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「亡き王女のためのバラッド(後編)」(2023/06/26 (月) 18:33:16) の最新版変更点
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**亡き王女のためのバラッド(後編) ◆10fcvoEbko
「ニ……ア?っておい……なんでそこに?いつから?」
「ワープです!!」
「ワープってお前な……」
きっぱりとした口調で無茶苦茶を告げられ、スパイクは僅かに肩を落とした。
本人が真面目なのは分かるがどうにも毒気を抜かれてしまう。
見るとジンもニアがいつ現れたのか気付かなかったようで、やるじゃんなどと呟きながら笑っている。直接の面識のない二人はあまり余裕はないにせよぽかんとした表情だ。
当のニアはと言えば、そんなスパイク達を無視するようにつかつかと眼前を通りすぎそのまま真っ直ぐシータの目の前へと――
「っておい!危ねぇぞ、離れろ、ニア!」
「大丈夫です!!」
根拠不明の迫力を感じスパイクは僅かに気圧される。山小屋での時とは随分と印象が違う。
どう考えても大丈夫な筈はないのだが、不思議とシータが攻撃を行う様子はなかった。
その代わりか、彼女は顔を伏せ何やらをぶつぶつと呟いている。
「ニア……ニア……よくも……」
「私は、あなたを助けにきました」
「よくも……そうやって私の前に顔を出せますねっ!ニアッ!!」
「私はあなたを助けます!!」
シータの口から漏れた怨嗟の声からすると、どうやら二人には因縁があるようだ。出会ったとすれば山小屋での別れの後か。
変化した状況に囚われながら、シータが直接的な手段に出ようとしたらいつでも飛び出せるようスパイクは慎重に目を細める。
「あなたは!!本当は良い人です!!酷いことができる人じゃありません!!」
「あなたに何が分かるって言うの!!ぬくぬくと!!幸せで!!暖かいところで私のことを笑っているくせに!!」
「ドーラおばさまから聞きました!!とても楽しそうに!!あなたがどれだけ素敵な方か、話してくださいました!!」
「おばさまの名前を出すのは止めなさい!!それは私のものなの!!おば様に優しくされるのも、暖かい仲間に囲まれるのも、全部私のものなのぉっ!!」
「優しさも!!仲間も!!誰のものでもありません!!」
やばいな、とスパイクは思いジンと視線を交わす。
これがただの喧嘩で、取っ組み合いでもして終わりとなるならそれでいい。
だがこの場合単純な戦闘力に差がありすぎる。今は憎しみで頭が一杯のようだがシータがその気になれば次の瞬間にでもニアを殺せるだろう。
ただでさえ切れていたところにもう一つ特大の火種がやってきて、シータの苛立ちはかつてないレベルだ。そういう状態を何と呼び表せばいいのか、スパイクにも分からない。
そして予想通り、シータは攻撃の手段をより直接的な方法に切り替えた。
「本当に口の減らない嫌な女……!!良いです、どうせ焼いてしまえばおしまいだもの。兵隊さん!こいつを……」
「言わんこっちゃねぇ……!」
間に合うか、と瞬時にニアの距離を計算したスパイクは飛び出そうとする。ロボットの挙動を考えるとタイミング的にはかなり際どい。
が、そんなスパイク達の挙動をまとめて押し止めたのはまたしてもニアの甲高い一声だった。
「やれるものなら、やってごらんなさい!!!」
「な……!」
息を飲んだの音は誰のものか。あるいはその場にいた全員かも知れない。
ニアはビームの照準を定めたロボット前に一歩も退かず、それどころか組んでいた腕を大きく広げいつでも撃てと言わんばかりの構えを見せていた。
「そん、な……強がったって無駄ですよ!」
強がりでもはったりでもない。間違いなくニアは本気だ。
音が聞こえるくらいに噛み締められた口許が、ぴんと張り詰められた指先が、彼女の小さな体のあらゆる部分がそれを物語っている。
シータにもそれは分かっているのだろう。口ではもごもごと言い訳めいたことを呟いているが、明らかに気圧されている。
「あ、あなたは……どこまで……」
「あなたには、私は撃てません!!」
「何を……」
「私には、みんながくれたドリルがあるから!!」
ニアは親指でドン、と自分の胸を一突きする。
彼女のその仕草には重苦しいまでの力強さと天元へと気高く伸びる揺るぎなさが確かに示されていた。
「もうシモンだけじゃありません!!ドーラおばさまが!!ビクトリームさんが!!アニキさんが!!ドモンさんが!!ガッシュさんが!!クロスミラージュさんが!!
みんながくれたドリルです!!
