CrazyBoys ◆Wf0eUCE.vg
雲一つない青空にトンボの羽が震える。
赤と白の服をはためかせながら、風を切り大空を舞う。
大地を焦がす太陽が頂点に達し、時刻が正午を向かえた。
それと同時に、怯えるように空が震えた。
天上を舞い飛ぶ二人よりも更に上、遥か高みより響くのは支配者の声。
その声が無情なまでに淡々と、死者の名を告げてゆく。
それを聞きながら、赤い骸布に身を包んだ少年、衛宮士郎は無意識の内に砕ける勢いで歯噛みしていた。
赤と白の服をはためかせながら、風を切り大空を舞う。
大地を焦がす太陽が頂点に達し、時刻が正午を向かえた。
それと同時に、怯えるように空が震えた。
天上を舞い飛ぶ二人よりも更に上、遥か高みより響くのは支配者の声。
その声が無情なまでに淡々と、死者の名を告げてゆく。
それを聞きながら、赤い骸布に身を包んだ少年、衛宮士郎は無意識の内に砕ける勢いで歯噛みしていた。
間に合わなかった。
助けられなかった。
出会うことすら出来なかった。
助けられなかった。
出会うことすら出来なかった。
浮かぶのは懺悔にも似た後悔の念。
自分にもっと力があれば玖我を、ロイドを、慎二を助けられたかもしれない。
だが、それは叶わなかった。
聖杯戦争で散々思い知らされた自分の無力さを再度思い知る。
さっきだって、無力だからロイドを置いて逃げる選択肢しか選ぶ事が出来なかった。
例え意地を張ってあそこに自分が残っていたとして、いったいどうなったと言うのか?
考えるまでも無い。
ただ放送で呼ばれる名が一つ増えただけだ。
……ああそうだ。あそこで退いたその判断はどうしようもなく正しい。
だが、それでもこの心は納得などしてくれない。
自分にもっと力があれば玖我を、ロイドを、慎二を助けられたかもしれない。
だが、それは叶わなかった。
聖杯戦争で散々思い知らされた自分の無力さを再度思い知る。
さっきだって、無力だからロイドを置いて逃げる選択肢しか選ぶ事が出来なかった。
例え意地を張ってあそこに自分が残っていたとして、いったいどうなったと言うのか?
考えるまでも無い。
ただ放送で呼ばれる名が一つ増えただけだ。
……ああそうだ。あそこで退いたその判断はどうしようもなく正しい。
だが、それでもこの心は納得などしてくれない。
ロイドの最後の言葉を思いだす。
命を捨てて理想を貫くなんて矛盾は己を殺す、と。
そんなことはない。
そんなはずがない。
命を捨てるつもりなど毛頭ない。
痛いのも怖いのも嫌だし、死ぬのは怖い。
当たり前だ。誰だってそうだろう?
誰だって、死を恐れないはずがない。
ただ、それよりも、恐ろしい事があるだけだ。
命を捨てて理想を貫くなんて矛盾は己を殺す、と。
そんなことはない。
そんなはずがない。
命を捨てるつもりなど毛頭ない。
痛いのも怖いのも嫌だし、死ぬのは怖い。
当たり前だ。誰だってそうだろう?
