勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY



ここはF-3エリアの路上。敷き詰められたアスファルトのベッドに一人の少女。
その少女が目を覚ますと、その視界には先ほどの部屋とはうって変わり、一面の星空が広がっていた。
少女は自分が仰向けになってることに気づくと、ゆっくりと上半身を起こす。
茶色を基調とした機動六課の制服を身に纏うその少女の名はスバル・ナカジマ。機動六課スターズ分隊のフォワードを務める魔導師である。

スバルは自分の隣にデイバックが置かれていることに気づく。それを見て、先ほど起こった出来事を思い出す。
突如現れた螺旋王ロージェノムと名乗る初老の男。彼は優秀な人間を選ぶために、あの部屋にいた人間に殺し合いをしてもらうと言った。
それに反抗して無残に散っていったモロトフと呼ばれた男。
見覚えのない魔法だったが、強力に見えたランスの攻撃をあっけなくバリアで防ぎ、首輪を爆発させた。
スバルは自分の首を手で触り、首輪の感触を確かめると、ため息をついた。
先ほどの広間で起こったことが夢ではないかという淡い期待を抱いていたが、どうやら現実のようだ。

再び、あの男の発言を思い返す。たしか武器を没収すると言ってたような、そう思ったスバルはデバイスが没収されているかどうか確認しようとする。
「マッハ・キャリバー!」
スバルは愛用のデバイス『マッハ・キャリバー』に声をかけるが、返答はない。
やはりデバイスもあの男に没収されていた。
その代わりに渡されたのが足元のデイバックというわけである。

「あっ!そうだ、ティアは…」
先ほどの部屋には確か、相棒のティアがいたはず。
スバルは魔導師のスキルのひとつである念話を使用して、参加者の1人である、ティアナ・ランスターに交信を試みる。
しかし返事はない。その後、他の六課のメンバーにも念話による交信を試してみたが結果は同じであった。
きっとあの螺旋王によって念話が使えないように制限されているのだろうと考え、スバルは念話による交信を諦めた。

気持ちを切り替え、とりあえず支給品を確認してみようと思い、スバルはデイバックを漁る。食料、飲料水、ペン、コンパス、ランタン、地図…。
この殺し合いで行動するのに最低限必要であろうものが出てくる。
スバルが次に手にとったものは一枚の紙。その紙には参加者の名簿が記されてあった。
ランタンに明かりをつけ、その名簿を読むと、そこにはよく知った名前があった。
「エリオにキャロ、シャマル先生にティア。それに八神部隊長まで!」
六課のメンバーが5人もこの殺し合いに参加させられている事実に驚きを隠せずに、思わず大声を出してしまった。



一方ここはF-3エリアの道路。ここにもこの殺し合いに巻き込まれた者がいた。
「おいおい、勘弁してくれよ…。家で妻と娘が待っているっていうのによ」
青い軍服らしきものを着たその男はアスファルトの道を歩きながらそうぼやくと舌打ちをした。
男の名前はマース・ヒューズ。アメストリスの軍法会議所に所属する中佐であり、極度の親バカ・愛妻家である。
「ビックリ人間の万国ビックリショーに俺みたいな一般人を巻き込むなっつうの」
あの螺旋王ロージェノムとやらも、それに刃向かったモロトフという名の男も明らかに一般人と言えるような人間ではなかった。
名簿にもエルリック兄弟やロイ、そしてスカーの名前まであった。
きっとこの舞台には、ビックリ人間ばかり呼ばれているんだろう。
ヒューズがそう考えてながらあるいていると、近くから女の子の声が聞こえた。
「他の参加者か!?ちっ、とりあえず様子を見るか」
ヒューズは支給品である銃を手に、声のした方向へ向かう。
建物の陰に隠れ、声の主の様子を伺う。月の光がほどよく当たってるため、声の主の姿はある程度確認できた。
エドと同じぐらいの年代の少女が(身長は彼よりひと回り高いが)、支給された名簿らしきものを読んでいてこちらには気づいてない。
(女の子か。とりあえず… 接触してみるか)
ヒューズは念のために銃を腰とベルトの間に納め、制服の上着で隠れて見えないようにする。
そして少女のいる方向へと歩きだす。

「おいおい嬢ちゃん。こんなところで大声出したら危険だぞ」
スバルが後ろを振り返ると、1人の男が立っていた。驚いたスバルは立ち上がり、戦闘体勢をとる。
しかし男はデイバックを地面に置き、両手を挙げてからスバルに向かって話しだす。
「おいおい、待った待った。俺の名前はマース・ヒューズ。この趣味の悪い殺し合いなんかに付き合う気はまんざらねえよ。嬢ちゃんはどうなんだ?」
スバルは一瞬困惑したが、とりあえず戦闘体勢を保ったまま男の問いに答える。
「あっ、あ…あたしも、殺し合いなんてする気はまったくありません!」
突然現れたヒューズに動揺していたのだろうか、スバルの口調は安定してなかった。
「そうか、良かった。とりあえず色々と聞きたいことがあるんでね。協力してくれねえか?」
スバルはヒューズを完全に信用したわけではないが、あからさまな敵意は感じないし、見た目は悪そうな人ではないのでとりあえず話をしてみることにした。