無理を通して道理を蹴っ飛ばす、力を持つものです!!」
分かる奴には分かるだろう。彼女の持つ意志の力の、宝石の如き貴重さと得難さを。それを失わずにいるものがどれ程の輝かんばかりの力を持つのかを。
空を跳び跳ねるのがせいぜいの子供が勝てる道理など、ない。
「あなただって!!!間違いなく持っているものです!!!」
決まったか、とスパイクは思った。
ニアの言葉は正確にシータ心のねじくれた壁を叩き壊し、その核心を貫いた。
あらゆる感情が抜け落ちた空虚な表情となった少女は呆けたままに黙りこくる。
沈黙が降りた。だが状況は動き続ける。シータの心の中で何かが劇的に書き変わっていく。
ニアが真っ向から叩きつけた心底の言葉がシータを力ずくで奈落から引き戻した、と言ったところか。
シータの眼差しに涙が宿る。恐らくは、あと数秒。それでこの場は決する。
しかし。
「ごめん……なさい……」
溢れる直前の水瓶に落とされるのもまた、真心からの言葉。
「私が……パズーって子を殺し……ちゃった、から……シモンも守れなかったから……」
憐れな王女を再び奈落の底に舞い戻らせるのもまた、少女が心からの謝罪を込めた言葉だった。
「こ」
涙が弾き飛ぶ程の勢いでシータの瞳孔が収縮し、顔面が変形したと思える程の憎しみに表情が歪む。
まずいと感じスパイクが駆け出す。だが間に合わない。
「殺せぇ!!殺して、殺してしまってえぇぇっ!!パズウウウウ!!!」
ロボット兵から放たれた光がニアの胸を貫くきっかけになったのもまた、想い人へのどうしようもない純粋な感情だった。
「ニアッ!!」
背中から倒れ込むニアを、地面に激突する寸前で抱き止める。
「あははは!やった!やりました!やっぱりあなたの言うことなんて全部嘘っぱち!あははははっ!!」
「おい、ニア!大丈夫か。くそっ」
傷は明らかに急所を貫いている。手の施しようがあるのかどうかも分からない。まずい。
「スパ……イクさん……」
「喋れるならいい。黙ってろ」
「うふふふ!!ほんとに、もっと早くこうすれば良かった!!良い気持ち、ああなんて良い気持ち!!」
「おね……がいです……」
「なに……?」
白い肌をより一層蒼白に染めてニアが言葉を告げる。ほんの小さな呟きは、それでも耳障りな哄笑にかき消されることなくスパイクの耳を打った。
言われることは分かっている。誰よりも強いこの少女が死に際に思うことなど、一つしかない。
「シータさんを……助けてください」
「……」
あらかじめ決められていたかのように、ニアの言葉はスパイクの予想と同じだった。
それでもスパイクはすぐに返事をしない。静かに首を振り、追撃も忘れて笑いこけるもう一人の少女を見る。
「死んで当然!そんな女は死んで当然よ!!みんな死んでしまって!!待っていてね、パズー!!」
ぴくりと一瞬だけ瞼を振るわせ、そのまま何も言わずに視線を戻す。
そして口を開いた。静かに、口調だけはとても静かに告げる。
「……悪いが、そのお願いは聞けない」
「スパ、イクさん……?」
ニアが声を振るわせスパイクの服を掴んだ。力は殆ど感じられない。
「俺はあの女を殺す。生かしておけない」
一瞬だけ浮かんだヴァッシュの姿に手を上げて別れを告げた。
お前の理想を貫けるのは、やっぱりお前だけだったよ。
「そん、な……」
「文句は後でいくらでも聞いてやる。今は傷を治せ……おいジン!」
抱え上げ、何も言わずすぐ後ろに立っていたジンにニアを慎重に渡した。
それだけで何も言わず、スパイクはくるりと背を向ける。
ジンは了承してくれたようだ。
「ああ……分かった。その子もこの子達もまとめてきっちりエスコートさせてもらうよ。
もちろん、出迎えの準備も含めてね」
「……悪ぃな、面倒を押し付ける」
背中越しに、ジンが肩を竦める気配がした。
「あの二人を守るのに気を取られて何もできなかったつけさ。
それに、文句は後で聞いてくれるんだろ?言っとくけど俺の文句は長いぜ?」
「そいつは楽しみだ……なっと!」
会話を切り裂くように打ち込まれたビームを合図にスパイクとジン達は正反対の方向へ走り出した。
「じゃあな、ジン!さっきのところで落ち合おうぜ!」
「了解!さぁお嬢さん方もう一踏ん張りだ、気合いのいれどころだぜっ!」
「くすくすくす!!逃がしませんよ!もう絶対、一人も逃がしませんから!!」
再び攻撃態勢に入ったシータとロボット兵にスパイクはステップを流し突っ込んで行く。
片腕でのバランスの崩れなど無理やり勘で補正した。
「パズーのために死になさいっ!うふふ!」
ロボットは動かないままビームを放ち、その隙にシータを引き寄せる。
ビームは正確にスパイクを狙うが貫く場所は一瞬前までスパイクがいた場所でしかない。
三発目をかわすと同時にスパイクが地を蹴った。全身の回転力を加え鞭のようにしなった回し蹴りがロボットの顔面を蹴り飛ばす。
「ビームに頼りすぎなんだよっ!こちとら馬鹿じゃねぇんだ!」
発射方向を定めるための首の動き。照準を絞るための僅かな機械の挙動。射出寸前の一瞬のシークエンス。
相棒に「良すぎる」と評されたスパイクの目はその全てを余すところなく捉えていた。
着地した瞬間の力の方向を流しもう一発胴体部分を蹴り込む。
体がT字型になった瞬間を狙い連続して二発のビームが放たれた。
軸足はずらさず捻りだけで両方の射線から体を外す。
「てめぇみたいなやつを救おうとしてニアは撃たれた!ヴァッシュも死んだっ!」
発生した力をそのまま更に連続した数発の蹴りに変える。
刃物でも振っているかのような鋭い風切り音が胴体の同じ箇所を打ち、頑強なロボットの体をぐらりと揺るがした。
「救われねぇ!全く救われねぇよっ!」
だめ押しの一撃として放たれたスパイクの全霊の跳び蹴りが倒れ様に放たれた光線と交差する。
光線は大きくのけ反ったスパイクの前髪を焦がし、蹴りはロボットの巨体を轟音とともに地面に叩き伏せた。
背中が地面に着くよりも早く、スパイクはジェリコ941改を抜き放ち瞬時に身を起こしてシータへと狙いを定める。
ロボットの肩口で何が起きたかも分からぬように驚いた顔を見せるシータに即座に照準を合わせ、同時にほぼ無意識に指先に力を込めて――
「ぐぅっ!?」
発射されればシータの眉間を穿っていただろう一撃はぐるりと体勢を変えジェット噴射で突っ込んできたロボットによって妨害された。
「くそっ、しまった!」
シータを肩に乗せたままがっちりと体を締め付けるロボットの両腕に成す術もなく、スパイクは苦痛に顔を歪ませる。
初めは地面と平行だった飛行はやがて上空へとその進路を変えた。
勢いを増したロボット兵はジェット噴射の軌跡も美しくそのままひたすら空へ、
空へと――
◇
空へと伸びる一条の光は虫の息の少女を抱え走るジンの目にも鮮やかに映った。
「あ、あのあれってもしかして……」
ゆたかも気付いたのか袖を引く。とうに気付いていたがだからと言って止まれない。止まる訳にはいかない。
「大丈夫。スパイクなら特大の花火に詰められたってひょっこり帰ってくるよ」
どんなときでも人の心を掴み輝かせる王ドロボウの笑みも今回ばかりはいつもの切れがなかった。
状況は非常に切迫している。抱えながらでもニアから生気がどんどん抜けて行くのが分かる。
あの場から動いてないようだった奈緒と合流したとして、果してどれほどの処置ができるか。
「…………」
汗を浮かべながらもジンは、ニアの唇が微かに動いたことに気付いた。
腕の中の少女が呟こうとした言葉は掠れて聞こえなかったが、唇の動きから言おうとしたことは分かる。
虚ろな光で空を見上げる少女が言ったのは次のような言葉だった。
「スパイクさん」
◇
ほんの一区切りとはいえ意識を失ったのは蓄積された疲労が故か。
「ふふ、お目覚めですか?スパイクさん」
短時間の気絶から舞い戻ったスパイクを覗き込んで、亡国の少女が愉快そうに笑っていた。
体は未だロボットにがっちりと固定されている。空中では逃げることもできない。
「くすくす、とってもいい眺めですね。どうしますスパイクさん?まだ抵抗しますか?」
「……いや。打つ手なしだ」
いつでも発射できるようにぴたりと照準を合わせているロボットのビーム砲を見ながらスパイクは言う。
何と言うことのない口調だったのだが、シータはその返事がえらくお気に召したようだ。
「くすくすくす!ですよね、えぇそうですよね。あれだけ偉そうなことを言っても結局は何もできませんよね!
