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**第六回、あるいは“ゼロ”の放送 ◆EA1tgeYbP.
――王の玉座。
ほんの一時ほどの間に、新しい主を迎えたその場所で。
新たな主―――盤上の駒から指し手へと成り上がった少年、ルルーシュ・ランペルージ。
いや、その衣装に身を包み「ゼロ」の名前で呼ばれる彼は、少し前までは自らが同じ駒であった者達へとロージェノムの声を借りて語り、騙る。
……これより先は名実ともに殺し合いの舞台は彼ら七人の同志が成果を見守る実験場へと成り代わる。
◇ ◇ ◇
―――これで六度目。
未だに生き延びつづけている貴様達には、ひとまずおめでとうと伝えよう。
力を持って殺し合いを進めるもの、知略を以って強者に取り入り牙を磨くもの。
己が我を張り通し殺し合いを否定するもの、仲間を集め殺し合いに抗おうとするもの。
それぞれの道を歩みつづける貴様達に一つ知らせておかねばならんことがある。
前回の放送より六時間。
残念なことに新たな螺旋力の覚醒が認められなくなった。
貴様達はあるいはこう考えているのかもしれんな。
この仲間と共にあればこのような殺し合いから脱出できる、こいつだけは殺したくない、と。
思うのは勝手だ。貴様達がどう思おうが殺し合いは続けられるのだからな。
だが、そのような停滞は私としても望むところではない。
貴様たちとて少しでも早く元の世界に戻りたいであろう?
そこでだ、現状の禁止エリアに加えてこの放送より12時間の後、この舞台を廃棄することにした。
ああ、貴様達が想像した通りだ。
貴様達の命は自分以外の参加者を殺し尽くさない限りは残り12時間しかないというわけだ。
殺し合いに乗っていたものはこれまで以上に急ぎ、怯え身を隠していたものは穴倉より這い出て、そして仲間と共にあるものは下らぬ思いに惑わされずに殺し合いを続けて欲しい。
さて死者の発表に移る。
とはいえ、あるものにとってはすでに知らせる必要すらないかも知れんがな。
高嶺清麿
Dボゥイ
ニア
シータ
柊かがみ
結城奈緒
怒涛のチミルフ
ニコラス・D・ウルフウッド
ルルーシュ・ランペルージ
東方不敗
以上10名だ。
次に禁止エリアだ。
H-6
A-6
F-4
以上だ。
さてと残りの12時間、貴様達が私にとって満足いく結果を出してくれることを期待しよう。
生き残りが一人もいない、というのは私としてもあまり面白い結果ではないのでな。
生き残った一人と対面するそのときを楽しみに待たせてもらうとしよう。
◇ ◇ ◇
「……で?」
ルルーシュが語り終えるのと同時に不満げな顔をしたウルフウッドは声をかけた。
「どうかしましたか」
その彼にルルーシュはあくまでも慇懃な態度で応じる。
「どうかしましたか、じゃないわボケ。何でわざわざワイがおどれの下らん演説を聞かされんとあかんねん、それもこんな時間に」
―――こんな時間。
現在の時間は放送予定時間の十分前。すなわち今のルルーシュの演説は会場へと届くことなく、ただウルフウッド一人のみに伝えられるためのものであったのだ。
宛がわれた一室にて休んでいたウルフウッド、その彼が急に呼び出されたかと思えば、ルルーシュの用件はただ、いまの演説を聞かせることであった。
彼が不機嫌になる理由は言うまでもない。
「何、万に一つの不具合があってはいけないのでね。会場で放送を聞いたことがある者の意見を聞いておきたかっただけですよ」
「そんならあのじいさんでもいいやろ」
「彼、東方不敗はつい先ほどまで別の用事を片付けてくれていたのですよ」
「……けッ!」
舌打ちを一つするとウルフウッドはきびすを返す。
その彼の背中にルルーシュは声をかけた。
「ウルフウッドさん、今の放送案を聞いて何かおかしなところはありませんでしたか?」
「むかつき具合はあのおっさんとかわらへんわ」
ウルフウッドの返答は簡潔にして合格点を与えるもの。
「お時間を取らせてすみませんね」
「次からはこんな下らんことにワイを呼ぶな、ボケ!」
それだけ言うとウルフウッドの姿は完全に玉座の間から消える。
「……さて」
ウルフウッドの姿が消えるとルルーシュは今しがた語った放送案について考える。
ジンやスパイクといった参加者はこの放送を聞いても脱出に動こうとするはずだ。
その仲間達もそれと同様と判断していい。
そしてヴィラルとシャマル。
現状ただ一組限りの殺人者達、彼らはこの放送を聞きどう動くか……。
(……醜くお互いに殺しあってくれでもすれば愉快ではあるがな……)
まあ、スザクを殺した報いは必ずくれてやる。
今は実験を円滑に進めることだけ考えればいい。
―――そして放送時間が来る。
―――これで六度目。
ロージェノムの声を借りたルルーシュの言葉が会場内に響いていった。
**時系列順に読む
Back:[[散り行く者への子守唄]] Next:[[十人十色]]
**投下順に読む
Back:[[散り行く者への子守唄]] Next:[[十人十色]]