まずは自己紹介を簡潔に済ませる。
そして次に互いの知り合いについて情報交換をした。
「あたしが知っているのは、エリオ、キャロ、シャマル先生、ティア、八神部隊長、それとこのクアットロっていう人の6人です。」
スバルは名簿を指さしながらヒューズに情報を伝える。
「クアットロ以外は機動六課のメンバーでいい人で、頼りになります。それで、このクアットロっていう人なんですけど…。
あたしたちの上官が逮捕した人で、危ない人だと聞きました。とにかく要注意人物です」
スバルはクアットロという人物について思い返す。たしか、ゆりかごに突入した時になのはとはやてが逮捕した人物だ。
あの事件後に得た情報を整理する。彼女は自分たちと対峙したナンバーズの指揮を務め、ヴィヴィオとなのはを戦うように仕向けたという話も聞いた。
どっちにしろこのクアットロという人物は警戒するべきであることは確かだ。
クアットロについて話し終えると、次は仲間の外見や能力などを簡潔に話す。
ヒューズは自分の名簿を見ながら、スバルの出した名前に印をつけて確認する。
「次はこっちの番だな。俺の知り合いはエドっていうチビ錬金術師、そいつの弟アル。
そしてロイ・マスタングっていう、まあこいつとは腐れ縁だ。それにこいつの部下のホークアイ中尉。
こいつらは頼りになる奴らだ。あと1人、知っている奴がいる。このスカーっていう顔に傷がある野郎なんだが、こいつは危険な奴だ。
国家錬金術師を何人も殺害している。殺し合いに乗りかねない野郎だ」


次にお互いの住んでいた場所について簡潔に話す。
2人の話を合わせて明らかになったことは、2人の住む場所はまったく別の世界ということだ。
スバルの世界ではミッドチルダ以外にも他の世界があるということは常識であるので、ヒューズが別の世界の人間だということについて理解するのは容易だった。
逆にヒューズがスバルの住む世界について理解するのは難しいことであった。
ましてやその世界には魔法という錬金術よりも信じがたいものがあるという話まで聞かされては、 さすがに頭のキレるヒューズも混乱してしまう。
「魔法ねえ…。 まあ俺の周りもビックリ人間ばかりだけどよぉ」
ヒューズはそう言うと、この殺し合いにも参加しているロイやエドのことを思い出して苦笑した。
とりあえずスバルの住む世界や魔法については考えてもどうしようもないので、とりあえず彼女の言うことを信じることにした。


「そういえば支給品は確認したか?」
そういうとヒューズは腰から何かを取り出す。
「俺はとりあえずこの銃が支給品だ。他にも支給品はあったが、役に立ちそうじゃあなかったぜ。スバルちゃんの支給品はどうだったんだ?」
「ええと、あたしはまだ… その確認してなくて… エヘヘ、すみません。今から見てみますね」
スバルはデイバックの中を探る。
まず最初に取り出した支給品と思われるもの。それは手袋だった。
「手袋…です。これはハズレですね」
たしかにスバルにとってはハズレアイテムなのだが、ヒューズにとっては見覚えのあるものだった。
そう、ヒューズの親友であるロイ・マスタングの発火布製の手袋だった。
「スバルちゃん、悪いけどその手袋必要ないのならくれないか?俺の親友の大事なものなんだ」
「ええ!?そうなんですか?あっ、そのハズレとか言ってすみません。お譲りします」
スバルはそう言うとヒューズにその手袋を渡す。ヒューズは手袋をデイバックをしまい、代わりに何かを取り出す。
「使えるかどうかは知らんが、代わりにこれでも貰ってくれねえか?」
そう言うと、ヒューズはスバルに自分の支給品を渡した。その支給品はグローブの形をしている、スバルには馴染み深いものであった。
「これは、ギン姉のリボルバー・ナックル!?」
スバルの姉であり、魔法の教育をしてくれたギンガ・ナカジマ。
彼女もまた、六課のメンバーと同じく、スバルにとって大事な存在であった。
そのギンガが愛用していた左手用のリボルバー・ナックル。ゆりかごに突入したときに、自分の右手用のリボルバー・ナックルと共に使用したこともある。
それが今再び自分の手に渡った。それは単なる偶然か、何かの運命か。