私がどうしてあなたをすぐ殺さなかった分かりますか!ねぇ分かりますか!?」
けたけたと笑いながらスパイクに捻りのない問いかけを投げ掛けてくる。
それを言うためだけに生かしておいたと言うのだろうか。
だとしたら滑稽だとスパイクは思う。本当に、滑稽だ。
「それはあなたにうんと怖がってもらうため!あなたにはここから墜落死してもらいます!怖いですか?でもだめ。パズーはもっと怖かったに違いないんですから!」
どうだ、とばかりにスパイクにぐいと顔を近づけてくる。
怯えて命乞いでもしたら満足なのだろうか、この少女は。
「……っとにどうしようもねぇガキだな。まったく」
「負け惜しみですか?ふふふ、もっと泣いて謝ってみたらどうです?止めませんけど」
「それで。俺を殺して、他のやつも皆殺して、晴れて好きな男とご対面、か?」
顔を上げ、やけに低くなった空を見る。
雲が近い。ロボットが照準を合わせ直す音が聞こえた。
「ええそうですその通り!もう何を言っても無駄ですよ!あの女は死んだんですから!うふふ!」
「いや、もう何も言わねぇよ。好きにするといい」
「え?」
シータのがたがたとした動きがぴたっと止まった。
何も言われなくなったのが逆に不安とでも言うのだろうか。そういうところがガキだと言うのだ。
「夢は一人で見るもんだ。せいぜい良い夢見ろよ……覚めない夢を、な」
「お、脅しだと思ってるんですね!私は本気ですよ!本当にやりますよ!!」
「……やれよ」
命乞いどころか怯えの色さえ全く見せないスパイクに逆にうながされシータは。
シータは。
「う……」
シータは何が何だか分からなくなった。
何故スパイクが少しも怖がらないのかが分からない。何故急に怒らなくなったのかが分からない。かけられる言葉の意味が分からない。
結局、彼女にできるのは泣いて喚いて従順な従者に命令することだけ。
「やって!!もうこいつを殺して!!兵隊さん!!」
ロボットの手から解き放たれ、スパイクの体が静かに落下を始める。
シータにはそれが愉快な程にゆっくりに見え、ぐにぐにに歪んだ顔をさらに歪ませた。
少しずつ、スパイクの体が落ちていく。速度も僅かずつだが確実に上がっていく。
落下中のスパイクが銃を向け、こちらに狙いを定めるのが見える この瞬間、シータの表情は正に泣き笑いそのものになった。
やっぱり死ぬのは嫌だったんだ。さっきのは全部負け惜しみだったんだ。
スパイクが引き金を引く。
一発目。さっと振られた兵隊の腕が銃弾を弾く。
二発目。良いことを思い付いた。最早命令せずともシータの意を汲んだ兵隊が、彼女の思惑通りビームで銃弾を丁寧に溶かす。
三発目。今度は銃弾ではなく小汚い石ころを投げつけてきた。
完全にやけになったと見たシータは愉悦の極みとなり、兵隊に命令を下す。
放たれたビームは狙い違わず黒く汚い石くれに命中し、瞬間許容量以上のエネルギーを受けた太陽石は眩い輝きを放ち――
そして、彼女の世界は終了した。
◇
みんながみんな、疲れきっていました。
私達の不注意のせいでシータさんが危険だってことに気付かなかった、その結果です。
「う、あぅ……うっく」
舞衣ちゃんはずっと泣いています。顔を両手に埋めて、ずっと。
やっぱり私にはなんて言えば良いのか分かりません。舞衣ちゃんの気持ちは分かるはずなのに、どうしてか体が冷えてたまりません。
「ちょっと鴇羽、いい加減にしてくんない?あんまりめそめそされるとこっちまで気が滅入るんだけど!」
「だって……だって……うああああ!」
「ったく……!」
とっても怖い声で怒っているのが奈緒さんです。
年下のはずなのに私よりとてもしっかりしてそうで、体中傷だらけなのに私よりずっと頼りになりそうです。
でも、怒ったその声はとても怖くて……臆病な私はその度に体が震え助けを求めるように小さな友達を抱きしめます。
「よしなよ」
この場で一人だけ立っていたジンさんが言いました。
誰よりも疲れているはずのジンさんは全然そんな様子もなくまるで運動の得意な子がマラソンをした後みたいに元気です。
私は、視界がぐるぐる回るような変な感じが治りません。とても疲れました。
すぐに暗くなっちゃう私と違って、ジンさんは凄いと思います。
でも分かりません。何故そんなに平気そうにしていられるんですか?
