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「空の上のおもちゃ(後編)」(2023/06/08 (木) 21:11:34) の最新版変更点
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**空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo
◇ ◇ ◇
がたごとがたごと、滅びを尻目に消防車は行くよ。
行くはひとまず賑やか市場。
催し物は殺し愛。
仲間がお待ちのお祭り知らず、王ドロボウは道を往く。
「……D、ボゥイ……」
どうにかこうにか亡びから逃げ出し一息つく頃、ようやくにして見知らぬ少女が目を覚ます。
ゆっくりと瞼を開け、体を起こしてしばし呆けたまま動かない彼女に向かい、ジンはとりあえずの口上を告げることにした。
「ようやくお姫様のお目覚めみたいだね。恋する乙女は王子様のキスがなくても彼を想うだけで夢の世界にサヨナラできる。
さて、物語の結末はハッピーエンドかな?」
びくりと震え、ようやく辺りを見回す余裕を得る少女。
それでも事態を把握できていないのか多少間の抜けた口調ではあったが、どうにかこうにか現状への疑問を搾り出す。
「ここは……。あなた、誰?」
「俺はジン。このパーティの主催役を盗もうと企むしがないドロボウでございます。
……と、話をする前に一ついいかな?」
飄々とした、今までに会った事のないタイプの少年だ。
よく分からないままペースに乗せられてしまい、少女はただただ頷くだけしかできない。
少なくとも敵意は見られないし、悪い人間ではないのだろう。
「……? う、うん」
「とりあえずコイツを握ってくれるかな、あ、あまり力は込めない様に」
言われるままに手渡された剣を握ってみる。
と、その豪奢な剣が不意に輝いた。
まるで少女の持つ何かに反応したかのように。
「あ……え?」
螺旋力の有無。
ドモンに感じたそれを少女から嗅ぎ取って、試しにギルガメッシュの言う『宝具』を持たせてみればまさしくビンゴ。
今はドモンがいない以上、たとえ施設に隠された何かを見つけても螺旋の力を未だ持たないジンにはどうしようもなく、その意味で彼女は役に立ちそうだ。
乖離剣にご執心の英雄王からもう一つの螺旋の剣も頂戴してきたことだし準備は万端。
尤も、それ以上に興味深い情報を彼女は握っている可能性があるのだが。
「……やっぱりね。君もドモンと同じで螺旋の力の持ち主という訳か。
ちょうど良かった、他の施設にもに博物館と同じ鍵がかけられていたなら俺には開ける事が出来ないし。
さてさて、積もる話もあるだろうけどひとまずすべきは自己紹介からだね。
……それじゃあご拝聴を。そして、君の方も知っていることを話してくれたらありがたいかな。
その、首輪のこととかね」
そして少女は思い出す。思い出していく。
記憶の靄の向こうから、彼女の出会ってきた全てが蘇ってくる。
何を思い出せばいいのか。
何をこれから成せばいいのか。
気がつけば、いつの間にか頭の中に響くラダムの声はなく、燃やせという脅迫じみた衝動も沸いてこない。
だからこそ――――、少女はただ迷う。
ずっと自分でないものに押し潰されそうだった心の重石がなくなったためか妙な浮遊感があり、行く先が見えてこない。
確かなものはただ一つ、大切だと気付いた一人の男の姿のみ。
ただ会いたいという想いを込めて、少女はドロボウに自らを綴る。
力になってくれるのではないかという淡い期待を込めて。
「……あたしは――――」
【C-5西部/路上(消防車内)/二日目/早朝】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿、
ゲイボルク@Fate/stay night、短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!、
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:さてさて、首輪についても怪獣についても、色々面白そうな話が聞けそうだね。
1:とりあえず卸売り市場に向かってスパイクを捜索、騒ぎが収まったらのデパートの方へ。
2:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ニアに疑心暗鬼。
4:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
5:マタタビ殺害事件の真相について考える。
6:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、首輪なし
[装備]:薄手のシーツ、 エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:
0:……Dボゥイ、会長さん……。
1:静留の死を悼む。
2:Dボゥイに会いたい。
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※小早川ゆたかについては、“ゆたか”という名前と、“自分より年下である”という認識しかもっていません。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒
◇ ◇ ◇
月明かりの下。
最早ヒトガタ足り得ぬ巨躯の残骸の上で獣の雄姿が哭き叫ぶ。
「――――螺旋王ッ! これが、……これほどの力を持つものがニンゲンだというのか!?」
胸から下を全て喪いし大紅蓮は最早がらくたに過ぎず、無残に無様に崩れ続ける。
あっさりと、実にあっさりと。
咄嗟の勘にて高く高く跳躍してみれば命ばかりは永らえたものの、然して事実は彼がチカラを奪い去り往く。
最早残るは踏み躙られし夢の跡。
「ならば! ……我等とは、獣人とはまさしく彼奴らの奴隷なのか!?
