英霊と台風 ◆10fcvoEbko
(殺しあいなんて駄目だ…絶対に止めさせないと……)
ヴァッシュ・ザ・スタンピードは玉座に座る男を見上げた。螺旋王を名乗った男はたった今人一人を殺したにも関わらず何事もなかったかのように説明を続けている。
(ごめん。僕には何もできなかった…)
涙が溢れそうになる。ヴァッシュは唇を噛み締めた。
「気に入らねぇ、ってツラしてるな」
声をかけられた。向くと細身で青い服を着た長身の男がヴァッシュと同じように苦い表情で玉座の男をを睨んでいた。
「……オレもだ」
やはり自分と同じ思いの者はいる。それを確認するとヴァッシュは再び視線を戻した。
(そうだよね…誰も、殺し合いを望むなんて…。そんなことのために君は……)
そこでヴァッシュの視界は歪み意識は闇に落ちた。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードは玉座に座る男を見上げた。螺旋王を名乗った男はたった今人一人を殺したにも関わらず何事もなかったかのように説明を続けている。
(ごめん。僕には何もできなかった…)
涙が溢れそうになる。ヴァッシュは唇を噛み締めた。
「気に入らねぇ、ってツラしてるな」
声をかけられた。向くと細身で青い服を着た長身の男がヴァッシュと同じように苦い表情で玉座の男をを睨んでいた。
「……オレもだ」
やはり自分と同じ思いの者はいる。それを確認するとヴァッシュは再び視線を戻した。
(そうだよね…誰も、殺し合いを望むなんて…。そんなことのために君は……)
そこでヴァッシュの視界は歪み意識は闇に落ちた。
次に気がついたときヴァッシュは全速力で疾走するモノレールの屋根にへばりついていた。
「のおおぉぉぉぉ!?なんで!?どうして!?なしていきなり屋根の上なのぉ!どぉして走ってるのぉ!僕が何したって言うのさあ!」
跨座式のモノレールである。吹き荒れる風がヴァッシュの顔を容赦なく叩く。
モノレールの正面に掛けている手の力を一瞬でも緩めればたちまち時速数十キロで下を流れる地面へとダイブするだろう。
「無理無理無理!落ちる!落ちちゃう!助けてよママンッ!あ~、今口の中に何か変なの入ってきたあ!」
「うるせぇぞ!」
必死でじたばた泣き喚くヴァッシュを横合いから怒鳴りつける声がした。
「そんなこと言ったってぇ!ってあれ?ああ、あなたはさっきの青い人!」
ヴァッシュが声の方向に首を曲げると先ほどの青服の男がモノレールにへばりついていた。
但し、ヴァッシュが屋根なのに対し男は幾分姿勢を保持しやすい側面から屋根に手を掛ける形である。
「青い人じゃねぇ!ランサーだ!」
イラついた声で男はそう名乗った。
「あぁ、どぉもぉ!ぼかぁヴァッシュ・ザ・スタンピードって言いますぅ!一緒にこの殺し合いを止めさせましょう!」
「真っ先にてめぇが死にそうじゃねぇか!」
屋根より安定した場所にいる分いくらか冷静でいられるのか、ランサ-はそう返した。
「そりゃまぁそうなんですけどねぇ!あ、まさかランサーさん殺し合いに乗っちゃうつもりですかぁ!?だめですよ、世の中はラァブ&ピースでいかないとお!」
「馬鹿にしてんのかてめぇは!?」
再び怒鳴りランサ-は片手で頭をかいた。足をかける場所はあるのでサーヴァントの腕力と合わせれば片手でも姿勢の保持に影響はない。
「…くそ!とにかく状況の確認だ!…いつの間にかこんなもん持たせやがって」
そう言うとランサーは肩に掛かっていたデイパックをずらし片手で中身の確認を始めた。
「器用ですねぇ!?」
突風に手を持っていかれかけた体を慌てて戻しながらヴァッシュが叫ぶ。
「英霊を舐めんな!これぐらいの風圧屁でもねぇ」
「じゃあ代わってくださぁぁぁい!」
突然の横風にあおられ下半身が変な方向に曲がっているヴァッシュを無視してランサーはデイパックの探索を続ける。
「あぁ?紙かこりゃ!?え~、アイザック…アルフォンス…こりゃオレ達の名簿だな!」
