BACCANO -集合編- ◆Wf0eUCE.vg
■一方その頃観客達は
「事態が変わりました。これより映画館に対してアプローチをかけます」
ねねねと共に、刑務所の外から戻ってきた明智健悟はそう切り出した。
ここは長机と椅子がずらり立ち並ぶ食堂内。
そこに集まった皆は席に付き、明智の言葉に耳を傾けていた。
そこに集まった皆は席に付き、明智の言葉に耳を傾けていた。
「その前に、イリヤ君には先に謝って起きます。我々は衛宮君を見捨てました」
「……あ」
既に察していた事だが、改めて言われると流石に辛い。
だが、イリヤは努めて強く振舞おうと涙を堪える。
「……あ」
既に察していた事だが、改めて言われると流石に辛い。
だが、イリヤは努めて強く振舞おうと涙を堪える。
「ですが、その衛宮君の生存が今しがた確認できました」
「え? 嘘。シロウ生きてるの!?」
あまりに予想外の言葉に思わずイリヤは素っ頓狂な声を上げた。
「え? 嘘。シロウ生きてるの!?」
あまりに予想外の言葉に思わずイリヤは素っ頓狂な声を上げた。
「はい。生きているとわかった以上、捨て置く訳にも行きません。
ですが、状況は先ほど以上に予断を許さない。
衛宮君救出のためには早急な対処が必要となるでしょう」
そう強く言い切る明智だったが、最後に小さく、まぁルッソ氏に関しては自業自得ですが、と一言加えておく。
ですが、状況は先ほど以上に予断を許さない。
衛宮君救出のためには早急な対処が必要となるでしょう」
そう強く言い切る明智だったが、最後に小さく、まぁルッソ氏に関しては自業自得ですが、と一言加えておく。
「先ほど以上に予断を許さないというのは?」
先を促したのは、つい先ほどこの一団と合流した少年、高瀬清麿だった。
先を促したのは、つい先ほどこの一団と合流した少年、高瀬清麿だった。
「ええ。清麿君にも説明した東方不敗以外にも、危険人物であるギルガメッシュ、及び藤乃静留、結城奈緒、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
以上の4名が衛宮君とルッソ氏のいる映画館に向かっていることが判明しました」
以上の4名が衛宮君とルッソ氏のいる映画館に向かっていることが判明しました」
ギルガメッシュ。その名前を聞いたイリヤの心臓がトクンと跳ねた。
第五回聖杯戦争における鬼札。
存在するはずのない第八のサーヴァント。
それが、今シロウのもとに向かっているというのだ。
第五回聖杯戦争における鬼札。
存在するはずのない第八のサーヴァント。
それが、今シロウのもとに向かっているというのだ。
「で、明智よ。なにか策はあるのか?」
「そうですね。リスク避けるのであれば、ルッソ氏を信じて待つほかないでしょう。
我々がそんな超危険区域に駆けつけたところで、死体が五つ増えるだけですから」
「至極まっとうな意見ではあるが、それはつまり策なしと?」
「いえ、そういうわけでは、あくまでリスクを避けるのであればという話です」
「そうですね。リスク避けるのであれば、ルッソ氏を信じて待つほかないでしょう。
我々がそんな超危険区域に駆けつけたところで、死体が五つ増えるだけですから」
「至極まっとうな意見ではあるが、それはつまり策なしと?」
「いえ、そういうわけでは、あくまでリスクを避けるのであればという話です」
「――チェスと将棋の一番の違いってわかりますか?」
そんな事をいって、唐突に明智とねねねの会話に割り込んできたのは清麿だった。
こんなときに何を言うのかと、誰もが思ったが、その言葉に明智は一人満足げに頷いた。
こんなときに何を言うのかと、誰もが思ったが、その言葉に明智は一人満足げに頷いた。
「流石です清麿くん。私も同じ考えです」
「なら」
「ええ、彼しかいません。問題はどうやって彼にアプローチをかけるかですが、」
「なら」
「ええ、彼しかいません。問題はどうやって彼にアプローチをかけるかですが、」
「ちょとまてお前等、二人で話を進めるな」
そう言って、ねねねは二人しかわからない会話と続けようとする二人を静止する。
そう言って、ねねねは二人しかわからない会話と続けようとする二人を静止する。
「おっと、これは失礼。
では菫川先生。先ほど清麿くんが言ったチェスと将棋の違いはご存知ですか?」
「え? そりゃ、駒の動きとか駒成りとか、あと、あ、そうか」
少し考えて、ねねねにもこの二人がなにを考えているのか理解できた。
では菫川先生。先ほど清麿くんが言ったチェスと将棋の違いはご存知ですか?」
「え? そりゃ、駒の動きとか駒成りとか、あと、あ、そうか」
少し考えて、ねねねにもこの二人がなにを考えているのか理解できた。
「つまり、映画館に向かってる奴等をこちらの味方につけると?」
「ええ、そうです。敵だった駒が味方になる。これが将棋における一番の醍醐味でしょう。
映画館に向かっているのは東方不敗、ルッソ氏、衛宮君を除けば4名。
まずヴァッシュ・ザ・スタンピード。彼は資料を読む限り、白である可能性は限りなく高い。よって彼については問題ないでしょう。
