転進、転進、退却にあらず ◆WcYky2B84U



しばしの逡巡の後、ニアが自分の決断に従い向かったのは、D-8の古墳であった。
本当ならば、今すぐにでもドーラの所へ向かい、僅かでも力になってやりたい。
だが……今自分が持っている武器はこの貧弱な釘バットだけ。それに加え、ニア自身も戦闘のスキルはほぼ無い。
こんな状態の自分が戦場へ向かっても足手まといになるだけ……ニアはそう結論付けた。


「ドーラおばさま………」


後ろを振り向き、このビルの向かい側にて戦闘を行っているであろうドーラ達のことを思う。
ビルを挟んだここからでも、断続的な衝撃音が響き、戦闘の激しさを物語っていた。
その音を聞き、思わず足を古墳とは逆方向へと進めそうになるが……慌てて頭を振り、再び前へ向き直る。


「私は、私が信じるドーラおばさまを信じます………必ずまた、戻ってきてください」


ここにはいないドーラに、そしてまた自分自身にへとそう言い聞かせながら、ニアは古墳へと駆け出して行った。











同時刻。決断を下したニアと同じく、古墳へと向かう人間……もとい、魔物が一人。
地図上にしてF-8の地点、つまりは深い森の中を、全力で駆け抜けているその者の名はビクトリーム。自称、『華麗なるビクトリーム様』である。


「ブルァァァァァァァァ!ビクトリィィィィィィム!!ビィィィィィクトルィィィィィィィィィム!!!」


絶叫により自らを鼓舞し、更にスピードを挙げて古墳へとその足……もとい、V字型の頭部を進める。
あの物騒な女性、藤乃静留と行動を別にした後、
自分の思い通りになりそうなパートナー(仮)が見つかるのを待ってから悠々と古墳へと向かうつもりであった彼が、なぜ一人のまま行動を開始したのか?

それには、れっきとした理由がある。

一人になった後、ビクトリームは自分がいるG-6の禁止エリア内部に留まったうえで、周辺のエリアを人間が通りがかるのを待つ事にしていた。
通常の人間ならば侵入不可能である禁止エリア内部ならば、自分の生存確率も上がると踏んだ為である。
果たしてその目論見は成功し、第二回放送が始まる直前にH-7のトンネル付近を移動している四人組(正確には二人と二匹か?)の参加者を発見する事が出来たのだが…
その人となりが問題だった。


『…………ってぇ…一人全裸じゃねぇぇぇかぁぁぁ!!!幾らなんでもそんな変態をパートナーとして迎える気は起きんわぁぁぁ!!
 周りの奴らも全裸にツッコミ入れておらんしぃぃぃぃぃ!!!ベルィィィィィィシィィィィィット!!
 どぉぉぉしてこうも会う人間会う人間がまともじゃねぇんだチクショォォォォォ!!………うん?いや、待てよ……それ以前に…あの人間は…?』


G-6エリアに隠れたまま、かの四人組に存在を悟られぬように心中で変態を目撃してしまった悲痛な叫びをあげたビクトリームであったが、
ふと、目の前のメンバーの内の一人に何かを感じ、スッと目を細める。
ただ黙々と歩みを進めているように見える四人組のメンバー構成は、タオル一丁で平然と歩いている金髪の変態男に、
サブマシンガンを携えた物騒な制服女(はて、何か違和感があるような?)、そしてどちらも二足歩行で歩いているトラ猫とメタリックな猫の二匹。
二足歩行でスタスタと歩き、その上会話までしている猫二匹には『もしや、こいつらも魔物なのかぁ?』と興味をそそられぬ訳では無いが、
現時点で最も注目すべきは、サブマシンガンの制服女。この女……いや、この制服には見覚えがある。


