夢‐‐。涙…… ◆Qvzaeu.IrQ



陽も落ちて人気のない学校にその二人はいた。
その若い男女は電気も点けずに暗い一室に籠っている。
男はベッドに横になり、女は男を見下ろしている。
男の服は既に脱がされていたが、女は下着にTシャツという格好だ。
さらに女はなにかしらの衝動を抑えつけているかのようにも見える。
不意に男が小さな声でなにか言葉を呟く。
女はその言葉に体を震わせる事で反応し、こちらも小さく言葉を紡ぐ。

「……ばっかじゃないの……」

男の名はDボゥイ、女の名は鴇羽舞衣という。

 ◇ ◇ ◇

時間は鴇羽舞衣が気絶したDボゥイを学校に連れ込んだところまで遡る。

Dボゥイを背負った舞衣は謎の光のおかげで東方不敗から辛くも逃れ、治療のために学校へと避難したのだった。
ここに来るまでの道中何度も東方不敗が追って来ない事を確認しながら、大急ぎで保健室を目指した。
意外な形で学校に戻ってきた事に感慨を覚えつつ、やっとの事で保健室に到着したが……
Dボゥイの容体は重傷という領域を通り過ぎて、素人目にもかなりヤバい状態だった。
とりあえずDボゥイをベッドに寝かせて、必要な物を求めて保健室を漁り始めた。
しかしこの保健室で発見できたのは、どこにでもあるありきたりな消毒液だけだった。
それでもないよりはマシだと思い、まずは服を脱がせて、隣のベッドに掛かっていたシーツを机の上にあった鋏で裂きながら、
あるだけの知識を駆使してDボゥイの治療を始めた。

しかし所詮はちょっと特殊な女子高生の知識。
確かに巧の世話をしていたのでその方面の知識は割とあるが、そんなもの焼き石に水の状態。
こんな酷い怪我を見た事などあるはずがなかった。
それでも本格的な治療とは程遠い応急措置を施す事はできたが、これではそう長くは持たないだろう。

「……こんなんじゃだめ。何とかしないと……でも、どうしたら……
 って、なんで私こんな奴助けようとしてるんだろ。
 ……なんでなんだろ。私は……奪う側になったはずなのに……」

そう言いつつも、頭の中ではどうしたらこいつが助かるか必死で考えていた。

(病院は……だめね。何か知らないけど、あの光ってカグヅチぐらいの力がなきゃ無理でしょ。
 それに、今の状態で下手に動かすのはみすみす死なせるようなもんよね。
 だとしたら学校の中を探って……て、ここより治療に適した所なんてあるわけないじゃない。
 となると、残る手段はあいつのバッグかぁ。
 命が懸かってんだから勝手に使わせてもらうわよ!)

心の中で謝りつつ、舞衣はDボゥイのバッグを漁り始めた。
最初に出てきたのは自分にも配られた食料や地図などの一式、そして次に出てきたのが――

「……『月の石のかけら』? なによこれ。えっとなになに…………!?」

説明書きを読んでみてこのおもいがけない偶然に感謝した。
それは傷や疲労を回復させてくれるというもので、説明書きに書いてある事が真実ならこれで万事解決だ。
藁にもすがる思いで二粒の内の一粒を急いで瓶から出してDボゥイの胸元に持って行った。

「お願い!」

瓶から出したかけらは幻想的な光を発しながら、小女の願いを叶える魔法の宝石のようにその効力を発揮した。
目に分かる程にDボゥイの傷が徐々に癒えていく。
そしてこちらの方は全く予期していなかったが、舞衣自身も光を浴びた事によりその身に負った大小の傷が癒える事となった。

「すっごい。これ本当だったんだ。
 脈は……だいぶ落ち着いている。顔色もさっきより良くなっているし、これなら何とか……」

未だにDボゥイが目覚めない事が不安だが、呼吸も最初よりかなり安定してきている。
舞衣はどっと疲れが出たかのようにその場にへたれこんだ。
そうはいっても肉体的な疲れは月の石の効力であらかた解消されたのだから、精神的な面での疲れがどっと出た感じだ。

