extra SHOT 『EL FIN ~人、生、あるいは――未亡人~』 ◆hNG3vL8qjA



ボクは知らなかった。
ささいで、どうでもいい予定だと思っていたから。
"コタローくん、すぐ帰ってくるよ"――と、ハカセが言ったから。

あの装置の完成で、すっかり気が緩んでいたんだ。
だからボクは、1人でお留守番していた。

"戻ったら一緒にクロちゃんを助けに行こうねハカセ!"

どうして。

ハカセ、ボクにはわからないよ。こんなの、あんまりじゃないか。
どうして一緒に連れて行ってくれなかったの?
あそこにいた他のみんなも、知ってたんだね? ボクだけ除け者にしてさ。

ボクを元の世界に戻すなんて、ひどいよ。

残されたボクはとっても寂しい。
怒りたくても、怒る気がしない。


この別れに、すがすがしさなんてあるもんか!


【"サイボーグクロちゃん"――――天才少年コタロー】




「――これをお渡しするように、と……ハカセは」

剛万太郎ハカセのデジタルレターを受け取ったのは、クロちゃん達がいなくなってから一週間後。
ツーンとふんぞり返りながら、ニャンニャンアーミー5匹が、ごみ捨て場にやってきた。
ボクとミーくんとハカセの家がごみ捨て場にあることを、彼らは知っている。ハカセと縁を切っていたロボットだから。

聞くまでもなかった。アイツらが来るときは、決まって揉め事がついてくるんだ。

嫌な予感がしない奴なんていない。
おそるおそる箱を開けると……中にはレターがあった。

『君に真実を伝えるためだけに、私はこの映像を撮っている』

それには、異世界からのハカセの報告が克明に記録されていた。
クロちゃん達3人に何が起きて、自分が何をしているのか。
ボクとハカセを招いたあの異世界の人たちが何者なのか。
彼らは何を企んでいたのか、その"本当の目的"のことも。
ハカセがボクを元の世界に先に帰すように頼んだから、ボクは無事であること。
そしてボクの他にも、ボクが住む世界に"運ばれた物"があるということも。

ハカセは全てを話してくれた。

『見終えたら誰にもわからないように始末してくれ。出来れば、"あれ"も処分してほしい』

多元宇宙を巻き込んだ大戦の結末がどうなるのか、ハカセにはわかっていたんだ。
敵も味方も関係なく、とてつもない被害だけが残されるだけ。99%の兵が死んでいくと。
だから通信が傍受されているのも承知の上で、メッセージを送ってくれた。
ハカセも死にそうな姿だった。どうすることも出来ないって顔をしていた。

『帰りを待つ皆を支えてあげられるのは、コタローくんだけだ……ワシじゃない。寂しいなぁ』

その日はニャンニャンアーミーを帰し、ナナちゃんにもジムにも話さず、黙って寝た。
次の日、ボクは久しぶりに出かけた。
ボクとハカセの間には秘密の合図がある。"あれ"はきっと、ハカセの昔の研究所に仕舞い込んであるモノのこと。

「こっちだ、ついてこい」

ニャンニャンアーミーはボクの侵入を拒むことなく、いつの間にか案内役になっていた。
素っ気無い態度だが、昨日のことを考えれば、ハカセはきっと彼らにデジタルレターで連絡していたのだろう。
今はニャンニャンアーミーの寝床になっている研究所で、ボクは久しぶりにそれと再会した。

次元移動装置。

ボクたちは一度だけ、自分の住む世界とは違う世界で冒険したことがある。
その砂だらけ異世界から元の世界に帰るとき、ボク達はこれを使ったんだ。
適当に配線を調べてみる。念入りにメンテナンスされた後があった。内部には大量の設計図が散らばっていた。
ハカセがこの世界に送り込んだ物は、おそらくこの設計図の山。
異次元大戦でもこの技術は使われたのかもしれない。