|278:[[Soul Gain]]|ルルーシュ・ランペルージ|283:[[獣人と人]]|
|271:[[天のさだめを誰が知るⅤ]]|ニコラス・D・ウルフウッド|283:[[獣人と人]]|
**第六回、あるいは“ゼロ”の放送 ◆EA1tgeYbP.
――王の玉座。
ほんの一時ほどの間に、新しい主を迎えたその場所で。
新たな主―――盤上の駒から指し手へと成り上がった少年、ルルーシュ・ランペルージ。
いや、その衣装に身を包み「ゼロ」の名前で呼ばれる彼は、少し前までは自らが同じ駒であった者達へとロージェノムの声を借りて語り、騙る。
……これより先は名実ともに、殺し合いの舞台は彼ら七人の同志が成果を見守る実験場へと成り代わる。
◇ ◇ ◇
―――これで六度目。
未だに生き延び続けている貴様達には、ひとまずおめでとうと伝えよう。
力を持って殺し合いを進めるもの、知略を以って強者に取り入り牙を磨くもの。
己が我を張り通し殺し合いを否定するもの、仲間を集め殺し合いに抗おうとするもの。
それぞれの道を歩み続ける貴様達に一つ知らせておかねばならんことがある。
前回の放送より六時間。
残念なことに新たな螺旋力の覚醒が認められなくなった。
貴様達はあるいはこう考えているのかもしれんな。
この仲間と共にあればこのような殺し合いから脱出できる、こいつだけは殺したくない、と。
思うのは勝手だ。貴様達がどう思おうが殺し合いは続けられるのだからな。
だが、そのような停滞は私としても望むところではない。
貴様たちとて少しでも早く元の世界に戻りたいであろう?
そこでだ、現状の禁止エリアに加えてこの放送より12時間の後、この舞台を廃棄することにした。
ああ、貴様達が想像した通りだ。
貴様達の命は自分以外の参加者を殺し尽くさない限りは残り12時間しかないというわけだ。
殺し合いに乗っていたものはこれまで以上に急ぎ、怯え身を隠していたものは穴倉より這い出て、そして仲間と共にあるものは下らぬ思いに惑わされずに殺し合いを続けて欲しい。
さて死者の発表に移る。
とはいえ、あるものにとってはすでに知らせる必要すらないかも知れんがな。
シータ
高嶺清麿
Dボゥイ
東方不敗
怒涛のチミルフ
ニア
ニコラス・D・ウルフウッド
柊かがみ
結城奈緒
ルルーシュ・ランペルージ
以上10名だ。
次に禁止エリアだ。
H-6
A-6
F-4
以上だ。
さてと残りの12時間、貴様達が私にとって満足いく結果を出してくれることを期待しよう。
生き残りが一人もいない、というのは私としてもあまり面白い結果ではないのでな。
生き残った一人と対面するそのときを楽しみに待たせてもらうとしよう。
◇ ◇ ◇
「……で?」
ルルーシュが語り終えるのと同時に不満げな顔をしたウルフウッドは声をかけた。
「どうかしましたか」
その彼にルルーシュはあくまでも慇懃な態度で応じる。
「どうかしましたか、じゃないわボケ。何でわざわざワイがおどれの下らん演説を聞かされんとあかんねん、それもこんな時間に」
―――こんな時間。
現在の時間は放送予定時間の十分前。すなわち今のルルーシュの演説は会場へと届くことなく、ただウルフウッド一人のみに伝えられるためのものであったのだ。
宛がわれた一室にて休んでいたウルフウッド、その彼が急に呼び出されたかと思えば、ルルーシュの用件はただ、今の演説を聞かせることであった。
彼が不機嫌になる理由は言うまでもない。
「何、万に一つの不具合があってはいけないのでね。会場で放送を聞いたことがある者の意見を聞いておきたかっただけですよ」
「そんならあのじいさんでもいいやろ」
「彼、東方不敗はつい先ほどまで別の用事を片付けてくれていたのですよ」
「……けッ!」
舌打ちを一つするとウルフウッドは踵を返す。
その彼の背中にルルーシュは声をかけた。
「ウルフウッドさん、今の放送案を聞いて何かおかしなところはありませんでしたか?」
「むかつき具合はあのおっさんと変わらへんわ」
ウルフウッドの返答は簡潔にして合格点を与えるもの。
「お時間を取らせてすみませんね」
「次からはこんな下らんことにワイを呼ぶな、ボケ!」
それだけ言うとウルフウッドの姿は完全に玉座の間から消える。
「……さて」
ウルフウッドの姿が消えるとルルーシュは今しがた語った放送案について考える。
ジンやスパイクといった参加者はこの放送を聞いても脱出に動こうとするはずだ。
その仲間達もそれと同様と判断していい。
そしてヴィラルとシャマル。
現状ただ一組限りの殺人者達、彼らはこの放送を聞きどう動くか……
(……醜くお互いに殺し合ってくれでもすれば愉快ではあるがな……)
まあ、スザクを殺した報いは必ずくれてやる。
今は実験を円滑に進めることだけ考えればいい。
―――そして放送時間が来る。
―――これで六度目。
ロージェノムの声を借りたルルーシュの言葉が会場内に響いていった。
**時系列順に読む
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