〆(壱)◆tu4bghlMIw
【サブタイトル――〆(エックス)】
巨大なスクリーン、無機質なスタジオ。
多数のカメラが囲む中、二人の少女がぺこり、と小さくお辞儀をした。
多数のカメラが囲む中、二人の少女がぺこり、と小さくお辞儀をした。
「こんにちは」
「……こんにちはなの」
「司会の藤林杏です」
「司会の一ノ瀬ことみなの」
「……こんにちはなの」
「司会の藤林杏です」
「司会の一ノ瀬ことみなの」
神妙な面持ちでスタジオの中央に立っていたのは一ノ瀬ことみと藤林杏だった。
彼女達が今回のメインパーソナリティを務める。
どちらも非常に端正な顔付きをした少女だ。
が、何故かどちらもソワソワと所在なげにさり気なく腕で自身の身体を隠していた。
彼女達が今回のメインパーソナリティを務める。
どちらも非常に端正な顔付きをした少女だ。
が、何故かどちらもソワソワと所在なげにさり気なく腕で自身の身体を隠していた。
理由は一つ――彼女達の服装が先ほどまでの私立光坂高校のソレとは違うからだ。
彼女達は既に本番用の『特別な』衣装に袖を通していた。
彼女達は既に本番用の『特別な』衣装に袖を通していた。
「ねぇ、ことみ。一つ、聞いていい?」
「……なんでも聞いて欲しいの」
「どうして、あたし達の格好が"体操服"なのかしら」
「……ああ」
「……なんでも聞いて欲しいの」
「どうして、あたし達の格好が"体操服"なのかしら」
「……ああ」
うっすらと頬を赤らめた杏が堪らずことみに訊いた。
そう――彼女達は先ほどまでのブレザータイプのクリーム色の制服ではなく、体操服に着替えていた。
清潔さを保った綿百パーセントの布地。そして、光坂高校独特の赤いブルマ。
そのレッドブルマーと同様の色のポロシャツタイプの体操服もこれまた趣き深い。
清潔さを保った綿百パーセントの布地。そして、光坂高校独特の赤いブルマ。
そのレッドブルマーと同様の色のポロシャツタイプの体操服もこれまた趣き深い。
杏は超ロングタイプの白オーバーニーソックスを履きこんでいるため、ブルマとの絶対領域が凄まじい存在感を示していた。
とはいえ本人は下半身のラインが気になったのか、こそこそとブルマの食い込みを指先で直した。
とはいえ本人は下半身のラインが気になったのか、こそこそとブルマの食い込みを指先で直した。
「……それは、」
「それは?」
「原作ネタと、視聴者サービス。それとアニロワの強調なの」
「……はぁ」
「それは?」
「原作ネタと、視聴者サービス。それとアニロワの強調なの」
「……はぁ」
一瞬の間。そして、
「せっかく……珍しくアニメ出典で出ているのだから……アニメで大量に増加した体操服を存分に披露するべきだと考えたの……」
「……むぅ」
「……まぁ、パンツじゃないから恥ずかしくないの……一緒に……我慢するの」
「……むぅ」
「……まぁ、パンツじゃないから恥ずかしくないの……一緒に……我慢するの」
杏はポッと頬を染め、小動物のようにプルプルと身体を震わせることみを見た。
それは同姓から見ても十分に魅力的な姿だった。
白い布を押し上げる二つの塊が放つあまりの存在感に思わず両手が伸びそうになるのを全力の理性で食い止める。
スラッと伸びた輝かんばかりの双脚がスタジオのライトを受けて健康的な色気を放つ。
それは同姓から見ても十分に魅力的な姿だった。
白い布を押し上げる二つの塊が放つあまりの存在感に思わず両手が伸びそうになるのを全力の理性で食い止める。
スラッと伸びた輝かんばかりの双脚がスタジオのライトを受けて健康的な色気を放つ。
「――ごほん」
自身のやり場のない感情を唇から霧散させるかのように、杏が小さく咳払いをした。
すると、二人の背後の巨大スクリーンにデカデカとしたフォントでテロップが表示される。
すると、二人の背後の巨大スクリーンにデカデカとしたフォントでテロップが表示される。
【解き明かせ、螺旋の秘密! 巨大な"実験"の影に迫る真実とは!?】
とある。
「……某日某所、螺旋王ロージェノムの手によって選ばれた八十三名の参加者がいたの」
ことみの口から【ロージェノム】という言葉が出た瞬間、背面のスクリーンがパッと切り替わった。
現れたのは禿頭と鋭角的な口髭が非常に印象的な老人だった。
だが、その身体は隆々とした筋肉に覆われ、全身から放つ雰囲気は映像であっても見るものに畏敬の念を抱かせるには十分過ぎる。
現れたのは禿頭と鋭角的な口髭が非常に印象的な老人だった。
だが、その身体は隆々とした筋肉に覆われ、全身から放つ雰囲気は映像であっても見るものに畏敬の念を抱かせるには十分過ぎる。
「この番組の大まかな流れは三つ。『回想』『解説』『対談』なの……まぁ詳しいことは番組が進めば分かるの」
スクリーンはパッパッと様々な映像へと切り替わり、スタジオを極彩で染める。
映されるのは様々な顔、数多のシーン。
泣き笑い、命の雄叫びに応えるように描かれた螺旋の軌跡だ。
映されるのは様々な顔、数多のシーン。
泣き笑い、命の雄叫びに応えるように描かれた螺旋の軌跡だ。
ことみと杏は背後を振り返った。ブラウン管の放つ無機質な光が二人の顔へと突き刺さる。
スライドショウのように変わる映像はいくつもの感情に満ちている。
そして、開幕の合図――
スライドショウのように変わる映像はいくつもの感情に満ちている。
そして、開幕の合図――
「それは、いくつもの世界を巻き込んで行われた壮大な実験。
彼が望んだものは種の存続、巡り廻るは螺旋の運命。戦って、愛し合って、憎み合って、」
「別れの時は哀しくて、頬を涙で濡らしたこともある。だけど、バラバラだった糸も次第に纏まって行った。
絡み合った想いは綺麗な二重螺旋を描き、そして、ついに天へと至った――」
彼が望んだものは種の存続、巡り廻るは螺旋の運命。戦って、愛し合って、憎み合って、」
「別れの時は哀しくて、頬を涙で濡らしたこともある。だけど、バラバラだった糸も次第に纏まって行った。
絡み合った想いは綺麗な二重螺旋を描き、そして、ついに天へと至った――」
二人の声が重なる。
「「アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 総集片、始まります」」
▽
000話『THE OPENING』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
「ようこそ諸君。初対面のものもそうでないものも居るようだが、一応名乗っておこう。
我が名は、螺旋王ロージェノム。覚えたければ覚えておくが良い」
男は低い、威圧感の溢れる声でそう名乗った。
我が名は、螺旋王ロージェノム。覚えたければ覚えておくが良い」
男は低い、威圧感の溢れる声でそう名乗った。
「螺旋王? ロージェノム……?」
「何者だ……?」
「何者だ……?」
ざわざわと、場が乱れる。それと同時に、殺気が周囲から溢れ出した。
どうやらこの場に居る人間の中には、血の気の多い者が多いようだ。
しかし、当の螺旋王は、全く動じる素振りも無く、言葉を紡いでゆく。
どうやらこの場に居る人間の中には、血の気の多い者が多いようだ。
しかし、当の螺旋王は、全く動じる素振りも無く、言葉を紡いでゆく。
「だが、名前などどうでも良い事だ。大切なことは別にある。 よく聞くがいい。
重要な事は、お前たちは今から全員で、最後の一人になるまで殺し合うこと。
そして、その一人以外は、全員死ぬ、ということだけだ」
重要な事は、お前たちは今から全員で、最後の一人になるまで殺し合うこと。
そして、その一人以外は、全員死ぬ、ということだけだ」
「!?」
意味不明で不穏な、だが有無を言わせぬその宣言が部屋中に木霊する。
周囲の混乱がピークに達してゆく。
そしてその混乱をさらに助長するかのように、螺旋王の言葉は続く。
周囲の混乱がピークに達してゆく。
そしてその混乱をさらに助長するかのように、螺旋王の言葉は続く。
「私は優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を求めている。
これは言わばそのための実験。お前達は、それを見定める上でのモルモットだ。
手段は問わん。貴様らの中から、最も優秀な一人を選び出せ。
生き残りゲームだとでも考えて貰って結構だ。
そう、ゲームだ。命を懸けたな……」
これは言わばそのための実験。お前達は、それを見定める上でのモルモットだ。
手段は問わん。貴様らの中から、最も優秀な一人を選び出せ。
生き残りゲームだとでも考えて貰って結構だ。
そう、ゲームだ。命を懸けたな……」
――――――――――――――――再生終了―――――――――――――――――――――
「……この一言から全てが始まったの」
感慨深げにことみが呟いた。
「ふんふん。でも、ここまではよくある普通のOPの流れよね」
「……杏ちゃん……甘いの」
「どういうこと?」