答えてもらいたい! この怒涛のチミルフは、何故ここに居るのだ……ッ!!」
返答は無く、ただ木霊が彼が身を慰め包むのみ。
己と主との絆たる巨大なチカラを零した勇士は、只唯天を見つめ成す術も無く時の移ろいに身を委ねる。
【D-8/古墳跡、ダイグレン残骸の艦橋上/二日目/早朝】
【怒涛のチミルフ@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に肉体的疲労とダメージ(小)、激しい驚愕、自身の存在価値への疑問、ビャコウ搭乗中
[装備]:愛用の巨大ハンマー@天元突破グレンラガン(支給品扱い)、ビャコウ@天元突破グレンラガン
[道具]:デイパック、支給品一式、(未確認の支給品が0~2個ありますが、まだ調べてません)
[思考]
基本:獣人以外は全員皆殺し。
0:……ニンゲンとは、一体何なのだ……ッ!
1:黒い太陽の方へ向かう。
2:次の放送後にもう一度ヴィラルと接触する。
3:ヴィラルが1人も人間の討ち首を持ってこれなかったら、シャマルの首を差し出させるかもしれない。
4:夜なのに行動が出来ることについては余り考えていない(夜行性の獣人もいるため)。
5:ニンゲンの力について考え直す。
[備考]
※ヴィラルには違う世界の存在について話していません。同じ世界のチミルフのフリをしています。
※シャマルがヴィラルを手玉に取っていないか疑っています。
※チミルフがヴィラルと同じように螺旋王から改造(人間に近い状態や、識字能力)を受けているのかはわかりません。
※ダイグレンを螺旋王の手によって改修されたダイガンザンだと思っています。
※螺旋王から、会場にある施設の幾つかについて知識を得ているようです。
【ダイグレン@天元突破グレンラガン】
チミルフの旗艦であるダイガンザンを奪取したグレン団が、自分達用にカスタムした移動要塞型ガンメン。
旗艦というだけあってとにかく大きく、ガンメン数十体は軽く収容可能。
また、ただでさえ火力や耐久力にも優れる上に、リーロンの手によって耐水加工やダイガンテンのトビダマを搭載などの改造が加えられており、水陸空のあらゆる環境で運用可能になっている。
……のだが、天地乖離す開闢の星によって艦橋を除く殆どの部位が消滅。大破と呼ぶのすら生温い。
もうまともに動かすことは叶わないだろう。
【ビャコウ@天元突破グレンラガン】
チミルフ専用カスタムガンメンで、本編ではカミナの死因となる一撃を放ったという曰くつきの機体。
名前の由来は白虎。
主な武装はビーム刃を放つ槍で、
ビーム刃による貫通突撃アルカイドグレイヴと、ビームを刃から直接打ち出すコンデムブレイズという
近距離遠距離それぞれに対応した必殺技を併せ持つ。
必殺技を披露する機会すら与えられなかったシトマンドラwithシュザックに比べて随分優遇されている気がする。
◇ ◇ ◇
「……ふむ、中々に良い仕事だぞ具足。我の財とするには如何せん地味に過ぎるが、心掛けは悪くない。
たまには貴様のような変り種を宝物庫に加えてみるのも風流というものか」
『……貴方はマスターが命を張って交渉した方ですから。
マスターの仲間と会ってもらうまでは死んでもらうわけには参りません』
――――黄金色に染まる天。
雲がまるで収穫期の麦畑の様に明々と染まる夜明けの中、遥か地上を見下ろしながら黄金の王は誰かへと呟く。
その身に纏っていた黒い衣装は既にない。
暁の光とともに、夜の闇へと千切れ消えた。
上半身のみ己が肉体を全天全地に曝し、腰より下には黄金の鎧を。
御足に具現するは、昴の名を冠した少女の忘れ形見だ。
天地乖離す開闢の星、減衰しながら帰還したその一撃を前にして、ギルガメッシュが取った行動は実に単純。
再度乖離剣の一撃を放つ事で相殺を狙ったのである。
目論見通りにある程度までは上手くいったのだが、衝撃まで消えた訳ではない。
遥か上空に吹っ飛ばされ、尚且つ黒猫スーツを失ってしまうという痛手を被った。
彼方まで飛ばされて更なる余波の斬撃で傷つくかと考えたその瞬間、彼の体を魔力の衣が包み込み、エアの残滓を防ぎぎった。
その正体こそがマッハキャリバーだったという訳だ。
「戯けが。この我が誓いを違えると思うか?