そして残り3人はこの場におけるスタンスが不明なグレー。この3名をこちらに引きこむことができれば状況は一転する」
「できるのか?」
「まあ、3人全部は無理でも対象を絞り込めば可能だと考えています」
そう言って明智は机の上に詳細名簿を広げた。
映画館に向かっているのは東方不敗、ルッソ氏、衛宮君を除けば4名。
まずヴァッシュ・ザ・スタンピード。彼は資料を読む限り、白である可能性は限りなく高い。よって彼については問題ないでしょう。
そして残り3人はこの場におけるスタンスが不明なグレー。この3名をこちらに引きこむことができれば状況は一転する」
「できるのか?」
「まあ、3人全部は無理でも対象を絞り込めば可能だと考えています」
そう言って明智は机の上に詳細名簿を広げた。
「結城奈緒は単独行動ですが、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ギルガメッシュ、藤乃静留は行動を共にしている。
資料を見る限り、ギルガメッシュも藤乃静留も非常に黒に近いグレーですが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがいます。
つまり、彼等も士郎君と行動を共にしていたルッソ氏と同じように、性格面を考慮しても限定的ではあるが対ロージェノムを目指している可能性が高い」
資料を見る限り、ギルガメッシュも藤乃静留も非常に黒に近いグレーですが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがいます。
つまり、彼等も士郎君と行動を共にしていたルッソ氏と同じように、性格面を考慮しても限定的ではあるが対ロージェノムを目指している可能性が高い」
「そう、そしてこの場において取り除くべき最大の驚異であり。
説得の余地がある相手となれば、交渉すべき相手はこいつしかいない」
説得の余地がある相手となれば、交渉すべき相手はこいつしかいない」
明智の後を継ぐように清麿は、バンと叩き付けるように、詳細名簿の1ページを開く。
そのページに書かれていた名は――――英雄王ギルガメッシュ。
そのページに書かれていた名は――――英雄王ギルガメッシュ。
「問題はギルガメッシュと衛宮君がかつて敵対関係にあったという事ですが。
逆に言えば、ギルガメッシュが積極的に殺し合うつもりがないのならば争う理由はそれだけであり、ここで争う理由はないという事にもなります。
この場における利害関係が一致すれば、少なくともこの場においては協力関係が築けるはずです」
「……なるほど、確かに現状を考えるにそれしかなさそうだが、どうやって相手に呼びかけるんだ?
まさかあのロボットを使って交渉するわけにもいかんだろう?」
まさか説得をガジェットドローンに貼り付けたメモ帳で行うわけにもいかない。
そんなちまちまメモ帳の交換で意思表示をしている間に、手遅れになる可能性のほうが遥かに高い。
逆に言えば、ギルガメッシュが積極的に殺し合うつもりがないのならば争う理由はそれだけであり、ここで争う理由はないという事にもなります。
この場における利害関係が一致すれば、少なくともこの場においては協力関係が築けるはずです」
「……なるほど、確かに現状を考えるにそれしかなさそうだが、どうやって相手に呼びかけるんだ?
まさかあのロボットを使って交渉するわけにもいかんだろう?」
まさか説得をガジェットドローンに貼り付けたメモ帳で行うわけにもいかない。
そんなちまちまメモ帳の交換で意思表示をしている間に、手遅れになる可能性のほうが遥かに高い。
「ええ、この作戦の一番の問題はそこです。
彼等が都合よく映画館に立ち寄ってくれればいいのですが。確率としては薄いでしょう。
となれば、彼に協力を呼びかけるメッセンジャーが必要となるわけです」
彼等が都合よく映画館に立ち寄ってくれればいいのですが。確率としては薄いでしょう。
となれば、彼に協力を呼びかけるメッセンジャーが必要となるわけです」
「それならオレが行きます。暴走してるラッドの奴も連れ戻さなきゃならないし」
ラッドに関する責任感からか清麿がそう申し出るが、明智はその申し出に対し静かに首を振る。
ラッドに関する責任感からか清麿がそう申し出るが、明智はその申し出に対し静かに首を振る。
「いえ、交渉には私が行きましょう。
時は一刻を争う。私なら映画館までなら10分と経たず到着できます。こう見えても私の100mのタイムは11秒台ですから。
それにルッソ氏相手に不甲斐ない結果を見せてしまいましたが、ロスでは交渉術を少々かじっていましたから」
そう申し出る明智だったが。
彼にも、一度衛宮士郎を見捨てた自責の念がないとは言えないだろう。
時は一刻を争う。私なら映画館までなら10分と経たず到着できます。こう見えても私の100mのタイムは11秒台ですから。
それにルッソ氏相手に不甲斐ない結果を見せてしまいましたが、ロスでは交渉術を少々かじっていましたから」
そう申し出る明智だったが。
彼にも、一度衛宮士郎を見捨てた自責の念がないとは言えないだろう。
「いや、やっぱりオレが、」
