ギルガメッシュ先生の黄金授業  ◆DNdG5hiFT6



『それまでの間、思う存分に闘争を続けるが良い』


2回目の放送がスピーカーから流れた時、あたし達は放送開始と同時に到着したモノレールの中にいた。
静かに発車時刻を待つ箱の中で、あたしは放送のことを思い返していた。
2回目にしてついに呼ばれた知り合いの名前を。

――玖我なつき

その名前を聞いた瞬間思ったのは、『ああ、やっぱりね』ということだった。
個人的に言えば鴇羽の方が先かとも思ったが、どちらともこんな場所で長生きは出来ないだろうと思っていた。
騙されでもしたか、厄介なやつに出会ったか……甘ちゃんな彼女達ならそんな感じの最後だったに違いない。
いつか豆鉄砲に撃たれた目がアイパッチの下で疼いた様な気がして、軽く手を当てる。
かつては殺し合いもした仲だが、今となっては――まぁ友人と言ってもいい間柄かもしれなかった。

「――まぁ、何だかんだで楽しかったわ」

あたしだって死んでしまった相手に悪態つくほど性格は悪くない。
そう、死んでしまったものは戻らないのだ。もう、二度とは。

……さて、気持ちを切り替えよう。
何てったってあたしはまだ生きているのだし、これから死ぬ気もサラサラないのだから。

まず放送を聴いて真っ先に頭に浮かんだのは同様にこの放送を聴いたであろう藤乃のことだ。
あのぶぶ付け女は玖我を生き返らせるため、これまでの方針がどうであれ、優勝を狙って動き出すだろう。
あの女の玖我に対する執着と、行動を起こした際の蛇のような執拗さは身をもって知っている。
恐らく出会えば見敵必殺……いや、背後から忍び寄られていつの間にか首を飛ばされる可能性だってある。
あの女なら笑いながらそれをやりかねない。
元からあまり会いたくない相手だったが、色々な意味で会いたくない相手にクラスチェンジしてしまった。
んで、あたしが新たな問題に頭を抱えている時に隣の全身黄金男はというと、
我関せずといった顔持ちで引き続き、読書にいそしんでいたのだった。
……わかっちゃいたけどマジ空気読め。
そんなアタシの視線を感じ取ったか、わずかにその赤い瞳をこっちに向ける。

「蜘蛛女、地図に禁止エリアは書き込んだな? 見せよ」

金ぴかに言われるまま書き込んでいた自分が恨めしい。
かつては男を使う側だったというのに今の状況は何なのだろう。
そんなこっちの思惑などまったく無視して、金ぴかは強引に地図を奪っていく。

「ほほう、これはまた……」

金ぴかは何がおかしいのか愉快そうに地図を見て笑っている。
はっきり言ってかなり不気味なのだが、それが似合っているのだから始末が悪い。

「……って、何か気付いたの金ぴか?」
「フン、つまらんことだ。
 それよりも気付いたか? あの男が抜かしていたことを」

質問を質問で返すな、……と言いたくなったが我慢して放送の内容を思い返す。
えーと、確かあのハゲ親父が言うには……

「――“命と引き換えに螺旋の力に目覚めた”とかいうやつ?」
「そうだ。これで先程言ったことが決定的になったな。
 二度余計なことを口にするなど偶然ではありえん。
 まず間違いなく螺旋王の目的は“螺旋の力”――
 そしてそれは戦いに――恐らくは命に関連するものだということだ」

地図から視線をはずし、宝石みたいな真紅の眼をこちらに向ける。

「そして“命と引き換えに”とわざわざ言ったという事は、
 最初の放送で言った“目覚めた少女”は未だ生存している可能性が高い。
 あの道化が興味を示したサンプルを我のものにするのもまた吝かではないな」

ってオイオイ、こいつ少女誘拐犯にでもなる気か。

「たわけ。この世の全ては我のモノだ。
 最初から我のものを自分の手に戻したところでそれは誘拐とは言わん」

あー、分かってましたよ。そういう返答が来ることぐらい。
それにしてもこんな奴に目をつけられるとは可哀想に。
まだ見ぬ『螺旋の力に目覚めた少女』に心の中で同情する。
と、そこであたしは地図を覗き込んで、一つのことに気付く。

