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「魔人 が 生まれた 日」(2022/06/25 (土) 20:05:44) の最新版変更点
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**魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA
「な……これは、一体……!? 」
地図に書かれたラインに分けられているエリアの半分近くを走る高速道路。
そのマスの一つ、【E-3】に枢木スザクは立っていた。
ところどころに黄色をあしらった白いスーツが夜の闇で一際目立つ。
彼の表情は困惑気味だ。
(落ち着け……確か俺は……そうだ。式に呼ばれていて……剣を、渡したんだ)
これまでの経緯を彼は思いだす。
エリア11の副総統、ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士受勲の為の式に出席した自分。
騎士受勲の形式の一環として彼女の御前で跪き、自らの剣を差し出した自分。
なぜか、いつまで経っても物を言わぬユーフェミアに違和感を抱き、顔をあげた自分。
その先に映っていたものが、螺旋王という男と、素性もわからぬ民衆がいる部屋になっていた事に驚く自分。
そして次の瞬間、この高速道路の路上に立たされていた自分……。
(あの男は実験と言っていたが……殺し合いだなんて非現実的すぎる。第一、ここはブリタニアなのか!? )
スザクは急いで自分の身の回り、そしていつの間にか持たされていたバッグを調べる。
持っていた剣はもちろん。およそ自分の物と言える物は全て無くなっていたおり、
バッグの中からは、とても入りきらないと言える程の物品の数々。名簿に記された友人と上司たちの名があった。
(ルルーシュ、カレン、ジェレミア卿、ロイドさん……知っている名は4つ。
その他の名前には……これといってブリタニアに関係しているとは思えない。気になるのは――)
「おーいそこのあんた、高校生か!? 俺の話を聞いてくれ! 」
■ ■ ■
高速道路の壁にもたれながら、2人の男が横並びになっている。
片方の年配の男が吸う煙草の煙が夜の闇と、彼らの上空にある備え付けの高速道路用電灯で一層映える。
男は青年に煙草を勧めるが、青年は自分が未成年であることを理由に、丁重に断った。
「――なるほど。お前さんの知り合いや、その関係、世界は大体わかった。とりあえず全部信じてみよう。
つまりお前さんの世界では、日本という国はあって無いようなもんなのか」
「ええ……7年前の降伏宣言で日本はブリタニア領となった。今ではイレブンと呼ばれています」
「それで最初に俺の出身地を確かめてきたんだな?
まぁ俺もいきなり日本語で話しかけちまったし、そこらヘンはちょっと間抜けだったか。
それにしても……全く違う世界の人間なんて俺には想像がつかん。頭も痛くなってきた。
クルクル君もその年で軍人だしな……知らない親父に突然話しかけられても、全然怯まない度胸は大したもんだ」
バツの悪そうに頭をかきながら、スザクのことを『クルクル』と呼ぶこの男の名は剣持勇。
日本の警視庁刑事部捜査一課の警部であり、設定年齢40代。乙女座のO型。
彼もまた、突然この世界に招かれたことに不安を覚え、高速道路を移動していたのだ。
「いや、剣持さんには申し訳ありませんが、本当はちょっとビックリしてたんですよ。それと僕の名前は枢木(クルルギ)です。
剣持さんが乗ってきたそれ、僕の友人が乗っているタイプと全く同じ『BMCのRR1200』なんです。
僕の知り合いでこれに乗っていた人は皆……いい人ばかりでしたから」
スザクは剣持の隣に駐輪してあるサイドカー付きバイクを指差す。
それはスザクと同じアッシュフォード学園に通学している生徒会書記、リヴァル・カルデモンドの物だった。
スザクはリヴァルとこれのチューニングがきっかけで仲良くなった経緯があり、
またスザク自身にとっても、このバイクには大切な思い出があった。
「ほー……それで自分と同じ世界の人間だと勘違いしたんだな? ハハハすまんクルクル君。
こいつは俺の『支給品』とかいうやつらしい。カバンにメモが入ってたんだ」
「え……!? 」
剣持はバイクをポンポンと叩きながら笑うが、スザクはつられて笑わない。
瞬く間に彼の顔は豹変し、勢いに身を任せて剣持を突き飛ばした。
しかしそれは、いつまでも『クルクル』と呼ぶ剣持に業を煮やしたわけではなかった。
「な……何をするんだクルクルくっ…………な!? 」
「急に……足元に、電灯に……影が出たから…………何者だ………ぐっ」
「フッ、やるな人間。よく気づいたな」
■ ■ ■
