得意分野 ◆ga/ayzh9y.
(さて……)
駅へと向かい歩を進めている最中、ヒューズは自分なりの考察を進めていた。
主催者を打ち倒し、このゲームをぶち壊す為には、絶対に乗り越えねばならぬ壁。
己の首に取り付けられている、この首輪についてであった。
先程は、いきなりスバルと遭遇したが故に考えを中断させてしまったが、
今は周囲に敵らしき者もいないし、スバルという仲間も出来た御蔭で、冷静に思考を働かせられる。
主催者を打ち倒し、このゲームをぶち壊す為には、絶対に乗り越えねばならぬ壁。
己の首に取り付けられている、この首輪についてであった。
先程は、いきなりスバルと遭遇したが故に考えを中断させてしまったが、
今は周囲に敵らしき者もいないし、スバルという仲間も出来た御蔭で、冷静に思考を働かせられる。
(まず……俺達の行動は、螺旋王って奴に殆ど把握されてるのは間違いねぇ。
奴のさっきの言葉が、何よりの証拠だ)
奴のさっきの言葉が、何よりの証拠だ)
『私は優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を求めている。
これは言わばそのための実験――』
これは言わばそのための実験――』
螺旋王は、このゲームを実験と言っていた。
自分達はモルモットであり、そして螺旋王は科学者といったところか。
ならば、実験の経過を見ずに、実験対象をほったらかしにする科学者が何処にいようか。
盗聴か盗撮のどちらか――もしかすると、両方かもしれない――は、確実にされている。
そして、それを行うに最も適しているであろう道具は……首輪。
この首輪には、少なくとも盗聴器は確実に仕掛けられているだろう。
自分の知る限り、こんな首輪に取り付けられるほど小さい盗聴器は知らない。
エドやロイ達が聞いたら、そんな馬鹿なと答えるだろう。
だが……スバルがいたという別世界には、その手の技術があっても不思議ではない。
実際問題、彼女が着けているリボルバー・ナックルには、機械関連には素人である自分から見ても分かるような、未知の技術が使われている。
盗聴器は確実に、この首輪に取り付けられている。
螺旋王は、それによって此方の状況を把握しているに違いない。
そうなると……迂闊な発言は、控えた方がいい。
自分達はモルモットであり、そして螺旋王は科学者といったところか。
ならば、実験の経過を見ずに、実験対象をほったらかしにする科学者が何処にいようか。
盗聴か盗撮のどちらか――もしかすると、両方かもしれない――は、確実にされている。
そして、それを行うに最も適しているであろう道具は……首輪。
この首輪には、少なくとも盗聴器は確実に仕掛けられているだろう。
自分の知る限り、こんな首輪に取り付けられるほど小さい盗聴器は知らない。
エドやロイ達が聞いたら、そんな馬鹿なと答えるだろう。
だが……スバルがいたという別世界には、その手の技術があっても不思議ではない。
実際問題、彼女が着けているリボルバー・ナックルには、機械関連には素人である自分から見ても分かるような、未知の技術が使われている。
盗聴器は確実に、この首輪に取り付けられている。
螺旋王は、それによって此方の状況を把握しているに違いない。
そうなると……迂闊な発言は、控えた方がいい。
『私に歯向かったり、実験に支障を来たす様な行動を取れば――』
先刻、螺旋王に歯向かった男は問答無用で爆殺された。
螺旋王本人も、自分の妨げになるものは殺すと断言している。
流石に、「螺旋王を倒す」なんて発言しただけでいきなり爆死なんて事はないだろう。
だが……具体的に、このゲームを壊す案を出したりした場合。
例えば、首輪の解除案について説明なんかしようものなら……即爆破に違いない。
螺旋王本人も、自分の妨げになるものは殺すと断言している。
流石に、「螺旋王を倒す」なんて発言しただけでいきなり爆死なんて事はないだろう。