「ホントですか!見せてください!一体何人の人達がこの馬鹿げた殺し合いに参加させられているのかと思うと…」
心底心配で堪らないというように顔だけでうなだれるヴァッシュ。
「ちっ…!仕方ねぇ。オラしっかり見ろ!」
ランサーは無理やり身を乗り出しヴァッシュの鼻先に名簿を突き付けた。
「どぉも!…ってちょっと近すぎ!紙がめくれて鼻、鼻が!ふぁ…ふぁ…ぶぇっくしょいっ!」
はためく名簿に鼻先を刺激されたヴァッシュは盛大なくしゃみで名簿を吹き飛ばした。
猛烈な風に巻き上げられた名簿は瞬く間に二人の遥か後方へと消え去った。
「馬鹿野郎!」
「ごめんなさい!」
顔を青くして謝るヴァッシュ。ランサ-は忌々しげにちっと呟くと元の態勢に戻った。
「次だ!」
気を取り直してデイパックの探索を続ける。
「あぁ!また紙か!?え~、モノレール…高速道路…こりゃオレ達のいるとこの地図だな!」
「ホントですか!見せてください!一体どこまで行ったら僕達はこの乗り物から降りることができるのか…」
心底心配で堪らないというように顔だけでうなだれるヴァッシュ。
「ちっ…!仕方ねぇ。オラ今度こそしっかり見ろ!」
ランサーは無理やり身を乗り出しヴァッシュの鼻先に地図を突き付けた。
「どぉもぉ!ってまた近ぶぇぇっくしょい!」
はためく地図に鼻先を刺激されたヴァッシュは盛大なくしゃみで地図を吹き飛ばした。
猛烈な風に巻き上げられた地図は瞬く間に二人の遥か後方へと消え去った。
「馬鹿野郎ぉっ!」
「ごめんなさいぃっ!」
顔を白くして謝るヴァッシュ。ランサ-は憎々しげにちっと呟くと元の態勢に戻った。
「次っ!!」
気を取り直してデイパックの探索を続ける。
「あぁ!?今度は紙じゃ」
「見せてくださぁぁぁい!」
「絶対に見せねぇっ!!」
我慢の限界を越えたランサーが叫んだ。怒りに任せて車体をよじのぼりヴァッシュの腕を掴む。
「ひっ!」
「いい加減にしろ!テメェさっきからオレの」
そこでモノレールの車体がガクンと大きく揺れた。
路線がカーブに差し掛かったのである。突然発生した遠心力という新たな力に、ランサ-はまだしも体を真っ直ぐ伸ばした状態のヴァッシュは全く抵抗できない。
結果、振り回されたヴァッシュの体はランサーをモノレールの車体から叩き落としていた。
「へ?」
猛烈な風に巻き上げられたランサーは瞬く間にヴァッシュの遥か後方へと消え去った。
「のおおぉぉぉぉ!?なんで!?どうして!?なしていきなり屋根の上なのぉ!どぉして走ってるのぉ!僕が何したって言うのさあ!」
跨座式のモノレールである。吹き荒れる風がヴァッシュの顔を容赦なく叩く。
モノレールの正面に掛けている手の力を一瞬でも緩めればたちまち時速数十キロで下を流れる地面へとダイブするだろう。
「無理無理無理!落ちる!落ちちゃう!助けてよママンッ!あ~、今口の中に何か変なの入ってきたあ!」
「うるせぇぞ!」
必死でじたばた泣き喚くヴァッシュを横合いから怒鳴りつける声がした。
「そんなこと言ったってぇ!ってあれ?ああ、あなたはさっきの青い人!」
ヴァッシュが声の方向に首を曲げると先ほどの青服の男がモノレールにへばりついていた。
但し、ヴァッシュが屋根なのに対し男は幾分姿勢を保持しやすい側面から屋根に手を掛ける形である。
「青い人じゃねぇ!ランサーだ!」
イラついた声で男はそう名乗った。
「あぁ、どぉもぉ!ぼかぁヴァッシュ・ザ・スタンピードって言いますぅ!一緒にこの殺し合いを止めさせましょう!」
「真っ先にてめぇが死にそうじゃねぇか!」
屋根より安定した場所にいる分いくらか冷静でいられるのか、ランサ-はそう返した。
「そりゃまぁそうなんですけどねぇ!あ、まさかランサーさん殺し合いに乗っちゃうつもりですかぁ!?だめですよ、世の中はラァブ&ピースでいかないとお!」
「馬鹿にしてんのかてめぇは!?」
