでもやらなくてはならないことがある、はやての顔はそう言っていた。
「・・・・・・」
クロはその答えを聞き。
「・・・・・・っ」
しばらくは黙っていられたのだが。
「・・・・・・ぷくく」
やがてだんだん我慢できなくなり
「ぶひゃーーーはっはっは!ひゃああーーーはっはっは!ちくしょ~、腹いて~~!!」
ついには大笑いしながら転がり回った。
「ちょ、ちょっと。人が真面目に答えてるのに笑うことないやろ!?」
「い、いやこれが笑わずにいられるかよっ!いいねぇ、いいねぇ!女はやっぱそれくらいの度胸がなくっちゃあなぁ!あ~~っはっはっは!」
地面を叩き腹をかかえて涙を流しながら、クロはたっぷり十分ほどそうして笑い続けた。


「あ~疲れた。いや、本当にナナの奴にも見習わせたいくらいだぜ。あ、何かまたおかしくなってきた、ぷぷ」
「クロちゃん笑いすぎ!」
再び笑い始めたクロをはやてが叱った。多少照れているようにも見えた。
「と、とにかく。OKしてくれたって事でいいんやな?」
「おうよ。つまりはあの髭親父相手に派手な喧嘩をおっぱじめようってんだろ?好きだぜ~、そういうのはよ」
クロはこれから起きることが楽しみで仕方がないといった様子である。
「帰り道も確保してくれんだろ?」
クロははやてからここがクロのいる世界とは違う可能性が高いという話を聞いていた。
「もちろん。脱出に成功したらみんなは私達時空管理局が責任をもって家まで送りとどける」
じゃあ、とはやてが手を差し出した。
「これから私たちは志を同じくする仲間や。よろしくな、クロちゃん」
「おう」
クロも手を出し二人は互いの手を打ち鳴らした。
パンという軽快な音が響いた。


その後の情報交換は滞りなく進んだ。
「え~スバル、ティアナ、エリオ、キャロが部下。シャマルがはやての・・・守護騎士ってのか?それ兼家族。・・・にしてもはやての部下って殆ど子供なのな」
「それを言われると心苦しいとこもあるんやけど、皆誰かに言われたからじゃなく自分の意志で私についてきてくれてる。年齢は関係ないよ」
「ふ~ん、若ぇのに立派なもんだ」
「全くや。じゃ、クロちゃんの知り合いはミー君とマタタビ君の二人やね。ミー君はクロちゃんみたいなサイボーグでちょっと青みがかってる。マタタビ君は片目の無いトラネコ。これでええか?」
「・・・オイラの方が覚える量多いな」
まぁマタタビがサイボーグではなく、大工達に飼われる間に言葉と大工仕事を覚えただけのただの猫だと聞いたとき一瞬浮かんだはやての「・・・何それ」という表情でちゃらにしておく。
そこでクロは、はやての支給品について何も聞いていなかったことを思い出した。
「私?私のは何か派手なマスクが一つだけ」
見せてもらうと黒赤黄の三色に鋭角的な触角のようなものを付けたマスクだった。
「ほんと派手だな・・・」
「やろ?説明書には『レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク』って書いたるだけやし」
「そのレインって奴の趣味を疑うぜ・・・。それにどの辺がネオなんだよ」
「この触角のあたりちゃうかな?」


今後の行動方針を決めるに段になって、クロから一つ提案をした。
「別行動をとる?」
「ああ。今決めたオイラ達の方針は、お互いの知り合いを探す。
協力してくれる仲間を増やす。
戦ってるやつらがいたらよっぽどでなけりゃ止める。
この三つだ。オイラ達はもう互いの知り合いは分かるしろくに武器の無いオイラ達じゃ一人でも二人でも戦力的には大差ねー。あるのはクソ度胸だけだ。なら別々に行動した方が仲間も増えやすいだろーぜ」
「・・・確かに、危険を覚悟の上で可能性を増やすっていう意味なら一理あるかもしれん。」
「そりゃオメーの得意技だろ?」
茶化し口調でクロが言うとはやてはむっとしたように頬を膨らませた。
「からかわんといて。でもそれやったら合流場所はどうするん?」
「いらね-よ」
「え?」
「こんな狭い会場で同じ目的持ってドンパチやらかすんだぜ?派手にやってりゃいやでもその内合流するって」
地図を広げてクロはどうだと言わんばかりにニヤリと笑った。
はやてはその大雑把な提案に苦笑しつつ一方で納得もしていた。
「確かにこんな状況じゃ正確な時間と場所を決めてもトラブルが起きて辿り着けん可能性は高い・・・。せやったらこうしよう」
地図をベンチの上に広げ二人して覗き込む。
「私はこの神社からH-4の神社からこのベンチに来たんや。せやから今私たちがいるのはG-4の南部やと考えられる」
地図上の地点を指差しつつはやてが説明する。
「そこで私はこれから西回りでB-2の観覧車を目指す。クロちゃんは東周りで同じく観覧車を目指す。寄り道は自由。会えへんくても臨機応変に対応する。どや?」
クロの意見を柔軟に取り入れた提案に不満のあるはずもない。
「おっけ~。へへ、一人なら思いっきり暴れられるぜ。勢い余って誰か殺っちまうかもな~」
「あかんよ」
はやてはクロの額を指でピン、と弾いた。