だが……具体的に、このゲームを壊す案を出したりした場合。
例えば、首輪の解除案について説明なんかしようものなら……即爆破に違いない。
「……スバルちゃん、ちょっといいか?」
「はい、何ですか?」
「はい、何ですか?」
足を止め、後ろにいるスバルへと話しかける。
自分と共に行動している以上、彼女には話を聞く権利がある。
ヒューズはデイパックからボールペンとメモ帳を取り出し、素早く文章を書き始めた。
ここで迂闊に口出しをされないよう、人差し指を唇の前で立てて、静かにするよう合図する。
螺旋王に悟られては、元も子もない。
少しばかりした後、ヒューズは自らの首輪を指差しながら、スバルにメモを手渡した。
カモフラージュ用の言葉も、勿論忘れてはいない。
自分と共に行動している以上、彼女には話を聞く権利がある。
ヒューズはデイパックからボールペンとメモ帳を取り出し、素早く文章を書き始めた。
ここで迂闊に口出しをされないよう、人差し指を唇の前で立てて、静かにするよう合図する。
螺旋王に悟られては、元も子もない。
少しばかりした後、ヒューズは自らの首輪を指差しながら、スバルにメモを手渡した。
カモフラージュ用の言葉も、勿論忘れてはいない。
「……悪い、気のせいだったみたいだ。」
『これから、重要な事に関しては全部筆談だ。
あの螺旋王って奴は、まず間違いなく俺達の会話を盗聴してやがる。』
「!?」
『これから、重要な事に関しては全部筆談だ。
あの螺旋王って奴は、まず間違いなく俺達の会話を盗聴してやがる。』
「!?」
スバルはヒューズのメモを見て、驚きを隠せなかった。
ついつい声を出してしまいそうになるが、とっさに手で口を塞ぎ、言葉を引っ込める。
その後、ヒューズは自分がそう判断するに至った理由について、全て説明する。
スバルも、自分の筆記用具を取り出して彼に応答し始める。
ここで彼女は、「この首輪に盗聴器を取り付けられるか」と最初に質問された為、勿論出来ると答えた。
自分達のいる世界では、何てこと無い技術である。
ついつい声を出してしまいそうになるが、とっさに手で口を塞ぎ、言葉を引っ込める。
その後、ヒューズは自分がそう判断するに至った理由について、全て説明する。
スバルも、自分の筆記用具を取り出して彼に応答し始める。
ここで彼女は、「この首輪に盗聴器を取り付けられるか」と最初に質問された為、勿論出来ると答えた。
自分達のいる世界では、何てこと無い技術である。
『じゃあ……盗撮はされてないんですか?
実際、私達がこうやってても爆発しないし……』
『いや、それに関しちゃ断言できないな。
これが実験だっていうなら、音声だけで判断するってのは何か不自然だ。
生き残った優秀な奴の遺伝子が欲しいって言ってたが、それなら観戦がないのはおかしい。
どんな戦い方をするかとか、気にならない訳がないからな。』
『な、なるほど……』
『となるとだ……考えられるパターンは、三つある。』
実際、私達がこうやってても爆発しないし……』
『いや、それに関しちゃ断言できないな。
これが実験だっていうなら、音声だけで判断するってのは何か不自然だ。
生き残った優秀な奴の遺伝子が欲しいって言ってたが、それなら観戦がないのはおかしい。
どんな戦い方をするかとか、気にならない訳がないからな。』
『な、なるほど……』
『となるとだ……考えられるパターンは、三つある。』
盗撮が行われているのであれば、自分達はもう死んでいるかもしれない。
スバルのその考えは、もっともなものであった。
それは、ヒューズも分かっているが……だからといって、断言は出来ない。
現状、考えられる可能性が幾つかあるからだ。
スバルのその考えは、もっともなものであった。
それは、ヒューズも分かっているが……だからといって、断言は出来ない。
現状、考えられる可能性が幾つかあるからだ。