……しかし、成程な。ようやく螺旋の王の脚本が見えてきたぞ」
――――黄金色の草原に浮かぶ黒の太陽と同じ目線を飛びながら、ギルガメッシュは世界を見渡す。
ようやく彼の目に、この殺し合いの全貌が見えてきた。
会場を包む転移の結界。
その理屈の正体は、初めは空間転移かと思っていたがそうではない。
「……確率変動、か」
触れた物や現象の『そこにある』確率を変動させる。
それがギルガメッシュの考えた『転移結界』の正体だ。
単なる空間転移では空間を統べるエアの一撃に耐えられるはずがない。
ならば、一見転移のように見える現象の内実は、まったく別のものだろう。
地図の端と端で起こった現象は、
片方の地図の端に参加者や高出力の攻撃が触れたとき、
『触れた存在の、今いる場所での存在確率を0にする』
『触れた存在の、地図の対面における存在確率を100にする』
を同時に行なうことで、擬似的に転移を発生させているとギルガメッシュは考える。
また、上空の高度制限も、
『触れた物体や現象が、それ以上の位置まで上昇する確率を0にする』
事で行われているならば彼自身が今まで観測した現象に矛盾が発生しない。
更に言うなら、彼自身の観測していない二度のエアの攻撃で会場そのものに影響が出ていないのも、確率変動結界が会場の四方だけでなく上空にも展開されている証拠だろう。
この会場から抜けるためには単に高出力の攻撃を結界に加えればいいという訳ではない。
何らかの手段――――、エネルギー静止現象や、転移結界を発生させている原因そのものの破壊などにより会場のループを消失させる。
その上で防護結界と世界の殻を破壊することで、ようやく脱出できるのだろう。
それを鑑みて天を見る。
ギルガメッシュが見据えるのは、今まさに地平の彼方へ消えようとする月だ。
奇しくも傷の男が抱いた疑問と同様のものをギルガメッシュは内心抱く。
今まさに入れ替わろうとし、同時に天に居ることを認めようとしない太陽と月。
その不自然さに気付き、ギルガメッシュは兼ねてより箱庭と見ていた会場の構造に確信を抱いた。
「天を衝く、地より突き立ったドリル。……まさしくこの箱庭はその形状をしている」
ドリル状の世界の内部に、ドーム型の防護結界が張り巡らされ、更にその内側に直方体状の転移結界が存在する。
そうまでして念入りに参加者を逃がさないように囲った上で、殺し合いによって螺旋力を促進。
その後、参加者をどう扱うか。
その答えにつながる光景がギルガメッシュの目の前にある。
「……おそらく今晩か。あの月がドリルの先端に触れた瞬間に、この世界は消滅。
それまで生き延び、螺旋の力を蓄えたものたちを回収するのが貴様の目論見か、螺旋王」
――――太陽が、透けていた。
それだけではない、天の星々もよくよく見れば光の向こうに暗闇が見えている。
殺し合いの開始当初に比べ、少しずつ確実に、誰にも気付かれず進行していた世界の崩壊は、ここに来てようやく目に見える形になり始めていた。
しかし、月だけは未だその光に衰えが見られない。
ギルガメッシュは考える。
この世界を構築する柱が、あの月にあるのではないかと。
そして、月がこの世界の先端、天元に到達し、世界の外に抜け出すことで箱庭の消滅がもたらされるのではないかと。
「……陳腐な脚本よな。趣向を凝らす余地というものが全く無い。
螺旋王の感性、その低さが伺えるというものだ。だが――――、」
それだけでは説明がつかないのが、黒い太陽の存在だ。
あれは明らかに『結界を越える為』の乗り物である。
……そう、エネルギーの停止をもたらす炉心であるあれならば、たとえ確率変動結界であろうと越え、防護結界に一撃を入れるために近づくことも可能だろう。
大人しく世界の消滅を待つにはどう考えてもそぐわない。
……ならば、そんなモノが存在する意図は一つしかない。
「物を語るのは王ではない。詩人であり、綴り手であり、語り手である者達だ。
王自らが綴る物語など駄作としかならん。螺旋王、貴様の脚本はあくまで次善のものでしかないのだろう?
