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覚醒の 黒き 皇子  ◆j3Nf.sG1lk




 それは声。


『お前には生きるための理由があるのだろう』


 それは記憶に刻み込まれた魔女の言葉。


『力があれば生きられるか?』


 その呪詛は、いまだ甘い囁きとなりこだまする。


『これは契約。力をあげる代わりに私の願いを一つだけ叶えてもらう』


 それは、まさしく契約という名の甘い囁きだった。


『契約すれば、お前は人の世に生きながら人とは違う理で生きることになる』 

『異なる摂理、異なる時間、異なる命』


 それは魔女が齎す運命を決する『王の力』。


『王の命はお前を孤独にする。その覚悟があるのなら……』


 だが同時に、本来の意味でもある『呪い』という名の刻印でもあるのだ。



(覚悟?笑わせる……)


 (覚悟など必要ない)

  (必要なのは決意だ)

   (やり遂げる決意が必要だ)


(これは命をかけたゲームなんだからな)



 ◆ ◆ ◆



 意識が覚醒へと向かっていくのが分る。
 血の巡りに同調するように体に僅かな力が戻って行くのを感じ取れる。
 脳にも血が巡り、自身の状態を分析する為の思考も戻りつつある。
 肩、腕、手首、手の平、指先。
 腰、腿、膝、足首、足の指。
 電気信号を送るように体の各部位に指令を出し、異常が無い事を確認する。
 まだ体は半分眠っているが、それでも夢と現実の狭間で自身の取れる最善の行動を取る。
 それがルルーシュ・ランペルージという名の少年が、運命を生きるために自然と身につけた生き方だった。



――……がれ!穢れた手で触るな!

――オイオイ、起きそうだったから様子を見ようとしただけだろうが。



 夢と現実の狭間を未だ漂う俺が耳にしたのは、耳障りな目覚ましの声だった。
 その声に呼び起こされるように、一気に意識が現実に引き戻されていく。

「黙れ!ゼロが死んだのはお前のせいだ!」

「おまえっなっ!
 それはお前の勘違いだって言ってんだろ!
 あの眼鏡の男が風呂に入ってきて、そして、その後直ぐにあの色黒の傷のヤツが襲ってきたんだよ。
 オレがアイツを呼び込んだじゃねぇっての!」

「誰がそんな事を信じるか!
 私達があの場に来た時、お前の姿などドコにも無かったじゃないか!
 風呂に入ってたから気づかなかった?嘘を付くならもっとマシな嘘を付け!」

「ドコが嘘だ!何が嘘かを説明しやがれ!
 わけわかんねぇ事ばっか言いやがって、俺だってアイツにやられてボロボロなんだぞ」

 ……会話を盗み聞く限り、どうやらカレンと聞き知らぬ男が不毛な喧嘩をしているらしい。
 それを聞き取り、俺は二人に気づかれぬように小さく溜息をついた。
 どうやら寝ていた間に様々な事があり、襲撃者により偽ゼロが死んだ、らしい。
 その事は流石に動揺したが、その後に続くカレンの動揺振りと、矛盾だらけの言動に飽きれてしまったのである。

 俺は既に冷静な思考を取り戻していた。
 勿論、何故ギアスを行使した瞬間意識がなくなったのか、という疑問は解消されないが、それでも現状の把握は十分に出来る。
 薄っすらと瞼を上げ、二人に気づかれないように周囲を観察する。
 現在位置はどこだか分らないが、なにやら小さな小屋の中らしく、自分はその小屋の中心に置かれたテーブルの上に寝かされているらしい。
 木造つくりで、電灯も裸電球という簡素な物が一つだけの、どうにも全時代的といった感じの建物だ。
 枕元に立つカレンと、小屋の入り口付近からこっちを見ている長身のアフロがかった髪の男の姿を確認する。
 それだけでおおよその事を把握した。
 先程の話と今の現状を考えるに、おそらく、記憶の最後にある温泉で気を失った後、色黒で傷の男とやらの襲撃があり、
 偽ゼロが殺され、この長身のアフロの男に助けられ、ここまでカレンと共に逃げてきた。
 つまりはそういう事なのだろう。



