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まきしまむはーと  ◆AZWNjKqIBQ



 ◆ ◆ ◆


ゆたかは金属の冷たい感触の上で、まるで道端の石ころの様に小さく丸くまっていた。

また熱が出てきたのだろうか、視界は微妙にたゆたって現実感が少し乏しい。
彼女はその半ば夢の中にいるような感覚で、携帯電話を必死に見詰めている清麿を見ていた。

深すぎて不安になるエレベータと、長くて暗くて怖くてやっぱり長い廊下を、フラフラと彼女はここまでやってきた。
辿り着いた時には擦り剥いた膝や顔色を心配してくれた清麿であったが、
携帯電話と明智からの簡単な伝言を預けると、ほとんどそちらの方へと掛かりきりになってしまった。
どうやら彼は事前に打ち合わせをしていたらしいと解ると、仲間外れにされた気がしてゆたかの心がまた痛む。
それでも清麿は何度かゆたかに声をかけたが、彼女が『眠たい』と言うとそれっきりになってしまった。

片方の頬に触れる床の冷たさが熱を冷まし、彼女の中の嫌いな自分を維持させる。
眠たいと口にしてかまうなと態度を示したのに、かまって貰えない事を恨むというそんな気持ち。
強く一人前でありたいと願う表の自分とは逆の、甘やかされる事に慣れてそれを無意識に期待している自分。
表の自分は熱でドロドロになってしまうのに、裏の自分ばかりが冷たい床を基点にどんどん立ち上がってくる。

目の前でこの殺し合いに立ち向かっている少年を、道化の様に見てしまう斜めに歪んだ自分。
熱のせいで機能を十全に発揮しない脳ではとても多くのことは考えられない。
表の自分が持っているものを維持するスペースはなく、ますます裏の自分に場所を取られてしまう。

――どうせ、みんな死んでしまうのに……。

なんで頑張るんだろう。何か今まで一つでもいいことがこの場所であったのだろうか。
思いつき、そしてそれを自身に向けて、ゆたかはそんなことは一つもなかったと結論を出す。
殺されかけ、知り合いはどんどん死んで、さらわれて、殺し合いを見て、また人が死んで……やっぱり、いいことはない。

――なんで、がんばるんだろう? そんなことしてもどうにもならないのに……。

あけちさん、すみれがわせんせい、たかみねくん……みんな頭がよくて、勇気があって、努力を惜しまない。
でも、それでもいいことはなにもなかったよね。と、ゆたかは思う。イリヤが死んだことをまた思い出す。
寂しさよりも、悲しさよりも、今はもう疲れたという気持ちばっかりだった。

――はやくおわらないかなぁ……これ。

ゆめだったらいいのになぁ……と、ゆたかは思う。そう、これは夢で、起きたらこなたお姉ちゃんがそこにいるんだ、と。
こんな夢を見てしまったのはお姉ちゃんに見せられた映画のせいで、だから起きたらお姉ちゃんに文句を言うんだ、と。
そしたらお姉ちゃんは、ごめんね、ゆーちゃん。って言うんだけど、今度は怖いゲームをプレイさせて………………。


 ◆ ◆ ◆


コロコロと音を立てて、清麿の爪先に蹴られた一本のシズマ管がゆたかの目の前まで転がってくる。

朦朧とした意識の中でゆたかはおかしいな、と疑問を持った。
これってさっきみんなで探そうねって言ってたんじゃなかったけ? いつの間に集まったんだろう?
少しだけ口を動かしてそれを目の前の少年に聞いてみる。


どうやら、探しているものとは少し違うとだけ、ゆたかの理解に届いた。
少し違うぐらいなら、これでいいんじゃ……と思い。それを率直に伝えてみる。


正のちから。負のちから。他にもいろいろと学校の授業で聞いたことのあるような単語が耳を素通りする。
ゆたかが辛うじて理解できたのは、『何が起きるか解らない』……と、それだけだった。
ニュアンスとしては、危ないものだとそう伝わってきた。