誰だって、死を恐れないはずがない。
ただ、それよりも、恐ろしい事があるだけだ。
そうだ、自身の命が失われる事よりも――――誰かを救えない事の方が恐ろしい。
半身であった彼女の鞘は失われた。
以前のような常軌を超える再生力は残ってはおらず、刻まれた傷口は消える気配すら見せない。
聖杯戦争の時のような無茶をすれば、今度こそ本当に死んでしまうだろう。
それでもなお、この身は止まる事など許されない。
以前のような常軌を超える再生力は残ってはおらず、刻まれた傷口は消える気配すら見せない。
聖杯戦争の時のような無茶をすれば、今度こそ本当に死んでしまうだろう。
それでもなお、この身は止まる事など許されない。
すべてを助ける『正義の味方』になる。
それが、あの大災害からただ一人生き残った衛宮士郎の義務であり、
衛宮切継の意志を継いだ、衛宮士郎の使命であった。
いや、それ以前に、衛宮士郎にはそれしかない。
それが、あの大災害からただ一人生き残った衛宮士郎の義務であり、
衛宮切継の意志を継いだ、衛宮士郎の使命であった。
いや、それ以前に、衛宮士郎にはそれしかない。
あの大災害で全てを失った空っぽの心に輝くのは尊き夢。
誰かを救うという綺麗な願い。
何もなかったから、その綺麗な願いに憧れた。
誰かを救うという綺麗な願い。
何もなかったから、その綺麗な願いに憧れた。
それしかないのなら、そこに向かってその道を走り続けるしかない。
その道に迷いはなく。
その道に後悔はなく。
その道を走り続けることに恐れはない。
その道に後悔はなく。
その道を走り続けることに恐れはない。
「戻ってくれラッド。やっぱり鴇羽をこのまま放っておけない」
「はぁあ?」
そう――――たとえその道の果てに、避けようのない破滅が待っていたとしても。
■
気持ち悪りぃ。
その時、ラッド・ルッソが衛宮士郎に抱いた感情がそれだった。
放送を聞いた士郎の悔しがり方は異常だった。
ラッド・ルッソは殺人狂ではあるが、情がない人間という訳ではない。
殺したいほど愛している婚約者もいるし、同じ趣味を持った仲間もいる。
仲間が殺されたら悲しいし、悔しがるのも理解できる。
ラッドも一時の縁とはいえロイドの死に対して、ヨーコの死にしたって多少は思うところはある。
だが、所詮はそれだけだ。それ以上の感情など沸きはしない。
こいつだってそれは同じはずだ。
だが、こいつの場合、まるで本当に家族や恋人が殺されでもしたかのようだ。
ラッド・ルッソは殺人狂ではあるが、情がない人間という訳ではない。
殺したいほど愛している婚約者もいるし、同じ趣味を持った仲間もいる。
仲間が殺されたら悲しいし、悔しがるのも理解できる。
ラッドも一時の縁とはいえロイドの死に対して、ヨーコの死にしたって多少は思うところはある。
だが、所詮はそれだけだ。それ以上の感情など沸きはしない。
こいつだってそれは同じはずだ。
だが、こいつの場合、まるで本当に家族や恋人が殺されでもしたかのようだ。
「玖我は鴇羽の事を友達だって言ってた。
だから、鴇羽舞衣って子は本当はあんな事をする子じゃないはずだ。
玖我のためにも、何より鴇羽のためにもこのままアイツを放ってはおけない」
だから、鴇羽舞衣って子は本当はあんな事をする子じゃないはずだ。
玖我のためにも、何より鴇羽のためにもこのままアイツを放ってはおけない」
雄弁に語る士郎とは対象的に神妙な面持ちでラッドは押し黙る。
この男には珍しいほど静かに士郎を見つめるその心境は複雑だ。正直引いてるといってもいい。
なにせこの状況で出た言葉が、このまま逃げちまうでも、ロイドの仇をとるでもなく”鴇羽舞衣”が放っておけないときたものだ。
どう考えても今しがた散々説得を試みて見事に失敗した男の言葉ではない。
いや、それどころか、傷だらけのボロボロで目下、逃走の真っ最中である。
それを態勢を整えるどころか、傷の治療もままならないまま、おめおめ舞い戻るなどと正気の沙汰ではない。
もはやそれは無謀を通り越して自殺志願者の思考である。
ラッドとて職業柄、そういう人間がいることは知っている。
だが、こいつは先ほどの戦いで確かに生き残るという意志を持って戦っていた。
決して自殺志願者などではない。
初めは死を覚悟した正義馬鹿だと思った。
そういう奴は尊敬するし、正直スゲェと思っている。
だが違った。
こいつは死んでも何かを成し遂げようと言う奴ではなく。
どこかで致命的なまでに理論が破綻している生粋の狂人だった。
この男には珍しいほど静かに士郎を見つめるその心境は複雑だ。正直引いてるといってもいい。
なにせこの状況で出た言葉が、このまま逃げちまうでも、ロイドの仇をとるでもなく”鴇羽舞衣”が放っておけないときたものだ。
どう考えても今しがた散々説得を試みて見事に失敗した男の言葉ではない。
いや、それどころか、傷だらけのボロボロで目下、逃走の真っ最中である。