「マダ――こほん。ロージェノムさんの最後の台詞に注目なの……【実験】【モルモット】という単語」
「ああ、なるほど」
「……杏ちゃん……甘いの」
「どういうこと?」
「マダ――こほん。ロージェノムさんの最後の台詞に注目なの……【実験】【モルモット】という単語」
「ああ、なるほど」
杏もその言葉に頷く。
アニロワ2ndにおけるこの【実験】という言葉が持つ意味は非常に大きい。
ありとあらゆる螺旋に関する特別な出来事はこの一言に集約される。
アニロワ2ndにおけるこの【実験】という言葉が持つ意味は非常に大きい。
ありとあらゆる螺旋に関する特別な出来事はこの一言に集約される。
「これから先、非常に生きて来る台詞なの。テストに出るの、要チェック……」
「はいはい。でも、アニロワ2ndのOPと言ったら"アレ"を抜きには語れないわよね」
「……もちろん、VTRは用意してあるの」
「はいはい。でも、アニロワ2ndのOPと言ったら"アレ"を抜きには語れないわよね」
「……もちろん、VTRは用意してあるの」
000話『THE OPENING』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
「フッ……如何に強固なバリアと言えども、この至近距離からボルテッカを食らえば……」
ランスの周囲は、ボルテッカの軌跡が綺麗に抉り取られているようだった。
そして、その地面を抉る傷跡の先には……
そして、その地面を抉る傷跡の先には……
「……何ッ!?」
螺旋王ロージェノムが、そこに居た。
先ほどと寸分たがわぬ、傷一つ無い姿で。
先ほどと寸分たがわぬ、傷一つ無い姿で。
「この程度とはな。片腹痛いわッ!!」
「バカな――ぐはァッ!」
「バカな――ぐはァッ!」
嗚咽と同時に、鈍い炸裂音が弾ける。
そして次の瞬間には、ランスの体は遥か後方の壁中へとめり込んでいた。
ロージェノムの一撃……そう、唯一撃の正拳が、ランスを弾き飛ばしたのだ。
そして次の瞬間には、ランスの体は遥か後方の壁中へとめり込んでいた。
ロージェノムの一撃……そう、唯一撃の正拳が、ランスを弾き飛ばしたのだ。
「見ての通りだ。お前たちが足掻いたところで我が螺旋力の前では無力そのもの。
そして――もう一つ、首輪についても説明しておいてやろう。貴様たちの首についているそれだ」
「――!」
そして――もう一つ、首輪についても説明しておいてやろう。貴様たちの首についているそれだ」
「――!」
言われて始めて気付くほどに、その首輪は違和感なく、まるでそれが当然かのように、シンヤの首にも、俺自身の首にも嵌っていた。
一体、いつの間に嵌められたというのか?
一体、いつの間に嵌められたというのか?
「その首輪には、特殊な反物質――爆薬が詰まっている。
先ほどの男のように私に歯向かったり、実験に支障を来たす様な行動を取れば――」
先ほどの男のように私に歯向かったり、実験に支障を来たす様な行動を取れば――」
その刹那。
壁にめり込むランスの体――その首が、閃光と共に爆発した。
――――――――――――――――再生終了――――――――――――――――――――
爆死した男の映像を見て、杏がため息を漏らした。
「あまりにお約束ね。やられ役が形に嵌っているというか」
「ちなみに、ここでの視点は相羽タカヤさん。見せしめになったのはモロトフ荘の管理人ことモロトフさんなの」
「……せめてテッカマンランスと言いましょうよ、そこは」
「ちなみに、ここでの視点は相羽タカヤさん。見せしめになったのはモロトフ荘の管理人ことモロトフさんなの」
「……せめてテッカマンランスと言いましょうよ、そこは」
――見せしめ。
パロロワのオープニングにおける一番最初の犠牲者。
正式な参加者に影響を与える人物が選ばれることも多いが、
彼や某機関車の人のように高い時報性能を持った人物が選出される場合もある。
そして、モロトフは勿論後者である。
パロロワのオープニングにおける一番最初の犠牲者。
正式な参加者に影響を与える人物が選ばれることも多いが、
彼や某機関車の人のように高い時報性能を持った人物が選出される場合もある。
そして、モロトフは勿論後者である。
「271話『天のさだめを誰が知る』内にてルルーシュくんにも言われていることだけれど、彼の忘れ去られっぷりは凄まじかったの」
「ぶっちゃけ、参加者候補から一人……ですらなく、完全な見せしめ要員だものねぇ」
「それに……影響力のなさも半端なかったの」
「何か強そうな変身ヒーローがやられた、ぐらいの認識だったんでしょうね」
「ぶっちゃけ、参加者候補から一人……ですらなく、完全な見せしめ要員だものねぇ」
「それに……影響力のなさも半端なかったの」
「何か強そうな変身ヒーローがやられた、ぐらいの認識だったんでしょうね」
スタジオ内に重苦しい空気が流れた。
あまりに世知辛く、残酷な現実にスタッフ一同、涙を流した。
まさに、これがバトルロワイアルというものだった。
あまりに世知辛く、残酷な現実にスタッフ一同、涙を流した。
まさに、これがバトルロワイアルというものだった。
「……ちょっと湿っぽくなってしまったの。さてさて、この後は順当に登場話なの」
「八十二人も参加者がいるわけだから、それも結構な数よね」
「いくつか紹介したい話もあるのだけど……」
「例えば『この血塗られた指先で救えるのなら』、『それが我の名だ』なんかは評判がいいわよね。
でもここはあえて――」
「ロワの空気を決定すると言われる、第一話にスポットを当ててみたの」
「八十二人も参加者がいるわけだから、それも結構な数よね」
「いくつか紹介したい話もあるのだけど……」
「例えば『この血塗られた指先で救えるのなら』、『それが我の名だ』なんかは評判がいいわよね。
でもここはあえて――」
「ロワの空気を決定すると言われる、第一話にスポットを当ててみたの」
画面に映し出されたのは黄色のコートをはためかせ、道化師のような仮面を手に持った少年。
そして、紅の髪をポニーテールに結った豊満なボディの少女の姿だった。
そして、紅の髪をポニーテールに結った豊満なボディの少女の姿だった。
ジン。
ヨーコ。
ヨーコ。
奇しくも彼らの出会いから、アニロワ2ndは始まった。
プロローグから抜け出した物語の第一歩である。
プロローグから抜け出した物語の第一歩である。
「映像、どうぞ……なの」
001話『JING in ROYAL「E」』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
「――お姉さん、さっきからずっとここに座ってるけど『これ』の管理人さん? 夢心地なとこ悪いけど、どいてくんないかな。
俺、あんたがもたれている『こいつ』に用があるんだけど」
俺、あんたがもたれている『こいつ』に用があるんだけど」
大切な人を失った少女は、その舞台の序幕にて、とある少年と出会った。
「………………え、あ、だ、誰? 獣人? ガンメン乗り……? 」
「顔?……別にどこも海苔なんて着いてないけど。 これでも清潔にしてるんだぜ? 職業の分もカバーしちまうくらい。
あ、車庫のシャッター勝手に開けさせてもらったから。さぁ立ってよ……」
「顔?……別にどこも海苔なんて着いてないけど。 これでも清潔にしてるんだぜ? 職業の分もカバーしちまうくらい。
あ、車庫のシャッター勝手に開けさせてもらったから。さぁ立ってよ……」
少年の口はまるで巨大な時計塔の歯車のように、クルクルと回った。
いったい彼は何を考えているのだろう。
捉え所のない相手だった。軽やかな足取りも、不遜な笑みも、何もかも。
いったい彼は何を考えているのだろう。
捉え所のない相手だった。軽やかな足取りも、不遜な笑みも、何もかも。
「何なら『こいつ』でお姉さんの寝耳に水をかけてあげようか? 」
「……ここは一体どこなの? 夢にしては……」
「『皆で殺しあう』なんて、悪夢にしては笑えないけどね」
「……こ、『殺し』? ……あは、やっぱアタシどうかしちゃったのかな」
「そんな格好してる時点でどうかしてるとは思うけど……夢の中では自分をさらけ出すタイプ? 」
「……ここは一体どこなの? 夢にしては……」
「『皆で殺しあう』なんて、悪夢にしては笑えないけどね」
「……こ、『殺し』? ……あは、やっぱアタシどうかしちゃったのかな」
「そんな格好してる時点でどうかしてるとは思うけど……夢の中では自分をさらけ出すタイプ? 」
少女は困惑した。
少年は今まで出くわしたことのないタイプの人間だった。
だけど、一緒に居ると不思議と安心出来る――希望が湧いてくる――そんな魅力を兼ね揃えた人物だった。
少年は今まで出くわしたことのないタイプの人間だった。
だけど、一緒に居ると不思議と安心出来る――希望が湧いてくる――そんな魅力を兼ね揃えた人物だった。
『悪夢のようなパーティーの主催役
盗ませていただきます
HO! HO! HO!