そして最後に、どちらかが互いの知り合いにあったときに、クロとはやての二人が仲間であることを証明できるように。互いの名簿の裏にメッセージを記した。
はやては『この猫さんは私達の心強い仲間です。六課の隊員は彼と協力するように』
と書いて署名した。
クロは『このね-ちゃんに協力すれば愛しのゴーのとこに帰れるし、うまいもんもたらふく食えるぞ-』と書いて手形を付けた。
「これでよしっ、と。じゃ、後もう一つだけ決めとこうか」
メッセージを書き終えるとはやてはそう言った。
「なんだよ。まだ何かあんのか?」
「これで最後や。例えば私の仲間になった人が私とはぐれた後でクロちゃんと会ったとする。でもクロちゃんにしてみればその人がほんまに私の仲間かわからへんやろ?そんなときのために合言葉を決めておこう」
「『クロちゃんサイコ~!』とかじゃ駄目なのか」
クロが面倒くさそうに言った。
「う~ん、まぁそれでもええんやけど・・・。もっと直接私達とつながりのないような言葉がええかな」
苦笑いしつつ何か無いかとキョロキョロ辺りを見回す。
さっき支給品を確認したときから出しっぱなしにしていた派手なマスクが目についた。
「これにしよう!」
はやては手を打つとマスクを手に取りクロの目の前にずいと突き出した。
「これって・・・この趣味のわりーマスクがどうしたんだよ」
怪訝そうな顔ではやてを見上げる。
「このマスクの事は私達しか知らん。せやからこれにちなんだ合言葉にしよう。ん~、そやなぁ・・・」
はやて先程のクロのように考え込んだ。だが程なくして何か閃いたのか顔を輝かせた。
「そや!『ネオドイツの女』にしよう。今から私達は『ネオドイツの女』や。ええやろ?」
「・・・まぁ、いいんじゃね~の。それっぽい気がする気がしない訳でもねーし」
クロは正直微妙なラインだと思ったが他に代案もないので黙っておくことにした。


全ての準備を終え、二人はそれぞれの方向へ歩き始める。
はやては決意に引き締められた凛とした表情で。
クロはこの先の困難を待ち望むかのような挑発的な笑みで。
「それじゃ、また後でな。クロちゃん」
「おう。オイラより遅れんじゃね-ぞ、はやて」

別れの言葉は、それだけだった。


【G-4 歩道脇のベンチ 1日目 深夜】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:良好 少しハイになっている。
[装備]:錆びた日本刀@機動武闘伝Gガンダム
[道具]:支給品一式
[思考・状況]1.はやてとの約束を守りつつ東回りに観覧車へ
2.せいぜい楽しませてもらうぜ~
※クアットロを除く【魔法少女リリカルなのはStrikerS】の参加者の容姿と概要、及び時空管理局、なのは世界の魔法に関する(クロの理解の範疇での)知識を得ました。
※全身の武器は全て没収されています。
※参加時期は本編終了後

【G-4 歩道脇のベンチ 1日目 深夜】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:良好 強い決意
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク@機動武闘伝Gガンダム
[思考・状況]1.クロとの約束を守りつつ西回りに観覧車へ
  2.必ず主催者を逮捕する。
※【サイボーグクロちゃん】の参加者と容姿と概要に関する知識を得ました。
※参加時期はクワットロの名前を知る前(本編24話以前)、ということ以外不明です。


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クロ 056:黒猫とガンマン
八神はやて 052:銀鉱少年と魔法少女(?)





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