「大丈夫かクルクル君ッ! おいてめぇ何者だ! 何てことしやがる! 」
「俺の名か? 人間掃討軍極東方面部隊長……ヴィラル! 」
「人間掃討軍だと!? 」
「2ついいことを教えてやろう。
1つ、地上に出た人間は我われ掃討軍が殲滅する。2つ、お前達は私の獲物だ。大人しく死んでもらう」
後腹部を刺されて息を荒くするスザクを、抱えながら叫ぶ剣持に対して、ヴィラルが動じる様子はない。
どこか人間のようで人間ではない雰囲気を持ち、余裕な態度を見せ付けながら笑う男の歯は、鮫のように独特で、
よく見れば、両手も人の物とは言えぬ形をしていた。
「シャァッ!……ほう」
ヴィラルが右手に持っていた巨大ハサミを剣持たちに刺し向けたが、その刃は一本の刀に弾き返された。
怪我をおして立ち上がった枢木スザクの持っていた、支給品でもある1本の日本刀によって。
スザクは好機とばかりにそのまま踏み込みながら、上段、中段、下段とあらゆる方向から斬りかかる。
「中々やるが所詮素人の剣。訓練された兵士にかなうと思うかァァァァァァ!! 」
だが、ヴィラルも負けじとばかりに巨大ハサミの刃、握り手、指入穴でスザクの剣を受け止める。
その剣舞のような果し合いに、冷えた夜の空気が響という名の合いの手を加える。
紙一重の攻防に、電灯が2人に舞台のスポットライトを当てる。
だが、勝負は意外にもあっさりと決着がついた。
「剣持さんとの会話……聞いてなかったのかい? 僕もこう見えて軍人なんだよ!」
「ふん、その強がりが死を呼……な、なんだとッ!」
スザクの手首による捏ね回しによって、ヴィラルの巨大ハサミが宙に飛ばされ地面に刺さり、彼の顔が青ざめる。
ヴィラルが巨大ハサミを拾おうとした時には既に、首にスザクの刃が当てられていたからだ。
天才という言葉は、彼の為にあるのかもしれない。
剣道を含めた武道全般における技術において、公ではないが、スザクは幼少の頃から比類無きものだと評価されていた。
「ま、まさか……この俺が……剣で一本とられっ!? う、うおおッ!?」
だがヴィラルの災難は終わらない。
スザクからの敗北を受けたと認識する前に、今度は彼の体が宙に飛んでいたからだ。
「どっせぇぇぇぇい! 」
メタボリックに悩まされていそうな中年太り、みっともない無精ひげ、若干の禿頭を備えた男、剣持勇。
ヴィラルは彼の180cmを越える体格から放たれる一本背負いによって、地面に叩きつけられたのだ。
今でこそ面影は見られないが、剣持は高校時代、全日本で16のタイトル取った『鬼』だった。
黒帯5段でもあるその実力は、警察官となった今でも衰えてはいないのである。
「ふー……これで仮は返したぜ。クルクル君、怪我の具合はどうだ、歩けるか? 」
「大丈夫でっぐぅ……!」
「無理をするな。傷は見てみんとわからんが、腰をやられているかもしれんぞ。
このバイクで病院に行こう。君はサイドカーに乗ってくれ。それとこの、『何とか隊長』は……」
「……………………………………………………………………………………」
「……ま、ほっときゃいいだろう。懲らしめてやりたい所だが、今はクルクル君の救助が先だ」
こうしてヴィラルは人間の男たちに剣道、柔道でそれぞれ一本をとられたのだった。
■ ■ ■
バトルロワイアル前日、いつもと変わらぬ螺旋王の部屋に彼はいた。
彼は跪き、目の前にいるカリスマに頭を降ろす。
「螺旋王、お呼びでございますか」
彼はこれまで王の前では一度も出したことの無い疑念のトーンで話しかける。
極東方面を任されている彼が上官の螺旋四天王を介さずにして、
最上級の上官にあたる螺旋王に単独で姿を出すことが、どれだけ異例なことであるか重々承知していたからだ。
螺旋王の口が開く。
「ヴィラル……お前はこの私の為に命を捧げてもらう事となった」
「…………死ねとおっしゃるのならば、甘んじて受けましょう」
「そうではない」
螺旋王の問いかけに、彼は即答する。
螺旋王もまた、彼の返答に即答する。
「ヴィラルよ……私はこれから優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を探す為の実験をしようと考えている。
80名を越える特定の生命体を一同に集め、その中から、最も優秀な一人を選び出す実験だ。
選ばれた被験者たちは自分たちの力で手段を問わず、命を懸けて生きる術を見出すしかない。
いわば生き残りゲームのようなものだ」
「その実験に……私も入っているのですね」
「察しがいいな。お前も彼らと同じ条件の下で、実験を受けてもらう。
どう動くかは好きにしろ。お前の自由だ。お前が最後の1人になれば褒美もやろう」
「なぜです! 私が実験に参加することに異議を唱えるつもりはございません!
しかし! 選ばれた他の生命体は螺旋エネルギーを持っている……それは即ち人間ではありませんか!