ふと自分の姿を見てみると目の前の奴よりかはマシだが、だいぶ汚れている。
少し特殊な力が使えて、加えてこんな異常な状況下にあるとはいえ、自分はまだ花も恥じらう16歳の現役女子高生だ。
危険な状態が去って一安心したせいか、身体の汚れがいささか気になってきた。

「保健室にお風呂……はないかぁ。そりゃそうよね。
 かといってここを空けるわけにもいかないし……体拭くだけで我慢しますか」

そう決めると早速準備に取り掛かった。
とりあえずDボゥイの寝ているベッドをカーテンで仕切って、お湯でタオルを絞って準備完了。
服は乾燥機能付きの洗濯機が見つかったので、そこにDボゥイの服と一緒に入れてスイッチを入れておいた。
下着は向こうの棚に備品があったので、それを使わせてもらう事にした。
ただしブラだけは合うサイズがなかったので、そこに関しては諦めた。
さっさと済まさないとDボゥイが起きてきた時にまずい事になるので、さっさと汚れを落とす事にした。

そうこうする内に約10分間の清めの時間は終わった。

身体を拭き終わったら、冷めないように備え付けの下着と自前のブラを身に付け、
これまた備えつけのTシャツを着て、その上から毛布をかぶって服が乾くのを待つ事にした。
保健室の電気は治療と身体を拭くのが終わったらすぐに消した。
点けておいたら殺し合いに乗った奴が来るかもしれないからだ……って――

「私も殺し合いに乗った奴……か。
 それなのに私なにやってんだろ」

暗い部屋に座り込み舞衣は一人思考の海に沈んでいく。
さっきも同じ疑問が浮かんだが、あの時はバタバタしていてそれどころじゃなかった。
けど今は考える時間がたっぷりある。しばらく考えてみようかと思った瞬間――

定刻の放送が始まった。

 ◇

「……17人かぁ……会長さんや結城さんがいなかったのは良かったけど……」

ふとよくよく思えば、自分は前の放送の内容を知らない事に改めて気づいた。
学校が禁止エリアじゃなくて本当についていたと思いつつ、Dボゥイのものを見せてもらう事にした。
そして改めて知る事になった。
なつきの事は既に知っていたが、

「……パズー……ロイド・アスプルンド……」

おそらく……いや、間違いなく自分の手でその命を奪った者達の名。
最初の男の子を合わせると、これで3人もの命を奪った事になる。
いや、ここに来る前を合わせると5人になる。
自分はもう立派な殺人者だ。

「はは、本当に何やってんのよ私ってば。
 奪う側になったんじゃないの、何にもなくなって、もう奪われるのは嫌で……
 それなのにこんな奴を助けようだなんて考えちゃって、バカみたい。
 成り行きでここまできたけど、こいつも本当は殺し合いに乗ってるんじゃないの。
 なら尚更殺さないといけないじゃない。私は奪う側になったんだから」

自分が犯してきた所業を省みたら、何の事はない。
もう自分の手は十分血にまみれているじゃないか。
いまさらこいつの話を聞いてどうするというんだ。
もう自分は元の場所には戻れない。
シモンが死んで一人になった時、奪う側になると決心したんじゃなかったのか。
新たな決心が必要だ。こんどこそ揺るがない決心が。

「おねがい、もう一度、決心、つけさせて」

あえて言葉に出して宣言すると、治療に使った鋏を手に取る。
刃の部分を突き刺せば十分その命は奪える……だが、

(本当にそれでいいの? せっかく傷を治したんだし、せめて起きて話をしてからでも……
 何考えてるのよ! そんな甘い考えで……でも……)