再び怒鳴りランサ-は片手で頭をかいた。足をかける場所はあるのでサーヴァントの腕力と合わせれば片手でも姿勢の保持に影響はない。
「…くそ!とにかく状況の確認だ!…いつの間にかこんなもん持たせやがって」
そう言うとランサーは肩に掛かっていたデイパックをずらし片手で中身の確認を始めた。
「器用ですねぇ!?」
突風に手を持っていかれかけた体を慌てて戻しながらヴァッシュが叫ぶ。
「英霊を舐めんな!これぐらいの風圧屁でもねぇ」
「じゃあ代わってくださぁぁぁい!」
突然の横風にあおられ下半身が変な方向に曲がっているヴァッシュを無視してランサーはデイパックの探索を続ける。
「あぁ?紙かこりゃ!?え~、アイザック…アルフォンス…こりゃオレ達の名簿だな!」
「ホントですか!見せてください!一体何人の人達がこの馬鹿げた殺し合いに参加させられているのかと思うと…」
心底心配で堪らないというように顔だけでうなだれるヴァッシュ。
「ちっ…!仕方ねぇ。オラしっかり見ろ!」
ランサーは無理やり身を乗り出しヴァッシュの鼻先に名簿を突き付けた。
「どぉも!…ってちょっと近すぎ!紙がめくれて鼻、鼻が!ふぁ…ふぁ…ぶぇっくしょいっ!」
はためく名簿に鼻先を刺激されたヴァッシュは盛大なくしゃみで名簿を吹き飛ばした。
猛烈な風に巻き上げられた名簿は瞬く間に二人の遥か後方へと消え去った。
「馬鹿野郎!」
「ごめんなさい!」
顔を青くして謝るヴァッシュ。ランサ-は忌々しげにちっと呟くと元の態勢に戻った。
「次だ!」
気を取り直してデイパックの探索を続ける。
「あぁ!また紙か!?え~、モノレール…高速道路…こりゃオレ達のいるとこの地図だな!」
「ホントですか!見せてください!一体どこまで行ったら僕達はこの乗り物から降りることができるのか…」
心底心配で堪らないというように顔だけでうなだれるヴァッシュ。
「ちっ…!仕方ねぇ。オラ今度こそしっかり見ろ!」
ランサーは無理やり身を乗り出しヴァッシュの鼻先に地図を突き付けた。
「どぉもぉ!ってまた近ぶぇぇっくしょい!」
はためく地図に鼻先を刺激されたヴァッシュは盛大なくしゃみで地図を吹き飛ばした。
猛烈な風に巻き上げられた地図は瞬く間に二人の遥か後方へと消え去った。
「馬鹿野郎ぉっ!」
「ごめんなさいぃっ!」
顔を白くして謝るヴァッシュ。ランサ-は憎々しげにちっと呟くと元の態勢に戻った。
「次っ!!」
気を取り直してデイパックの探索を続ける。
「あぁ!?今度は紙じゃ」
「見せてくださぁぁぁい!」
「絶対に見せねぇっ!!」
我慢の限界を越えたランサーが叫んだ。怒りに任せて車体をよじのぼりヴァッシュの腕を掴む。
「ひっ!」
「いい加減にしろ!テメェさっきからオレの」
そこでモノレールの車体がガクンと大きく揺れた。
路線がカーブに差し掛かったのである。突然発生した遠心力という新たな力に、ランサ-はまだしも体を真っ直ぐ伸ばした状態のヴァッシュは全く抵抗できない。
結果、振り回されたヴァッシュの体はランサーをモノレールの車体から叩き落としていた。
「へ?」
猛烈な風に巻き上げられたランサーは瞬く間にヴァッシュの遥か後方へと消え去った。
「馬っ鹿野郎おおぉぉぉぉぉぉお!?」
「ごめんなさああぁぁぁぁぁぁい!?」
顔面蒼白で謝るヴァッシュにこれ以上ない程目を見開いたまま落ちていくランサー。やがて遠くに小さく水柱が挙がるのが見えた。
(な、何かうまいこと風に乗って水の上に落ちれたみたいだし…死んでない、死んでないよねぇあの人ぉ!?)
ヴァッシュはただがくがく震えながらさっきまでランサ-がいた場所でしがみ付いていることしかできなかった。
「ごめんなさああぁぁぁぁぁぁい!?」
顔面蒼白で謝るヴァッシュにこれ以上ない程目を見開いたまま落ちていくランサー。やがて遠くに小さく水柱が挙がるのが見えた。
(な、何かうまいこと風に乗って水の上に落ちれたみたいだし…死んでない、死んでないよねぇあの人ぉ!?)
