片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs



「やはり私はこの世界でもこんな扱いなのか……」等、意味の分からない事を呟きつつうな垂れる久我を慰め、お互いの能力・情報等について話し合った結果、様々な事柄が似ているようで食い違っている、ということが判明した。

久我の推測も含めて纏めてみると

  • 今回の殺し合いは蝕の祭や聖杯戦争をモデルにした物
  • テッカマンとHiMEとサーヴァントは似たような存在
  • 螺旋力=高次物質化能力=魔術に近い特殊な力
  • 螺旋遺伝子を持った者=特殊能力者
  • この殺し合いの参加者は皆、何かしらの特殊能力を持っている

ということになるらしい。
何と言うか……ここまで明晰な頭脳を持ちながら“うっかり”で俺に襲い掛かってきたあたり、どこぞの赤い悪魔を彷彿とさせる。
“うっかり”俺に襲い掛かってきたとはいえ、この殺し合いの分析を進め冷静に脱出への道を探していた久我と比べて、自分は何をしていたんだろう。
(結局───聖杯戦争でセイバーや遠坂に助けられてばっかりだった頃と何も変わっていないじゃないか!)
先程の行為を水に流し、なつきに尊敬の念すら抱き始めた士郎だったが……

「しかし……衛宮と私達の知り合い全員が何らかの能力者と言う事はやはりドモンも何らかの能力を隠している可能性が高いな」

やはり彼女は“うっかり”だった。

「ドモン?」

彼女の知り合いは鴇羽、結城、藤乃の三人だった筈だけど───?

「ああ、お前に会う前に出会った子供だ。本人が言うには何の能力も持っていないらしいが、これだけ能力者が多い中で1人だけ能力を持っていないというのはやはり不自然───」
尚も続けようとするなつきの声は、しかし士郎の怒声に遮られた。

「こんな危険な所で子供を1人きりで放置するなんて、何考えてるんだ!?」

本当かどうかは分からないにしても、本人曰く何の能力も無い子供を殺し合いの場所で放置。
『正義の味方』を理想とする士郎にとって決して許せる行為では無かった

「お、落ち着け衛宮。私にも事情がっ!」
「事情?」

冷静に考えてみたら、久我だって好きでドモン君を放置してきた訳じゃないだろう。
(まさか自分の下着を持った俺を見つけたからそのまま追いかけてきた、何てこと無いだろうし。何か深いわけが……)

「あ、ああ。2人で歩いていたら全部燃えたはずの私のアレを持った男を見つけて───」

ああ、なんて事だ。
先程から考えていた事だが今確信が持てた。
目の前にいる女は───間違いなく、遠坂クラスの“うっかり”だ。
この殺し合いの場で、自分の下着を手にした男を見たくらいで取り乱して子供を放置するなんて。
なんて───無様。

「ってそのままドモン君を置いて俺を追っかけて来たのかよ!こんな危険な場所で無力な子供を1人きりにするなんてっ!!すぐ戻って守らないと!」
「その必要は無いッ!」

今にも駆け出さんとする士郎の前に叫び声と共に天から1人の漢が降臨した。
その漢こそ第13回ガンダムファイト優勝者にして現キングオブハート、ドモン・カッシュ。
衛宮士郎に無力な子供扱いされた漢だった。

■■■

ここで時間は少しさかのぼる。
士郎やなつきと出会う前、可符香と別れてしばらくたったドモンは、少し迷っていた。

(先程はあの少女の雰囲気に押されて納得してしまったが……やはり問答無用で参加者に襲い掛かるのは違う気がするな)

殺し合いに乗った強者と闘うのは問題無いし、殺し合いに乗ってしまった弱者を倒すのも致し方ないだろう。
殺し合いに乗っていない強者と闘って拳と拳で分かり合い且つ経験を積むというのも素晴らしい案に思える。
───だが、殺し合いに乗っていない弱者と闘うのは正しいのだろうか?

(強くなる……、俺の求める強さは弱者を蹂躙して得る強さなのか?)

時間がたてばたつほど、迷いは強くなる。

(否!真の強さとは強敵とのファイトを通じてこそ得れる物!弱者を蹂躙して得る強さなど、紛い物にすぎん!)