それを態勢を整えるどころか、傷の治療もままならないまま、おめおめ舞い戻るなどと正気の沙汰ではない。
もはやそれは無謀を通り越して自殺志願者の思考である。
ラッドとて職業柄、そういう人間がいることは知っている。
だが、こいつは先ほどの戦いで確かに生き残るという意志を持って戦っていた。
決して自殺志願者などではない。
初めは死を覚悟した正義馬鹿だと思った。
そういう奴は尊敬するし、正直スゲェと思っている。
だが違った。
こいつは死んでも何かを成し遂げようと言う奴ではなく。
どこかで致命的なまでに理論が破綻している生粋の狂人だった。
「まぁ、いいや」
ラッドはそう吐き捨て、考えを打ち切った。
正直な話、例え衛宮士郎が動く死人でも、人間の振りをしているロボットでも、そんな事はラッドの知った事ではない。
ラッド・ルッソにとって重要なのは、そいつがブッ殺すに値する、温い奴かそうじゃないかだけである。
その観点で言えば、コレは既に壊れているモノだ。そんなモノわざわざもう一度殺す気にもなりはしない。
殺す意欲が湧かない以上、ラッドにとってはそれまでだ。
正直な話、例え衛宮士郎が動く死人でも、人間の振りをしているロボットでも、そんな事はラッドの知った事ではない。
ラッド・ルッソにとって重要なのは、そいつがブッ殺すに値する、温い奴かそうじゃないかだけである。
その観点で言えば、コレは既に壊れているモノだ。そんなモノわざわざもう一度殺す気にもなりはしない。
殺す意欲が湧かない以上、ラッドにとってはそれまでだ。
「なあ、頼む! 聞いてるのかラッド?」
「あー、わった、わった。ま、戻ってやってもいいぜ」
「本当か!?」
「おっと、まてまて」
「あー、わった、わった。ま、戻ってやってもいいぜ」
「本当か!?」
「おっと、まてまて」
抱きつく勢いで喰いついて来た士郎を片手で制する。
なんのかんの言ったものの、優先順位こそ高くないが舞衣も遅かれ早かれ殺す予定だ。別に殺しに戻る事自体はラッドも吝かではない。
とは言え、一度退却を余儀なくされた相手に対して、そのままとんぼ返りで突っ込んで行くほどラッドは考えなしではない。
ラッドにとって殺人は娯楽であり癖であり趣味である。
その殺しだって一見、考えなしに本能のまま行っているように見えるが、その実そうではない。
殺しは叔父のモミ消せる範囲を充分に理解して行っていた。
本能ではない、ラッド・ルッソは十分な理性をもって人を殺すのだ。
まあ、それも相手がよほど度を越した勘違い野郎ならば話は別だが。
そういう相手は死んでも殺す。
なんのかんの言ったものの、優先順位こそ高くないが舞衣も遅かれ早かれ殺す予定だ。別に殺しに戻る事自体はラッドも吝かではない。
とは言え、一度退却を余儀なくされた相手に対して、そのままとんぼ返りで突っ込んで行くほどラッドは考えなしではない。
ラッドにとって殺人は娯楽であり癖であり趣味である。
その殺しだって一見、考えなしに本能のまま行っているように見えるが、その実そうではない。
殺しは叔父のモミ消せる範囲を充分に理解して行っていた。
本能ではない、ラッド・ルッソは十分な理性をもって人を殺すのだ。
まあ、それも相手がよほど度を越した勘違い野郎ならば話は別だが。
そういう相手は死んでも殺す。
「生憎、ちぃとばかし人を待たせたんだわ。
無事なら今頃メシを作ってオレの帰りを待ってるはずだからよ。
舞衣ちゃんをブッ殺しに行くのはそいつらと合流してからだな」
無事なら今頃メシを作ってオレの帰りを待ってるはずだからよ。
舞衣ちゃんをブッ殺しに行くのはそいつらと合流してからだな」
あの後、ロイドがどの程度ダメージを与えられたかにもよるが、あの爆発だ。むこうの損害は甚大なはずだ。
ジンと清麿と合流すれば勝算は十分だろう。
舞衣の所にいくのはそれからだ。
まあ、それもヨーコが死んでる時点で、ジンたちに何かあったのはまちがいないので、無事合流できるかは疑問があるが。
合流できなければその時はその時だ。
ジンと清麿と合流すれば勝算は十分だろう。
舞衣の所にいくのはそれからだ。
まあ、それもヨーコが死んでる時点で、ジンたちに何かあったのはまちがいないので、無事合流できるかは疑問があるが。
合流できなければその時はその時だ。
「ああ、それでいい。それと、ブッ殺すんじゃない助けるんだ」
「へいへい。んじゃま、そうと決まれば飛ばすぜ!」
「へいへい。んじゃま、そうと決まれば飛ばすぜ!」
そう言って、ブーンとフラップターを旋回させる。
回々と、狂々と螺旋を描くように青空を加速していく赤と白の影。
殺人狂と正義狂、そのたどり着く先は狂気か正義か、それとも――……
回々と、狂々と螺旋を描くように青空を加速していく赤と白の影。
殺人狂と正義狂、そのたどり着く先は狂気か正義か、それとも――……
【C-7/消防署上空/日中・放送直後】
【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康