「いえ、私が、」
互いに責任感からか、その役目を譲ろうとしない二人だったが、白い少女が二人の言葉を遮り立ち上がった。
「いえ、私が、」
互いに責任感からか、その役目を譲ろうとしない二人だったが、白い少女が二人の言葉を遮り立ち上がった。
「いいえ。二人とも駄目よ、映画館にはわたしが行くわ」
立ち上がった少女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは白銀の髪を掻きあげながらそう告げた。
■誰もがこの状況を突っ込まずにはいられない
「なっ……!?」
その乱入者の姿を確認し衛宮士郎は絶句し動きを止めた。
そこに彼が見たものは予想通りの姿であり、あまりにも予想外な乱入者の姿だった。
その乱入者の姿を確認し衛宮士郎は絶句し動きを止めた。
そこに彼が見たものは予想通りの姿であり、あまりにも予想外な乱入者の姿だった。
現れた乱入者は、悠然と対峙する東方不敗と衛宮士郎の間を歩いてゆく。
一直線に、一人の少女へと向かって。
一直線に、一人の少女へと向かって。
少女は二度と聞く事のないと思った声を聞いた。
二度と会えないと思った。
もう死んでしまったと。
そう思っていたんだ。
二度と会えないと思った。
もう死んでしまったと。
そう思っていたんだ。
「なにをしてるナオ。主君の帰還であるぞ。面を上げよ」
だけど聞こえた声は幻聴なんかじゃない。
だから、顔を上げて、夜に向かってその名を呼ぶ。
だけど聞こえた声は幻聴なんかじゃない。
だから、顔を上げて、夜に向かってその名を呼ぶ。
「ギルg……って、なんじゃその格好ぉぉ!?」
思わず夜に向かって突っ込みを叫んだ。
猫だった。
黒い、猫だった。
頭にはネコミミを携え、もはやその体躯は金ピカどころか真っ黒である。
そんな格好をしておきながら、恥ずかしがるどころか、むしろ見せつけてやってるんじゃボケ、と言わんばかりの威風堂々っぷりである。
なんかもう感動の再会も、緊張感もなんもかも台無しなのである。
猫だった。
黒い、猫だった。
頭にはネコミミを携え、もはやその体躯は金ピカどころか真っ黒である。
そんな格好をしておきながら、恥ずかしがるどころか、むしろ見せつけてやってるんじゃボケ、と言わんばかりの威風堂々っぷりである。
なんかもう感動の再会も、緊張感もなんもかも台無しなのである。
「ってアンタなんで生き、っていうか藤乃!? なんでアンタが金ピカとッ、え、え???」
ギルガメッシュの後に佇む藤乃静留の姿を見て、奈緒の混乱はここに極まった。
というか、もう突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいのかわからない。
ギルガメッシュの後に佇む藤乃静留の姿を見て、奈緒の混乱はここに極まった。
というか、もう突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいのかわからない。
「あぁもう! とにかく」
ごちゃごちゃになった頭はすぐには整理出来そうもないので。
とりあえず、一番言いたかった言葉を口にすることにする。
懐から取り出した鎧の破片を言葉と共に相手に投げつける。
ごちゃごちゃになった頭はすぐには整理出来そうもないので。
とりあえず、一番言いたかった言葉を口にすることにする。
懐から取り出した鎧の破片を言葉と共に相手に投げつける。
「あんま心配かけんな、バカ!」
「ふん。誰がバカだ」
ギルガメッシュは投げつけられたその破片を、何の苦もなく片手で受け止めそう言いかえす。
相変わらず憎らしい程の余裕と強さに、奈緒は安堵ともなんともつかない感情を覚えた。
「ふん。誰がバカだ」
ギルガメッシュは投げつけられたその破片を、何の苦もなく片手で受け止めそう言いかえす。
相変わらず憎らしい程の余裕と強さに、奈緒は安堵ともなんともつかない感情を覚えた。
「あらあら。結城はん、意外とええ男の趣味しはりましたんやな」
そこに割り込む旧知の顔。
旧知と言っても仲良しこよしという仲ではない、むしろ最悪な相手なのだが。
そこに割り込む旧知の顔。
旧知と言っても仲良しこよしという仲ではない、むしろ最悪な相手なのだが。
「うっさい。ていうか、マジなんでアンタがいんのよ。なに企んでる訳?」
「いややわ。企むやなんて人聞きの悪い。
あんま昔の事、根に持って人のこと悪ぅ言うんは関心しまへんな」
「はぁ? 何、喧嘩売ってんのアンタ?」
「まあまあまあ、喧嘩はやめようよ二人とも」
「なにアンタ、って言うか誰?
関係ないやつは引っ込んでろ、つーの」
「せやね。うちはただ昔のお友達と仲よう喋ってただけですえ。
ヴァッシュはんは関係おまへんな。下がっておくれやし」
「え、酷い。静留さんまで!?」
「はっはっは。騒々しいぞ雑種ども、あまり騒いでは周りのオケラどもに迷惑であろう」
「いややわ。企むやなんて人聞きの悪い。
あんま昔の事、根に持って人のこと悪ぅ言うんは関心しまへんな」
「はぁ? 何、喧嘩売ってんのアンタ?」
「まあまあまあ、喧嘩はやめようよ二人とも」
「なにアンタ、って言うか誰?
