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「愛と死の予感・Before」(2023/05/04 (木) 22:06:47) の最新版変更点
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**愛と死の予感・Before ◆DNdG5hiFT6
――Dボゥイたちが病院を訪れる、ほんの数分前まで時を遡る。
清麿を逃がしたヴィラルとシャマルは休憩を取るためにある部屋に入った。
その部屋を選んだのは偶然だったがコンロにベッド、
更には風呂もなど今後の拠点として考えた場合申し分ない設備が揃っていたのだ。
ただ気になるのはこの部屋に入ってからのシャマルの態度だ。
シャマルは顔を赤くしたままベッドの上で俯いている。
何処と無く緊張しているように見えるのはヴィラルの気のせいだろうか?
「なぁシャマル、この部屋は何のための部屋なのだ?
他の部屋と何か設備が違うようだが……
俺の知る医療機関にはこのような部屋は見当たらなかったからな」
「そ、その……妊婦用の……部屋……」
「ニンプ? 何だそれは」
「その……赤ちゃんを生む前の女の人の、こと……」
アカチャン……ああ、赤子のことか。
獣人はクローン培養されるが人間の増える方法についての知識は一応持っている。
ああ、そういえばニンゲンに近い身体にされたというのなら、生殖も可能かもしれな――
「あ――」
獣人は子供を作れないが、“そういうこと”をしないわけではない。
むしろ子供を作れないが故に、そちらに重点を置く傾向があるとも聞く。
その思考は本能に後押しされて、ベッドの上に座るシャマルの身体へと向けられる。
まず豊かな双丘へと注がれた視線は徐々に下に降る。
たおやかな腰つき、そして破れたストッキングから覗く白い足を経て、
ベッドに沈み込む足先まで到達した時、ヴィラルは自分が生唾を飲み込む音を聞いた。
そのあまりにも直截な視線を受けたシャマルは目を伏せ、スカートのすそをぎゅっと握り締める。
頬の赤みは一層強まり、どうしようもないぐらいに緊張しているのが伝わってくる。
だがその態度は一つの事実を告げている。
――即ち、シャマルは緊張こそすれ、拒否はしてないのだと。
そのことを理解した瞬間、心臓の鼓動が加速する。
血液の回転数は限界をとうに超え、鼓動だけでバラバラになってしまいそうだ。
「あの……ヴィラルさん、私――」
「あ、あたりを見回ってくる! お前はここでゆっくりしていろ!」
そのまま風よりも早く、部屋を飛び出す。
正直、行き先は何処でも良かった。
あの場所にいたらまずい。何がまずいかは説明できないがとにかく色々とまずい!
「ぬぅうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
叫びながら全速力で廊下を駆け抜ける。
廊下に張られた『他人の迷惑になる行為はやめましょう』というポスターが空しくはためいた。
……どれだけの間そうしていただろう。
気付けば体力を使い果たし、ある部屋の前で膝を突いていた。
何の気なしにドアに貼り付けられたネームプレートを読む。
「“レイアンシツ”……?」
読めはするがその名が持つ意味は良くわからない。
だが扉の向こうから立ち上る死の匂いを感じ取り、ヴィラルは警戒しながら足を踏み入れる。
しかしその名の持つ意味は程なくして理解できた。
そこに安置されていたのは無残な少年少女の亡骸だったからだ。
“レイアンシツ”には3つの亡骸があった。
向かって左から焼け焦げた義手の少年、半身が焼け爛れた少年、全身を切り裂かれた少女の順に冷たい鉄のベッドの上に安置されている。
その中で彼の目を引いたのは中央に安置されている半身を焼かれた少年の姿だった。
焼け残った半身に残された服の意匠は、シャマルの着ているものと同一。
つまりこの赤毛の少年が“キドウロッカのエリオ・モンディアル”なのだろう。
無残な死体だ。幾多の戦場を潜り抜けてきたヴィラルでさえそう思う。
かつての仲間であったシャマルがこの亡骸を見れば深く嘆き悲しむだろう。
その姿を想像しただけで、ヴィラルの胸は酷く痛みを訴える。
――だったらいっそ会わせなければ良い、か
無理やりにでも理由をつけ、ここを出よう。ヴィラルはそう決意する。
「本来ならば手厚く葬るのが礼儀だが……すまんが、ここに置いていく」
自然と漏れる呟き……
と、そこでヴィラルは少年の遺骸に哀れみの感情を抱いている自分に気付き、自嘲する。
現金なものだ。
ニンゲンなど数え切れぬほど殺してきたというのに、シャマルの知り合いだというだけでこうも認識が変わるものなのか。
「……共に行く限りシャマルは俺が守ってみせる。だから安らかに眠るがいい、戦士エリオよ」
小さな戦士に僅かな黙祷をささげ、誓う。
そして踵を返し、シャマルの待つ部屋へと向かう。
だがヴィラルはその途中でまだ新鮮な血の臭いをかぎつけた。
