「探し人同盟」(2022/06/19 (日) 17:54:42) の最新版変更点
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**探し人同盟 ◆h8mvk8rUsY
モノレールの駅のベンチに人影が一つ。その美しい銀髪が風によってなびいていた。
「どういう事なのよ、もう…」
白い雪のような少女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは考えを巡らせていた。
あのラセンオウとかいう奴は私達に殺し合いをさせると言っていた。
しかも勝ち残れば願いを叶えるとも。人数や環境こそ違うが、かつて私が参加した聖杯戦争と同じような状況だ。
だが私はこんな殺し合いに乗るつもりはない。アインツベルンの悲願はあくまでも聖杯を手に入れる事であって願いを叶える事ではないからだ。よって乗る必要もない。
それでも、この戦いに乗る人間は他にいるだろう。生き残る為には戦わなければならないかもしれない。例え寿命が短かろうと私が殺されればシロウは怒り、そして悲しむと思うから。
「でも私1人じゃちょっときついかな…」
今の私は聖杯戦争当時のような有利な状態じゃない。
確かに私自身優れた魔術師ではある。しかしあのラセンオウに向かっていき、命を落とした男のような驚異的な戦闘力を持っている訳ではない。そして何より聖杯戦争を共に戦い、全幅の信頼を置いていた、あの鉛色の巨人はもはやいないのだから。
「はぁ~…シロウが近くにいればいいんだけど」
シロウは今何処にいるのだろう。ここに転移される前は確かに隣にいた。凄い形相でラセンオウを睨んでいたのを覚えている。この状況だとやはりシロウを見つける事が最優先事項だろう。今一番信用出来るのは自分の兄であり弟でもある赤毛の青年、エミヤシロウだ。
「うん、まずはシロウ探そ。後の事はシロウを見つけてから一緒に考えればいいもんね」
ようやく行動の指針を纏め上げ、座っていたベンチから勢いよく立ち上がり荷物を手に取る。
「さて、シロウを探すにしてもまずは私がいる場所とシロウが行きそうな場所、何より支給品の確認をしとかないとね。私が扱える物があればいいんだけど」
ごそごそと中身を探るとチクリとした痛みが指先に走った。
「あいた!」
慌てて手を出すと少し血が出ている。今度は気を付けて手を突っ込み、恐る恐るそれを取り出してみると何かの欠片のようだった。
「何だろう?少し魔力を感じるけど…鏡…の欠片かな」
微弱な魔力は感じたが使える程ではないので再び中に戻し、今度は違う物を取り出す。
次に出てきたのはゴツい一振りの剣だった。先程の欠片とは違い、それなりに大きな魔力を感じる。
しかし自分が振り回すにはいかんせん大きすぎた。その上妙な術式が付与されているのも見てとれる。
(変わった魔術礼装ね。こんな術式見たことないわ。どんな効果なのかしら)
と調べている最中
「やぁ、そこのお嬢さん。こんな所に一人で大丈夫かい?」
唐突に声を掛けられ、咄嗟にその剣を握り後ろを振り向いた。が
「……誰?」
そこには割と珍妙な格好をした金髪の男が立っていた。しかもアゴが割れている。それなりに濃い顔つきだ。
「オイオイ、私が誰かって?絶世の男男子、イタリアの俳優…パルコ・フォルゴレさ!!知らないかい?」
「ふ~ん…知らないわ」
ビシリ!