「ああ!もう!やってられるか!
 せっかくここまで運んでやったってのに、何でわけわかんねぇ言いがかりを付けられなきゃいけねぇんだよ。
 ホント助けて損したぜ」

「ルルーシュを運んでもらった事は感謝するが、それでお前を信じる理由にはならない。
 そもそも、アタシは日本人じゃないヤツを簡単に信じる気は無いんだ!
 お前がブリタニアの人間じゃ無いとしても、日本人じゃない以上馴れ合うつもりは無い!
 ゼロの教えがあるから共闘は覚悟するが、それだけだ!」

「はいはい、勝手に言ってろ。
 たく、ホントわけわかんねぇ……」

 カレンは男に向けて銃を向けていた。
 対する男は、それを意にも介さず、平然とした表情でカレンの言葉を聞き流し、大きく溜息をついていた。
 正直、その姿に少し同情を覚えてしまう。
 言っては何だが、カレンの言動は明らかにおかしい。
 カレンの言葉からは、どこか不安定で、何かに怒りをぶつけたいかのように怒鳴り散らしているように聞こえた。
 まるで、自分の失態を見つめないようにするかのように……。

「大切なヤツが死んで悲しいのは分るがな、怒りを俺にぶつけるな。
 アイツはお前を庇って死んだんだぞ、もうちょっとその事を真剣に考えろっての、クソっ……」

 その言葉を聞き、なるほど、と思った。
 俺にとっては、あのゼロと呼ばれた男は偽者でしかないが、カレンにとっては敬服すべき絶対の存在なのである。
 それが目の前で、しかも自分を庇って殺されたのであれば、例えそれが偽者だろうと何だろうと、
 その事がカレンに深い絶望と喪失を生み出させ、情緒不安定にさせていると言うのは想像に難くない。
 目の前でゼロを失った悲しみ、ゼロを守れなかった無力感、そして苦悩。
 今のカレンには、冷静に状況を見つめる分析力は無いのである。
 自分達を助けた男に突然当り散らしたり、関係の無い話を持ち出したり、明らかに現状を無視した言動が痛々しい。
 冷静な思考をきちんと有していたら、ここでのいざこざは後々の問題になる恐れもあるというのに、それが分らないのである。

「オレは外に出てる。何かあったら呼べ」

 流石に対応に疲れたのだろう。
 男はそう言って小屋から出て行く。
 俺はそのタイミングを見計らい、カレンに気づいてもらえるようにワザとらしく意識を取り戻した“振り”をした。



「……カ、レン……?」
「ルルーシュ!起きたんだね!良かった……、本当に……」

 カレンの瞳に涙が浮かんでいる。
 そして、本当にホッとしたと言う安堵の表情。
 それだけで、カレンがどれだけ追い詰められていたのか容易く推測できた。

「何だ、何があった?ここはどこだ?話し声が聞こえた気がしたが、相手は……」

 何も知らない素振りで言い、カレンの言葉を待つ。
 だが、カレンは一気に押し寄せた安堵感と涙に翻弄された為か、震えたまま次に語るべき言葉を失ってしまっていた。

「カレン、大丈夫か?何かあったのか?」
「……ウン」

 小さくコクリと首が傾く。
 その動作と涙を浮かべた顔を見て、俺は心の中で溜息を漏らしつつ覚悟を決める。
 俺とて、カレンが状況をアッサリと受け止め、事態を冷静に説明出来るほど容易く精神を安定できるなどとは思ってはいない。
 カレンには心のケアが必要だ。
 ゆえに、仕方なしに宥める様に優しい口調でカレンに問いかけていた。

「ゆっくりでいい、話してくれ。俺が気絶した後の事を……」

 カウンセリングが始まった。
 自身の目的に支障を呼び込ませない為に……。



 ◆ ◆ ◆



 数十分後、どうにか落ち着きを取り戻したカレンから必要最低限の情報を得ることが出来た。

 現在居る場所は、G-7のキャンプ場内にある物置を併設させた管理小屋らしい。
 なるほど、普段使われない小屋の為、この簡素さというわけか。
 地形的にもただのキャンプ場であり、拠点とするにはいささか心もとなく、早々に移動するべきだと考える。
 もっとも、時間は既に3時を回っているため、移動するなら暗くなってからの方がいいだろうがな。