ディパックから大鉈を取り出し、警戒しつつその場所に近寄る。
血の海の中心にあったのは頭と手のない男の死体だった。
その死体の惨さに顔をしかめるヴィラル。
だがその時、ヴィラルの鋭敏な知覚は自分の背後に回りこむ何者かの存在を嗅ぎ取った。
「誰だッ!」
振り向くがそこには誰もいない。そこに広がるのはただの闇。
だが獣の鼻は咽返るような血の臭いの中から蟲の臭いを嗅ぎ取り、耳は這いずり回る小さな足音を聞き取っていた。
その瞬間、脳裏をよぎったイメージは蜘蛛の巣の近くを飛び交う蝶の姿。
蜘蛛の巣はここ病院、蝶は自分、そしてシャマル。
そしてヴィラルは即断する。一刻も早くここを発つ、と。
昔の自分ならば敵に背を向け逃げ出すことを良しとしなかったに違いない。
だが、それを秤にかけても大事なものが今の自分にはある。
周囲を警戒したまま、シャマルの待つ部屋まで急いで戻る。
「シャマル、俺だ。入るぞ」
襲撃を避けるため、明かりはつけていない。
その暗闇の中、部屋の中央に座っていたシャマルはこちらの姿を認め、笑みを浮かべる。
「あ……おかえりなさい、ヴィラルさん」
汚れを落とすためにシャワーを浴びたのだろう。
わずかに入り込む月明かりが、艶のある美しい金髪を輝かせている。
ヴィラルの優れた嗅覚は、風呂上りの甘い匂いをこれでもかというほどに感じ取る。
春先の花のような香りに眩暈がするが、頭を振って欲望を振り払い、真剣な目でシャマルを見据える。
「シャマル……一度ここを出るぞ」
「え、でも傷の治療が……」
「この病院内には“何か”がいる。
だから一度退く。必要ならもう一度……放送が終わった後にでも帰ってこよう」
この戦場に集められたのは人間だけではない。皮肉にも今のパートナーがそれを証明している。
それがどんな能力を持っているかなど、わかったものではない。
ここはまずここは一度退いて様子を見るのが得策だろう。
薬品などが先程のニンゲンにすべて持ち去られているのならば、治療はどこでやっても同じことだ。
そう、ヴィラルは結論付けた。
「すまんな……曖昧な根拠でお前の厚意を無駄にするかもしれん」
「いえ、私はヴィラルさんを信じます」
実のところ、それだけではないのではないかとシャマルは感づいていた。
彼は何がなくともここを離れたかったのではないか
――例えば、機動六課の誰かの亡骸を見つけたとか。
しかしシャマルそのことを指摘しない。
指摘すれば彼が困ってしまうから。たった、それだけの理由で。
彼とかつての仲間を秤にかけて、彼を取ったのだ。
酷い女だと思う。でもそれでも構わないと思う、少なくとも今は。
「そうか……では、行くかシャマル」
立ち上がったヴィラルはまるで何回も繰り返してきたことのように自然に手を差し伸べる。
「はい、ヴィラルさん」
シャマルも微笑み、何回も繰り返してきたことのようにその手をとる。
そして2人は歩き出す。
人が愛と呼ぶ絆と、道の先に見える幾多の死の予感を携えて。
【D-6/病院近辺/1日目/真夜中】
【チーム:Joker&New Joker】
[共通思考]
1:自分達の道を行く。
2:二人で優勝する。
3:お互いを助け、支えあう。
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に中ダメージ、脇腹・額に傷跡(ほぼ完治・微かな痛み)、左肩に裂傷
[装備]:大鉈@現実、短剣×2
[道具]:支給品一式、モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと4秒連射可能、ロケット弾は一発)、
S&W M38(弾数1/5)、S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数0/6)、短剣×9本、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:シャマルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝する。
0:一度病院を離れる。
1: シャマルと共に進む。できる限りシャマルの望みを助ける。
2:道がぶつからない限りシャマルを守り抜く。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
4:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
5:機動六課のニンゲンを保護する。
※二アが参加している事に気づきました。
※機動六課メンバーについて正しく認識し直しました。
※なのは世界の魔法について簡単に理解しました。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