居眠り中の王ドロボウ』
盗ませていただきます
HO! HO! HO!
居眠り中の王ドロボウ』
そして、少年は詠うような口調で事も無げに言ってのける。
自身が卑しい盗人であると。
螺旋王の来賓客に対する持て成しの不手際を。
自身が卑しい盗人であると。
螺旋王の来賓客に対する持て成しの不手際を。
そして――彼に宴の主催から降ろすための"辞任勧告"を突き付けるために。
喜びは踊りに、怒りは叫びに、哀しみはメロディーに。
そしてお楽しみは、これから。
そしてお楽しみは、これから。
音頭盗ります王ドロボウ。新たな伝説の始まり始まり――
――――――――――――――――再生終了――――――――――――――――――――
「ぶっちゃけ、」
「………………杏ちゃん?」
「ジンが何を言っているのか、サッパリ分からないわ」
「………………杏ちゃん?」
「ジンが何を言っているのか、サッパリ分からないわ」
非常に苛立たしげな面持ちを覗かせる杏。
腕を組んだ杏がものの見事にジンの台詞を一刀両断する。
ことみは苦笑いを浮かべ、
腕を組んだ杏がものの見事にジンの台詞を一刀両断する。
ことみは苦笑いを浮かべ、
「……だったら、辞書を引く事をおススメするの……本はお友達……」
「あら。ああいう厚い本は投げるためにあるのよ。そう――この前廃刊になったあの雑誌も昔は厚くて破壊力十分だったわね」
「その使い方は明らかにメーカー補償の対象外なの……」
「あら。ああいう厚い本は投げるためにあるのよ。そう――この前廃刊になったあの雑誌も昔は厚くて破壊力十分だったわね」
「その使い方は明らかにメーカー補償の対象外なの……」
ふぅっと小さくため息を吐いた。
当たると本当に危険なので、分厚い漫画雑誌や百科事典を投擲するなど言語道断である。
良い子の皆は杏お姉さんの真似をしてはいけません。
良い子の皆は杏お姉さんの真似をしてはいけません。
「……気を取り直して。とはいえ、このジン・ヨーコペアはそんなに長続きしなかったの」
「早い段階でヨーコが東方不敗にやられちゃったものね」
「逆に長続きするペアもいくつかあったの。
単純な縁の深さで言うと【Dボゥイ/小早川ゆたか】【ギルガメッシュ/結城奈緒】【高嶺清麿/ラッド・ルッソ】辺り」
「早い段階でヨーコが東方不敗にやられちゃったものね」
「逆に長続きするペアもいくつかあったの。
単純な縁の深さで言うと【Dボゥイ/小早川ゆたか】【ギルガメッシュ/結城奈緒】【高嶺清麿/ラッド・ルッソ】辺り」
登場話で結びついたペアならば、やはりこの三組に軍配が上がるのではないか。
中盤以降までここのラインはアニロワ2ndを賑わした。
ベストコンビなどのイベントでも多くの票を獲得している。
中盤以降までここのラインはアニロワ2ndを賑わした。
ベストコンビなどのイベントでも多くの票を獲得している。
「なるほどね。特にあたしはDボゥイペアが好きだったわ。一番主人公っぽかったもの」
「王道あってこその覇道……後ろ二つの破天荒コンビに比べて、ここの安定感は中々のモノだったの」
「Dボゥイ、死ぬまで目立ちまくりだったわよね。やっぱり『アニメ至上最も不幸な主人公』の名は伊達じゃないわね」
「まったくなの……うちの主人公にも見習ってもらいたいものなの」
「――ことみ」
「……ぅ」
「王道あってこその覇道……後ろ二つの破天荒コンビに比べて、ここの安定感は中々のモノだったの」
「Dボゥイ、死ぬまで目立ちまくりだったわよね。やっぱり『アニメ至上最も不幸な主人公』の名は伊達じゃないわね」
「まったくなの……うちの主人公にも見習ってもらいたいものなの」
「――ことみ」
「……ぅ」
無言で杏のゲンコツがことみの頭上にポカッと炸裂した。
「……痛い。……お、思わず口が滑ったの。
もちろん……朋也くんは最高なの。『イヤッホウゥウウウ!』なの。阿修羅をも凌駕する存在なの」
「……まぁそういうことにしておきましょう」
もちろん……朋也くんは最高なの。『イヤッホウゥウウウ!』なの。阿修羅をも凌駕する存在なの」
「……まぁそういうことにしておきましょう」
棒読みに近い口調でことみが言った。
ほとんどその言葉には感情が込められていなかった。
もっとも、普段から彼女の台詞は若干棒読み臭いのだが。
ほとんどその言葉には感情が込められていなかった。
もっとも、普段から彼女の台詞は若干棒読み臭いのだが。
「さてさて、そんな訳で順調なスタートを切ったアニロワ2nd。が、そこで終わらないのが変化球を極めたこのロワなわけ。
一番最初の螺旋的イベントに遭遇したのはやっぱり主人公チーム!」
「蟹っぽい頭をした白目の危険人物に……Dボゥイさんとゆたかちゃんは襲われたの」
「スタジオに来て貰うことは出来なかったけど、アッと驚くあの人にインタビュ-して来た映像も合わせてどうぞ」
一番最初の螺旋的イベントに遭遇したのはやっぱり主人公チーム!」
「蟹っぽい頭をした白目の危険人物に……Dボゥイさんとゆたかちゃんは襲われたの」
「スタジオに来て貰うことは出来なかったけど、アッと驚くあの人にインタビュ-して来た映像も合わせてどうぞ」
064話『ただ撃ち貫くのみ』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
「私の名は素晴らしきヒィッツカラルド、君たちの仲人だ。冥土の土産にでも覚えてくれたまえ」
パチンっと指を鳴らす音が響き、今度は近くの木が輪切りになった。
遮蔽物に意味は無いと、暗に言っているのだ。
遮蔽物に意味は無いと、暗に言っているのだ。
「お前は、殺戮と破壊を楽しむというのか!」
「ああ!楽しくてしょうがないよ!」
「ああ!楽しくてしょうがないよ!」
パチン、パチンと次々に右手の指を鳴らす。そのたびに木は削られ、枝葉は切り落とされた。
「……そうか、お前も、ラダムと、同じか」
▽ナレーション▽
【男は少女を逃がし、単身で悪魔と相対する。だが、両者の間には埋めようのない実力の差があった。
倒れる男。その瞬間、少女の身体が動いた。自分でも分からない衝動に突き動かされる――】
【男は少女を逃がし、単身で悪魔と相対する。だが、両者の間には埋めようのない実力の差があった。
倒れる男。その瞬間、少女の身体が動いた。自分でも分からない衝動に突き動かされる――】
ごちゃごちゃの飽和状態だったゆたかの頭の中で、たった一つだけ言葉が響いた。
――嫌だ
優しい人は怖い人だった。怖い人だったけど優しかった。
そう、優しい人だったんだ。だから私は信じることにしたんだ。
それで、みんなで帰ろうって決めて……みんな、お姉ちゃんにかがみさんにつかささん。
それと、Dボゥイさんも。
そう、優しい人だったんだ。だから私は信じることにしたんだ。
それで、みんなで帰ろうって決めて……みんな、お姉ちゃんにかがみさんにつかささん。
それと、Dボゥイさんも。
――こんなの、嫌だ!