「あれ? 禁止区域に灯台が入ってるけど……アンタさっき施設は入らないとか何とか言ってなかった?」

重箱の隅をつつくようなあたしの指摘に不機嫌になるかと思いきや、更に頬を歪ませ愉快げに笑うではないか。

「良く気付いたな蜘蛛女。そう、それを確認するために我はある場所へ向かう。
 そこに到着するまでお前も何か読んでおけ。情報は何にせよ持っていて損することはない」

そう言って金ぴかは手元の“八つ墓村”とかいう小説に目を戻した。
こうなってしまえば梃子でもこちらの話には耳を貸さないだろう。
大きく息をついて、椅子に背を預ける。

まあ、確かにギルガメッシュの言う通り、手元には未だ数冊の未読本があり、
金ぴかが何処に向かうつもりにしろ、そこに着くまではどうやったって時間はかかるのだ。
何といってもモノレールは決してこちらの都合には合わせて動いてはくれない乗り物なのだから。
(そういう意味では金ぴかにぴったりな乗り物だといえないこともない)

ま、このモヤモヤした気分を軽くするために読書をするのも悪くないだろう。
と言っても元々あんまり本を読むほうではないから、あんまり厚い本はさっき読んだ『BATTLE ROYALE』でお腹いっぱいだ。
そういういうワケで文庫本サイズの本を適当に一冊とる。

「げ、これ破れてんじゃん……」

手に取った文庫本はさっきの本の雪崩の影響か、作者の名前の所だけが破れかかっていた。
幸い中に影響は無い様で読むのに支障はなさそうだが。
ま、単なる暇つぶしだしこれでいいか。
タイトルは――

「“君は僕を知っている”、か……」




 * * *




「――ふぅ」

満足げな息が漏れる。
アレから一時間後、モノレールは依然として静かに動いていた。

普段は漫画以外の本をあまり読まないアタシだが、読みやすいし、悪くない話だった。
――つか、正直面白かった。

しかしこんな文字ばっかの本を読んで“面白い”なんて思ったのはいつ以来だろう。
次のページが楽しみでついめくってしまう期待感。読み終えた時の満足感と一抹の寂寥感。
何ていうか――悪くない気分だ。
今や作者の名前が分かれば他の本もいつか読んでみたいものだ、
とあたしに思わせるぐらいにこの本――というかこの作者を気に入っていた。
あのお気に入りのシーンだけでも一度読み直してみるかとページをめくりはじめた時、
備え付けのスピーカーから無機質な音声が流れ始める。

“間もなくディーフォ、ディーフォ駅――お降りの際は忘れ物のないように――”

ここを過ぎれば端っこに位置するデーワン駅まで止まる場所はない。
そうなると金ぴかが目指す先は水族館ぐらいしか無くなる訳だが――と、さえぎる様に
ギルガメッシュはあたしのあたしのディパックに本を戻していた。

「準備をしておけ蜘蛛女、次の駅で降りるぞ」

そういえば確か学校で“フェイカー”がどうとか言っていたような気もする。
それに関係しているのだろうか?

「フン、そんな雑種のことなど最早どうでもいい。
 恐らくはその周辺にいるであろうし、勿論出会えば殺すが……
 よくよく考えればあの程度の男、我が手を下さずとも長生きは出来まいよ」

はぁそうですか。じゃあ何処へ向かっているのかって話だ。
地図を見て何かを閃いたみたいだったが――

「我の目的は、アレだ」

黄金男の視線の先はモノレールの進行方向から向かって左側。
銃弾すら防ぎそうな分厚いガラスのガラスの向こうに映っていたのは――

「――何アレ」

遠目に見て、良くわからない建物だった。



 *    *    *




とはいえ、その建物がまさか近づいても良く分からないとは流石に予想の範囲外だったが。

「――キモ」

第一印象はそれに尽きる。
道端に立てられた二階建て程度の大きさの巨大な渦巻き。
その外見は前衛的過ぎて、はっきり言って設計者の美的センスを疑ってしまう。
ちなみに正面に取り付けられたデカい看板には名は体を表すがごとく、『螺旋博物館』と書かれている。