舞衣は自分がどうするべきか悩んだ。
目の前の男に何かしらの感情を抱いているようにも思える。
それが単なる憧れか、それとも別の感情なのかは分からない。
でもだからといってまた奪われる側に戻るなんて認められない。
自分がどうしたいのか、どうするべきなのか、考えが錯綜していると――Dボゥイが声を発した。

「……ゆた、か……」

一瞬目が覚めたのかとも思ったが、すぐに寝言だと分かった。
その寝顔にはなんとも安らかな表情が浮かんでいた。
さぞかし幸せな夢を見ている事だろう。
その言葉を聞いた瞬間、心の中に言いようのない暗い感情が芽生えた。

「……ばっかじゃないの……」

ここで時間は現在に追いつく事になる。


「なによ……私は、こんな悪夢みたいな人生を送っているっていうのに、なんであんたはそんなに幸せそうなのよ。
 不公平じゃない。なんで私ばっかりこんな惨めな気持ちにならなくちゃいけないのよ。
 どうせあんたには私と違ってまだ大切なものが残っているんでしょ。
 それならあんたから、奪ってやる!」

今の舞衣の顔にはあの阿修羅のような表情が甦りかけていた。
舞衣は激情に突き動かされるままに腕を振り上げ、
手の中の刃を重力に従ってDボゥイの喉元めがけて振り下ろした――

 ◇ ◇ ◇

「……ここは……いったい……」

Dボゥイが目覚めるとそこは花園だった。
さまざまな花が色とりどりに咲き乱れている。
百花繚乱とは正にこういう光景を指すのだろう。
ゆたかにも見せてや――

「そうだ! 確かゆたかはシンヤに攫われt」
「私がどうかしたんですか、Dボゥイさん」
「!?」

見ると隣には、同じようにこの光景に心打たれている小早川ゆたかの姿があった。
間違いなくゆたかだった。
しかしなぜ? ゆたかはシンヤに連れて行かれたはずじゃ。
それに俺達は殺し合いの真っ只中にいたはずだ。
それがなぜこんな事に……?

「ゆたか、ここはどこなんだ? それにシンヤに連れて行かれたはずじゃ……」
「何言っているんですか。おかしなDボゥイさん。
 そんなことより私Dボゥイさんの事もっともっと知りたいんです。
 聞いてみてもいいですか?」
「あ、ああ、いいぞ」

ゆたかにそう言われると、なんだか自分の疑問がどうでもいいものに思えてきた。
そして俺は改めてゆたかに全てを話していた。
テッカマンの事。ラダムの事。家族の事……
だが、なぜか細かい所が思い出せない。他にも話す事があるはずなのに思い出せない。
しかしゆたかはそんな事など気にしないで、俺の話を全部真剣に聞いてくれた。
なんでこんなに話したのか自分でも分からない。
でもゆたかになら、なぜか安心して全て話せた。

「Dボゥイさん、私そんな大変な事を気軽に聞いちゃって……」
「気にする事はない。全部本当の事だ」
「……Dボゥイさん」

全て話したら、なぜか話す前より楽になった。
ゆたかとの距離が縮まったような、そんな感じがする。
ずっとこうしていたい、ここで時が経つのも忘れてゆたかと二人で――


「残念だけど兄さん。それは無理だよ」


いきなり辺りの風景が一変して、殺風景な荒野へと変貌した。
そして俺たちの目の前に立っていたのは――憎むべき敵であるテッカマンエビル、いや相羽シンヤ!!