王とは人の上に立ち人を使う者であり、旗下の優れた能を持つ輩を適所に送るもの」
そう、ならば。
「……ならば、居るはずだ。
螺旋の物語を任せるに足る、螺旋王の思惑すらも超えうる綴り手が。
貴様の想定通り、『想定という名の天蓋すら貫く』物語の、な」
螺旋の王は、決して時間切れによる殺し合いの終了を求めているわけではない。
欲しているのはただ一つ。
彼の思惑すらも超えて、螺旋の力を開花させ天元すら突破しうる者だ。
おそらく会場に隠されている様々な財はその為にあるもの。
もしかしたら、あの黒い太陽が破壊されたときに備えての代用品も、発電所などに偽装されて存在しているのかもしれない。
そしてまた、あの“月”に何かがある事は確かだ。
月にある何かさえ壊せば脱出できるのかもしれないし、あるいは螺旋王の目的に関する秘密が隠れている可能性もある。
勝負は次に月が昇る時。
月を目指し、辿り着いた時に何が起こるのか。
……そこまで思い至った時、不意に彼の耳に一つの名詞が飛び込んできた。
『……菫川ねねね女史』
――――物語の綴り手たる者の名前が。
この場において呟かれるは間違いなく螺旋王の所在に至る鍵となり得るもの。
英雄王の眼力はそれを逃すはずもない。
「ほう、心当たりがあるか具足。成程、刑務所に居た者達の仲間と見える。
……なれば、早々に会う必要があるか。
我の物語を綴らせるに相応か否か、見極めてやるとしよう」
呟き、ギルガメッシュは右手に抱く螺旋の剣を振りかざす。
見据えるは天元。
それに届かせるかのように、しかし尚且つ無造作に赤い光を集わせ、チカラを放つ真名を口にする。
「……エア、穿て」
天地乖離す開闢の星には至らずとも、しかし充分すぎるほどに強い光が天を衝く。
……しかし。
「フン……」
予測通りにその光は途中で掻き消える。
確率そのものを0にされているからか、制限を加えられているからか。
月に届くどころか空を越えることすら出来はしない。
黄金色の草原の中でそれを見届けたのち、ゆっくりとゆっくりと、ギルガメッシュの体が落ちていく。
同じ高さに居た黒い太陽が次第に視界の上へと消えていく。
「デパートで待つ、か。王ドロボウ」
これから成すべきことを考えながら、ギルガメッシュは重力に身を任せて空に一時の別れを躊躇いなく告げた。
落ちた先に何があろうと心配はしない。
バリアジャケットとサーヴァントの技能があれば落下の衝撃など大した問題ではなく、誰が待ち受けようと切り捨てればいいだけなのだから。
月と、太陽と、雲と、黒い太陽と。
天の光はすべて敵。
そんな事を呟いて、ギルガメッシュは戦場へと帰還していく。
と、忘れていた事を思い出すように、不意に黄金の王は自らの財に当然の如く要求する。
「……ああ、それと具足。
貴様が魔力から編み出したこの衣装ではあるが、この服は然るべき時のみ用いると決めていてな。
我が先刻まで着ていた独創性溢れる猫の意匠の服、あの似姿に切り替えよ」
『…………Yes,King』
【?-?/上空/二日目/早朝】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、全身に裂傷(中)、身体の各部に打撲、 慢心、ただし油断はない、落下中
[装備]:乖離剣エア@Fate/stay night、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、黒猫型バリアジャケット
[道具]:支給品一式、クロちゃんマスク(大人用)@サイボーグクロちゃん
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。月を目指す。【天の鎖】の入手。【王の財宝】の再入手。
0:……綴り手、ねねね、か。果たして我の眼に適うか?
1:菫川ねねねを捜索、『王の物語』を綴らせる。
2:デパートでジンと待ち合わせる。
3:“螺旋王へ至る道”を模索。最終的にはアルベルトに逆襲を果たす。
4:頭脳派の生存者を配下に加える。
5:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
6:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
7:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
8:全ての財を手に入れた後、会場をエアの接触射撃で破壊する。
9:次に月が昇った時、そこに辿り着くべく動く。
【備考】
※螺旋状のアイテムである偽・螺旋剣に何か価値を見出したようですが、エアを手に入れたのでもう割とどうでもいいようです。
※ヴァッシュ、静留の所有品について把握しています。それらから何かのアイデアを思いつく可能性があります。
※ヴァッシュたちと情報交換しました。
※ジンたちと情報交換しました。会場のループについて認識済み。
※クロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんは引き裂かれて消滅しました。
※ギルガメッシュのバリアジャケットは、1stがネイキッドギル状態、2ndがクロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんです。強敵に会った時にのみネイキッドのバリアジャケットを展開しようと考えています。
※会場は『世界の殻』『防護結界』『転移結界』の三層構造になっていると推測しました。
※『転移結界』の正体は確率変動を発生させる結界であると推測しました。
※会場の形状は天の方向に伸びるドリル状であり、ドーム状の防護結界がその内部を覆っていると推測しました。
※月に何かがあると推測しました。
※ギルガメッシュが吹き飛ばされている方向は不明です。次の書き手さんにお任せします。
※会場端のワープは、人間以外にも大出力攻撃を転移させる模様です。
※D-6総合病院は天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※D-8古墳はダイグレン起動により崩壊後、天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※ダイグレン@天元突破グレンラガンは艦橋部を除いて天地乖離す開闢の星により殆どが消滅しました。
※D-1モノレール駅は天地乖離す開闢の星により大部分が消滅、原形を留めていません。