そうと決まれば迷いは無い。
高速道路に飛び移り、ドモンは力強い足取りで走り始めた。
強者と弱者を判断する為に彼が取った方法とは敢えて目立つ行動をとる、という方法だった。
高い所を走っていれば嫌でも目に付くだろう。
それを見たときの対応は3つ。

  • 不意を付いて襲い掛かる
  • 情報収集・仲間集めの為に接触する
  • 逃げる

襲い掛かってくる奴とは問題なく闘えるし、近づいてくる者はある程度の自信があるのだろうからファイトして貰う。
そして逃げる人は追いかけて保護する。
この時に殺人鬼と勘違いされてしまう可能性もあるが、一般人とガンダムファイターの追いかけっこの結果は火を見るより明らか。
追いついて理由を話して納得してもらえば問題ないだろう。

方針を定め気配を探りながら走っていたドモンは2人組みの少年と少女を見つけた。
ここからでは何を言っているのか良く聞こえないが、なにやら揉めているようだ。
反応を判断して強者なら闘う、弱者なら保護する。
そう思いつつ二人の方へ近づいていったドモンは驚くべき言葉を耳にした。

「ってそのままドモン君を置いて俺を追っかけて来たのかよ!こんな危険な場所で無力な子供を1人きりにするなんてっ!!すぐ戻って守らないと!」

俺を置いて、と言う事は俺を発見したが接触しなかった、という意味だろうか。
高速道路を走っていれば発見される事自体は不自然ではないが…。
……いや、待て。それだけでは名前を知っている理由にはならない。
まさか、風浦、あるいはエドとの会話の時点で監視されていたのか?
そして、何らかの事情で監視を放棄した?
こちらも警戒していたのに平然とその警戒を破り一方的に監視していたとは恐ろしい技術。
だが無力な子供だと?
年齢で見ればどう考えてもあの二人の方が年下。
ということは俺の力など子供の程度のものという比喩か?

一瞬で様々な考えが脳裏に浮かぶ。
だがドモンのキングオブハートとしての誇りと本能は考えるより先に体を動かし、

「その必要は無いっ!」

雄たけびと共に飛び降りていた。

■■■
そして時間は現在に戻る。

「この俺を前にして無力な子供を守る、とはよくぞ吠えた!そこまで言うのなら貴様らの実力見せてもらおう!」
「───ッ!?」

空から降って来た男は此方への殺気を隠そうともせず、ファイティングポーズをとっている。
常人なら即死───とは言わないまでも唯ではすまない高さから飛び降りてもかすり傷一つ負っていない。
向けられる殺気の質はサーヴァントにも劣らない。
間違いなく自分とは格が違う。
歯向かえば間違いなく殺される。
それでも───いや、だからこそ子供を守ることを否定されたのは許せなかった。

「子供を守ることの何がいけないんだ!」
「まだ言うかっ!もはや問答無用!それ以上吠えたければこの俺を倒してからにしろっ!」

駄目だ。完全に話が通じない。
男が恐ろしいスピードで突っ込んでくる。
投影する暇もない。
───やられるっ!?

「衛宮ッ!!」

その窮地は久我によって救われた。
とっさに銃を作り出し、威嚇射撃。
全弾外しつつ相手の動きを止めるとは相変わらず凄まじい銃の腕だ。

「くそっ!やるしか無いのか!?」

投影開始。
呪文を唱え双剣を作る。
見たところ無手の男はこちらの能力を警戒したのか仕掛けてこない。
かといって此方から仕掛けることも出来ない。
先程見せた身体能力───そして何よりも英霊とも比肩しうるその存在感。
少しでも動けば一瞬でやられてしまうだろう。


互いに動けず、膠着したまま時は過ぎる。
(こうしてる間にもドモン君は……)
どこかで1人で怯えているはずの少年を思う。
怖いだろう、淋しいだろう。
これ以上こんな所で時間をかけるわけには行かない。
しかし相手の能力を考えれば一瞬で倒す事など論外、それどころか逃げ切ることすら難しいだろう。
なら残された方法は一つ。
(俺が───時間を、稼ぐ!)