だってあの女の人。ニアさん。ニアさんが――
「ニアに笑われちまうぜ」
ニアさんはもう、どこにもいません。
◇
歌は、聞こえなかった。
「……さん……!……イク、さん……」
代わりに聞こえるのはか細い、それでいて必死の呼び声だ。
スパイクは目を開け、色の違う一対の瞳に遠くなった空を映す。
いつかと同じようなぽっかりとした歪みが広がっているのが見えた。
「スパイクさん……良かった……!」
「ニア……?」
そこでスパイクは誰に、何を言われていたのかようやく気付いた。
同時におぼろ気だった記憶を覚醒させたスパイクはやわらかな植え込みに横たえられていた体を起こす。
「ニア……!お前どうして……」
「良かった……軟らかい場所を選んだつもりだったけれど……やっぱり心配で……」
「そんなことを聞いてるんじゃない!お前怪我は……」
そこまで言ってスパイクは気付く。ニアの両の瞳に爛々と光渦巻く緑色の輝きに。
その光はこれまで見せた彼女の笑顔と同じく、とても輝いて見えた。
同時に、それが彼女の命の最後に煌めきであることも自然と分かった。
「スパイクさんまで死ぬのは嫌ですから……ストラーダさんに必死でお願いしました……ジンさん達にも一杯無理を言って……ふふ」
「ああ……お陰で助かった」
槍のようなものを構えて弱々しく微笑むニアにスパイクは言う。
良くみるとニアの片腕は完全に肩から外れていた。
スパイクには、傷一つない。
「良かった……」
「ニア……おい、ニア!」
ニアの目から緑色の輝きがふっと消え、スパイクの横手に倒れ込む。
抱き抱える。最後の一瞬までしてやれることは多くない。
「山、小屋……ありがとう、ござい、ました……私、とっても、不安で……」
「礼を言われる程のことじゃない。飯も食ってやれなかった」
「ルルーシュ、さんにも……お礼を……」
「……そうだな。必ず伝えてやる」
「あり、がとう……」
「……」
それきり、人のことばかり気にかける純粋な少女は喋らなくなった。
スパイクは抱き抱えたままだった小さな体をそっと横たえる。
そうして、スパイクもまた横になりぼぅっと空を見上げた。
空に浮かんだ歪みは大分小さくなっている。
しばらくそのまま何もせず、やがてかつかつとした足音が聞こえてくるまでそうしていた。
視線をやる。一見するとただの無表情に、しかし無言の気遣いを浮かべて、変わらぬコート姿のジンが立っていた。
「よぉ、スパイク。無事かい」
「ああ……無事だ」
空は完全に元通りとなり、穴が空いていた場所は何事もなかったかのような青さを取り戻している。
横で眠る少女は、もう目を覚ますことはない。
体はぼろぼろになる一方で、やることばかりが増える。
それでも。
「生きてるよ」
SEE YOU SPACE COWBOY
【C-5/住宅街/二日目/午前】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:疲労(大)、心労、左腕から手の先が欠損(止血の応急手当はしましたが、再び出血する可能性があります)
左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし) 、腹部に痛み
[装備]:ジェリコ941改(残弾1/16)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
スコップ、ライター、ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、風水羅盤@カウボーイビバップ
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実
日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、レーダー(破損)@アニロワオリジナル
ウォンのチョコ詰め合わせ(半分消費)@機動武闘伝Gガンダム、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿
水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考]
1:……
2:柊かがみのところへ行く。
3:ウルフウッドを探す(見つけたあとどうするかは保留)
4:カミナを探し、その後、図書館を目指す。
5:ルルーシュにニアの伝言を伝える。
6:テッククリスタルは入手したが、かがみが持ってたことに疑問。対処法は状況次第。
7:全部が終わったら死んだ仲間たちの墓を立てて、そこに酒をかける。
[備考]
※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。
(周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません)
※清麿メモの内容について把握しました。 会場のループについても認識しています。
※ドモン、Dボゥイ(これまでの顛末とラダムも含む)、ヴァッシュ、ウルフウッドと情報交換を行いました。
※シータの情報は『ウルフウッドに襲われるまで』と『ロボットに出会ってから』の間が抜けています。
※シータのロボットは飛行、レーザービーム機能持ちであることを確認。
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)、全身に切り傷
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING(刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
1:柊かがみを助け出す
2:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
4:マタタビ殺害事件の真相について考える。
5:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
※舞衣、ゆたかと情報交換を行いました。
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:疲労(大)、右手打撲、左手に亀裂骨折、力が入らない、全身に打撲、顔面が腫れ上がっている
左頬骨骨折、鼻骨骨折、更に更にかがみにトラウマ (少し乗り越えた)、螺旋力覚醒
[装備]:無し
[道具]:黄金の鎧の欠片@Fate/stay night
[思考]
基本方針:とりあえず死なないように行動。
1:とりあえずはジン達と行動。
2:かがみを乗り越える。そして自分の手で倒す。
3:静留の動きには警戒しておく。
[備考]:
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンと情報交換済み。ガンダムについての情報をドモンから得ました。
※第2、4回放送はドモンと情報交換したので知っています。
※奈緒のバリアジャケットは《破絃の尖晶石》ジュリエット・ナオ・チャン@舞-乙HiME。飛行可能。
※不死者についての知識を得ています。
※ヴァルセーレの剣で攻撃を受けたため、両手の利きが悪くなっています。回復時期は未定です。
※かがみへのトラウマをわずかに乗り越えました
※第5回放送を聞き逃しました。
シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師
奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
黄金の鎧の欠片@Fate/stay nightが【C-5】のどこかに撒き散らされています。
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:発熱(中)、疲労(極大)、心労(中)、罪悪感、螺旋力覚醒
[装備]:フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:なし
[思考]
基本-みんなで帰る
1:Dボゥイのところへ戻る
2:かがみをラッドから助け出す
3:舞衣がDボゥイを好きなのかどうか気になる
[備考]