関係ないやつは引っ込んでろ、つーの」
「せやね。うちはただ昔のお友達と仲よう喋ってただけですえ。
ヴァッシュはんは関係おまへんな。下がっておくれやし」
「え、酷い。静留さんまで!?」
「はっはっは。騒々しいぞ雑種ども、あまり騒いでは周りのオケラどもに迷惑であろう」
生死をかけた戦いをしていたはずのその空気は、乱入者によってなんかもうすっかり漫才色に染まっていた。
状況の変化について行けないのか東方不敗は押し黙ったままその光景を眺めている。
そして同じく衛宮士郎も無言で、宿敵であるギルガメッシュの出方を窺っていた。
状況の変化について行けないのか東方不敗は押し黙ったままその光景を眺めている。
そして同じく衛宮士郎も無言で、宿敵であるギルガメッシュの出方を窺っていた。
「さて、と」
漫才ムードの中心核であったギルガメッシュのしきり直す様なその呟き。
そして、ギルガメッシュが士郎と東方不敗に向きなおったその瞬間、緩んだ空気は一瞬で元ある形に戻っていった。
いや、元に戻るどころの騒ぎではない。
次にギルガメッシュが口を開いた瞬間、この場はこれまで以上の緊張感に包まれる事になる。
漫才ムードの中心核であったギルガメッシュのしきり直す様なその呟き。
そして、ギルガメッシュが士郎と東方不敗に向きなおったその瞬間、緩んだ空気は一瞬で元ある形に戻っていった。
いや、元に戻るどころの騒ぎではない。
次にギルガメッシュが口を開いた瞬間、この場はこれまで以上の緊張感に包まれる事になる。
「――――で? どいつから死にたいのだ?」
■変た……英雄王やっぱり慢心する
「えーっと。ちょっとちょっと。ギルガメッシュさん。
ついさっきまで、感動の再会に花咲かせてたと思うんだけど。なんでそういう話に?
唐突過ぎてまったく話の流れが掴めないんだけど?
というか、協力してくれる人を探すため交友的にいくって話じゃなかったっけ?」
ついさっきまで、感動の再会に花咲かせてたと思うんだけど。なんでそういう話に?
唐突過ぎてまったく話の流れが掴めないんだけど?
というか、協力してくれる人を探すため交友的にいくって話じゃなかったっけ?」
赤いコートのツンツン頭、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがまったくもってして、尤もな突っ込みをいれる。
だが、それはどうやら余人の観点でしかなかったらしく、その言葉に英雄王は甚く不満気にこう答えた。
だが、それはどうやら余人の観点でしかなかったらしく、その言葉に英雄王は甚く不満気にこう答えた。
「何を言うか。そこのそれはもとより生かしておく価値のない紛い物だ。
そして、そこの老いぼれは我のモノに手を出した。
そら? 誰一人として生かしておく理由がないではないか」
「いやいやいやいや。お友達に手を出されて怒るのはわかるけど。
とりあえず話し合いで解決してみるおつもりは?」
「ないな」
「ないんだ」
即答だった。
それでも、乱心するギルガメッシュを止めようとヴァッシュが言葉を続けようとした瞬間、
そして、そこの老いぼれは我のモノに手を出した。
そら? 誰一人として生かしておく理由がないではないか」
「いやいやいやいや。お友達に手を出されて怒るのはわかるけど。
とりあえず話し合いで解決してみるおつもりは?」
「ないな」
「ないんだ」
即答だった。
それでも、乱心するギルガメッシュを止めようとヴァッシュが言葉を続けようとした瞬間、
「……ハハ、ヒャハハハハハッハッハハ!」
唐突に、下卑た笑いが割り込んできた。
それは、仰向けに倒れこみ、それまでピクリとも動かなかった白服の口から発せられていた。
跳ね上がるバネの様な勢いで、白服は上半身を起こす。
そして、左腕の手首と肘の間、曲がってはいけない場所をブラブラ振り回しながらギルガメッシュ目掛けて血まみれの口で咆えた。
それは、仰向けに倒れこみ、それまでピクリとも動かなかった白服の口から発せられていた。
跳ね上がるバネの様な勢いで、白服は上半身を起こす。
そして、左腕の手首と肘の間、曲がってはいけない場所をブラブラ振り回しながらギルガメッシュ目掛けて血まみれの口で咆えた。
「誰から死にたいだぁ? 状況見て言ってんのかテメェ。
このジジイを、この俺を余裕で殺せるってか? 嘗めてんのかテメェ!?
世の中全てが自分の思い通りになるとでも勘違いしてんじゃねぇか? あぁん!?」
このジジイを、この俺を余裕で殺せるってか? 嘗めてんのかテメェ!?