情報交換が終わると、ヒューズは地図を見ながら現在地を確認する。
「そこに『空港まで南に約1km』という看板があるからここは大方F4辺りだな。さぁて、これからどうするかだ」
「あたしは早く仲間を見つけることが大事だと思います。六課のメンバーはみんな強くて頼りになるし、ヒューズさんの話してくれた仲間たちも頼りになりそうですし」
「ああ、それも大事だが…」
ヒューズは途中で言葉を切り、首輪を指差す。
「残念だが、俺にはこいつを外せるような知識は持ってねえ。だから外せそうな知識と技術を持った奴を探したい」
「あ!確かにそうですね。シャマル先生か八神部隊長なら首輪の構造を解析する魔法を使えるかもしれません」
スバル自身はそういった魔法は使えないが、補助系魔法を得意とするシャマルや、レアスキルを持つはやてならそういった魔法を使えるかもしれない。
スバルはそう考えた。


「さて、どう動くか…」
ヒューズは考える。この状況では何より情報が大事になる。できる限り多くの情報を収集したい。それには他人との接触が必要不可欠だ。
他人と接触するためには人が集まりそうな場所に行けば良い。しかしそれは殺し合いに乗った危険人物に遭遇する恐れもある。
ヒューズは軍人であり、それなりに戦闘をこなすことはできる。
しかし、ロイのような錬金術師やスバルが話していた魔導師のような『ビックリ人間』が相手だった場合はどうだろう。
いくらこっちが銃を持っていようが、勝てる気がしない。
それでもこのバカげた殺し合いを止めなければならない。だが死んでしまっては元も子もない。それが無駄死にならなおさらだ。
どうするべきか、悩んでいるヒューズにスバルが問いかけてきた。
「ヒューズさん、あたし駅に行こうと思います。駅なら人がきっと集まると思うんです。知り合いにも会えるかもしれませんし。ヒューズさんはどう思います?」
「確かに駅には人が集まりやすいかもしれない。だがそれは殺し合いに乗った危険な奴に出会うかもしれねえってことにもなる。それでも行くのかい?」
「はい、行きます。あたしは泣いてばかりは嫌だと思って、強くなるって決めたんです。強くなって誰かを守れるようになるんだって。
きっとこの殺し合いでも、助けを求めてる人だっているはず。あたしは誰かを助けたり守ったりするために自分の力を使いたい。あの時のなのはさんのように」
そう語るスバルの瞳に、ヒューズは彼女の強い意志を感じた。
(エルリック兄弟といい、スバルちゃんといい… ったく最近のガキは若いくせして無理しすぎだぜ)
「しょうがねえなあ。俺もついていく。だけどいいか?無理はするなよ。若い奴は無理する奴が多いからよ。それで死んでもらったら困るからな」
「えっ!?あっ、はい、わかりました。ありがとうございます」
「よし、じゃあ行くぞ」
ヒューズは地図とコンパスを手に、駅に向かって歩きだした。それに続いてスバルも歩きだした。


(ティアに、エリオとキャロ。それにシャマル先生と八神部隊長もいるんだ。こんな殺し合いもきっと止められるよ。
それにきっとなのはさんやフェイト執務官も他の六課のメンバーもこの状況に気づいてすぐに出動してくれる。
それまではあたしがみんなを守るんだ。そのために強くなったんだから、それに…)
スバルは左手のリボルバー・ナックルを見る。
(きっと母さんとギン姉もあたしを見守ってくれているよね。今度はあたしが守る番なんだ。
六課のメンバーもヒューズさんとその友達も、誰一人として死なせない!)
闇夜に浮かぶ満月を睨むかのように見つめ、スバルはそう決意した。


【F-3/道路付近/1日目深夜】

【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6)
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ数12発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。仲間や殺し合いをしたくない者を守る。ヒューズと行動。
1:機動六課のメンバー、ヒューズの仲間との合流
2:首輪解除の方法を探す
3:1のために、人の集まりそうな駅を目指す
※ヒューズの住む世界と錬金術、エド、アル、ロイ、リザ、スカーについての情報を得ました。
※ジェイル・スカリエッティ事件後からの参加です。
※スバルはジェイル・スカリエッティ事件後の調査などでクアットロについて多少の情報を得ていると思われるので、クアットロを『要注意人物』と判断しました。
※左手用のリボルバー・ナックルのカートリッジの装弾数は公式には設定されてませんが、右手用のリボルバー・ナックルが6発であること、
もともとリボルバー・ナックルは両手で使われていたことから、右手用と同じ6発としました。


【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:S&W M38(弾数5/5)
[道具]:支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S&W M38の予備弾数20発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。スバルと行動。
1:情報収集(できれば首輪関連の情報を得たい)
2:1のために他の参加者と接触
3:エド、アル、ロイ、リザ、及び機動六課のメンバーと合流
4:駅を目指す
※スバルの住む世界、魔法についてヒューズのわかる範囲で理解しました。
※機動六課からの参加者の情報を得ました。また、クアットロを要注意人物と認識しました。


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スバル・ナカジマ 057:得意分野
マース・ヒューズ 057:得意分野





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