「久我!あんたは先に行けっ!」
「しかしそれではお前が───」

彼女の葛藤は良く分かる。
2人でも勝ち目は薄いのに、俺1人で挑めば敗北は必死。
それでも俺は───正義の味方は───

「ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?」

俺を見捨てて逃げる形になることに抵抗があるのか、久我はなかなか頷いてくれない。
どうしたものかと悩む脳裏に浮かんだのは一人の英霊の背中。
『ああ。時間を稼ぐのはいいが──― 別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』
あいつは───あの憎らしい弓兵は、敵う筈の無い狂戦士にも挑んでいった。

「それに───俺1人であいつを倒してしまっても構わないだろ?」
「───分かった。放送までは出会った場所で待っている。……死ぬなよ」

説得は無駄だだと悟ったのか久我はドモン君の所に向かってくれた。
彼女なら、ドモン君を守って、最終的にはこのふざけた殺し合いを潰してくれるだろう。
久我とドモン君の事を一時的に忘れて、意識を正体不明の男に向ける。
眼前の敵を倒すことは出来ないかもしれない。
それでも、後に続く人たちがあいつを倒せるように───無駄死には、しないっ!

(案外、似たもの同士だったのかな)
あれだけ馬が合わないと思っていた男と同じ行動をとっている自分に苦笑しつつ───
衛宮士郎は、格闘王に刃を向ける。

■■■


「ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?」
「───ッ!?」

この言葉を聞いた時のドモンの感情は、最早言葉で表せるものではなかった。

眼前の2人の眼にも映らぬ早業に恐怖を抱き、攻めあぐねていたのは事実だった。
こちらが仕掛けたと思った瞬間、女は虚空から銃を取り出し、こちらに射撃してきたのだ。
あまりの出来事に一瞬動きが止まってしまったが、弾丸はドモンをあざ笑うかのごとく全て外れた。
女だけではない、もう1人の男の方が双剣を手にした瞬間も視認することが出来なかった。
相手の一挙一動に注目していたのにも関わらず、だ。

にも拘らず隙だらけなのが恐ろしい。
打ち込む隙は随所にある。
だが打ち込んだ瞬間、眼に映らない速さで、女の銃で眉間を撃ち抜かれるかもしれない、男の双剣で斬り伏せられるかもしれない。
そんな恐怖があった。

だが───
『ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?』
曲りなりにもキングオブハート。
ここまで言われて引き下がる訳にはいかない。
かと言って怒りで暴走すれば勝ち目はない。

侮辱された怒りも、相手の力への恐怖も、全てを受け入れつつも揺らがない、澄んだ水のような心。
すなわち───明鏡止水。

幸いにして残った方は剣士。
自分の力を全てぶつければ───勝機はあるっ!

「キングオブハートを───舐めるなァツ!」

我が心明鏡止水、されどこの掌は烈火の如く。
眼前の強敵に、ドモンは己の拳を向けた。


【A-4 川岸 一日目 早朝】
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康。明鏡止水
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
1:目の前の少年と全力で戦う
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む (但しある程度の力を持ったもの限定)
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護する
※本編終了後からの参戦。
※参加者名簿に目を通していません
※正々堂々と戦闘することは悪いことだとは考えていません
※士郎・なつきはかなりの腕前だと思い込んでいます。

【玖我なつき@舞-HiME】
[状態]:疲労(中)、チェスに軽度の不信感
[装備]:ライダースーツ@舞-HiME
[道具]:支給品一式、風華学園高等部制服@舞-HiME、不明支給品2(本人確認済み)
[思考]
1:チェスの元に行く。
2:放送まではA-6で士郎を待つ
3:舞衣、静留、奈緒と合流する
4:この殺し合いから脱出する
 [備考]
※チェスの名前をドモン・カッシュだと思っています
士郎の情報を元になつきは以下の仮説を立てました。
  • 今回の殺し合いは蝕の祭や聖杯戦争をモデルにした物
  • テッカマンとHiMEとサーヴァントは似たような存在
  • 螺旋力=高次物質化能力=魔術に近い特殊な力
  • 螺旋遺伝子を持った者=特殊能力者
  • この殺し合いの参加者は皆、何かしらの特殊能力を持っている
※参戦時期は蝕の祭が終了した後です

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)
[装備]:干将莫耶(投影)、デリンジャー(2/2)@トライガン
[道具]:支給品一式、暗視ゴーグル、デリンジャーの予備弾20
[思考]
1:目の前の男を何とかして、なつきとドモン(チェス)と合流する。
2:殺し合いを止める。
3:イリヤの保護。
4:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※士郎はなつきが凄まじい銃の腕を持っていると思い込んでいます。。


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048:風のイ・タ・ズ・ラ 衛宮士郎 090:あの馬鹿は荒野を目指す
048:風のイ・タ・ズ・ラ 玖我なつき 103:片道きゃっちぼーる2・伝言編
054:転換 ドモン・カッシュ 090:あの馬鹿は荒野を目指す





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