フォルゴレはショックを受けたのか一瞬硬直した。だがすぐ立ち直ったようで
「それは残念。これから覚えていてくれると嬉しいね」
などと言ってきた。変な奴だが悪い人間にはまず見えない。だがひとまずは警戒を解かずに接する事にしよう。
「それで私に何の用なの?私を殺すつもりなら止めた方がいいわ。こう見えても私強いんだから。この殺し合いに乗るつもりはないけど襲われたら容赦しない。シロウに会うまで殺される訳にはいかないんだから」
これはハッタリだ。今の状態と持ち物じゃ武器次第で一般人にも殺されるかもしれない。
「いやいやいや!私もこんな戦いには乗っていないよ?地図を見たら近くにモノレールがあったから使おうと思ってね。そしてここに来たらお嬢さんがいたのさ。一人じゃ危ないかもって声を掛けたんだけど…アハ、アハハハハ」
するとフォルゴレという男は焦り始めた。今のデマカセを信じたらしい。この様子だと強力な力を持っているわけでもなさそうだ。この分だと警戒は解いてもいいかもしれない。
「わ、私は知り合いを探しているんだ。高嶺清麿とガッシュ・ベルという名前なんだが」
それにしても…
「そういえばお嬢さんも誰かを探してるみたいだね。確かシロウに会うまで…と言ってたし。」
よく喋る男だ。
「おぉそうだ、お互い人探しみたいだし二人で一緒に探さないかい?その方が殺し合いに乗ってる人にも襲われにくいだろうし」
なるほど。要約するとこのフォルゴレという男は私と二人で行動したいようだ。確かにフォルゴレの言う通り一人で行動するのはあまり得策じゃない。ならば答は一つか。
「…いいわ、一緒に探しましょう。私の名前はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。シロウを見つけるまでよろしくね」
するとホッとした様にフォルゴレは笑い、
「そ、そうか!ではよろしくな、お嬢さん。なに安心したまえ。いざという時はこの鉄のフォルゴレが体を張って君を守るさ!」
などと宣った。ジッと観察して一言述べてみる。
「…震える足で言ってもあまり説得力ないわよ?」
「そ、そんな事はない!私は無敵のフォルゴレだぜ?」
こう言いつつも実はフォルゴレ、内心ビクビクである。
(こ、怖かった。声を掛けたらいきなり剣を向けられるんだからな。王を決める戦いよりもとんでもない事に巻き込まれてしまった…)
これから先を考えると途方に暮れそうなので、まずはイリヤスフィールに頼み事を伝えておくとしよう。
「一つ頼みがあるんだが聞いてくれないか?」
「え、何?」
「私に何かあったらこういう歌を歌ってくれないか?…~♪」
「え~」
かくして他愛ない会話を行いながら二人は互いの探し人を見つける為に共にモノレールを待つのだった。
【D-1/モノレールの駅ホーム/1日目-深夜】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル
[道具]:支給品一式、未確認支給品×1、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル
[思考]:シロウ何処かな?
行動方針:シロウに会うまで絶対生き残る
[備考]:魔鏡の欠片は3つ揃わないと意味がありません。残りも支給品として配布されている可能性があります。
お互いの探し人の情報を交換しました。
フォルゴレの歌を教えてもらいました。
【D-1/モノレールの駅ホーム/1日目-深夜】
【パルコ・フォルゴレ@金色のガッシュベル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品×3(本人確認済)
[思考]:殺し合いは恐いがイリヤスフィールを守る
行動方針:清麿とガッシュを探す
[備考]:お互いの探し人の情報を交換しました。
*時系列順で読む
Back:[[紙は舞い降りた]] Next:[[両雄思案――そして激突]]
*投下順で読む
Back:[[紙は舞い降りた]] Next:[[両雄思案――そして激突]]
|パルコ・フォルゴレ|046:[[響け!フォルゴレの歌!]]|
|イリヤスフィール・フォン・アインツベルン|046:[[響け!フォルゴレの歌!]]|
**探し人同盟 ◆h8mvk8rUsY
モノレールの駅のベンチに人影が一つ。その美しい銀髪が風によってなびいていた。
「どういう事なのよ、もう…」
白い雪のような少女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは考えを巡らせていた。
あのラセンオウとかいう奴は私達に殺し合いをさせると言っていた。
しかも勝ち残れば願いを叶えるとも。人数や環境こそ違うが、かつて私が参加した聖杯戦争と同じような状況だ。
だが私はこんな殺し合いに乗るつもりはない。アインツベルンの悲願はあくまでも聖杯を手に入れる事であって願いを叶える事ではないからだ。よって乗る必要もない。
それでも、この戦いに乗る人間は他にいるだろう。生き残る為には戦わなければならないかもしれない。例え寿命が短かろうと私が殺されればシロウは怒り、そして悲しむと思うから。
「でも私1人じゃちょっときついかな…」
今の私は聖杯戦争当時のような有利な状態じゃない。
確かに私自身優れた魔術師ではある。しかしあのラセンオウに向かっていき、命を落とした男のような驚異的な戦闘力を持っている訳ではない。
そして何より聖杯戦争を共に戦い、全幅の信頼を置いていた、あの鉛色の巨人はもはやいないのだから。
「はぁ~…シロウが近くにいればいいんだけど」
シロウは今何処にいるのだろう。ここに転移される前は確かに隣にいた。凄い形相でラセンオウを睨んでいたのを覚えている。
この状況だとやはりシロウを見つける事が最優先事項だろう。今一番信用出来るのは自分の兄であり弟でもある赤毛の青年、エミヤシロウだ。
「うん、まずはシロウ探そ。後の事はシロウを見つけてから一緒に考えればいいもんね」
ようやく行動の指針を纏め上げ、座っていたベンチから勢いよく立ち上がり荷物を手に取る。
「さて、シロウを探すにしてもまずは私がいる場所とシロウが行きそうな場所、何より支給品の確認をしとかないとね。私が扱える物があればいいんだけど」
ごそごそと中身を探るとチクリとした痛みが指先に走った。
「あいた!」
慌てて手を出すと少し血が出ている。今度は気を付けて手を突っ込み、恐る恐るそれを取り出してみると何かの欠片のようだった。
「何だろう?少し魔力を感じるけど…鏡…の欠片かな」
微弱な魔力は感じたが使える程ではないので再び中に戻し、今度は違う物を取り出す。
次に出てきたのはゴツい一振りの剣だった。先程の欠片とは違い、それなりに大きな魔力を感じる。
しかし自分が振り回すにはいかんせん大きすぎた。その上妙な術式が付与されているのも見てとれる。
(変わった魔術礼装ね。こんな術式見たことないわ。どんな効果なのかしら)
と調べている最中
「やぁ、そこのお嬢さん。こんな所に一人で大丈夫かい?」
唐突に声を掛けられ、咄嗟にその剣を握り後ろを振り向いた。が
「……誰?」
そこには割と珍妙な格好をした金髪の男が立っていた。しかもアゴが割れている。それなりに濃い顔つきだ。
「オイオイ、私が誰かって?絶世の美男子、イタリアの俳優…パルコ・フォルゴレさ!!知らないかい?」
「ふ~ん…知らないわ」
ビシリ!