世の中全てが自分の思い通りになるとでも勘違いしてんじゃねぇか? あぁん!?」
目を覚ますや否や、言いがかりにも似た言葉を撒き散らすラッドだが、その言葉にギルガメッシュは酷く不思議そうな顔をして答える。
「勘違い? おかしなことを言う。
この我が貴様と贋作者と老いぼれを、葬り去るのに何の問題があると言うのだ?」
「あ゙?」
「それに、この身は人類最古の英雄王なるぞ。
所詮、今この世にある全ての物はその昔我が所有していた物の発展物に過ぎん。
つまり、この世は全て我の物。故にこの我の思いどおりにならぬものなど存在せぬ」
この我が貴様と贋作者と老いぼれを、葬り去るのに何の問題があると言うのだ?」
「あ゙?」
「それに、この身は人類最古の英雄王なるぞ。
所詮、今この世にある全ての物はその昔我が所有していた物の発展物に過ぎん。
つまり、この世は全て我の物。故にこの我の思いどおりにならぬものなど存在せぬ」
そう言ってのけるギルガメッシュは慢心していた。
東方不敗の常識外れた実力が英雄王の眼力に適わぬはずもない。
にもかかわらず、英雄は誰がどう見ても確実に慢心していた。
東方不敗の常識外れた実力が英雄王の眼力に適わぬはずもない。
にもかかわらず、英雄は誰がどう見ても確実に慢心していた。
衝撃のアルベルトと戦闘、敗北を経てギルガメッシュはこのバトルロワイアルに対する認識を確かに変えた。
そう、これまでは退屈しのぎにしかならない物見遊山程度だった認識も、今や楽しみがいのある遊戯の舞台だという認識へと変貌を遂げたのだ。
未だこの事態を戦場と認識しないその価値観には慢心が見て取れるだろうが。
それが彼の王道なれば。なにがあろうと慢心は捨てない。
だが、遊戯とて負けるのは性に合わぬ故、油断は捨てよう。
つまり、今のギルガメッシュに慢心はあれど油断はない。
そう、これまでは退屈しのぎにしかならない物見遊山程度だった認識も、今や楽しみがいのある遊戯の舞台だという認識へと変貌を遂げたのだ。
未だこの事態を戦場と認識しないその価値観には慢心が見て取れるだろうが。
それが彼の王道なれば。なにがあろうと慢心は捨てない。
だが、遊戯とて負けるのは性に合わぬ故、油断は捨てよう。
つまり、今のギルガメッシュに慢心はあれど油断はない。
「……テメェ。それ、本気で言ってんのか?」
それは、ラッド・ルッソらしからぬ、底冷えするような静かな声だった。
ともすれば、まるではちきれる寸前まで伸びきったゴムを思わせる。
ラッドのテンションは今、三回転半して最低ラインに下がっていた。
何がきっかけでそのゲージが爆発してもおかしくない状態だ。
だが、その張り詰めた空気もまったく気にせず、ギルガメッシュはさも当然のように言い切った。
ともすれば、まるではちきれる寸前まで伸びきったゴムを思わせる。
ラッドのテンションは今、三回転半して最低ラインに下がっていた。
何がきっかけでそのゲージが爆発してもおかしくない状態だ。
だが、その張り詰めた空気もまったく気にせず、ギルガメッシュはさも当然のように言い切った。
「当然だ。我は貴様のような狂犬如きが拝顔の栄にあたるもおこがましい真なる王であるぞ?
この世は天上天下、時空の果てまで我の物だ」
この世は天上天下、時空の果てまで我の物だ」
「ぁ――――」
どこまでも傲慢なその言葉を聞いて、ラッド・ルッソの中で何かが切れた。
■殺人鬼、すごく怒る
ラッド・ルッソは計算高い男である。
その行動の根源が自らの欲求を満たすためだけにある点に目を瞑れば、その行動は非常に打算と計算に基づき理に適っている。
相手の心理に付け込む手腕に関しては天才的ともいえるだろう。
加えて、友人兼恋人兼婚約者であるルーアには及ばないものの、相手の力量を測る力も確かだ。
その観点からすれば、頭のおかしな格好した男は、たぶん驚くほど強いのだろう。
ひょっとしたら、自分が手も足も出なかった爺さんより強いのかもしれない。
加えてこちらはその爺さんとの戦いでボロボロだ。
武器もほとんどを使い果たし、東方不敗の最後の一撃をなんとか防いだ左腕は完璧に折れてる。
どう贔屓目に見たって勝ち目なんてあるとは思えない。
相手の心理に付け込む手腕に関しては天才的ともいえるだろう。
加えて、友人兼恋人兼婚約者であるルーアには及ばないものの、相手の力量を測る力も確かだ。
その観点からすれば、頭のおかしな格好した男は、たぶん驚くほど強いのだろう。
ひょっとしたら、自分が手も足も出なかった爺さんより強いのかもしれない。
加えてこちらはその爺さんとの戦いでボロボロだ。
武器もほとんどを使い果たし、東方不敗の最後の一撃をなんとか防いだ左腕は完璧に折れてる。
どう贔屓目に見たって勝ち目なんてあるとは思えない。
だが、それとこれとは話が別だ。
この男は、まるで当たり前のような態度で。
この男は、当然だと言わんばかりの声で。
この男は、嘗めたことを抜かしやがった。
この男は、許せないことを言いやがった。
この男は、当然だと言わんばかりの声で。
この男は、嘗めたことを抜かしやがった。
この男は、許せないことを言いやがった。
もう、欲望も計算も利益も快楽も一切関係ない。
ただ純粋に目の前の男を殺したい。
いや、殺さなければならない。
今ここでこの男を殺さなかったら、ラッド・ルッソはラッド・ルッソでなくなってしまう。
だから殺す。
ただ純粋に目の前の男を殺したい。
いや、殺さなければならない。
今ここでこの男を殺さなかったら、ラッド・ルッソはラッド・ルッソでなくなってしまう。
だから殺す。
ラッド・ルッソは立ち上がる。
立ち上がれるのが不思議な程肉体はボロボロだったが、どういうわけか体は力に満ち溢れていた。
まるで、全身を巡る殺意がすべて力に変わるようだ。
立ち上がれるのが不思議な程肉体はボロボロだったが、どういうわけか体は力に満ち溢れていた。
まるで、全身を巡る殺意がすべて力に変わるようだ。
この殺意をすべてブチ撒けて、薄ら笑いを浮かべる男を殺して殺して殺し尽くしてやる。
そう思うと、自然と腹の底から笑いが込み上げてきた。
そう思うと、自然と腹の底から笑いが込み上げてきた。
「フ、ヘヘッ……フハハ、ハッハッハッハ!