※D-2灯台は天地乖離す開闢の星により一部が消滅、その後崩落した模様です。
※エリオ、エド、アニタ、シンヤ、ムスカ、ヒィッツカラルドの死体は消滅しました。
**時系列順に読む
Back:[[空の上のおもちゃ(前編)]] Next:[[happily ever after]]
**投下順に読む
Back:[[空の上のおもちゃ(前編)]] Next:[[happily ever after]]
|256:[[空の上のおもちゃ(前編)]]|怒涛のチミルフ|263:[[箱庭の隅っこで愛を叫んだケモノ]]|
|256:[[空の上のおもちゃ(前編)]]|鴇羽舞衣|260:[[たたかう十六歳(^^;)]]|
|256:[[空の上のおもちゃ(前編)]]|ジン|260:[[たたかう十六歳(^^;)]]|
|256:[[空の上のおもちゃ(前編)]]|ギルガメッシュ|258:[[I can fly(前編)]] |
**空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo
◇ ◇ ◇
がたごとがたごと、滅びを尻目に消防車は行くよ。
行くはひとまず賑やか市場。
催し物は殺し愛。
仲間がお待ちのお祭り知らず、王ドロボウは道を往く。
「……D、ボゥイ……」
どうにかこうにか亡びから逃げ出し一息つく頃、ようやくにして見知らぬ少女が目を覚ます。
ゆっくりと瞼を開け、体を起こしてしばし呆けたまま動かない彼女に向かい、ジンはとりあえずの口上を告げることにした。
「ようやくお姫様のお目覚めみたいだね。恋する乙女は王子様のキスがなくても彼を想うだけで夢の世界にサヨナラできる。
さて、物語の結末はハッピーエンドかな?」
びくりと震え、ようやく辺りを見回す余裕を得る少女。
それでも事態を把握できていないのか多少間の抜けた口調ではあったが、どうにかこうにか現状への疑問を搾り出す。
「ここは……あなた、誰?」
「俺はジン。このパーティの主催役を盗もうと企むしがないドロボウでございます。
……と、話をする前に一ついいかな?」
飄々とした、今までに会った事のないタイプの少年だ。
よく分からないままペースに乗せられてしまい、少女はただただ頷くだけしかできない。
少なくとも敵意は見られないし、悪い人間ではないのだろう。
「……? う、うん」
「とりあえずコイツを握ってくれるかな、あ、あまり力は込めない様に」
言われるままに手渡された剣を握ってみる。
と、その豪奢な剣が不意に輝いた。
まるで少女の持つ何かに反応したかのように。
「あ……え?」
螺旋力の有無。
ドモンに感じたそれを少女から嗅ぎ取って、試しにギルガメッシュの言う『宝具』を持たせてみればまさしくビンゴ。
今はドモンがいない以上、たとえ施設に隠された何かを見つけても螺旋の力を未だ持たないジンにはどうしようもなく、その意味で彼女は役に立ちそうだ。
乖離剣にご執心の英雄王からもう一つの螺旋の剣も頂戴してきたことだし準備は万端。
尤も、それ以上に興味深い情報を彼女は握っている可能性があるのだが。
「……やっぱりね。君もドモンと同じで螺旋の力の持ち主という訳か。
ちょうど良かった、他の施設にもに博物館と同じ鍵がかけられていたなら俺には開ける事が出来ないし。
さてさて、積もる話もあるだろうけどひとまずすべきは自己紹介からだね。
……それじゃあご拝聴を。そして、君の方も知っていることを話してくれたらありがたいかな。
その、首輪のこととかね」
そして少女は思い出す。思い出していく。
記憶の靄の向こうから、彼女の出会ってきた全てが蘇ってくる。
何を思い出せばいいのか。
何をこれから成せばいいのか。
気がつけば、いつの間にか頭の中に響くラダムの声はなく、燃やせという脅迫じみた衝動も沸いてこない。
だからこそ――――少女はただ迷う。
ずっと自分でないものに押し潰されそうだった心の重石がなくなったためか妙な浮遊感があり、行く先が見えてこない。
確かなものはただ一つ、大切だと気付いた一人の男の姿のみ。
ただ会いたいという想いを込めて、少女はドロボウに自らを綴る。
力になってくれるのではないかという淡い期待を込めて。
「……あたしは――――」
【C-5西部/路上(消防車内)/二日目/早朝】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
ゲイボルク@Fate/stay night、短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:さてさて、首輪についても怪獣についても、色々面白そうな話が聞けそうだね。
1:とりあえず卸売り市場に向かってスパイクを捜索、騒ぎが収まったらのデパートの方へ。
2:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ニアに疑心暗鬼。
4:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
5:マタタビ殺害事件の真相について考える。
6:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、首輪なし
[装備]:薄手のシーツ、 エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:
0:……Dボゥイ、会長さん……
1:静留の死を悼む。
2:Dボゥイに会いたい。
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※小早川ゆたかについては、“ゆたか”という名前と、“自分より年下である”という認識しかもっていません。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒
◇ ◇ ◇
月明かりの下。
最早ヒトガタ足り得ぬ巨躯の残骸の上で獣の雄姿が哭き叫ぶ。
「――――螺旋王ッ! これが……これほどの力を持つものがニンゲンだというのか!?」
胸から下を全て喪いし大紅蓮は最早がらくたに過ぎず、無残に無様に崩れ続ける。
あっさりと、実にあっさりと。
咄嗟の勘にて高く高く跳躍してみれば命ばかりは永らえたものの、然して事実は彼がチカラを奪い去り往く。
最早残るは踏み躙られし夢の跡。
「ならば! ……我等とは、獣人とはまさしく彼奴らの奴隷なのか!?