『むぅ……アレは…テーマパークにていきなり私とグラサンジャックにベリーシットな砲撃をぶちかましやがった、あの金髪の女と同じ制服ではないか…?』


だとすればある意味では、これはかの変態よりも危険人物かも知れない。
ノコノコと顔を出してみれば、さっきと同じくあのサブマシンガンで蜂の巣にされかける可能性も大だ。
もちろん、同じ制服を着て、同じ組織に属しているとしても、どちらもゲームに乗っているという事が確定した訳では無いが……。
事実を見極めるためにビクトリームは四人組の観察を続けることにし――――そして、第二回放送が始まり、終わった後で、それは起きた。

突如、トラ猫がメタリックな猫に襲いかかったのだ。
突然の仲間からの攻撃に衝撃を受けたのか、メタリックな猫は呆然としている。
そして、そのメタリックな猫に追い打ちを掛けるかのように、金髪の変態までもが次々と攻撃を加えていく。


『な、仲間割れか……!?』


突然の出来事に呆然としているのはビクトリームも同じであった。
確かに、ここまでの間でもあのメタリックな猫は他三人を呼びとめようとしていたようだが、だからと言って殺さなければならないほどの妨害行為は行っていなかった。
そして何より更に何より不気味なのは………猫に攻撃している変態から、ほとんど殺気を感じることが出来ない事。
それは先ほどのトラ猫も同じ。まるで、ただ『歩くのに邪魔な障害物があったからそれをどける』かのように、淡々と猫を始末しようとしているのだ。
余りにも異常な光景。命の危険を感じ、必死に悶え暴れている猫とは対照的に、変態もトラ猫も制服女も静かすぎるほどに静かにその命を奪おうとしている。

やがて、変態が猫を抱えたままトンネルへと消え…………石に鉄を無理やり擦りつけるような耳障りな悲鳴と、断末魔の様な絶叫が響き渡った。


『ぬ、ぬぅぅっ!?』


ここにきて、茫然自失状態だったビクトリームも再び意識を取り戻す。
ヤバイ。何が何だかわからんが、奴らはヤバイ。あまりにも意味不明で、不気味で、もう二度と関わりたくないタイプだ。
幸い、残されていた制服女とトラ猫も変態を追ってトンネルへと向かっており、行動するならば今だ。
即座にビクトリームは彼らの後ろを全速力でとびぬけ、G-8の森の中へと侵入する。


『奴ら、確か中央部を目指すとか言っておったなぁ…麗しき我が体が安置されているであろう古墳は中央部にはないが、そこに至るまでの道は中央部への道と同一!!
 ベリィィィシット!!あんな奴らと同じ道なんか行けるかぁってんでぇい!!ここまで来たら仮のパートナーを待っている場合ではない…私は一人で向かう!!
 ………いいか、これは絶対に断じて間違っても尻尾を巻いて逃げだす訳ではないぞ!あの不気味な変態ども、あんな形して妙に戦闘馴れしておったわぁ!!
 幾ら最強の名を欲しいままにする華麗なるビクトリーム様とは言え、パートナー不在に加えて美しき頭部のみの状態では勝てる試合も勝てんのよぉう!
 そう、これはただの撤退ではなぁい!!戦略的撤退!!勇気と無謀の違いが分かる魔物、それがこの華麗なるビクトリーム様!!
 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!ビィィィィィィクトリィィィィィィィィィィィィム!!!!』


誰かに話すというわけでもないというのに、延々と一人で逃走への言い訳をしながら、ビクトリームは古墳方面へと飛び立った。








「ゼェッ、ハァッ、ゼェッ………こ、ここまでくれば我が体は目前……い、いかにこの華麗なるビクトリーム様とは言え、いささか体を酷使しすぎたかぁ……?」


あれから全力で飛び続け、流石に体力を限界近くまで消耗したビクトリームが一息つく。
現在、彼がいる地点はE-8。目的地の古墳まではもう目と鼻の先だ。
ここまでくれば、もう変態トリオも追ってこないだろうと考え、彼は体を少し休めることにした。