「悪いけど、この娘と兄さんはここでお別れだよ。冥土の土産に僕と一緒に来てもらうからね」
「いやぁ、離してください……Dボゥイさん!!」
「ゆ、ゆたかー!! 貴様ゆたかを――っ!? なっ、身体が――」

シンヤに飛びかかろうとしたが、なぜか身体は動かなかった。
まるで金縛りに遭っているかのようだ。
自分の身体が自分のものじゃないような錯覚に襲われる。
そうこうしている間にシンヤはゆたかを連れて遠ざかっていく。

「くそっ! ゆたかーー!!」
「Dボゥイさーーん!!」
「あはは、じゃあね、兄さん。
 生きている内に決着をつけられなかったのが残念だったよ」

そう言い残してシンヤはゆたかを担いで消えていった。
後に残ったのは悲しみに打ちひしがれるDボゥイだけだった。

「ゆたかぁぁぁぁぁぁーーーッッッ!!」

Dボゥイの声が虚しく木霊する。

 ◇

「はっ!?」

目を開けると暗闇の中だった。
だが徐々に無機質な天井が暗がりの中で微かに判別できた。
どうやら自分はベッドで横になっているらしい。

(俺は確か……あの老人と戦って……何か強い力を感じて……それで……)

Dボゥイが思い出せるのはそこまでだった。
記憶がない事から、おそらく自分はそれから気を失ったのだろう。
そして誰かにここまで運ばれて手当てを受けた、というところだろうか。
そこでふっと気づいた。

身体が動かない。

最初は貧血の所為かとも思ったが、それとはなんだか違うような気がする。
それに……なぜか全身が濡れている。
そこで、自分を見下ろす少女を見つけた。
こいつは確かソルテッカマンを装着していた少女だったはず。
暗がりでよく見えないが、手に何か持っているようだ。

「……ぁ……ぇ……!?」

声をかけようとして気づいた……自分の声が出ない事に。
そしてようやく自分が置かれている状況を把握した。

全身を滅多刺しにされていた。

身体中至る所から血が流れ、それ故に全身が濡れていたのだ。
全身の腱は切れ、もちろん指一本動かす事も、声を出す事もできない。
だが、不思議と痛みが無い……もうとっくに麻痺したのだろうか。

「私は、もう奪われるのは嫌だから、もう奪う側に回るしかないと思ったから、だから死んで」

少女が一方的に話し始めた。
もう死ぬというのに頭の方はなぜか澄み渡っていた。
不思議な気持ちだった。

「…………………………………………」

まだ喋っている。自分の行為を正当化するかのように延々と喋っている。
俺はそいつの顔を見上げた。
その顔には阿修羅のような形相が浮かんでいた。
だがその顔から感じられる感情は怒りや憎しみとは違うものだった。
だからだろう。俺は彼女を見てふと呟いた。

「……泣いているのか」

そうして俺はその世界に別れを告げた。

 ◇

目が覚めると、俺はさっきの夢に出てきた部屋と同じような状況にあった。
ただ違う点は、傷が治って自分が無事な点、そしてあの少女が床で蹲っている点。
その二点が、先程の夢との違いだった。
妙にリアリティーのある夢だったと思いつつ、Dボゥイは先程心の内に浮かんだ言葉を声に出した。

「……泣いているのか」

 ◇ ◇ ◇

結局殺せなかった。
何度も決意して刃を突き刺そうとしたが、どうしてもできなかった。
もう自分は5人も殺した立派な殺人者。
それなのにこの期に及んで、たかが目の前の死に損ないでさえ殺せないとは、全くもって笑い話にもならない。
早くしないと目を覚ましてしまう。そうなる前に早くこいつを――

「……泣いているのか」

声をした方を見上げると、Dボゥイが身体を起してこちらを見下ろしていた。
結局何もできずに私の自問自答は唐突に終わりを告げた。
しかしそれより何よりDボゥイの言った言葉がどうしようもなく私の心の内をざわめかせる。

――なによ、それじゃあ私が奪われるだけの弱い奴みたいじゃない。

私は意味も分からずに腹立たしくなり、気づいたらDボゥイに掴みかかっていた。

「……なんで、なんで殺せないのよ!
 アリッサちゃんの大切な人も……命も……あの男の子も……パズ―って子も……ロイドっていう変人も、みんな私が殺したのよ!!
 私は……もう5人もこの手で殺して血まみれなんだから……
 あんた一人ぐらい殺したところで今更どうってことない……どうってことないはずなのに……
 なんで、なん――」
「じゃあなんで泣いてるんだ」
「ぇ……私、泣いてなんか――」