私は帰りたい。みんなと帰りたい。
こんな所で死にたくない。死んでほしくない。
私は……そうだ、私はDボゥイさんのことを何も知らないし、私もぜんぜん話してない。
こんな所で死にたくない。死んでほしくない。
私は……そうだ、私はDボゥイさんのことを何も知らないし、私もぜんぜん話してない。
――よく分からないけど、こんなの、嫌だ!
それはパニックに似ていたかもしれない。
支離滅裂な思考で、普段なら考えられないような行動をとってしまう。
Dボゥイの元に駆け出したゆたかは、何も考えてなどいなかった。
支離滅裂な思考で、普段なら考えられないような行動をとってしまう。
Dボゥイの元に駆け出したゆたかは、何も考えてなどいなかった。
▽ナレーション▽
【小さな腕を広げ、必死に少女は男を守ろうとした。だが、悪魔は嗤い、二つの命を無慈悲にも刈り取ろうとする。
しかし、心の中の想いが爆発した時、ヒトの身体に宿りし螺旋のチカラは緑柱玉のような輝きを放つ――】
【小さな腕を広げ、必死に少女は男を守ろうとした。だが、悪魔は嗤い、二つの命を無慈悲にも刈り取ろうとする。
しかし、心の中の想いが爆発した時、ヒトの身体に宿りし螺旋のチカラは緑柱玉のような輝きを放つ――】
ゆたかは無我夢中だった。
Dボゥイが生きていた、それは嬉しい。
けれどこの危険な男は、またDボゥイを傷つけようとしている。
Dボゥイが生きていた、それは嬉しい。
けれどこの危険な男は、またDボゥイを傷つけようとしている。
――なんとか、なんとかしなくちゃ。
必死に考え、とっさに身近なものでヒィッツカラルドの腕を突き刺したのだ。
後のことを考える余裕は、ゆたかにはなかった。
後のことを考える余裕は、ゆたかにはなかった。
「Dボゥイさん!」
どんな意味で叫んだかは、ゆたか本人にも分からなかった。
生きてほしかった。生きたかった。
みんなで帰りたかった。
生きてほしかった。生きたかった。
みんなで帰りたかった。
その思いは、螺旋力となってヒィッツカラルドを貫いた。
「貴様ぁ!」
ヒィッツカラルドは激昂した。
油断した自分が悪いのだが、愉快な気分に一気に水をさされたのだ。
この責任を取ってもらおうと、無事な方の手で指を鳴らそうと構えた。
油断した自分が悪いのだが、愉快な気分に一気に水をさされたのだ。
この責任を取ってもらおうと、無事な方の手で指を鳴らそうと構えた。
そして、Dボゥイの握るM500ハンターがヒィッツカラルドの額に押し付けられた。
「零距離、とったぞ」
――――――――――――――――再生終了――――――――――――――――――――
▽
【参加者インタビュー①】
●Dボゥイ(相羽タカヤ/テッカマンブレード・十八歳)
●Dボゥイ(相羽タカヤ/テッカマンブレード・十八歳)
――素晴らしきヒィッツカラルドと戦った時の感想を。
ヒィッツカラルド? ……ああ、あの男か。
今になって思えば、俺とゆたかがアイツに勝てたこと自体が驚きで一杯だな。
テックセットさえ出来れば、な。結局、俺は一度もブレードの姿になることはなかったしな。
今になって思えば、俺とゆたかがアイツに勝てたこと自体が驚きで一杯だな。
テックセットさえ出来れば、な。結局、俺は一度もブレードの姿になることはなかったしな。
――後悔はあるのか。
そりゃああるさ。
ゆたかだけじゃない、シンヤも、舞衣も俺は救ってやることは出来なかった。
何度もやられて、血反吐を吐いて……俺に、もう少し力がありさえすれば。
ゆたかだけじゃない、シンヤも、舞衣も俺は救ってやることは出来なかった。
何度もやられて、血反吐を吐いて……俺に、もう少し力がありさえすれば。
――その後、東方不敗や『狂人』に身体を乗っ取られたラッド・ルッソとも戦ったが。
無様だった。それ以外の言葉は必要ない。
あの少女はどうなったんだ? ……そうか、舞衣が。
少女は……柊かがみは、自分を、取り戻せたんだな。
あの少女はどうなったんだ? ……そうか、舞衣が。
少女は……柊かがみは、自分を、取り戻せたんだな。
――〝Dボゥイ〟の〝D〟は結局どのような意味なのか。
……妙なことを訊くんだな。
自分で言うのも恥ずかしいんだが「無茶な行動ばかり取る」という意味のデンジャラスだ。
ドリームは……まぁさすがに少しばかりキラキラし過ぎじゃないか?
何、〝ドラッグ〟もある? あれは…………忘れてくれ。
自分で言うのも恥ずかしいんだが「無茶な行動ばかり取る」という意味のデンジャラスだ。
ドリームは……まぁさすがに少しばかりキラキラし過ぎじゃないか?