「ふむ、やはりな」

何やら納得した様子で一人頷くと金ぴかは遠慮も警戒も無しに博物館の中へと足を踏み入れる。
待ち伏せを警戒しつつ、続いて中に入ったあたしを待ち構えていたのは、

『らせんはくぶつかんへようこそ!』

こちらの緊張感を見事に削いでくれるポップな感じの文字列であった。
蛍光色の文字に脱力するあたしを尻目に金ぴかは“順路”と書かれた矢印に従い、奥へと進んでいく。
(本人に訊けば『矢印に従うのではなく、我の行く先に矢印が向いているのだ』とか言いそうだが)

そこから先、二人して常時展示用の部屋を見て回ったが、特に目新しい発見もないまま奥へ進んでいく。
何か情報でもないかと思って備え付けのパンフレットを手にとって見るが、特に目新しそうな情報は見当たらなかった。
っていうかこのパンフレット、文字もらせん状に配置してあって読み難いったらありゃしない。

「ふむ……蜘蛛女、貴様の知る博物館とはこのようなものだったか?」
「んなわけないでしょ。こんな頭おかしくなりそうな構造の博物館なんてそうそうありゃしないわよ」

全国を回ればお目にかかれるかもしれないが、少なくともあたしは知らない。
読みにくいパンフを筆頭に、はっきり言って螺旋に拘りすぎだ。
こんな構造だと潰れた後再利用なんて出来ないんじゃないの? と余計な感想まで付け加えてみる。

「ほう、では何か気付かんか? 先ほどの学校と比較して考えてみよ」

学校と博物館?
まぁ、遠縁の親戚ぐらいの関係はありそうだけど……

「たわけ。先ほども言ったろう、注目すべきは共通点よりも相違点だ。
 この建物はモノレールといい、貴様のいた世界と酷似しているのだろう。
 ならば我が何も言わずとも気付きそうなものだがな」

その『ヤレヤレこれだから雑種は』って顔はやめろ。
はぁ、元々頭脳労働はあたしの役目じゃないのだが……嫌々ながら考えてみよう。

……アタシ達がさっきまでいた学校はごく普通の学校だった。
それに比べると確かにここはおかしい。
具体的に言えば“螺旋”への拘りっぷりが。
螺旋状の通路に螺旋状に文字の配置されたパンフレット。
はっきり言って無駄ばかりで使いにくいが、それを無視してまでこの博物館は“螺旋”というキーワードにこだわっているのだ。


「そう言われると……何か……“螺旋”ってキーワードにこだわりすぎっつーか……」
「然り。この建物は周囲から“浮いている”のだ。
 まるで後から付け足されたような不自然さ――いや、事実その通りであろうよ。
 ハッ、これで確信したわ。この舞台の建築物には重要なものとそうでないものがある。
 灯台は恐らく何ら関係のない“最初からあったもの”に違いない」

その言葉が終わらないうちに、通路の突き当たりに赤い螺旋階段が現れた。

――また、螺旋だ。
ここまで螺旋尽くしだと本当に頭が痛くなってくる。

「ってことは何? この博物館はこの殺し合いのために作られた施設だっていうワケ?」
「そうだ。時代には時代の、土地には土地の空気がある。
 それからは建築物といえど――否、人の手によるものであれば尚更逃れることは出来ん。
 モノレールの中から見渡せる範囲を見渡してみたが、特に此処はその空気から逸脱しておったわ」

そんなことを言いながら螺旋階段を上っていった先を阻むのは、これまた螺旋状にデザインされた扉。
『特別展示準備中』 と言う張り紙が御丁寧にしてある。
その扉を目の前にしたギルガメッシュはというといきなりディパックに手を突っ込み、
漆黒の大剣――巳六を取り出したのであった。

「ちょ、ちょっと!!」

あたしが止めるまもなく振り下ろされる黒い刃。
その一撃は金ぴかの馬鹿力をもってすればコンクリートを粉砕するほどの威力がある。
巳六の重量、そしてその切れ味を持ってすれば金属といえど只ではすまないハズだ。

――だが、その切っ先は扉に触れるか触れないかというところで切っ先は停止していた。
いや、良く見れば先端がかすかに震えている。
……もしかして“止めている”んじゃなくて、“止められた”のだろうか?