『まず一つ目が、スバルちゃんの言うとおり盗撮が行われていないパターンだ。
ただ……さっき言ったとおりだが、これはあまりに不自然すぎる。
まずありえない。』
『じゃあ、他の二つのどちらかって言う事ですか?』
『ああ。
とりあえず、二つ目のパターンだが……これは、螺旋王が俺達を甘く見てるって事になる。
俺達がこうしているのを見ても尚、「自分に敵うものか」って余裕をこいてるってことだ。』
『つまり……泳がされてる事?』
『ああ……さっき見たとおり、あいつの強さはかなりのもんだ。
だが……これの可能性は、多分薄いだろうな。』
ただ……さっき言ったとおりだが、これはあまりに不自然すぎる。
まずありえない。』
『じゃあ、他の二つのどちらかって言う事ですか?』
『ああ。
とりあえず、二つ目のパターンだが……これは、螺旋王が俺達を甘く見てるって事になる。
俺達がこうしているのを見ても尚、「自分に敵うものか」って余裕をこいてるってことだ。』
『つまり……泳がされてる事?』
『ああ……さっき見たとおり、あいつの強さはかなりのもんだ。
だが……これの可能性は、多分薄いだろうな。』
ヒューズは、第二の可能性もありえないだろうと考えていた。
実はこの考えには、大きな穴があるからだ。
そして、その穴を埋める鍵となるのは第三の可能性。
実はこの考えには、大きな穴があるからだ。
そして、その穴を埋める鍵となるのは第三の可能性。
『一番ありえるであろう最後のパターンは、盗撮は限定的に行われてるって可能性だ。』
『限定的にって……どういうことですか?』
『スバルちゃん、さっき俺は何て書いた?』
「!!」
『限定的にって……どういうことですか?』
『スバルちゃん、さっき俺は何て書いた?』
「!!」
先程書いたある単語を指差す。
それを見て、スバルも第三の可能性の意味に気づいた。
ヒューズの指の先――「観戦」の一文字が、全てを悟らせてくれた。
自分達の様に、ただこうして筆談を交わしているだけの者達を見ても、面白くも何とも無い。
実験の意味から考えても、まず間違いない。
それを見て、スバルも第三の可能性の意味に気づいた。
ヒューズの指の先――「観戦」の一文字が、全てを悟らせてくれた。
自分達の様に、ただこうして筆談を交わしているだけの者達を見ても、面白くも何とも無い。
実験の意味から考えても、まず間違いない。
『戦いをしている人達だけが、盗撮されているってことですか……?』
『そうだ……戦ってない奴を観た所で、得られる物なんかないからな。
戦闘が始まれば、こいつから何かしらの音が確実に拾われる。
それを合図に、盗撮を始める……戦闘をやってる奴だけ、限定的に盗撮するって事だ。
この考えでいけば、第二のパターンにあった穴を埋めることが出来る。』
『穴……ですか?』
『ああ……あれには、螺旋王自身が監視をやってなきゃいけないって前提がある。
そしてこの前提をクリアするのは、奴には不可能なんだ。』
『えっと……それってどういう事ですか?
だって、螺旋王がこのゲームの主催者だっていうなら、当然監視も……』
『人数が多すぎるんだよ。
名簿にも書いてあるけど、ゲームの参加者は82人だ……螺旋王一人で対処できる数じゃねぇ。
誰かに手伝ってでもしてもらわなきゃ、全員分の監視は無理だ。』
『あ……!!』
『そうだ……戦ってない奴を観た所で、得られる物なんかないからな。
戦闘が始まれば、こいつから何かしらの音が確実に拾われる。
それを合図に、盗撮を始める……戦闘をやってる奴だけ、限定的に盗撮するって事だ。
この考えでいけば、第二のパターンにあった穴を埋めることが出来る。』
『穴……ですか?』
『ああ……あれには、螺旋王自身が監視をやってなきゃいけないって前提がある。
そしてこの前提をクリアするのは、奴には不可能なんだ。』
『えっと……それってどういう事ですか?