「し、しかし………奴らは一体何者だ……やはり、あの制服を着た者どもは、とりあえずゲームに乗っているとみていいのかぁ…?」


適当な木の幹に寄りかかりつつ、先ほどの奇妙な一団についての考察を呟く。
テーマパークにて自分たちを襲った金髪の女。そして、今さっきこの目で見たサブマシンガンを抱えた女。
その二名に共通するのはあの茶色い制服であり、そしてどちらも『この殺人ゲームに乗っている』であろうと言う事。
特に、サブマシンガンの女の方は、今まで一緒に行動していた仲間が目の前で殺されかけても平然としていた。非常にヤバイタイプの人間だ。


「もしや、あの制服の人間は他にもいたりするのか……?だとすれば、注意しなければぁ………うぅん?」


そこまで考えたビクトリームは、ふとここから2kmほど離れた地点、すなわちデパート付近から湧き上がる黒煙を見た。
そういえば、デパート付近は中央部へ向かう為に通らなければならないルートに含まれている筈だ。
だとすれば、あの変態トリオがデパート付近へ向かうのは必須。そして今、そこにはおそらく自分の知る『ある人物』がいる筈だ。


「…………フ……フフフフフ………ブルァァァァッハッハッハッハッハッハァ!!!!い~い気味じゃねぇかぁ!!
 さんざっぱらこの私を苛めて虐めていじめ抜いた罰、その身でしかと受けるがいいわぁ、藤乃静留よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


放送直前まで、散々自分に煮え湯を飲ましてくれた『ある人物』こと、藤乃静留が変態トリオにひどい目にあわされるであろう事を想像し、ビクトリームが高笑いする。
まったくいい気味だ、自分にあんな事をするからそんな羽目になるのだ。そういえば、さっきの放送で『なつき』とか言う名前も呼ばれていたな?
つまりは不幸のダブルパンチ、いや実によき哉。さぞかしメロンも美味しく頂ける…………………。


「ブルァァァァッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ……………………」


徐々に笑い声が小さくなっていき、消えていく。
ほんのついさっきまでいい気分だったのが嘘のように、ビクトリームはテンションが下がっていくのを感じた。

ふと、思い出してしまったのだ。パートナーを失った人間が、どんな状態になるのかを。


「………ふんっ……興が冷めたわぁ……おのれグラサン・ジャックめ!!縁を切った後でもこの私を苦しめおってぇ!!
 次に会うときは、マグルガ100発……いや、持ってる残りのメロンを残さず頂くからなぁ……」


なぜか、グラサン・ジャックを痛めつける気にはならずにそう呟きながら、ビクトリームは再び黒煙の上がる方角を見る。


「……そうだなぁ…………ついでだから、藤乃くぅんのほえ面でも見ていくかぁ?さぁぞかしアホ面ぶら下げてるんだろうよぉ!!
 ブルアッハッハッハッハァ!!ちょうどよいわぁ!!笑って笑って笑いまくってやろうじゃねえか!!我ながらベリーナイスなアイディア!!
 …………ま、そのついでに………うん、ついでのついでにだ、変態トリオの事でも教えてやってもいいかもしれんなぁ…あくまでついでにだぞ!!」


再び言い訳がましく呟きながら、ビクトリームがデパート方面へと向かおうとした瞬間――――――




「…………………………あひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉう!!!???」




非常に危うく繊細でどこか甘美な衝撃を感じ、彼は地面へと墜落した。











ダイグレン団調理主任にして、また螺旋王の実娘でもあるニアは、非常に好奇心の強い少女である。
それは持って生まれた性質なのか、はたまた螺旋王の籠の中の鳥として育ち、あまり新鮮な刺激と触れ合う機会がなかったからかなのか定かではないが………
とにかく、彼女が持っている性質は、例え『複数名による殺し合い』という特異な状況下に置かれていても、変わることは無かった。


「…………これは一体何ですか?」


D-8・古墳前へと到着し、まず最初に目に入った『謎の物体』の前へと座り込みながら、ニアは最早口癖のようになっている言葉を呟いた。
彼女の目の前にあるのは、蔦でぐるぐる巻きにされたV字型の奇妙な物体。
ともすれば、ここに古墳があるのと相まって、古代人が残した趣味の悪いオブジェに見えない事も無かったが、ニアの好奇心の前では無力だったようだ。