「元々ハカセは、ちょくちょくこの装置を見にきていました。我々アーミーはみんなでガン無視してましたけど」

ボクとハカセは、一度この装置に乗って多元宇宙の狭間に行ったはずなのに、装置は無くなっていなかった。
ということは、ハカセとボクが乗った装置は、これの複製品だったんだろう。
おそらくあのチューンナップもこいつにしてるんじゃないかな……。

「こいつとそっくりなマシーン、何台も作ってましたよ。残っているのはコイツだけですが」

忠誠心を失ったニャンニャンアーミーの目線にもくれず、ハカセはずっと前からメンテと調査をしていたのかな。
たった数時間であの次元移動装置のメンテを行うなんて不可能だし、事実なんだろうけど。


「こんなの、作る、暇が、あるんだったら……少しは、私たち、にも……サービスを……グス」

ボロボロと涙を零すアーミーたちに、ちょっぴり同情しながらも、ボクは何も答えなかった。
アーミーたちはボクと違って、リアルなハカセを目撃した最期の知人。
大切な人の最後の触れ合いを、つまらない形で終わらせてしまったアーミーズ。
彼らにかける言葉なんて、今のボクには見つからない。

ボクは何も言わず、次元移動装置に乗り込んだ。
無論、このマシーンを使うためだ。

次元移動装置があれば、あらゆる世界に飛べる。
辛い過去に会うこともなく、自分が生きている世界。
世界征服を成功させて、世の中丸ごとぶっ壊した自分がいる世界。

ハカセ、ボクはこの装置を始末しないよ。
このまま黙って見てるだけなんて、ボクには出来ない。

この装置で、ボクは"ボク"に会いにいこう。





知ってますか?
世間であなたが何と呼ばれているか。
1人の女生徒と駆け落ちして蒸発した問題教師ですって。
笑っちゃうわ。
普段のあなたを見ている人なら、そんな発想が出るわけないもの。
生徒の失踪に責任を感じて、自分の命を……なんて真似もできないクセに。

早く帰ってきてください。
新井先生、へ組の勤務時間がそろそろ本業のトータルを越えそうです。
みんな期待してませんよ?
期待しているのは、私だけ……ふふふ。ふふふ。ふ……

…………意気地なし。

後ろ向きで、小心者で、勘違いをさせちゃって、嫌いになれない

あなたは、とっても面倒くさい人。


男って馬鹿ね。


【"さよなら絶望先生"――――2年へ組 常月まとい】




「新井先生、糸色先生と――ちゃんは両思いだったの? 」
「糸色先生はそんなタマじゃないわね。彼女は本気だったのかもしれないけれど」

生徒のカウンセラーを幾度もこなしていけば、こんなこともある。
カウンセラーの世間話を逆に患者に聞かせるアプローチ。
私は患者の少年に"あの人"にまつわる愚痴のようなものを、聞かせているのだ。
嫌な気はしない。大事なことは、本人が意欲を持って人と繋がろうとする傾向が現れること。

「ボクもそう思う。だって糸色先生は"みんなが大好きなんです"って言ってたもん」

今日の患者は常連の男の子。世間と認識がズレているわ。
いきなりやって来て"あの人"を遠方で見かけたと言い張るんだから、つい気を許しちゃうわね。
こんなにハツラツとしているのに、あんなニュースを聞けば、悲しみで一杯にもなる。
事件当時に名乗り出なかったから、口から出任せを言ってるのかもしれないのけれど。
でも"あの人"を慕っているには変わりはない。その感情は……きっと真実。

「せんせーは、いつ帰ってくるの? 」
「ノゾム、何か言ってなかったのかよ」

どういうわけか、最近はこの子たちも一緒に話に参加するようになった。
まったく。あなたは本当に無責任。
残されたみんなが、どうしてるかも知らないで。
あちこち徘徊したり、殴ったり、掘ったり、背伸びしたり、謝ったり、怪我したり、描いたり、脱いだり。
……いつも通りだと思う? 時折、涙を流しているというのに。