もしかしたら爆発でもしてしまうのだろうか、とゆたかはぼんやり考える。
清麿はまた携帯電話に夢中で、こっちを見てはいない。目の前には綺麗な緑色が一本。
やっぱり夢の中だからだろうか、身体の感覚はほとんどないのに勝手に動き始める……。
ゆたかの中の冷たいゆたかが冷たい目でそれを見守っていた。


――全部全部終わっちゃえばいいよ。


持ち上げた緑色を抱えて、孔の一つに差し込むとカチンって音がして……ゆたかの目の前が真っ赤に染まった。


 ◆ ◆ ◆


携帯電話の小さい液晶の中にある3つの光点。
それが、一緒に動き出したのを見て清麿は安堵の溜息を漏らした。
賛同はしたが、明智の考えた案には危ういところも多かった。しかし、二人はリスクと――――、

――清麿の視界が真っ赤に染まる。

更には激しい警告音が球状の室内に反響し始め、何事かと顔を上げて清麿は凍りついた。

アンチシズマドライブの孔に、一本のシズマ管が刺さっていた。
それが真っ赤に光って……いや、それが切欠なのか、部屋中のシズマ管が真っ赤に光っている。

―― 一体どうして? 誰が? ゆたかちゃんが?

さっきまで眠たそうにしていたゆたかは、まるで事切れたかのようにドライブの前に倒れている。
どうしてかは解らないが彼女がシズマ管を刺した――それだけは理解できたが、それは今どうでもいい。

――問題なのは、アンチシズマドライブにノーマルシズマを繋げた場合、何が起こるかだ!

支給品リストのアンチシズマ管の項目によると、アレは通常のドライブに差し込むと瞬間的な暴走を起こすらしい。
ならば、逆のこのパターンはどうなのか? これは一時的なの暴走なのか? それとも決定的な破滅なのか?


――俺はどうすればいいんだ!?


まるで部屋全体が心臓の様にドクンと脈打つ――そんな幻想を清麿はそこに見た。



 ※大怪球がどんなことになってしまうかは、次の書き手さんに一任します。


 【B-7/刑務所地下・大怪球/2日目/深夜】

 【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】
 [状態]:右耳欠損(ガーゼで処置済)、強い決意
 [装備]:イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32)
 [道具]:支給品一式(水ボトルの1/2消費、おにぎり4つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ
      イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!
      無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳
      首輪(エド/解体済み)、首輪(エリオ/解体済み)、首輪(アニタ)、清麿のネームシール、携帯電話
      各種治療薬、各種治療器具、各種毒物、各種毒ガス原料、各種爆発物原料、使い捨て手術用メス×14
 [思考]
  基本-1::螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する。
  基本-2:戦術交渉部隊の技師として、工学/化学的な問題に取り組む。
  0:――どうすればいいんだ!?
  1:大怪球及び、シズマシステムに関する調査、考察。
  2:脱出方法の研究をする。(螺旋力、首輪、螺旋王、空間そのものについてなど包括的に)
  3:周辺で起こっている殺し合いには、極力、関わらない。(有用な情報が得られそうな場合は例外)
  4:研究に必要な情報収集。とくに螺旋力について知りたい。
  5:螺旋王に挑むための仲間(ガッシュ等)を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。
 [備考]
  ※首輪のネジを隠していたネームシールが剥がされ、またほんの少しだけネジが回っています。
  ※ラッドの言った『人間』というキーワードに何か引っかかるものがあるようです。