※本来は覚醒しないはずの螺旋力が覚醒しました。他参加者の覚醒とは様々な部分で異なる可能性があります。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。螺旋王への感情が変化している可能性があります。
※自身の螺旋力に関しては半信半疑です。
※螺旋力覚醒
【[備考]
螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、強い決意
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実 、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×3(地図一枚損失)、ワルサーWA2000用箱型弾倉x3、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
暗視スコープ、首輪(クロ)、単眼鏡、マース・ヒューズの肉片サンプル、シアン化ナトリウム
[思考]
基本1:守護騎士でもない、機動六課でもない、ただのシャマルとして生きる道を探す
基本2:1のための道が分かるまで、ヴィラルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝することを目指す。
0:病院から離れ、どこか落ち着ける場所でヴィラルの治療を行う。
1:ヴィラルと共に進む。 ヴィラルがヴィラルらしく行動できるよう支える。
2:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
3:優勝した後に螺旋王を殺す?
4:他者を殺害する決意はある。しかし――――。
5:どこかでヴィラルを治療する。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。また、宝具という名称を知りません。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。必ずしも他者を殺す必要がない可能性に思うことがあるようですが、優先順位はヴィラルが勝っています。
※自身の螺旋力に関しては半信半疑です。
※螺旋力覚醒
*時系列順で読む
Back:[[愛と死の予感(後編)]] Next:[[ファイアスターター]]
*投下順で読む
Back:[[愛と死の予感(後編)]] Next:[[どうでもよくなった理由]]
|228:[[刻無―キズナ― 零]]|ヴィラル|243:[[リ フ レ イ ン]]|
|228:[[刻無―キズナ― 零]]|シャマル|243:[[リ フ レ イ ン]]|
**愛と死の予感・Before ◆DNdG5hiFT6
* * *
――Dボゥイたちが病院を訪れる、ほんの数分前まで時を遡る。
清麿を逃がしたヴィラルとシャマルは休憩を取るためにある部屋に入った。
その部屋を選んだのは偶然だったがコンロにベッド、
更には風呂など今後の拠点として考えた場合申し分ない設備が揃っていたのだ。
ただ気になるのはこの部屋に入ってからのシャマルの態度だ。
シャマルは顔を赤くしたままベッドの上で俯いている。
何処と無く緊張しているように見えるのはヴィラルの気のせいだろうか?
「なぁシャマル、この部屋は何のための部屋なのだ?
他の部屋と何か設備が違うようだが……
俺の知る医療機関にはこのような部屋は見当たらなかったからな」
「そ、その……妊婦用の……部屋……」
「ニンプ? 何だそれは」
「その……赤ちゃんを生む前の女の人の、こと……」
アカチャン……ああ、赤子のことか。
獣人はクローン培養されるが人間の増える方法についての知識は一応持っている。
ああ、そういえばニンゲンに近い身体にされたというのなら、生殖も可能かもしれな――
「あ――」
獣人は子供を作れないが、“そういうこと”をしないわけではない。
むしろ子供を作れないが故に、そちらに重点を置く傾向があるとも聞く。
その思考は本能に後押しされて、ベッドの上に座るシャマルの身体へと向けられる。
まず豊かな双丘へと注がれた視線は徐々に下に降りる。
たおやかな腰つき、そして破れたストッキングから覗く白い足を経て、
ベッドに沈み込む足先まで到達した時、ヴィラルは自分が生唾を飲み込む音を聞いた。
そのあまりにも直截な視線を受けたシャマルは目を伏せ、スカートのすそをぎゅっと握り締める。
頬の赤みは一層強まり、どうしようもないぐらいに緊張しているのが伝わってくる。
だがその態度は一つの事実を告げている。
――即ち、シャマルは緊張こそすれ、拒否はしてないのだと。
そのことを理解した瞬間、心臓の鼓動が加速する。
血液の回転数は限界をとうに超え、鼓動だけでバラバラになってしまいそうだ。
「あの……ヴィラルさん、私――」
「あ、あたりを見回ってくる! お前はここでゆっくりしていろ!」
そのまま風よりも速く、部屋を飛び出す。
正直、行き先は何処でも良かった。
あの場所にいたらまずい。何がまずいかは説明できないがとにかく色々とまずい!
「ぬぅうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
叫びながら全速力で廊下を駆け抜ける。
廊下に貼られた『他人の迷惑になる行為はやめましょう』というポスターが空しくはためいた。
……どれだけの間そうしていただろう。
気付けば体力を使い果たし、ある部屋の前で膝を突いていた。
何の気なしにドアに貼り付けられたネームプレートを読む。
「“レイアンシツ”……?」
読めはするがその名が持つ意味は良くわからない。
だが扉の向こうから立ち上る死の匂いを感じ取り、ヴィラルは警戒しながら足を踏み入れる。
しかしその名の持つ意味は程なくして理解できた。
そこに安置されていたのは無残な少年少女の亡骸だったからだ。
“レイアンシツ”には3つの亡骸があった。
向かって左から焼け焦げた義手の少年、半身が焼け爛れた少年、全身を切り裂かれた少女の順に冷たい鉄のベッドの上に安置されている。
その中で彼の目を引いたのは中央に安置されている半身を焼かれた少年の姿だった。
焼け残った半身に残された服の意匠は、シャマルの着ているものと同一。
つまりこの赤毛の少年が“キドウロッカのエリオ・モンディアル”なのだろう。
無残な死体だ。幾多の戦場を潜り抜けてきたヴィラルでさえそう思う。
かつての仲間であったシャマルがこの亡骸を見れば深く嘆き悲しむだろう。
その姿を想像しただけで、ヴィラルの胸は酷く痛みを訴える。
――だったらいっそ会わせなければ良い、か。
無理やりにでも理由をつけ、ここを出よう。ヴィラルはそう決意する。
「本来ならば手厚く葬るのが礼儀だが……すまんが、ここに置いていく」
自然と漏れる呟き……
と、そこでヴィラルは少年の遺骸に哀れみの感情を抱いている自分に気付き、自嘲する。
現金なものだ。
ニンゲンなど数え切れぬほど殺してきたというのに、シャマルの知り合いだというだけでこうも認識が変わるものなのか。
「……共に行く限りシャマルは俺が守ってみせる。だから安らかに眠るがいい、戦士エリオよ」
小さな戦士に僅かな黙祷をささげ、誓う。
そして踵を返し、シャマルの待つ部屋へと向かう。
だがヴィラルはその途中でまだ新鮮な血の臭いを嗅ぎつけた。
ディパックから大鉈を取り出し、警戒しつつその場所に近寄る。
血の海の中心にあったのは頭と手のない男の死体だった。
その死体の惨さに顔をしかめるヴィラル。
だがその時、ヴィラルの鋭敏な知覚は自分の背後に回りこむ何者かの存在を嗅ぎ取った。
「誰だッ!」
振り向くがそこには誰もいない。そこに広がるのはただの闇。
だが獣の鼻は咽返るような血の臭いの中から蟲の臭いを嗅ぎ取り、耳は這いずり回る小さな足音を聞き取っていた。
その瞬間、脳裏をよぎったイメージは蜘蛛の巣の近くを飛び交う蝶の姿。
蜘蛛の巣はここ病院、蝶は自分、そしてシャマル。
そしてヴィラルは即断する。一刻も早くここを発つ、と。
昔の自分ならば敵に背を向け逃げ出すことを良しとしなかったに違いない。
だが、それを秤にかけても大事なものが今の自分にはある。
周囲を警戒したまま、シャマルの待つ部屋まで急いで戻る。
「シャマル、俺だ。入るぞ」
襲撃を避けるため、明かりはつけていない。
その暗闇の中、部屋の中央に座っていたシャマルはこちらの姿を認め、笑みを浮かべる。
「あ……おかえりなさい、ヴィラルさん」
汚れを落とすためにシャワーを浴びたのだろう。
わずかに入り込む月明かりが、艶のある美しい金髪を輝かせている。
ヴィラルの優れた嗅覚は、風呂上りの甘い匂いをこれでもかというほどに感じ取る。
春先の花のような香りに眩暈がするが、頭を振って欲望を振り払い、真剣な目でシャマルを見据える。
「シャマル……一度ここを出るぞ」
「え、でも傷の治療が……」
「この病院内には“何か”がいる。
だから一度退く。必要ならもう一度……放送が終わった後にでも帰ってこよう」
この戦場に集められたのは人間だけではない。皮肉にも今のパートナーがそれを証明している。
それがどんな能力を持っているかなど、わかったものではない。
ここはまずここは一度退いて様子を見るのが得策だろう。
薬品などが先程のニンゲンにすべて持ち去られているのならば、治療はどこでやっても同じことだ。
そう、ヴィラルは結論付けた。
「すまんな……曖昧な根拠でお前の厚意を無駄にするかもしれん」
「いえ、私はヴィラルさんを信じます」
実のところ、それだけではないのではないかとシャマルは感づいていた。
彼は何がなくともここを離れたかったのではないか
――例えば、機動六課の誰かの亡骸を見つけたとか。
しかしシャマルそのことを指摘しない。
指摘すれば彼が困ってしまうから。たった、それだけの理由で。
彼とかつての仲間を秤にかけて、彼を取ったのだ。
酷い女だと思う。でもそれでも構わないと思う、少なくとも今は。
