No Man's Land -同じ人類のうた- ◆jIHhwnBJfg
◇ ◇ ◇
「……お久しぶりです」
「――――! ……ああ、久しぶりだ」
「もしかしたら……とは思ったんすけどね。来てくれて、嬉しいですよ」
「来るさ。友達の命日だからね」
「――――あれから、もうそんなに経ってるんですね」
「ああ、そうだな……色々あったけど、ようやく報告に来る事ができたよ」
「……ニュース見ましたよ。彼女達も元気みたいですね」
「はは、元気すぎて――――ちょっとまあ、休まる事がないくらいかな」
「……髪の毛、全部黒くなっちまいましたね」
「……だね、うん。力を使い切ったからね」
「……あの人みたいですね」
「……そっか。考えてみれば、その通りだな」
「ええ……その通りです」
「――――あいつの夢を見たんだ」
「夢……ですか?」
「……ああ。その夢の中だと、僕達の知ってるあいつの最期とはちょっと違う最期を迎えるんだ、あいつは」
「……俺が、手をかけない、とかですか?」
「君は……出てこなかったよ。あいつを殺したあいつの師匠も、僕たちの知ってるあの男じゃなかった」
「そうっ、すか……まさしく夢ですね、それは……はは」
「ああ、夢だ。だけど、あいつは最期まであいつだったよ。そして――――」
「……そして?」
「……その夢の最期に、あいつは生き返ってきてたんだ。そこで夢は終わってしまったんだけどね」
「……終わらない夢は、ないですよ」
「……そう、だな。それでも……それでも僕は思ったんだよ。
どんな偶然でも生き返れたなら、今度こそ幸せに生きて欲しいって」
どんな偶然でも生き返れたなら、今度こそ幸せに生きて欲しいって」
「幸せ……ですか」
「ああ、幸せだ。だってそうだろ、あいつにはその権利がある」
「……はい。たとえ夢でも、いや、夢だからこそ、せめて……」
「……なれるさ。あいつが望めば、きっと、なれる。
今度こそあいつの生きたかった様に生きて……もう、命を『選ぶ』必要なんて無くなる。
……そんな世界があってもいいと思ったんだ」
今度こそあいつの生きたかった様に生きて……もう、命を『選ぶ』必要なんて無くなる。
……そんな世界があってもいいと思ったんだ」
「ありますよ……俺達の世界じゃ無理でも、そんな世界は、きっと何処かに」
「……そうだな。
ずっとずっと思ってたんだ。僕は心の底から――――」
ずっとずっと思ってたんだ。僕は心の底から――――」
――――あいつに生きていて欲しかったんだって。