そこでようやく自分が泣いている事に気づいた。
なぜか涙はとめどなく流れ続け、止まる気配はなかった。
なんで自分が泣く必要があるのかさっぱり分からない。

「あれ、なんで私、泣いて、別に悲しくなんか、ないのに」
「……後悔しているからじゃないのか」
「え!?」

後悔してる……私が……何に……別に後悔なんか……


「後悔してもいいじゃないか。お前は人間だろ」


その言葉は聞いた瞬間、私はその言葉の意味を考え込んだ。
私は間違いなく人間だ。
ちょっと特殊な力があるが、それ以外は至って普通の女子高生だ。
何の事はない。至極当たり前のことだ。
それなのに……なぜか不思議と心の内が静まる。
でもそれなら、

「じゃあ、あんたは何なのよ!」

そうだ、こいつも私と同じ人間じゃないのか。
そう思って疑問を投げかけて、初めてきちんと相手の目を見た。
その目は……自分では到底及びもつかないような目をしていた。

だから、それだけで分かってしまった。
自分よりどれだけ多くの悲しみを味わってきたか。
自分よりどれだけ多くのものを失ってきたか。
自分よりどれだけ辛い目に遭ってきたか。
本当に自分よりも深い感情を宿した目をしている。
そして……いままで必死になって頑張ってきた目だった。

勝手な想像だけど、こいつはあの雨の日の私と一緒なのかなって思った。
がんばって、がんばって、
それでも足りなくて、自分を犠牲にしてまでがんばって、
周りから「がんばれ」って言われて、それでまたがんばっちゃって、
がむしゃらに動いていたあの頃の自分。
たぶんこいつも私と一緒でもう十分がんばってきたのだろう。

「俺は――」

全部は分からなかったけど、それだけ分かれば十分だった。
Dボゥイがどういう人かどんな人生を送ってきたか、きっと自分なんかが軽々しく聞いていい事じゃないって思った。

「――舞衣」
「……なんだ」

だから話をこちらから一方的に打ち切った。
たぶんこれでいいんだろう。
自分でも実際のところ何がしたいのかよく分からないが、今はこれでいいような気がした。

「鴇羽舞衣。私の名前」
「なんだ、いきなり」
「別に。ただ名前ぐらい知ってもらいたかっただけよ」

でもそれだけじゃないような気もする。
Dボゥイに対する憧れ……なんか違うような気がするのよね。
最近同じような気持ちになったような気が……祐一だったかなって!?
なんで私あんな奴の事なんか考えてるわけ。
あいつは詩帆ちゃんを選んだんじゃない。
私がどうこう考える義理なんて……あー、さっきと違う意味で頭がごっちゃになる。帰ったら一発殴っとくか。

「どうかしたのか」

私は余程悩んでいたらしい。その証拠に痺れを切らして声をかけられた。
なんとなくばつが悪い。

「別に」
「そうか。で、お前k」
「舞衣。さっき言ったでしょ」
「……舞衣はどうするんだ。また誰かから何かを奪うのか?」
「……さあ、分かんなくなっちゃった。自分がどうしたいのか。
 でも、もう私、奪うのも奪われるのも、嫌かな」
「そうか。
 ……ところで、服は着ないのか?」
「へぇ!?」

そういえば服洗ってるんだった……
もしかしなくても私って……結構恥ずかしい格好なんじゃ。
私、今までこんな格好であんなこと言ってたんだ。

シャッ

とりあえずカーテンを閉めておく事にした。
一瞬顔が真っ赤になったのは恥ずかしかっただけ、と思っておく事にした。
それ以外に何があるというんだ。

 ◇ ◇ ◇

洗濯が終わるまでの間、俺は気絶していた間の事とテッククリスタルについて聞いた。
気絶していた間の事は分かったが、テッククリスタルについては収穫なしだった。
それに、あの月の石のかけらとかいう支給品と十分な睡眠のおかげで体力は回復したが、
貧血だけはどうにもならないようだった。
病院かどこか輸血ができる場所を早急に見つける必要があった。
だが病院の方は戦闘に巻き込まれる可能性があるという。