「……フン、やはり力押しではどうにもならんか。まったく忌々しいものよ」
「……っていきなりどういうことよ。いきなり剣取り出したりしてあたしにも分かるように説明しなさいよ」
「触れてみよ、さすれば分かる」

言われるままに扉に触れてみる。

「うあ……」

思わず妙な声が出てしまったがそれも仕方ないだろう。
この扉、見た目は金属なのに妙に暖かい上、押せばその分返すような奇妙な感触がある。
適当な例えが見当たらないが……とにかく変な感触なのだ。

「どうやらこの先は奇妙な結界で覆われているらしいな。
 螺旋王とやらははよほど条件を満たさぬ者に中身を見せたくないようだ。
 さて、では問題だ。ここには何があると思う蜘蛛女?」

『分からない』そう答えるのは簡単だ。
だがその直後、またあの小バカにされたような表情をされるのは正直ムカつく。

――何とかして金ぴかに一泡吹かせてやりたい。
そう考えたあたしはヒントを探して周囲を見わたす。
すると天井近くに監視カメラらしきものを発見。
さらに張り紙の上には明日の正午を指し示す謎のメーター。おそらくは時間制限だろう。
そして『特別展示準備中』という注意書きには
『特別展示に入場される方は螺旋に類する物を持参ください。開封、未開封は問いません』
という続きが、小さい文字で書いてある。

何で、監視カメラが設けてあるのか?
何で、時間制限が設けてあるのか?
何で、こんな注意書きが書いてあるのか?

そして金ぴかは何を言っていた? 思い出せ。

『参加者を誘導しているようにも見える。
 さて、奴は参加者をどこに誘導し何をさせたいのか。
 はたまた、何を見つけさせたいのか』
『この舞台。施設といい、図書といい。奴の発言といい。
 あからさまなまでに参加者を釣る情報と言う餌がばら撒かれいる。
 まるで何かに気付いた下さいと言わんばかりにだ』


「――あ!」

一瞬のひらめき。
それが導き出した答えは、

「――弱いヤツへの、救済措置……ってこと?」

それに行き着いた。

この戦場においてあたしは強い方か?
……答えは残念ながらノーだ。
ジュリアが封印されていようがいまいが、金ぴかをはじめとしたそれ以上の化け物がここには存在する。
だが、だからと言って決して最弱だとは思っていない。
その程度には戦闘経験と腕に自身があるつもりだからだ。

だからこの会場には恐らく、あたしより弱い奴がいる。
そいつらがこの殺し合いを生き抜くためにはどうしたらいい?

隙を突いて強い奴を殺す?
――無駄だ。ここには規格外の奴らがいるのだ。金ぴかのようにそれこそ次元が違う奴らが。
強い奴同士を戦わせて、生き残ったほうを殺す? もしくは最後まで逃げに徹する?
――だめだろう。最終最後に1対1にでもなってしまえば殺される他ない。

そう、普通ならどうやっても強い奴の方が有利なのだ。
でもオッサンの目的は一方的な殺人ではないらしい。
なら弱い奴にもそれなりに勝利する可能性を持たせなければならないはずだ。
――だったらどっちかの勝利条件を変えてしまえばいい。
強い奴は『弱い奴を明日の正午まで殺しつくす』。
そして弱い奴は各施設から多種多様な情報を手に入れ、
『明日の正午まで生き残る』、もしくは『螺旋に関するものを手に入れる』という風に。
まあ、“戦い”を目的とする以上“状況をかなり有利にする”程度のものだろうけれど。