 [清麿の考察]
  ※監視について
  監視されていることは確実。方法は監視カメラのような原始的なものではなく、螺旋王の能力かオーバーテクノロジーによるもの。
  参加者が監視に気づくかどうかは螺旋王にとって大事ではない。むしろそれを含め試されている可能性アリ。
  ※螺旋王の真の目的について
  螺旋王の目的は、道楽ではない。趣旨は殺し合いではなく実験、もしくは別のなにか(各種仮説を参考)。
  ゆえに、参加者の無為な死を望みはしない。首輪による爆破や、反抗分子への粛清も、よほどのことがない限りありえない。
  【仮説①】【仮説②】【仮説③】をメモにまとめています。
  ※首輪について
  螺旋状に編まれたケーブルは導火線。三つの謎の黒球は、どれか一つが爆弾。
  また、清麿の理解が追いつく機械ではなくオーバーテクノロジーによるもの。
  ネジを回すと、螺旋王のメッセージ付きで電流が流れる。しかし、死に至るレベルではない。
  上記のことから、螺旋王にとって首輪は単なる拘束器具ではなく、参加者を試す道具の一つであると推測。
  螺旋王からの遠隔爆破の危険性は(たとえこちらが大々的に反逆を企てたとしても)限りなく低い。
  ※螺旋力について
  ………………………アルェー?

 【小早川ゆたか@らき☆すた】
 [状態]:気絶、発熱、疲労(中)、心労(極大)、絶望、螺旋力覚醒
 [装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン
 [道具]:デイバック、支給品一式、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]
      鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)
      M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
      参加者詳細名簿、詳細名簿+、支給品リスト、考察メモ、警戒者リスト、ダイヤグラムのコピー、首輪(キャロ)
 [思考]
  基本:なんだかどうでもよくなってしまった。
  0:???
  1:苦しいのは嫌だけど、楽になりたい。
  2:誰のことを思っても心が苦しい。
 [備考]
  ※コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました。
  ※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。


 ※保有するアイテムの詳細は、以下の通り。

 【参加者詳細名簿】
  全参加者の簡単なプロフィールと、その人物に関するあだ名や悪評、悪口などが書かれた名簿です。

 【参加者詳細名簿+】
  全参加者の個人情報と、その人物に関する客観的な経歴が記されています。情状など主観になる事は書かれていません。
  ※読子・リードマンとアニタ・キングのページはねねねが破いて捨ててしまいました。

 【警戒者リスト】
  ねねねがメモに書いた、要注意人物のリスト。自分、または仲間が遭遇した危険人物の名前が書き連ねてあります。
  「高遠遙一」「ロイ・マスタング」「ビシャス」「相羽シンヤ」「東方不敗」「鴇羽舞衣」「ニコラス・D・ウルフウッド」
  また、仲間がゲーム参加以前で敵対していた人物や、詳細名簿のプロフィールから要警戒と判断した人物を要注意人物として記載しています。
  「ギルガメッシュ」「言峰綺礼」 「ラッド・ルッソ」他。

 【全支給品リスト】
  螺旋王が支給した全アイテムが記されたカタログ。正式名称と写真。使い方、本来の持ち主の名が記載されています。

 【携帯電話】
  通常の携帯電話としての機能の他に、参加者の画像閲覧と、参加者の位置検索ができる機能があります。
  また、いくつかの電話番号がメモリに入っています。(※判明しているのは映画館の電話番号、他は不明)
  [位置検索]
  参加者を選び、パスを入力することで現在位置を特定できる。(※パスは支給された支給品名。全て解除済み)
  現在位置は首輪からの信号を元に検出される。

 【ダイヤグラムのコピー】
  明智健吾がD-4にある駅でコピーしてきた、モノレールのダイヤグラム。

 【首輪】
  明智健吾が死体から回収した、キャロ・ル・ルシエの首輪。

 【考察メモ】
  雑多に書き留められた大量のメモ。明智、ねねねの考察や、特定時間の参加者の位置などが書き残されている。

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245:【ZOC】 絶望の器 (前) 高嶺清麿 249:てのひらのたいよう(前編)
245:【ZOC】 絶望の器 (前) 小早川ゆたか 249:てのひらのたいよう(前編)




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