「……………?」


横に倒れるのではないかと思うぐらいに首を大きく傾げながら、ニアは目の前の物体の検分を行う。
まず、特徴をあげるとするならば………Vだ。そうとしか言いようが無いほどにVだ。
Vの各部分に宝石の様な球をつけ、そこからさらに手足を生やしたような…………。
そこまで考えて、ニアはそのVが頭部のない人型をしている事に気づく。


「もしかして、貴方も参加者なのですか?」


思わずそんな事を聞いてみるが、答えは返ってこない。返ってくるはずもない。
しばらく神妙な面持ちで返答を待っていたニアだったが、やがてポンと手を打ち、感心したように表情を変えた。


「ああ、頭や口が無いのでは喋ることはできませんね!ごめんなさい、失礼しました!」


よいしょと立ち上がったうえで、奇妙なオブジェに深々と頭を下げるニア。
あまりにも滑稽でどこか微笑ましい光景ではあるが、それを見ている人間はここにはいない。
そして、改めてニアはオブジェの前に座り込み、物体の検分を再開する。
喋れないのならば、他の方法で意思疎通を行うのかもしれない。そう考えたニアは、V字の随所にある球体に注目した。


「これを使って喋るのでしょうか?」


呟きながら、ニアはゆっくりとその球体の一つ、Vの中央にある物に手を伸ばし、指でつついてみる。
そのまましばらく待つが、やはり何の反応も見られない。

実はニアのあずかり知らぬところで、その胴体の持ち主のとある決心の出鼻が思いっきり挫かれたのだが、彼女が気づける筈もない。


「………もう少し、刺激がいるのかしら?」


今度は、コンコンとノックの様に叩いてみる。

同時刻、ようやく気を取り直したその胴体の持ち主が再び目的地へと向かおうとして、再び奇声を上げながら墜落した。

今度は、ゴンゴンと少し強めに叩いてみる。

同時刻、さすがに少し立ち直れるのに時間がかかった胴体の持ち主が、地面に墜落した状態のままピョンピョンと跳ねまわった。

今度は、少し気合いを入れてパンチしてみる

同時刻、聞いている方が耳を塞ぎたくなるような断末魔の叫びが響き渡った。

今度は、アプローチを変えて、軽く息を吹きかけてみる。

同時刻、ピクピクしていた胴体の持ち主が短く奇声を上げながら起き上った。ちょっと気持ちよかった。

今度は、やっぱり元のスタンスに戻って、ちょっとはしたないけど軽く蹴りを入れてみた。

同時刻、起き上った胴体の持ち主が悲鳴を上げながら三度撃墜した。悲鳴は痛みによるものよりもちょっとした期待が打ち砕かれたショックによるものが大きかった。

今度は、今の衝撃で吹き飛んだ胴体を軽く踏(省略されました)

同時刻、胴体の持ち主が「いじめるなぁぁぁぁぁ!!!」と悲痛ながらもどこか何かを期待す(省略されました)

今度は、足を使うのはいけないと思い直し、そっと手を使って(省略されました)

同時刻、予想外の衝撃に(省略されました)


(年齢制限があるために省略されました。続きを読みたいと思う方は諦めてください。)








「やっぱり、ただの置物なのでしょうか?」


最初の状態からは随分と様変わりした物体を見ながら、釘バットを携えたニアが言った。
あれから色々と試したものの、目の前の物体は何の反応も示していない。
しばらく考えた後に、ニアはゆっくりと釘バットを構えながら、一つの結論を出した。


――――――次に、今までよりも強い衝撃を与えて、何も起こらなかったら今度こそ置物と考えて諦めよう。


ついさっきまでもこの釘バットを使っていたが、こうして使うのは初めてだ。
もしかしたら、今度こそ何か反応が返ってくるかもしれない。たしか、ダイグレン団の人たちも『調子が悪いときは思いっきりぶんなぐれば治る!!』と言っていたし。


そして、ニアは釘バットを振りかぶると、小さな体に思い切り力を込め、その釘バットを振りおろs「ビィィィィィィィイクトリィィィィィィィィィィム!!!!!」


突然の絶叫に、思わずニアが動きを止め、声をした方を振り向く。そこにいたのは、宙に浮かぶ大きなV。………V?