獣人である私が実験に参加すれば、最後に生き残るのは奴らより優れた自分であることは明ら――」
「ヴィラルよ! 」
螺旋王の思わぬ咆哮に、彼は絶句する。
しかし、彼はまだ納得をしていなかった。
「大変な失礼を致しました。螺旋王……このヴィラル、実験には喜んで参加させて頂きます」
「気にするな……お前の意見も一理ある。私とて結果のわかりきった実験をするつもりはない。そこでだ。
私はお前の体を『人間に近い状態』に改造しようと思う」
「わ、私が……人間に!? 」
「何も全てを人間と同じ体にするわけではない。それにこの実験の間だけだ」
「この……私が…………に、人間の……体…………」
「人間に近い状態と化した獣人のおまえがどんな実験結果をもたらしてくれるのか、私は期待している。まあそう悲観するな。
その代わり……睡眠による細胞の蘇生システムの制約から『時間』と『場所』という条件を外してやろう。
これでお前は昼夜問わず好きな時間に睡眠を取る事が出来、生命維持ユニットに入る必要はない。
ついでに識字能力も与えてやる。意味は考える必要はない。じきにわかる――」
螺旋王の説明に彼が答えることは無かった。
それほど彼にとって、『人間に近い体』になるという事はショックだった。
獣人である自分より劣っている存在に近づくという先入観が、彼のプライドを傷つけた。
しかし彼は気づいていない。
睡眠に『時間』と『場所』の概念を必要としない事が、人間にとってみれば極々当たり前のことである真実。
螺旋王から持ちかけられた睡眠による蘇生システムの制約解除こそが、人間に近づく事であるという真実。
そして、何より獣人こそが人間よりも劣った存在であるという真実。
こうして、真実を知らぬ彼……人間掃討軍極東方面部隊長ヴィラルはバトルロワイアルに参加した。
やり場の無い苦しみと共に。
「チクショォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!! 」
■ ■ ■
「!? 剣持さん……今、何か聞こえませんでしたか? 」
「ん? いや俺には何も聞こえなかったぞ?
きっと誰かがやり合ってるんだろう……くそ、こんな殺し合い、さっさと止めないととんでもない事になるぞ。
ちゃんとサイドカーに乗ったな? じゃあそろそろバイクを発進させるぜクルクル君! 」
剣持はグリップを握りフルスロットルでバイクを走らせる。
バイクのスピードはぐんぐん上がり、高速道路に相応しい速度まで達しようとしていた。
――――はずだった。
突然バイクは手綱が外れた暴れ馬のように回転し、そのまま高速道路の外壁に衝突した。
剣持は暴走するバイクに振り落とされて道路のアスファルトに打ち付けられ、
スザクには容赦なく衝突によるダメージが襲い掛かった。
スザクは背中の傷を抑えながらもサイドカーから降り、少し離れた位置にいる剣持に声をかける。
しかし、頭を強く打ったのか剣持は完全に気絶していた。
「だめだ……意識が無い! ぐぐ……さっきの衝撃……やっぱりだ。サイドカーのタイヤがパンクしている!
このタイヤの刺さった刃物……どこかで見たような……ハッ! 」
スザクは後ろを振り返る。
彼は後悔する。あの時なぜ無理にでも奴を動けないようにしておかなかったのだと。
彼のバッグだけを回収する事ばかりに気をとられ、地面に刺さった巨大ハサミを引っこ抜かずに放置したことを。
自身の怪我のせいで忘れていたとはいえ、結果よりも過程を重視する彼にとってこの事実は落胆を招いた。
「この俺を傷つけるとはな……本当ならもう1度奇襲してやっても良かった。だが奇襲は奇襲にすぎん。2度目はない」
巨大ハサミの支えを壊し『刃物』を作って、一本をタイヤ目掛けて『投げナイフ』として使い、
もう一本を即興の『ポケットナイフ』として持っているヴィラルがそこに立っていたのだから。
しかしスザクは無理をきかせて再びバッグから日本刀を取り出し、斬りかかる。
ところがヴィラルは難なくこれをかわし、壁蹴りをしてバイクが衝突した高速道路の壁の丁度真上に飛び乗った。
「そのスピードと技術はともかく……貴様の動きはワンパターン、まだまだだな。
さっきの戦いでお前の動きは全部わかったんだよ。最初の一撃は正面から。フェイントは無いって事もな! 」
「よくも剣持さんをッ! 結果ばかりを追い求めて! 他人の痛みが分からないのか!」
「お前にわかるか……? 成りたくもない人間にさせられた気持ちが。
忠誠心と憎しみとの間で、やり場のない感情に苦しめられる俺の気持ちがァァァ!! 」
スザクはヴィラルの叫び声に怯みながらも、ジャンプして彼に斬りかかろうとする。
だが、既に決着はついていた。
「ピッ」
――光、爆音、炎。
爆発に必要な3つの要素が大きく絡み合い、スザクとバイクを飲み込んでいく。
全てはヴィラルの支給品の一つ、『ネオロシアのガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーの小型爆弾』のせいであった。
断っておくが、このバトルロワイアルにアルゴ・ガルスキーは参加していない。
しかし囚人であるアルゴを大人しくさせる為にネオロシアが彼に取り付けたスイッチ式爆弾はこの世界に存在していた。