フォルゴレはショックを受けたのか一瞬硬直した。だがすぐ立ち直ったようで
「それは残念。これから覚えていてくれると嬉しいね」
などと言ってきた。変な奴だが悪い人間にはまず見えない。だがひとまずは警戒を解かずに接する事にしよう。
「それで私に何の用なの?私を殺すつもりなら止めた方がいいわ。こう見えても私強いんだから。
この殺し合いに乗るつもりはないけど襲われたら容赦しない。シロウに会うまで殺される訳にはいかないんだから」
これはハッタリだ。今の状態と持ち物じゃ武器次第で一般人にも殺されるかもしれない。
「いやいやいや!私もこんな戦いには乗っていないよ?地図を見たら近くにモノレールがあったから使おうと思ってね。
そしてここに来たらお嬢さんがいたのさ。一人じゃ危ないかもって声を掛けたんだけど…アハ、アハハハハ」
するとフォルゴレという男は焦り始めた。今のデマカセを信じたらしい。この様子だと強力な力を持っているわけでもなさそうだ。この分だと警戒は解いてもいいかもしれない。
「わ、私は知り合いを探しているんだ。高嶺清麿とガッシュ・ベルという名前なんだが」
それにしても…
「そういえばお嬢さんも誰かを探してるみたいだね。確かシロウに会うまで…と言ってたし。」
よく喋る男だ。
「おぉそうだ、お互い人探しみたいだし二人で一緒に探さないかい?その方が殺し合いに乗ってる人にも襲われにくいだろうし」
なるほど。要約するとこのフォルゴレという男は私と二人で行動したいようだ。確かにフォルゴレの言う通り一人で行動するのはあまり得策じゃない。ならば答は一つか。
「…いいわ、一緒に探しましょう。私の名前はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。シロウを見つけるまでよろしくね」
するとホッとした様にフォルゴレは笑い、
「そ、そうか!ではよろしくな、お嬢さん。なに安心したまえ。いざという時はこの鉄のフォルゴレが体を張って君を守るさ!」
などと宣った。ジッと観察して一言述べてみる。
「…震える足で言ってもあまり説得力ないわよ?」
「そ、そんな事はない!私は無敵のフォルゴレだぜ?」
こう言いつつも実はフォルゴレ、内心ビクビクである。
(こ、怖かった。声を掛けたらいきなり剣を向けられるんだからな。王を決める戦いよりもとんでもない事に巻き込まれてしまった…)
これから先を考えると途方に暮れそうなので、まずはイリヤスフィールに頼み事を伝えておくとしよう。
「一つ頼みがあるんだが聞いてくれないか?」
「え、何?」
「私に何かあったらこういう歌を歌ってくれないか?…~♪」
「え~」
かくして他愛ない会話を行いながら二人は互いの探し人を見つける為に共にモノレールを待つのだった。
【D-1/モノレールの駅ホーム/1日目-深夜】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル
[道具]:支給品一式、未確認支給品×1、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル
[思考]:シロウ何処かな?
行動方針:シロウに会うまで絶対生き残る
[備考]:魔鏡の欠片は3つ揃わないと意味がありません。残りも支給品として配布されている可能性があります。
お互いの探し人の情報を交換しました。
フォルゴレの歌を教えてもらいました。
【D-1/モノレールの駅ホーム/1日目-深夜】
【パルコ・フォルゴレ@金色のガッシュベル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品×3(本人確認済)
[思考]:殺し合いは恐いがイリヤスフィールを守る
行動方針:清麿とガッシュを探す
[備考]:お互いの探し人の情報を交換しました。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|パルコ・フォルゴレ|046:[[響け!フォルゴレの歌!]]|
|イリヤスフィール・フォン・アインツベルン|046:[[響け!フォルゴレの歌!]]|
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