 そして聞き逃した定時放送の内容。
 頭の隅で首輪の解除を期待していたロイド・アスプルンドの名前が放送で呼ばれた事に僅かに落胆するも、
 それは可能性として考えていた事であり、必要以上に落ち込むことでも無い。
 このゲームの参加者にはまだ自分の知らない技術を持った人間が居る可能性を考える以上、首輪を外す希望が無くなった訳ではないのだ。
 もっとも、情報不足が否めない以上、参加者に関する考察は一先ず置くのが得策だろう。
 そして禁止エリアについても、とりあえず自身の動きを制限する物は無いために思考の端に追いやる事にする。
 ……いや、一つだけ考える事があるな。

(モノレールの中は禁止エリアに抵触しない……。
 なるほど、それはつまり、モノレールは首輪を爆破する為の電波を遮断する物で覆われていると言うことか。
 もしかしたら、それを調べれば首輪の構造を調べずとも電波を遮断する方法が分るかもしれないな……)

 心の中で新たな有益な情報に笑みを零しつつ、些細な事だが一歩前に進んだ事を実感した。

 そして問題の核心部分。
 カレンの話では、放送直後に浅黒い肌をした顔に傷を持つ男に襲われ、偽ゼロが殺されたらしい。
 そして、その場にいた東洋人風の女が一人残り、自分達はここを合流場所に逃げてきたとの事。
 それを聞いた瞬間、俺は一瞬肝を冷やした。
 何かの歯車が狂っていれば寝ていた自分は確実に死んでいた事だろう。
 それを思うと、自分達を助けてくれたあの長身の男と、一人襲撃者を倒す為に残ってくれた東洋人風の女とやらに感謝覚えないでもない。
 だが、それも、ここに付いてから既に2時間以上の時間が過ぎた事を考えると、その東洋人風の女とやらもどうなったのかは想像に難くない。
 襲撃者が追ってない事から両者痛みわけというのが妥当だろうか。
 まぁ、俺が寝てた間の事だ。戦力として取り込めなかった事を悔やむ事はあれど、今は命があった事をただ喜ぶべきなのだろうな。

 そしてこれが一番の問題。
 最後に考えたのは、カレンが希望に満ちた瞳で語ったた忌々しい『ゼロに関する真相』である。



「ゼロが……、俺を次の『ゼロ』に……、本当にそう言ったのか?」


 カレンから齎された情報の中で、一番重要であり、一番ややこしい問題。
 ゼロは代々受け継がれる物であり、ゼロは死しても次のゼロが『ゼロ』という名を継承していく事で、黒の騎士団はゼロを筆頭とした永久不滅の集団となる。
 偽ゼロはカレンにそう言ったらしい。
 そして、その次の『ゼロ』を真のゼロである俺にやれと……。

(ハ、ハハハ……、なんだそれは……)

 これぞまさに想定外の事態。
 自分が起きている時ならまだしも、寝ていた間にそんなやり取りがあったという事実に、ただただ落胆を覚えるばかりである。

(偽ゼロめ!やってくれたな!)

 カレンには決して見せられないような怒りに震える表情を影で作り、心の中で既に死した男に吐き捨てる。

 確かに、俺は一度手放したゼロの仮面とマントを欲した。
 だが、それはあくまで、『ゼロ』という存在そのままに俺の元に返ってくること望んでの事だ。
 このような結果で得られたゼロの仮面など、『ゼロ』としての価値が半減した代物といっていいだろう。
 なぜなら、『ゼロ』というのは正体不明だからこそ価値があるものだからだ。
 ゼロの中身がただの学生?
 どれほど優れた策を立てても、どれほど民衆を惹き付けるパフォーマンスをしたとしても、
 それを演出した者が自分より遥かに年下の学生などと知れれば、間違いなく士気は低下し、黒の騎士団の価値が損われるのである。

(全く、どうしてくれるんだ……、このままではゼロという存在が……)

 作戦とは指揮者の命令どおりに行動する駒が居て初めて成功を見るのだ。
 学生だと知られれば駒は必ず指揮者の指揮棒を軽んじる。
 それこそ、サイタマゲットーでの失敗が良い例だ。
 クロヴィスを相手にしたシンジュクゲットーでの作戦では、きちんと命令通りに動く駒が居たお陰で勝利する目を見出せたのだが、
 コーネリアを相手にしたサイタマゲットーでの作戦では、指揮者の指揮棒を見ず勝手に行動する駒が居たた為、作戦の軌道修正すらかなわなかった。
 あの時は辛うじてC.C.に救われたが、そんな奇跡がそう起こる物ではない。

