マコちゃん「…恥ずかしくないの?」

梓「全くと言えばウソになるけどそれほど…だって女同士だし…」

マコちゃん「いや、だから、ここでもまだその設定なの!?」

梓「え?あ、流すよ。」ザァー



マコちゃん「あっ、前は自分でやるから!さすがに!」

梓「そう、じゃあ後は髪を洗ってあげるね。」

マコちゃん「あ、ああ…」


梓「じゃあ次は私が洗うからマコちゃんは湯船にでも浸かっててね」

梓「…」ゴシゴシ

マコちゃん「…カナ、背中流してやろうか」

梓「えっ、いいの?」

マコちゃん「さっきのおかえしだよ。」

梓「ありがとう」


マコちゃん「(…カナの肌きれいだな…女の子はみんなこうなのかな…ハルカさんも…)」ゴシゴシ

マコちゃん「(さっきから見ちゃいけないとは思いつつも見えちゃうけど、カナの胸はやっぱりハルカさんよりはかなり小さいよな…)」

梓「んっ…もう…マコちゃんったら、どこ触ってるの」

マコちゃん「ハッ!?ご、ごめん!ごめんなさい!(無意識のうちに触ってしまっていた…!)」

梓「べ、別にそんなに謝らなくてもいいけど…」

マコちゃん「(怒らない!?カナ…)」

マコちゃん「(…でもこの大きさは、これはこれでイイというか…ってなに考えてんだ俺…)」

マコちゃん「…流すね」

梓「うん」


マコちゃん「…髪さらさらだね。」

梓「そう?ありがとう。でもこれだけ長いと手入れも大変なんだよね」

マコちゃん「(やっぱり…今日のカナ…いつもはうるさいだけなのに…ちょっとかわいい…)」


梓「なんでそんな浴槽のスミで縮こまってるの…もっとこっちにおいでよ」

マコちゃん「いや別に…」

梓「そういえば、さっきからちょっと思ってたんだけど、マコちゃんって、男の子みたいなかっこいい体してるよね。何かスポーツやってるの?」

マコちゃん「いやサッカーだけど…というか男だし俺」

梓「そっか~サッカーやってるんだ。珍しいね女の子なのに。」



梓「え?」

梓「い、いまな、なんて…」

マコちゃん「だから、オレが男なのはカナも知ってるだろ…?」

マコちゃん「というかカナが女装させたんじゃないか!」



梓「…」

梓「…」カァァ

梓「あ、あの、わわわタシ、サ、サキニ、アg、アガリマスネ」ザバァ

マコちゃん「…?あ、ああ…」

梓「…」フラフラ


梓「(な、何動揺してるんだろう私…相手は私よりずっと年下じゃない…)」フラ

梓「(で、でもさっきまでずっと女の子だと思ってたのに…びっくりです…一体なぜ…)」フラフラ

梓「…っ!」ツルッ


ステーン! ゴッ!


