ちぎれた翼で繋いだ未来へ ◆t2vl.cEw/o



『久しいな、諸君』

朝日が差し込む中、ロージェノムの放送が始まった。
ある者は憎しみを込め空を見上げ、ある者は己の戦果に笑みながら、ある者は仲間の無事を祈る中、その声を聞いているのだろうか。
ここ、F-4の民家で放送を聞く4人も、そんな放送を聞く一群だった。

『くくっ――誰がそんな事をするものか。このゲームに乗らぬ者は、そう考えただろうな。
 それは当然だ。そう簡単に趣旨変えされては、我が困る』

まるで、戦いに乗らず、見知らぬ者達同士で手を取り合った彼らを、あざ笑うようにロージェノムは言った。

『さて、禁止エリアについて説明しようではないか。
 死亡者から話しては、自我を喪失し、放送を聞き取れなくなる者もいるやもしれんからな』

死者が出ている。ロージェノムが、そう暗に匂わせる発言をしたとき、こなたの体が小さく震えた。
スバルは、そのこなたの体を抱きしめ、アルは鋼の手をギリと音がするほどに握り締める。
一人、戦場という死に最も近い場所で戦い続けたことのあるヒューズだけが、冷静にペンを取り、放送された禁止区域を地図へと書きこんで行く。

『さて、最後の一人を目指す者、このゲームを破壊しようと目論む者。どちらにとっても関心があるだろう、死亡者の
発表に移らせてもらおう』

そして、とうとう死者の名前が呼ばれる時が来た。
4人ともが、知り合いが、仲間が、友が死んでいないことを祈る。
だが

『エドワード・エルリック』

「え……」
「く……っ!」

呼ばれた兄の名にアルは唖然とした声をあげ、ヒューズは思わず奥歯を噛み締め苦々しい声を漏らし。

『キャロ・ル・ルシエ』

「!!!!!!」

仲間の名にスバルは目を見開き。

『柊つかさ』

「…………」

友の名に、こなたは、まるで、その放送が聞こえていないかのように、ぽかんと空を見上げた。

「ウソだ……兄さんが、兄さんが…!!」

がくりと膝をつき、アルが地面を殴る。
その鋼の鎧からは、流したい涙は全く流れてくれなかった。

「クソっ…!エド……なんで、若いヤツが先に逝っちまうんだ……!!」

ヒューズは、このバトルロワイアルの不条理さに、壁を殴りつけ。

「キャロ、なんで、キャロぉっ…!!」

スバルは地面に崩れ落ち、仲間の名を呼びながら涙を流し。


「…………」

そして、こなたは現実が受け入れられないのか、唖然とした顔のまま、虚空を見つめていた。
4人が4様の悲しみにくれる中、放送が終わり、重苦しい空気の中、暫く時間が過ぎていき

「あのね…」

そんな中、こなたが口を開いた。

「あたしね、昔、クラスメイト同士が、首輪を付けられて、最後の一人になるまで殺し合う『ゲーム』をさせられる。ってマンガ読んだんだ」

全く感情の篭らない、淡々とした語り口で、こなたはさらに言葉を紡ぐ。

「主人公が、ゲームに参加しないで頑張るんだけど、友達も、仲間も、どんどん死んでいっちゃうんだ。まるで、今の私たちみたいだよね」

朝日が差すだけの薄暗い部屋の中、ただこなたの声だけ響いていき。

「でもね、最後は主人公とヒロインが首輪を外して脱出に成功するんだ。首輪を外すと死んだって信号が出されて、それで主催を騙したんだよ。だからさ、この『ゲーム』だって、きっと首輪を外したら死んだって思われるんだよ。だからさ……」

そこまで言って、こなたの肩が小さく震え始め、声も震えだして、

「だから、きっと……生きてるんだよ、首輪外して、つかさも、みんな……きっと、生きて……」

こなたの心が限界に達した。

「ありえないよね、そんなこと。そんな、都合のいいこと……」

こなたの足から力が抜け、床にへたり込んで、頬を伝い流れ落ちた涙が、床を濡らしていく。

「ありえないわけじゃない!」

そんなこなたに、何時の間にか立っていたアルが声を上げた。
涙を目に溜めながら、ぽかんとアルを見上げるこなたの目に映る、その鎧の体では、見た目の感情は変わらない
だが、その声色には、明らかな希望の色を滲みだしていた。

「そうだよ、あのしぶとい兄さんがそう簡単に死ぬわけがない。きっと、首輪を外して、どこかに居るはずだ!」

もしも、こなたが言うとおりだとすれば、首輪を外せば死人扱いになるということだ。
この『ゲーム』でも、こなたの言うような状態と、同じようになる可能性は低い。むしろ、ゼロに極めて近いと言ってもいいだろう。正にありえない可能性なのである。
だが、アルはその可能性を考えないことにした。なぜならそれは、

「こなたやスバルみたいな異世界の人間が居る、死んだはずのヒューズさんだっている。今のこの状態がありえないんだ。なら、ありえないことなんてありえない。そう、考えよう」