 ゆえに考える。
 現状が以下に深刻な事態なのかを……。



「ルルーシュ、お願い、ゼロの意思を継いで。ゼロの想いを無駄にしないで」

 涙交じりに懇願するカレンからは、明らかにゼロの言葉を背負った想いしか感じられない。
 それがどれほど愚かな事かも理解できずに。

 そう、一番の問題はこの目の前のカレンなのだ。

 たとえば、ここで俺が首を縦に振り、カレンからゼロの仮面とマントを受け取り『ゼロ』を継いだとしよう。
 楽観的に考えれば、この事実を知る人間はカレンの他には、さっきの長身の男と、温泉に残った東洋人風の女しか居ない事になる。
 東洋人風の女は死んだと仮定し、注意すべきはカレンと長身の男となり、その他の人間には再びゼロとして振舞う事が出来るかもしれない。
 だが冷静に考えて、この楽観思考は論外だ。
 なぜなら、一番の腹心であるカレンに正体を知られている現時点で、『ゼロ』としての発言が全て、カレンの認識のフィルターを通す事になるからである。

 分りやすく言えば、他者に接触した時、まず『ゼロ』という男の異様さに目を引かれる。
 続いて、その正体を知るため情報を得ようとする。
 当然、情報を得る先は隣にいるカレン。
 ここまでは確かに今まで通りだが、ここで問題になるのは、カレンの認識に誤差が生まれる事で、『ゼロ』という存在の謎めいた威厳が薄まってしまうという事なのだ。
 カレンが『ゼロ』=『ルルーシュ』という事を知っている限り、その事をどんなに隠そうとも、俺の命令は『ゼロ』の命令であって、『ゼロ』の命令ではなくなってしまう。
 『初代ゼロ』=『ゼロ』であり、『二代目ゼロ』=『ゼロ』であり、『三代目ゼロ』=『ルルーシュ』という図式がある限り、
 カレンは決して俺の考える最高の部下にはなりえないのだ。
 それはカレン自身も気づいている事だろう。
 例え、先代ゼロの遺言だろうと、人間である限り、心酔していたものが変わればその対応も微妙に変化していくのは当然である。
 そうなれば当然、それが表情や言動に表れるようになり、俺の演じる『ゼロ』という存在がカレンを通して他者に伝わってしまう可能性があるのだ。

(そんな奴を傍におけるか?いや、それ以前に、このままこの仮面を受け取る事さえ危険な……)

 『ゼロ』=『ルルーシュ』にとっての優秀な部下、カレンは失われた。失われてしまった。
 ならどうするのか。
 ギアスを使う事が出来れば、また話しも違うのだろうが、残念ながらカレンにはギアスは通用しない。
 一度使用した相手には二度と効かないというルールが今ほど憎らしい事は無かった、

(優秀なナイトメア乗りであるカレンを失うのは正直惜しい。だが、このまま流れに身を任せるわけにも……)

 その時、ゼロの仮面を抱え込むように抱いていたカレンが涙まじりに顔が目に映る。

「ゼロの、ゼロの仇を討って……。お願い、お願いだよ、ルルーシュ……」

 その懇願を受けた瞬間、俺の中で何かがはじける。
 その声と涙は、俺の中で揺れていた最後の決断を決めさせたのだ。

「わかったよ、カレン」

 涙で濡れる頬にソッと手を伸ばし、涙の通り道を塞いでやる。
 そして、俺は言った。

「どこまで出来るか分らないが、ゼロの遺志を継ぐ、継がせてもらう。
 付いて来てくれるか、カレン」

「……ルルーシュ」

 その瞬間、カレンの沈んでいた表情が生気に満ち溢れるように蘇り、疲れきった表情の中に咲く一輪の花のように輝く。
 それを確認し、俺は力強く頷くようにカレンの瞳を見つめ返した。
 その瞬間、三代目の『ゼロ』が誕生したのである。