何、〝ドラッグ〟もある? あれは…………忘れてくれ。
――最後に、生き残っている参加者に対して一言あれば。
ゆたか、舞衣。頑張れ。
そして、助けてやれなくて済まなかった。
お前達は俺なんていなくても、絶対に大丈夫だ。
そして、助けてやれなくて済まなかった。
お前達は俺なんていなくても、絶対に大丈夫だ。
俺はお前達を支えたかった。
だが……同時に、お前達に支えられてもいたんだと思う。
俺はただ、不器用に守ることしか出来なかった。
出会った二人はわりと仲良くやっていると聞いた。良い……友達になれたなら、俺も嬉しい。
だが……同時に、お前達に支えられてもいたんだと思う。
俺はただ、不器用に守ることしか出来なかった。
出会った二人はわりと仲良くやっていると聞いた。良い……友達になれたなら、俺も嬉しい。
――今日はありがとうございました。
ああ、俺もいい機会が貰えたと思ってる。
▽
カメラは再び、スタジオに戻って来た。
「で、ゆたかちゃんの覚醒以降、いくつか……ポツポツと螺旋覚醒が続くの」
「玖我なつき、アレンビー・ビアズリー辺りが早い段階での覚醒者だったかしら」
「早い時間は案外少なかったの。中盤くらいが一番。でも、やっぱり影響が大きかったのは……スバル・ナカジマ」
「玖我なつき、アレンビー・ビアズリー辺りが早い段階での覚醒者だったかしら」
「早い時間は案外少なかったの。中盤くらいが一番。でも、やっぱり影響が大きかったのは……スバル・ナカジマ」
ことみの言葉と共に、パッと背面のスクリーンに青いショートカットの少女が映し出された。
長い白のハチマキと漲るような意志の強さを連想させる双眸が印象的である。
が、同時にネコミミを頭に付けてあげたくなるような女の子らしい可愛らしさも持ち合わせている。
長い白のハチマキと漲るような意志の強さを連想させる双眸が印象的である。
が、同時にネコミミを頭に付けてあげたくなるような女の子らしい可愛らしさも持ち合わせている。
「まるで螺旋覚醒のバーゲンセールだな、とまで揶揄されたこともあったけれど……。
天元突破寸前まで行ったのは彼女くらいかしら」
「そうなの。何しろ彼女の放った一撃は後々、会場を覆う結界に影響を与えている訳で」
「アニロワ2nd・三大イベントの一つである『デパート』の幕引きには相応しい大技だったわね、アレは」
天元突破寸前まで行ったのは彼女くらいかしら」
「そうなの。何しろ彼女の放った一撃は後々、会場を覆う結界に影響を与えている訳で」
「アニロワ2nd・三大イベントの一つである『デパート』の幕引きには相応しい大技だったわね、アレは」
画面が二分割され、スバルと向かい合う形で全身を黒鉄の鎧に覆った人物が現れた。
彼の名前はロイ・マスタング――またの名を悪魔軍人デビルマスタング。
仲間を、友を、そして大切な部下をその手に掛けた哀しき男だ。
彼の名前はロイ・マスタング――またの名を悪魔軍人デビルマスタング。
仲間を、友を、そして大切な部下をその手に掛けた哀しき男だ。
「登場人物も豪華なの。他にヴァッシュ・ザ・スタンピードにランサー、神行太保・戴宗、藤乃静留といった実力者が勢揃い」
「……そういえば、この頃の人間台風の人って暇さえあれば気絶してたわよね」
「……そういえば、この頃の人間台風の人って暇さえあれば気絶してたわよね」
杏の言葉にことみも小さく頷く。
「……まぁぶっちゃけ、空気だったの」
「どこかの空気王がエンジェルアーム使ってたものね。アニメ仕様だとかなり不便なのがこの能力なのだけど……」
「…………それはあまり突っ込んで欲しくない部分なの」
「……そうよね」
「どこかの空気王がエンジェルアーム使ってたものね。アニメ仕様だとかなり不便なのがこの能力なのだけど……」
「…………それはあまり突っ込んで欲しくない部分なの」
「……そうよね」
二人は視線を交わらせながら、腕を組み納得したような表情を見せた。
「強力な能力は割りを食うわよね。ほらアニロワ2ndには超強力な洗脳能力を持った参加者がいたでしょう。ギア――」
「……杏ちゃん。それ以上は……まだ早いの。彼の紹介はもうちょっと後なの」
「っと……ちょっと早かったかしら」
「……杏ちゃん。それ以上は……まだ早いの。彼の紹介はもうちょっと後なの」
「っと……ちょっと早かったかしら」
ストップ、と。
ことみが口の前に両手でバッテン印を作った。
番組構成上、後半まで引っ張らなければならない事柄というのは当然存在するのだ。
ことみが口の前に両手でバッテン印を作った。
番組構成上、後半まで引っ張らなければならない事柄というのは当然存在するのだ。
「まぁそんな訳で、ネコミミスバルvsデビルマスタングの熱烈バトル、須く見よ!……なの」
ビシリ、とカメラに向けてことみが勢い良く指を差した。
ちなみに。
アニロワ2ndには会場がネコミミウィルスに汚染され、五十人近くの参加者が生還してしまった多元宇宙も存在することをここで断っておこう。
本編でもミーくんとスバルが合体していたら、世界はラブ&ピースになっていたかもしれないのだ。
嗚呼、恐ろしきかなネコミミモード。
アニロワ2ndには会場がネコミミウィルスに汚染され、五十人近くの参加者が生還してしまった多元宇宙も存在することをここで断っておこう。
本編でもミーくんとスバルが合体していたら、世界はラブ&ピースになっていたかもしれないのだ。
嗚呼、恐ろしきかなネコミミモード。
「……魔法使うと耳が生えるのはまた別の魔法少女でしょうが」
それは極めてメタな視点で発せられた言葉だった。
そんな杏の呟やきは誰にも聞き取られることなく、ピカピカに磨かれたスタジオの床に吸い込まれて行く。
そんな杏の呟やきは誰にも聞き取られることなく、ピカピカに磨かれたスタジオの床に吸い込まれて行く。
【三大イベント・① デパート】
165話『召喚』
189話『炎の日/焔のさだめ』
194話『DEVIL MAY CRY』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
165話『召喚』
189話『炎の日/焔のさだめ』
194話『DEVIL MAY CRY』
――――――――――――――――再生開始――――――――――――――――――――
「あ、あの、さっきは済みませんでした!あたしスバル・ナカジマと言います! お知り合いの救助をお手伝いします!」
――心優しき魔法使いがいた。
「アンタ! この子が言うにはアンタがいきなり襲いかかってきたそうだが、どうだい!」
「お答えする気はありませんなぁ。皆さんに死んでもらう必要ができました、とだけ」
「お答えする気はありませんなぁ。皆さんに死んでもらう必要ができました、とだけ」
――圧倒的な存在感、包容力を兼ね揃えた空賊の頭領がいた。
――愛する者のため、その身を修羅へと堕とした舞姫がいた。
「…何でぇ、そうすると俺はまんまと乗せられちまったって訳かい」
――酒を愛しする豪胆な男、人間発電機の異名を持つ国際警察機構に所属するエキスパートがいた。
「どぉも! 改めまして僕はヴァッシユ・ザ・スタンピードって言います!
皆さんこんな殺し合いなんかに乗せられないで、仲良くしましょう! ほら、ラブ&ピースですよ! ラブ&ピース!」
皆さんこんな殺し合いなんかに乗せられないで、仲良くしましょう! ほら、ラブ&ピースですよ! ラブ&ピース!」
――髪をホウキのように逆立てて笑う賞金首がいた。
「ヨウいはデキたか……? ワたシは……出来テいる!!」
――そして、人の身を捨て本物の悪魔へと成り果てた男がいた。
▽ナレーション▽
【男達は盗まれた過去を探し、女達は砕かれた夢を拾い集めて――焼ける街をあてもなく彷徨い続ける。
燃え盛る炎に悪夢が蘇り、男の心は乾き、女の心は冷えた。だが――さだめとあれば心を決める。さぁ、決着は近い】
【男達は盗まれた過去を探し、女達は砕かれた夢を拾い集めて――焼ける街をあてもなく彷徨い続ける。
燃え盛る炎に悪夢が蘇り、男の心は乾き、女の心は冷えた。だが――さだめとあれば心を決める。さぁ、決着は近い】
焔に揺らめく陽炎の先。
見えたのは血のように赤い軍服に蛇のような銀の皮膚。
悪鬼のように逆立った髪、その顔にかつての面影は見出せない。
それは彼女の知る彼とは、余りにもかけ離れた姿だった。
だが、彼女が彼を見間違うはずもない。
それが、悲劇と言えば悲劇だった。
見えたのは血のように赤い軍服に蛇のような銀の皮膚。
悪鬼のように逆立った髪、その顔にかつての面影は見出せない。
それは彼女の知る彼とは、余りにもかけ離れた姿だった。
だが、彼女が彼を見間違うはずもない。
それが、悲劇と言えば悲劇だった。
「――――大佐」
それは、リザ・ホークアイが知る、ロイ・マスタングに違いなかった。
出会うべきではない二人だった。
だって、出会ったところで、なにが変わるわけでも、誰が救われるわけでもないんだから。
変わり果てた彼はもう元には戻れないし、奪われた命は戻らない。
なにも好転しない。
むしろこの出会いは、火に油を注ぐだけ。
出会うべきではない二人だった。
だって、出会ったところで、なにが変わるわけでも、誰が救われるわけでもないんだから。
変わり果てた彼はもう元には戻れないし、奪われた命は戻らない。
なにも好転しない。
むしろこの出会いは、火に油を注ぐだけ。
「見るナ」
「なんで……?」
聞きたい事は山のようにあった。
それの姿はなんなのか?
本当にランサー達を襲ったのか?
ここでいったいなにをしていたのか?
「なんで……?」
聞きたい事は山のようにあった。
それの姿はなんなのか?
本当にランサー達を襲ったのか?
ここでいったいなにをしていたのか?