※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。
※再び螺旋力が表に出てきました。
※ねねねと清麿が生きていることに気がつきました。明智の死を乗り越えました。
※Dボゥイの肉体崩壊の可能性に気がつきました。
※舞衣との会話を通じて、少し罪悪感が晴れました。
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、引っ張られた頬、首輪なし、全身に軽い切り傷
深い罪悪感と絶望
[装備]:薄手のシーツ、 ゲイボルク@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:皆でここから脱出
1:Dボゥイに会いたい。
2:ゆたかがDボゥイを好きなのかどうか気になる
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒
※ジン、スパイク、ゆたかと情報交換を行いました
※ 会場の上空で太陽石エネルギーが解放されました。会場への影響があるのか、あるとすればどのようなものなのかは不明です。
※ニアのデイパック(ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、釘バット、ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!! 支給品一式、X装置 )はニアの死体の側に転がっています。
※シータはデイパックを投げ捨てたため、下記の支給品はB-5の卸売り場に放置されています。
支給品一式 ×6(食糧:食パン六枚切り三斤、ミネラルウォーター500ml2本)
びしょ濡れのかがみの制服、暗視スコープ
音楽CD(自殺交響曲「楽園」@R.O.Dシリーズ)、巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、ミロク@舞-HiME
ワルサーP99(残弾4/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実、包丁@現実
※ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル、ヴァッシュの生首はC-4のエリアのどこかに置かれています。
※ロボット兵とそれに突き刺さっていたカリバーンは消滅しました。
&color(red){【ニア@天元突破グレンラガン 死亡】 }
**時系列順に読む
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**投下順に読む
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|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|&color(red){ニア}||
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|小早川ゆたか|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|鴇羽舞衣|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|スパイク・スピーゲル|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|ジン|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|結城奈緒|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|シータ|273:[[眠れ、地の底に]]|
**亡き王女のためのバラッド(後編) ◆10fcvoEbko
「ニ……ア?っておい……なんでそこに?いつから?」
「ワープです!!」
「ワープってお前な……」
きっぱりとした口調で無茶苦茶を告げられ、スパイクは僅かに肩を落とした。
本人が真面目なのは分かるがどうにも毒気を抜かれてしまう。
見るとジンもニアがいつ現れたのか気付かなかったようで、やるじゃんなどと呟きながら笑っている。直接の面識のない二人はあまり余裕はないにせよぽかんとした表情だ。
当のニアはと言えば、そんなスパイク達を無視するようにつかつかと眼前を通りすぎそのまま真っ直ぐシータの目の前へと――
「っておい!危ねぇぞ、離れろ、ニア!」
「大丈夫です!!」
根拠不明の迫力を感じスパイクは僅かに気圧される。山小屋での時とは随分と印象が違う。
どう考えても大丈夫な筈はないのだが、不思議とシータが攻撃を行う様子はなかった。
その代わりか、彼女は顔を伏せ何やらをぶつぶつと呟いている。
「ニア……ニア……よくも……」
「私は、あなたを助けにきました」
「よくも……そうやって私の前に顔を出せますねっ!ニアッ!!」
「私はあなたを助けます!!」
シータの口から漏れた怨嗟の声からすると、どうやら二人には因縁があるようだ。出会ったとすれば山小屋での別れの後か。
変化した状況に囚われながら、シータが直接的な手段に出ようとしたらいつでも飛び出せるようスパイクは慎重に目を細める。
「あなたは!!本当は良い人です!!酷いことができる人じゃありません!!」
「あなたに何が分かるって言うの!!ぬくぬくと!!幸せで!!暖かいところで私のことを笑っているくせに!!」
「ドーラおばさまから聞きました!!とても楽しそうに!!あなたがどれだけ素敵な方か、話してくださいました!!」
「おばさまの名前を出すのは止めなさい!!それは私のものなの!!おば様に優しくされるのも、暖かい仲間に囲まれるのも、全部私のものなのぉっ!!」
「優しさも!!仲間も!!誰のものでもありません!!」
やばいな、とスパイクは思いジンと視線を交わす。
これがただの喧嘩で、取っ組み合いでもして終わりとなるならそれでいい。
だがこの場合単純な戦闘力に差がありすぎる。今は憎しみで頭が一杯のようだがシータがその気になれば次の瞬間にでもニアを殺せるだろう。
ただでさえ切れていたところにもう一つ特大の火種がやってきて、シータの苛立ちはかつてないレベルだ。そういう状態を何と呼び表せばいいのか、スパイクにも分からない。
そして予想通り、シータは攻撃の手段をより直接的な方法に切り替えた。
「本当に口の減らない嫌な女……!!良いです、どうせ焼いてしまえばおしまいだもの。兵隊さん!こいつを……」
「言わんこっちゃねぇ……!」
間に合うか、と瞬時にニアの距離を計算したスパイクは飛び出そうとする。ロボットの挙動を考えるとタイミング的にはかなり際どい。
が、そんなスパイク達の挙動をまとめて押し止めたのはまたしてもニアの甲高い一声だった。
「やれるものなら、やってごらんなさい!!!」
「な……!」
息を飲んだの音は誰のものか。あるいはその場にいた全員かも知れない。
ニアはビームの照準を定めたロボット前に一歩も退かず、それどころか組んでいた腕を大きく広げいつでも撃てと言わんばかりの構えを見せていた。
「そん、な……強がったって無駄ですよ!」
強がりでもはったりでもない。間違いなくニアは本気だ。
音が聞こえるくらいに噛み締められた口許が、ぴんと張り詰められた指先が、彼女の小さな体のあらゆる部分がそれを物語っている。
シータにもそれは分かっているのだろう。口ではもごもごと言い訳めいたことを呟いているが、明らかに気圧されている。
「あ、あなたは……どこまで……」
「あなたには、私は撃てません!!」
「何を……」
「私には、みんながくれたドリルがあるから!!」
ニアは親指でドン、と自分の胸を一突きする。
彼女のその仕草には重苦しいまでの力強さと天元へと気高く伸びる揺るぎなさが確かに示されていた。
「もうシモンだけじゃありません!!ドーラおばさまが!!ビクトリームさんが!!アニキさんが!!ドモンさんが!!ガッシュさんが!!クロスミラージュさんが!!
みんながくれたドリルです!!
無理を通して道理を蹴っ飛ばす、力を持つものです!!」