ヴィラルはスザクと剣持に襲い掛かる前に、自分の支給品を全てチェックしていた。
彼は剣持に一本背負いをかけられた後、気絶したフリをしてチャンスを待っていたのだ。
彼らが、爆弾によって爆死するタイミングを。
最初に爆弾のスイッチを押さずにハサミでバイクをパンクさせたのは、
奇襲を良しとしないヴィラルなりの美学の現れでもあった。
結局、彼のバイクへの一撃は、剣持への奇襲につながってしまった事は言うまでもないのだが。
バイクの衝突した壁の真上に乗ったのも、確実に爆弾の被害をスザクに加えるためであった。
ちなみに、これはヴィラルも知らないことだが……爆弾による被害はバイクの燃料が加わったので更にアップしていた。
ゆえに爆発の威力は彼が想定していた以上の威力を持っており、その威力は高速道路の壁を壊すまでになっていた。
つまり足場を無くしたヴィラルは、高速道路から落ちた。
(……くそ、小型じゃなかったのかよ。これじゃあ……奴が死んだかどうかわからねぇじゃねぇか……。
あいつら……確か……『クルクル』と『ケンモチ』だったか……次こそは……必ず……! )
そして、海に落ちた。
■ ■ ■
(海……に、飛び……こまなくちゃ……火を……消さないと……)
ヴィラルが海に落ちたほぼ同時刻、高速道路上では大きな炎が轟々と燃え盛っていた。
その炎のプレゼントが1人の青年の全身に祝福をするかのように包み込む。
威力が大きくなる炎に対し、彼の命の灯火は消えようとしていた。
(でも…………このまま……じゃ……剣も……ちさんが……)
一体なぜ爆発が起こったのか、彼自身はいまだにわからぬまま。
彼にわかっていることは、このままだと自分が死んでしまうこと。そして、剣持が気絶したまま取り残されてしまうこと。
スザクは自分の持っていた刀を全力で投げ飛ばす。
刀はスザクの狙い通り剣持の余裕のある額に当たり、そのまま剣持から少し離れた場所に転がった。
スザクは剣持がかすかに『うう……』うめき声をあげたのを確認するとそのまま180度振り返った。
(頼みます……起きてくださ……い……剣持……さん! )
剣持が目覚めることを祈りながら、スザクは破壊された壁の穴を目指して這いずる。
ゆっくり、ゆっくりと穴に近づいてゆくスザクだが、そのスピードは遅い。
(……みっともなく……足掻いて……生き延びようと、している…………醜いな、俺は。
ルルーシュ……これ、も、一つ、の……結、果、な……の……か………………………………………? )
結局、枢木スザクは海に落ちることはなかった。
彼の右手は高速道路の穴につかみかかっていたが、
剣持に刀を投げつけた分の体力が彼をゴールにたどり着く余力を奪った。
ブリタニアの騎士、枢木スザク。
人を殺す事を望まずして軍に所属し、イレヴンの為を思うのにブリタニアに属す男。
矛盾を自覚し、そうした葛藤に苛まれ続けた彼の人生は17年という短さでここに終わった。
彼が生み出した過程によって残された者たちの価値は、果たして。
【E-3 高速道路路上 一日目 黎明】
【剣持勇@金田一少年の事件簿】
[状態]:背中強く打撲、頭を強く打った為気絶(目覚める寸前?)
[装備]:スパイクの煙草(マルボロの赤)@カウボーイビバップ。
[道具]:支給品は全て燃えました
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:気絶 (目覚める寸前?)
[備考]
※高遠遙一の存在を知っている時期のどこかから参戦しています。
※スザクの知り合い、その関係について知りました。(一応真実だとして受け止めています)
※スザクの事を『クルクル』と呼んでいたのは「金田一一」に対する「キンダニ」と同義です。
※彼の側には少し燃えているビシャスの日本刀@カウボーイビバップが落ちています。
※E-3の周り8マスに爆音が響き渡りました。
※E-3の高速道路の壁の一部分のエリアが、爆発により破壊されました。ここから海に飛び込めます。
なお、その側には燃えているリヴァル・カルデモンドのBMCのRR1200@コードギアス 反逆のルルーシュがあり、
サイドカー側のタイヤには巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJINGが刺さっています。
※剣持の支給品は煙草とバイクの2つでした。
【E-3 高速道路下の海 一日目 黎明】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:体力消耗、ずぶ濡れ
※螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
③人間に近づく改造が①、②であることに気づいていない。
[要約]
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『何となく人間っぽくなった』としか認識してない。
[装備]:巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING
[道具]:全て燃えてなくなりました。
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:とりあえず海から脱出する?
2:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
3:人間になったことへのやり場のない怒り。
[備考]
※アニメ第3話のカミナ達と一戦交える日の前日の夜からの参戦です。つまりシモン達を知りません。
※枢木スザクを『クルクル』という名前だと勘違いしています。
※剣持とスザクがどうなったのかを知りません。
※ヴィラルのランダムアイテムは巨大ハサミとアルゴ・ガルスキーの小型爆弾@機動武闘伝Gガンダムの2つでした。
※巨大ハサミ@王ドロボウJINGの出展は本編第13話、ザザの仮面舞踏会編です。
※枢木スザクの支給品は全て燃えてしまいましたが
ランダムアイテムはビシャスの日本刀@カウボーイビバップの他に1~2つある可能性もあります。
バイクの火事にあっても無事なランダムアイテムがあるかもしれません。
&color(red){【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】}
*時系列順で読む
Back:[[番外バトルってレベルじゃねーぞ!!]] Next:[[ディシプリン・コンチェルト]]
*投下順で読む
Back:[[復活のマオ]] Next:[[勇気の意味を知りたくて]]
|剣持勇|053:[[瀬戸の文鎮]]|
|ヴィラル|047:[[夜に起きてれば偉いのか?]]|
|&color(red){枢木スザク}||
**魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA
「な……これは、一体……!? 」
地図に書かれたラインに分けられているエリアの半分近くを走る高速道路。
そのマスの一つ、【E-3】に枢木スザクは立っていた。
ところどころに黄色をあしらった白いスーツが夜の闇で一際目立つ。
彼の表情は困惑気味だ。
(落ち着け……確か俺は……そうだ。式に呼ばれていて……剣を、渡したんだ)
これまでの経緯を彼は思いだす。
エリア11の副総統、ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士受勲の為の式に出席した自分。
騎士受勲の形式の一環として彼女の御前で跪き、自らの剣を差し出した自分。
なぜか、いつまで経っても物を言わぬユーフェミアに違和感を抱き、顔をあげた自分。
その先に映っていたものが、螺旋王という男と、素性もわからぬ民衆がいる部屋になっていた事に驚く自分。
そして次の瞬間、この高速道路の路上に立たされていた自分……。
(あの男は実験と言っていたが……殺し合いだなんて非現実的すぎる。第一、ここはブリタニアなのか!? )
スザクは急いで自分の身の回り、そしていつの間にか持たされていたバッグを調べる。
持っていた剣はもちろん。およそ自分の物と言える物は全て無くなっていたおり、
バッグの中からは、とても入りきらないと言える程の物品の数々。名簿に記された友人と上司たちの名があった。
(ルルーシュ、カレン、ジェレミア卿、ロイドさん……知っている名は4つ。
その他の名前には……これといってブリタニアに関係しているとは思えない。気になるのは――)
「おーいそこのあんた、高校生か!? 俺の話を聞いてくれ! 」
■ ■ ■
高速道路の壁にもたれながら、2人の男が横並びになっている。
片方の年配の男が吸う煙草の煙が夜の闇と、彼らの上空にある備え付けの高速道路用電灯で一層映える。
男は青年に煙草を勧めるが、青年は自分が未成年であることを理由に、丁重に断った。
「――なるほど。お前さんの知り合いや、その関係、世界は大体わかった。とりあえず全部信じてみよう。
つまりお前さんの世界では、日本という国はあって無いようなもんなのか」
「ええ……7年前の降伏宣言で日本はブリタニア領となった。今ではイレブンと呼ばれています」
「それで最初に俺の出身地を確かめてきたんだな?
まぁ俺もいきなり日本語で話しかけちまったし、そこらヘンはちょっと間抜けだったか。
それにしても……全く違う世界の人間なんて俺には想像がつかん。頭も痛くなってきた。
クルクル君もその年で軍人だしな……知らない親父に突然話しかけられても、全然怯まない度胸は大したもんだ」
バツの悪そうに頭をかきながら、スザクのことを『クルクル』と呼ぶこの男の名は剣持勇。
日本の警視庁刑事部捜査一課の警部であり、設定年齢40代。乙女座のO型。
彼もまた、突然この世界に招かれたことに不安を覚え、高速道路を移動していたのだ。
「いや、剣持さんには申し訳ありませんが、本当はちょっとビックリしてたんですよ。それと僕の名前は枢木(クルルギ)です。
剣持さんが乗ってきたそれ、僕の友人が乗っているタイプと全く同じ『BMCのRR1200』なんです。
僕の知り合いでこれに乗っていた人は皆……いい人ばかりでしたから」
スザクは剣持の隣に駐輪してあるサイドカー付きバイクを指差す。
それはスザクと同じアッシュフォード学園に通学している生徒会書記、リヴァル・カルデモンドの物だった。
スザクはリヴァルとこれのチューニングがきっかけで仲良くなった経緯があり、
またスザク自身にとっても、このバイクには大切な思い出があった。
「ほー……それで自分と同じ世界の人間だと勘違いしたんだな? ハハハすまんクルクル君。