「新井先生、例えばの話だけど、ボク聞いてもいい? 」
「……あ、えと。何かしら」
「もしもこの世に、全く同じ人間が生きている2つの世界があったとするよね」
「ハイハイ"なんだってー"、"なんだってー"」
「主人公はどっちの世界も同じ人なんだけど、選べるヒロインは1人だけなんだ」
「風呂ーラとBeerンカ? 」

お酒を飲んだら風呂に入れないでしょう。小森さん、発想が古いロトよ。
交くんも呆れるのは勝手だけど、その顔は止めなさい。ギャラ100万$のミステリー調査班長Aになってるわよ。
風呂に入った後ならお酒も飲めるけど、両方とるのは道徳に反しそうね。

「でもメインヒロイン候補A、Bはある日突然いなくなっちゃうんだよ」
「Aルートのヒロインは感情欠落を装った、なんちゃって電波キャラだな。きっと偽名を使った女スパイだ」
「Bルートのヒロインは完璧超人。きっちり束縛できなかったから、諦めて離婚した」
「……問題は主人公も両方いなくなっちゃうんだ」

ぴしり、と私の何かに亀裂が走ったような気がした。

「駆け落ちしたのね」

無意識に言葉が出てしまった。
……哀れね。どこまでいっても、例え話でしかないというのに。
あの報道はただの世迷言。そんなはずはないと信じている。
あたしが、この子の話に"あの人"を重ねていたなんて。
どうしてこんなことを口走ってしまったのかしら。

「本当にそうかな」

私は何も答えない。
こうして今日も日が暮れてゆく。
彼のやってくる日に、奇妙な楽しみを覚えたせいか、私の心は少し変わった。
私の心に染み渡る、悪戯に時間を浪費する寂しさは減った。

「ボクは違うと思う」

でも、それだけ。
私の世界が大きく変わることはない。
私には変えることができない。

「そんなの寂しいよ、先生」

きっと。






ヘッヘへ~~どうだい、このタキシード決まってるだろ!?
少林寺を盛り上げるためには、こういう異文化を嗜むことも疎かにしちゃいけねぇ。
みんなで神輿担ぐんなら、もう国だの家柄だの言ってる場合じゃねーんだ。
せっかく叶った少林寺の再興なんだ。もう一回沈むのはゴメンだね。
あのガンダムファイトのおかげで、他国からの入門者がワンサカ来たんだ。
規模がデカくなりすぎたから急遽、俺が師範代だぜ?
あの頭の硬かった連中の仕業とは思えねぇ~。
だが乗りかかった船だ。大事なのは心と心! 拳で語れば立場を超える!
俺はガンダムファイトでいっぱい学んできたんだからな。

――っとと、いけね。じゃあまた後でな~~!



【"機動武闘伝Gガンダム"――――少林寺師範代 サイ・サイシー】




「ようやく最後の1人が来ましたね」

バタバタとけたたましく響く足音。
ベッドに横たわる私の下に、最後の客がやってくる。
私の夫が絆を交わした、誇りある同盟者。

「おいィ? 随分と遅いんじゃねェかサイ・サイシー! こんな大事な日に遅刻とはな。
 俺が許しても、レインの寿命がストレスでマックスになっちまうぜ!? 」

私の右隣のイスで足を組んでいる彼も。
私の左隣で凛と立つながら微笑む彼も。
この日のために世界中から飛んできてくれた。

「ゼハァー……悪ィ悪ィ! レイン、おめでとさん! ハヒィー、ちかりた……」
「シャリーたちが、下で立食パーティの準備を始めてるぜ。チャイニーズ・グルメ、手伝ってきなァ! 」
「あいよガッテン承知~~! 」

私と夫の最愛なる子供の誕生。
その祝福のために、夫の戦友4人と、その取り巻きのみんなが、この場所に。
産後の日立ては良好。今日は外出の許可が降りた初日。これほど嬉しいことはないわ。
あの激闘が起こる前は、こんな事になるなんて思いもよらなかった。

「らしくないですね、一番張り切っていた彼が遅刻とは」
「ドモン・カッシュの捜索」

この大切な時に、一番そばにいてほしい人が、いないことも。

「Oh! それは言っちゃならねぇぜアルゴ~~あ、Sorryレイン……」

私の夫、ドモン・カッシュが姿を消して何ヶ月たっただろうか。
行方をくらます前日に交わした口付けの感触は、まだ私の唇に残っている。
どこにいるのか、無事なのか、どうして帰ってこなくなったのか。
仲間があらゆる情報網で探しても、あの人を見つけることは出来なかった。

「流派東方……王者(チャンプ)の風は、どこへ靡いているのやら」

当ての無い旅に出たとは思えなかった。
彼と時を同じくして行方不明になったアレンビー・ビアズリーやウルベ・イシカワ。
この偶然を偶然で済ませる人は誰もいなかった。でも、今のところ世間では何も起こっていない。
私の元に舞い込んだモノと言えば――あの人を慕う声。

「――レインさん! サイのアニキが"そろそろ料理が完成する"って! 早く食べよう! 」

あの人の武勇伝が、この子と私と、私の子を繋いでくれた。
何もわからず悲しみに暮れていた日々。
皆が遠慮して私と距離をとっていた中、門戸を叩いたのはこの子だった。

"お姉さん、ドモン・カッシュのお母さんだよね! ……あれ? 奥さんだっけ!? "

都市部から離れた山奥に住んでいると言ったその子は、私の夫に命を救われたと訴えた。
無論、いきなり受け入れることは出来なかった。あれほど探し回ったのだから。
でもこの子の一報は、立ち直る切欠になった。
少年の幾度にわたる来訪を迎える内に、ドモンを探す日よりもドモンを待つ日が増えた。

「来たなァBLACK CAT!? だが落ち着け、まだ慌てる時間じゃない」

世界中を飛び回っていたせいで、私はお腹の子に危うい負担を強いていたのだ。
あのまま無理をし続けていたら、私もこのお腹の子も――。
ドモンが帰ってきたとき、私たちはどんなに悲しい顔で迎えていただろうか。
彼の親兄弟のように、冷たい肌を晒していたかもしれない。

「わかってるさ! ボクたちは"イタダキマス"がReady Go……でしょ!? 」
「いいセンスですね。少年の純粋さが、ズレたユーモラスに息吹を与えている」

ドモンはきっと生きている。
あの人はきっとどこかで、今日も誰かを助けている。
この子のような無垢な少年たちを救い続けているんだわ。


「ありがとう。みんな、私たちもそろそろ行きましょう」




泣く子も黙る王ドロボウ。奪うものは人の心から星の瞬きまで。
ガキの頃はそんな義賊みてーな輩に憧れたもんさ。そんな俺も今じゃ酒に溺れるケチな泥棒だ。
ここにはそんな野郎がウジャウジャいるぜ。
お偉いさんは、この街を皮肉ってこう言うんだ――。

……あぁ!? そうだな。そっから話そう。
いいか? 王ドロボウは何でも盗む。それは知ってるよな。
ある日、どっかの売人が笑って言ったんだ。
"アイツの夢玉が詰まった宝箱は一体どこにあるんだろうな"ってよ。
風の噂を聞きつけて、"そこ"に三流が集まった。
王ドロボウの名を語り、二流が甘い汁を吸おうとした。
巨大なマーケットにしようと、一流が嗅ぎつけやがった。

いつしかこの街は、ドロボウが暮らす集落になっちまったんだ。
でもお誰もここを潰そうなんて考えないんだな、これが。
色々、裏があるんだぜ。噂じゃ花園都市、色彩都市、日出処の王国……盗電団も関わってるそうな。
……ドロボウの都? あんな片田舎と一緒にしちゃいけねぇよ。
あそこに監禁(す)んでたダブル・マーメイドも、この街に引越したみたいだぜ。
やってることは、何も変わらねぇんだけどな。