「見るナ」
「どうして…………?」
けれど、どれもこれも言葉にならず、出てくるのはそんな言葉ばかりだ。
だが、今にも泣き出しそうなホークアイの声に、マスタングは思わず後ずさる。
その声は鉄槌よりも強力に脳を掻き回し。
その視線は矢尻よりも正確に心臓を射抜く。
耐え切れない。
このままでは、壊れてしまいしそうだ。
「どうして…………?」
けれど、どれもこれも言葉にならず、出てくるのはそんな言葉ばかりだ。
だが、今にも泣き出しそうなホークアイの声に、マスタングは思わず後ずさる。
その声は鉄槌よりも強力に脳を掻き回し。
その視線は矢尻よりも正確に心臓を射抜く。
耐え切れない。
このままでは、壊れてしまいしそうだ。
「どうして、大佐――っ!?」
「私ヲ――――見ルなァあッ!!」
「私ヲ――――見ルなァあッ!!」
▽ナレーション▽
【終端の王と異世界の騎士の物語があった。黄金卿の主と黄金の剣を持ちし高貴なる騎士王。
円卓より外れし、誇り高き王が振り翳した己の正義が巡り廻り輪廻を刻む。そして、少女は剣を――】
【終端の王と異世界の騎士の物語があった。黄金卿の主と黄金の剣を持ちし高貴なる騎士王。
円卓より外れし、誇り高き王が振り翳した己の正義が巡り廻り輪廻を刻む。そして、少女は剣を――】
――スバルの手にしたそれは、『剣』と呼ぶには余りにも異質な『剣』だった。
「ぅうおおおおおおおお!!」
裂帛の気合と共に剣に魔力を通す。
とたん、手にした乖離剣が軋みをあげた。
劈くような風きり音と共に、生まれるのは余りにも暴力的な魔力の胎動。
一回転ごとに速く、より早く、なお疾く。
螺旋を描いて三つの円柱が互い違いの方向に回転する。
生まれる暴風に辺りのモノが次々と吹き飛ばされてゆく。
荒れ狂う暴風の前に悪魔もその動きを止められる。
裂帛の気合と共に剣に魔力を通す。
とたん、手にした乖離剣が軋みをあげた。
劈くような風きり音と共に、生まれるのは余りにも暴力的な魔力の胎動。
一回転ごとに速く、より早く、なお疾く。
螺旋を描いて三つの円柱が互い違いの方向に回転する。
生まれる暴風に辺りのモノが次々と吹き飛ばされてゆく。
荒れ狂う暴風の前に悪魔もその動きを止められる。
全てを持っていかれるのではないか、と思うほど魔力が吸い取られてゆく。
全身を猛り狂う魔力と血液。
それでも足りない。
まだ足りない。
目の前の悪魔を祓うにはこの程度では、とても。
暴走寸前の乖離剣を無理矢理に押さえ込んで、なおも魔力を剣に込める。
そして、はちきれんばかりの声で、叫ぶ。
全身を猛り狂う魔力と血液。
それでも足りない。
まだ足りない。
目の前の悪魔を祓うにはこの程度では、とても。
暴走寸前の乖離剣を無理矢理に押さえ込んで、なおも魔力を剣に込める。
そして、はちきれんばかりの声で、叫ぶ。
「一撃、必滅――――! 天地乖離す(エヌマ)――――」
自然と脳裏に浮かぶ真名を叫ぶ。
暴走する魔力が赤い渦を巻いて流動する。
乖離剣に魔力を込めながらスバルはISを発動させた。
次の瞬間に生まれた振動波はスバルの右腕から乖離剣に伝わって行く。
剣を伝わり波紋のように振動が赤渦を奔る。
超振する魔力の回転は世界を巻き込みながら震撼する。
暴走する魔力が赤い渦を巻いて流動する。
乖離剣に魔力を込めながらスバルはISを発動させた。
次の瞬間に生まれた振動波はスバルの右腕から乖離剣に伝わって行く。
剣を伝わり波紋のように振動が赤渦を奔る。
超振する魔力の回転は世界を巻き込みながら震撼する。
乖離剣と振動破砕。
極悪なまでのこの組み合わせに、更に緑の螺旋が加わる。
それは、諦めぬ心が生み出した螺旋の輝きだった。
振動しながら交じり合う赤と緑の螺旋の渦。
渦巻く力の螺旋は、瞬く銀河のようだ。
遥かな銀河に煌くは、全てを破壊し創造する、天地を開闢する星の輝き。
極悪なまでのこの組み合わせに、更に緑の螺旋が加わる。
それは、諦めぬ心が生み出した螺旋の輝きだった。
振動しながら交じり合う赤と緑の螺旋の渦。
渦巻く力の螺旋は、瞬く銀河のようだ。
遥かな銀河に煌くは、全てを破壊し創造する、天地を開闢する星の輝き。
「――――開闢の星(エリシュ)!!」
剣の真名と共に放たれた――――それは、天地を切り裂く一撃だった。
▽ナレーション▽
【何もかもを飲み込み、世界は終焉を迎える。機械仕掛けの少女も悪魔も――】
【何もかもを飲み込み、世界は終焉を迎える。機械仕掛けの少女も悪魔も――】
超振動を帯びた暴風が全てを薙ぎ払う。
世界ごと吹き飛ばすのではないか危惧する程の衝撃だった。
全てを消し飛ばす爆音は世界を揺らしながら鳴り響く。
凄まじいまでの極光は世界を白一色に塗り替えた。
森羅万象あらゆる存在を許さぬ破壊の渦を前に、大気すらその原型を留めることは許されない。
けたたましく吹き荒れる暴風は、雄たけびを上げながら鬩ぎ合い、空間を断絶するような風圧の層を作り上げた。
世界ごと吹き飛ばすのではないか危惧する程の衝撃だった。
全てを消し飛ばす爆音は世界を揺らしながら鳴り響く。
凄まじいまでの極光は世界を白一色に塗り替えた。
森羅万象あらゆる存在を許さぬ破壊の渦を前に、大気すらその原型を留めることは許されない。
けたたましく吹き荒れる暴風は、雄たけびを上げながら鬩ぎ合い、空間を断絶するような風圧の層を作り上げた。
かつて一撃で世界を切り裂き天地を創造した乖離剣。
その一撃を前に、それまでの世にあるすべての理は立ち消え、すべてはその剣が生み出す新たな理に塗り替えられる。
そう、すべて。
すべてだ。
燃え盛る炎も。崩れ落ちる瓦礫も。
人も、悪魔も。生者も、死者も。敵も、味方も。
彼女自身も。
すべて――――。
その一撃を前に、それまでの世にあるすべての理は立ち消え、すべてはその剣が生み出す新たな理に塗り替えられる。
そう、すべて。
すべてだ。
燃え盛る炎も。崩れ落ちる瓦礫も。
人も、悪魔も。生者も、死者も。敵も、味方も。
彼女自身も。
すべて――――。
――――――――――――――――再生終了――――――――――――――――――――
▽
【参加者インタビュー②】
●スバル・ナカジマ(時空管理局本局 古代遺物管理部機動六課スターズ分隊所属二等陸士/戦闘機人・十五歳)
●スバル・ナカジマ(時空管理局本局 古代遺物管理部機動六課スターズ分隊所属二等陸士/戦闘機人・十五歳)
――螺旋振動エヌマエリシュについて。
あれってそんな名前が付いてるんですか?
いやーなんか恥ずかしいなぁ……。
その、あの時はもう無我夢中で……あたしが絶対にここでやらなくちゃ!って頭が一杯だったっていうか。
後悔は全くありません……って言ったら嘘になりますけど、それでもあんまりないとは思います!
え。一瞬、あの一撃で天元突破仕掛かったんですか?
いやはや、感無量……? マーベラスな感じ……?
……えと、よく分かりません。
その、あの時はもう無我夢中で……あたしが絶対にここでやらなくちゃ!って頭が一杯だったっていうか。
後悔は全くありません……って言ったら嘘になりますけど、それでもあんまりないとは思います!
え。一瞬、あの一撃で天元突破仕掛かったんですか?
いやはや、感無量……? マーベラスな感じ……?
……えと、よく分かりません。
――カレーは美味しかった?