ヴァッシュはただがくがく震えながらさっきまでランサ-がいた場所でしがみ付いていることしかできなかった。
【G-4 あたりのモノレールの屋根(疾走中)1日目 深夜】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:がくがくぶるぶる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品1~3
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせる
1.やめて止めてやめて止めてやめて止めて…
2.止まったらすぐ降りる。
3.あの人生きてるよね…?
※参加時期はウルフウッドと知り合って(本編9話)以降ということ意外不明です。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:がくがくぶるぶる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品1~3
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせる
1.やめて止めてやめて止めてやめて止めて…
2.止まったらすぐ降りる。
3.あの人生きてるよね…?
※参加時期はウルフウッドと知り合って(本編9話)以降ということ意外不明です。
「ちくしょう…ひでぇ目に遭った…」
何とか地面との激突を避け岸に泳ぎついたランサ-は肩で息をしながら地面に倒れこんだ。
少し体が動かしにくかった気はしたが別にこの程度の水泳でそこまで疲れた訳ではない。何かもっとかこう精神的な何かが原因である。
「あの野郎…今度会ったらただじゃおかねぇ」
普段そこまで根に持つことはない、それどころかどちらかと言えばサッパリした性格であるはずのランサーだったがさすがこの状況では怒りがおさまらない。
そんなランサーの目の前にまるで贈り物とでも言うかのようにヒラヒラと一枚の紙が舞い降りた。
「ん…?」
何気なく手にとってそれを見る。
そこに書かれていたのはWANTEDの文字と賞金の額を示すのであろう11桁の数字。
そして真ん中にでかでかと描かれている能天気な笑顔は紛れもなくさっき自分を海に突き落とした男だった。
「……」
ランサーは苦々しい思いで、それでも平静を保ちながら流れ飛んできたヴァッシュの手配書に目を通す。
しかし、備考として書かれたある一文に目を通したときランサーは手配書を握り潰し堪りかねたように叫んでいた。
「何が平和主義者だ!ヴァッシュ・ザ・スタンピードォッ!」
何とか地面との激突を避け岸に泳ぎついたランサ-は肩で息をしながら地面に倒れこんだ。
少し体が動かしにくかった気はしたが別にこの程度の水泳でそこまで疲れた訳ではない。何かもっとかこう精神的な何かが原因である。
「あの野郎…今度会ったらただじゃおかねぇ」
普段そこまで根に持つことはない、それどころかどちらかと言えばサッパリした性格であるはずのランサーだったがさすがこの状況では怒りがおさまらない。
そんなランサーの目の前にまるで贈り物とでも言うかのようにヒラヒラと一枚の紙が舞い降りた。
「ん…?」
何気なく手にとってそれを見る。
そこに書かれていたのはWANTEDの文字と賞金の額を示すのであろう11桁の数字。
そして真ん中にでかでかと描かれている能天気な笑顔は紛れもなくさっき自分を海に突き落とした男だった。
「……」
ランサーは苦々しい思いで、それでも平静を保ちながら流れ飛んできたヴァッシュの手配書に目を通す。
しかし、備考として書かれたある一文に目を通したときランサーは手配書を握り潰し堪りかねたように叫んでいた。
「何が平和主義者だ!ヴァッシュ・ザ・スタンピードォッ!」
【F-3南東端の岸 1日目 深夜】
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(小) 精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(地図と名簿を除く)不明支給品1~3 ヴァッシュの手配書(一枚)
[思考・状況]1.とりあえず一人でゆっくり支給品を確認する。
※参加時期は本編での死後。そのため言峰の令呪は無効化しています。
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(小) 精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(地図と名簿を除く)不明支給品1~3 ヴァッシュの手配書(一枚)
[思考・状況]1.とりあえず一人でゆっくり支給品を確認する。
※参加時期は本編での死後。そのため言峰の令呪は無効化しています。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書について】
G-2から飛ばされた中の一枚。写真や賞金額の他、多少ヴァッシュについての説明が書かれている。
G-2から飛ばされた中の一枚。写真や賞金額の他、多少ヴァッシュについての説明が書かれている。
『モノレールについて』
バトルロワイアル開始と同時にG-2の駅を出発しました。一駅間の移動は5分~10分。
中は無人で操作は全て機械が行っています。
跨座式モノレールの形についてはこちらを参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB
バトルロワイアル開始と同時にG-2の駅を出発しました。一駅間の移動は5分~10分。
中は無人で操作は全て機械が行っています。
跨座式モノレールの形についてはこちらを参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB
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Back:『高遠少年の事件簿』計画 Next:汝は~なりや?
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