『王ドロボウの都』なんて、よく言ったもんだぜ。



【"王ドロボウJING"――――送り狼(センディング・ウルフ) ギンジョウ】






「さぁさぁ!この金属で出来た丈夫な糸! 王ドロボウ印が付いたブーメランとセットでどうだい! 」
「王ドロボウが冥界の皇子から奪い取った毒薬。こんな豆粒でも虎はコロリ逝くぜ」
「焼肉王ドロボウの都店、ただいま2時間9分待ちで~~す」
「3人の王が聖なる杯で交わす伝説知ってアルか?なんとその1つがここに……」
「百合の香りが染み込んだシーツ、お買い上げアリガトゴザイマー……HEY、お札! YOUちゃんと枚数チェックしてYO! 」
「どんな缶でも一秒で中身を抜き出せる魔法の缶切りだぁ! ドロボウなら時"も"金成りだろぉ! 」
「王ドロボウモデルのコート。今年は深紅と黄のマーブルが彼のマイブームかしら」

有象無象に飛ぶ商人たちの口八丁。今日もドロボウたちの宴は続く。
その馬鹿騒ぎから、少し離れた一画。そこには、この無法地帯で唯一法が適応される酒場がある。
"カシスちゃんに手を出したら死刑"、"カシスちゃんに惚れたら無期懲役"が合言葉。

「ねぇカシスさ~~ん、ジンって昔はどんらガキらったの~~? あんたも恋の終身刑もらっちゃった~~? 」
「カシス様! 私は見たんです! 流れ星みたいに飛んで黄金から逃げる男を! あれは間違いなく王ドロボウなのです! 」
「ハイハイ、それよりツケを先に払ってね」

"心を奪われた"とのたまう自称・愛人。"この目で見た"と自慢げに話す自称・知り合い。
後から後からやってくる客をいなすのを、私はどれだけ繰り返してきたのだろう。
アイツが戻ってくるはずがない、と待ち続けて……もう。待つのに疲れた身の気持ちも考えて欲しいわね。

「カシスおねーちゃん、王ドロボウって本当にいるの? 」
「さぁ、どうかしら……アイスミルクでいい? 」

この獣のほっかりむりを着た少年も、大事なお客様の1人。
去るものは追わず、来るものは拒まず……それがウチのモットー。
村はすっかり大きくなり、私が子供のときとは比べ物にならないほど、広く、高くなっていった。

「――その答えを届けるのが、俺の仕事だ」
「あらポスティーノ、今日は非番(プライベート)かしら」
「さしずめ有給休暇ってとこさ」

何度も親しく接していたわけではないけど……彼とは長い付き合いね。
安いヘルメットに古ぼけたゴーグル、だぶだぶしたドドメ色のコート。世界を駆け回る郵便屋には、とても見えない。

「やっと見つけたよ、おじさん! ボク、王ドロボウにどうしても会いたいんだ」
「生憎、人間は重量オーバーでね、封筒に入るような子供じゃ、将来切手にも載れないぜ」
「じゃあこの手紙! この手紙を王ドロボウに渡して! お願い! 」

手紙、か。そう言えばジンに手紙を書いたことなかったな。
あいつとそんなハイカラなやり取り、もう少ししておけば良かったかな。

「わかった、引き受けよう」

……いいや。違うわ。この後悔は嘘。
私、本当は考えていたの。ただ、動かなかっただけ。ジンを気にかけて、動いた気になってただけ。
ポスティーノなら、絶対にジンへ手紙を届けてくれるだろうから。
"返事がきっと返ってくる"。そんなわかりきった答えを、しなくてもいいやって。

「お姉さんもどう? やろうよ! グリーティング・カードメイク! 」

そうよ、これでもう何度目かしら。
毎日毎日、同じように悩んで糸口を見つけて解釈していく。
でもその糸は使い捨ての勿忘草。だから私は今夜も馳せる。

「あそこのズッコケ三兄弟呼んで来て。皆でまとめて、出してやろうじゃない」

愛する人への、切なる思いに。

「こういうのも、悪くないわね……」

今夜はたまたま『行動が伴った』だけ。



あー……めんどくせー……めんどくせー……。
ケツがかゆいなぁ……身体をかくの、めんどくせー……。
穴掘らなきゃな……掘るの、めんどくせー……。
クソすんのもめんどくせー……息するのもめんどくせー……。
あーそろそろ起きねーと……やっぱめんどくせー……。
なーんにも、できねー……つーかやる気が起きねー……。
めんどくせー……めんどくせー……。

あー……なーんでこんなことになっちまったんだー……?