だからといってそんな事に構ってはいられない。
シンヤがいつまでもゆたかを殺さないという保証はどこにもない。
一刻も早くテッククリスタルを探し出し、シンヤとの決着を付け、ゆたかを救い出す。
それが今俺がするべき事だろう。
ここにテッククリスタルがない事はさっきの話で分かったから、ここにいる意味ももうない。

「はい。これあんたの服ね」

そう言いつつカーテンの隙間から洗濯された俺の服が差しだされた。
ようやく洗濯が終わったようだ。
かなりボロボロだが、ないよりはましだろう。
俺は手渡された服をさっさと着て、出て行こうとした。

「世話になったな。俺は――ッ」

立ち上がった瞬間、急激な眩暈に襲われた。
貧血の影響は思っていたより大きいようだ。

「ちょ、あんた大丈夫!?」
「ああ、平気だ。少し血が足りないだけだ」
「血が足りないって……DボゥイのDってDreamじゃなくて、本当はDraculaじゃないの」
「貧血なだけだ。それに本当はDreamじゃなくてDangerousだ」
「危険……ああ、その方が合ってるわね。
 ……ごめん、怒った?」
「どうでもいい事だ。とりあえず俺はもう行くぞ」

まだかなりふらつくが、多少の無理は承知の上だ。
思い通りにならない身体に鞭打って出て行こうとすると、呼び止められた。

「待って」
「なんだ」
「私も付いて行くわ」
「はあ!?」

いきなり何を言い出すんだ、この女は。
こいつがいても邪魔なだけだ。
だが、なぜか放っておけないような気になる。

「あんたほっといたら危なそうだし。
 それに……あんたといたら、自分が何をしたいのか分かるかもしれないし」
「……勝手にしろ」

これもゆたかの影響かな。
俺もここに来て変わったな。良いか悪いかは別にして。
とりあえず病院に行くかどうか早いとこ決めるか。

 ◇ ◇ ◇

――この日々に運命という場所が本当にあるのなら、私はそこで君に会える。
――そう思う。
――言葉にしたら溶けてしまいそうで少し怖いけど、信じる力を、想う気持ちを大切にしたい……

【B-6/学校・保健室/一日目/夜】

【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:迷い、罪悪感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、鋏
[思考]:
1:Dボゥイに同行させてもらう。
2:その中で自分の在り方を見つける。
[備考]
※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。
※静留にHIMEの疑いを持っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※一時的にエレメントが使えるようになりました。今後、恒常的に使えるようになるかは分かりません。

【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:左肩から背中の中心までに裂傷・右肩に刺し傷・背中一面に深い擦り傷(全て傷跡のみ)、貧血(大)
[装備]:なし
[道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(1個)@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺し、小早川ゆたかを保護する。
1:病院もしくは輸血ができそうな場所を目指す。
2:ゆたかと合流する。
3:テッククリスタルをなんとしても手に入れる。
4:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない。
5:再びシンヤとテッカマンの状態で闘い、殺害する。
[備考]
※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています。
※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました。
※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています。
※シンヤが本当にゆたかを殺すと思っているため、生への執着が高まりました。
※恐らくテッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています。
※ペガスが支給品として支給されているのではと思っています。
※全身にシーツを包帯代わりに巻いています。

※螺旋力覚醒。但し本人は螺旋力に目覚めた事実に気づいていません。

時系列順で読む


投下順で読む


197:Deus ex machina Dボゥイ 226:root(前編)
197:Deus ex machina 鴇羽舞衣 226:root(前編)





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー