嗚呼川の流れのように ◆P2vcbk2T1w
糸色望は、混乱していた。
突然連れて来られた異様な空間。
目の前で見せ付けられた、突然で不条理な人の死。
そして、強制的に参加させられた、己の命を賭けたゲーム。
その全ての状況が、望の精神を蝕んでいた。
突然連れて来られた異様な空間。
目の前で見せ付けられた、突然で不条理な人の死。
そして、強制的に参加させられた、己の命を賭けたゲーム。
その全ての状況が、望の精神を蝕んでいた。
だが、このままここで茫然自失としているわけにはいかない。
この世界に連れて来られたのは、自分だけではないのだ。
最初に連れて来られた部屋。そこには、見覚えのある生徒達の姿も見て取れた。
そうだ。自分は教師なのだ。
彼女らと合流し、なんとしてでもこのふざけたゲームから生還する。
そらが、聖職者たる自分に課された使命なのだ。
この世界に連れて来られたのは、自分だけではないのだ。
最初に連れて来られた部屋。そこには、見覚えのある生徒達の姿も見て取れた。
そうだ。自分は教師なのだ。
彼女らと合流し、なんとしてでもこのふざけたゲームから生還する。
そらが、聖職者たる自分に課された使命なのだ。
望は与えられたデイパックの中を改めて調べてみることにした。
与えられた支給品を確認し、地図で現在地を確認するためだ。
「ふむ、どうやらここから西へ行けば駅があるようですね。
人の集まるこの場所に行けば、生徒たちとも合流できるかもしれない」
そう呟くと、望は駅へと向かって歩き出した。
最愛の生徒達を、絶望の魔の手から守るために……
与えられた支給品を確認し、地図で現在地を確認するためだ。
「ふむ、どうやらここから西へ行けば駅があるようですね。
人の集まるこの場所に行けば、生徒たちとも合流できるかもしれない」
そう呟くと、望は駅へと向かって歩き出した。
最愛の生徒達を、絶望の魔の手から守るために……
「……って、なに状況に流されているんですか私は――――っ!!!」
――アレ、先生?
「大体、こんな状況に放り込まれた人間がそう簡単に状況を把握できる筈が無いでしょうが!!
人が死んだとか言っても知ってる人じゃないし、そもそもアレ人なの?ってカンジだし、
正直『え? 何? ドッキリ??』って反応が関の山ですよ!!
それを素直に事実だと受け入れるだけでも大したものですよ! ええ、私には到底無理ですよ、無~理!!
大体、地図を一目見ただけで現在地と方角が分かるとか、どれだけ方向感覚に優れる人間なんですか! 普通迷いますよ!!」
「大体、こんな状況に放り込まれた人間がそう簡単に状況を把握できる筈が無いでしょうが!!
人が死んだとか言っても知ってる人じゃないし、そもそもアレ人なの?ってカンジだし、
正直『え? 何? ドッキリ??』って反応が関の山ですよ!!
それを素直に事実だと受け入れるだけでも大したものですよ! ええ、私には到底無理ですよ、無~理!!
大体、地図を一目見ただけで現在地と方角が分かるとか、どれだけ方向感覚に優れる人間なんですか! 普通迷いますよ!!」
――先生、それ以上は自重……(天の声)
「ハッ、いけない、流石に取り乱してしまいましたね(違う方向に)。
ですが、このように状況に流されるのは非常に危険なのです!
過去を振り返っても、状況に流された故の悲劇が、歴史には多数刻まれているのです!
「ハッ、いけない、流石に取り乱してしまいましたね(違う方向に)。
ですが、このように状況に流されるのは非常に危険なのです!
過去を振り返っても、状況に流された故の悲劇が、歴史には多数刻まれているのです!
- 断り切れないまま10年ローン契約成立
- みんなが飲んでいるからと飲酒運転して取り返しのつかない事に
- 出来ちゃった婚のそれから
- なんとなく辞意表明を先延ばし
- でもやっぱり辞意表明しちゃう
- 偶然ロボットのパイロットになって宇宙の命運を左右する運命に
- 本当は男だといいだせずにラブコメ
- 気が付けば世界を救う勇者になっていた
- いつの間にか記録的長期休載
- 本命は受かると踏んでのボーダー投票の流れにのってしまって涙目
この様に、状況に流されるがままになってしまうと、とんでもない結末を迎えてしまうものなのです!
いけません!! このまま流れに身を任せてしまっては、私もとんでもない結末を迎えてしまいますよ!!」
いけません!! このまま流れに身を任せてしまっては、私もとんでもない結末を迎えてしまいますよ!!」
…
……
「・・・・・・。」2分ほど時間が流れた。
……
「・・・・・・。」2分ほど時間が流れた。
「むう……どうにも、突っ込み役がいない状況というのは収まりが悪いですね……
やはり、建前はどうあれ他の誰かと合流したいところですね……一人だと流石に物騒ですし……
ああ、そうだ。念のために与えられた荷物をキチンと確認すべきでしょうか……って、やっぱり流されてる私!?
でもそれも仕方が……ああっ、でも!!」
やはり、建前はどうあれ他の誰かと合流したいところですね……一人だと流石に物騒ですし……
ああ、そうだ。念のために与えられた荷物をキチンと確認すべきでしょうか……って、やっぱり流されてる私!?
でもそれも仕方が……ああっ、でも!!」
……と、糸色先生が悶絶しながら荷物の中から取り出したそれは、一式の衣類でした。
「いや、衣類というかこれは寧ろ……ん? なにやら説明文が……」
「いや、衣類というかこれは寧ろ……ん? なにやら説明文が……」
『支給品:ゼロの仮面とマント。コレを着れば、貴方もゼロに早替わり!!』
「って、思いっきりコスプレ衣装じゃないですか――――!!