美味しかったですよ。お米のないジャガイモばかりのカレーでしたけど。
あの後、あんなことがなかったらもっと最高だったんですけど……。
あの後、あんなことがなかったらもっと最高だったんですけど……。
――機動六課の面々の活躍について何か思う所は。
うーん、なんか凄いですよね。
ティアもシャマル先生も八神部隊長も……その。
ティアもシャマル先生も八神部隊長も……その。
――そういえば、恋人を求めて暴走していたと一部で噂になっているが。
…………………………あははははは(乾いた笑い)
――最後に、生き残っている参加者に対して一言あれば。
……シャマル先生!
その、あたしから言えることは少ないかもしれません。
何ていうか……そういうの、よく分かりませんし。
その、あたしから言えることは少ないかもしれません。
何ていうか……そういうの、よく分かりませんし。
それがシャマル先生の信じた道だ!って言っちゃうのは簡単なのかもしれません。
でも「頑張ってください」って応援するのが間違っていることだけは分かります。
でも「頑張ってください」って応援するのが間違っていることだけは分かります。
もう一度、よく考えてみて下さい!
そりゃあ、あたしなんかの言葉でもう心を動かされたりはしないだろうけど……。
八神部隊長もきっと同じことを言うと思います。
ヴィータ副隊長もシグナム副隊長もリィン曹長もザフィーラもきっと……。
……信じて、いますから。
そりゃあ、あたしなんかの言葉でもう心を動かされたりはしないだろうけど……。
八神部隊長もきっと同じことを言うと思います。
ヴィータ副隊長もシグナム副隊長もリィン曹長もザフィーラもきっと……。
……信じて、いますから。
▽
杏 「うーん、なのは勢唯一の良心と呼ばれた彼女の台詞には重みがあるわね」
ことみ「……ぶっちゃけ他の連中がロワを放り出してイチャ付き過ぎなの」
杏 「まったくよね……って、なんか地の文が消えてるんだけど!?」
ことみ「台本が駄目なんて……決まりはないの。ラジオや放送関係を文章で表す時は……台本形式にすると昔から決まってるの」
杏 「まぁそりゃそうだけど」
ことみ「それに……もうちょっとだけ続く……ぐらいなの。ずっとじゃ……ないの」
杏 「んーならいいのかしら」
ことみ「そう。これは……ぶっちゃけどこかの生徒会っぽいダベり番組なのだから、台本形式もアリアリなの」
杏 「…………(あれ。これってドキュメンタリー番組じゃなかったかしら……タイトルだって……)」
ことみ「さあ次にいくの」
ことみ「……ぶっちゃけ他の連中がロワを放り出してイチャ付き過ぎなの」
杏 「まったくよね……って、なんか地の文が消えてるんだけど!?」
ことみ「台本が駄目なんて……決まりはないの。ラジオや放送関係を文章で表す時は……台本形式にすると昔から決まってるの」
杏 「まぁそりゃそうだけど」
ことみ「それに……もうちょっとだけ続く……ぐらいなの。ずっとじゃ……ないの」
杏 「んーならいいのかしら」
ことみ「そう。これは……ぶっちゃけどこかの生徒会っぽいダベり番組なのだから、台本形式もアリアリなの」
杏 「…………(あれ。これってドキュメンタリー番組じゃなかったかしら……タイトルだって……)」
ことみ「さあ次にいくの」
(両司会、こほんと咳払い)
杏 「にしても実際に『アニロワ2ndの特徴は恋愛!』とまで言われてた訳だけど」
ことみ「確かにロワ内恋愛の多さは散々槍玉に上がったの」
杏 「なにしろ肝心の天元突破を果たしたのも某夫妻だったしねぇ」
ことみ「散々……罵倒されていたのが懐かしいの」
杏 「アニロワ2ndには七組のカップルがいる、とまで言われてたっけ」
ことみ「そうなの。学校の七不思議と同じで人によってどれを選ぶかは変わってくるけれど……。
【ヴィラル・シャマル】【アイザック・ミリア】【クレア・はやて】【高遠・ティアナ】
【Dボゥイ・ゆたか】【Dボゥイ・舞衣】【ドモン×カミナ】という感じでわたしは選んでみたの」
杏 「……………………」
ことみ「……杏ちゃん? ハッ、これは……わたしのあまりに完璧なチョイスに声も出ないと見たの」
杏 「違うわよっ、何よ最後の一つは! しかも一組だけ真ん中の記号が違うし!」
ことみ「……そういう時はツッコミ用の台詞というものがあるの」
杏 「……台詞?」
ことみ「そう――」
_ _
〃:V::⌒⌒○Y:ヽ なんでやねん
j:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l|.:. l
|:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.:|
|ハ:!.:.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.レj/ ビシッ
ヾ|i:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.iV
x|i:.:.:.V:.:.:.:.:.:八「ヽ ^ー'て
∧!:.:.:.:.'、:.:.:.:.:i:.:.l| ∧ ,xっ (
/ ヘ:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:リ ヽ<ヽ三)
rァ、_/ 〉:.:.:.:.:ハ:.:ノ人 ` 」」
V// ハ{\ノ jイ=' {ゝ-'´
弋>、__/ {/ l ヽ
/ l ',
/ l |
/T7 r┬┬ ┼1T|
〈_/ |│ | | │」」」
/  ̄¨77¨ ̄/
/ /./ /
ことみ「確かにロワ内恋愛の多さは散々槍玉に上がったの」
杏 「なにしろ肝心の天元突破を果たしたのも某夫妻だったしねぇ」
ことみ「散々……罵倒されていたのが懐かしいの」
杏 「アニロワ2ndには七組のカップルがいる、とまで言われてたっけ」
ことみ「そうなの。学校の七不思議と同じで人によってどれを選ぶかは変わってくるけれど……。
【ヴィラル・シャマル】【アイザック・ミリア】【クレア・はやて】【高遠・ティアナ】
【Dボゥイ・ゆたか】【Dボゥイ・舞衣】【ドモン×カミナ】という感じでわたしは選んでみたの」
杏 「……………………」
ことみ「……杏ちゃん? ハッ、これは……わたしのあまりに完璧なチョイスに声も出ないと見たの」
杏 「違うわよっ、何よ最後の一つは! しかも一組だけ真ん中の記号が違うし!」
ことみ「……そういう時はツッコミ用の台詞というものがあるの」
杏 「……台詞?」
ことみ「そう――」
_ _
〃:V::⌒⌒○Y:ヽ なんでやねん
j:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l|.:. l
|:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.:|
|ハ:!.:.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.レj/ ビシッ
ヾ|i:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.iV
x|i:.:.:.V:.:.:.:.:.:八「ヽ ^ー'て
∧!:.:.:.:.'、:.:.:.:.:i:.:.l| ∧ ,xっ (
/ ヘ:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:リ ヽ<ヽ三)
rァ、_/ 〉:.:.:.:.:ハ:.:ノ人 ` 」」
V// ハ{\ノ jイ=' {ゝ-'´
弋>、__/ {/ l ヽ
/ l ',
/ l |
/T7 r┬┬ ┼1T|
〈_/ |│ | | │」」」
/  ̄¨77¨ ̄/
/ /./ /
杏 「……なるほどね」
ことみ「こほん…………まぁ確かに、カップリングの押し付けはよくないの。
それに【ドモン×カミナ】は一年前の出来事だから記憶が風化してしまうのも仕方ないの。
二次創作は鮮度が命……【カミナ×ドモン】じゃないと駄目……という杏ちゃんの意見にも一理あるの」