分かる奴には分かるだろう。彼女の持つ意志の力の、宝石の如き貴重さと得難さを。それを失わずにいるものがどれ程の輝かんばかりの力を持つのかを。
空を跳び跳ねるのがせいぜいの子供が勝てる道理など、ない。
「あなただって!!!間違いなく持っているものです!!!」
決まったか、とスパイクは思った。
ニアの言葉は正確にシータ心のねじくれた壁を叩き壊し、その核心を貫いた。
あらゆる感情が抜け落ちた空虚な表情となった少女は呆けたままに黙りこくる。
沈黙が降りた。だが状況は動き続ける。シータの心の中で何かが劇的に書き変わっていく。
ニアが真っ向から叩きつけた心底の言葉がシータを力ずくで奈落から引き戻した、と言ったところか。
シータの眼差しに涙が宿る。恐らくは、あと数秒。それでこの場は決する。
しかし。
「ごめん……なさい……」
溢れる直前の水瓶に落とされるのもまた、真心からの言葉。
「私が……パズーって子を殺し……ちゃった、から……シモンも守れなかったから……」
憐れな王女を再び奈落の底に舞い戻らせるのもまた、少女が心からの謝罪を込めた言葉だった。
「こ」
涙が弾き飛ぶ程の勢いでシータの瞳孔が収縮し、顔面が変形したと思える程の憎しみに表情が歪む。
まずいと感じスパイクが駆け出す。だが間に合わない。
「殺せぇ!!殺して、殺してしまってえぇぇっ!!パズウウウウ!!!」
ロボット兵から放たれた光がニアの胸を貫くきっかけになったのもまた、想い人へのどうしようもない純粋な感情だった。
「ニアッ!!」
背中から倒れ込むニアを、地面に激突する寸前で抱き止める。
「あははは!やった!やりました!やっぱりあなたの言うことなんて全部嘘っぱち!あははははっ!!」
「おい、ニア!大丈夫か。くそっ」
傷は明らかに急所を貫いている。手の施しようがあるのかどうかも分からない。まずい。
「スパ……イクさん……」
「喋れるならいい。黙ってろ」
「うふふふ!!ほんとに、もっと早くこうすれば良かった!!良い気持ち、ああなんて良い気持ち!!」
「おね……がいです……」
「なに……?」
白い肌をより一層蒼白に染めてニアが言葉を告げる。ほんの小さな呟きは、それでも耳障りな哄笑にかき消されることなくスパイクの耳を打った。
言われることは分かっている。誰よりも強いこの少女が死に際に思うことなど、一つしかない。
「シータさんを……助けてください」
「……」
あらかじめ決められていたかのように、ニアの言葉はスパイクの予想と同じだった。
それでもスパイクはすぐに返事をしない。静かに首を振り、追撃も忘れて笑いこけるもう一人の少女を見る。
「死んで当然!そんな女は死んで当然よ!!みんな死んでしまって!!待っていてね、パズー!!」
ぴくりと一瞬だけ瞼を振るわせ、そのまま何も言わずに視線を戻す。
そして口を開いた。静かに、口調だけはとても静かに告げる。
「……悪いが、そのお願いは聞けない」
「スパ、イクさん……?」
ニアが声を振るわせスパイクの服を掴んだ。力は殆ど感じられない。
「俺はあの女を殺す。生かしておけない」
一瞬だけ浮かんだヴァッシュの姿に手を上げて別れを告げた。
お前の理想を貫けるのは、やっぱりお前だけだったよ。
「そん、な……」
「文句は後でいくらでも聞いてやる。今は傷を治せ……おいジン!」
抱え上げ、何も言わずすぐ後ろに立っていたジンにニアを慎重に渡した。
それだけで何も言わず、スパイクはくるりと背を向ける。
ジンは了承してくれたようだ。
「ああ……分かった。その子もこの子達もまとめてきっちりエスコートさせてもらうよ。
もちろん、出迎えの準備も含めてね」
「……悪ぃな、面倒を押し付ける」
背中越しに、ジンが肩を竦める気配がした。
「あの二人を守るのに気を取られて何もできなかったつけさ。
それに、文句は後で聞いてくれるんだろ?言っとくけど俺の文句は長いぜ?」
「そいつは楽しみだ……なっと!」
会話を切り裂くように打ち込まれたビームを合図にスパイクとジン達は正反対の方向へ走り出した。
「じゃあな、ジン!さっきのところで落ち合おうぜ!」
「了解!さぁお嬢さん方もう一踏ん張りだ、気合いのいれどころだぜっ!」
「くすくすくす!!逃がしませんよ!もう絶対、一人も逃がしませんから!!」
再び攻撃態勢に入ったシータとロボット兵にスパイクはステップを流し突っ込んで行く。
片腕でのバランスの崩れなど無理やり勘で補正した。
「パズーのために死になさいっ!うふふ!」
ロボットは動かないままビームを放ち、その隙にシータを引き寄せる。
ビームは正確にスパイクを狙うが貫く場所は一瞬前までスパイクがいた場所でしかない。
三発目をかわすと同時にスパイクが地を蹴った。全身の回転力を加え鞭のようにしなった回し蹴りがロボットの顔面を蹴り飛ばす。
「ビームに頼りすぎなんだよっ!こちとら馬鹿じゃねぇんだ!」
発射方向を定めるための首の動き。照準を絞るための僅かな機械の挙動。射出寸前の一瞬のシークエンス。
相棒に「良すぎる」と評されたスパイクの目はその全てを余すところなく捉えていた。
着地した瞬間の力の方向を流しもう一発胴体部分を蹴り込む。
体がT字型になった瞬間を狙い連続して二発のビームが放たれた。
軸足はずらさず捻りだけで両方の射線から体を外す。
「てめぇみたいなやつを救おうとしてニアは撃たれた!ヴァッシュも死んだっ!」
発生した力をそのまま更に連続した数発の蹴りに変える。
刃物でも振っているかのような鋭い風切り音が胴体の同じ箇所を打ち、頑強なロボットの体をぐらりと揺るがした。
「救われねぇ!全く救われねぇよっ!」
だめ押しの一撃として放たれたスパイクの全霊の跳び蹴りが倒れ様に放たれた光線と交差する。
光線は大きくのけ反ったスパイクの前髪を焦がし、蹴りはロボットの巨体を轟音とともに地面に叩き伏せた。
背中が地面に着くよりも早く、スパイクはジェリコ941改を抜き放ち瞬時に身を起こしてシータへと狙いを定める。
ロボットの肩口で何が起きたかも分からぬように驚いた顔を見せるシータに即座に照準を合わせ、同時にほぼ無意識に指先に力を込めて――
「ぐぅっ!?」
発射されればシータの眉間を穿っていただろう一撃はぐるりと体勢を変えジェット噴射で突っ込んできたロボットによって妨害された。
「くそっ、しまった!」
シータを肩に乗せたままがっちりと体を締め付けるロボットの両腕に成す術もなく、スパイクは苦痛に顔を歪ませる。
初めは地面と平行だった飛行はやがて上空へとその進路を変えた。
勢いを増したロボット兵はジェット噴射の軌跡も美しくそのままひたすら空へ、
空へと――
◇
空へと伸びる一条の光は虫の息の少女を抱え走るジンの目にも鮮やかに映った。
「あ、あのあれってもしかして……」
ゆたかも気付いたのか袖を引く。とうに気付いていたがだからと言って止まれない。止まる訳にはいかない。
「大丈夫。スパイクなら特大の花火に詰められたってひょっこり帰ってくるよ」
どんなときでも人の心を掴み輝かせる王ドロボウの笑みも今回ばかりはいつもの切れがなかった。
状況は非常に切迫している。抱えながらでもニアから生気がどんどん抜けて行くのが分かる。
あの場から動いてないようだった奈緒と合流したとして、果してどれほどの処置ができるか。
「…………」
汗を浮かべながらもジンは、ニアの唇が微かに動いたことに気付いた。
腕の中の少女が呟こうとした言葉は掠れて聞こえなかったが、唇の動きから言おうとしたことは分かる。
虚ろな光で空を見上げる少女が言ったのは次のような言葉だった。
「スパイクさん」
◇
ほんの一区切りとはいえ意識を失ったのは蓄積された疲労が故か。
「ふふ、お目覚めですか?スパイクさん」
短時間の気絶から舞い戻ったスパイクを覗き込んで、亡国の少女が愉快そうに笑っていた。
体は未だロボットにがっちりと固定されている。空中では逃げることもできない。
「くすくす、とってもいい眺めですね。どうしますスパイクさん?まだ抵抗しますか?」
「……いや。打つ手なしだ」
いつでも発射できるようにぴたりと照準を合わせているロボットのビーム砲を見ながらスパイクは言う。
何と言うことのない口調だったのだが、シータはその返事がえらくお気に召したようだ。
「くすくすくす!ですよね、えぇそうですよね。あれだけ偉そうなことを言っても結局は何もできませんよね!