 ◆ ◆ ◆



 少女は喜びに震え、少年は笑みを浮かべる。
 だが、決定的な違いが二人にはあった。
 少女は知らない。
 少年の浮かべた微笑が魔性の笑みだったという事を……。

 ルルーシュは笑っていた。残酷な笑みを。
 言うまでも無い事だが、別にカレンの気持ちに胸打たれ、ルルーシュはゼロの仮面を受け取ったのではないのである。

 ルルーシュはカレンの最後の言葉を聞いた瞬間、飽きれを通り越して憐れに思えてしまった。
 この状況でも、カレンのゼロに対する期待の眼差しは変わらないが、その矛先はあくまでゼロを殺した男への復讐でしかなかったからである。
 これから状況の打開と、このゲームからの脱出という大きな障害が待っているというのに、カレンはそんな単純な事すら失念していたのだ。
 ゆえに、ルルーシュは決断した。
 使えない者を切り捨てると。
 このナイトメアに乗る以外に使えない女を、頃合を見計らって始末する、ただそれだけの事なのである。

 勿論、ただ始末するのでは意味は無い。
 どうせやるなら、有効的に、利用価値を見出して、やる。
 その為にゼロの仮面を受け取った。
 自分がゼロである限り、カレンは俺をある程度は信用するからだ。
 利用して、利用しつくして、最後には始末するには、『ゼロ』というポジションは欠かせないのである。

 そして、思い当たるキャストがもう一人、先程の長身の男だ。
 男もゼロの正体を知る者の一人。
 なら彼すらも利用するのは当然といった所だろう。
 なんせ、彼にならギアスが通用し、操る事が可能なのだから……。



 ルルーシュは笑っていた。魔女が齎した悪魔の笑みを。



【G-7/キャンプ場-管理小屋/一日目/夕方】

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:精神的疲労(小)
[装備]:ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)、メロン×12個
[思考]
基本:何を代償にしても生き残る。
1:長身の男(スパイク)と接触する
2:頃合を見計らってカレンと長身の男(スパイク)を始末する
3:以下の実行。
  「情報を収集し、掌握」「戦力の拡充」「敵戦力の削減、削除」「参加者自体の間引き」
4:余裕があればモノレールを調べる


[備考]
※首輪は電波を遮断すれば機能しないと考えています。



【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:疲労(小)精神疲労(中)若干不安定
[装備]:ワルサーP99(残弾15/16)@カウボーイビバップ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)不明支給品(0~2個)
[思考]:
基本:黒の騎士団の一員として行動。ゼロの命で動きゼロを守る
1:ゼロ(ルルーシュ)に指示を仰ぐ
2:先代ゼロ(糸色望)の仇を取る
3:スパイク(日本人以外)を警戒(精神不安定)



 キャンプ場の入り口も兼ねる車の進入路がある道路に一人の男が居た。
 青いスーツに長身にアフロがかった髪形、犯罪者を震え上がらせる最強のカウボーイである。

「やれやれ、厄介な事に巻き込まれたぜ、全く……」

 そう言いながら、一人、ラーメン屋で密かに拝借してきた自分の腕程もあるチャーシューに齧り付く。
 スパイク・スピーゲル。
 元の世界では最強のカウボーイとして名を馳せた彼でも、流石に空腹という敵には勝てない。
 いや、むしろ天敵といっても過言ではない。
 傷の男との戦闘で傷ついた体を癒す意味でも、確かな食事は必要だったのである。
 明け方立ち寄ったラーメン屋で同行者に内緒で手に入れたそれは、
 この世界とは別の世界にあるジーハ村という村で食用飼育されている家畜、ブタモグラの極上チャーシューだったのである。

「にしてもこれ、うめぇぇぇな、こんなうめぇチャーシュー食ったことねぇ」

 冷めても尚、肉汁が溢れ出るような舌触りと食感、旨味成分を凝縮したコクのある味。
 一口食べれば誰もがその味の虜になるであろう最上級の一品である。

「イヤ、マジ、ジェットの作る料理もこれぐらいなら文句ねぇんだけどな。
 って、アイツの作るメシに肉なんか期待できねぇか……」

 当然、比べるべきは普段食している料理。
 相棒のジェットが作る、青椒肉絲(チンジャオロース)やもやし炒めと言った日々の食事だ。
 だが残念な事に、安定した収入の無い彼の作るそれらの料理には、例外なく『肉』という食材が入っていないのである。
 『肉』というその物のありがたみを受けれる瞬間といえば、大物賞金首を捕まえた時ぐらい。悲しいかな、それが現実だった。
 ゆえに、現状は幸せそのもの。
 スパイクにとっては最上級の肉を独り占めできていることは至福のひと時といって良いだろ。
 だが、なぜか今一その幸せを噛み締められなかった……。