「ほう、やれば出来るではないか。それでこそ従者にした甲斐があるというものよ」

満足げな笑み。どうやらあたしの答えは正解に近いものだったらしい。

「そうだ、そう考えれば弱者にも勝利する可能性が出てくる。
 力を手にした弱者はその力に酔いしれ、敵を殲滅せんとするだろう。
 強者はその誇りにかけて弱者を抹殺せんと動くだろう。
 その力が対等であればあの男が求める闘争がそこに生まれるであろうよ」
「ふーん……じゃあこの扉の向こうには使い方次第で強い奴と戦えるものが入ってるって訳か」

あたしは相槌代わりにさっき言ったことを改めて言った。
だが金ぴかは意外なことを言われたかのように、面白げに視線をこちらに向ける。

「ほう、面白いことを言うな蜘蛛女。何故“使い方次第”とつけた? 言ってみよ」
「え? だって単純に強力な武器とかだったら
 強いヤツに強い武器がわたっちゃう可能性があるじゃん」

そうだ、それでは意味がない。
弱い奴に渡ってこそあのオッサンにとって意味があるのだ。

「例えば、明日の昼まで単純な意味での強いヤツ以外で生き残ったものがいるとすると、
 そいつはよっぽどしぶといか、運がいいか、――頭がいいか。
 運は計算なんか出来ないから運だし、しぶといってのはまぁ――ある程度強いヤツってことでしょ?
 だとしたら弱いヤツの中で確実に残るのは頭のいいやつ……そう思ったのよ」

そう答えると金ぴかは無言で一歩あたしのほうへ踏み出す。

(ヤバ、何か地雷踏んだ?)

時々忘れそうになるが目の前の男は気まぐれで人を殺せる男なのだ。
おっかなびっくり金ぴかの様子を伺うあたし。
金ぴかはそんなアタシに対して、頭に手を載せ左右に揺らし始めた。
つまり――頭を撫で始めたのだ。まるで、よく出来た子供をほめる様に。

「ちょ、ちょっと、やめっ」
「王からの褒美は受け取るのが臣下の義務だ。
 喜べ、我が手で撫でられたものは数えるほどしかおらぬのだからな」

満面の笑みで手のひらを左右に揺らす金ぴか。
力任せで自分勝手で首が痛くなるだけのソレは乱暴で頭を撫でているというよりは、強引に頭を揺らしているといった方が正しい。
それを振り払わなかったのは言っても聞かないことを知っているからか?
……それとも遥か昔においてきた過去を思い出すからだったんだろうか?
その思考は一層強くなった頭のぶれの前にかき消されることになったのだが。


  *   *   *


「うぇ、気持ち悪……」

よほどあたしの頭が気に入ったのか、解放されたのは数分たった後だった。
程よくシェイクされた頭の中は復帰まで暫くの時間を要し、お気に入りの赤い髪は寝起きのようにボサボサになっていた。

「そうだな、貴様の言うとおり少なくともここには“弱者にとって有利な何か”が存在する。
 それが何であれ、我が蔵の財に加えるの必要があるのは確かだが」

それだけ言うとこの扉への興味をなくしたかのように階段を降り始める金ぴか。
あたしはぼさぼさになった髪を整えながら後に続く。

「……って、じゃあその時間までここで待つの?」
「フン、我の時間は金よりも尊い。
 幸いこの周辺にもいくつか施設がある。
 そこにも何か仕掛けがあるかもしれん。それらを確かめながら廻るのも悪くあるまい?」

ってこんな趣味の悪い施設が他にもあるのだろうか。

「いや、ここまであからさまな釣り針は早々あるまい。
 一見して違和感のない形で仕込んである可能性が高かろう――あの図書室とやらのようにな。
 だが、後から無理矢理付け足されたものには必ず違和感が出るものだ。
 そこを辿っていけば――あるいは螺旋王とやらの裏をかけるかも知れんぞ?」