私がどうしてあなたをすぐ殺さなかった分かりますか!ねぇ分かりますか!?」
けたけたと笑いながらスパイクに捻りのない問いかけを投げ掛けてくる。
それを言うためだけに生かしておいたと言うのだろうか。
だとしたら滑稽だとスパイクは思う。本当に、滑稽だ。
「それはあなたにうんと怖がってもらうため!あなたにはここから墜落死してもらいます!怖いですか?でもだめ。パズーはもっと怖かったに違いないんですから!」
どうだ、とばかりにスパイクにぐいと顔を近づけてくる。
怯えて命乞いでもしたら満足なのだろうか、この少女は。
「……っとにどうしようもねぇガキだな。まったく」
「負け惜しみですか?ふふふ、もっと泣いて謝ってみたらどうです?止めませんけど」
「それで。俺を殺して、他のやつも皆殺して、晴れて好きな男とご対面、か?」
顔を上げ、やけに低くなった空を見る。
雲が近い。ロボットが照準を合わせ直す音が聞こえた。
「ええそうですその通り!もう何を言っても無駄ですよ!あの女は死んだんですから!うふふ!」
「いや、もう何も言わねぇよ。好きにするといい」
「え?」
シータのがたがたとした動きがぴたっと止まった。
何も言われなくなったのが逆に不安とでも言うのだろうか。そういうところがガキだと言うのだ。
「夢は一人で見るもんだ。せいぜい良い夢見ろよ……覚めない夢を、な」
「お、脅しだと思ってるんですね!私は本気ですよ!本当にやりますよ!!」
「……やれよ」
命乞いどころか怯えの色さえ全く見せないスパイクに逆にうながされシータは。
シータは。
「う……」
シータは何が何だか分からなくなった。
何故スパイクが少しも怖がらないのかが分からない。何故急に怒らなくなったのかが分からない。かけられる言葉の意味が分からない。
結局、彼女にできるのは泣いて喚いて従順な従者に命令することだけ。
「やって!!もうこいつを殺して!!兵隊さん!!」
ロボットの手から解き放たれ、スパイクの体が静かに落下を始める。
シータにはそれが愉快な程にゆっくりに見え、ぐにぐにに歪んだ顔をさらに歪ませた。
少しずつ、スパイクの体が落ちていく。速度も僅かずつだが確実に上がっていく。
落下中のスパイクが銃を向け、こちらに狙いを定めるのが見える。この瞬間、シータの表情は正に泣き笑いそのものになった。
やっぱり死ぬのは嫌だったんだ。さっきのは全部負け惜しみだったんだ。
スパイクが引き金を引く。
一発目。さっと振られた兵隊の腕が銃弾を弾く。
二発目。良いことを思い付いた。最早命令せずともシータの意を汲んだ兵隊が、彼女の思惑通りビームで銃弾を丁寧に溶かす。
三発目。今度は銃弾ではなく小汚い石ころを投げつけてきた。
完全にやけになったと見たシータは愉悦の極みとなり、兵隊に命令を下す。
放たれたビームは狙い違わず黒く汚い石くれに命中し、瞬間許容量以上のエネルギーを受けた太陽石は眩い輝きを放ち――
そして、彼女の世界は終了した。
◇
みんながみんな、疲れきっていました。
私達の不注意のせいでシータさんが危険だってことに気付かなかった、その結果です。
「う、あぅ……うっく」
舞衣ちゃんはずっと泣いています。顔を両手に埋めて、ずっと。
やっぱり私にはなんて言えば良いのか分かりません。舞衣ちゃんの気持ちは分かるはずなのに、どうしてか体が冷えてたまりません。
「ちょっと鴇羽、いい加減にしてくんない?あんまりめそめそされるとこっちまで気が滅入るんだけど!」
「だって……だって……うああああ!」
「ったく……!」
とっても怖い声で怒っているのが奈緒さんです。
年下のはずなのに私よりとてもしっかりしてそうで、体中傷だらけなのに私よりずっと頼りになりそうです。
でも、怒ったその声はとても怖くて……臆病な私はその度に体が震え助けを求めるように小さな友達を抱きしめます。
「よしなよ」
この場で一人だけ立っていたジンさんが言いました。
誰よりも疲れているはずのジンさんは全然そんな様子もなくまるで運動の得意な子がマラソンをした後みたいに元気です。
私は、視界がぐるぐる回るような変な感じが治りません。とても疲れました。
すぐに暗くなっちゃう私と違って、ジンさんは凄いと思います。
でも分かりません。何故そんなに平気そうにしていられるんですか?
