田井中家


律「さて、ご飯も食べたし風呂にも入ったし…」

澪「寝るか」

夏奈「パジャマパーティーだ!」

律「おーっ!」

澪「うぅ…」

夏奈「語ろうぜ澪ちゃん」

澪「明日のために早く寝たほうがいいじゃないか…」

律「休みなんだしいいじゃん」

夏奈「だいたい澪ちゃんはさぁ、なんでそんな臆病なの」

澪「え…」

律「そうだそうだ!いい加減その性格を直せ!」

澪「そんな事言われても…」

夏奈「どうしますりっちゃんさん」

律「どうしましょうか梓さん」

澪「なんだよ…私のことなんてどうでもいいだろ」

夏奈「やっぱりここは男でも作って意識改革するしかないな」

澪「無理だよぉ…」

ガチャッ

聡「姉ちゃん、お茶もってきたよ」

夏奈「おっ」

夏奈(面白そうなのが来た)

律「おー悪いな聡、そこに置いておいてくれ」

聡「はいはい」

夏奈「おいお前、ちょっとこっちに来い」

聡「え?」

夏奈「名前は?」

聡「田井中聡…です」

夏奈「そうか聡。よし聡」

夏奈「お前は今から澪ちゃんの彼氏な」

聡「えぇっ!?」

澪「はぁっ!?」

夏奈「仮想だよ、仮想彼氏」

夏奈「こいつで男に慣れておくんだ」

律「あぁ、それならいいかもな」

澪「イヤだよ…」

聡(イヤって…)

夏奈「澪ちゃんは新しい自分になりたくないのか!?」

澪「でも聡じゃ無理だよ…」

聡(無理…)

律「まぁ聡じゃ無理だろうな」

夏奈「確かに、お前華がないよ」

聡(なにこの扱い…)

律「お前もうちょっと男前になれ。姉として恥ずかしいよ」

夏奈「これだから最近の男は」

聡「あの…泣いていいですか…」

澪「ちょっとトイレ行ってくる」

律「あぁ、行ってらっしゃーい」

夏奈「おいお前、コップにお茶入れるぐらい気を利かせなさいよ」

聡「は、はい」

律「まったくお恥ずかしいところを見せて申し訳ない」

夏奈「いえいえ、気にしないでくださいりっちゃんさん」

律「こいつじゃ澪の彼氏役なんて無理だな」

夏奈「まったくだ、身の程を知れ」

聡「……」

律「でもどうしようか、これじゃあ澪の性格なんて直せそうにないし…」

夏奈「よし、せっかくだから女の子にしてやろう」

聡「えっ…」

夏奈「お前も新しい自分に生まれ変われ、な?」

聡「あ、あの…ちょっと!?」

律「面白そうだな、私もちょうど妹が欲しかったところなんだよ」

聡「姉ちゃんまでなに言ってんだ!!」

夏奈「さてまずは髪型だが…」

律「ジュリエットのカツラがあるよー!」

夏奈「でかしたぞりっちゃん!」

聡「ま、待って!俺は…」

夏奈「服は…」

律「買って一度も着てないワンピースがあるぞー!」

夏奈「さすがだりっちゃん!」



完成


夏奈「おぉ…」

律「……ぷっ」

聡(お、俺お茶持ってきただけなのに…)

夏奈「なんか不自然だけどまぁいいか」

ガチャッ

澪「なに騒いでいるんだ?」

聡「あっ…」

澪「ん?」

聡「……」

澪「……」

聡「……」

澪「この子だれ?」

聡「えぇっ!?」

夏奈「あっ、えっと~…」

律「聡の彼女のサトちゃん」

澪「そうか」

聡(なんで気づかないんだよ…)

律「今日は聡の部屋で一晩過ごすんだよなー」ニヤニヤ

聡「は、はい…」

聡(くそ…姉ちゃんめ…)