「もしかして、貴方はこの方のお友だt「ベェェェェリィィィィィシィィィィィィットォォォォォォ!!!いきなり何さらすんじゃこの小娘がぁぁぁ!!!」
「はい、どうにかしてこの方とお話が出来ないかt「んなこたぁ聞いとらんわぁ!!ついさっきから黙っておればくんずほずれつ好き放題にぃ!!
 私の体はおもちゃじゃねえんだぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「体?あ、もしかしてこの方は貴方の胴体なんですか?もしかして、シモンのラガンとロシウさんのグレンのようn「っつーかなんじゃぁ手に持ってる物騒なアイテムはぁ!
 もう私の股間の紳士を虐めるだけでは飽き足らず、虐待するつもりだったのかこの小娘ぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「股間の……紳士?もしかして、この方の中には更に別の方がいるのですか?あ、そういえばそれ以前に貴方は一体何でs「許せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!
 何があろうと絶対に許せぇぇぇぇぇぇん!!何より一番許せんのはぁぁぁ、ちょっとうれしかった私自身じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


延々と交わらぬ平行線の様に、人並み外れた天然の少女と、人知を超えたアクの強い魔物との会話モドキが続く。
第三者がいれば気の遠くなるようなその言葉のドッチボール(キャッチボールにあらず)は永遠に続くかとも思われたが…


「ブルァァァァァァァァ!!!ブルァァァァァァァァァァァァァ!!ビクトリィィィィィィィィィィム!!!」
「あの、もしかして……貴方もガンメンなのですか?」
「んだとコラァァァァァァァァァァ!?貴様もアレか小娘!!グラサン・ジャックのように私を『ガンメンモドキ』などと
 訳のわからん侮辱をする気かぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


何の気なしに投げかけられたニアの質問によって、大きく流れが変わり始める。


「……グラサン・ジャック………ガンメンモドキ……?」


ビクトリームの言葉を聞いたニアが思わず考え込む。
以前にドーラと交わした会話の中で気づいた事だが、どうやらこの会場には自分たちにとっての常識的な事…
すなわち、地下暮らしや獣人達の事、そして『ガンメン』などの機動兵器についての知識を持たない参加者が存在しているらしい。
そして、今の口ぶりからしてみても、この不思議な人(仮)もドーラ達と同じくそういった知識を持たない参加者のようだ。
だが、その『ガンメンモドキ』という通称を与えた『グラサン・ジャック』という人物は?
もしかしたら……いや、おそらく十中八九、自分と同じく、『ガンメン』についての知識を持つ人間であるはずだ。
しかし、『グラサン・ジャック』なる名前は参加者名簿には載っていないし、ニア自身も聞いたことが無い。
という事は、何らかの理由で付けられた偽名……?そういえば、この『グラサン』という単語には聞き覚えがある。
たしか、『サングラス』の事をこうも呼ぶらしい。

自分と同じく、『ガンメン』についての知識を持つ人間。そしてサングラス。
この二つの条件が…………ニアの脳裏に、未だに会った事はない、だが何度もその話を聞いたある人物を思い起こさせた。


「もぉぉぉぉ許さん……許さんぞぉ小娘ぇ……ブリブリムッカムカ!!良いかぁ!?今すぐにそこの我が体と合体し、貴様に目に物見せてくれるわぁ!!
 良いか、動くなよ!?我が体を自由にするまで多少時間がかかるだろうが、間違っても不意打ちなどはするなよぉぉぉぉ!?
 ああ、動くなとは言ったが、このにっくき蔦をどうにかするのを手伝うのならば構わんぞ!?」
「待ってください!!」
「ブルアァァァァァァァァァァ!?」