杏 「そ、そういう意味じゃ……! もう、い、いいからっ! そんなカプ論争なんてアニロワ2ndには関係ないでしょ!」
ことみ「こほん…………まぁ確かに、カップリングの押し付けはよくないの。
それに【ドモン×カミナ】は一年前の出来事だから記憶が風化してしまうのも仕方ないの。
二次創作は鮮度が命……【カミナ×ドモン】じゃないと駄目……という杏ちゃんの意見にも一理あるの」
杏 「そ、そういう意味じゃ……! もう、い、いいからっ! そんなカプ論争なんてアニロワ2ndには関係ないでしょ!」
(杏、激しく赤面。しかし、ことみはジトッとした眼で杏を見る)
ことみ「そうでもないの。
そもそも、二年連続で聖夜にBLが行われるロワなんて……他にはな――あっ、わたし達も参加していたロワがあったの。
とはいえ、それ以外にも原作ネタだけど柊かがみが初めてコミケに参加した時、
フルメタの【ガウルン×宗介】本を読んで悶絶していたのはあまりにも有名。
BLネタとアニロワ2ndには切っても切れない縁があると言わざるを得ないの」
杏 「うっ……と、とにかくっ! 終わりっ! どのカップルが好きかなんて人それぞれってこと! はい、今度こそこの話は終わり!」
ことみ「…………残念」
そもそも、二年連続で聖夜にBLが行われるロワなんて……他にはな――あっ、わたし達も参加していたロワがあったの。
とはいえ、それ以外にも原作ネタだけど柊かがみが初めてコミケに参加した時、
フルメタの【ガウルン×宗介】本を読んで悶絶していたのはあまりにも有名。
BLネタとアニロワ2ndには切っても切れない縁があると言わざるを得ないの」
杏 「うっ……と、とにかくっ! 終わりっ! どのカップルが好きかなんて人それぞれってこと! はい、今度こそこの話は終わり!」
ことみ「…………残念」
(両司会、大きく嘆息)
杏 「でも、この表は結構危険よね」
このみ「というと?」
杏 「ほら、Dボゥイの三角関係よ。弟の相羽シンヤを交えて四角関係にまで発展し掛けた」
ことみ「ああ。確かにとんだギャルゲ主人公なの。フラグ立て過ぎなの」
杏 「……ホント、さっきまで哀愁を帯びた良主人公に見えていたDボゥイが一気に駄目人間に見えて来たわ」
ことみ「『分の悪い賭けは嫌いじゃない』とかいって総攻略していたかも、なの。落とし神化しなくてある意味良かったの」
杏 「アニロワ2ndが昼ドラになっていたら流石に困るしね」
ことみ「わたしとしては【舞衣・ゆたか】も推したかった所なの。でもDボゥイさん周りの矢印が更に酷いことになるから自重したの」
杏 「……パヤパヤ?」
ことみ「(こくり、と頷きつつ)……なの」
このみ「というと?」
杏 「ほら、Dボゥイの三角関係よ。弟の相羽シンヤを交えて四角関係にまで発展し掛けた」
ことみ「ああ。確かにとんだギャルゲ主人公なの。フラグ立て過ぎなの」
杏 「……ホント、さっきまで哀愁を帯びた良主人公に見えていたDボゥイが一気に駄目人間に見えて来たわ」
ことみ「『分の悪い賭けは嫌いじゃない』とかいって総攻略していたかも、なの。落とし神化しなくてある意味良かったの」
杏 「アニロワ2ndが昼ドラになっていたら流石に困るしね」
ことみ「わたしとしては【舞衣・ゆたか】も推したかった所なの。でもDボゥイさん周りの矢印が更に酷いことになるから自重したの」
杏 「……パヤパヤ?」
ことみ「(こくり、と頷きつつ)……なの」
(両者の間に一瞬流れる気まずい空気。杏の視線がことみの胸部にちらりと向けられる。そして、数秒の沈黙――)
杏 「……ごほん! で、でも、これは視聴者によって選出が変わってくる問題よね」
ことみ「真実は……一つとは限らない。例えば……ここにアンケート結果があるの」
杏 「アンケートなんていつの間に……? アニ1st最終回みたいな参加企画はやっていない筈だったと思ったけど」
ことみ「データの出自は脳内で補完して欲しいの。もちろん……ネタ元は禁則事項なの(お約束のポーズを取る)」
杏 「ふぅん」
ことみ「では……発表するの。アンケートに挙がったのは、
〝ドモカミ、ジンスパ、ジンギル、夫妻、相羽兄弟、ラッド清麿、衝撃かがみ、高遠ティアナ、
ドモン&師匠&クロミラ、戴ラン、ランエリ、スバロイ、ワカはや、はやクレ、ルル清、
ジャグ静、ルルチミ、奈緒かがみ、舞ゆた、ニアシータ、こなスバ〟って所なの」
杏 「…………」
ことみ「ちなみに。わたしとしてはやっぱり……受け攻め変化自在なリバカプ、ドモンとカミナが一押し」
杏 「もうあたし、どこから突っ込んでいいのか分からないかも……」
ことみ「まぁ……確かに色々おかしいの。例えば……ランエリ。常識的に考えればランエリじゃなくて、エリラン。
ランサーはヘタレ受が鉄板。エリオもあれは生粋の小悪魔キャラなの。ランサーが攻めとかぶっちゃけありえないの」
杏 「そういう意味じゃ……でもそ、その意見に少しだけ納得してしまう自分が嫌だわ」
ことみ「ランサーが酷い目に合うのはお約束なの」
ことみ「真実は……一つとは限らない。例えば……ここにアンケート結果があるの」
杏 「アンケートなんていつの間に……? アニ1st最終回みたいな参加企画はやっていない筈だったと思ったけど」
ことみ「データの出自は脳内で補完して欲しいの。もちろん……ネタ元は禁則事項なの(お約束のポーズを取る)」
杏 「ふぅん」
ことみ「では……発表するの。アンケートに挙がったのは、
〝ドモカミ、ジンスパ、ジンギル、夫妻、相羽兄弟、ラッド清麿、衝撃かがみ、高遠ティアナ、
ドモン&師匠&クロミラ、戴ラン、ランエリ、スバロイ、ワカはや、はやクレ、ルル清、
ジャグ静、ルルチミ、奈緒かがみ、舞ゆた、ニアシータ、こなスバ〟って所なの」
杏 「…………」
ことみ「ちなみに。わたしとしてはやっぱり……受け攻め変化自在なリバカプ、ドモンとカミナが一押し」
杏 「もうあたし、どこから突っ込んでいいのか分からないかも……」
ことみ「まぁ……確かに色々おかしいの。例えば……ランエリ。常識的に考えればランエリじゃなくて、エリラン。
ランサーはヘタレ受が鉄板。エリオもあれは生粋の小悪魔キャラなの。ランサーが攻めとかぶっちゃけありえないの」
杏 「そういう意味じゃ……でもそ、その意見に少しだけ納得してしまう自分が嫌だわ」
ことみ「ランサーが酷い目に合うのはお約束なの」
(パッとバカップルを映していたスクリーンが切り替わる。
二等分された画面にはデカデカと『豪華客船』と『映画館』の二文字が)
二等分された画面にはデカデカと『豪華客船』と『映画館』の二文字が)
杏 「三大イベントの残り二つである豪華客船と映画館についての特集ね」
ことみ「これも……アニロワ2ndを語る上で絶対に外せないポイントなの。ただ一つ問題があって、」
杏 「ん?」
ことみ「――実はどっちも物語の大筋とはあまり関係ないの」
杏 「……それは……困ったわね」
ことみ「これも……アニロワ2ndを語る上で絶対に外せないポイントなの。ただ一つ問題があって、」
杏 「ん?」
ことみ「――実はどっちも物語の大筋とはあまり関係ないの」
杏 「……それは……困ったわね」
(真面目な顔付きになる二人。が、すぐに気を取り直して)
杏 「この二つはどちらかと言えば、本編を追って見直して貰いたいパートだわ。もちろん、他のパートもそうなんだけど。
それに関係している話数や人間が多くてデパートと違って総括し難い部分もあるし」
ことみ「そんな訳で、ここだけ総集片というよりも予告編的な気分で見て欲しい部分」
杏 「まぁ、とにかく見て貰いましょうか。映像、どうぞ」
ことみ「……ちなみにここまでがAパート。続きはBパートからなの。もちろん……放送局はN○Kだから……CMはなしで直行なの」
それに関係している話数や人間が多くてデパートと違って総括し難い部分もあるし」
ことみ「そんな訳で、ここだけ総集片というよりも予告編的な気分で見て欲しい部分」
杏 「まぁ、とにかく見て貰いましょうか。映像、どうぞ」
ことみ「……ちなみにここまでがAパート。続きはBパートからなの。もちろん……放送局はN○Kだから……CMはなしで直行なの」
(にこやかに笑いながら、一礼する二人)