こいつは俺の『支給品』とかいうやつらしい。カバンにメモが入ってたんだ」
「え……!? 」
剣持はバイクをポンポンと叩きながら笑うが、スザクはつられて笑わない。
瞬く間に彼の顔は豹変し、勢いに身を任せて剣持を突き飛ばした。
しかしそれは、いつまでも『クルクル』と呼ぶ剣持に業を煮やしたわけではなかった。
「な……何をするんだクルクルくっ…………な!? 」
「急に……足元に、電灯に……影が出たから…………何者だ………ぐっ」
「フッ、やるな人間。よく気づいたな」
■ ■ ■
「大丈夫かクルクル君ッ! おいてめぇ何者だ! 何てことしやがる! 」
「俺の名か? 人間掃討軍極東方面部隊長……ヴィラル! 」
「人間掃討軍だと!? 」
「2ついいことを教えてやろう。
1つ、地上に出た人間は我われ掃討軍が殲滅する。2つ、お前達は俺の獲物だ。大人しく死んでもらう」
後腹部を刺されて息を荒くするスザクを、抱えながら叫ぶ剣持に対して、ヴィラルが動じる様子はない。
どこか人間のようで人間ではない雰囲気を持ち、余裕な態度を見せ付けながら笑う男の歯は、鮫のように独特で、
よく見れば、両手も人の物とは言えぬ形をしていた。
「シャァッ!……ほう」
ヴィラルが右手に持っていた巨大ハサミを剣持たちに刺し向けたが、その刃は一本の刀に弾き返された。
怪我をおして立ち上がった枢木スザクの持っていた、支給品でもある1本の日本刀によって。
スザクは好機とばかりにそのまま踏み込みながら、上段、中段、下段とあらゆる方向から斬りかかる。
「中々やるが所詮素人の剣。訓練された兵士にかなうと思うかァァァァァァ!! 」
だが、ヴィラルも負けじとばかりに巨大ハサミの刃、握り手、指入穴でスザクの剣を受け止める。
その剣舞のような果し合いに、冷えた夜の空気が響という名の合いの手を加える。
紙一重の攻防に、電灯が2人に舞台のスポットライトを当てる。
だが、勝負は意外にもあっさりと決着がついた。
「剣持さんとの会話……聞いてなかったのかい? 僕もこう見えて軍人なんだよ!」
「ふん、その強がりが死を呼……な、なんだとッ!」
スザクの手首による捏ね回しによって、ヴィラルの巨大ハサミが宙に飛ばされ地面に刺さり、彼の顔が青ざめる。
ヴィラルが巨大ハサミを拾おうとした時には既に、首にスザクの刃が当てられていたからだ。
天才という言葉は、彼の為にあるのかもしれない。
剣道を含めた武道全般における技術において、公ではないが、スザクは幼少の頃から比類無きものだと評価されていた。
「ま、まさか……この俺が……剣で一本とられっ!? う、うおおッ!?」
だがヴィラルの災難は終わらない。
スザクからの敗北を受けたと認識する前に、今度は彼の体が宙に飛んでいたからだ。
「どっせぇぇぇぇい! 」
メタボリックに悩まされていそうな中年太り、みっともない無精ひげ、若干の禿頭を備えた男、剣持勇。
ヴィラルは彼の180cmを越える体格から放たれる一本背負いによって、地面に叩きつけられたのだ。
今でこそ面影は見られないが、剣持は高校時代、全日本で16のタイトルを取った『鬼』だった。
黒帯5段でもあるその実力は、警察官となった今でも衰えてはいないのである。
「ふー……これで仮は返したぜ。クルクル君、怪我の具合はどうだ、歩けるか? 」
「大丈夫でっぐぅ……!」
「無理をするな。傷は見てみんとわからんが、腰をやられているかもしれんぞ。
このバイクで病院に行こう。君はサイドカーに乗ってくれ。それとこの、『何とか隊長』は……」
「……………………………………………………………………………………」
「……ま、ほっときゃいいだろう。懲らしめてやりたい所だが、今はクルクル君の治療が先だ」
こうしてヴィラルは人間の男たちに剣道、柔道でそれぞれ一本をとられたのだった。
■ ■ ■
バトルロワイアル前日、いつもと変わらぬ螺旋王の部屋に彼はいた。
彼は跪き、目の前にいるカリスマに頭を降ろす。
「螺旋王、お呼びでございますか」
彼はこれまで王の前では一度も出したことの無い疑念のトーンで話しかける。
極東方面を任されている彼が上官の螺旋四天王を介さずにして、
最上級の上官にあたる螺旋王に単独で姿を出すことが、どれだけ異例なことであるか重々承知していたからだ。
螺旋王の口が開く。
「ヴィラル……お前はこの私の為に命を捧げてもらう事となった」
「…………死ねとおっしゃるのならば、甘んじて受けましょう」
「そうではない」
螺旋王の問いかけに、彼は即答する。
螺旋王もまた、彼の返答に即答する。
「ヴィラルよ……私はこれから優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を探す為の実験をしようと考えている。
80名を越える特定の生命体を一同に集め、その中から、最も優秀な一人を選び出す実験だ。
選ばれた被験者たちは自分たちの力で手段を問わず、命を懸けて生きる術を見出すしかない。
いわば生き残りゲームのようなものだ」
「その実験に……私も入っているのですね」
「察しがいいな。お前も彼らと同じ条件の下で、実験を受けてもらう。
どう動くかは好きにしろ。お前の自由だ。お前が最後の1人になれば褒美もやろう」
「なぜです! 私が実験に参加することに異議を唱えるつもりはございません!
しかし! 選ばれた他の生命体は螺旋エネルギーを持っている……それは即ち人間ではありませんか!