…… 殺してやる。殺してやるよ。ブッ殺してやる。即殺す。今殺す。すぐ殺す。死んでも殺す。死ぬまで殺す。完膚なきまでに殺す。徹底的に殺す。大々的に殺す。芸術的に殺す。殺してからまた殺す。死んでからも殺して殺して殺し続けてやるよ。ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
…… 殺してやる。殺してやるよ。ブッ殺してやる。即殺す。今殺す。すぐ殺す。死んでも殺す。死ぬまで殺す。完膚なきまでに殺す。徹底的に殺す。大々的に殺す。芸術的に殺す。殺してからまた殺す。死んでからも殺して殺して殺し続けてやるよ。ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
奥底から憎しみを吐きだす呪詛のような呟きだった。
本当に壊れてしまったのではないかと思えるような声で、ラッド・ルッソは笑い続けた。
だが別に彼は壊れたわけじゃない。
何せ、彼は既にもうこれ以上壊れようのないほど壊れてるのだから。
ただ今は、少しばかしそのタガが外れただけだ。
本当に壊れてしまったのではないかと思えるような声で、ラッド・ルッソは笑い続けた。
だが別に彼は壊れたわけじゃない。
何せ、彼は既にもうこれ以上壊れようのないほど壊れてるのだから。
ただ今は、少しばかしそのタガが外れただけだ。
―――イカれてる。
その場にいる誰もがラッド・ルッソに抱いた感想である。
だが、当の殺意の対象である英雄王はそんな事を気にせず、涼しい顔で笑っていた。
その場にいる誰もがラッド・ルッソに抱いた感想である。
だが、当の殺意の対象である英雄王はそんな事を気にせず、涼しい顔で笑っていた。
「はっ。吠えるな狂犬、耳が穢れる」
英雄王の嘲りに、殺人鬼の笑みがピタリと止まる。
そして、時が止まったように睨み合った二人は、唐突に互いに喉を鳴らして、くっと笑い。
そして、時が止まったように睨み合った二人は、唐突に互いに喉を鳴らして、くっと笑い。
ほぼ同時に、相手目掛けて手にした凶器を投げつけた。
ラッド右手から投げ放たれたナイフは風を切り裂き。
銀色の閃光は正確にギルガメッシュの額に迫る。
対して、ギルガメッシュが投擲したのは奈緒から受け取った自身の鎧の破片だ。
宝具にも匹敵する鎧の破片、その強度は折り紙つきである。
加えて仮にも弓の英霊の放った投擲物である、その勢いは弾丸にも迫るだろう。
瞬き一つ終わる間に相手に突き刺さるはずだったそれはしかし。
銀色の閃光は正確にギルガメッシュの額に迫る。
対して、ギルガメッシュが投擲したのは奈緒から受け取った自身の鎧の破片だ。
宝具にも匹敵する鎧の破片、その強度は折り紙つきである。
加えて仮にも弓の英霊の放った投擲物である、その勢いは弾丸にも迫るだろう。
瞬き一つ終わる間に相手に突き刺さるはずだったそれはしかし。
鳴り響いた一つの銃声によって、明後日の方向に弾き飛ばされた。
「ストップ。二人ともいい加減そこまで」
誰もが息を呑むその空間の中心に、真紅になびくコートが台風の如く飛び込んだ。
それは、最強のガンマン。人型プラント。600億$$の男。
人類初の局地災害指定を受けた人間台風、ヴァッシュ・ザ・スタンピードである。
それは、最強のガンマン。人型プラント。600億$$の男。
人類初の局地災害指定を受けた人間台風、ヴァッシュ・ザ・スタンピードである。
「テメェ……今何しやがった」
割り込んだヴァッシュを睨み付けるラッドの疑問も当然である。
響いた銃声は一つ。
だが、撃ち落とされた飛来物は二つ。
この矛盾を平然と成し遂げた、人間台風は殺人鬼の動きを制するように銃口を向けた。
響いた銃声は一つ。
だが、撃ち落とされた飛来物は二つ。
この矛盾を平然と成し遂げた、人間台風は殺人鬼の動きを制するように銃口を向けた。
「ヒ・ミ・ツ。暴れるの止めたら教えてあげるよ」
その瞬間何が起きたのか。
恐らくこの場において、それを認識できたのは東方不敗とギルガメッシュだけだろう。
いや、この二人でも正確に捉えることができたかどうか。
恐らくこの場において、それを認識できたのは東方不敗とギルガメッシュだけだろう。
いや、この二人でも正確に捉えることができたかどうか。
飛来物が交差し重なりあう、その刹那にも満たぬ瞬間。
ヴァッシュはその二つを同時に横から撃ちぬいたのだ。
弾丸を横から弾丸で撃ち落とすなど、神業じみた芸当だ。
加えて、それが二つ同時となれば、雪崩を一本のストローに流し込むような精密射撃だろう。
そして、人の知覚を超える神速の早撃ち。
およそガンマンとして最高の技能を以って、狂宴の中心に舞いこんだ赤い台風は、およそ場違いともいえる柔らかな笑顔でこう言った。
ヴァッシュはその二つを同時に横から撃ちぬいたのだ。
弾丸を横から弾丸で撃ち落とすなど、神業じみた芸当だ。
加えて、それが二つ同時となれば、雪崩を一本のストローに流し込むような精密射撃だろう。
そして、人の知覚を超える神速の早撃ち。
およそガンマンとして最高の技能を以って、狂宴の中心に舞いこんだ赤い台風は、およそ場違いともいえる柔らかな笑顔でこう言った。
「とりあえずさ。殺すとか殺さないとか、そいういう物騒な話はヤメにしない?」
【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ! 螺旋力覚醒】
■それでも人間台風は理想を掲げる
「は。なにを言うかと思えば、戯言を」
割り込んできたヴァッシュをギルガメッシュは鼻で笑った。
ヴァッシュの手にした銃口は、動きを牽制するようにラッドに向いている。
先ほどの神業じみた早撃ちを見るに、それは何の枷にもならないのだろうが。
ヴァッシュの手にした銃口は、動きを牽制するようにラッドに向いている。
先ほどの神業じみた早撃ちを見るに、それは何の枷にもならないのだろうが。
「そう言う貴様の手にしたそれはなんだ? 我の時代にはなかったものだぞ?