『まぁあの男が早々尻尾を出すほど迂闊だとは思えないがな』と会話を締めくくり、金ぴかは視線を前へ戻す。
そういうもんか、と思いながらさっきついでに考えた疑問を金色の背中にぶつける。

「そういえばおかしくない? そんな強力そうなものを参加者に与えるって。
 自分達に逆らう武器に使われたらそれどころじゃないでしょ?」

よくよく考えれば能力制限にもそんな意図があるんじゃないだろうか。

「なるほどな。少しは頭を使うようになったか」

イチイチ人の神経を逆なでしなければ話せないのだろうかこの俺様野郎は。
金ぴかは階段を降りきった所で、まるで黒板の前の教師のように勿体つけ、こちらに身体を向ける。

「簡単に考えられるのは回数制限をつけること、だ。
 何であろうと回数制限をつければ人は迷い、そして躊躇う。
 その上で螺旋王自身が多くの部下を使い、その道具を使い切らせれば良いだけだ」

流石王様。部下は捨て駒ですか。
それは兎も角としてそう考えれば、なるほど反逆されても心配はないだろう。
銃弾が百発あっても的が千個あれば命中率は10%を超えることはないのだから。

「もしくはもう一つの可能性として――」

だがそこで思案顔になり、言葉を切る。

「もしくは?」
「いや、あの螺旋王とやらがよほどの道化でなければこの可能性はない。
 まあ、どちらにせよ時が来ればまた分かることよ」

ってオイ、放送前といい焦らすにもほどがあるだろう。
こっちだって生死がかかってるのだ。聞く権利ぐらいはあるはずだ。
そう改めて問い詰めようとした、あたしの行動を邪魔したのはまたしても音だった。



グゥ。




まぁ問題はその音の元が――あたしの腹の虫だったことなのだが。

「クッ……ハハハハハハハハハーッ!」

一瞬金ぴかにしては珍しい虚を突かれた表情になったかと思うと次の瞬間、身体を折り曲げて爆笑し始めやがった。
こいつ……誰だって12時間もすれば腹の一つでも減るっつぅの!
だが言い訳すればするほど泥沼に落ち込みそうなので、恨みがましい視線を向けるだけに留めておく。

「ククク……まったく、我を笑い殺す気か。
 ――いいだろう。貴様の望みどおりそろそろ食事とするか。
 何、たまには臣下の望みを聞き入れるのも王の役目というものよな。感謝するがいい蜘蛛女」

誰が感謝するか、バーカ。
そう口には出さず心の中で呟いて、廊下を戻るギルガメッシュの後に付いていく。
まぁ、さっきの質問はまた次の機会にでも聞けばいいか、とか考え直しながら。


【D-4 博物館・一階/一日目 午後】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:健康、眼帯を外したい
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) 、奈緒が適当に集めてきた本数冊 、『

原作版・バトルロワイアル』 、『今日の献立一〇〇〇種』 、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:とりあえず食事を取る
2:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
3:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
4:藤乃には色々と会いたくない

※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンの発した"ガンダム"という単語と本で読んだガンダムの関連が頭の中で引っ掛かっています。
※博物館に隠されているものが『使い方次第で強者を倒せるもの』と推測しました。



【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:巳六@舞-HiME 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、シェスカの全蔵書(1/2)@鋼の錬金術師
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】【王の財宝】の入手。
1:食事を取った後、周囲の施設を回ってみる。
2:出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】
3:異世界の情報を集めておく。
4:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
5:宝具、それに順ずる道具を集める。
6:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
8:エレメントに興味



※学校の図書館には様々な異世界の歴史を記した本があります。
(ただしどれだけ関係ない話があるか、どこまで詳細かは不明。
 少なくとも参加者の名前や能力については述べられていない。
 また1stガンダム~ガンダム00まで全黒歴史を紹介するなど、関係ない情報も相当数紛れている)
※主催者による監視を警戒しています
※参戦時期は原作死亡時。


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152:読書の時間 結城奈緒 188:喜劇踊る人形は閉幕の音を聞く
152:読書の時間 ギルガメッシュ 188:喜劇踊る人形は閉幕の音を聞く





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