何なんですかこの悪ふざけは!こういうのは藤吉さんにでも支給するのが筋ってモンでしょうが!!
大体、この仮面とか、こんな構造じゃ前が見えるワケが……おや?
ふむ、この仮面、思ったよりも高性能ですね。内側にモニターのようなものが取り付けてある。
ほうほう、内側からはキチンと外が見えますよ。最近のコスプレはハイテクなんですねえ。
このマントも、実際に着てみれば思いのほか動き心地が……って……」
何なんですかこの悪ふざけは!こういうのは藤吉さんにでも支給するのが筋ってモンでしょうが!!
大体、この仮面とか、こんな構造じゃ前が見えるワケが……おや?
ふむ、この仮面、思ったよりも高性能ですね。内側にモニターのようなものが取り付けてある。
ほうほう、内側からはキチンと外が見えますよ。最近のコスプレはハイテクなんですねえ。
このマントも、実際に着てみれば思いのほか動き心地が……って……」
「いつの間にかバッチリ着ちゃってるじゃないですか―――!!」
糸色先生がノって参りました。
「まったくもう、ここまで自分が流れに乗りやすい性格だったとは……
しかし、人間というものは、案外流れに乗りやすい性質を持っているものですからね……
「まったくもう、ここまで自分が流れに乗りやすい性格だったとは……
しかし、人間というものは、案外流れに乗りやすい性質を持っているものですからね……
- 行列があると並んでしまう
- 人だかりができていると覗いてしまう
- 投票があると投票してしまう
- 王道展開
- 気が付けばトップマーダー
- ニート生活今年ではや10年
- いつの間にか夏休み終了。宿題? テスト? なんのことです?
- さすが社会人だ、夏休みなんか無いぜ。
矢張り私も日本人。右にならえ文化が骨身に染み込んでいるのでしょうか。
そう考えれば、この『流れ』というものから逃れるのは中々困難なのかも知れませんね。ハァ……」
そして、ひとしきり絶望して満足した糸色先生が、コスプレを脱ごうとした、まさにその時です。
そう考えれば、この『流れ』というものから逃れるのは中々困難なのかも知れませんね。ハァ……」
そして、ひとしきり絶望して満足した糸色先生が、コスプレを脱ごうとした、まさにその時です。
「ゼロ!! ゼロなんですね!!」
「……へ?」
突然発せられた声に驚いた糸色先生が振り向くと、
そこには見知らぬ一人の少女が、自分の元へと駆け寄って来るではありませんか。
「……へ?」
突然発せられた声に驚いた糸色先生が振り向くと、
そこには見知らぬ一人の少女が、自分の元へと駆け寄って来るではありませんか。
「えっと……どちら……様でしょうか?」
「何言ってるんですか、カレンですよ!!
でも、まさかゼロもこの異常事態に巻き込まれていたなんて……これも貴方の作戦の一環なのですか?」
「え? いや、私も何がなにやら……」
「では、これはブリタニアの陰謀か……奴等、日本人相手だと思って悪趣味な真似を……!」
「…………」
「何言ってるんですか、カレンですよ!!
でも、まさかゼロもこの異常事態に巻き込まれていたなんて……これも貴方の作戦の一環なのですか?」
「え? いや、私も何がなにやら……」
「では、これはブリタニアの陰謀か……奴等、日本人相手だと思って悪趣味な真似を……!」
「…………」
もう皆様お分かりの通り。
これはつまり、このカレンという少女が、糸色先生のことを、
コスプレ衣装の持ち主こと『ゼロ』本人だと勘違いしてしまっている、ということなのでした。
(ヤバイ!! これはまた、完全に状況に流されてますよ!! こ、このままズルズル行ってしまっては、本当に取り返しが付かなく……)
「ゼロ? どうかしましたか?」
「え? いえ、何でもありませんよ、なんでも!!」
「そうですよね、こんなの、何てことありませんよね!」
「え、ええ……」
「私、ゼロならきっと何とかしてくれるって信じてますから!」
「は、はあ……」
「せめて、ここから生還するまでは、ゼロは私が命に替えてもお護り致します!」
「まあその……何と言うか……宜しくお願いします……」
これはつまり、このカレンという少女が、糸色先生のことを、
コスプレ衣装の持ち主こと『ゼロ』本人だと勘違いしてしまっている、ということなのでした。
(ヤバイ!! これはまた、完全に状況に流されてますよ!! こ、このままズルズル行ってしまっては、本当に取り返しが付かなく……)
「ゼロ? どうかしましたか?」
「え? いえ、何でもありませんよ、なんでも!!」
「そうですよね、こんなの、何てことありませんよね!」
「え、ええ……」
「私、ゼロならきっと何とかしてくれるって信じてますから!」
「は、はあ……」
「せめて、ここから生還するまでは、ゼロは私が命に替えてもお護り致します!」
「まあその……何と言うか……宜しくお願いします……」
こうして、糸色先生は、このレジスタンスの少女、カレンと行動を共にすることになったのでしたとさ。
絶望先生の明日はどっちだ!?
絶望先生の明日はどっちだ!?
「 絶望した!!! 流されるままの人生に絶望した!!! 」
「……? ゼロ、何言ってるんですか……?」
【F-6西部 一日目 深夜】
【糸色望@さよなら絶望先生】
[状態]:絶望
[装備]:ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:荷物一式(支給品の残り数、内容不明)
[思考]
1: 絶 望 し た ! !
【糸色望@さよなら絶望先生】
[状態]:絶望
[装備]:ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:荷物一式(支給品の残り数、内容不明)
[思考]
1: 絶 望 し た ! !
【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:普通
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(詳細不明)
[思考]
1:ゼロを守る
[状態]:普通
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(詳細不明)
[思考]
1:ゼロを守る
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