答えてもらいたい! この怒涛のチミルフは、何故ここに居るのだ……ッ!!」
返答は無く、ただ木霊が彼が身を慰め包むのみ。
己と主との絆たる巨大なチカラを零した勇士は、只唯天を見つめ成す術も無く時の移ろいに身を委ねる。
【D-8/古墳跡、ダイグレン残骸の艦橋上/二日目/早朝】
【怒涛のチミルフ@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に肉体的疲労とダメージ(小)、激しい驚愕、自身の存在価値への疑問、ビャコウ搭乗中
[装備]:愛用の巨大ハンマー@天元突破グレンラガン(支給品扱い)、ビャコウ@天元突破グレンラガン
[道具]:デイパック、支給品一式、(未確認の支給品が0~2個ありますが、まだ調べてません)
[思考]
基本:獣人以外は全員皆殺し。
0:……ニンゲンとは、一体何なのだ……ッ!
1:黒い太陽の方へ向かう。
2:次の放送後にもう一度ヴィラルと接触する。
3:ヴィラルが1人も人間の討ち首を持ってこれなかったら、シャマルの首を差し出させるかもしれない。
4:夜なのに行動が出来ることについては余り考えていない(夜行性の獣人もいるため)。
5:ニンゲンの力について考え直す。
[備考]
※ヴィラルには違う世界の存在について話していません。同じ世界のチミルフのフリをしています。
※シャマルがヴィラルを手玉に取っていないか疑っています。
※チミルフがヴィラルと同じように螺旋王から改造(人間に近い状態や、識字能力)を受けているのかはわかりません。
※ダイグレンを螺旋王の手によって改修されたダイガンザンだと思っています。
※螺旋王から、会場にある施設の幾つかについて知識を得ているようです。
【ダイグレン@天元突破グレンラガン】
チミルフの旗艦であるダイガンザンを奪取したグレン団が、自分達用にカスタムした移動要塞型ガンメン。
旗艦というだけあってとにかく大きく、ガンメン数十体は軽く収容可能。
また、ただでさえ火力や耐久力にも優れる上に、リーロンの手によって耐水加工やダイガンテンのトビダマを搭載などの改造が加えられており、水陸空のあらゆる環境で運用可能になっている。
……のだが、天地乖離す開闢の星によって艦橋を除く殆どの部位が消滅。大破と呼ぶのすら生温い。
もうまともに動かすことは叶わないだろう。
【ビャコウ@天元突破グレンラガン】
チミルフ専用カスタムガンメンで、本編ではカミナの死因となる一撃を放ったという曰くつきの機体。
名前の由来は白虎。
主な武装はビーム刃を放つ槍で、
ビーム刃による貫通突撃アルカイドグレイヴと、ビームを刃から直接打ち出すコンデムブレイズという
近距離遠距離それぞれに対応した必殺技を併せ持つ。
必殺技を披露する機会すら与えられなかったシトマンドラwithシュザックに比べて随分優遇されている気がする。
◇ ◇ ◇
「……ふむ、中々に良い仕事だぞ具足。我の財とするには如何せん地味に過ぎるが、心掛けは悪くない。
たまには貴様のような変わり種を宝物庫に加えてみるのも風流というものか」
『……貴方はマスターが命を張って交渉した方ですから。
マスターの仲間と会ってもらうまでは死んでもらうわけには参りません』
――――黄金色に染まる天。
雲がまるで収穫期の麦畑の様に明々と染まる夜明けの中、遥か地上を見下ろしながら黄金の王は誰かへと呟く。
その身に纏っていた黒い衣装は既にない。
暁の光とともに、夜の闇へと千切れ消えた。
上半身のみ己が肉体を全天全地に曝し、腰より下には黄金の鎧を。
御足に具現するは、昴の名を冠した少女の忘れ形見だ。
天地乖離す開闢の星、減衰しながら帰還したその一撃を前にして、ギルガメッシュが取った行動は実に単純。
再度乖離剣の一撃を放つ事で相殺を狙ったのである。
目論見通りにある程度までは上手くいったのだが、衝撃まで消えた訳ではない。
遥か上空に吹っ飛ばされ、尚且つ黒猫スーツを失ってしまうという痛手を被った。
彼方まで飛ばされて更なる余波の斬撃で傷つくかと考えたその瞬間、彼の体を魔力の衣が包み込み、エアの残滓を防ぎきった。
その正体こそがマッハキャリバーだったという訳だ。
「戯けが。この我が誓いを違えると思うか?