だってあの女の人。ニアさん。ニアさんが――
「ニアに笑われちまうぜ」
ニアさんはもう、どこにもいません。
◇
歌は、聞こえなかった。
「……さん……!……イク、さん……」
代わりに聞こえるのはか細い、それでいて必死の呼び声だ。
スパイクは目を開け、色の違う一対の瞳に遠くなった空を映す。
いつかと同じようなぽっかりとした歪みが広がっているのが見えた。
「スパイクさん……良かった……!」
「ニア……?」
そこでスパイクは誰に、何を言われていたのかようやく気付いた。
同時におぼろ気だった記憶を覚醒させたスパイクはやわらかな植え込みに横たえられていた体を起こす。
「ニア……!お前どうして……」
「良かった……軟らかい場所を選んだつもりだったけれど……やっぱり心配で……」
「そんなことを聞いてるんじゃない!お前怪我は……」
そこまで言ってスパイクは気付く。ニアの両の瞳に爛々と光渦巻く緑色の輝きに。
その光はこれまで見せた彼女の笑顔と同じく、とても輝いて見えた。
同時に、それが彼女の命の最後に煌めきであることも自然と分かった。
「スパイクさんまで死ぬのは嫌ですから……ストラーダさんに必死でお願いしました……ジンさん達にも一杯無理を言って……ふふ」
「ああ……お陰で助かった」
槍のようなものを構えて弱々しく微笑むニアにスパイクは言う。
良くみるとニアの片腕は完全に肩から外れていた。
スパイクには、傷一つない。
「良かった……」
「ニア……おい、ニア!」
ニアの目から緑色の輝きがふっと消え、スパイクの横手に倒れ込む。
抱き抱える。最後の一瞬までしてやれることは多くない。
「山、小屋……ありがとう、ござい、ました……私、とっても、不安で……」
「礼を言われる程のことじゃない。飯も食ってやれなかった」
「ルルーシュ、さんにも……お礼を……」
「……そうだな。必ず伝えてやる」
「あり、がとう……」
「……」
それきり、人のことばかり気にかける純粋な少女は喋らなくなった。
スパイクは抱き抱えたままだった小さな体をそっと横たえる。
そうして、スパイクもまた横になりぼぅっと空を見上げた。
空に浮かんだ歪みは大分小さくなっている。
しばらくそのまま何もせず、やがてかつかつとした足音が聞こえてくるまでそうしていた。
視線をやる。一見するとただの無表情に、しかし無言の気遣いを浮かべて、変わらぬコート姿のジンが立っていた。
「よぉ、スパイク。無事かい」
「ああ……無事だ」
空は完全に元通りとなり、穴が空いていた場所は何事もなかったかのような青さを取り戻している。
横で眠る少女は、もう目を覚ますことはない。
体はぼろぼろになる一方で、やることばかりが増える。
それでも。
「生きてるよ」
SEE YOU SPACE COWBOY
【C-5/住宅街/二日目/午前】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:疲労(大)、心労、左腕から手の先が欠損(止血の応急手当はしましたが、再び出血する可能性があります)
左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし) 、腹部に痛み
[装備]:ジェリコ941改(残弾1/16)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
スコップ、ライター、ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、風水羅盤@カウボーイビバップ
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実
日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、レーダー(破損)@アニロワオリジナル
ウォンのチョコ詰め合わせ(半分消費)@機動武闘伝Gガンダム、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿
水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考]
1:……
2:柊かがみのところへ行く。
3:ウルフウッドを探す(見つけたあとどうするかは保留)
4:カミナを探し、その後、図書館を目指す。
5:ルルーシュにニアの伝言を伝える。
6:テッククリスタルは入手したが、かがみが持ってたことに疑問。対処法は状況次第。
7:全部が終わったら死んだ仲間たちの墓を立てて、そこに酒をかける。
[備考]
※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。
(周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません)
※清麿メモの内容について把握しました。 会場のループについても認識しています。
※ドモン、Dボゥイ(これまでの顛末とラダムも含む)、ヴァッシュ、ウルフウッドと情報交換を行いました。
※シータの情報は『ウルフウッドに襲われるまで』と『ロボットに出会ってから』の間が抜けています。
※シータのロボットは飛行、レーザービーム機能持ちであることを確認。
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)、全身に切り傷
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING(刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
1:柊かがみを助け出す
2:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
4:マタタビ殺害事件の真相について考える。
5:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
※舞衣、ゆたかと情報交換を行いました。
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:疲労(大)、右手打撲、左手に亀裂骨折、力が入らない、全身に打撲、顔面が腫れ上がっている
左頬骨骨折、鼻骨骨折、更に更にかがみにトラウマ (少し乗り越えた)、螺旋力覚醒
[装備]:無し
[道具]:黄金の鎧の欠片@Fate/stay night
[思考]
基本方針:とりあえず死なないように行動。
1:とりあえずはジン達と行動。
2:かがみを乗り越える。そして自分の手で倒す。
3:静留の動きには警戒しておく。
[備考]:
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンと情報交換済み。ガンダムについての情報をドモンから得ました。
※第2、4回放送はドモンと情報交換したので知っています。
※奈緒のバリアジャケットは《破絃の尖晶石》ジュリエット・ナオ・チャン@舞-乙HiME。飛行可能。
※不死者についての知識を得ています。
※ヴァルセーレの剣で攻撃を受けたため、両手の利きが悪くなっています。回復時期は未定です。
※かがみへのトラウマをわずかに乗り越えました
※第5回放送を聞き逃しました。
シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師
奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
黄金の鎧の欠片@Fate/stay nightが【C-5】のどこかに撒き散らされています。
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:発熱(中)、疲労(極大)、心労(中)、罪悪感、螺旋力覚醒
[装備]:フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:なし
[思考]
基本-みんなで帰る
1:Dボゥイのところへ戻る
2:かがみをラッドから助け出す
3:舞衣がDボゥイを好きなのかどうか気になる
[備考]
※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。
※再び螺旋力が表に出てきました。
※ねねねと清麿が生きていることに気がつきました。明智の死を乗り越えました。
※Dボゥイの肉体崩壊の可能性に気がつきました。
※舞衣との会話を通じて、少し罪悪感が晴れました。
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、引っ張られた頬、首輪なし、全身に軽い切り傷
深い罪悪感と絶望
[装備]:薄手のシーツ、 ゲイボルク@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:皆でここから脱出
1:Dボゥイに会いたい。
2:ゆたかがDボゥイを好きなのかどうか気になる
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒
※ジン、スパイク、ゆたかと情報交換を行いました
※ 会場の上空で太陽石エネルギーが解放されました。会場への影響があるのか、あるとすればどのようなものなのかは不明です。
※ニアのデイパック(ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、釘バット、ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!! 支給品一式、X装置 )はニアの死体の側に転がっています。
※シータはデイパックを投げ捨てたため、下記の支給品はB-5の卸売り場に放置されています。
支給品一式 ×6(食糧:食パン六枚切り三斤、ミネラルウォーター500ml2本)
びしょ濡れのかがみの制服、暗視スコープ
音楽CD(自殺交響曲「楽園」@R.O.Dシリーズ)、巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、ミロク@舞-HiME
ワルサーP99(残弾4/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実、包丁@現実
※ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル、ヴァッシュの生首はC-4のエリアのどこかに置かれています。
※ロボット兵とそれに突き刺さっていたカリバーンは消滅しました。
&color(red){【ニア@天元突破グレンラガン 死亡】 }
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|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|小早川ゆたか|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|鴇羽舞衣|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|スパイク・スピーゲル|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|ジン|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|結城奈緒|275:[[柊かがみの憂鬱 Ⅰ]]|
|273:[[亡き王女のためのバラッド(前編)]]|シータ|273:[[眠れ、地の底に]]|
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