梓「あっ…いったぁ…ぃ…」

マコちゃん「おい!カナ大丈夫か!?今すごい音したぞ…!」

梓「!イエ、ア、アノ、大丈夫デスカラ…」ズキズキ

マコちゃん「ほら、オレの手につかまれよ」

梓「ア……スミマセ…」ニギッ

マコちゃん「ぉぅぁ!!!???や!や!!!カナさん!そこは大変まずいです!!そこは手じゃないです!!」


梓「…?……!!!!!!????あっ…!!」パッ

マコちゃん「はぁ…はぁ…」

梓「ゴッ、ゴメンナサィ!!」ムクリ ダッ ガラガラ

マコちゃん「……」

マコちゃん「(今日のカナ…やっぱり変だ…)」



梓「(さわってしまった…お、男の子の…い、いや、その、に、にぎってしまった…ですね…)」




リビング


内田「か、カナちゃん!大丈夫!?顔が真っ赤だけど…」

梓「わ、私、もう、お嫁に行けないかもです…」ボソッ

マコちゃん「…」

吉野「どうしたの?」

千秋「…!やっとバカ野郎らしくバカなこと言い始めたか?」

内田「…あっ!…マコt…マコちゃんが何かしたの!?」

マコちゃん「バッ…バカ言うな!な、何もなかったよ!!」

梓「あ、あのっ、み、みんな知ってたの!?そ、その…マコちゃんがおとk・・」

マコちゃん「へ…!?」

内田「あーあーあー!!」

千秋「なんだ、うるさいよ内田!」

梓「…?あ、あの…」

内田「あ、あ、もうこんな時間だよみんな!帰らないと!お母さんたち心配しちゃうし!!」

内田「(いまここでバレるのはよくない気がする!なんとなく!今日はカナちゃん変だし!)」

梓「…」

吉野「あ、もうこんな時間なんだね」

内田「うん!うん!ほらマコちゃんも帰るよ!!」

マコちゃん「あ、ああ!ちょっと…!引っ張んなよ!!」

千秋「ちょっとお前落ちつけよ…」



玄関


内田「お、おじゃましましたー!!!!」

千秋「おー気をつけろよ」

マコちゃん「おっじゃまし…おっ、おい!だから引っ張るなって…!」ズルズル

吉野「ごちそうさまでした~カレーおいしかったよ、ふふ。あ、そうだ、あず」

梓「!?」

吉野「あずきバーもおいしかったよ♪」ニコッ

千秋「ああ、お風呂の後にみんなで食べたんだよ。」

梓「…」

吉野「じゃあねカナちゃん、チアキ、また今度ね」

梓「…き、気をつけてね」

千秋「またこいよー」

梓「…」

千秋「あ、マコちゃんにあずきバー渡すの忘れてた」

梓「…」




千秋「じゃあ食べるかあずきバー」

梓「あっ、私はいいからチアキちゃんが食べて」

千秋「!」

千秋(いつもならがっつくはずなのに)

梓「私はちょっと宿題しているね」

千秋「!!」

千秋(いつもはやらないくせに)

梓(中学の勉強って久しぶりだなー)

千秋(今日のこいつ何なんだよ…)

梓(懐かしいなー、この問題)カキカキ

千秋(今日のカナは明らかにおかしい…どこかに連れ去られて改造手術でもされたんじゃないだろうか)ペロペロ

春香「ただいまー」

千秋「あっ、ハルカ姉さまお帰りなさいませ」

春香「うん、ただいま」

梓(ハルカ姉さま…)

梓(そっか、この家ではそう呼ぶんだ)

梓「お帰りなさい、ハルカ姉さま」

春香「うん、ただいま」

春香「……」

春香「!」

春香「カ、カナ!ちょっと大丈夫?熱は!?」

梓「えっ…大丈夫ですけど…」

春香「チアキ…」

千秋「ずっとこんな感じなんです」

春香「ど、どうしたのカナ?冗談よね?」

梓(あれ?何か間違えた?)

梓「あの…えっと~…」

梓「そう…です」

春香「もう、驚かさないでよね。ビックリしちゃった」

春香(あれ?敬語?)

梓(カナちゃんってどういうキャラなんだろう…)

千秋「ハルカ姉さま、ご夕飯を」

春香「あっ…そうね。お腹すいたし食べようかな」

梓(それにしてもハルカさんって美人だな~)

梓(料理上手いし、スタイルも良いし…これで本当に同い年なのだろうか)

春香「美味しそうなカレーね」

千秋「カナと二人で作りました」

春香「カナと…これを?」

千秋「はい」

春香「作り過ぎたりしなかった?」

千秋「はい、適量です」

春香「……」モグモグ

春香「!!」

春香(普通にカレーだ)

春香「カナ…料理の勉強でもしたの?」

梓「あっ、美味しかったですか?」

春香「美味しかったです…ですか!?」

千秋「カナ!もういい!もういいだろ!!」

千秋「これ以上私たちを苦しめて何が楽しい!!」

梓「え…えっ?」

梓(あれ…不味かった?)