兄の死に、崩れ落ちそうなアルの心が掴んだ、僅かな希望だったから。
だが例えそれが僅かでも、暗闇の中に差し出される一条の光を、こなたが、スバルが、ヒューズが、アルの中に輝くのを見た。

「ありえないことはありえない、か。あははは、そのセリフも何かのマンガで見た記憶があるよ。
……でも、そうだよね。悪い方向でのありえないことがあるなら、良い方向でのありえないことだって、きっとあるはずだよ」

涙を拭い取りながら、こなたが立ち上がり。

「キャロも、つかさっていう子も、そのアル君のお兄さんと一緒に首輪を外して居るかもしれない。そういうことだよね、アル。
なら、あたしも、こんなところで泣いてる場合じゃないか」

ぐしぐしと袖で涙を擦り取り、スバルも立ち上がり、よしと気合を入れなおす。
そうして、三人は手を取り合い、不安をお互いが消しあうように、そして希望を分かち合うように、頷きあう。
ヒューズは、そんな子供たちの姿に、声をかけようとして、やめた。
戦場で、無数の死を見てきた、ヒューズだからこそわかる。そんな都合のいい奇跡など、起きる筈はないと。
今、目の前で子供たちが掴もうとしているのは、大海に投げ出された藁程度の、僅かな希望に過ぎないのだと。
だが、ヒューズは同時にこうも思う。今にも消えてしまう希望だろうと、希望には変わりない。
そしてその希望は、子供たちが前を見て、この死地を生き抜いてゆくために必要な力なのだと。

(なら、もしもその希望が消えて溺れそうな時に、きっちり下から支えてやるのが大人の仕事ってもんだな)

この子供たちの希望こそが、このゲームから脱出するきっかけになるのを信じ、それを助けよう。
そう、ヒューズは静かに心の中で決めた。

「なら善は急げだ。エド達の探索や、他の知り合いとの合流のためにも、ここに何時までも留まってるわけにはいかないだろう?」
「はい!それじゃあ、最初の予定通り、デパートを目指しましょう」

ヒューズの提案にスバルがそう言い、手早く荷物を纏める。
アルは、まだ本調子ではないこなたを支え、4人はスバルを先頭にして、外へ続くドアを開けた。
そうして、朝日の中、4人は歩き出す。
その先にある絶望を、希望で塗り替えるために。



【F-4/民家の外/1日目-朝(放送直後)】

【チーム:引率の軍人と子供たち】
[共通思考]
1.主催者の打倒。またはゲームからの脱出
2.首輪の解析、解除が可能な人物、技術、物を探す
3.互いの知り合いや、ゲームに乗っていない者を探し仲間とする
4.殺し合いはしない
5.希望を持ち続ける
※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました
※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません
※螺旋王には少なからず仲間や部下がいると考えています
※それぞれの作品からの参加者の情報を共有しました
※ヒューズ意外の三人は、まだ知り合いが生きて居る可能性に賭けることで希望をもっています
※今のところは三人が互いの不安を保管しあうことで、崩壊するほど不安定ではありません


【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康、腹一杯
[装備]:S&W M38(弾数5/5)
[道具]:デイバック(×2)、支給品一式(×2、-ランタン×1)、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、短剣×12本、制服のボタン(ロイ)、単眼鏡、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、ジャガイモカレー(中)
[思考]
基本:主催の打倒。または脱出を目指して行動。仲間を集める
1.デパートや病院等、人が集まりそうな場所を目指す
2.ロイ・マスタングを探す
3.首輪や脱出に関する考察を続ける
4.子供たちが希望を失いそうになったら、しっかりと支えてやる


【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、腹一杯
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])、ジャガイモカレー(特大)、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ(×12発)
[思考]
基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
1.ヒューズに従って行動する
2.六課のみんなと合流する
3.キャロもみんなもまだ生きて居ると信じよう


【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパッグ、支給品一式
[思考]
基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
1.ヒューズに従って行動する
2.兄やロイ・マスタングを探す
3.こなたを護る
4.あのしぶとい兄さんが、そう簡単に死ぬはずがない
※アルの参戦時期はヒューズ死亡後のいずれか


【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:右頬に銃創、疲労・小、腹一杯
[装備]:
[道具]:デイバック、支給品一式、マチェット、チェーンソー、ジャガイモカレー(小)
[思考]
基本:死にたくないので助かるよう行動する。みんなと再会したい
1.ヒューズに従って行動
2.柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたかを探す
3.大丈夫。きっとみんな生きてるよ…
※こなたの参戦時期は原作終了後


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091:ひとつ屋根の下 泉こなた 136:禁忌の身体
091:ひとつ屋根の下 アルフォンス・エルリック 136:禁忌の身体
091:ひとつ屋根の下 スバル・ナカジマ 136:禁忌の身体
091:ひとつ屋根の下 マース・ヒューズ 136:禁忌の身体





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