澪「さ、最近の中学生は進んでるんだな…///」

夏奈「そうだ、澪ちゃんもサトちゃんを見習って進まなきゃいけない」

澪「え?」

夏奈「サトちゃん、この美人さんに説教してやりなさい。恋愛について説いてあげなさい」

聡「なんですかその無茶ぶり…」

律「いいからサトちゃん、澪にアドバイスしてあげてよ」ニヤニヤ

聡「えぇ~…」

澪「……」

聡「あの~…澪さんは美人ですし…」

聡「も、もっと積極的になればいいんじゃないでしょうか」

澪「積極的…」

聡「そうです、自分に自信を持ってください。澪さんなら大丈夫です」

律「そうだぞ澪。聡ですら彼女ができる世の中なんだから」

夏奈「澪ちゃんに恋愛ができないわけがないじゃないか!」

澪「あ、ありがとう…」

澪「…なんかよく分かんないけど良い歌詞は思い付いたよ」

聡「はぁ…」

澪「あれ…ハンカチどこかに落としちゃったかな」

澪「ちょっと見てくる」

ガチャッ、バタン

律「行ったか…」

聡「もう俺を解放してくださいよ!」

夏奈「まぁ待て、落ち着け」

夏奈「ほら、鏡で自分の姿を見てみろ」

聡「えっ…」

聡「……」

聡「……」ポッ

夏奈「目覚めちゃいましたねりっちゃんさん」

律「どうやら目覚めたみたいですね梓さん」



……

澪「いい加減もう寝るぞ」

夏奈「はーい」

律「いやー、それにしても最近の梓は楽しいな」

澪「私は昔の梓がよかったよ…」

律「あっ、そういえば唯から聞いたんだけどさ。梓には姉妹がいるんだって?」

夏奈「うん、いるよ」

律「見てみたいから今度会わせてくれよ」

夏奈「オッケー、明日休みだしうちにでも…」

夏奈(はっ!)

澪「どうした?」

夏奈「いや…」

夏奈(そうだ…私は今梓って人なんだった…)

夏奈(どうする…梓じゃないのに姉妹がいるって言っていいのか…)

夏奈(もうこの際ハルカとチアキに中野姓になってもらって…)

夏奈(いや、その前に私の家どこだよ。ここどこなんだよ)

夏奈「……」

夏奈(なんか思い出したら家が恋しくなってきた…)

夏奈(…さ、寂しいわけじゃないぞ別に)

夏奈(それにこのまま梓でいればケーキ食べ放題だし…楽しいし…)

夏奈「……」

律「電気消すぞー」パチッ





澪「律、起きろ。朝だ」

律「うぅ~ん…」

澪「休みだからってだらしないぞ」

夏奈「……」

澪「あぁ梓、起きたのか。おはよう」

夏奈「……」

澪「梓?」

夏奈「……」ダキッ

澪「っ!?」

夏奈「寂しいよー!」

澪「え?な、なにっ??」

律「なんだぁ…どうした?」

ピンポーン

唯「おーい、りっちゃんやーい!」

ガチャッ

律「おっ、いらっしゃい」

紬「おじゃましまーす」

律「悪いな急に呼んで。梓が話あるらしくてさ」

唯「話ってなんだろうね?」

紬「さぁ…?」

夏奈「やぁよく来たねみんな。とりあえず座りなさいよ」

夏奈「聡、お茶持ってきなさい」

聡「はーい」

夏奈「さて、今日みんなに集まってもらったのは重大な話があるからだ」

唯「重大な話?」

夏奈「聞いたら驚くかもしれないから、心して聞い欲しい」

紬「……」ゴクリ

夏奈「実は私…」

唯「未来に帰っちゃうの!?」

夏奈「お前はすぐ空気をおかしくするねぇ」

唯「えへへ。ごめんね、一度言ってみたくて」

夏奈「話を戻そう。実は私…中野梓じゃないんだ」

唯「…え?」


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最終更新:2010年08月28日 21:10