それは、人が長年をかけて人を殺すことを追求し創り上げた人を殺すための道具だ。
それを手にして殺すななどと笑わせるな道化」
それは、人が長年をかけて人を殺すことを追求し創り上げた人を殺すための道具だ。
それを手にして殺すななどと笑わせるな道化」
ギルガメッシュはそう言って人殺しの道具を手に不殺を叫ぶその矛盾を一笑に切り捨てる。
だが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは己が矛盾を突くその言葉に動じるでもなく、冷静に答える。
だが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは己が矛盾を突くその言葉に動じるでもなく、冷静に答える。
「知ってるさ。これは人殺しの道具だ。
銃で撃てば人は死ぬ。だけど、銃をもたなければ銃には対抗できない。
だから、ボクは誰も殺さないために銃を取ったんだ。
その矛盾は承知している。笑いたければ笑えばいい。
それでもオレはそうやって生きてきたんだ。そしてこれからもこの生き方を変えるつもりはないよ」
銃で撃てば人は死ぬ。だけど、銃をもたなければ銃には対抗できない。
だから、ボクは誰も殺さないために銃を取ったんだ。
その矛盾は承知している。笑いたければ笑えばいい。
それでもオレはそうやって生きてきたんだ。そしてこれからもこの生き方を変えるつもりはないよ」
「なるほど。自身の矛盾にも気付かぬ道化であったならばこの場で縊り殺しているところだったのだが。
嘲りも矛盾も承知の上か。それならばよい」
ヴァッシュの言い分を聞き終えたギルガメッシュは一人、納得したように深く頷く。
嘲りも矛盾も承知の上か。それならばよい」
ヴァッシュの言い分を聞き終えたギルガメッシュは一人、納得したように深く頷く。
「ところで。さしあたって、我はそこの駄犬と雑種と老いぼれを皆殺しにするつもりなのだが、どうする?
己が信念に従い、この我を止めてみるか、夢見る聖者よ?」
己が信念に従い、この我を止めてみるか、夢見る聖者よ?」
言って。口元に笑みを浮べたまま、あろう事かギルガメッシュはヴァッシュにまで敵意を露わにする。
それは冗談や酔狂などではない、本物の敵意だ。
その敵意が、邪魔すれば本気で殺すと告げている。
それは冗談や酔狂などではない、本物の敵意だ。
その敵意が、邪魔すれば本気で殺すと告げている。
「もちろん。これ以上誰も殺させないさ」
それでも告げる決意に迷いはない。
言われなくても、止めてやるさ。
銃を手にして誰も殺さないために。
銃を手にして誰も殺させないために。
150年間そうやって生きてきたのだから。
これ以上誰一人死なせはしないと誓ったんだから。
言われなくても、止めてやるさ。
銃を手にして誰も殺さないために。
銃を手にして誰も殺させないために。
150年間そうやって生きてきたのだから。
これ以上誰一人死なせはしないと誓ったんだから。
「そうか。いや、いつの世も己が信念を貫くは厳しいな。ヴァッシュ・ザ・スタンピード?」
敵意を明確な殺意に変えながら、楽しげにギルガメッシュは笑う。
その殺意に対しても怯まない。
やってやるさ。
これからも、笑って理想を掲げ続けてやる。
やってやるさ。
これからも、笑って理想を掲げ続けてやる。
――――地には平和を、そして慈しみを(ラブ・アンド・ピース)
「おいおいおいおいおいおいおいおいおい。そっちで勝手に盛り上がんなよなぁおい!
こっちは果てちまいそうなくらいハイだってのによぉお!!」
「なに? 金ピカ。こいつもやるの? やるんなら手伝うけど?」
「止めろラッド! くっギルガメッシュ。お前の好きにはさせない!」
こっちは果てちまいそうなくらいハイだってのによぉお!!」
「なに? 金ピカ。こいつもやるの? やるんなら手伝うけど?」
「止めろラッド! くっギルガメッシュ。お前の好きにはさせない!」
ああ、でも収拾つかないかもな、これ。
■蛇はしたたかにいらないものを切り捨てる
さて、どないしましょ。
おかしな流れになってきたけど、うちの目的はあくまで螺旋王の力やさかいなぁ。
その目的のためには、足手まといも、危ない人もいりまへん。
さて、その点でゆうたらここにいる人等はどやろな?