だって、螺旋王がこのゲームの主催者だっていうなら、当然監視も……』
『人数が多すぎるんだよ。
名簿にも書いてあるけど、ゲームの参加者は82人だ……螺旋王一人で対処できる数じゃねぇ。
誰かに手伝ってでもしてもらわなきゃ、全員分の監視は無理だ。』
『あ……!!』
考えてみれば、あまりに単純すぎる問題だった。
勿論、螺旋王自身は監視を行ってはいるのだろうが……彼一人で、全員分の面倒を見切れる筈がない。
協力者……仲間なり部下なりが、彼にはいる。
そう考えると、第二の可能性の穴を埋めることは簡単に出来た。
もしも盗撮を行っている者に、螺旋王とは違い小心者・臆病者の類がいるとしたらどうだろうか。
自分達の筆談を見ただけで、即爆破なんて事も十分ありえる。
ここで少しだけ問題になるのは、爆破の権限が螺旋王のみにあるのか、それとも監視者全員にあるのか。
ゲームの進行において最も大切な要素である首輪の爆破を、果たして部下に任せるだろうか。
後者ならば問題は何もない。
しかし前者の場合、この考えには少し無理が出てきてしまう。
部下から状況を報告された螺旋王が爆破するという形式ならば、全てを判断するのは螺旋王だ。
これでは、小心者も臆病者もない。
しかし……自分達は爆殺されていない。
やはり、常時の盗撮はないと見るべきだろうか。
それとも第二のパターンで述べたように、泳がされているか。
いや……さっきも述べたが、戦闘外の様子を見るメリットがあまり無い。
螺旋王は、それなりに頭の切れる人物のようだ。
無駄に労力を割く真似はしないだろう……常時の盗撮は、恐らく無い。
常時の監視は盗聴だけ……盗撮は第三のパターンで述べたように、限定的に行われているという事になる。
勿論、螺旋王自身は監視を行ってはいるのだろうが……彼一人で、全員分の面倒を見切れる筈がない。
協力者……仲間なり部下なりが、彼にはいる。
そう考えると、第二の可能性の穴を埋めることは簡単に出来た。
もしも盗撮を行っている者に、螺旋王とは違い小心者・臆病者の類がいるとしたらどうだろうか。
自分達の筆談を見ただけで、即爆破なんて事も十分ありえる。
ここで少しだけ問題になるのは、爆破の権限が螺旋王のみにあるのか、それとも監視者全員にあるのか。
ゲームの進行において最も大切な要素である首輪の爆破を、果たして部下に任せるだろうか。
後者ならば問題は何もない。
しかし前者の場合、この考えには少し無理が出てきてしまう。
部下から状況を報告された螺旋王が爆破するという形式ならば、全てを判断するのは螺旋王だ。
これでは、小心者も臆病者もない。
しかし……自分達は爆殺されていない。
やはり、常時の盗撮はないと見るべきだろうか。
それとも第二のパターンで述べたように、泳がされているか。
いや……さっきも述べたが、戦闘外の様子を見るメリットがあまり無い。
螺旋王は、それなりに頭の切れる人物のようだ。
無駄に労力を割く真似はしないだろう……常時の盗撮は、恐らく無い。
常時の監視は盗聴だけ……盗撮は第三のパターンで述べたように、限定的に行われているという事になる。
『ヒューズさん、凄い!!
私なんか、全然考えつかなかったのに……』
『まあ、職業柄って奴かな。』
私なんか、全然考えつかなかったのに……』
『まあ、職業柄って奴かな。』
アメストリス軍屈指の切れ者であるヒューズ。
僅かな手がかりから、これ程までの考えを纏める事が出来た。
その頭脳には、スバルもただただ感心するしかなかった。
僅かな手がかりから、これ程までの考えを纏める事が出来た。
その頭脳には、スバルもただただ感心するしかなかった。
(もしかすると……とんでもない人の仲間になっちゃったかも?)
【F-3/道路付近/1日目深夜】
【チーム:前線局員とデスクワーク軍人】
[共通思考]1:殺し合いには乗らない。互いの仲間や殺し合いをしたくない者と合流、彼等を守る。
2:首輪の解析・解除が可能な者を探す
3:主催者の打倒・ゲームからの脱出
※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました。
※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません。
※螺旋王には少なからず仲間・部下がいると考えています。
【チーム:前線局員とデスクワーク軍人】
[共通思考]1:殺し合いには乗らない。互いの仲間や殺し合いをしたくない者と合流、彼等を守る。
2:首輪の解析・解除が可能な者を探す
3:主催者の打倒・ゲームからの脱出
※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました。
※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません。
※螺旋王には少なからず仲間・部下がいると考えています。
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6)
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ数12発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。仲間や殺し合いをしたくない者を守る。ヒューズと行動。
1:ヒューズさんって頭良い……
2:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
[状態]:健康
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6)
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ数12発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。仲間や殺し合いをしたくない者を守る。ヒューズと行動。
1:ヒューズさんって頭良い……
2:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:S&W M38(弾数5/5)
[道具]:支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S&W M38の予備弾数20発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。スバルと行動。
1:首輪に関する考察を続ける
2:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
[状態]:健康
[装備]:S&W M38(弾数5/5)
[道具]:支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S&W M38の予備弾数20発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。スバルと行動。
1:首輪に関する考察を続ける
2:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
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028:勇気の意味を知りたくて | スバル・ナカジマ | 076:美少女と甲冑、他 |
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