……ま、いいや。めんどくせー……考えるのもめんどくせー……。



【"天元突破グレンラガン"――――南ドッカナイ村出身 漢 バチョーン】





ピピピピピッピピピッピピッピピピピッピピピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピピ



『大量消失被害における、直接的影響を受けた並行世界、その現状調査結果』



ピピピピピッピピピッピピッピピピピッピピピピピッピピピピピッピピピッピピッピピピピッ

『神行――――エージェント――おそらく単独で――上海――失敗――――――』
『――高校―年生――単独で拉致――糸色―――生徒を捜索し――失踪―』
『――高校――生――糸色望と同じく――――世間は両者を―――――――――』
『糸色望――高校教師――と同時に被害を受け――親しい――接触成功――』

ピピピピピッピピピッピピッピピピピッピピピピピッピピピピピピピッピピピピピッピピピピ

『アレンビ――――ドモン――同世界――ウルベ――世間は――恐怖―――――』
『――――ゲルマン―――死亡――詳細不明――弟と同じく――捜索中に―――』
『――不敗――――単独で拉致被害に――弟子の敗北――地球は崩――――――』
『ドモン――ストップ――と――ガンダム――世間は行方不明――妻と――成功』

ピピピピピッピピピッピピッピピピピッピピピピピッピピピピピピッピピッピピピピピピピピ

『ヴィラルは単独で――現状は大きな変化は無く―――カミナ―働―――――け』
『―ア―――同じく単――グレン団――崩――シモ――フラ―――グ―――折れ』
『――コ――やはり―独――団は暴走――――粉砕――――玉砕――大火災――』
『カミナ――大きな―痛―――チミ――負―る―――アッ――死――恐怖―――』

ピピピピピッピピピッピピッピピピピッピピピピピッピピピピピピピピピッピピッピピピピッ


『シモンは単独で拉致。おそらく人間は獣人に大敗北。当時の関係者に接触成功』

ピピッ!

「……うるせーなー……、おいガキ、それ止めろ」

乾いた大地に、パックリ割れたクレバスの底で、ボクはありったけの事実をデータにまとめる。
クロちゃんたちのように攫われて、殺し合いを強いられた82名の人たち。
彼らが住んでいた世界に実際に飛んで、現在、どうなったのか……調べて『対応』するんだ。

剛ハカセが改造した次元転移装置は、異世界を『横軸』、時間の流れを『縦軸』として移動できるんだ。

ここまで来るのに、色んなことが一杯あった。
ボクが出る幕も無く、前を向いて生きている人たち。
どうにもできず、押しつぶされてしまった人たち
世界そのものが壊れてしまい、その崩壊に飲み込まれてしまった人たち。
どうしたらいいのかわからず、ぼんやりと時間を過ごす人たち。
みんなボクと同じく、去っていった人たちとの思い出を、回帰していた……。

「あー……やっぱめんどくせー……怒る気も起こらねー……」
「おじさん、そんなこと言わないでコレでも食べてよ」

そして今もボクは――今日はシモンくんが誘拐された世界で――調査を続けている。
この世界も、前の3つの世界と同じだった。
核となるメンバーを失った大グレン団は、空中分解を起こして、バラバラになっていた。
ヴィラルが誘拐された世界は、それほど大きな変化は見られないけど、もう少し調べてみないと結論は出せない。
一枚岩だった絆も、些細な穴を衝かれれば、こんなにもあっさりと壊れてしまうなんて……とガッカリする暇はない。
とにかくこの世界は文明が極端に進んでいない世界のためか、生きた敗残兵を見つけるだけでもひと苦労。