[装備]:フラップター(+レガートの金属糸@トライガン)@天空の城ラピュタ
[道具]:支給品一式×2、ファイティングナイフ、超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾5/5)
ニードルガン(残弾10/10)@コードギアス 反逆のルルーシュ、携帯電話、閃光弾×1
[思考]
基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む)
1:ジン、清麿と合流。
2:鴇羽舞衣の所に戻って殺す。
3:東方不敗を探してぶち殺す。
4:清麿の邪魔者=ゲームに乗った参加者を重点的に殺す。
5:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す。
※フラップターの操縦ができるようになりました。
※ソルテッカマンを着込む際、ロイドの荷物を預かりました。
【携帯電話】
①全参加者の画像データ閲覧可能。
②地図にのっている特定の場所への電話番号が記録されている(どの施設の番号が登録されているのかは不明)。
全参加者の現在位置表示システム搭載。ただしパスワード解除必須。現在判明したのはロイドと舞衣の位置のみ。
パスワードは参加者に最初に支給されていたランダムアイテムの『正式名称』。複数回答の可能性あり?
それ以外の機能に関しては詳細不明。
[状態]:健康
[装備]:フラップター(+レガートの金属糸@トライガン)@天空の城ラピュタ
[道具]:支給品一式×2、ファイティングナイフ、超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾5/5)
ニードルガン(残弾10/10)@コードギアス 反逆のルルーシュ、携帯電話、閃光弾×1
[思考]
基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む)
1:ジン、清麿と合流。
2:鴇羽舞衣の所に戻って殺す。
3:東方不敗を探してぶち殺す。
4:清麿の邪魔者=ゲームに乗った参加者を重点的に殺す。
5:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す。
※フラップターの操縦ができるようになりました。
※ソルテッカマンを着込む際、ロイドの荷物を預かりました。
【携帯電話】
①全参加者の画像データ閲覧可能。
②地図にのっている特定の場所への電話番号が記録されている(どの施設の番号が登録されているのかは不明)。
全参加者の現在位置表示システム搭載。ただしパスワード解除必須。現在判明したのはロイドと舞衣の位置のみ。
パスワードは参加者に最初に支給されていたランダムアイテムの『正式名称』。複数回答の可能性あり?
それ以外の機能に関しては詳細不明。
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、腹部、頭部を強打、左肩に未処置の銃創、軽い貧血
[装備]:クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、バリアジャケット
[道具]:なし
[思考]
1:ラッドが仲間と合流しだい、鴇羽舞衣を止める。
2:イリヤの保護。
3:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
4:18:00に図書館へ行く
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※チェスに軽度の不信感を持っています
※なつきの仮説を何処まで信用しているかは不明
[状態]:疲労(大)、腹部、頭部を強打、左肩に未処置の銃創、軽い貧血
[装備]:クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、バリアジャケット
[道具]:なし
[思考]
1:ラッドが仲間と合流しだい、鴇羽舞衣を止める。
2:イリヤの保護。
3:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
4:18:00に図書館へ行く
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※チェスに軽度の不信感を持っています
※なつきの仮説を何処まで信用しているかは不明
時系列順で読む
Back:それでもボクは分からない Next:さよなら少年探偵
投下順で読む
Back:それでもボクは分からない Next:さよなら少年探偵
150:崩落 の ステージ(後編) | ラッド・ルッソ | 203:全竜交渉(前編) |
150:崩落 の ステージ(後編) | 衛宮士郎 | 203:全竜交渉(前編) |