「そうか……では、行くかシャマル」
立ち上がったヴィラルはまるで何回も繰り返してきたことのように自然に手を差し伸べる。
「はい、ヴィラルさん」
シャマルも微笑み、何回も繰り返してきたことのようにその手をとる。
そして2人は歩き出す。
人が愛と呼ぶ絆と、道の先に見える幾多の死の予感を携えて。
【D-6/病院近辺/1日目/真夜中】
【チーム:Joker&New Joker】
[共通思考]
1:自分達の道を行く。
2:二人で優勝する。
3:お互いを助け、支えあう。
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に中ダメージ、脇腹・額に傷跡(ほぼ完治・微かな痛み)、左肩に裂傷
[装備]:大鉈@現実、短剣×2
[道具]:支給品一式、モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと4秒連射可能、ロケット弾は一発)
S&W M38(弾数1/5)、S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数0/6)、短剣×9本、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)
アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:シャマルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝する。
0:一度病院を離れる。
1: シャマルと共に進む。できる限りシャマルの望みを助ける。
2:道がぶつからない限りシャマルを守り抜く。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
4:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
5:機動六課のニンゲンを保護する。
※二アが参加している事に気づきました。
※機動六課メンバーについて正しく認識し直しました。
※なのは世界の魔法について簡単に理解しました。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
※本来は覚醒しないはずの螺旋力が覚醒しました。他参加者の覚醒とは様々な部分で異なる可能性があります。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。螺旋王への感情が変化している可能性があります。
※自身の螺旋力に関しては半信半疑です。
※螺旋力覚醒
【[備考]
螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、強い決意
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実 、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×3(地図一枚損失)、ワルサーWA2000用箱型弾倉x3、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!
魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!、暗視スコープ、首輪(クロ)、単眼鏡、マース・ヒューズの肉片サンプル、シアン化ナトリウム
[思考]
基本1:守護騎士でもない、機動六課でもない、ただのシャマルとして生きる道を探す
基本2:1のための道が分かるまで、ヴィラルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝することを目指す。
0:病院から離れ、どこか落ち着ける場所でヴィラルの治療を行う。
1:ヴィラルと共に進む。 ヴィラルがヴィラルらしく行動できるよう支える。
2:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
3:優勝した後に螺旋王を殺す?
4:他者を殺害する決意はある。しかし――――
5:どこかでヴィラルを治療する。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。また、宝具という名称を知りません。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。必ずしも他者を殺す必要がない可能性に思うことがあるようですが、優先順位はヴィラルが勝っています。
※自身の螺旋力に関しては半信半疑です。
※螺旋力覚醒
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