獣人である私が実験に参加すれば、最後に生き残るのは奴らより優れた自分であることは明ら――」
「ヴィラルよ! 」
螺旋王の思わぬ咆哮に、彼は絶句する。
しかし、彼はまだ納得をしていなかった。
「大変な失礼を致しました。螺旋王……このヴィラル、実験には喜んで参加させて頂きます」
「気にするな……お前の意見も一理ある。私とて結果のわかりきった実験をするつもりはない。そこでだ。
私はお前の体を『人間に近い状態』に改造しようと思う」
「わ、私が……人間に!? 」
「何も全てを人間と同じ体にするわけではない。それにこの実験の間だけだ」
「この……私が…………に、人間の……体…………」
「人間に近い状態と化した獣人のおまえがどんな実験結果をもたらしてくれるのか、私は期待している。まあそう悲観するな。
その代わり……睡眠による細胞の蘇生システムの制約から『時間』と『場所』という条件を外してやろう。
これでお前は昼夜問わず好きな時間に睡眠を取る事が出来、生命維持ユニットに入る必要はない。
ついでに識字能力も与えてやる。意味は考える必要はない。じきにわかる――」
螺旋王の説明に彼が答えることは無かった。
それほど彼にとって、『人間に近い体』になるという事はショックだった。
獣人である自分より劣っている存在に近づくという先入観が、彼のプライドを傷つけた。
しかし彼は気づいていない。
睡眠に『時間』と『場所』の概念を必要としない事が、人間にとってみれば極々当たり前のことである真実。
螺旋王から持ちかけられた睡眠による蘇生システムの制約解除こそが、人間に近づく事であるという真実。
そして、何より獣人こそが人間よりも劣った存在であるという真実。
こうして、真実を知らぬ彼……人間掃討軍極東方面部隊長ヴィラルはバトルロワイアルに参加した。
やり場の無い苦しみと共に。
「チクショォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!! 」
■ ■ ■
「!? 剣持さん……今、何か聞こえませんでしたか? 」
「ん? いや俺には何も聞こえなかったぞ?
きっと誰かがやり合ってるんだろう……くそ、こんな殺し合い、さっさと止めないととんでもない事になるぞ。
ちゃんとサイドカーに乗ったな? じゃあそろそろバイクを発進させるぜクルクル君! 」
剣持はグリップを握りフルスロットルでバイクを走らせる。
バイクのスピードはぐんぐん上がり、高速道路に相応しい速度まで達しようとしていた。
――――はずだった。
突然バイクは手綱が外れた暴れ馬のように回転し、そのまま高速道路の外壁に衝突した。
剣持は暴走するバイクに振り落とされて道路のアスファルトに打ち付けられ、
スザクには容赦なく衝突によるダメージが襲い掛かった。
スザクは背中の傷を押さえながらもサイドカーから降り、少し離れた位置にいる剣持に声をかける。
しかし、頭を強く打ったのか剣持は完全に気絶していた。
「だめだ……意識が無い! ぐぐ……さっきの衝撃……やっぱりだ。サイドカーのタイヤがパンクしている!
このタイヤの刺さった刃物……どこかで見たような……ハッ! 」
スザクは後ろを振り返る。
彼は後悔する。あの時なぜ無理にでも奴を動けないようにしておかなかったのだと。
彼のバッグだけを回収する事ばかりに気をとられ、地面に刺さった巨大ハサミを引っこ抜かずに放置したことを。
自身の怪我のせいで忘れていたとはいえ、結果よりも過程を重視する彼にとってこの事実は落胆を招いた。
「この俺を傷つけるとはな……本当ならもう1度奇襲してやっても良かった。だが奇襲は奇襲にすぎん。2度目はない」
巨大ハサミの支えを壊し『刃物』を作って、一本をタイヤ目掛けて『投げナイフ』として使い、
もう一本を即興の『ポケットナイフ』として持っているヴィラルがそこに立っていたのだから。
しかしスザクは無理をきかせて再びバッグから日本刀を取り出し、斬りかかる。
ところがヴィラルは難なくこれをかわし、壁蹴りをしてバイクが衝突した高速道路の壁の丁度真上に飛び乗った。
「そのスピードと技術はともかく……貴様の動きはワンパターン、まだまだだな。
さっきの戦いでお前の動きは全部わかったんだよ。最初の一撃は正面から。フェイントは無いって事もな! 」
「よくも剣持さんをッ! 結果ばかりを追い求めて! 他人の痛みが分からないのか!」
「お前にわかるか……? なりたくもない人間にさせられた気持ちが。
忠誠心と憎しみとの間で、やり場のない感情に苦しめられる俺の気持ちがァァァ!! 」
スザクはヴィラルの叫び声に怯みながらも、ジャンプして彼に斬りかかろうとする。
だが、既に決着はついていた。
「ピッ」
――光、爆音、炎。
爆発に必要な3つの要素が大きく絡み合い、スザクとバイクを飲み込んでいく。
全てはヴィラルの支給品の一つ、『ネオロシアのガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーの小型爆弾』のせいであった。
断っておくが、このバトルロワイアルにアルゴ・ガルスキーは参加していない。
しかし囚人であるアルゴを大人しくさせる為にネオロシアが彼に取り付けたスイッチ式爆弾はこの世界に存在していた。
ヴィラルはスザクと剣持に襲い掛かる前に、自分の支給品を全てチェックしていた。
彼は剣持に一本背負いをかけられた後、気絶したフリをしてチャンスを待っていたのだ。
彼らが、爆弾によって爆死するタイミングを。
最初に爆弾のスイッチを押さずにハサミでバイクをパンクさせたのは、
奇襲を良しとしないヴィラルなりの美学の現れでもあった。
結局、彼のバイクへの一撃は、剣持への奇襲につながってしまった事は言うまでもないのだが。
バイクの衝突した壁の真上に乗ったのも、確実に爆弾の被害をスザクに加えるためであった。
ちなみに、これはヴィラルも知らないことだが……爆弾による被害はバイクの燃料が加わったので更にアップしていた。