「……食べるのもめんどくせー……」

バシャッッ

「あっちぃぃいいい~~!? 」

そんな訳でボクは、出来立てのラーメンを、このオジサンの頭にぶっかけてみた。

「てめぇ何しやがる! このバチョーン様の頭に油ギットギトのお湯ぶっかけやがって!」
「あはは、ブタモグラの肉を煮込んで作ったスープだよ。肉のエキスがたっぷり出てるでしょ」
「オマケになんだ、この硬くて太くて長い黄色の糸は! 気持ち悪いったらありゃしねぇ! 」
「でも美味いでしょ? 」
「…………! ん……ま、まぁ……まぁまぁだな」
「ブタモグラって火で炙って焼く以外にも、こんな調理法があるんだ」

この旅もあと少しで一つの区切りを迎える。
それはボクなりの結論、考え、これからの方針を決める上で大事なことだ。

「またご馳走するよ。じゃあねオジサン」

ボクには"避けられない邂逅"が迫っている。
ずっとそれから逃げ続けてはいたけれど、そろそろ真正面から受け止めなきゃいけない。

行こう。
多分、"あそこ"で待ってるんだ。

あの2人は。






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これは

私たちにとっての

現実(リアル)

君にとっては

ただの

ファンタジー?



【????????????――――魔法少女リリカルなのはStrikerS】



青く青く広がる草原の真ん中に、ボクを乗せた装置が降り立つ。
ここはスバル・ナカジマさんの所属する機動六課が存在する。
彼女たちに関係がある並行世界……つまり拉致被害を受けた世界は幾つかある。
スバル・ナカジマさんを始めとした4人の隊員が消えた世界A。
彼女たちの上司、八神はやてさんたちが消えた世界B。

「くると思ってたよ、おばさん。顔を見せるのは初めてかな」

腰まで伸びた金色のストレート。ピッチリとラインが合ったスーツ。
この人はボクを知らないかもしれない。でもボクはこの人を知っている。

「1人の犯罪者が忽然と姿を消したの。これだけ言えば、充分かしら」

最後の1人……クアットロという名の眼鏡っ子が消えた世界C。
この第三の世界に来ることは、ボクにとって自殺行為に繋がるかもしれなかった。
なぜなら『この世界の、この女の人』は、『時を移動する』ことも『異世界へ移動する』こともできるから。
しかし『並行世界へ移動する』――つまり第三の軸を動くことはできない。

「私も遠巻きながらロージェノムの事件を知ったわ。君が知っていることを教えてほしいの」
「やり方がセコイよ。たまたまボクがいた座標の世界で、あんたの仲間、ボクに何をした? 」

ボクの世界旅行は時として危険なことがいっぱいあった。
明らかな外的要素による襲撃(装置の奪取が狙いだったんだろうけど)を、片時も忘れたことはない。
何度かの衝突で、彼らが移動できる『時の軸』と『異世界の軸』がわかったから、逃げ道も確保できたんだけど。

「"赤いおばさん"がいないね?周りに仲間が隠れているのは、わかってるぞ」
「わかってる。だから私は君の善意を全身全霊で優先する。君が今のままをあり続けるのなら」
「そのつもりだから。もう一切干渉するなよ。絶対だからな! 」

偉そうな口を叩ける立場じゃないけど、ボクはボクのルールを破っていたつもりはない。
ボクは並行世界の自分に会いにいったこともない。
ボクは誰かの死を直接的の操作しようとしたこともない。

ボクは"ハンバーグが食べたかったのに、どうしてスパゲティが出てくるの"なんて駄々こねていないぞ。

ボクは寂しさを紛れさせたかっただけ。
ボクのように苦しむ人の悲しみを、和らげたかっただけなんだから!


「――でも、君は、何も知らないほうが良かったのかもしれない」

それなのに。
それなのにどうして? おばさん。
その哀れみの目は何?
おばさんにも、ボクの知らない……

「こちらフェイト、バインドによる拘束を確認。少年を捕獲します」


何かが……あるの?