……しかし、成程な。ようやく螺旋の王の脚本が見えてきたぞ」
――――黄金色の草原に浮かぶ黒の太陽と同じ目線を飛びながら、ギルガメッシュは世界を見渡す。
ようやく彼の目に、この殺し合いの全貌が見えてきた。
会場を包む転移の結界。
その理屈の正体は、初めは空間転移かと思っていたがそうではない。
「……確率変動、か」
触れた物や現象の『そこにある』確率を変動させる。
それがギルガメッシュの考えた『転移結界』の正体だ。
単なる空間転移では空間を統べるエアの一撃に耐えられるはずがない。
ならば、一見転移のように見える現象の内実は、まったく別のものだろう。
地図の端と端で起こった現象は、
片方の地図の端に参加者や高出力の攻撃が触れたとき、
『触れた存在の、今いる場所での存在確率を0にする』
『触れた存在の、地図の対面における存在確率を100にする』
を同時に行うことで、擬似的に転移を発生させているとギルガメッシュは考える。
また、上空の高度制限も、
『触れた物体や現象が、それ以上の位置まで上昇する確率を0にする』
事で行われているならば彼自身が今まで観測した現象に矛盾が発生しない。
更に言うなら、彼自身の観測していない二度のエアの攻撃で会場そのものに影響が出ていないのも、確率変動結界が会場の四方だけでなく上空にも展開されている証拠だろう。
この会場から抜けるためには単に高出力の攻撃を結界に加えればいいという訳ではない。
何らかの手段――――エネルギー静止現象や、転移結界を発生させている原因そのものの破壊などにより会場のループを消失させる。
その上で防護結界と世界の殻を破壊することで、ようやく脱出できるのだろう。
それを鑑みて天を見る。
ギルガメッシュが見据えるのは、今まさに地平の彼方へ消えようとする月だ。
奇しくも傷の男が抱いた疑問と同様のものをギルガメッシュは内心抱く。
今まさに入れ替わろうとし、同時に天に居ることを認めようとしない太陽と月。
その不自然さに気付き、ギルガメッシュは兼ねてより箱庭と見ていた会場の構造に確信を抱いた。
「天を衝く、地より突き立ったドリル……まさしくこの箱庭はその形状をしている」
ドリル状の世界の内部に、ドーム型の防護結界が張り巡らされ、更にその内側に直方体状の転移結界が存在する。
そうまでして念入りに参加者を逃がさないように囲った上で、殺し合いによって螺旋力を促進。
その後、参加者をどう扱うか。
その答えにつながる光景がギルガメッシュの目の前にある。
「……おそらく今晩か。あの月がドリルの先端に触れた瞬間に、この世界は消滅。
それまで生き延び、螺旋の力を蓄えたものたちを回収するのが貴様の目論見か、螺旋王」
――――太陽が、透けていた。
それだけではない、天の星々もよくよく見れば光の向こうに暗闇が見えている。
殺し合いの開始当初に比べ、少しずつ確実に、誰にも気付かれず進行していた世界の崩壊は、ここに来てようやく目に見える形になり始めていた。
しかし、月だけは未だその光に衰えが見られない。
ギルガメッシュは考える。
この世界を構築する柱が、あの月にあるのではないかと。
そして、月がこの世界の先端、天元に到達し、世界の外に抜け出すことで箱庭の消滅がもたらされるのではないかと。
「……陳腐な脚本よな。趣向を凝らす余地というものが全く無い。
螺旋王の感性、その低さが窺えるというものだ。だが――――」
それだけでは説明がつかないのが、黒い太陽の存在だ。
あれは明らかに『結界を越える為』の乗り物である。
……そう、エネルギーの停止をもたらす炉心であるあれならば、たとえ確率変動結界であろうと越え、防護結界に一撃を入れるために近づくことも可能だろう。
大人しく世界の消滅を待つにはどう考えてもそぐわない。
……ならば、そんなモノが存在する意図は一つしかない。
「物を語るのは王ではない。詩人であり、綴り手であり、語り手である者達だ。
王自らが綴る物語など駄作としかならん。螺旋王、貴様の脚本はあくまで次善のものでしかないのだろう?