ゆえに爆発の威力は彼が想定していた以上の威力を持っており、その威力は高速道路の壁を壊すまでになっていた。
つまり足場を無くしたヴィラルは、高速道路から落ちた。
(……くそ、小型じゃなかったのかよ。これじゃあ……奴が死んだかどうかわからねぇじゃねぇか……。
あいつら……確か……『クルクル』と『ケンモチ』だったか……次こそは……必ず……! )
そして、海に落ちた。
■ ■ ■
(海……に、飛び……こまなくちゃ……火を……消さないと……)
ヴィラルが海に落ちたほぼ同時刻、高速道路上では大きな炎が轟々と燃え盛っていた。
その炎のプレゼントが1人の青年の全身に祝福をするかのように包み込む。
威力が大きくなる炎に対し、彼の命の灯火は消えようとしていた。
(でも…………このまま……じゃ……剣も……ちさんが……)
一体なぜ爆発が起こったのか、彼自身はいまだにわからぬまま。
彼にわかっていることは、このままだと自分が死んでしまうこと。そして、剣持が気絶したまま取り残されてしまうこと。
スザクは自分の持っていた刀を全力で投げ飛ばす。
刀はスザクの狙い通り剣持の余裕のある額に当たり、そのまま剣持から少し離れた場所に転がった。
スザクは剣持がかすかに『うう……』とうめき声をあげたのを確認するとそのまま180度振り返った。
(頼みます……起きてくださ……い……剣持……さん! )
剣持が目覚めることを祈りながら、スザクは破壊された壁の穴を目指して這いずる。
ゆっくり、ゆっくりと穴に近づいてゆくスザクだが、そのスピードは遅い。
(……みっともなく……足掻いて……生き延びようと、している…………醜いな、俺は。
ルルーシュ……これ、も、一つ、の……結、果、な……の……か………………………………………? )
結局、枢木スザクは海に落ちることはなかった。
彼の右手は高速道路の穴につかみかかっていたが、
剣持に刀を投げつけた分の体力が、彼がゴールにたどり着く余力を奪った。
ブリタニアの騎士、枢木スザク。
人を殺す事を望まずして軍に所属し、イレヴンの為を思うのにブリタニアに属す男。
矛盾を自覚し、そうした葛藤に苛まれ続けた彼の人生は17年という短さでここに終わった。
彼が生み出した過程によって残された者たちの価値は、果たして。
【E-3 高速道路路上 一日目 黎明】
【剣持勇@金田一少年の事件簿】
[状態]:背中強く打撲、頭を強く打った為気絶(目覚める寸前?)
[装備]:スパイクの煙草(マルボロの赤)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品は全て燃えました
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:気絶 (目覚める寸前?)
[備考]
※高遠遙一の存在を知っている時期のどこかから参戦しています。
※スザクの知り合い、その関係について知りました。(一応真実だとして受け止めています)
※スザクの事を『クルクル』と呼んでいたのは「金田一一」に対する「キンダニ」と同義です。
※彼の傍には少し燃えているビシャスの日本刀@カウボーイビバップが落ちています。
※E-3の周り8マスに爆音が響き渡りました。
※E-3の高速道路の壁の一部分のエリアが、爆発により破壊されました。ここから海に飛び込めます。
なお、その側には燃えているリヴァル・カルデモンドのBMCのRR1200@コードギアス 反逆のルルーシュがあり、
サイドカー側のタイヤには巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJINGが刺さっています。
※剣持の支給品は煙草とバイクの2つでした。
【E-3 高速道路下の海 一日目 黎明】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:体力消耗、ずぶ濡れ
※螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
③人間に近づく改造が①、②であることに気づいていない。
[要約]
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『何となく人間っぽくなった』としか認識してない。
[装備]:巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING
[道具]:全て燃えてなくなりました。
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:とりあえず海から脱出する?
2:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
3:人間になったことへのやり場のない怒り。
[備考]
※アニメ第3話のカミナ達と一戦交える日の前日の夜からの参戦です。つまりシモン達を知りません。
※枢木スザクを『クルクル』という名前だと勘違いしています。
※剣持とスザクがどうなったのかを知りません。
※ヴィラルのランダムアイテムは巨大ハサミとアルゴ・ガルスキーの小型爆弾@機動武闘伝Gガンダムの2つでした。
※巨大ハサミ@王ドロボウJINGの出展は本編第13話、ザザの仮面舞踏会編です。
※枢木スザクの支給品は全て燃えてしまいましたが
ランダムアイテムはビシャスの日本刀@カウボーイビバップの他に1~2つある可能性もあります。
バイクの火事にあっても無事なランダムアイテムがあるかもしれません。
&color(red){【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】}
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|&color(red){枢木スザク}||
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