「今はゆっくり休んで。これは私たちの問題なの」





お嬢さん――いつしか 周りは火の海――♪


もう、よふかし(パジャマゲーム)は――およしよ――♪






よふかし(パジャマゲーム)は――およしよ――♪




【???????――――???????】



『フェイト時空官! こちら第六班ですが、艦隊はもはや修復不可能です! このままでは全滅してしまいます! 』
『こちら第四班! 操縦不能! まさか我々時空管理局の戦力をたかが1人の…ぐぁぁぁぁぁぁ!! 』
『フェイト! そっちが済んだら加勢に頂戴! コイツ、核ミサイルよりタチが悪いからっ! 』

彗星の如く走る閃光に、次から次へと業火の悲鳴をあげて地に堕ちる艦隊。

「勇気ある模倣犯(コピー・ブラックキャット)から挑戦状を受け取りましたので、参上仕りました。
 不肖王ドロボウ、時間のくび木にはめ込まれた皆様から、この装置を盗まさせていただきます」

そして赤く赤く燃える焼け野原の真ん中に、しゃんと舞い降りた黄色の詩人。

「あ、あそこでテロ行為をしている暴君と私めは、一切の関係がございませ~ん。どうぞよろしく」

"そんな理不尽な貰い方して貰ったモノの分は、ちゃんと返さないと"
そう言ったのは私の親友。私たちが掲げた信念でもある。
黒猫の少年は、私たちとは少し違う。直接あそこに招かれた者と、遠巻きの違い。
ロージェノムの件では私たちも遠巻きに終わってしまったけれど。
献身的に尽くす姿に、管理局も大目に見てきた。私たちが率先して周囲をなだめていたから。

「気持ちはわかるけど、この子の悪戯(やさしさ)を0にするのは、過保護すぎやしない? 」

そうこうしている内に、ここまで動く彼の将来に不安を懸念始めていた。
生涯かけて背負わなければならない業を、本当に彼が背負う必要があるのか。
だから私たちは、彼を眠らせて安全に保護し(未来を先読みされている不安もあったが)、事を成そうと――

バシッ

顔。
痛い。
誰……?

「忘れ物だよ」

あれ。
どうして。
バインド、解かれた?
この子……やっぱりわかっていたの?
私にこうされる事を。彼が助けてくれることを。

「欲しくて欲しくてしょうがないんだろ! 」

目をこすりながら、私にぶつかって、落ちた物を観る。
膨大な設計図をまとめた束だった。原始的な結び方でぎゅんと縛ってある。
作りたかったら自分達で勝手に作れ、ということだろうか。
確かに……道理だ。それがこの子の師匠に対する、敬意なのかもしれない。

「ファンタジーなんかじゃない。これもボクにとっても現実だよ。
 ハカセもクロちゃんもミーくんもマタタビくんも生きていた」

未来を変えるのは……若者たちの仕事、か。

「ボクはやめないぞ。だっておばさんも、この人も、みんなみんな……」

謎の青年に抱きかかえられながら、あかんべーをする少年。
もう彼に私たちは必要ないのかもしれない。
私たちが私たちの世界で、生き続けるように。
彼は"自分の世界"を自分で選び――進み続けるのだろう。

「生きているんだから! 」


装置が発する光に包まれ、段々消え行く2人。
彼らを。彼らの道を見届けたら。


――私も自分を助けにいこう。






【アニメキャラ・バトルロワイアル2nd Epilogue サイボーグクロちゃん with XXX――――END】

























「ちょっと、あのイケメンまた違う世界に行っちゃうじゃない! 」
『King、今回も目の前で取り逃がしてしまいましたね』
「フ……ようやく雑種にも、あの黒猫衣装の素晴らしさが理解できる時代になったか」
「ねー聞いてる? 何の話? こいつら全員やっちゃっていいの? あんたにしちゃゴミ掃除なんだろうけど」
『詳しくは後ほどお話します。戦闘を嗾けてきたのは向こうですから、今はあの集団の処理を優先事項に』
「―――世(とき)は流れる。命拾いしたな、小僧」



【Thank you for Everybody, Thank you for Everything... but, Not all story end? 】




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291:異世界からの挑戦状 ギルガメッシュ







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