その目的のためには、足手まといも、危ない人もいりまへん。
さて、その点でゆうたらここにいる人等はどやろな?
まず、ボロボロなった少年やけど、問題外やね。
どう考えても足手まといやし、隙見て、ここで間引くのが一番やね。
どう考えても足手まといやし、隙見て、ここで間引くのが一番やね。
続いて白服の男も問題外やわ。
こっちも同じくもうボロボロやし、協力したところで暴走するんが目に見えてます。
危険な人には早々にご退場願いますわ。
こっちも同じくもうボロボロやし、協力したところで暴走するんが目に見えてます。
危険な人には早々にご退場願いますわ。
続いて紫の服着たお爺さんやけど、これも問題外やね。
ちゅうか、一番このお爺さんが厄介やわ。
危険やし仕留めたいところやけど、簡単に隙見せてくれる相手やおまへんな。
まあ、そこはヴァッシュはんとギルガメッシュはんに期待しましょ。
ちゅうか、一番このお爺さんが厄介やわ。
危険やし仕留めたいところやけど、簡単に隙見せてくれる相手やおまへんな。
まあ、そこはヴァッシュはんとギルガメッシュはんに期待しましょ。
続いて結城はん。
うちの事を知ってる相手やから、下手な事言われる前に殺してしまいたい所やけど、
結城はんを殺すとなれば、ギルガメッシュはんとヴァッシュはんが止めるやろうなぁ。
まぁ、機会があったらゆうことやね。
うちの事を知ってる相手やから、下手な事言われる前に殺してしまいたい所やけど、
結城はんを殺すとなれば、ギルガメッシュはんとヴァッシュはんが止めるやろうなぁ。
まぁ、機会があったらゆうことやね。
続いてヴァッシュはんとギルガメッシュはん。
なんかようわからん流れで、二人とも争う事になるようやけど。
どっち応援しまひょか。
ヴァッシュはんは操り易いのが利点やけど、ハッキリゆうて、その価値観は折り合いつきまへんわ。
対してギルガメッシュはんは操りにくいのが難点やけど、その何でも切り捨てられる価値観はうちの目的に沿っているしなぁ。
どっちも力量は大差ないみたいやし、どうないしましょ。
まあ、どっちも使えへんようなったら切り捨てるだけやけど。
なんかようわからん流れで、二人とも争う事になるようやけど。
どっち応援しまひょか。
ヴァッシュはんは操り易いのが利点やけど、ハッキリゆうて、その価値観は折り合いつきまへんわ。
対してギルガメッシュはんは操りにくいのが難点やけど、その何でも切り捨てられる価値観はうちの目的に沿っているしなぁ。
どっちも力量は大差ないみたいやし、どうないしましょ。
まあ、どっちも使えへんようなったら切り捨てるだけやけど。
あら不思議やねぇ。
考えてみたら、ほとんど必要ない人ばっかしやありまへんか。
考えてみたら、ほとんど必要ない人ばっかしやありまへんか。
アホやなぁヴァッシュはんは。
なんもかんも全部、守ろうとして。
いらんもんは切り詰めていかな、終いには大事なモンまでなくしてしまいますえ?
なんもかんも全部、守ろうとして。
いらんもんは切り詰めていかな、終いには大事なモンまでなくしてしまいますえ?
■老獪な老人は静かに天秤を整える
乱入者の登場より、息をひそめていた東方不敗は成り行きを見守っていた。
東方不敗が気配を消したように押し黙っていたのは、単に乱入者の力量を測りかねていたからである。
そして、動き、佇まい、闘気を見て、乱入者はなかなかに拙い連中のようであると確信した。
東方不敗が気配を消したように押し黙っていたのは、単に乱入者の力量を測りかねていたからである。
そして、動き、佇まい、闘気を見て、乱入者はなかなかに拙い連中のようであると確信した。
特に金髪二人。
互いにフザケたような風体だが、あれは恐らく衝撃のアルベルトクラスの手練であると判断する。
となれば、この東方不敗を以ってしても二人同時に相手どるのはかなり骨が折れるだろう。
互いにフザケたような風体だが、あれは恐らく衝撃のアルベルトクラスの手練であると判断する。
となれば、この東方不敗を以ってしても二人同時に相手どるのはかなり骨が折れるだろう。
故に白服達と潰し合わせるのが理想であるが、数の上でも質の上でも、あまりにも乱入者の側に天秤が傾きすぎている。
ならば、この場で東方不敗が行うべくは両者の戦力の天秤を整え、互いに潰し合えるよう仕向けることだ。
故に優先的に狙うのは珍妙な格好をした男である。
出で立ちこそフザケているものの、この男はいわば大乱そのもの、早めに潰しておかねば厄介な事になりかねん。
ならば、この場で東方不敗が行うべくは両者の戦力の天秤を整え、互いに潰し合えるよう仕向けることだ。
故に優先的に狙うのは珍妙な格好をした男である。
出で立ちこそフザケているものの、この男はいわば大乱そのもの、早めに潰しておかねば厄介な事になりかねん。
白服の男の意識が珍妙な格好の男に向いているのは僥倖である。
うまくこの男を利用しながら珍妙な格好をした男を仕留める。
うまくこの男を利用しながら珍妙な格好をした男を仕留める。
そう静かに策略を練りながら東方不敗は静かに動き始めた。
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