梓「ご、ごめんなさいっ!」

春香「なんでカナが謝るのよ~!!」

千秋「バカ野郎!このバカ野郎っ!!」

梓「えぇっ!?」



翌日


春香「はぁ…」

マキ「どうしたのハルカ?元気ないねー」

春香「うん…カナがさぁ…」

アツコ「カナちゃんが?」

春香「なんかおかしいのよぉ…」

マキ「いつもなんかちょっとおかしいじゃん」

春香「違うの…次元が違うの…」

マキ「なに、どういうこと?」

アツコ「?」

マキ「まぁいいや。なんか面白そうだし今日様子見に行くよ」

春香「うん…お願い…」

マキ「そんなことよりさ、ハルカ。今度桜ヶ丘の学祭行こうよ」

春香「桜ヶ丘?」

マキ「うん、なんかすごい女子高生バンドがいるらしいよ。聴きに行こうよ」

春香「すごいバンド?」

マキ「すごくてかわいいらしいよ」

春香「へぇ~…」








保坂「……」


速水「どうしたの保坂?相変わらずストーカー?」

保坂「ストーカーではない。ナイトだ」

保坂「俺は南ハルカを守る騎士だ」

速水「あんたは立派ストーカーだよ」

保坂「南ハルカが桜ヶ丘へ行くらしい」

速水「桜ヶ丘?そういえば練習試合で何回か行ったことがあるわね…」

保坂「……」

速水「…なに考えてるの?」

保坂「桜ヶ丘を偵察しに行く」

速水「は?」

速水「なんで?」

保坂「決まっているだろ。南ハルカが学祭へ行くなら俺がエスコートしなければいけないわけだ」

保坂「エスコートするには開催地へのルート、時間、校内設備を全て把握しなければいけないわけだ」

保坂「完璧なエスコートをするにはそれだけの苦労がかかる」

保坂「しかしその苦労を乗り越えてこその愛だ」

保坂「いや、苦労ですら愛に変わる」

保坂「やがて学祭が終わるころには俺と南ハルカは…」

速水「あーはいはい。もういいわよ」

速水「いってらっしゃい」

保坂「うむ、今日のバレー部は悪いが任せたぞ」

保坂「俺はどうしても桜ヶ丘に行かなければならないからな」

速水「はいはーい」

速水(桜ヶ丘が女子高ってことは黙っておこっと…面白そうだし)



……

内田「ねぇチアキ、あれからカナちゃんどう?」

千秋「あれからずっと謎の生物のままだ」

内田「そっかぁ…どうしちゃったんだろう」

吉野「おかしいよねー」

冬馬「なんだ?カナがどうした?」

千秋「おぉトウマ。お前今日うちに来るだろう?」

冬馬「うん、呼ばれなくても行くよ」

千秋「なら今日は覚悟しておけよ」

冬馬「?」



キーンコーンカーンコーン


梓「ふぅ、授業が終わった」

梓(中学の勉強って今やると案外たいしたことないんだね)

藤岡「み、南…」

梓「あっ…えっと」

梓「藤岡君…?」

藤岡(君…)

梓「なに?」

藤岡「あっ、いや…その」

藤岡「最近の南ってなんか雰囲気変わったよね」

梓「え?」

藤岡「あっ、別に悪いことじゃないんだ!すごく良いと思うよ!うん」

梓「はぁ…」

藤岡「……」

藤岡(なんだろう…やっぱりちょっとおかしいよな…)

藤岡(そういえばさっきアキラが…)


藤岡「昨日から南の様子がおかしいんだ」

アキラ「おかしい?」

藤岡「なんか…女の子っぽいっていうか」

アキラ「恋ですかね?」

藤岡「!」

アキラ「もしかしてもう誰かと付き合ってたり」

藤岡「!!」

アキラ「ってカナさんにそんなことありえませんよね。あははは!」

藤岡「……」

アキラ「あははは……あの…藤岡さん?」



藤岡「……」

梓「えっと…大丈夫?」

梓(なんか顔が青ざめてるんだけど…)

藤岡「……」

藤岡(確かめなきゃ…南がなぜ変わったのかを…!)

藤岡「み、南!!」

梓「は、はい!」

藤岡「今日南の家に行ってもいいかな!?」

梓「えっ」


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最終更新:2010年08月28日 21:14