王とは人の上に立ち人を使う者であり、旗下の優れた能を持つ輩を適所に送るもの」
そう、ならば。
「……ならば、居るはずだ。
螺旋の物語を任せるに足る、螺旋王の思惑すらも超えうる綴り手が。
貴様の想定通り、『想定という名の天蓋すら貫く』物語の、な」
螺旋の王は、決して時間切れによる殺し合いの終了を求めているわけではない。
欲しているのはただ一つ。
彼の思惑すらも超えて、螺旋の力を開花させ天元すら突破しうる者だ。
おそらく会場に隠されている様々な財はその為にあるもの。
もしかしたら、あの黒い太陽が破壊されたときに備えての代用品も、発電所などに偽装されて存在しているのかもしれない。
そしてまた、あの“月”に何かがある事は確かだ。
月にある何かさえ壊せば脱出できるのかもしれないし、あるいは螺旋王の目的に関する秘密が隠れている可能性もある。
勝負は次に月が昇る時。
月を目指し、辿り着いた時に何が起こるのか。
……そこまで思い至った時、不意に彼の耳に一つの名詞が飛び込んできた。
『……菫川ねねね女史』
――――物語の綴り手たる者の名前が。
この場において呟かれるは間違いなく螺旋王の所在に至る鍵となり得るもの。
英雄王の眼力はそれを逃すはずもない。
「ほう、心当たりがあるか具足。成程、刑務所に居た者達の仲間と見える。
……なれば、早々に会う必要があるか。
我の物語を綴らせるに相応か否か、見極めてやるとしよう」
呟き、ギルガメッシュは右手に抱く螺旋の剣を振りかざす。
見据えるは天元。
それに届かせるかのように、しかし尚且つ無造作に赤い光を集わせ、チカラを放つ真名を口にする。
「……エア、穿て」
天地乖離す開闢の星には至らずとも、しかし充分すぎるほどに強い光が天を衝く。
……しかし。
「フン……」
予測通りにその光は途中で掻き消える。
確率そのものを0にされているからか、制限を加えられているからか。
月に届くどころか空を越えることすら出来はしない。
黄金色の草原の中でそれを見届けたのち、ゆっくりとゆっくりと、ギルガメッシュの体が落ちていく。
同じ高さに居た黒い太陽が次第に視界の上へと消えていく。
「デパートで待つ、か。王ドロボウ」
これから成すべきことを考えながら、ギルガメッシュは重力に身を任せて空に一時の別れを躊躇いなく告げた。
落ちた先に何があろうと心配はしない。
バリアジャケットとサーヴァントの技能があれば落下の衝撃など大した問題ではなく、誰が待ち受けようと切り捨てればいいだけなのだから。
月と、太陽と、雲と、黒い太陽と。
天の光はすべて敵。
そんな事を呟いて、ギルガメッシュは戦場へと帰還していく。
と、忘れていた事を思い出すように、不意に黄金の王は自らの財に当然の如く要求する。
「……ああ、それと具足。
貴様が魔力から編み出したこの衣装ではあるが、この服は然るべき時のみ用いると決めていてな。
我が先刻まで着ていた独創性溢れる猫の意匠の服、あの似姿に切り替えよ」
『…………Yes,King』
【?-?/上空/二日目/早朝】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、全身に裂傷(中)、身体の各部に打撲、 慢心、ただし油断はない、落下中
[装備]:乖離剣エア@Fate/stay night、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、黒猫型バリアジャケット
[道具]:支給品一式、クロちゃんマスク(大人用)@サイボーグクロちゃん
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。月を目指す。【天の鎖】の入手。【王の財宝】の再入手。
0:……綴り手、ねねね、か。果たして我の眼に適うか?
1:菫川ねねねを捜索、『王の物語』を綴らせる。
2:デパートでジンと待ち合わせる。
3:“螺旋王へ至る道”を模索。最終的にはアルベルトに逆襲を果たす。
4:頭脳派の生存者を配下に加える。
5:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
6:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
7:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
8:全ての財を手に入れた後、会場をエアの接触射撃で破壊する。
9:次に月が昇った時、そこに辿り着くべく動く。
【備考】
※螺旋状のアイテムである偽・螺旋剣に何か価値を見出したようですが、エアを手に入れたのでもう割とどうでもいいようです。
※ヴァッシュ、静留の所有品について把握しています。それらから何かのアイデアを思いつく可能性があります。
※ヴァッシュたちと情報交換しました。
※ジンたちと情報交換しました。会場のループについて認識済み。
※クロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんは引き裂かれて消滅しました。
※ギルガメッシュのバリアジャケットは、1stがネイキッドギル状態、2ndがクロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんです。
強敵に会った時にのみネイキッドのバリアジャケットを展開しようと考えています。
※会場は『世界の殻』『防護結界』『転移結界』の三層構造になっていると推測しました。
※『転移結界』の正体は確率変動を発生させる結界であると推測しました。
※会場の形状は天の方向に伸びるドリル状であり、ドーム状の防護結界がその内部を覆っていると推測しました。
※月に何かがあると推測しました。
※ギルガメッシュが吹き飛ばされている方向は不明です。次の書き手さんにお任せします。
※会場端のワープは、人間以外にも大出力攻撃を転移させる模様です。
※D-6総合病院は天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※D-8古墳はダイグレン起動により崩壊後、天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※ダイグレン@天元突破グレンラガンは艦橋部を除いて天地乖離す開闢の星により殆どが消滅しました。
※D-1モノレール駅は天地乖離す開闢の星により大部分が消滅、原形を留めていません。
※D-2灯台は天地乖離す開闢の星により一部が消滅、その後崩落した模様です。
※エリオ、エド、アニタ、シンヤ、ムスカ、ヒィッツカラルドの死体は消滅しました。
**時系列順に読む
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**投下順に読む
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