ゆっくりと自分の体に近づき合体しようとしたビクトリームを頭部を、ニアが掴んで止める。
この時、思わずビクトリームの脳裏によぎったのは、ここに来てから幾度となく受けた暴行の数々。


「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!待ちたまえぇぇぇぇぇぇ!!話せばわかる!!話せばわかぁぁぁぁぁる!!だから暴力反対!!リラーックス!!
 リラーックスするのだ小娘ぇぇぇぇ!!ほーら息を大きく吸ってぇぇ…大きく吐いてぇぇ…!」
「はい、だからお話を聞かせて欲しいのです!!」


ビクトリームの顔を自分と向かい合うように見て、彼の白目をじっと見据えながらニアは真剣な表情で言った。


「は、話を聞かせてって貴様ぁオイ!!アレかぁ!?どこぞの魔王だか冥王だかのようなアレを」
「貴方が今言ったグラサン・ジャックという人物は……本当は、『カミナ』という名前なのではないですか?」
「あ、あぁん!?」


今までの経験上、そのうち釘バットが飛んでくるのかと身構えていたビクトリームが思わず気の抜けた声を上げる。
まさかこんな場所で聞くとは思わなかった、懐かしくも出来れば思い出したくないような名前をなぜこの小娘が?


「確かにそんなダサイ名前だった気がするがぁ……」
「やはり、そうだったのですか……でも、どうして…?」
「こ、小娘よぉい…貴様、グラサンジャックの何なのだぁ?フレンズ?パートナー?まぁさかステディって事はないでしょぉう?」
「………私は、カミナさんという方をよく知っています。けれどおそらく、カミナさんは私のことを知らない筈です」
「なんじゃぁそりゃぁ?……ハッ、もしやアレか!!貴様、今はやりのヤンデレ少女かぁあ!?可愛い面して何とまぁ!!釘バットが似合う訳よぉ!!」


見当違いな結論を叩き出したビクトリームを無視し、ニアは続けて言葉を紡ぐ。
まだ、不確定な情報が多すぎる。なぜ、その人が生きているのか。……その人は本当に、シモンやヨーコの知るその人なのか。
それを、知らなければならない。


「お願いです。貴方の知っている、カミナさん…そのグラサン・ジャックさんについてを、詳しく話しては頂けませんか?」
「は、はぁあ…………?」


目の前の少女の顔は真剣そのもの、しかも我が美しき頭部はがっちりホールドされたまま。
逃げ場無しの状態のまま、ビクトリームはもう何度目かわからない自分に襲いかかる不幸に、少なからず絶望した。




【E-8/古墳・南出入口付近/1日目/午後】
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:健康 
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式 毒入りカプセル×3@金田一少年の事件簿
[思考]:
1.目の前のこの人(仮)から、カミナについての話を聞く。
2.古墳付近にて、ドーラ達が帰ってくるのを待つ。
2.シータを探す
3.お父様(ロージェノム)を止める
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※ドーラの知りうるラピュタの情報を得ました。
※ドーラとはぐれた場合には、D-8の古墳で落ち合う約束をしました。



【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:身体部分がD-8に放置 静留による大ダメージ 鼻を骨折 歯が二本欠けています 股間の紳士がボロボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム支給品2個(本人確認済み)、魔本
    ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!
[思考・状況] 
1:我が体、ようやく発見!!と思いきやなんじゃこの小娘はぁ!!……まぁ情報交換ぐらいならしてやるか。
2:モヒカン・エースがいないとしたら、誰に頼ればいいのだ……
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる……?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。

【備考】
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースがゲームに参加していない事に薄々感づきました。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。
 お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。
 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。


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165:召喚 ニア 190:ボクのセカイをまもるヒト(前編)
147:『蛇』のアクロバットをためつすがめつ ビクトリーム 190:ボクのセカイをまもるヒト(前編)





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