「ハァ……、にしても、今あいつら何やってんだろ」

 そう言いながら僅かに気が落ちる。
 大好きな、しかもこれまででも食べた事の無いような極上な肉を齧りながらだと言うのに、スパイクの気持ちは一向に上向きにならないのである。
 理由は分ってる。
 いくら未だ確かな状況が理解できないスパイクでも、現状がただ事じゃない事ぐらい何となくだが気づいていた。
 流石に現状が切迫しているという事を……。



(……アイツ、マジだったな)

 自分達を襲ったあの傷の男は明らかに無差別であり、しかも金銭を目的にした犯行でもなかった。
 それを思い出し、右手の確かな鈍痛と痺れを再確認する。
 他の傷はある程度の治療はしたが、この右手だけは回復に数時間は有するだろう。
 殴るなど出来るはずもなく、辛うじて銃を握る事が出来るぐらいだろうか。引き金を引くことを考えると頭が痛くなる。

(まさか、本当に殺し合いだってのか?)

 最初は聞き流していた二度目の放送の内容を思い出し、ようやくその答えにたどり着いた。
 だが、どこか否定したい気持ちも生まれる。

(ジェット、エド、お前等は無事なのか?
 そして、ビシャス、お前までここに居るってのか……)

 切迫した状況に煽られるように何となく確認したデイパック。
 そこに入っていた名簿らしき紙には、仲間の名前と宿敵の名前があった。
 仲間と宿敵、どちらもスパイクには無視できる物じゃない。
 様々な思考が頭の中を巡り、僅かに焦りを感じた。
 スパイクの中では、ジェットもエドもしぶとく、こんな事で死にはしないという意識はあるが、自分があれほど手痛くやられた世界だ。
 ビシャスも含めて危険な奴等がまだまだ居ると思われるこの世界、正直、心配にならないと言えば嘘である。

(それに、リードマン、お前も……)

 そして、殺人者を食い止めるために残った読子・リードマン……。
 スパイクは冷静である。冷静に事実を受け止める覚悟は既に出来ていた。
 彼女のと別れて既に3時間近く経過している。
 それはつまり、彼女はもうここには現れないという事を指しているのではないだろうか。
 その可能性を考えた時、自然とスパイクは右手に持った銃を握り締めていた。
 彼女とはここに来てからの縁であり、それ程親しくしてきたつもりも無い。
 だが、それでも自身の中に溢れる、女を見殺しにしたかもしれない、という思いが如実に強まっていくのである。

「ホント、厄介な事に巻き込まれちまったぜ……」

 死体を見る前から復讐するとかそういう感情が芽生える程安易な思考形態を有しているわけではないが、
 それでも、自分の中で立ち止まっていられないという想いには行き着いてしまう。
 スパイクは考える。
 今後の事を。
 自分には何が出来るのかを。
 そして、後ろにある小屋の中に居るであろう二人の少年少女の事を。

(さて、そうなると、アイツ等をどうするかだが……)

 二人への警戒、特に少年への警戒が弱まったわけじゃないが、それでも自身のやるべき事ぐらいは見据えなければならない。
 それを思い、スパイクは再び溜息をついた。

(っても、やっぱガキどもをほっとくわけには、いかねぇよな……)

 下した決断は至極大人な判断。
 だが、これが後にどのような結果をもたらすか、当然本人は知る由も無い……。



【G-7/キャンプ場入り口/一日目/夕方】

【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:満腹、疲労(小)、全身打撲、胸部打撲、右手打撲(一応全て治療済みだが、右手は痛みと痺れが残ってる)
[装備]:デザートイーグル(残弾7/8、予備マガジン×2)
[道具]:デイバック、支給品一式(-メモ) ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
[思考]
1:さてとアイツ等は……
2:黒の騎士団をそれとなく守る。もちろん監視も
3:読子を一応待つ
4:もし読子と合流できたら、一緒にはやて達を追う
5:ジェットとエドは大丈夫なのか?


『ブタモグラの極上チャーシュー』
 ラーメン屋に奇跡的に残っていた食料。その味は筆舌にし難いほど美味い。
 ちなみに、こちらはブータの尻尾とは違い普通のブタモグラですので、
 食べた事で螺旋力が蓄えられる等の効能は多分ありません。念のため。




時系列順で読む


投下順で読む


171:絶望の器 ルルーシュ・ランペルージ
171:絶望の器 カレン・シュタットフェルト
171:絶望の器 スパイク・スピーゲル




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